カエンキセワタ 火焔着せ綿

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae カエンキセワタ属

英 名 lion's ear , lion's tail , wild dagga
学 名 Leonotis leonurus (L.) R.Br.

 synonym Leonurus africanus Mill

 synonym Leonurus grandiflorus Moench
カエンキセワタ花
カエンキセワタ花の毛
カエンキセワタ萼
カエンキセワタの茎
カエンキセワタ
カエンキセワタ花序
カエンキセワタ葉
花 期 10~12月
高 さ 2~3m
生活型 常緑小低木
生育場所 野原、道端
分 布 在来種 南アフリカ原産
撮 影 豊橋市 15.11.12
庭や公園に植えられている。花が鮮やかなオレンジ色。アフリカの野生種にも花がアプリコット色(黄赤色)、乳白色のものがあり、園芸種にも見られる。
 葉を傷つけると芳香がある。茎は4稜形、稜に丸みがあり、短毛が密生し、ビロード状、基部は木質化する。葉は対生し、短い葉柄がある。葉身は長さ5~10㎝、幅1.5~2㎝の倒披針形~楕円状披針形、表面は粗く、鋸歯縁。葉裏や葉柄に毛が密生する。花序はハッカ類に似ている。やや直立する枝先の葉腋に多数の花を輪生した仮輪を多段につける。花は初め直立し、次第に前に曲がりやや垂れ下がる。萼は円筒形、先が10裂し、小三角状に開出する。花冠は鮮やかなオレンジ色、オレンジ色の長毛が密生し、長さ4~7㎝、筒状の2唇形。上唇は直立し、やや前に曲がる。下唇は3裂する。果実は4分果。

カエンキセワタ(レオノチス)属

  family Lamiaceae- genus Leonotis

 低木又は多年草、高さ0.6~2m、精油をもつ。葉は茎葉、若い茎は普通、4稜形。葉は対生、葉柄があり、草質、芳香があり、単葉、広卵形~狭楕円形、羽状脈、基部は心形~楔形~円形、縁は円鋸歯~鋸歯縁、長軟毛があり、腺毛がある。托葉は無い。花序は頂生と腋生、集散花序の集合の輪散花序、間隔が開き、各段で花葉(floral leaf)が8~15個の花の基部を抱き、花が多数つく。花は葉柄があり、左右相称。花托は子房柄(gynophore)が発達し、又は雄しべ柄(androphore)も子房柄もない。花被は萼と花冠が分化、4~10個、2輪につく。萼は合弁萼、2唇形ではなく、筒形、宿存し、萼片は8~10個、三角形。花冠は萼から突き出し、筒形、2唇形、5裂し、上唇は直立、不明瞭な2裂、下唇は3裂する。雄しべは4本、2強雄しべ(下側の対が長い)、萼片に対生し、花弁に互生。花糸は糸状。葯は背着。花粉は単粒。子房は下位、2又は4室。花柱は1本、子房基部着生(gynobasic)、突き出る。柱頭は1個、2裂。胚珠は室に2又は1個。果実は分離果(schizocarp)、分果は(2)4個の小堅果(nutlet)。種子は胚乳が有又は無。胚はよく分化し、真っすぐ。子葉は2個。
 世界に約15種があり、アフリカ南部、アフリカ東部、インドに分布する。カエンキセワタは世界中の熱帯で栽培されている。

カエンキセワタ属の主な種と園芸品種

1 Leonotis leonurus (L.) R.Br. カエンキセワタ 火焔着せ綿
  synonym  Leonurus africanus Mill
  synonym  Leonurus grandiflorus Moench
 南アフリカ原産。英名はlion's ear , lion's tail , wild dagga 。
 常緑小低木。高さ2~3m。葉を傷つけると芳香がある。茎は4稜形、稜に丸みがあり、短毛が密生し、ビロード状、基部は木質化する。葉は対生し、短い葉柄がある。葉身は長さ5~10㎝、幅1.5~2㎝の倒披針形~楕円状披針形、表面は粗く、鋸歯縁。葉裏や葉柄に毛が密生する。花序はハッカ類に似ている。やや直立する枝先の葉腋に多数の花を輪生した仮輪を多段につける。花は初め直立し、次第に前に曲がりやや垂れ下がる。萼は円筒形、先が10裂し、小三角状に開出する。花冠は鮮やかなオレンジ色、オレンジ色の長毛が密生し、長さ4~7㎝、筒状の2唇形。上唇は直立し、やや前に曲がる。下唇は3裂する。果実は4分果。花期は10~12月。
品種)  'Harrismith White'

2 Leonotis nepetifolia (L.) R.Br. タマザキメハジキ 珠咲目弾
 熱帯アフリカ、インド南部原産。英名は klip dagga , Christmas candlestick ,lion's ear。カエンキセワタは葉が全て披針形だが、Leonotis nepetifoliaは幅が広く、三角形。
 高さ2.4~3m、茎は強く4稜形。葉は対生、暗緑色、柔らかく、三角形、長さ5~12.5㎝、基部は心形~浅い心形、縁には粗い歯があり、先は鋭形。頂部の対の葉だけは披針形、鋸歯縁。花序は間隔の長く開いた仮輪が数段つく。仮輪は花が多数密集して球形になり、直径5~10㎝。萼は萼片の先が刺状に尖り、宿存する。花冠は筒状、長さ約2.5㎝、下側に曲がり、普通、橙色だが、赤色、紫色、白色の品種もある。花が終わると宿存する萼が薄褐色になって残り、球形の刺だらけの花序が並ぶ。花期は11~12月。
品種) 'Staircase' , 'Naivasha Sunrise'

3 Leonotis ocymifolia (Burm. f.) Iwarsson レオノティス・オキミフォリア
 アフリカ(アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、南アフリカ、エリトリア、エチオピア、ケニア、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、スーダン、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ザイール、ジンバブエ)原産。英名はminaret flower , lion's ear , lion's Tail
 多年草、半木質、亜低木、高さ1~5m、しばしば基部から分枝し、膨れた根茎から生長する。葉は対生、葉柄がある。葉身は披針状卵形、しばしば長さ6㎝以上になり、下面はビロード状の毛~毛があり、縁は円鋸歯状の歯がある。花は各枝に2~5個の直径9㎝以下のほぼ球形の花序につき長さ65㎜以下の節間により離れる。花冠は長さ32~45㎜、色は様々あり、淡白黄色(whitish buff)~サーモンピンク色~橙色~橙赤色、異なった色の花がときに、一緒に見られる。花冠は筒部の基部の内側に1個の毛の縁飾りをもつ。
3-1 Leonotis ocymifolia var. ocymifolia
 ケニア、南アフリカ、レソト、マラウイ、タンザニア、ザンビア、ザイール、ジンバブエ原産。標高960~2300mの岩の露頭、小丘、河床、常緑樹林付近に生える。
 多年草、高さ1~3(5)m、基部から枝分かれすることが多く、膨らんだ根茎から生える。葉は対生し、葉柄があり、広卵形~ほぼ円形、長さ6㎝未満、下面はビロード状~毛があり、縁は円鋸歯状歯がある。花は枝ごとに1~2個のほぼ球形の花序につき、長さ65㎜までの節間で区切られる。花冠は長さ32~45㎜で、鈍い橙色~明るい橙色の毛に覆われ、筒の基部の内側に1縁飾りがある。

3-2 Leonotis ocymifolia (Burm. f.) Iwarsson var. raineriana (Vis.) Iwarsson

  synonym Leonotis raineriana Vis.
  synonym Leonotis bachmannii Gürke
  synonym Leonotis mollissima Gürke
 アンゴラ、ブルンジ、南アフリカ、エリトリア、エチオピア、ケニア、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、スーダン、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ザイール、ジンバブエ原産。
var. rainerianaは基準変種より丈夫で半木質、高さが5m以下、葉が大きく、披針状卵形、普通、長さ6㎝以上ある。花序は枝につく。花の色が様々。
 亜低木、高さ1~5m、半木質。茎はあまり分枝せず、葉があり、花をつけない節間はときに仮輪の間(verticils)にあり、節間は長さ20~80(~110)㎜、ビロード状、細柔毛または開出毛があり、ときにほぼ平滑。葉は葉柄があり、葉身は長さ(40~)50~170㎜×幅20~85㎜、広卵形~倒卵形、先は円形または鋭形~尖鋭形、縁は円鋸歯状で1葉に21~65個の歯があり、上面は普通緑色で無柄の腺があり、緩く軟毛があるか密に軟毛があり、稀にほぼ平滑、下面は白銀色~帯黄色のベルベット状で、軟毛があるか稀にほぼ平滑で、平滑な場合は通常密に無柄の腺で覆われ、中脈の両側に5~8本の側脈がある。葉柄は長さ30~110㎜。仮輪は直径28~67㎜、緩いから密集し、長さ6~12㎜の10~18の仮輪の枝を持ち、1枝あたり5~19個の花をつける。小花柄は長さ0.5~7㎜。萼片は長さ14~30㎜、直径4~5.5㎜で前方に湾曲し、短い毛~ビロード状になり、2唇形または唇弁がなく、8(~11)歯があり、ときに歯がすべて廃れていることもある。背側の萼歯は長さ2~14mmで通常3本の脈に支えられ、下側の3本または5本の歯は通常多少、統合し、長さ0.5~3㎜の唇弁を形成し、歯は下向きに湾曲し、長さ0.5~5.5㎜。花冠は長さ24~45㎜、橙赤色(まれにクリーム色がかった淡黄褐色)、花冠筒部は長さ10~25㎜、内部に明瞭な1個の輪状の毛がある。
品種) 'E.M. Rix' , 'Pussytoes' , 'Toastytoes'
3-3 Leonotis ocymifolia var. schinzii (Gürke) Iwarsson
  synonym Leonotis schinzii Gürke
  synonym Leonotis microphylla Skan
  synonym Leonotis randii S.Moore
 ボツワナ、南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ原産。標高950~1100mのアカシアが優勢な森林の開けた場所や岩の多い斜面、また道端や川沿いの乱れた場所に生える。
 この種は、葉が狭いへら形~倒披針形、または狭い倒卵形で無柄である点で var. raineriana と異なる。

参考

1) PlantZAfrica
 Leonotis leonurus (L.) R.Br.
http://pza.sanbi.org/leonotis-leonurus
2)FloraBase: Flora of Western Australian Flora
 Leonotis
https://florabase.dpaw.wa.gov.au/browse/profile/22017
3)Flowers of India
 Lion's Ear
http://www.flowersofindia.net/catalog/slides/Lion%27s%20Ear.html
4)Flora of Zimbabwe
 Leonotis ocymifolia var. raineriana
https://www.zimbabweflora.co.zw/speciesdata/species.php?species_id=149240