イワダレソウ 岩垂草

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Flora of Mikawa

クマツヅラ科 Verbenaceae イワダレソウ属

中国名 过江藤 guo jiang teng
英 名 urkey tangle fogfruit, common lippia , Texas frogfruit , Capeweed , carpetweed , fogfruit , frogfruit , matgrass , turkey-tangle , turkey-tangle frogfruit
学 名 Phyla nodiflora (L.) Greene
Lippia nodiflora (L.)Michx.
イワダレソウの花
イワダレソウの葉
イワダレソウの紅葉
イワダレソウの果時
イワダレソウの果序
イワダレソウの苞と果実
イワダレソウ葉の丁字状の剛毛
イワダレソウ
イワダレソウ2
イワダレソウ苞と萼に抱かれた果実
イワダレソウ萼に抱かれた果実
イワダレソウ分果の断面2
花 期 7~10月
高 さ 10~20㎝
生活型 多年草
生育場所 海岸の岩場、砂地
分 布 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、熱帯~亜熱帯に広く分布
撮 影 田原市(旧赤羽町)  02.6.8
世界に広く分布する。ただし、北アメリカや中国などのものは花が大きく、開花部分がヒメイワダレソウに似ている。在来種とは異なる結実しない園芸種もある。ヒメイワダレソウも含めて広義にPhyla nodifloraとしている場合もある。
 茎は横に這い、多数、分枝し、節から根を出して広がる。茎や葉の両面には丁字状の剛毛(中着毛 medifixed hair)がある。葉は対生し、ほぼ無柄。葉身は長さ1~4㎝、幅0.5~1.8㎝の倒卵形、多肉質~紙質、基部は楔形、先部の縁に粗く、鋭い鋸歯がある。葉の側脈は4対。花序は長さ1~2.5㎝の円柱状~卵形の頭状花序(穂状花序ともいわれる)、つくしの頭のような形をしている。花序柄は長さ1~7㎝。花は花序に隙間なく多数つき、それぞれの花を包むように1個の大きな苞がある。苞は覆瓦状に並び、先が小さく三角状に尖り、先の部分は紫褐色である。花序の色はこの苞の色であり、最下部付近は緑色で、他は紫褐色。花冠は2唇形、上唇が2裂、下唇が3裂し、直径約2㎜、紫ピンク色~白色、無毛、花後も褐色になって残る。(外来種や園芸種は花弁が大きく、5裂片も明瞭で、花冠の内部の黄色も明瞭に見える。)花序の上部で花が苞の間から出て、環状に順次、開花し、花序が長くなっていく。雄しべは4個。子房は2室、胚珠は室に1個。花柱は短く、柱頭は頭状。果実は蒴果(小堅果ともいわれる)、2個の萼片に左右から包まれ、広倒卵形~球形、長さ約1.5㎜、中央に縦溝があり、2個の種子(pyren、分果 nutletともいわれる)に分かれ、接合面は平ら、熟すと果序の下側から落ち始める。種子(分果)は半球状(平凸状)の倒卵形、長さは約1.5㎜、白色の軽いスチロール状の層があり、水に浮きやすくなっている。2n=36
 ヒメイワダレソウ Phyla canescens は南アメリカ原産。花序が短く、苞が緑色。花が大きい。

イワダレソウ属

   family Verbenaceae - genus Phyla

 草本、枝は普通、鋭い4稜形、ときに刺があり、粗毛があり、腺がある。葉は対生。花序は頂生、穂状花序又は頭状花序、果時に大きくなる。苞は倒卵形。花は小さい。咢は膜質、2唇形、4裂する。花冠はときに2唇形。裂片は5個、広がる、雄しべは4本、2強雄しべ、花冠筒部の上部につき、突き出ない。子房は2室。胚珠は室に1個。花柱は短い。柱頭は頭状。蒴果は小さく、2つに割れ、各1種子が入る。
 世界に約10種があり、熱帯~亜熱帯に広く分布する。

【イワダレソウ属の種】
Phyla betulifolia (Kunth) Greene [熱帯アメリカ]
Phyla canescens (Kunth) Greene  [南アメリカ]
Phyla cuneifolia (Torr.) Greene [メキシコ、USA]
Phyla dulcis (Trevir.) Moldenke  [メキシコ、南アメリカ]
Phyla lanceolata (Michx.) Greene [メキシコ、USA、カナダ]
Phyla linearis (Kunth) Tronc. & Lopez-Pal. [ベネズエラ]
Phyla nodiflora (L.) Greene [熱帯~亜熱帯に広く分布]
Phyla scaberrima (Juss. ex Pers.) Moldenke [メキシコ、コロンビア、ベネズエラ、USA、西インド諸島]
Phyla stoechadifolia (L.) Small  [メキシコ、USA、南アメリカ]
Phyla × intermedia Moldenke [USA]

イワダレソウ属の主な種

1 Phyla nodiflora (L.) Greene  イワダレソウ 岩垂草
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、熱帯~亜熱帯に広く分布。英名はurkey tangle fogfruit, common lippia , Texas frogfruit , Capeweed , carpetweed , fogfruit , frogfruit , matgrass , turkey-tangle , turkey-tangle frogfruit。中国名は过江藤 guo jiang teng
 多年草。高さ10~20㎝。茎は横に這い、多数、分枝し、節から根を出して広がる。茎や葉の両面には丁字状の剛毛(中着毛 medifixed hair)がある。葉は対生し、ほぼ無柄。葉身は長さ1~4㎝、幅0.5~1.8㎝の倒卵形、多肉質~紙質、基部は楔形、先部の縁に粗く、鋭い鋸歯がある。葉の側脈は4対。花序は長さ1~2.5㎝の円柱状~卵形の頭状花序(穂状花序ともいわれる)、つくしの頭のような形をしている。花序柄は長さ1~7㎝。花は花序に隙間なく多数つき、それぞれの花を包むように1個の大きな苞がある。苞は覆瓦状に並び、先が小さく三角状に尖り、先の部分は紫褐色である。花序の色はこの苞の色であり、最下部付近は緑色で、他は紫褐色。花冠は2唇形、上唇が2裂、下唇が3裂し、直径約2㎜、紫ピンク色~白色、無毛、花後も褐色になって残る。(外来種や園芸種は花弁が大きく、5裂片も明瞭で、花冠の内部の黄色も明瞭に見える。)花序の上部で花が苞の間から出て、環状に順次、開花し、花序が長くなっていく。雄しべは4個。子房は2室、胚珠は室に1個。花柱は短く、柱頭は頭状。果実は蒴果(小堅果ともいわれる)、2個の萼片に左右から包まれ、広倒卵形~球形、長さ約1.5㎜、中央に縦溝があり、2個の種子(pyren、分果 nutletともいわれる)に分かれ、接合面は平ら、熟すと果序の下側から落ち始める。種子(分果)は半球状(平凸状)の倒卵形、長さは約1.5㎜、白色の軽いスチロール状の層があり、水に浮きやすくなっている。2n=36。花期は7~10月。
品種) 'Alba' , 'Campagna Verde'

1-1 Phyla nodiflora (L.) Greene var. minor (Gillies et Hook.) N.O'Leary et Mulgura  ヒメイワダレソウ 姫岩垂草
  synonym Phyla nodiflora (L.) Greene var. canescens (Kunth) Moldenke
  synonym Phyla canescens (Kunth) Greene 
 南アメリカ原産。英名は lippia , hairy fogfruit , carpet grass別名はリッピア。
 多年草。茎は這って広がり、長さ20~30㎝、節間は4㎝以下、節から発根して増える。葉は対生し、葉柄は長さ1~8㎜。葉身は長さ5~20(30)㎜、幅2~7(10)㎜、楕円形~倒卵形~へら形、狭倒卵形、先半分に鋸歯がある。葉は無毛~両面に伏した丁字状の剛毛(突起)が密にある。伏毛の基部は濃緑色になる。花序は腋生、花序の柄は長さ1~9(11)㎝。穂状花序は長さ0.5~0.8(1)㎝、花序の上面は平たく、直径約1㎝、多数の唇形花がつき、周囲の唇形花が開いた花弁のように見える。個々の花の基部に緑色の苞がある。萼は苞より小さく、2深裂し、長さ1.5~2.5㎜。花(花冠の弁部)は幅2~3㎜、最初白色で、後に紫色になり、暗色の斑紋がある。下唇は幅が上唇の2倍、3裂し、白色~淡紅色の中央裂片の中央に黄色の斑紋がある。果実は類球形、直径1.5~2㎜、熟すと2個の褐色の楕円形の分果に分かれる。冬には葉は枯れるが、春になると若葉が出てくる。2n=36。花期は7~9月。

2 Phyla scaberrima (Juss. ex Pers.) Moldenke アマミコウスイボク 甘味香水木
  synonym Phyla dulcus (Trevir.) Moldenke
  synonym Lippia dulcis Trevir.
  synonym Lippia dulcis var. mexicana Wehmer
 メキシコ、コロンビア、ベネズエラ、USA(フロリダ州)、西インド諸島原産。英名はMexican sweet herb , honeyherb , Aztec sweet herb , Mayan herb , bushylippia。中国名は甜舌草 tian she cao。別名はメキシカンスイートハーブ。
 亜低木、低木。高さ30~150㎝。普通、低木(少なくとも基部は)、直立し、高さ0.3~1.5m、普通60㎝以下、ときに、平伏、多年草、明らかに芳香があり、ときに半水生。主茎はほとんど木質で直立し、ときに広がり、長く、這う。しばしば、節から根を出し、類円柱形、しばしば帯紫色、剛毛又は小さな剛毛があり、灰白軟毛の毛状突起が混じる。葉身は膜質、菱状三角形、広卵形、長楕円状卵形、長さ2~5㎝、幅7~10㎜、ほとんどが、先が鋭形又は尖鋭形(まれに鈍形)、基部は急に、短く、楔状に狭まり、柄に続き、粗い円鋸歯縁。葉の上面には、基部が膨れた硬い毛状突起があり、すぐに落ちる。基部の膨らみだけ残り、葉の表面は明らかな凸凹になり、まばら又は密に小剛毛又は類剛毛がある。下面はごく短い毛状突起と小腺毛がある。葉柄は長さ5~18㎜、小剛毛がある。穂状花序は若いときには卵状球形、その後、円柱形で長くなり、直径5~15㎜、やがて長さ3.1㎝以下に伸び、花が多数、密につき、基部につく葉と同長又は短く、しばしば曲がりくねる。花序柄は葉腋に単生し、節に2個以上つかない。花序柄は長さ1.5~4㎝、密に短軟毛又は剛毛があり、穂状花序より長い。小苞は膜質、密に覆瓦状につき、楔状倒卵形、鈍角で、急に先鋭頭、硬い微細剛毛があり、縁毛があり、花冠と等長。萼が小さく、花は筒形の二唇形、絨毛があり、花冠は白色、長さ1~1.5㎜、幅約1.6㎜、拡大部は小さく、裂片はほぼ直立する。果実は蒴果、熟すと2個の小堅果に分かれる。小堅果は淡褐色、卵形、接合面は平滑。花期は6~10月。

参考

1) Flora of China
 Phyla  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=125160
2)GRIN
 Phyla  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=9295
3)Kewscience
 Phyla  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:330571-2
4)Flora of Pakistan
 Phyla  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=125160