カンノンチク 観音竹

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Flora of Mikawa

ヤシ科 Plantaginaceae カンノンチク属

別 名 パチパチグサ
中国名 棕竹 zong zhu
英 名 bamboo palm , lady palm
学 名 Rhapis excelsa (Thunb.) A.Henry ex Rehder
カンノンチクの花先
カンノンチクの葉基部
カンノンチクの葉鞘
カンノンチクの茎
カンノンチク
カンノンチクの葉
カンノンチクの葉先2
カンノンチクの葉裏
花 期 6~8月
高 さ 1~(3)4m
生活型 常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 外来種  中国、タイ、ベトナム原産
撮 影 浜名湖ガーデンパーク 19.9.19
カンノンチクはヤシ科カンノンチク属の栽培種。日本では観葉植物として、江戸時代から栽培され、多数の園芸品種があり、シュロチクと併せてカンソウチク(観棕竹)と読んでいる。シュロチクは葉の裂片が多く、狭く、丸みがなく先が尖る。
 低木、茎は束生し、根茎をもつ。大きな緩いコロニーをつくり、高さ3(4)m以下、直径1.5㎝以下になり、宿存する繊維状の葉鞘で被われる。葉鞘は粗い黒色の繊維が四角のメッシュになる。葉舌は宿存しない。葉身は基部まで分かれず、2~13裂片に分裂する。裂片は側部が±真っすぐで先がギザギザ、長さ40㎝×幅7㎝・以下、最も外側の裂片の幅が最も狭い。花序は葉の間に生じ、枝は2~3次まで。苞は筒状、鞘になる。花序軸は長さ26㎝以下。小花序軸(枝)は長さ11㎝以下、無毛。雄花は長さ6mm以下。咢片は統合して筒状になる。咢は3裂。花弁は筒状の花冠に統合し、3裂し、先は弁状。雄しべは6本、2列につく。花糸は内側に竜骨がある。雌花は雄花に似るが、花芽が雄花より短い。果実は1心皮から発達し、黄色、球形~楕円形、長さ1㎝×幅0.8㎝・以下。花期は夏。

カンノンチク属

  family Arecaceae - genus Dopatrium

 木本。茎は細く、束生し、根茎で広がり、小~大の群生を作り、繊維状の宿存する葉の基部で特に上部を覆われ、他は緑色。葉は12~22個つき、掌状。葉鞘は繊維の2層からなり、四角又は斜めのメッシュになり、先に繊維状の葉舌をもち、ハスツラ(hastula:ヤシの葉柄の葉身との結合部に上面に平ら、しばしば三角形に広がる薄くて硬い組織) がある。葉身の裂片は少数~多数う、長さの1/2まで又はそれ以上分裂し、縁に細かい刺をもつ。 雌雄異株。花序は3次まで分枝し、葉の間に生じ、宿存する苞に包まれる。苞は蜜に又は緩く鞘状になり、全て雄花又は全て雌花のどちらもつけ、たまに両性の花もつける。る。花は構造が単純、単生、雄花は雄しべが6本。果実は色が様々、小さく、球形、種子は1個、ときに短い柄の上につく。胚乳は等質。発芽は離れる。eophylls(ヤシの発芽の最初の葉)は分裂しない。2n = 36, 72(x=18)。
 世界に11種あり、中国、インドネシア、ラオス、タイ、ベトナムに分布する。

【カンノンチク属の種】 Rhapis evansii A.J.Hend. - ラオス原産
Rhapis excelsa (Thunb.) A.Henry カンノンチク
Rhapis gracilis Burret - 中国原産
Rhapis humilis Blume シュロチク
Rhapis kebangensis A.J.Hend. - ベトナム原産
Rhapis laosensis Becc. - ラオス、タイ、ベトナム原産 - Laos Lady Palm
Rhapis micrantha Becc. - ベトナム原産
Rhapis puhuongensis M.S.Trudgen, T.P.Anh & A.J.Hend. - ベトナム原産
Rhapis robusta Burret- 中国、ベトナム原産
Rhapis subtilis Becc. - カンボジア、ラオス、スマトラ、タイ原産 - Thailand Lady Palm (剣葉)
Rhapis vidalii Aver., T.H.Nguyên & P.K.Lôc - ベトナム原産

カンノンチク属の主な種と園芸品種

1 Rhapis excelsa (Thunb.) A.Henry ex Rehder  カンノンチク 観音竹
 中国、タイ、ベトナム原産。中国名は棕竹 zong zhu。英名はbamboo palm , lady palm , large lady palm , miniature lady palms , broadleaf lady palm
 日本では観葉植物として、江戸時代から栽培され、多数の園芸品種があり、シュロチクと併せてカンソウチク(観棕竹)と読んでいる。
 低木、茎は束生し、根茎をもつ。大きな緩いコロニーをつくり、高さ3(4)m以下、直径1.5㎝以下になり、宿存する繊維状の葉鞘で被われる。葉鞘は粗い黒色の繊維が四角のメッシュになる。葉舌は宿存しない。葉身は基部まで分かれず、2~13裂片に分裂する。裂片は側部が±真っすぐで先がギザギザ、長さ40㎝×幅7㎝・以下、最も外側の裂片の幅が最も狭い。花序は葉の間に生じ、枝は2~3次まで。苞は筒状、鞘になる。花序軸は長さ26㎝以下。小花序軸(枝)は長さ11㎝以下、無毛。雄花は長さ6mm以下。咢片は統合して筒状になる。咢は3裂。花弁は筒状の花冠に統合し、3裂し、先は弁状。雄しべは6本、2列につく。花糸は内側に竜骨がある。雌花は雄花に似るが、花芽が雄花より短い。果実は1心皮から発達し、黄色、球形~楕円形、長さ1㎝×幅0.8㎝・以下。花期は夏。
品種) Aikokuden 愛国殿 , Aikokudennoshima 愛国殿の縞 , Akatsuki 暁 , Asahinishiki 朝日錦 , Asukanishiki 飛鳥錦 , Ayahime 綾姫 , Ayanishiki 綾錦 , Benkei 弁慶 , Benzaiten 弁財天 , Bizannishiki 眉山錦 , Chigonishiki 稚児錦 , Chiyodazuru 千代田鶴 (矮性), Choju長寿 , Daifukuden 大福殿 , Daihukudennoshima 大福殿の縞 , Daikokunishiki 大黒錦 , Daikokuten 大黒天 , Daikokutennoshima 大黒天の縞 , Dainagon 大納言 , Daruma 達磨 , Darumanoshima 達磨の縞  , Darumanozu 達磨の図 , Eizannishiki 栄山錦 , Fujinishiki 富士錦 , Fukiden 富貴殿 , Fukuju 福寿 , Fukujunishiki 福寿錦 , Ginga 銀河 , Ginrei 銀鈴 , Ginsekai 銀世界 , Gyokuryu 玉龍 , Hagoromo 羽衣 , Hagoromonozu 羽衣の図 , Hakkokinshi 白晃錦糸 , Hakkonohikari 八紘の光 , Hakuchonoshima 白鳥の縞 , Hakuju 白寿 , Hakurakuden 白楽殿 , Hakuryuho 白竜宝  , Hakusetsunohikari 白雪の光 , Hakusetsunohomare 白雪の誉 , Hakusetsunotakara 白雪の宝 , Hakusuisai 白翠彩 , Hakutsurunishiki 白鶴錦 , Heiseinishiki 平成錦 , Heiseinishiki 平成錦 , Heiwaden 平和殿 , Heiwadennoshima 平和殿の縞 , Himedaruma 姫達磨 (R. laosensis?), Hinodenishiki 日の出錦 , Horainishiki 蓬莱錦 , Hozan 宝山 , Juko 寿晃 , Juraku 寿楽 , Jusei 寿星 , Kaguyahime かぐや姫 , Kannonchikuao 観音竹青 , Kannonchikushima 観音竹縞 , Kasuganishiki 春日錦 , Keigetsu 恵月 , Keigetsunoshima 恵月の縞 , Kinboshi 金星 , Kinkonishiki 金晃錦 , Kinponishiki 金鳳錦  , Kinshi 錦糸 , Kinshinoshima 錦糸の縞 , Kinsho 錦松(一部剣葉) , Koban 小判 , Kobannishiki 小判錦 , Kobannoshima小判の縞 , Kobanshiroshima 小判白縞 , Kodaruma 小達磨 , Kodarumanishiki 小達磨錦 , Kodarumanoshima 小達磨の縞 , Koganenishiki 黄金錦 , Kongo 金剛 , Kotobuki 寿 , Mangetsu 満月 , Mangetsunotakara 満月の宝 , Mangetsunozu 満月の図 , Meisei 名声 , Meiseinoshima 名声の縞 , Myokonishiki 妙光錦 , Nanzannishiki 南山錦 , Nikkoden 日光殿 , Obannoshima 大判の縞 , Ogonju 黄金寿 , Ogonmaru 黄金丸 , Orihime 織姫 , Otafuku お多福 , Ryugenishiki 竜髭錦 , Seikonishiki 聖光錦 , Seiunden 聖雲殿 , Shiho 司宝 , Shihonoshima 司宝の縞 , Shikokunishiki 四国錦 , Shippoden 七宝殿 , Shippodenshiroshima 七宝殿白縞 , Shipponishiki 七宝錦 , Shirodaruma 白達磨 , Shiroganenishiki 白銀錦 , Shokanishiki 松華錦(剣葉) , Shoryu 昇龍 , Showanishiki 昭和錦 , Shozannishiki 照山錦 , Shuko 珠晃 , Sirotaenishiki 白妙錦  , Taihei 泰平 , Taiheiden 太平殿 , Taiheinishiki 泰平錦 , Tenmanishiki 天満錦 , Tenshi 天賜 , Tenzan 天山 , Tenzannohomare 天山の誉 , Tenzannoshima 天山の縞 , Tenzanshiroshima 天山白縞  , Tokainishiki 東海錦 , Towaden 東和殿 , Toyonishiki 東洋錦 , Uchuden 宇宙殿 , Unryu 雲龍 , Zuikonishiki 瑞晃錦 , Zuiyonishiki 瑞陽錦 , 'Zuiko-Lutino' , 'Variegata' (v)

2 Rhapis humilis Blume シュロチク 棕櫚竹
 中国原産。中国名は矮棕竹 ai zong zhu。英名はreed rhapiss , slender lady palm。別名はリードラピス、ラピス・ヒューミリス。
 低木、茎は束生し、根茎をもつ。大きな緩いコロニーをつくり、高さ6m以下、直径3㎝以下になり、宿存する繊維状の葉鞘で被われる。葉鞘は細い褐色の繊維が四角のメッシュになる。葉舌は宿存する。葉身は基部まで分かれず、7~20裂片に分裂する。裂片は側部が曲がり、先が±尖り、長さ40㎝×幅2㎝・以下、最も外側の裂片の幅が最も狭い。花序は葉の間に生じ、枝は3次まで。苞は筒状、鞘になる。花序軸は長さ40㎝以下。小花序軸(枝)は長さ17㎝以下、褐色の綿毛がある。雄花は長さ7mm以下。咢片は統合して筒状になる。咢は3裂。花弁は筒状の花冠に統合し、3裂し、先は弁状。雄しべは6本、2列につく。花糸は内側に竜骨は無い。。雌花は雄花に似るが、花芽が雄花より短い。果実は卵形、直径0.7㎝以下。種子は卵形、長さ4.5mm以下。花期は夏。
品種) Fujinoyuki 富士の雪(ベトナム産小型シュロチク Rhapis laosensis) , Fukuhoden 冨久宝殿(ベトナム産姫棕櫚竹 Rhapis laosensis) , Hakuseiden 白青殿(シュロチク) , Kinpakuden 金白殿(シュロチク) , Sankonishiki 三光錦(シュロチク錦松の芽変わり) , Shurochikuao 棕櫚竹青(シュロチク) , Shurochikushima 棕櫚竹縞(シュロチク) , Tansachahime タンサーシャヒメ 端紗姫(タイ産シュロチク Rhapis subtilis) , Unnanshurochiku 雲南 棕櫚竹(シュロチクRhapis subtilis) , Zuiho 瑞鳳(タイ産小型シュロチクRhapis subtilis)
※ベトナム、タイはシュロチクの原産地ではなくおそらくベトナム産はRhapis laosensis、タイ産はRhapis subtilis。

3 ハイブリッド
品種) Lady Palm (Rhapis 'Alicia')= Rhapis laoensis x humilus "Alicia"

参考

1) Flora of China
 Rhapis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128277
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Rhapis
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:31476-1
3) Principes, 33(3), 1989, pp. 129-I39
 Rhapis Palms-Cultivated Species and Varieties:
 Culture and Care of the Ladies Lvxtc McKeMrY
https://palms.org/wp-content/uploads/2016/05/vol33n3p129-139.pdf
4) いぬ蔵JAPAN
 観音竹の品種紹介
https://www.inuzo.jp/item.html