カイノキ 楷樹

mark

Flora of Mikawa

ウルシ科 Anacardiaceae カイノキ属

別 名 カイジュ、ランシンボク(爛心木)、トネリバハゼノキ、トネリコバハゼ、ナンバンハゼ(南蛮櫨)、クシノキ(孔子の木)
中国名 黄连木 huang lian mu
英 名 Chinese pistache , Chinese pistachio
学 名 Pistacia chinensis Bunge
カイノキの枝先
カイノキの葉裏
カイノキ幹
カイノキ幹2
カイノキ
カイノキ小葉
カイノキの果実
花 期 3~5月
高 さ 10~20m
生活型 落葉高木
生育場所 栽培種
分 布 外来種  中国、台湾原産
撮 影 岡山県備前市(閑谷学校) 19.11.15
カイノキは中国、台湾原産のウルシ科の栽培種。紅葉が美しい。同じカイノキ属にナッツのピスタチオの木がある。写真は閑谷(しずたに)学校の巨木、紅葉の時期にわずかに果実が残っていた。頂小葉が先に落ちたのか、偶数羽状複葉に見える葉がある。
 落葉高木、高さ20m以下。樹皮は暗褐色。葉柄は微細な毛があり、上部は平らになる。葉身は奇数羽状複葉、小葉は1~13個つき、対生。葉軸には条線があり、微細な毛がある。小葉柄は長さ1~2㎜。小葉の葉身は披針形~卵状披針形~まれに線状披針形、長さ5~10㎝×幅1.5~2.5㎝、紙質、基部は斜め、全縁、先は尖鋭形又は長い尖鋭形、両面の中脈と側脈に微細な毛があり、脈が目立つ。花は葉の展開前に生じる。雄花序は長さ6~7㎝、枝を束生する。雌花序は緩く、長さ15~20㎝、花序軸には微細な毛があり、花の苞は披針形、長さ1.5~2㎜、微細な毛がある。花柄は長さ約1㎜、微細な毛がある。雄花は2個の披針形の小苞と2個の線状披針形の花被片をもち、長さ約1.5㎜。雄しべは3~5個、花糸は長さ0.5㎜以下。葯は長円形、長さ約2㎜。退化雌しべは無い。雌花は2~4個の線状披針形の小苞と5個の卵形~長円形の花被片をもち、長さ0.7~1.5㎜×幅0.5~0.7㎜。子房は球形、直径約0.5㎜、無毛。柱頭は太く、赤色。核果は倒卵状球形、わずかに扁平、直径約5㎜、乾いた状態では縦に条線がある。花期は3~5月。果期は8~11月。

カイノキ属

 family Anacardiaceae - genus Pistacia

 高木又は低木、落葉性。葉は偶数又は奇数羽状、まれに3小葉又は単葉。小葉は全縁。花序は円錐花序。雄花は小さくなった花被が1~2深裂又は欠く。雄しべは3~5本、まれに7本。花糸は短く、花盤につく。葯は大きく、卵形。退化雌しべは小さいか又は無い。雌花は花被が減り2~5深列。仮雄しべは無い。花盤は小さく、又は無い。子房は上位、1室、1胚珠。花柱は短い。柱頭は3個、広がる。核果は熟すと赤色、先端がとがり、内果皮は骨質。種子は胚乳が無い。
 世界に約10種あり、地中海沿岸地域~アフガニスタン、東アジア、東南アジア、中央アメリカ、南アメリカに分布する。

カイノキ属の主な種

1 Pistacia chinensis Bunge カイノキ 楷樹
 中国、台湾原産。中国名は黄连木 huang lian mu 。英名はChinese pistache , Chinese pistachio。別名はカイジュ、ランシンボク(爛心木)、トネリバハゼノキ、トネリコバハゼ、ナンバンハゼ(南蛮櫨)、クシノキ(孔子の木)。
 落葉高木、高さ20m以下。樹皮は暗褐色。葉柄は微細な毛があり、上部は平らになる。葉身は奇数羽状複葉、小葉は1~13個つき、対生。葉軸には条線があり、微細な毛がある。小葉柄は長さ1~2㎜。小葉の葉身は披針形~卵状披針形~まれに線状披針形、長さ5~10㎝×幅1.5~2.5㎝、紙質、基部は斜め、全縁、先は尖鋭形又は長い尖鋭形、両面の中脈と側脈に微細な毛があり、脈が目立つ。花は葉の展開前に生じる。雄花序は長さ6~7㎝、枝を束生する。雌花序は緩く、長さ15~20㎝、花序軸には微細な毛があり、花の苞は披針形、長さ1.5~2㎜、微細な毛がある。花柄は長さ約1㎜、微細な毛がある。雄花は2個の披針形の小苞と2個の線状披針形の花被片をもち、長さ約1.5㎜。雄しべは3~5個、花糸は長さ0.5㎜以下。葯は長円形、長さ約2㎜。退化雌しべは無い。雌花は2~4個の線状披針形の小苞と5個の卵形~長円形の花被片をもち、長さ0.7~1.5㎜×幅0.5~0.7㎜。子房は球形、直径約0.5㎜、無毛。柱頭は太く、赤色。核果は倒卵状球形、わずかに扁平、直径約5㎜、乾いた状態では縦に条線がある。花期は3~5月。果期は8~11月。

2 Pistacia lentiscus L. マスティクス
 西アジア、ヨーロッパ南部、北アフリカ原産。英名はChios mastictree , lentiscus , lentisk , mastic , masticshrub , mastictree。葉から得られる製油(マスティクス葉油)は独特な渋みのある香りがあり、ハーブとして栽培されている。
 高さ6~8mの低木または小高木で、非常に枝が多く、無毛、樹皮は帯灰色~黒色、亀裂があり、若いものでは、帯緑色または帯赤色。葉は常緑、偶数羽状複葉、無毛、葉軸は長さ10㎝まで、翼があり、無毛。小葉は(2)4~14(~18)個、長さ10~50㎜×幅5~24㎜、すべて似た大きさ、対生またはほぼ対生(互生することもあり)、無柄、楕円形~狭披針形、先は鈍形~微凹形、基部は楔形、革質、無毛、全縁、上面は暗緑色、下面は明るい緑色、若いうちは赤色を帯び、へりがある。葉柄には翼があり、無毛。花序はほぼ頭状花序、ときに枝分かれし、長さ1~5㎝の花序になる。花が密で短い花序柄がある。苞は1個。小苞は雌花に4~5個、雄花に5~6個ある。花は帯緑色~帯黄色または帯赤色で未熟な葯と花柱の色によるもの。雄花は雄しべが5本。葯は長さ約1.5mm。雌花は子房が直径約0.6mm。果実は核果、直径3.5~5㎜、ほぼ球形、尖頭形、あまり肉質ではなく、最初は赤みを帯び、熟すとほぼ黒色になるが、不稔性の果実は植物上で帯赤色のままになる。種子はやや扁平。2n=24, 30。

3 Pistacia terebinthus L. テレビンノキ
 西アジア、アラブ、ヨーロッパ南部、北アフリカ原産。英名はCyprus-turpentine , terebinth , turpentine-tree。幹に傷をつけ、滲み出る樹液から緑色透明で芳香のあるテレビン油を採取し、利用した。
 高さ8(10)m での低木または小高木、非常に枝が多く、無毛。茎は樹皮が帯灰色、 若いうちは帯緑色または帯赤色。葉は落葉性、奇数羽状複葉、無毛、葉軸には翼がなく、無毛。小葉は(1)3~11(13)個、長さ20~80㎜×幅15~35㎜、頂小葉は側小葉より小さく、ときに同長~大きくなり、 対生またはほぼ対生、小葉柄は無く、卵形~楕円形、先は鈍形で微突形、基部は楔形で、わずかに革質、無毛、上面は明るい緑色で、下面は淡緑色。葉柄には翼がなく、無毛。花序は長さ20cmまで、 雄花序は一般に短くてよりしっかりし、総状花序、緩く、長い花序柄がある。苞は1~3個。雌花には小苞が 3~7 個、雄花には小苞が(2)4~5 個ある。花は帯赤色または帯褐色。雄しべは5本。果実は長さ5~9(12)㎜×幅4~8(10)㎜、倒卵形~半球形、やや扁平、尖頭形、わずかに多肉質、最初は帯赤色、熟すと青緑色になり、ほとんど黒色になり、不稔の果実は植物上に帯赤色のまま残る。種子はやや扁平。n=15。花期は3~4月。

4 Pistacia vera L. ピスタチオ
 中央アジア(カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)、西アジア(アフガニスタン、イラン)原産。英名はgreen-almond , pistachio。中国名は阿月浑子 a yue hun zi、ナッツのピスタチオは中国では開心果 kai xin guoという。
 落葉小高木又は低木、高さ5~7(10)m。小枝は丈夫、円筒形、条線があり、帯灰色の微軟毛があるか又は無毛に近く、突き出た小さな皮目があり、若い枝にはしばしば、毛がある。葉は奇数羽状複葉、互生、長さ10~20㎝。小葉は3~5(普通3)枚、葉柄は平ら、翼は無いか又は狭い翼があり、微軟毛があるか又は無毛に近い。小葉は革質、卵形~広楕円形、長さ4~10㎝×幅2.5~6.5㎝。頂小葉は大きく、先は鈍形~鋭形、微突形、基部は広楔形、円形、又は切形。側小葉は、しばしば基部が非対称、全縁、ときにわずかに翼があり、葉の上面は無毛、わずかに光沢があり、下面にはまばらに軟毛がある。小葉は無柄又はほぼ無柄。円錐花序は長さ4~10㎝。花序軸と枝は有毛、条線がある。雄花序は幅が広く、密集する。雄花は花被片が(2~)3~5(~6)個、長円形、大きさは変化し、長さ (1~)2~2.5㎜、膜質、縁にカールした縁毛をもつ。雄しべは5~6本、長さ2~3㎜。雌花は花被片が3~5(~9)個、長円形、長さ(1~)2~3(~4~5)㎜、膜質、縁にカールした縁毛をもつ。子房は卵形、長さ約1㎜。花柱は長さ約0.5㎜。果実は大きく、長楕円形、長さ1.2~3㎝×幅1~1.2㎝、先が鋭形、先端が細く(微突頭)、熟すと黄緑色~ピンク色になる。 花期は5月から。
品種) 'Kerman' , 'Napoletana' , 'Peters'

5 Pistacia weinmanniifolia J.Poisson ex Franch. セイコウボク 清香木
 中国(広西チワン族自治区、貴州省、四川省、西蔵、雲南省)、ミャンマー原産。中国名は清香木 qing xiang mu。標高500~2700mの石灰岩の上の丘や山の森林に生える。材は硬く、紫檀や紅木に代用され、葉から芳香油が得られ、葉が香料として使われる。
 常緑低木から高さ2~8mの小高木。葉柄にはわずかに毛がある。葉は偶数羽状複葉、8~18個の対生の小葉をもち、葉軸には狭い翼があり、溝があり、灰色で、上面にわずかに毛が生える。小葉の小葉柄は短く、小葉の葉身は長円形または倒卵状長円形、長さ1.3~3.5㎝×幅0.8~1.5㎝、まれにそれより大きく、革質、中肋に沿って両側にわずかに毛があり、基部は斜めの広楔形、縁は全縁でわずかに外巻きし、先は円形または通常、微突形、側脈は上面で凹み、下面で明瞭。花序は葉の間に腋生し、黄褐色と赤色の腺毛が混じる。花の基部につく苞は長さ約1.5㎜、褐色の毛がある。花は無柄、赤紫色。雄花は2~3個の長円形の小苞と、3~5個の長円状披針形の膜質の花被片は長さ約2㎜。雄しべは5(~7)本、花糸は短く、葯は長円形で、尖頭形の葯隔がある。雌しべは小さくなる。雌花は2~5個の卵形状披針形の小苞と5個の卵状披針形の花被片を持つ。花被片は長さ約1.5㎜。子房は球形、直径約0.7㎜、無毛。柱頭は反り返る。核果はほぼ球形、直径5~6㎜。花期は3~5月。果期は6~8月。

参考

1) Flora of China
 Pistacia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=125608
2)GRIN
 Pistacia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=9448
3)Pistacia vera in Flora of Pakistan @ efloras.org
 Pistacia vera L.
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=200012704
4)Pistacia vera - Malta Wild Plants
 Pistacia vera (Pistacio Tree)
http://www.maltawildplants.com/ANCR/Pistacia_vera.php
5) 中国植物志
 Pistacia vera L.
http://frps.iplant.cn/frps/Pistacia%20vera
5) Flora Iberica
 Pistacia
http://www.floraiberica.es/floraiberica/texto/pdfs/09_114_02_Pistacia.pdf