和名は種子をカラスの食べるゴマに例えたものといわれている。旧分類ではゴマ科でなく、シナノキ科 Tiliaceaeに属したが、新分類（APG）ではアオイ科に含まれる。
　茎、葉などに星状毛がある。葉は互生し、長さ2～7㎝の卵形、鋭尖頭、鈍鋸歯、両面に星状毛がある。花は黄色、直径約2㎝。花弁は5個、長さ約8㎜の倒卵形。萼片は5個、線状披針形、反り返る。雄しべは5～15個。その内側にある長い5個は仮雄しべ。蒴果は長さ3～4㎝、ゴマのようには太くならず、細く、表面に星状毛があり、熟すと3片に裂開する。種子は長さ約2.5㎜、表面に横しわがある。2n=20。

カラスノゴマ属

　 family Malvaceae － genus Corchoropsis

　1年草。茎には星状毛又は毛がある。托葉は小さく、早落性。葉身は単葉、基部の葉脈は3本、縁は歯状又は鋸歯状、星状毛がある。花序は腋生、集散花序、花が1～3個つく。花は両性。萼片は5個、狭披針形。花弁は5個、黄色、倒卵形。雄しべは普通、15本、仮雄しべに互生して3個の5グループにつく。仮雄しべは5本、へら状線形。子房は密に綿毛があるか又は無毛、3室がある。胚珠は各室に多数。花柱は錐形。柱頭は切形、わずかに3裂する。蒴果は円筒形、3バルブ。種子は多数。
　世界に1種だけ、日本、朝鮮、中国に分布する。

カラスノゴマ属の主な種と園芸品種

1 Corchoropsis crenata Siebold et Zucc.　カラスノゴマ　烏の胡麻
　　synonym　Corchoropsis tomentosa (Thunb.) Makino
　1年草、高さ1m以下、枝に星状長軟毛がある。托葉は錐形、長さ2～4㎜、早落性。葉柄は長さ0.2～2.3㎝、毛がある。葉身は卵形～狭卵形、長さ2.5～6(～8)㎝×幅1～3(～4.5)㎝、紙質又は膜質、両面に密に星状軟毛があり、基部の葉脈は3(～5)本、側脈は中脈の各側に2～3本、基部は円形～浅い心形、縁は円鋸歯状鋸歯、先は尖鋭形。花柄は細く、長さ1.5～3㎝。萼片は狭披針形、長さ5～8㎜、後屈する。花弁は黄色、倒卵形、長さ(3～)6～10㎜。雄しべは(5～)10～15本、(1～)2～3本の5グループにつき、花弁の長さの1/2、反曲する。仮雄しべは5本、へら状線形、長さ7～10㎜、堅く直立する。子房は密に長軟毛があるか又は無毛。蒴果は狭円筒形、長さ1.7～3(～4)㎝×幅0.2～0.3㎝、ごく密～まばらに星状毛があるか又は無毛。種子は卵形、長さ3㎜未満、不明瞭な横のうねがある。花期は4～6月。果期は秋。2n=20。

1-1 Corchoropsis crenata var. crenata 　カラスノゴマ　烏の胡麻

　日本、朝鮮、中国原産。中国名は田麻 tian ma 。
　子房は密に綿毛がある。蒴果はごく密～まばらに毛がある。

1-2 Corchoropsis crenata Siebold et Zucc. var. hupehensis Pamp.　チョウセンカラスノゴマ　朝鮮烏の胡麻

　　synonym　Corchoropsis psilocarpa Harms et Loes

　　synonym　Corchoropsis tomentosa (Thunb.) Makino var. psilocarpa (Harms et Loes.) C.Y.Wu et Y.Tang

　朝鮮、中国原産。中国名は光果田麻 guang guo tian ma 。
　子房と蒴果は無毛。

1-3 Corchoropsis tomentosa (Thunb.) Makino f. glabrescens (Nakai) H.Hara　アオカラスノゴマ　異分類

　　synonym　Corchoropsis intermedia Nakai
　Corchoropsis crenataに含められる。

参考

1) Flora of China
　Corchoropsis 2) Plants of the World Online | Kew Science
　Corchoropsis