カクチョウラン 鶴頂蘭

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Flora of Mikawa

ラン科 Orchidaceae エビネ属

別 名 カクラン
中国名 鹤顶兰 he ding lan
英 名 veiled nun orchid , nun's Cap Orchid, nun's Orchid, chinese ground orchid, red crane orchid, swamp lily
学 名 Calanthe tankervilleae (Banks) M.W.Chase, Christenh. & Schuit.
 synonym Bletia tankervilleae (Banks) R.Br.
 synonym Limodorum incarvillei Pers.
 synonym Limodorum tankervilleae Banks
 synonym Phaius incarvillei Kuntze
 synonym Phaius tankervilleae (Banks) Blume
カクチョウランの花序
カクチョウランの蕾
カクチョウランの茎
カクチョウラン
カクチョウランの花
花 期 3~6月
高 さ (60~)100~200cm
生活型 1年草
生育場所 森林内の日陰や湿地、林縁、谷沿い、または河畔
分 布 在来種   日本(沖縄、種子島、屋久島)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、チベット南東部、雲南省)、台湾、インド、アッサム、ネパール、ブータン、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア(ボルネオ、ジャワ、小スンダ列島、スラウェシ島、スマトラ島、マルク諸島)、ニューギニア、オーストラリア(ニューサウスウェールズ、ノーザンテリトリー、クイーンズランド)、ポリネシア(クック諸島、サモア、トンガ、フィジー、ウォリス・フツナ諸島)、メラネシア(ニューカレドニア、バヌアツ、ソロモン諸島、ニウエ)原産
撮 影 安城デンパーク 25.4.16
カクチョウラン(Phaius tankervilleae)はラン科ファイウス属(Phaius)に分類されていたが、POWOではエビネ属(Calanthe)に含められた。 日本の種子島以南~東南アジア、オーストラリア、ポリネシア、メラネシアの熱帯地域にかけて広く分布する。フロリダ、中南米、ハワイなどに帰化している。中国名、和名は花姿を鶴に見立てて鶴頂蘭(カクチョウラン)という。以前はファイウス属(Phaius)に分類されていたが、エビネ属にまとめられている。白花の学名は認められていない。写真は白花のもの。
 地上生。高さ(60~)100~200cm。偽鱗茎は円錐形、卵形、または亜球形で、長さ(2.5~)6~8cm×幅3~6cm。葉は偽鱗茎の上部に2~6枚つく。葉身は緑色、楕円状披針形、長さ30~100cm×幅8~20cm、無毛、先は尖鋭形。花茎は偽鱗茎の基部または葉腋に生じ、葉の高さより高く、長さ50~200cmになり、散在して10~25個の花が付き、無毛。花の苞は普通、脱落性で、披針形、長さ4~5.5cm×幅約1.8cm、無毛。花は垂頭(nutant)、大きく開き、直径7~12.5cm。小花柄と子房は長さ2.5~4.5cm、無毛。萼片と花弁は外側が帯白色、内側は赤褐色または褐色。萼片は似ており(等長)、長円状披針形、長さ4~6.5cm×幅1~1.5cm、無毛、先は尖鋭形~鋭形。花弁は披針状長円形、長さ4~6.5cm×幅0.8~1.5cm、先は尖鋭形~鋭形。唇弁は基部に向かって白色、入口に向かってピンク色または赤ピンク色になり、内側に白色の縞模様があり、長さ3.5~6cm×幅2~5cm、広菱状卵形、浅く3裂し、側裂片は短く、縁は波状、先は丸い。中央裂片は円形または横長楕円形、縁はわずかに波状、先は切形で凹形または丸く微突形。ディスクには通常2本または3本の隆起があり、密に微軟毛がある。距は鉤形、白黄色、細い円筒形、長さ0.6~1cm×幅0.1~0.2cm、先は不等に分裂または無裂。ずい柱は白色、長さ2~2.2cm、腹側に微軟毛がある。嘴状体はほぼ舌形。花期は3~6月。2n=38, 44+4B, 46, 48, 52。

ファイウス属

  family Orchidaceae - genus Phaius

 地生の草本で、偽鱗茎があり、ときに茎状。根は密に毛がある。偽鱗茎はときに茎状で、房状、節は少数から多数、しばしば鞘に包まれ、上部に数枚の葉がある。葉は大きく、襞があり、葉柄があり、先は尖鋭形~鋭形、長い筒状の鞘が茎をしっかりと包み込むか、ときに跨状(equitant:互い違いにつく)で、偽茎を形成する。花序は1個または2個で、偽鱗茎の節に側生し、葉より高いかまたは低い。花序柄には少数のまばらな鞘がある。総状花序には少数の花がまばらに、または多数の花が密に付き、分岐しないか、まれに基部で少数の枝分かれをする。花の苞は大きく、先は鋭形。花は総状花序に斜上してつき、しばしば大きい。萼片と花弁は類似している。唇弁は基部でずい柱に付着し、ずい柱から離れるか、ずい柱の基部の翼に±付着し、基部には短い距を有するか、または距がなく、ほぼ3裂するか、または無裂で、±ずい柱を包む。ずい柱は長く太く、上部は大きくなり、通常は翼状である。嘴状体(rostellum)は大きくまたは目立たず、無裂である。柱頭は側生し、葯は頂生で2室がある。花粉塊は8個、蝋質、2群に分かれ、花粉塊柄(caudicles)によって粘着性物質(sticky substance)に付着する。
 世界に約40種あり、熱帯アフリカ、マダガスカル、熱帯・亜熱帯アジア~オセアニアに分布し、中国には9種(うち4種は固有種)分布する。

参考

1) Flora of China
 Phaius Loureiro
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124866
2) Plants of the World Online
 Phaius tankervilleae
https://powo.science.kew.org/results?q=Phaius%20tankervilleae
3) eFlora of India
 Phaius tankervilleae
https://efloraofindia.com/efi/phaius-tankervilleae/