カキラン 柿蘭
Flora of Mikawa
ラン科 Orchidaceae カキラン属
別 名 | スズラン |
中国名 | 尖叶火烧兰 jian ye huo shao lan |
学 名 | Epipactis thunbergii A. Gray. |
花 期 | 6~7月 |
高 さ | 30~70㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 湿地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国(東北部)、朝鮮、中国 |
撮 影 | 面ノ木湿地 02.7.14 |
和名の由来は花の色が柿の色に似ていることから。中国にも自生するが、中国のものは小型。
全体に無毛で、茎は一本だけ直立する。葉は互生し、長さ7~12㎝、幅2~4㎝。縦脈がはっきり見えるのが特徴。花は垂れ下がり気味に数個から10個程度つく。側花弁は黄褐色(柿色)。唇弁の先端部は矢印状で、橙色の斑点と紅紫色のすじがある。萼片は3個、やや緑色を帯びた黄褐色。果実は紡錘形の蒴果。種子は長さ約2㎜、種皮が薄い膜状。2n=40。
多年草、地上生、独立栄養またはまれに全菌栄養性(holomycotrophic)、中型。根茎は這い、短く、または細長く、多数の細長い、肉質の根をもつ。茎は直立し、葉があり、基部に2~3小の鱗片状の鞘があり、無毛または毛がある。花の苞は3枚~多数、茎葉が螺旋状につき、広楕円形~線状披針形、しなやか、ザラつくまたは平滑。花序は頂生の総状花序、しばしば偏側性(secund)、花が少数~多数つく。花の苞は普通、葉状。花は広がるかまたはうなずく、逆向きになるか、または非常にまれに逆向きにならず、中型。萼片は離生、広がりまたは輻合し(connivent)、無毛、または微軟毛または毛がある。花弁は萼片に似るが、短い。唇弁は肉質、距がなく、中間近くでくびれ、明確な上唇(epichile)と下唇(hypochile)を形成し、ときにその間に中唇(mesochile)がある。下唇は舟形(cymbiform)または袋形(saccate)、ときには薄板(lamellae)を含む。中唇(存在する場合)は短いまたは細長く、狭い。上唇は広がり、普通、その基部にで蝶番(ちょうつがい)がつき、厚いかまたは厚くなく、形が様々で、ときに3裂し、ときに疣状のカルス(calli)または竜骨(keels)がある。ずい柱(column)は短く、ずい柱の足(column foot)は無い。葯は無柄。花粉塊(pollinia)は4個、顆粒状~粉状、花粉塊柄(caudicles)は無い。自家受粉種には 粘着体(viscidium)は無い。嘴状体(rostellum)は普通、大きく、ごくまれに存在しない。柱頭は丸い~ほぼ四角形。蒴果は垂れ下がるかまたは斜上し、倒卵形~楕円形。
世界に約20種:ヨーロッパ全土、および東アジア、南アジア、南西アジアの温帯および高山地域、熱帯アフリカおよび北アメリカに分布する。中国には10種(固有種が2種)ある。
台湾原産。台灣鈴蘭。
2 Epipactis gigantea Dougl. ex Hook. エピパクティス・ギガンテア
北アメリカ(USA,メキシコ)原産。英名はgiant helleborines , stream orchid , chatterbox。湿った砂利や砂地の川端、水辺、林内、沼地、湿った崖、温泉地などに生える。
多年草、高さ1.4m以下、本質的に無毛。葉は4~14枚つき、卵形~卵状楕円形~狭披針形、長さ5~20㎝×幅2~7㎝。花序は緩い総状花序。花の苞は披針形~長円形、長さ7~127mm。花は2~32個つき、かなり派手。萼片は帯緑色~バラ色、脈がバラ色~紫色。側萼片は長さ16~24×幅8~9 mm、先は非常に斜め。花弁は淡ピンク色~バラ色~橙色で、脈が赤色または紫色、広卵形~卵状披針形、長さ13~17×幅6~8mm。唇弁は赤色または紫色の斑紋があり、強い脈があり、明瞭に3裂し、中間でくびれて2つの部分になり、下部はパピラがあり、カルスは赤色、微細な疣がある。側裂片は明瞭なほぼ三角形の翼になり、上部は線状倒披針形~狭いへら状倒披針形、先端まで溝があり、長さ14~20 m。カルスは基部近くにあり、直立し、橙色または黄色、翼状。ずい柱は直立し、短く、丈夫で、対の側突起(lateral processes)があり、長さ5~10×幅3mm。葯は緑色。花粉塊は2対、黄色で、柔らかい。蒴果は楕円形、ほぼ無毛またはまばらに毛があり、長さ20~25mm。 2n=40。花期は夏中(3~8月)。
品種) 'Eco-Arbuckle' , 'Enchantment' , 'Serpentine Night' , 'Serpentine Night' × thunbergii , 'Trefor'
3 Epipactis helleborine (L.) Crantz
中国、アフガニスタン、ブータン、カシミール、カザフスタン、キルギスタン、ネパール、パキスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタン、北アフリカ、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は火烧兰 huo shao lan。英名はbroad-leaved helleborine。 北アメリカに帰化している。
3-1 Epipactis helleborine (L.) Crantz subsp. ohwii (Fukuy.) H.J.Su タイワンアオスズラン
synonym Epipactis ohwii Fukuy.
4 Epipactis mairei Schlechter
中国、ブータン、ミャンマー、ネパール原産。中国名は大叶火烧兰 da ye huo shao lan。
5 Epipactis papillosa Franch. et Sav. エゾスズラン 蝦夷鈴蘭
synonym Epipactis helleborine (L.) Crantz var. papillosa (Franch. et Sav.) T.Hashim.
synonym Epipactis latifolia (L.) All. var. papillosa (Franch. et Sav.) Maxim. ex Kom.
synonym Epipactis helleborine auct. non (L.) Crantz
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は细毛火烧兰 xi mao huo shao lan。別名はアオスズラン。
多年草、高さ30~70㎝。 根茎が短い。 茎は褐色、全体にパピラ状の毛があり、基部に数個の鞘がある。葉は5~7枚つき、楕円状卵形~広楕円形、長さ7~12㎝×2~4㎝、下面に白色のパピラ状の微軟毛が脈上と縁にあり、先は短い鋭形。花序軸は長さ10~20㎝、褐色のパピラ状の毛があり、緩い~ほぼ密に花が10~20個以上つく。花の苞は披針形、下側の苞は花を超える。花は水平に広がるか、うなずき、逆さになり、おそらく自家受粉し、緑色。唇弁は淡緑色。萼片は狭卵形、長さ9~12㎜×幅3~5㎜、先は鋭形。花弁は卵状円形、長さ8~10㎜×2~4㎜、先は鋭形。唇弁は長さ7~8㎜、中唇(mesochile)は無い。下唇(hypochile)はほぼ球形の袋状。上唇(epichile)は狭い心形または三角形、先は鋭形。ずい柱は長さ約3mm。蒴果は楕円形、長さ約10mm。花期は8月。2n=38, 40。
5-1 Epipactis papillosa Franch. et Sav. var. sayekiana (Makino) T.Koyama et Asai ハマカキラン 浜柿蘭
synonym Epipactis papillosa Franch. et Sav. var. sayekiana (Makino) T.Koyama et Asai f. rotundifolia Asai
synonym Epipactis helleborine (L.) Crantz var. sayekiana (Makino) T.Hashim.
海岸に生える。別名はマルバハマカキラン。現在では変種に分けない。
6 Epipactis palustris (L.) Crantz[ エピパクティス・パルストリス
ヨーロッパ、中央アジア原産。英名はmarsh helleborine。
品種) 'Popcorn' , 'Purple Fog'Epipactis Barbarossa gx
7 Epipactis thunbergii A.Gray カキラン 柿蘭
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国(東北部)原産。中国名は尖叶火烧兰 jian ye huo shao lan。別名はスズラン。和名の由来は花の色が柿の色に似ていることから。湿地に生える。
多年草、高さ(20~)30~70cm。根茎は細長い。全体に無毛で、茎は一本だけ直立し、基部に2~4個の鞘がある。葉は一本だけ直立6~8枚、広がり、卵状披針形、長さ5~13㎝×幅1.2~3(4)㎝、無毛、基部は茎を抱き、先は尖鋭形または急に尖鋭形、縦脈がはっきり見える。花序軸は長さ3~5㎝、無毛、緩く花が3~10個つく。花の苞は葉状、卵状楕円形、下側の苞は花を超える。花は広がり、逆さになり、淡緑色~黄緑色または黄褐色(柿色)、まれに赤色。唇弁は白色で橙色、紫色の斑紋があり、側裂片に紫色の脈があり、ディスク(disk)に紫色の斑紋がある。子房と小花柄は長さ約15㎜、無毛。背萼片は卵状楕円形、約・長さ11×幅4mm、先は鋭形。側萼片は卵状楕円形、約・長さ10㎜×幅3㎜、先は鋭形。花弁は黄褐色(柿色)、広卵形で、わずかに斜めで、長さ7~10㎜×幅約5mm、先は鋭形。唇弁は長さ約10㎜、短い中唇(mesochile)は下唇(hypochile)と上唇(epichile)を接続する。下唇は舟形(cymbiform)[矢印形]、約・長さ3×幅3mm、直立した約・長さ4㎜×幅2㎜の側裂片をもつ。中唇はときに不明瞭、長円形、長さ1~2㎜×幅約2㎜。上唇は卵状円形、約・長さ3㎜×幅3㎜、縁はわずかに波打ち、低い対の竜骨がある。ずい柱は.葯を除いて長さ約3mm、比較的太い。果実は紡錘形の蒴果。種子は長さ約2㎜、種皮が薄い膜状。花期は6~7月。2n=40。
品種) 加賀の緋(かがのひ) , あんぽカキラン , カラス葉カキラン , 富有カキラン
7-1 Epipactis thunbergii A.Gray f. flava Ohwi キバナカキラン
花が全体に黄色の品種。
7-2 Epipactis thunbergii A.Gray f. subconformis Sakata イソマカキラン
唇弁が側弁花した品種。
8 Epipactis veratrifolia Boissier & Hohenacker
中国、アフガニスタン、インド、ミャンマー、ネパール、パキスタン、アフリカ(エチオピア、ソマリア)、南西アジア、コーカサス原産。中国名は疏花火烧兰 shu hua huo shao lan。
品種) 'Jerusalem'
9 ハイブリッド
品種) Barbarossa gx , Catalina gx , Catalina gx 'Chris' , Heart of Virginia gx , Lizzy Lou gx , Lowland Legacy , Lowland Legacy gx 'Edelstein' , Lowland Legacy gx 'Frankfurt' , Lowland Legacy gx 'Sandra' , Passionata gx Light Royals Group , Sabine gx , Sabine gx 'Frankfurt' , 'Thor'
Epipactis
Epipactis
Epipactis
Epipactis
Epipactis
全体に無毛で、茎は一本だけ直立する。葉は互生し、長さ7~12㎝、幅2~4㎝。縦脈がはっきり見えるのが特徴。花は垂れ下がり気味に数個から10個程度つく。側花弁は黄褐色(柿色)。唇弁の先端部は矢印状で、橙色の斑点と紅紫色のすじがある。萼片は3個、やや緑色を帯びた黄褐色。果実は紡錘形の蒴果。種子は長さ約2㎜、種皮が薄い膜状。2n=40。
カキラン属
family Orchidaceae - genus Epipactis多年草、地上生、独立栄養またはまれに全菌栄養性(holomycotrophic)、中型。根茎は這い、短く、または細長く、多数の細長い、肉質の根をもつ。茎は直立し、葉があり、基部に2~3小の鱗片状の鞘があり、無毛または毛がある。花の苞は3枚~多数、茎葉が螺旋状につき、広楕円形~線状披針形、しなやか、ザラつくまたは平滑。花序は頂生の総状花序、しばしば偏側性(secund)、花が少数~多数つく。花の苞は普通、葉状。花は広がるかまたはうなずく、逆向きになるか、または非常にまれに逆向きにならず、中型。萼片は離生、広がりまたは輻合し(connivent)、無毛、または微軟毛または毛がある。花弁は萼片に似るが、短い。唇弁は肉質、距がなく、中間近くでくびれ、明確な上唇(epichile)と下唇(hypochile)を形成し、ときにその間に中唇(mesochile)がある。下唇は舟形(cymbiform)または袋形(saccate)、ときには薄板(lamellae)を含む。中唇(存在する場合)は短いまたは細長く、狭い。上唇は広がり、普通、その基部にで蝶番(ちょうつがい)がつき、厚いかまたは厚くなく、形が様々で、ときに3裂し、ときに疣状のカルス(calli)または竜骨(keels)がある。ずい柱(column)は短く、ずい柱の足(column foot)は無い。葯は無柄。花粉塊(pollinia)は4個、顆粒状~粉状、花粉塊柄(caudicles)は無い。自家受粉種には 粘着体(viscidium)は無い。嘴状体(rostellum)は普通、大きく、ごくまれに存在しない。柱頭は丸い~ほぼ四角形。蒴果は垂れ下がるかまたは斜上し、倒卵形~楕円形。
世界に約20種:ヨーロッパ全土、および東アジア、南アジア、南西アジアの温帯および高山地域、熱帯アフリカおよび北アメリカに分布する。中国には10種(固有種が2種)ある。
カキラン属の主な種と園芸品種
1 Epipactis fascicularis T.P.Lin台湾原産。台灣鈴蘭。
2 Epipactis gigantea Dougl. ex Hook. エピパクティス・ギガンテア
北アメリカ(USA,メキシコ)原産。英名はgiant helleborines , stream orchid , chatterbox。湿った砂利や砂地の川端、水辺、林内、沼地、湿った崖、温泉地などに生える。
多年草、高さ1.4m以下、本質的に無毛。葉は4~14枚つき、卵形~卵状楕円形~狭披針形、長さ5~20㎝×幅2~7㎝。花序は緩い総状花序。花の苞は披針形~長円形、長さ7~127mm。花は2~32個つき、かなり派手。萼片は帯緑色~バラ色、脈がバラ色~紫色。側萼片は長さ16~24×幅8~9 mm、先は非常に斜め。花弁は淡ピンク色~バラ色~橙色で、脈が赤色または紫色、広卵形~卵状披針形、長さ13~17×幅6~8mm。唇弁は赤色または紫色の斑紋があり、強い脈があり、明瞭に3裂し、中間でくびれて2つの部分になり、下部はパピラがあり、カルスは赤色、微細な疣がある。側裂片は明瞭なほぼ三角形の翼になり、上部は線状倒披針形~狭いへら状倒披針形、先端まで溝があり、長さ14~20 m。カルスは基部近くにあり、直立し、橙色または黄色、翼状。ずい柱は直立し、短く、丈夫で、対の側突起(lateral processes)があり、長さ5~10×幅3mm。葯は緑色。花粉塊は2対、黄色で、柔らかい。蒴果は楕円形、ほぼ無毛またはまばらに毛があり、長さ20~25mm。 2n=40。花期は夏中(3~8月)。
品種) 'Eco-Arbuckle' , 'Enchantment' , 'Serpentine Night' , 'Serpentine Night' × thunbergii , 'Trefor'
3 Epipactis helleborine (L.) Crantz
中国、アフガニスタン、ブータン、カシミール、カザフスタン、キルギスタン、ネパール、パキスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタン、北アフリカ、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は火烧兰 huo shao lan。英名はbroad-leaved helleborine。 北アメリカに帰化している。
3-1 Epipactis helleborine (L.) Crantz subsp. ohwii (Fukuy.) H.J.Su タイワンアオスズラン
synonym Epipactis ohwii Fukuy.
4 Epipactis mairei Schlechter
中国、ブータン、ミャンマー、ネパール原産。中国名は大叶火烧兰 da ye huo shao lan。
5 Epipactis papillosa Franch. et Sav. エゾスズラン 蝦夷鈴蘭
synonym Epipactis helleborine (L.) Crantz var. papillosa (Franch. et Sav.) T.Hashim.
synonym Epipactis latifolia (L.) All. var. papillosa (Franch. et Sav.) Maxim. ex Kom.
synonym Epipactis helleborine auct. non (L.) Crantz
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は细毛火烧兰 xi mao huo shao lan。別名はアオスズラン。
多年草、高さ30~70㎝。 根茎が短い。 茎は褐色、全体にパピラ状の毛があり、基部に数個の鞘がある。葉は5~7枚つき、楕円状卵形~広楕円形、長さ7~12㎝×2~4㎝、下面に白色のパピラ状の微軟毛が脈上と縁にあり、先は短い鋭形。花序軸は長さ10~20㎝、褐色のパピラ状の毛があり、緩い~ほぼ密に花が10~20個以上つく。花の苞は披針形、下側の苞は花を超える。花は水平に広がるか、うなずき、逆さになり、おそらく自家受粉し、緑色。唇弁は淡緑色。萼片は狭卵形、長さ9~12㎜×幅3~5㎜、先は鋭形。花弁は卵状円形、長さ8~10㎜×2~4㎜、先は鋭形。唇弁は長さ7~8㎜、中唇(mesochile)は無い。下唇(hypochile)はほぼ球形の袋状。上唇(epichile)は狭い心形または三角形、先は鋭形。ずい柱は長さ約3mm。蒴果は楕円形、長さ約10mm。花期は8月。2n=38, 40。
5-1 Epipactis papillosa Franch. et Sav. var. sayekiana (Makino) T.Koyama et Asai ハマカキラン 浜柿蘭
synonym Epipactis papillosa Franch. et Sav. var. sayekiana (Makino) T.Koyama et Asai f. rotundifolia Asai
synonym Epipactis helleborine (L.) Crantz var. sayekiana (Makino) T.Hashim.
海岸に生える。別名はマルバハマカキラン。現在では変種に分けない。
6 Epipactis palustris (L.) Crantz[ エピパクティス・パルストリス
ヨーロッパ、中央アジア原産。英名はmarsh helleborine。
品種) 'Popcorn' , 'Purple Fog'Epipactis Barbarossa gx
7 Epipactis thunbergii A.Gray カキラン 柿蘭
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国(東北部)原産。中国名は尖叶火烧兰 jian ye huo shao lan。別名はスズラン。和名の由来は花の色が柿の色に似ていることから。湿地に生える。
多年草、高さ(20~)30~70cm。根茎は細長い。全体に無毛で、茎は一本だけ直立し、基部に2~4個の鞘がある。葉は一本だけ直立6~8枚、広がり、卵状披針形、長さ5~13㎝×幅1.2~3(4)㎝、無毛、基部は茎を抱き、先は尖鋭形または急に尖鋭形、縦脈がはっきり見える。花序軸は長さ3~5㎝、無毛、緩く花が3~10個つく。花の苞は葉状、卵状楕円形、下側の苞は花を超える。花は広がり、逆さになり、淡緑色~黄緑色または黄褐色(柿色)、まれに赤色。唇弁は白色で橙色、紫色の斑紋があり、側裂片に紫色の脈があり、ディスク(disk)に紫色の斑紋がある。子房と小花柄は長さ約15㎜、無毛。背萼片は卵状楕円形、約・長さ11×幅4mm、先は鋭形。側萼片は卵状楕円形、約・長さ10㎜×幅3㎜、先は鋭形。花弁は黄褐色(柿色)、広卵形で、わずかに斜めで、長さ7~10㎜×幅約5mm、先は鋭形。唇弁は長さ約10㎜、短い中唇(mesochile)は下唇(hypochile)と上唇(epichile)を接続する。下唇は舟形(cymbiform)[矢印形]、約・長さ3×幅3mm、直立した約・長さ4㎜×幅2㎜の側裂片をもつ。中唇はときに不明瞭、長円形、長さ1~2㎜×幅約2㎜。上唇は卵状円形、約・長さ3㎜×幅3㎜、縁はわずかに波打ち、低い対の竜骨がある。ずい柱は.葯を除いて長さ約3mm、比較的太い。果実は紡錘形の蒴果。種子は長さ約2㎜、種皮が薄い膜状。花期は6~7月。2n=40。
品種) 加賀の緋(かがのひ) , あんぽカキラン , カラス葉カキラン , 富有カキラン
7-1 Epipactis thunbergii A.Gray f. flava Ohwi キバナカキラン
花が全体に黄色の品種。
7-2 Epipactis thunbergii A.Gray f. subconformis Sakata イソマカキラン
唇弁が側弁花した品種。
8 Epipactis veratrifolia Boissier & Hohenacker
中国、アフガニスタン、インド、ミャンマー、ネパール、パキスタン、アフリカ(エチオピア、ソマリア)、南西アジア、コーカサス原産。中国名は疏花火烧兰 shu hua huo shao lan。
品種) 'Jerusalem'
9 ハイブリッド
品種) Barbarossa gx , Catalina gx , Catalina gx 'Chris' , Heart of Virginia gx , Lizzy Lou gx , Lowland Legacy , Lowland Legacy gx 'Edelstein' , Lowland Legacy gx 'Frankfurt' , Lowland Legacy gx 'Sandra' , Passionata gx Light Royals Group , Sabine gx , Sabine gx 'Frankfurt' , 'Thor'
参考
1) Flora of ChinaEpipactis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=111851
2) Plants of the World Online| KewscienceEpipactis
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329384-2
3) World Flora OnlineEpipactis
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000013619
4) Flora of North AmericaEpipactis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=111851
5) World Checklist of Vascular PlantsEpipactis
https://wcvp.science.kew.org/