イヌガラシ 犬芥子
Flora of Mikawa
アブラナ科 Brassicaceae イヌガラシ属
中国名 |
蔊菜 han cai |
英 名 | Indian yellow cress, variableleaf yellowcress |
学 名 | Rorippa indica (L.) Hiern. |
花 期 | 4~6(9~11)月 |
高 さ | (6~)20~60(~75) |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 道端,、草地 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国、インド、ネパール、パキスタン、東南アジア |
撮 影 | 幸田町 11.11.2 |
秋に開花することも多く、通年とも言われる。
1年草(2年草)。高さ(6~)20~60(~75)㎝、無毛、まれにまばらに軟毛がある。。短い根茎がある。茎はしばしば基部や上部で分枝する。根生葉は花時に枯れる。下部と中間の茎葉は耳形又は耳形で無い。葉柄は無又は長さ1~4㎝。葉身は頭大羽状深裂又は分裂せず、倒卵形~長円形~披針形、長さ(2.5~)3.5~12(~16)㎝×幅(0.8~)1.5~4(~5)㎝、縁は全縁、又は不規則な円鋸歯~鋸歯縁、先は鈍形又は類鋭形。頂裂片は長円形、楕円形、長円状披針形、長さ10㎝×幅5㎝・以下。側裂片は無いか又は又は1~5(~6)対。最上部の葉は普通、無柄、耳形又は耳形でなく、葉身は披針形~長円形、縁は全縁、小歯状、又は小鋸歯状、先は鋭形~尖鋭形。花序は苞が無い。花は直径4~5㎜の黄色の4弁花。果時の花柄は細く、斜上、散開、又はまれにわずかに下屈し、真っすぐ、長さ(2~)3~10(~15)㎜。咢片はしばしば緑色又は帯ピンク色、斜上し、 長円状卵形、長さ2~3㎜×幅0.8~1.5㎜、縁は膜質。花弁は黄色、倒卵形~へら形、長さ(2.5~)3~4(~4.5)㎜×幅1~1.5㎜、まれに欠く。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は子房に(60~)70~110個。果実は線形の長角果、長さ(0.7~)1~2.4(~3)㎝×幅1~1.5(~2)㎜、弓状に少し曲がることが特徴であり、ただし、真っすぐな場合もあり、果嘴は短く、熟すと果皮が2裂し、種子が落ちる。種子は2列、赤褐色、卵形~卵状球形、長さ0.5~0.9㎜×幅0.4~0.6㎜、小凹点状(foveolate)、花弁が退化したものはアオイヌガラシという。2n=24,32,48。花期は通年[4~6(9~11)月]。
ミチバタガラシは全体にやせて小形で、葉の幅が広く、花に花弁がなく、果実はイヌガラシと同様長いが、曲がらない。
マガリミイヌガラシ、コゴメイヌガラシは果実が長さ5~15㎜と中間の長さで果柄が果実より短い。
コイヌガラシは葉がやや小さく、羽状深裂し、果実は長さ7~9㎜で、ほぼ無柄。
スカシタゴボウは葉の裂け方が深く、基部が茎を抱き、果実の長さが4~5㎜と短い。
果実がスカシタゴボウに似て短いものには他に地下茎があるキレハイヌガラシ、ミミイヌガラシ、サケバミミイヌガラシがあり、雑種も確認されており分類が困難である。
キレハイヌガラシは地下茎が長く、葉に欠刻状の鋸歯がある。ミミイヌガラシ、サケバミミイヌガラシは果柄の長さが果実の2倍以上ある。
1年草、2年草、又は多年草、普通、湿ったまたは水生の生息地。毛状突起は無いか又は単純。茎は直立又は平伏、単純又は分枝し、葉がある。根生葉は葉柄があり、ロゼットが有又は無く、単葉、全縁~歯状~波状~頭大羽状分裂~櫛状、又は1~3回羽状全裂。茎葉は葉柄が有又は無、基部は楔形~漸尖形~耳形~矢じり形、全縁~歯状~羽状中裂~羽状全裂。総状花序は苞が無又はまれに全体にあり、果時に大きくなる。咢片は卵形~長円形、直立又は開出し、側対の基部は袋状でなく、まれに袋状になり、縁はしばしば膜質になる。花弁は黄色、ときに白色又はピンク色、まれに痕跡又は無くなる。花弁の弁部は倒卵形、へら形、長円形、又は倒披針形、先は鈍形又は凹形。爪部はときに明瞭でしばしば咢片より短い。雄しべは6本、4強雄しべ、まれに4本が同長。葯は卵形~長円形、先は鈍形、まれに微突頭。蜜腺は融合し、しばしば雄しべの基部を抱き、中央の腺は狭く、側部の腺は半環状で雄しべ間にあるか又は環状。胚珠は子房に10~300個。果実は裂開性の長角果(silique)又は短角果(silicle)、線形~長円形~卵形~楕円形~球形、円柱形又は広い隔壁があり(latiseptate)、無柄、まれに短い柄がある。バルブは2(又は3~6)個、紙質又は革質、脈は無いか、又は不明瞭、平滑又はでこぼこにときどき膨れ(torulose)、レプルム(replum:果実のバルブ(室)を分ける薄い隔壁)は円く、隔壁は完全、まれに穴が開き、膜質、半透明、脈は無い。花柱は廃れ又は明瞭。柱頭は頭状、全縁又はわずかに2.裂。種子は2列、まれに1列、翼は無又はまれに有り、長円形~卵形~楕円形、丸みがある。種皮は網状(reticulate)、小隆起状(colliculate:丸い丘状の小隆起)、波状(rugose)、いぼ状(tuberculate)、小凹点状(foveolate)、湿ると粘るか又は粘らない。子葉は側座。
世界に約75種があり、世界中に分布する。
ロシア、カザフスタン、アルメニア、イラン、イラク、トルコ、ヨーロッパ、アルジェリア原産。英名はgreat yellowcress。日本にも帰化している。水生で、果柄の長さが果実の2倍以上ある。
多年草(水中に生育し、下部の節から根を出し、群生する)。若葉は無毛又は下部に軟毛がある。茎は基部が平伏し、中空、分枝し、長さ(20~)40~120(~130)㎝。根生葉はロゼットにならない。葉身は縁が羽状中裂する。茎葉は下部で葉柄があり、上部で無柄。葉身はくし状又は羽状全裂~羽状中裂(とくに水中で)、倒披針形~楕円形、長さ4~12㎝×幅5~30㎜、基部は耳形又は耳形でなく、縁は全縁又は小歯状又は鋸歯状(抽水の葉は普通、分裂せず、まれに分裂する)。総状花序はかなり長い。果時の花柄は水平又は下屈し、真っすぐ又は反曲し、長さ(5~)7~15 (~18)㎜。咢片は直立、長円形、長さ2.5~3.5㎜×幅1~1.7㎜。花弁は黄色、倒卵形、長さ(3.3~)3.8~5.5 (~6.2)㎜×幅1.5~2.5 ㎜。中央の花糸は長さ3~4㎜。葯は卵形、長さ0.7~1㎜。果実は短角果、真っすぐで、卵状楕円形、長さ(2.5~)3~5.5(~7)㎜×幅1.7~2.7(~3)㎜。バルブは無毛。胚珠は子房に36~62個。花柱は長さ(0.5~)1~2.2(~2.5)㎜。種子は2列、赤褐色、卵形、長さ 0.7~1㎜ (直径0.5~0.6㎜)、小隆起状。 2n = 16, 32。花期は6~8月。
2 Rorippa austriaca (Crantz) Besser ミミイヌガラシ 耳犬芥子
ロシア、カザフスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコ、ヨーロッパ原産。英名はAustrian field cress , Austrian yellow cress。日本に帰化している。河川の土手、道端、湿った草原、荒地などに生える。
多年草(陸生、又は湿った場所に生育し、水中生では無く、根茎は太く、短い)、普通、無毛、まれに下部に軟毛がある。茎は(基部では単純)、直立し、上部で多数、分枝し、高さ40~110(~180)㎝。根生葉はロゼットにならなず、縁は羽状中裂。茎葉は無柄、葉身は披針形、長さ(2.5~)4~12(~15)㎝× 幅5~20(~25)㎜、基部は耳形~抱茎、縁は全縁又は鋸歯縁。総状花序は長い。果時の花柄は散開状に斜上~水平、真っすぐ、長さ4~15㎜。咢片は斜上し、長円形、長さ2~3㎜×幅1~1.3㎜。花弁は黄色、倒卵形、長さ3~5㎜×幅1.7~2.5㎜。中央の花糸は長さ2.3~3㎜。葯は卵形、長さ0.4~0.6㎜。果実は短角果(まれに生じる)、真っすぐ、球形又はほぼ球形、長さ2.5~3.2㎜×幅1.5~2.7㎜。胚珠は子房に18~40個。花柱は長さ1~1.5(~2)㎜。種子は2列、赤褐色、卵形、長さ0.7~0.9㎜、細かい小隆起状。2n=16。花期は5~7月。
3 Rorippa barbareifolia (DC.) Kitag. ケタマイヌガラシ
中国(黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア、 北アメリカ(アラスカ、カナダ)原産。中国名は山芥叶蔊菜 shan jie ye han cai。英名はhoary yellowcress。標高100~2100mの森林の境界、道端、湿った場所、川岸に生える。
1年草または2年草、高さは(20~)30~95(~110)cm、少なくとも基部付近には絨毛が密にあるか、または粗毛があり、上部ではまばらか、またはほぼ無毛。茎は直立し、基部は単純で、上部で分枝する。根生葉はロゼットになり、すぐに枯れる。葉柄は長さ1~7㎝、葉身は頭大羽状中裂、またはほぼ逆向き羽状分裂。 下部および中央の茎葉は無柄、披針形~倒披針形、または長円形、長さ2.5~10(~15)㎝×幅0.4~2.5(~4.5)㎝、絨毛があるかまたは粗毛があり、頭大羽状中裂し、中脈の両側に2~7個の側裂片があり、基部は耳があるかまたは抱茎、縁は不規則で細かく切り込みが入り~不規則な鋸歯状~縁が波形、または全縁、先は鋭形。最上部の葉は分裂せず、全縁または不明瞭に鋸歯がある。総状花序は苞が無い。果時の小花柄は斜上し、長さ(2~)4~12(~14)㎜、真っ直ぐ、細く、無毛または粗毛がある。萼片は長円形、広がり、長さ1.6~2.8㎜×幅0.6~1.2㎜。花弁は黄色、倒卵形またはへら形、長さ(1.5~)1.8~3(~3.5)㎜×幅0.7~1.8(~2)㎜、先は鈍形。花糸は長さ1.5~2.5㎜。葯は狭長楕円形、長さ0.5~0.6㎜。 胚珠は各子房に60~85個。果実は球形またはほぼ球形、長さ(2.5~)3.5~6(~6.5)㎜×幅(2.3~)2.8~4(~4.3)㎜。バルブは(3~)4(~6)個、革質、無毛、脈は無い。子房柄(gynophore)は長さ0.3~0.8(~1)㎜。花柱は丈夫、長さ0.5~1(~1.4)㎜。種子は暗赤褐色、長円状卵形、長さ0.5~0.7㎜×幅0.3~0.4㎜、網目がある。花期および果期は3~8月。2n=16。
4 Rorippa cantoniensis (Lour.) Ohwi コイヌガラシ 小犬芥子
日本(本州の関東以西、四国、九州)、韓国、中国、台湾、ロシア(極東)、ベトナム原産。中国名は广州蔊菜 guang zhou han cai。
1年草、高さ(5~)10~35(~45)㎝、全体に無毛、ときにまばらに長さ0.05~0.1㎜の半球形のパピラをもつ。茎は直立又は傾伏し、基部と上部で分枝し、まれに単純。根生葉は葉柄があり、ロゼットを作り、すぐに枯れ、頭大羽状分裂、羽状全裂、又は2回羽状全裂、長さ10㎝×幅3㎝・以下、側裂片は12対以下。茎葉と苞は無柄又はまれに全体に葉柄があり、基部は耳形又は矢じり形、頭大羽状分裂、羽状全裂、又は2回羽状全裂、まれに波状又は歯状、長さ(0.8~)1.5~5(~7)㎝×幅(0.3~)0.8~2.3(~3)㎝、側裂片は2~6(~7)対、長さ10㎜×幅5㎜・以下、歯状又は全縁。総状花序、全体に苞があり、苞はまれに花柄につく。果時の花柄は丈夫、斜上し、長さ(0.3~)0.7~2(~3)㎜。咢片は長円形~ほぼ楕円形、長さ1.5~2(~2.5)㎜×幅0.5~0.8㎜。花弁は淡黄色、倒卵形~狭へら形、長さ2~3(~3.5)㎜×幅0.5~1㎜。花糸は長さ1.5~2㎜。葯は長円形、長さ0.3~0.4㎜。胚珠は子房に100~230個、脈は無い。果実は広長円形~狭長円形、長さ(3~)4.5~8.5(~10)㎜×幅1.5~2.5㎜、バルブは薄い紙質、脈は無い。 花柱は長さ0.1~0.5㎜。種子は赤褐色、卵形~卵状腎形、小凹点状、2列、長さ (0.3~)0.4~0.6㎜×幅(0.2~)0.3~0.4㎜。花期と果期は2~11月。
5 Rorippa curvisiliqua (Hook.) Bessy ex Britton マガリミイヌガラシ
北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はcurve-pod yellow cress , western yellow cress。
長角果が曲がり、長さ4~13 (~18)㎜。果柄が長さ1~4.5 (~9)㎜。
1年草、無毛、ときにまばらに粗毛がある(毛状突起は円筒形)。茎は(普通、基部から少数分枝し、まれに単純)、斜上又は傾伏~平伏し、長さ(5~)10~40(~60)㎝、上部で分枝する(無毛又は下部に粗毛がある)。根生葉はロゼットにならなず、葉身は羽状中裂する。茎葉は葉柄があり又は無柄、葉身は長円形倒披針形~へら形~倒卵形(側裂片は線形~長円形~卵形l)、長さ (2~)3~9(~3)㎝×幅 8~20(~35)㎜ (側裂片は頂裂片より小さい)、基部は耳形、縁は普通、羽状中裂~羽状全裂、又は(頂裂片)全縁又は歯状、基部は耳形、縁は普通、羽状中裂~羽状全裂、まれにくし状又は(頂裂片)全縁又は歯状。総状花序はかなり長い。果時の花柄は散開状斜上~水平、真っすぐ、長さ1~4.5(~9)㎜ (無毛又はまばらに軟毛がある)。咢片は(まれに宿存し)斜上、長円形、長さ0.8~2 (~2.5)㎜× 幅0.6~1.4 ㎜。花弁は (開出し)、黄色、長円形~倒披針形、長さ0.6~1.8(~2)㎜×幅0.3~1.3㎜。中央の花糸は長さ1~1.7㎜。葯は卵形、長さ0.4~0.5㎜。果実は長角果、曲がり斜上し、長円形~線形、長さ4~13(~18)㎜×幅1~2㎜、バルブは無毛。胚珠は子房に(30~)42~106個。花柱は長さ0.1~0.8㎜。種子は2列、褐色、心形、長さ0.5~0.7㎜、小隆起状(colliculate)。2n=16。花期は5~10月。
6 Rorippa dubia (Pers.) H.Hara ミチバタガラシ 道端芥子
synonym Rorippa montana (Wall. ex Hook.f. et Thomson) Small
synonym Rorippa sublyrata (Miq.) H.Hara
synonym Rorippa sinapis sensu Ohwi et H.Hara, non Burm.f.
synonym Rorippa heterophylla (Blume) R.O.Williams
日本(関東以西)、中国、台湾、インド、ネパール、シッキム、バングラデシュ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン原産。中国名は无瓣蔊菜 wu ban han cai。海抜3700m付近の谷、荒れ地、斜面、道端、濡れた場所、草が茂った場所、畑の縁に生える。南北アメリカに帰化。
高さが低く、花弁はなく、長角果は真直ぐ、果柄も真っすぐで開出する点が特徴。
1年草、高さ(4~)15~33(~45)㎝、無毛又はまれにまばらに軟毛がある。茎はしばしば基部と上部で分枝する。根生葉は花期に枯れる。下部と中間の茎葉は耳形又は無い。葉柄は長さ4㎝以下、まれに無い。葉身は頭大羽状深列又は不分裂、倒卵形、長円形、又は披針形、長さ(2~)3~11(~15)㎝× 幅(0.5~)1~3(~5)㎝、縁は全縁、又は不規則な円鋸歯又は鋸歯縁、先は鈍形又はほぼ鋭形。頂裂片は長円形、楕円形、又は長円状披針形、長さ14㎝×幅4㎝・以下。側裂片は無い又は1~4対。最上部は普通、無柄、耳形又は耳形ではなく、葉身は披針形又は長円形、縁は全縁又は小鋸歯縁、先は鋭形~尖鋭形。総状花序は苞が無い。果時の花柄は細く、散開し、真っすぐ、長さ(2~)3~8(~10)㎜。咢片はしばしば帯ピンク色、斜上し、長円状線形、長さ(2~)2.5~3㎜×幅0.5~0.7㎜、縁は膜質。花弁はほとんど無く、まれに有り、線形~狭倒披針形、長さ1.5~2.5㎜×幅0.2~0.7(~1)㎜、しばしば咢片より短い。花糸は長さ1.5~2.8㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は子房に70~90個。果実は線形、長さ(1.5~)2.5~4㎝×幅0.7~0.9(~1)㎜、真っすぐ。バルブは薄い紙質、脈はない。花柱は長さ0.2~1(~1.5)㎜、丈夫で幅が果実の幅とほぼ同じ、まれに細く狭い。種子は赤褐色、ほぼ4稜形又は卵状球形、長さ0.5~0.8㎜×幅0.4~0.6㎜、小凹点状(foveolate)、1列。花期と果期は通年。2n=32 ,48。
synonym Rorippa islandica (Oeder) Borbas var. nikkoensis (H.Hara) Kitam.
日本(本州の栃木県、長野県、秋田県)、韓国、中国、台湾、モンゴル、ロシア、ベトナム原産。中国名は风花菜 feng hua cai 。
1年草又は短命の多年草、高さ(20~)30~90(~120)㎝、密に絨毛又は少なくとも基部近くに粗毛があり、まれに上部は無毛。茎は直立、基部は1本、上部で分枝する。根生葉はロゼットになり、すぐに枯れる。葉柄は長さ1~4㎝。葉身は頭大羽状中裂又はほぼ逆向き羽状分裂(runcinate)。下部と中間の茎葉は無柄、披針形、倒披針形、又は長円形、長さ2.5~10(~15)㎝×幅0.3~2.5(~4)㎝、 粗毛があり、頭大羽状中裂で1~3対の側裂片をもち、ときに分裂せず、基部は耳状又は抱茎、縁は不規則な歯状、欠刻状又は鋸歯状、先は鋭形。頂裂片は不明瞭又はよく発達し、長さ8㎝×幅4㎝・以下。最上部の葉は不分裂、鋸歯状、歯状、小鋸歯状。総状花序は苞が無い。果時の花柄は散開し、長さ (2~)4~8(~10)㎜、真っすぐ又はわずかに反曲し、細く、無毛又は粗毛がある。咢片は長円形、開出し、長さ(1~)1.3~1.8(~2)㎜×幅0.5~0.9㎜。花弁は黄色、倒卵形、長さ0.7~1.3(~1.5)㎜×幅0.3~0.8㎜、先は鈍形。花糸は開出し、長さ1.2~1.8(~2)㎜。葯は長円形、長さ0.4~0.5㎜。胚珠は子房に60~100個。果実は球形~ほぼ球形、長さ2~3(~3.5)㎜×幅(1.5~)2~3㎜。バルブは2個、紙質、無毛、脈は無い。子房柄(gynophore)は長さ 0.1~0.4㎜、ときに無い。花柱は丈夫、長さ 0.1~0.8(~1)㎜。種子は暗赤褐色、広卵形、長さ0.5~0.8㎜×幅0.4~0.5㎜、網状。花期と果期は4~11月。
8 Rorippa indica (L.) Hiern イヌガラシ 犬芥子
synonym Rorippa atrovirens (Hornem.) Ohwi et H.Hara
日本全土、朝鮮、中国、インド、ネパール、パキスタン、東南アジア原産。中国名は蔊菜 han cai 。英名はIndian yellow cress, variable leaf yellowcress。
1年草(2年草)。高さ(6~)20~60(~75) ㎝、無毛、まれにまばらに軟毛がある。。短い根茎がある。茎はしばしば基部や上部で分枝する。根生葉は花時に枯れる。下部と中間の茎葉は耳形又は耳形で無い。葉柄は無又は長さ1~4㎝。葉身は頭大羽状深裂又は分裂せず、倒卵形~長円形~披針形、長さ(2.5~)3.5~12(~16)㎝×幅(0.8~)1.5~4(~5)㎝、縁は全縁、又は不規則な円鋸歯~鋸歯縁、先は鈍形又は類鋭形。頂裂片は長円形、楕円形、長円状披針形、長さ10㎝×幅5㎝・以下。側裂片は無いか又は又は1~5(~6)対。最上部の葉は普通、無柄、耳形又は耳形でなく、葉身は披針形~長円形、縁は全縁、小歯状、又は小鋸歯状、先は鋭形~尖鋭形。花序は苞が無い。花は直径4~5㎜の黄色の4弁花。果時の花柄は細く、斜上、散開、又はまれにわずかに下屈し、真っすぐ、長さ(2~)3~10(~15)㎜。咢片はしばしば緑色又は帯ピンク色、斜上し、 長円状卵形、長さ2~3㎜×幅0.8~1.5㎜、縁は膜質。花弁は黄色、倒卵形~へら形、長さ(2.5~)3~4(~4.5)㎜×幅1~1.5㎜、まれに欠く。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は子房に(60~)70~110個。果実は線形の長角果、長さ(0.7~)1~2.4(~3)㎝×幅1~1.5(~2)㎜、弓状に少し曲がることが特徴であり、ただし、真っすぐな場合もあり、果嘴は短く、熟すと果皮が2裂し、種子が落ちる。種子は2列、赤褐色、卵形~卵状球形、長さ0.5~0.9㎜×幅0.4~0.6㎜、小凹点状(foveolate)、花弁が退化したものはアオイヌガラシという。2n=24,32,48。花期は通年[4~6(9~11)月]。
花弁が無いもの。花弁のないミチバタガラシと混同されやすいもの。
高さ約40㎝。葉は長さ約10㎝、葉先はイヌガラシのようによくとがり、鋸歯端に毛がない。花は花弁が無く、ごくまれに、わずかに花弁の現われたものが混在する程度。咢片は長さ約2.5㎜。葯は長さ0.7~0.8㎜、花粉吐出後には著しく曲がる。長角果は長さ10~21㎜、多少曲がり、かつ斜めに上向して、広く開出する ようなことがない。
9 Rorippa palustris (L.) Besser スカシタゴボウ 透かし田牛蒡
synonym Rorippa islandica auct. non (Oeder) Borbas
2年草。高さ35~50㎝。地下茎は無く、茎は直立し、下部でもよく分枝し、無毛。葉は普通、頭大羽状に中裂し、不規則な鋸歯があり、基部には小さな耳形(基部がくびれてからまた急に張り出す形)の突起があり、小さく茎を抱く。葉は深裂、浅裂するものなど変化が多く、果実の長、毛の量などと合わせていくつかの変種に分類されている。花は直径2.5~3㎜の黄色十字形花。萼片4、雄しべ6、雌しべ1。果実は幅2~2.5㎜、長さ4~5㎜と短く、隔壁で2室に分かれ、多数の種子がジグソーパズルのようにほとんどすきまなく並ぶ。果柄の長さは果実の長さとほぼ同じ。熟すと果皮が裂け、種子を出す。花序の下側に白色の果実の隔壁だけが残っているのがよく見られる。アブラナ科の果実は角果と呼ばれ、スカシタゴボウのような果実は長さが幅の3倍以内であり短角果と呼ばれる。葉の変化もあり、分類は難しく、葉の分裂、果柄の長さ、果実の長さなどが重要な観察ポイント。2n=32 。花期は4~10月。
10 Rorippa sylvestris (L.) Besser キレハイヌガラシ 切葉犬芥子
日本(北海道、本州中部以北)、中国、ロシア、インド、カシミール、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。 南北アメリカに帰化。中国名は欧亚蔊菜 ou ya han cai 。英名はcreeping yellow cress , creeping yellow field cress , yellow field cress , creeping yellow cress。別名はヤチイヌガラシ 。日本のものは外来といわれている。
地下茎があり、切れた地下茎からも再生が可能で、駆除が困難な害草。葉が羽状全裂し、各裂片の縁は歯状~鋸歯状。果実は長角果、細い。
多年草、高さ(5~)15~80(~100)㎝、無毛又はまばらに軟毛がある。茎は平伏、傾伏、斜上、又は類直立、主に基部から分枝する。ロゼットの葉はすぐに枯れ、茎葉に似ている。中間の茎葉は葉柄があり、羽状全裂する。葉柄は耳状にならず、まれに小さな耳状になる。葉身は長さ(2~)3.5~15(~20)㎝×幅(0.7~)1~4.5(~6)㎝、側裂片は3~6対、ほぼ線形、披針形、長円形、楕円形、又は卵形、縁は歯状又は鋸歯状、ときにほぼ全縁。最上部の葉は側裂片が1~3個又は分裂せず、しばしば無柄。総状花序は苞が無い。果時の花柄は長さ (3~)4~10(~12)㎜、細く、散開する。咢片は緑色又は黄色、長円形、長さ1.8~3(~3.5)㎜×幅0.7~1.5㎜、斜上又は開出する。花弁は黄色、へら形~倒卵形、長さ(2.2~)2.8~5.5(~6)㎜×幅1.5~2.5㎜、先は円形。花糸は長さ(1.5~)1.8~3.5(~4)㎜。葯は長円形、長さ0.7~1㎜。胚珠の数は様々、ほとんど未熟。果実は線形、ごく稀に、長円状線形、長さ(0.4~)0.7~2(~2.5)㎝×幅(0.7~)1~1.3(~1.6) ㎜、まれに種子を作る。花柱は長さ0.5~1(~1.5)㎜。柱頭はほぼ全縁又はわずかに2裂。種子は赤褐色、卵形、 小隆起状(colliculate)、1列又はまれに類2列、長さ0.6~0.9㎜×幅0.4~0.5㎜。花期と果期は5~9月。2n=32, 40, 48。
11 Rorippa teres (Michx.) Stuckey コゴメイヌガラシ 小米犬芥子
synonym Rorippa obtusa (Nutt.) Britton
北アメリカ(USA、メキシコ)、中央アメリカ(ホンジュラス、ニカラグア)原産。英名southern yellowcress , southern marsh yellowcress。標高0~600mの湿った場所、泥だらけの地面、運河や溝の端、砂地、池の縁、川辺、泥炭地に生える。
1年草またはまれに2年草。少なくとも下部は微軟毛があるか、または無毛(一部の毛状突起は棍棒形~半球形、小胞があるvesicular)。茎は(基部から1本または数本)、通常は平伏または傾伏、まれに直立し、上部で分枝し、10~40㎝(無毛または毛があり、毛胞状trichomes vesicular)。根生葉はロゼットになり、葉身は羽状中裂する。茎葉は短い葉柄があり、葉身は長円形~倒披針形~倒卵形、または頭大羽状全裂、(側裂片は長円形~卵形)、長さ(2~)3.5~10(~13.5)㎝×幅10~40(~53)㎜、基部は耳があるかまたは無く、縁は通常、羽状中裂~羽状全裂、まれに2回羽状中裂、(側裂片)歯状~円鋸歯状または波状、(表面は無毛または上面に毛があり、毛状突起は小胞状)。総状花序は長い。果時の小花柄は斜上~水平、真っすぐまたは曲がって斜上し、長さ(1.5~)2.3~4.7(~5.3)㎜。萼片は直立、長円形、長さ1.5~2.5㎜×幅0.5~1㎜。花弁は黄色、へら形、長さ1~2㎜×幅0.4~0.7㎜。中央の花糸は長さ1.2~1.7㎜。葯は卵形、長さ0.2~0.3㎜。果実は長角果、真っすぐまたは曲がり、線形~長円状線形、長さ8~14(~21)㎜×幅1~2.5㎜。バルブは無毛または毛がある。胚珠は各子房に(100~)150~210個。花柱は長さ(0.2~)0.5~1.1㎜。種子は2列、赤褐色、心形、長さ0.4~0.5㎜、小窩(小穴)がある。花期は12月~5月。
12 ハイブリッド
(1) Rorippa x armoracioies (Tausch) Fuss キレハミミイヌガラシ
ミミイヌガラシ×キレハイヌガラシ
(2) Rorippa x brachyceras (Honda) Kitam. ex T.Shimizu ヒメイヌガラシ
スカシタゴボウとイヌガラシの自然交雑種
Rorippa
Rorippa
Rorippa
Rorippa<
檜山庫三:牧野標本館雑記 (10)
1年草(2年草)。高さ(6~)20~60(~75)㎝、無毛、まれにまばらに軟毛がある。。短い根茎がある。茎はしばしば基部や上部で分枝する。根生葉は花時に枯れる。下部と中間の茎葉は耳形又は耳形で無い。葉柄は無又は長さ1~4㎝。葉身は頭大羽状深裂又は分裂せず、倒卵形~長円形~披針形、長さ(2.5~)3.5~12(~16)㎝×幅(0.8~)1.5~4(~5)㎝、縁は全縁、又は不規則な円鋸歯~鋸歯縁、先は鈍形又は類鋭形。頂裂片は長円形、楕円形、長円状披針形、長さ10㎝×幅5㎝・以下。側裂片は無いか又は又は1~5(~6)対。最上部の葉は普通、無柄、耳形又は耳形でなく、葉身は披針形~長円形、縁は全縁、小歯状、又は小鋸歯状、先は鋭形~尖鋭形。花序は苞が無い。花は直径4~5㎜の黄色の4弁花。果時の花柄は細く、斜上、散開、又はまれにわずかに下屈し、真っすぐ、長さ(2~)3~10(~15)㎜。咢片はしばしば緑色又は帯ピンク色、斜上し、 長円状卵形、長さ2~3㎜×幅0.8~1.5㎜、縁は膜質。花弁は黄色、倒卵形~へら形、長さ(2.5~)3~4(~4.5)㎜×幅1~1.5㎜、まれに欠く。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は子房に(60~)70~110個。果実は線形の長角果、長さ(0.7~)1~2.4(~3)㎝×幅1~1.5(~2)㎜、弓状に少し曲がることが特徴であり、ただし、真っすぐな場合もあり、果嘴は短く、熟すと果皮が2裂し、種子が落ちる。種子は2列、赤褐色、卵形~卵状球形、長さ0.5~0.9㎜×幅0.4~0.6㎜、小凹点状(foveolate)、花弁が退化したものはアオイヌガラシという。2n=24,32,48。花期は通年[4~6(9~11)月]。
ミチバタガラシは全体にやせて小形で、葉の幅が広く、花に花弁がなく、果実はイヌガラシと同様長いが、曲がらない。
マガリミイヌガラシ、コゴメイヌガラシは果実が長さ5~15㎜と中間の長さで果柄が果実より短い。
コイヌガラシは葉がやや小さく、羽状深裂し、果実は長さ7~9㎜で、ほぼ無柄。
スカシタゴボウは葉の裂け方が深く、基部が茎を抱き、果実の長さが4~5㎜と短い。
果実がスカシタゴボウに似て短いものには他に地下茎があるキレハイヌガラシ、ミミイヌガラシ、サケバミミイヌガラシがあり、雑種も確認されており分類が困難である。
キレハイヌガラシは地下茎が長く、葉に欠刻状の鋸歯がある。ミミイヌガラシ、サケバミミイヌガラシは果柄の長さが果実の2倍以上ある。
イヌガラシ属
family Brassicaceae - genus Rorippa1年草、2年草、又は多年草、普通、湿ったまたは水生の生息地。毛状突起は無いか又は単純。茎は直立又は平伏、単純又は分枝し、葉がある。根生葉は葉柄があり、ロゼットが有又は無く、単葉、全縁~歯状~波状~頭大羽状分裂~櫛状、又は1~3回羽状全裂。茎葉は葉柄が有又は無、基部は楔形~漸尖形~耳形~矢じり形、全縁~歯状~羽状中裂~羽状全裂。総状花序は苞が無又はまれに全体にあり、果時に大きくなる。咢片は卵形~長円形、直立又は開出し、側対の基部は袋状でなく、まれに袋状になり、縁はしばしば膜質になる。花弁は黄色、ときに白色又はピンク色、まれに痕跡又は無くなる。花弁の弁部は倒卵形、へら形、長円形、又は倒披針形、先は鈍形又は凹形。爪部はときに明瞭でしばしば咢片より短い。雄しべは6本、4強雄しべ、まれに4本が同長。葯は卵形~長円形、先は鈍形、まれに微突頭。蜜腺は融合し、しばしば雄しべの基部を抱き、中央の腺は狭く、側部の腺は半環状で雄しべ間にあるか又は環状。胚珠は子房に10~300個。果実は裂開性の長角果(silique)又は短角果(silicle)、線形~長円形~卵形~楕円形~球形、円柱形又は広い隔壁があり(latiseptate)、無柄、まれに短い柄がある。バルブは2(又は3~6)個、紙質又は革質、脈は無いか、又は不明瞭、平滑又はでこぼこにときどき膨れ(torulose)、レプルム(replum:果実のバルブ(室)を分ける薄い隔壁)は円く、隔壁は完全、まれに穴が開き、膜質、半透明、脈は無い。花柱は廃れ又は明瞭。柱頭は頭状、全縁又はわずかに2.裂。種子は2列、まれに1列、翼は無又はまれに有り、長円形~卵形~楕円形、丸みがある。種皮は網状(reticulate)、小隆起状(colliculate:丸い丘状の小隆起)、波状(rugose)、いぼ状(tuberculate)、小凹点状(foveolate)、湿ると粘るか又は粘らない。子葉は側座。
世界に約75種があり、世界中に分布する。
イヌガラシ属の主な種と園芸品種
1 Rorippa amphibia (L.) Besser サケバミミイヌガラシ 裂葉耳犬芥子ロシア、カザフスタン、アルメニア、イラン、イラク、トルコ、ヨーロッパ、アルジェリア原産。英名はgreat yellowcress。日本にも帰化している。水生で、果柄の長さが果実の2倍以上ある。
多年草(水中に生育し、下部の節から根を出し、群生する)。若葉は無毛又は下部に軟毛がある。茎は基部が平伏し、中空、分枝し、長さ(20~)40~120(~130)㎝。根生葉はロゼットにならない。葉身は縁が羽状中裂する。茎葉は下部で葉柄があり、上部で無柄。葉身はくし状又は羽状全裂~羽状中裂(とくに水中で)、倒披針形~楕円形、長さ4~12㎝×幅5~30㎜、基部は耳形又は耳形でなく、縁は全縁又は小歯状又は鋸歯状(抽水の葉は普通、分裂せず、まれに分裂する)。総状花序はかなり長い。果時の花柄は水平又は下屈し、真っすぐ又は反曲し、長さ(5~)7~15 (~18)㎜。咢片は直立、長円形、長さ2.5~3.5㎜×幅1~1.7㎜。花弁は黄色、倒卵形、長さ(3.3~)3.8~5.5 (~6.2)㎜×幅1.5~2.5 ㎜。中央の花糸は長さ3~4㎜。葯は卵形、長さ0.7~1㎜。果実は短角果、真っすぐで、卵状楕円形、長さ(2.5~)3~5.5(~7)㎜×幅1.7~2.7(~3)㎜。バルブは無毛。胚珠は子房に36~62個。花柱は長さ(0.5~)1~2.2(~2.5)㎜。種子は2列、赤褐色、卵形、長さ 0.7~1㎜ (直径0.5~0.6㎜)、小隆起状。 2n = 16, 32。花期は6~8月。
2 Rorippa austriaca (Crantz) Besser ミミイヌガラシ 耳犬芥子
ロシア、カザフスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコ、ヨーロッパ原産。英名はAustrian field cress , Austrian yellow cress。日本に帰化している。河川の土手、道端、湿った草原、荒地などに生える。
多年草(陸生、又は湿った場所に生育し、水中生では無く、根茎は太く、短い)、普通、無毛、まれに下部に軟毛がある。茎は(基部では単純)、直立し、上部で多数、分枝し、高さ40~110(~180)㎝。根生葉はロゼットにならなず、縁は羽状中裂。茎葉は無柄、葉身は披針形、長さ(2.5~)4~12(~15)㎝× 幅5~20(~25)㎜、基部は耳形~抱茎、縁は全縁又は鋸歯縁。総状花序は長い。果時の花柄は散開状に斜上~水平、真っすぐ、長さ4~15㎜。咢片は斜上し、長円形、長さ2~3㎜×幅1~1.3㎜。花弁は黄色、倒卵形、長さ3~5㎜×幅1.7~2.5㎜。中央の花糸は長さ2.3~3㎜。葯は卵形、長さ0.4~0.6㎜。果実は短角果(まれに生じる)、真っすぐ、球形又はほぼ球形、長さ2.5~3.2㎜×幅1.5~2.7㎜。胚珠は子房に18~40個。花柱は長さ1~1.5(~2)㎜。種子は2列、赤褐色、卵形、長さ0.7~0.9㎜、細かい小隆起状。2n=16。花期は5~7月。
3 Rorippa barbareifolia (DC.) Kitag. ケタマイヌガラシ
中国(黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア、 北アメリカ(アラスカ、カナダ)原産。中国名は山芥叶蔊菜 shan jie ye han cai。英名はhoary yellowcress。標高100~2100mの森林の境界、道端、湿った場所、川岸に生える。
1年草または2年草、高さは(20~)30~95(~110)cm、少なくとも基部付近には絨毛が密にあるか、または粗毛があり、上部ではまばらか、またはほぼ無毛。茎は直立し、基部は単純で、上部で分枝する。根生葉はロゼットになり、すぐに枯れる。葉柄は長さ1~7㎝、葉身は頭大羽状中裂、またはほぼ逆向き羽状分裂。 下部および中央の茎葉は無柄、披針形~倒披針形、または長円形、長さ2.5~10(~15)㎝×幅0.4~2.5(~4.5)㎝、絨毛があるかまたは粗毛があり、頭大羽状中裂し、中脈の両側に2~7個の側裂片があり、基部は耳があるかまたは抱茎、縁は不規則で細かく切り込みが入り~不規則な鋸歯状~縁が波形、または全縁、先は鋭形。最上部の葉は分裂せず、全縁または不明瞭に鋸歯がある。総状花序は苞が無い。果時の小花柄は斜上し、長さ(2~)4~12(~14)㎜、真っ直ぐ、細く、無毛または粗毛がある。萼片は長円形、広がり、長さ1.6~2.8㎜×幅0.6~1.2㎜。花弁は黄色、倒卵形またはへら形、長さ(1.5~)1.8~3(~3.5)㎜×幅0.7~1.8(~2)㎜、先は鈍形。花糸は長さ1.5~2.5㎜。葯は狭長楕円形、長さ0.5~0.6㎜。 胚珠は各子房に60~85個。果実は球形またはほぼ球形、長さ(2.5~)3.5~6(~6.5)㎜×幅(2.3~)2.8~4(~4.3)㎜。バルブは(3~)4(~6)個、革質、無毛、脈は無い。子房柄(gynophore)は長さ0.3~0.8(~1)㎜。花柱は丈夫、長さ0.5~1(~1.4)㎜。種子は暗赤褐色、長円状卵形、長さ0.5~0.7㎜×幅0.3~0.4㎜、網目がある。花期および果期は3~8月。2n=16。
4 Rorippa cantoniensis (Lour.) Ohwi コイヌガラシ 小犬芥子
日本(本州の関東以西、四国、九州)、韓国、中国、台湾、ロシア(極東)、ベトナム原産。中国名は广州蔊菜 guang zhou han cai。
1年草、高さ(5~)10~35(~45)㎝、全体に無毛、ときにまばらに長さ0.05~0.1㎜の半球形のパピラをもつ。茎は直立又は傾伏し、基部と上部で分枝し、まれに単純。根生葉は葉柄があり、ロゼットを作り、すぐに枯れ、頭大羽状分裂、羽状全裂、又は2回羽状全裂、長さ10㎝×幅3㎝・以下、側裂片は12対以下。茎葉と苞は無柄又はまれに全体に葉柄があり、基部は耳形又は矢じり形、頭大羽状分裂、羽状全裂、又は2回羽状全裂、まれに波状又は歯状、長さ(0.8~)1.5~5(~7)㎝×幅(0.3~)0.8~2.3(~3)㎝、側裂片は2~6(~7)対、長さ10㎜×幅5㎜・以下、歯状又は全縁。総状花序、全体に苞があり、苞はまれに花柄につく。果時の花柄は丈夫、斜上し、長さ(0.3~)0.7~2(~3)㎜。咢片は長円形~ほぼ楕円形、長さ1.5~2(~2.5)㎜×幅0.5~0.8㎜。花弁は淡黄色、倒卵形~狭へら形、長さ2~3(~3.5)㎜×幅0.5~1㎜。花糸は長さ1.5~2㎜。葯は長円形、長さ0.3~0.4㎜。胚珠は子房に100~230個、脈は無い。果実は広長円形~狭長円形、長さ(3~)4.5~8.5(~10)㎜×幅1.5~2.5㎜、バルブは薄い紙質、脈は無い。 花柱は長さ0.1~0.5㎜。種子は赤褐色、卵形~卵状腎形、小凹点状、2列、長さ (0.3~)0.4~0.6㎜×幅(0.2~)0.3~0.4㎜。花期と果期は2~11月。
5 Rorippa curvisiliqua (Hook.) Bessy ex Britton マガリミイヌガラシ
北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はcurve-pod yellow cress , western yellow cress。
長角果が曲がり、長さ4~13 (~18)㎜。果柄が長さ1~4.5 (~9)㎜。
1年草、無毛、ときにまばらに粗毛がある(毛状突起は円筒形)。茎は(普通、基部から少数分枝し、まれに単純)、斜上又は傾伏~平伏し、長さ(5~)10~40(~60)㎝、上部で分枝する(無毛又は下部に粗毛がある)。根生葉はロゼットにならなず、葉身は羽状中裂する。茎葉は葉柄があり又は無柄、葉身は長円形倒披針形~へら形~倒卵形(側裂片は線形~長円形~卵形l)、長さ (2~)3~9(~3)㎝×幅 8~20(~35)㎜ (側裂片は頂裂片より小さい)、基部は耳形、縁は普通、羽状中裂~羽状全裂、又は(頂裂片)全縁又は歯状、基部は耳形、縁は普通、羽状中裂~羽状全裂、まれにくし状又は(頂裂片)全縁又は歯状。総状花序はかなり長い。果時の花柄は散開状斜上~水平、真っすぐ、長さ1~4.5(~9)㎜ (無毛又はまばらに軟毛がある)。咢片は(まれに宿存し)斜上、長円形、長さ0.8~2 (~2.5)㎜× 幅0.6~1.4 ㎜。花弁は (開出し)、黄色、長円形~倒披針形、長さ0.6~1.8(~2)㎜×幅0.3~1.3㎜。中央の花糸は長さ1~1.7㎜。葯は卵形、長さ0.4~0.5㎜。果実は長角果、曲がり斜上し、長円形~線形、長さ4~13(~18)㎜×幅1~2㎜、バルブは無毛。胚珠は子房に(30~)42~106個。花柱は長さ0.1~0.8㎜。種子は2列、褐色、心形、長さ0.5~0.7㎜、小隆起状(colliculate)。2n=16。花期は5~10月。
6 Rorippa dubia (Pers.) H.Hara ミチバタガラシ 道端芥子
synonym Rorippa montana (Wall. ex Hook.f. et Thomson) Small
synonym Rorippa sublyrata (Miq.) H.Hara
synonym Rorippa sinapis sensu Ohwi et H.Hara, non Burm.f.
synonym Rorippa heterophylla (Blume) R.O.Williams
日本(関東以西)、中国、台湾、インド、ネパール、シッキム、バングラデシュ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン原産。中国名は无瓣蔊菜 wu ban han cai。海抜3700m付近の谷、荒れ地、斜面、道端、濡れた場所、草が茂った場所、畑の縁に生える。南北アメリカに帰化。
高さが低く、花弁はなく、長角果は真直ぐ、果柄も真っすぐで開出する点が特徴。
1年草、高さ(4~)15~33(~45)㎝、無毛又はまれにまばらに軟毛がある。茎はしばしば基部と上部で分枝する。根生葉は花期に枯れる。下部と中間の茎葉は耳形又は無い。葉柄は長さ4㎝以下、まれに無い。葉身は頭大羽状深列又は不分裂、倒卵形、長円形、又は披針形、長さ(2~)3~11(~15)㎝× 幅(0.5~)1~3(~5)㎝、縁は全縁、又は不規則な円鋸歯又は鋸歯縁、先は鈍形又はほぼ鋭形。頂裂片は長円形、楕円形、又は長円状披針形、長さ14㎝×幅4㎝・以下。側裂片は無い又は1~4対。最上部は普通、無柄、耳形又は耳形ではなく、葉身は披針形又は長円形、縁は全縁又は小鋸歯縁、先は鋭形~尖鋭形。総状花序は苞が無い。果時の花柄は細く、散開し、真っすぐ、長さ(2~)3~8(~10)㎜。咢片はしばしば帯ピンク色、斜上し、長円状線形、長さ(2~)2.5~3㎜×幅0.5~0.7㎜、縁は膜質。花弁はほとんど無く、まれに有り、線形~狭倒披針形、長さ1.5~2.5㎜×幅0.2~0.7(~1)㎜、しばしば咢片より短い。花糸は長さ1.5~2.8㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は子房に70~90個。果実は線形、長さ(1.5~)2.5~4㎝×幅0.7~0.9(~1)㎜、真っすぐ。バルブは薄い紙質、脈はない。花柱は長さ0.2~1(~1.5)㎜、丈夫で幅が果実の幅とほぼ同じ、まれに細く狭い。種子は赤褐色、ほぼ4稜形又は卵状球形、長さ0.5~0.8㎜×幅0.4~0.6㎜、小凹点状(foveolate)、1列。花期と果期は通年。2n=32 ,48。
7 Rorippa globosa (Turcz. ex Fisch. et C.A.Mey.) Hayek ミギワガラシ 水際芥子
synonym Rorippa nikkoensis H.Harasynonym Rorippa islandica (Oeder) Borbas var. nikkoensis (H.Hara) Kitam.
日本(本州の栃木県、長野県、秋田県)、韓国、中国、台湾、モンゴル、ロシア、ベトナム原産。中国名は风花菜 feng hua cai 。
1年草又は短命の多年草、高さ(20~)30~90(~120)㎝、密に絨毛又は少なくとも基部近くに粗毛があり、まれに上部は無毛。茎は直立、基部は1本、上部で分枝する。根生葉はロゼットになり、すぐに枯れる。葉柄は長さ1~4㎝。葉身は頭大羽状中裂又はほぼ逆向き羽状分裂(runcinate)。下部と中間の茎葉は無柄、披針形、倒披針形、又は長円形、長さ2.5~10(~15)㎝×幅0.3~2.5(~4)㎝、 粗毛があり、頭大羽状中裂で1~3対の側裂片をもち、ときに分裂せず、基部は耳状又は抱茎、縁は不規則な歯状、欠刻状又は鋸歯状、先は鋭形。頂裂片は不明瞭又はよく発達し、長さ8㎝×幅4㎝・以下。最上部の葉は不分裂、鋸歯状、歯状、小鋸歯状。総状花序は苞が無い。果時の花柄は散開し、長さ (2~)4~8(~10)㎜、真っすぐ又はわずかに反曲し、細く、無毛又は粗毛がある。咢片は長円形、開出し、長さ(1~)1.3~1.8(~2)㎜×幅0.5~0.9㎜。花弁は黄色、倒卵形、長さ0.7~1.3(~1.5)㎜×幅0.3~0.8㎜、先は鈍形。花糸は開出し、長さ1.2~1.8(~2)㎜。葯は長円形、長さ0.4~0.5㎜。胚珠は子房に60~100個。果実は球形~ほぼ球形、長さ2~3(~3.5)㎜×幅(1.5~)2~3㎜。バルブは2個、紙質、無毛、脈は無い。子房柄(gynophore)は長さ 0.1~0.4㎜、ときに無い。花柱は丈夫、長さ 0.1~0.8(~1)㎜。種子は暗赤褐色、広卵形、長さ0.5~0.8㎜×幅0.4~0.5㎜、網状。花期と果期は4~11月。
8 Rorippa indica (L.) Hiern イヌガラシ 犬芥子
synonym Rorippa atrovirens (Hornem.) Ohwi et H.Hara
日本全土、朝鮮、中国、インド、ネパール、パキスタン、東南アジア原産。中国名は蔊菜 han cai 。英名はIndian yellow cress, variable leaf yellowcress。
1年草(2年草)。高さ(6~)20~60(~75) ㎝、無毛、まれにまばらに軟毛がある。。短い根茎がある。茎はしばしば基部や上部で分枝する。根生葉は花時に枯れる。下部と中間の茎葉は耳形又は耳形で無い。葉柄は無又は長さ1~4㎝。葉身は頭大羽状深裂又は分裂せず、倒卵形~長円形~披針形、長さ(2.5~)3.5~12(~16)㎝×幅(0.8~)1.5~4(~5)㎝、縁は全縁、又は不規則な円鋸歯~鋸歯縁、先は鈍形又は類鋭形。頂裂片は長円形、楕円形、長円状披針形、長さ10㎝×幅5㎝・以下。側裂片は無いか又は又は1~5(~6)対。最上部の葉は普通、無柄、耳形又は耳形でなく、葉身は披針形~長円形、縁は全縁、小歯状、又は小鋸歯状、先は鋭形~尖鋭形。花序は苞が無い。花は直径4~5㎜の黄色の4弁花。果時の花柄は細く、斜上、散開、又はまれにわずかに下屈し、真っすぐ、長さ(2~)3~10(~15)㎜。咢片はしばしば緑色又は帯ピンク色、斜上し、 長円状卵形、長さ2~3㎜×幅0.8~1.5㎜、縁は膜質。花弁は黄色、倒卵形~へら形、長さ(2.5~)3~4(~4.5)㎜×幅1~1.5㎜、まれに欠く。花糸は長さ1.5~3㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は子房に(60~)70~110個。果実は線形の長角果、長さ(0.7~)1~2.4(~3)㎝×幅1~1.5(~2)㎜、弓状に少し曲がることが特徴であり、ただし、真っすぐな場合もあり、果嘴は短く、熟すと果皮が2裂し、種子が落ちる。種子は2列、赤褐色、卵形~卵状球形、長さ0.5~0.9㎜×幅0.4~0.6㎜、小凹点状(foveolate)、花弁が退化したものはアオイヌガラシという。2n=24,32,48。花期は通年[4~6(9~11)月]。
8-1 Rorippa indica (L.) Hiern f. longicarpa (Koidz.) Kitam. ナガミノイヌガラシ
synonym Rorippa atrovirens (Hornem.) Ohwi et H.Hara f. longicarpa (Koidz.) Ohwi et H.Hara
長角果が長く、2㎝以上あるもの。8-2 Rorippa indica (L.) Hiern f. viridiflora Hiyama アオイヌガラシ
synonym Rorippa indica (L.) Hiern var. apetala Hochr.花弁が無いもの。花弁のないミチバタガラシと混同されやすいもの。
高さ約40㎝。葉は長さ約10㎝、葉先はイヌガラシのようによくとがり、鋸歯端に毛がない。花は花弁が無く、ごくまれに、わずかに花弁の現われたものが混在する程度。咢片は長さ約2.5㎜。葯は長さ0.7~0.8㎜、花粉吐出後には著しく曲がる。長角果は長さ10~21㎜、多少曲がり、かつ斜めに上向して、広く開出する ようなことがない。
9 Rorippa palustris (L.) Besser スカシタゴボウ 透かし田牛蒡
synonym Rorippa islandica auct. non (Oeder) Borbas
synonym Rorippa islandica (Oeder) Borbas var. fernaldiana Butters et Abbe
日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア、インド、ネパール、ブータン、シッキム、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は沼生蔊菜 zhao sheng han cai 。英名はmarsh cress , marsh yellow cress , bog yellowcress , yellow cress , yellow-watercress。2年草。高さ35~50㎝。地下茎は無く、茎は直立し、下部でもよく分枝し、無毛。葉は普通、頭大羽状に中裂し、不規則な鋸歯があり、基部には小さな耳形(基部がくびれてからまた急に張り出す形)の突起があり、小さく茎を抱く。葉は深裂、浅裂するものなど変化が多く、果実の長、毛の量などと合わせていくつかの変種に分類されている。花は直径2.5~3㎜の黄色十字形花。萼片4、雄しべ6、雌しべ1。果実は幅2~2.5㎜、長さ4~5㎜と短く、隔壁で2室に分かれ、多数の種子がジグソーパズルのようにほとんどすきまなく並ぶ。果柄の長さは果実の長さとほぼ同じ。熟すと果皮が裂け、種子を出す。花序の下側に白色の果実の隔壁だけが残っているのがよく見られる。アブラナ科の果実は角果と呼ばれ、スカシタゴボウのような果実は長さが幅の3倍以内であり短角果と呼ばれる。葉の変化もあり、分類は難しく、葉の分裂、果柄の長さ、果実の長さなどが重要な観察ポイント。2n=32 。花期は4~10月。
10 Rorippa sylvestris (L.) Besser キレハイヌガラシ 切葉犬芥子
日本(北海道、本州中部以北)、中国、ロシア、インド、カシミール、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。 南北アメリカに帰化。中国名は欧亚蔊菜 ou ya han cai 。英名はcreeping yellow cress , creeping yellow field cress , yellow field cress , creeping yellow cress。別名はヤチイヌガラシ 。日本のものは外来といわれている。
地下茎があり、切れた地下茎からも再生が可能で、駆除が困難な害草。葉が羽状全裂し、各裂片の縁は歯状~鋸歯状。果実は長角果、細い。
多年草、高さ(5~)15~80(~100)㎝、無毛又はまばらに軟毛がある。茎は平伏、傾伏、斜上、又は類直立、主に基部から分枝する。ロゼットの葉はすぐに枯れ、茎葉に似ている。中間の茎葉は葉柄があり、羽状全裂する。葉柄は耳状にならず、まれに小さな耳状になる。葉身は長さ(2~)3.5~15(~20)㎝×幅(0.7~)1~4.5(~6)㎝、側裂片は3~6対、ほぼ線形、披針形、長円形、楕円形、又は卵形、縁は歯状又は鋸歯状、ときにほぼ全縁。最上部の葉は側裂片が1~3個又は分裂せず、しばしば無柄。総状花序は苞が無い。果時の花柄は長さ (3~)4~10(~12)㎜、細く、散開する。咢片は緑色又は黄色、長円形、長さ1.8~3(~3.5)㎜×幅0.7~1.5㎜、斜上又は開出する。花弁は黄色、へら形~倒卵形、長さ(2.2~)2.8~5.5(~6)㎜×幅1.5~2.5㎜、先は円形。花糸は長さ(1.5~)1.8~3.5(~4)㎜。葯は長円形、長さ0.7~1㎜。胚珠の数は様々、ほとんど未熟。果実は線形、ごく稀に、長円状線形、長さ(0.4~)0.7~2(~2.5)㎝×幅(0.7~)1~1.3(~1.6) ㎜、まれに種子を作る。花柱は長さ0.5~1(~1.5)㎜。柱頭はほぼ全縁又はわずかに2裂。種子は赤褐色、卵形、 小隆起状(colliculate)、1列又はまれに類2列、長さ0.6~0.9㎜×幅0.4~0.5㎜。花期と果期は5~9月。2n=32, 40, 48。
11 Rorippa teres (Michx.) Stuckey コゴメイヌガラシ 小米犬芥子
synonym Rorippa obtusa (Nutt.) Britton
北アメリカ(USA、メキシコ)、中央アメリカ(ホンジュラス、ニカラグア)原産。英名southern yellowcress , southern marsh yellowcress。標高0~600mの湿った場所、泥だらけの地面、運河や溝の端、砂地、池の縁、川辺、泥炭地に生える。
1年草またはまれに2年草。少なくとも下部は微軟毛があるか、または無毛(一部の毛状突起は棍棒形~半球形、小胞があるvesicular)。茎は(基部から1本または数本)、通常は平伏または傾伏、まれに直立し、上部で分枝し、10~40㎝(無毛または毛があり、毛胞状trichomes vesicular)。根生葉はロゼットになり、葉身は羽状中裂する。茎葉は短い葉柄があり、葉身は長円形~倒披針形~倒卵形、または頭大羽状全裂、(側裂片は長円形~卵形)、長さ(2~)3.5~10(~13.5)㎝×幅10~40(~53)㎜、基部は耳があるかまたは無く、縁は通常、羽状中裂~羽状全裂、まれに2回羽状中裂、(側裂片)歯状~円鋸歯状または波状、(表面は無毛または上面に毛があり、毛状突起は小胞状)。総状花序は長い。果時の小花柄は斜上~水平、真っすぐまたは曲がって斜上し、長さ(1.5~)2.3~4.7(~5.3)㎜。萼片は直立、長円形、長さ1.5~2.5㎜×幅0.5~1㎜。花弁は黄色、へら形、長さ1~2㎜×幅0.4~0.7㎜。中央の花糸は長さ1.2~1.7㎜。葯は卵形、長さ0.2~0.3㎜。果実は長角果、真っすぐまたは曲がり、線形~長円状線形、長さ8~14(~21)㎜×幅1~2.5㎜。バルブは無毛または毛がある。胚珠は各子房に(100~)150~210個。花柱は長さ(0.2~)0.5~1.1㎜。種子は2列、赤褐色、心形、長さ0.4~0.5㎜、小窩(小穴)がある。花期は12月~5月。
12 ハイブリッド
(1) Rorippa x armoracioies (Tausch) Fuss キレハミミイヌガラシ
ミミイヌガラシ×キレハイヌガラシ
(2) Rorippa x brachyceras (Honda) Kitam. ex T.Shimizu ヒメイヌガラシ
スカシタゴボウとイヌガラシの自然交雑種
参考
1) Flora of ChinaRorippa
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128745
2) Plants of the World Online | Kew ScienceRorippa
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30017366-2
3)GRINRorippa
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10543
4)Flora of North AmericaRorippa<
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=128745
5) 植物研究雑誌 Journ. Jap. Bot. Vol. 38 No.2 p56-61(1963)檜山庫三:牧野標本館雑記 (10)