ジャコウソウ 麝香草

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae ジャコウソウ属

学 名 Chelonopsis moschata Miq.
ジャコウソウ
ジャコウソウの花
ジャコウソウの萼
ジャコウソウの萼と花柄
ジャコウソウ
ジャコウソウ苞
ジャコウソウ葉
花 期 8~10月
高 さ 60~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の谷間、湿り気のある場所
分 布 在来種(日本固有種) 北海道、本州、四国、九州
撮 影 長野県白馬村  10.8.29
ジャコウソウはシソ科ジャコウソウ属の多年草。
  多年草、高さ60~100㎝。茎は四稜形で、毛が開出又は下向きに生える。葉は対生又は十字対生し、葉柄は長さ2~6(12)㎜、上向きの開出毛がある。葉身は狭倒卵形~広倒披針形(長楕円形)、長さ10~20㎝×幅3~6㎝、基部は幅が狭くなり耳状心形~耳状切形、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。、浅い心形~切形。花は上部の葉腋に1~3個つく。花序柄は短く、花柄は長さ(2)4~6(7)mm、白色の曲がった軟毛がある。萼は緑色、鐘形、長さ10~15mm、曲がった軟毛があり、縦に10脈、網状に横脈もあり、先が5裂又は2唇形、花後にやや球状に膨れ、果時に卵球形、長さ15~18mmになり、果実を包んで宿存する。花冠は長さ4~4.5㎝、筒形、浅い2唇形、淡紅色、ときに先が白色。上唇は短くわずかに反り返り、下唇は3裂し、側裂片は短くわずかに反り返り、中裂片は反り返らず大きく、上唇より長い。中裂片の先はごく浅く2裂又は分裂せず、ときに細かい波状になる。果実は4分果。分果は長さ7~8㎜。2n=32。
 タニジャコウソウは花柄が長く1.5~3(5)㎝ある。
 ジャコウソウモドキはオオバコ科。

ジャコウソウ属

  family Lamiaceae - genus Chelonopsis

 多年草又は低木。葉は円鋸歯縁又は鋸歯縁。 輪散花序又は上部の葉腋に花が2~3個つく。萼は鐘形、膜質、花後に膨れ、10脈があり、4又は5歯がある。萼歯は三角形、等形又はほぼ等形、又は明瞭な2唇形。上唇は3歯、下唇は2歯。花冠は白色、黄色又は紫赤色、2唇形。花冠筒部は基部近くの前側で膨れ、長く突き出て、内側に環状の毛はない。上唇は短く、真っすぐ、縁は全縁又は凹形。下唇は長く、ほぼ開出し、3裂する。中裂片は最も長く、縁は波打つか歯がある。雄しべは4本、下側は斜上し、上側は花冠の唇につく。花糸は平たく、微軟毛がある。葯は2室、花粉嚢に毛がある。子房は無毛。花柱は2分岐。枝は錐形。小堅果は背腹が扁平、先に斜めの長い翼がある。  世界に約19種があり、アジアに分布する。

ジャコウソウ属の主な種と園芸品種

1 Chelonopsis deflexa (Benth.) Diels ヤマジジャコウソウ 山麝香草
  synonym Bostrychanthera deflexa Benth. & Hook.f.
  synonym Bostrychanthera deflexa Bentham [Flora of China]
  synonym Chelonopsis benthamiana Hemsl.
 中国、台湾に分布する。中国名は毛药花 mao yao hua。
 多年草。茎は下向きの 微細剛毛(hirtellous)がある。葉はほぼ無柄。葉身は長い披針形、長さ8~22㎝×幅(0.8~)1.5~5㎝、基部は漸尖状くさび形~浅い心毛、縁は粗く~浅く鋸歯があり、先は尖鋭形~尾状尖鋭形。集散花序は花が(5~)7~11個つき、長さ6~12mmの花序柄を含み約・長さ2.5㎝×幅3cm、密に下向きの 微細剛毛がある。苞と小苞は線形、長さ1~2㎜。小花柄は長さ4~6mm。萼は約・長さ4.5mm×幅3.5mm、後ろの萼歯が最も小さい。花冠は紫赤色、長さ約3.3㎝、まばらに租毛がある(hirsute)。上唇は約・長さ3.5㎜×幅4.5㎜、先は円形。下唇の中裂片は広卵形、約・長さ6.5mm×幅9mm。花期は7~9月。果期は9~11月。

2 Chelonopsis longipes Makino  タニジャコウソウ 谷麝香草
 日本固有種(本州の神奈川県以西、四国、九州)。主に太平洋側に分布し、山地の湿った林内に生える。
 多年草、根茎から数本が直立~斜上し、高さ50~100cm。茎は紅紫色を帯びることが多く、下向きの開出する租毛があり、紅紫色を帯びることが多い。葉は対生し、葉柄は長さ5~10mm、斜上毛がある。葉身は広披針形~狭倒卵状長円形、長さ8~15㎝×幅2.5~5cm、質はやや薄く、基部は耳状心形、縁は浅い鋸歯縁、先は尖鋭形、両面及び特に脈上には斜上毛がある。花は上部の数段の葉腋から出る長さ1.5~3(5)㎝の花序柄の先1~3個、束生する。花序柄は葉柄より明らかに長い。小花柄は長さ1~3mm。花序柄、小花柄ともに毛が密生する。萼は鐘形、長さ7~8mm、伏毛があり、先は不等に浅く5裂し、果時に長さ15~18mmの球状鐘形に膨れる。花冠は紅紫色~淡紅紫色、長さ3.5~4cm、太い筒状の2唇形、筒部は長く、上唇は全縁で短く、下唇は3裂し、半開し、下側の中裂片がや長い。雄しべは4本、下側の2本が長い。分果は長さ約1cm、宿存する膨れた萼に包まれる。花期は9~10月。

2-1 Chelonopsis longipes Makino f. albiflora Honda  シロバナタニジャコウソウ 白花谷麝香草

 白花品種。

3 Chelonopsis moschata Miq. ジャコウソウ 麝香草

  synonym Chelonopsis moschata Miq. var. jesoensis (Koidz.) Miyabe et Tatew.

 日本固有種(北海道、本州、四国、九州)。山地の谷間、湿り気のある場所に生える。
 多年草、高さ60~100㎝。茎は四稜形で、毛が開出又は下向きに生える。葉は対生又は十字対生し、葉柄は長さ2~6(12)㎜、上向きの開出毛がある。葉身は狭倒卵形~広倒披針形(長楕円形)、長さ10~20㎝×幅3~6㎝、基部は幅が狭くなり耳状心形~耳状切形、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形、基部は浅い心形~切形。花は上部の葉腋に1~3個つく。花序柄は短く、花柄は長さ(2)4~6(7)mm、白色の曲がった軟毛がある。萼は緑色、鐘形、長さ10~15mm、曲がった軟毛があり、縦に10脈、網状に横脈もあり、先が5裂又は2唇形、花後にやや球状に膨れ、果時に卵球形、長さ15~18mmになり、果実を包んで宿存する。花冠は長さ4~4.5㎝、筒形、浅い2唇形、淡紅色、ときに先が白色。上唇は短くわずかに反り返り、下唇は3裂し、側裂片は短くわずかに反り返り、中裂片は反り返らず大きく、上唇より長い。中裂片の先はごく浅く2裂又は分裂せず、ときに細かい波状になる。果実は4分果。分果は長さ7~8㎜。2n=32。花期は8~10月。

4 Chelonopsis yagiharana Hisauti et Matsuno アシタカジャコウソウ 愛鷹麝香草

  synonym Chelonopsis moschata Miq. var. lasiocalyx Hayata
 日本固有種(静岡県、山梨県、愛媛県)。英名はJapanese Turtlehead 。和名は静岡県の愛鷹山に因む。山地の林内や林縁に生える。
 ジャコウソウに似るが、全体に小さく、高さ15~40cm。地下茎が横に這う。茎は円柱形、開出毛があり、葉柄、葉、萼などにも開出毛がある。葉は対生し葉柄は長さ5~10㎜。葉身は細長い倒卵形、長さ4~10cm×幅2~4cm、基部は次第に狭まり円形~くさび形、先は尾状尖鋭形、両面の脈上に開出毛がある。花は上部の葉腋に1~2個ずつつく。花序柄は長さ4~10mm。萼は鐘形、長さは6~8mm、先は5裂する。花冠は先がやや広い筒状、2唇形、濃紅紫色~やや薄い紅紫色、長さ3~4cm。花冠筒部は長く、上唇は短く全縁、下唇は3裂し、側裂片は短く、中裂片は大きく、前方に突き出し、裂片のふちは細かい波状になる。雄しべは4本、下側の2本が長い。花柱の先は2裂する。花期は8~9月。

参考

1) Flora of China
 Chelonopsis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=106624
 Bostrychanthera
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=104314
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Chelonopsis
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:20752-1