イブキジャコウソウ 伊吹麝香草

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae イブキジャコウソウ属

別 名 ヒャクリコウ
英 名 desert thyme
中国名 地椒 di jiao
学 名 Thymus quinquecostatus Celak. var. quinquecostatus

 synonym Thymus quinquecostatus var. ibukiensis (Kudô) H.Hara

 synonym Thymus serpyllum var. ibukiensis Kudô

 synonym Thymus quinquecoslatus Celak. var. laxus Hara

イブキジャコウソウの花
イブキジャコウソウの花と萼
イブキジャコウソウの萼
イブキジャコウソウの葉
イブキジャコウソウ
花 期 7~8月
高 さ 2~10㎝
生活型 矮性低木
生育場所 低地~山地の岩場、乾燥した草地
分 布 在来種  日本(北海道、本州、九州)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア
撮 影 伊吹山   02.8.2
イブキジャコウソウは伊吹山で最初に発見されたため、この名が付けられている。低山から高山まで、広い範囲に分布する。YListではThymus japonicusをジャコウソウに含めているが、POWOでは別種のイワジャコウソウとしている。
 矮性低木。高さ2~10㎝。全草に良い香りがする。茎は這い、よく分枝する。葉は十字対生し、長さ5~10㎜、幅3~6㎜の卵形~狭卵形、鈍頭、全縁。葉に腺点がある。花は淡紅紫色の唇形花。花冠は長さ7~8㎜、花冠の内部に細毛がある。上唇は2裂し、下唇が大きく、3裂する。花冠の筒部は萼より短い。雄しべ4個。萼は長さ5~6㎜、萼歯は5個、下側の2歯は細い。果実は4分果。花期は7~8月。
 白花品はシロバナイブキジャコウソウという。
 田原市の笠山でも過去には見られたということだが、今では自然のものはほとんど見られなくなっている。山草として栽培され、栽培品はときどき見かけられる。

イブキジャコウソウ属

  family Lamiaceae - genus Thymus

 低木又は亜低木、上部はしばしば草状になり、普通、雌花両性花異株(gynodioecious)、芳香がある。茎は普通、4稜形、毛は全体又は2対面だけ又は角だけにある。葉は小さく、普通、全縁又は1~3個の小鋸歯があり、しばしば外巻き。花序は頂生して、密につく輪散花序(verticillasters)。しばしば、穂状花序や間隔の開いた密錐花序(thyrse)になる。輪散花序は密な頭状又は穂状。花は花柄がある。萼は筒状鐘形~狭い鐘形、10~13脈があり、2唇形、のど部に環状の白毛をもつ。萼の上唇は開出又は真っすぐ、3歯があり、萼歯は三角形~披針形。萼の下唇は2歯があり、歯は錐形。花冠は2唇形、花冠筒部は突き出ず又は突き出す。上唇は真っすぐ、凹形。下唇は広がり、3裂し、裂片はほぼ等長又は中裂片が長い。雄しべは4本、離生。前側の2本は長く、突き出るか又は突き出ない。葯室は2、平行又は散開。花柱は先が2裂、裂片は錐形、等長又は不等長。小堅果は卵形又は長円形、平滑。2n = 24, 26, 28, 30, 32, 42, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 84, 90。
 世界に約269種あり、グリーンランド、温帯、亜熱帯のユーラシア、北アフリカに分布する。多数のハイブリッドが確認され、合わせて300~400種ともいわれる。アメリカに帰化している。英名はThyme。ハーブとして使われるタイム。中国名は百里香属 bai li xiang shu。

イブキジャコウソウ属の主な種と園芸品種

1 Thymus amurensis Klolov コウアンジャコウソウ 興安麝香草
  synonym Thymus inaequalis Klolov
  synonym Thymus curtus Klolov
  synonym Thymus nervulosus Klolov
 中国(黒龍江省)、ロシア原産。中国名は黑龙江百里香 hei long jiang bai li xiang。砂利の斜面に生える。
 茎は細く、湾曲し、基部で分枝し、先に斜上する栄養枝がある。稔性の枝は直立~斜上し、長さ6~20㎝、節間は ± 長く、密に開出した絨毛がある。根生葉は不明瞭な葉柄があり、密につき、大部分は卵形、長さ3~5㎜×幅1.3~1.5㎜、先はほぼ鈍形。中間の茎葉は葉身が長さ0.5~1.5㎝×幅1.5~4.5 mm。上部の葉の葉柄は葉身の長さの1/3。葉身は大部分が長円状楕円形、密に毛があり、下面にはかなり長い毛があり、腺があり、縁には鋸歯がある。花序は頭状。小花柄は萼より短く、密に毛がある。萼は狭鐘形で、長さ3.8~5㎜、毛があり、先は暗紫色。上唇の歯は披針形、長い縁毛がある。花冠は萼片の約2倍の長さで、バラ紫色、乾くと±帯白色(標本は見られない)。

2 Thymus camphoratus Hoffmanns. & Link カンファータイム
 ポルトガル原産。英名はCamphor thyme。岸近くの安定した石灰岩ベースの砂丘のヒース原や乾燥地帯の低木地帯に生える。カンファー(=樟脳)の臭いがある。
 亜低木、直立し、高さ15~30㎝。若い茎は断面が四角形で、非常に短い毛がある。葉は長さ6~8㎜×幅2~4.5㎜、卵状三角形または菱形、上半分が外巻きし、先は鋭形またはほぼ鈍形、下面には帯白色の綿毛があり、上面は無毛になるかまたは軟毛があり、帯黄色のほぼ球形の腺で密に覆われる。花序は直径10~15㎜の頭状花序である。苞葉は長さ7~9㎜×幅5~8㎜、広卵形、しばしば淡いピンク色または赤色を帯び、毛があり、下面にはほぼ球形の腺が散在し、腺毛があり、目立つ脈がある。萼片は長さ4~6㎜、広がり、上部の歯は長さ0.7~1㎜、等長で縁毛はない。花は長さ5~8㎜、ピンク色または紫色、下唇は大きく、ほぼ等長の裂片がある。雄しべは突き出し、葯は紫色。果実は長さ0.7~0.9㎜×幅0.6~0.7㎜、楕円形、暗褐色。2n=30。
品種) 'Derry'

3 Thymus carnosus Boiss. ティムス・カルノスス
 ポルトガル南部、スペイン原産。沿岸の砂、半細かい砂丘に生える。
 亜低木 高さ15~30㎝、大きな根系は最大1m以上になる。茎は直立し、若い茎は四角形の断面を持ち、密に後ろ向きの白色の毛がある。葉は長さ4~4.5㎜×幅1~1.5㎜、線状楕円形、ほぼ円筒形、外巻きし、肉質、上面は無毛、下面は毛があり、基部にはかすかな縁毛があり、表面全体に帯黄色のほぼ球形の腺がある。花序は直径9~12㎜、頭状花序。苞は長さ5~6㎜×幅3~4㎜、葉より幅が広く、卵形、外巻きし、縁毛があり、ほぼ球形の腺が散在し、ときに下面に腺毛がある。萼は長さ3.5~4.5㎜、鐘形。萼筒は長さ約2㎜、毛がある。上側の歯は同長で、縁毛はない。花冠は長さ5㎜以下、白色またはクリーム色、筒部が突き出る。上唇はノッチがあり、下唇はほぼ同じ裂片を持つ。小堅果は長さ0.8~0.9㎜×幅0.5~0.7㎜、球形。 2n=56。花期は(3)5~9(12)月。
品種) 'Argenteus'

4 Thymus cherlerioides Vis. ティムス・チェルレリオイデス
  synonym Thymus cherlerioides var. isauricus Jalas
  synonym Thymus humillimus Čelak.
  synonym Thymus cherlerioides var. oxyodon Jalas
 トルコ原産。英名はsilver needle thyme。山岳地帯に生える。
 小型で、株は直径2.5~5㎝になる。茎は分枝して、長く這い、紫褐色を帯び、無毛。葉は対生し、先に密集し、狭倒披針形~線形、先は鈍形、緑色~灰緑色、ときに紫褐色を帯び、縁は外巻きし、縁にまばらに目立つ長い開出毛がある。短い花枝の先の半球形の花序に花を密につける、花は淡ピンク色、2唇形、裂片は4個、上側の裂片は直立し、先が浅い凹形、下側の3裂片は広がり、先が円形。萼は紫褐色、裂片の先は鋭く尖る。
品種)  'Silver Needle'

5 Thymus disjunctus Klokov ティムス・ディスジュンクトゥス

 中国(黒龍江省、吉林省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は长齿百里香 chang chi bai li xiang。砂利質の草原、砂地の谷に生える。
 茎は細く、弓状。稔性の小枝は長さ2.5~8㎝、暗紫色で、各葉の基部から後向きの毛が生える。不稔性の小枝は頂生、側生、または根茎から生じ、這うかまたは斜上する。葉柄は葉身の長さの約1/2まで。葉身は長円形、長さ0.6~2㎝×幅1.5~7㎜。基部の葉は短い葉柄があり、葉柄は長さ2~4㎜、腺毛があり、開花時に大部分が落葉し、縁には明瞭に2~3個の円鋸歯があり、縁毛がある。上部の葉はほぼ鋭形。花序は頭状で、輪散花序は広く離れる。小花柄は長さ3.5㎜まで、後向きに毛がある。萼は筒状鐘形、長さ5~6㎜、帯紫色または暗紫色、基部には細柔毛があり、先は無毛。上唇の歯は唇弁の長さの約3/5で、狭披針形、縁には微細な剛毛がある。花冠はバラ紫色、長さ1~1.2㎝。小堅果は楕円形、長さ0.7~0.8㎜×幅 0.5~0.7㎜(標本は未確認)。

6 Thymus doerfleri Ronniger ティムス・ドエルフレリ
  synonym Thymus karadzicensis Matevski & Micevski
 アルバニア、ユーゴスラビア原産。別名はアルバニアタイム。日当たりの良い乾燥した暖かい岩の多い斜面、弱塩基性から酸性の風化岩に生える。
 常緑亜低木、匍匐茎を伸ばし、低いマット状になり、高さ5~10(40)㎝、幅30㎝になる。葉は対生し、灰緑色、倒卵形、長さ0.4~2㎝、白色の開出毛があり、葉にレモンに似た芳香がある。頂生の半球形の花序に花が多数つく。花は小さな2唇形、筒形。萼は紫褐色、鐘形、白色の開出毛があり、先に5歯がある。上側の3歯は三角形でやや短く、下側の2歯は線形で長い。花冠は2唇形、ピンク色、外側は色が濃く、毛がある。上唇はほぼ円形、下唇は楕円形の裂片が3個。小堅果はほぼ球形、硬い。花期は5~7月。
品種) 'Bressingham' , 'Bressingham Pink' , 'Doone Valley' , 'Reiter's' , 'Rasta'

7 Thymus herba-barona Loisel. ティムス・ヘルババロナ
 コルシカ島原産。英名はCaraway thyme。別名はキャラウェイタイム。キャラウェイの種子に似た強い香りがあり、料理によく使用される。精油には抗菌作用があり、様々な薬用や消毒剤として使用される。
 多年草、匍匐性、高さ10~25㎝。茎は分枝し、平伏し、断面が4角形、赤色を帯びる。葉は対生または互生し、菱状卵形~狭い卵形、長さ4~10㎜×幅3~4㎜、ときに長く披針形になり、先は鋭形、基部は楔形~円形、全縁、緑色、無毛、やや二つ折りで上面が窪む。花は枝先の密な花序に多数つく。萼は紫褐色または緑色。花冠は2唇形、ピンク色~淡ピンク色、上唇は1裂片、直立し、下唇はほぼ等形の3裂片、広がる。
品種) 'Bob Flowerdew', 'Lemon-scented'

8 Thymus hyemalis Lange ティムス・ヒエマリス
 スペイン原産。英名はpurple thyme , winter thyme。標高10~500mの石灰岩、ローム質、石膏基質、火山岩、そして場合によっては雲母質の破片、粘板岩または砂質土壌、または重元素で撹乱された土壌の、多少伐採されたタイムの茂みに生える。
 亜低木、高さ15~50cm。茎には毛があり、短い毛が生える。葉は長さ3.5~6.5㎜×幅0.8~2㎜、線形~線状披針形、縁が外巻きし、基部に縁毛があり、上面は無毛または毛があり、下面は毛があり、散在するほぼ球形の腺があり、帯赤色、ほぼ葉柄がある。若い葉は覆瓦状につき、エリコイド(ericoid:ツツジ科 Ericaceae に形成される独特の形状)のような外観を持つ。花序は長さ10~16㎜、頭状、ときに穂状花序状。苞は長さ3.5~6.5㎜×幅1.5~3.5㎜、葉と同色および一貫性を持ち、楕円形、縁に縁毛があり、ほぼ粗毛がある。花は小花柄が長さ1~3㎜で毛があり、通常は腺毛が生える。萼は長さ3.5~6.5㎜、しばしば帯赤色になる。萼筒は長さ1.5~2.5㎜、散在する長いアーチ状の開出毛があり、明らかな帯赤色のほぼ球形の腺がある。上側の歯には縁毛があり、ときに散在する。花冠は長さ4~8㎜、帯ピンク色。上唇にノッチがあり、下唇より短い。葯は紫色。小堅果は長さ0.6~1.2㎜、楕円形、褐色。2n=58。
8-1 Thymus hyemalis subsp. hyemalis
 スペイン原産。標高0~500mの多少、伐採されたタイムの茂み、石灰岩、ローム質、石膏の基質、火山岩、雲母質の破片、スレートまたは砂質の土壌に生える。
 花序は一般的に頭状である。萼は長さ3.5~5㎜。小堅果は長さ0.6~1㎜。2n=58。
8-2 Thymus hyemalis subsp. millefloris (D.Rivera, Flores & Laencina) R.Morales
 スペイン原産。標高300mのリン酸塩が豊富な石灰岩の基質で重元素が除去された土壌に生える。
 花序は一般に穂状花序。萼は長さ5~6.5㎜。小堅果は長さ0.6~0.8㎜×幅0.8~1.2㎜、楕円形、暗褐色。2n=58。
品種) 'Albus'

9 Thymus japonicus (H.Hara) Kitag. イワジャコウソウ 岩麝香草

  synonym Thymus quinquecostatus var. japonicus H.Hara in Bot. Mag. (Tokyo) 51: 145 (1937)

 日本(本州、九州)、朝鮮原産。YListではThymus japonicusをジャコウソウに含めているが、POWOでは別種としている。
 Thymus quinuquecostatus Celakovsky と比べると、基部の葉はより毛深く、縁毛で縁取られ、しばしば、2~5対の側脈がはっきりと斜上することが多く、花はあまり香りがない。萼は上側の歯は短い三角形で先端は尖鋭形~錐形、花冠筒部は一般的に萼より明らかに長く、花冠の裂片は広く、明るい橙色の腺があり、一種の匂いなどがあり、匂いが弱い。
 芳香のある亜低木。てい幹は木質、長くなるかまたは短く、枝は基部の根がある節から急に伸び、直立する花枝は高さ2~20㎝、鋭いまたは鈍い4稜形、最初うねに、まれにすべてに柔らかい白色のゆるく密に後ろ向きの毛があり、しばしば赤紫色の毛がある。葉は無柄または短い葉柄があり、狭い卵形~広卵形、先は尖った鈍形、基部は徐々にまたは急にくさび形になり、両面は全体が草質または粗い紙質(papyracea)で、一般に表裏同色、上面は明るい緑色で無毛、下面は無毛または両面の1次脈に毛があり、縁には明らかに橙色の腺点があり、長い多細胞毛があり、緩く縁毛があり、側脈は多少ザラつき、2~5対、長さ1.5㎝、幅6.5㎜まで。輪散花序は、頭状(capituliform)の頂生の穂状花序に密に詰め込まれるが、果時にはより緩くなる。葉状の苞は狭い披針形、線状錐形、先は次第に尖鋭形になり、1脈があり、縁には緩く縁毛があり、腺点があり、長さ約2.5㎜まで。小花柄は短く、背面に短い毛があり、密に思春期があり、通常は果時に帯赤色になり、長さ5㎜以下。萼は倒円錐状鐘形、多少隆起した脈を持ち、2唇形、外側にまばらな腺点と開出する毛があり、花時に長さ4.5~5㎜、喉までの萼筒は長さ2.5㎜、内側には非常に密な長い白色のひげがあり、上唇は長さ3㎜、先に3歯があり、歯は三角形、先が尖鋭形~錐形、やがて反り返り、中央の歯は長さ1.5㎜、基部の幅0.6㎜。下唇は2歯、歯は堅い錐形の剛毛状、長さ2.5㎜、すべての歯には白色の微細剛毛の縁毛がある。花冠ははっきりしたまたは淡いバラ紫色で、2唇形、長さ7mm、外側に腺点とまばらに毛がある。花冠筒部は長さ5~6㎜、萼より長く、斜めの倒円錐状筒形。下唇は3裂し、中央裂片は長さ2.5~3㎜の楕円形、先は丸く、2個の側裂片は広く、楕円形で先は丸く中央裂片とほぼ同長。上唇は全縁、円状楕円形、先端はわずかに鈍く長さ2.5㎜。雄しべは花冠筒部の上部に取り付けられる。花糸は糸状、無毛、長い花糸は長さ約4.5㎜、短い花糸は長さ約3.5㎜。葯は明瞭に2深裂し、楕円形の部分は長さ0.5㎜、幅0.3㎜。雌しべは長さ1.3㎝、平滑。柱頭は2深裂し、枝は長さ0.5㎜、反り返る。果実は多少扁平な球形、濃褐色、粉状で非光沢がなく、直径0.7~0.8㎜。[J. Jap. Bot. 27: 205 (1952)]
 [J. Jap. Bot. 27: 205 (1952)]ではシロバナイブキジャコウソウ(f. albiflorus)、ハマジャコウソウ(f. maritimus)、イブキジャコウソウ(var. ibukiensis)が下位に分類されていた。POWOではイブキジャコウソウはThymus quinquecostatus var. quinquecostatusとしている。

10 Thymus leucotrichus Halácsy ティムス・レウコトゥリクス
 アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、クレタ島、トルコ、レバノン、シリア原産。英名はjuniper thyme, moonlight thyme。標高1200~3000mの山岳ステップ、岩の多い斜面に生える。
 矮性低木、ゆるいクッション状またはマット状になる。主枝は傾伏し、腋生で葉が束生すまたは直立する花茎は長さ1.5~6㎝、全体に毛があるかどうかは不定。葉は長さ4~9.5㎜×幅0.6~1.3㎜、線状披針形、ほとんどがビロード状の微軟毛であり、加えて長い毛があり、油点がないかまたは少なく、淡色。縁はわずかで外巻きし、または厚くなった擬外巻きで、少なくとも基部の半分には縁毛がある。花序は頭状。苞葉は幅1.8~3.5㎜、楕円状卵形で、通常、縁が厚くなり、先で縁は外巻きし、基部がほとんどが有色で、下側に1~2(~3)対の側脈がある。小苞は長さ1~2.5㎜。萼片は長さ3.5~5.2(~6.5)㎜、油点はないかまたは少なく、帯黄色。上部の萼歯は長さ0.8~1.6㎜、縁毛がある。花冠は藤色~紫色、長さ6~8㎜。
品種) 'Peter Davis'
10-1 Thymus leucotrichus var. creticus (Bald.) Ronniger
 クレタ島原産。
 縮れた木質の主枝を持つ植物で、葉は束生し、無柄、葉身は線状披針形、長さの異なる毛で覆われる。花茎は直立し、10㎝まで伸びる。頭状花序は卵形~球形。苞葉は葉状、幅1.5~3㎜、帯紫色。萼片は長さ4.5~5.5㎜、上側の歯は長さ1~5㎜、披針形、縁毛がある。花冠はピンク紫色、筒部は萼をわずかに超える。
10-2 Thymus leucotrichus subsp. leucotrichus
  synonym Thymus euboeus Halácsy
  synonym Thymus leucotrichus var. austroanatolicus Jalas
 アルバニア、ギリシャ、クレタ島、レバノン・シリア、トルコ原産。標高1600~2000(~2300)mの岩の多い石灰岩の斜面とドリーネ(dolines:石灰岩地域でみられるすり鉢状の凹地)に生える。
 匍匐性の主枝を持ち、腋生の葉房をつけて直立または斜上する。花茎は長さ10cmまで、密に短毛が生える。中央部の茎葉は長さ7~15㎜×幅0.8~2㎜、線状長円形、厚く、葉脈は目立たず、腺点は無く、密に微軟毛があり、少なくとも下半分には長い白色の縁毛があり、縁は外巻きしないか、かすかに外巻きする。花序は頭状、卵形~球形。苞葉は幅1.5~4㎜、葉状、長円形、帯紫色。萼は長さ4.5~5.5㎜。上側の歯は長さ約1~5㎜、披針形、縁毛がある。花冠はピンク紫色、筒部は萼片をわずかに越える程度。花期は5月下旬~7月。
 var. austroanatolicusはPOWOではsubsp. leucotrichusに含められた。
1. 葉は軟毛で、さらに長い毛がある。萼片は長さ5㎜以下:var. leucotricus
1. 葉は軟毛がない(若い葉は除く)。萼片は長さ4.5~6.5㎜:var. austroanatolicus

10-3 Thymus leucotrichus subsp. neiceffii (Degen & Urum.) Jalas

  synonym Thymus neiceffii Degen & Urum.
 アルバニア、ブルガリア、ギリシャ原産。英名はJuniper Leaf Thyme。
 多年草、匍匐して広がり、高さ2.5~4㎝。葉は灰緑色、線形。花は藤色~ピンク色。花期は春。
品種) 'Juniper Thyme'

11 Thymus longicaulis C.Presl ロンギカウリスタイム
 ヨーロッパ南東部、トルコ原産。英名はcreeping thyme , Mediterrranean creeping thyme。別名はティムス・ロンギカウリス。
 Thymus praecox Opizに似ているが、花茎は普通、長さ10(~15)㎝以下、茎葉は全てほぼ同サイズ(基部に束生する小さな葉は除いて)、長さ5.5~13.5㎜×幅1.2~3.4(~4.7)㎜、幅の普通3~5倍、線状披針形~倒披針形~楕円状披針形、しばしば縁が弱く外巻きし、油腺点は多数あり、普通、赤色、側脈は廃れ~明瞭、消えていく。小苞は普通、長さ1~2㎜、花柄より短い。萼は長さ2.5~4㎜、筒部は萼歯より短く、ときに同長。上唇の萼歯はは下唇の萼歯と同長又はわずかに長い。
11-1 subsp. longicaulis
 葉は普通、幅1.5~2.5mm、線状披針形~倒披針形、鈍形、側脈はめったに明瞭にならない。萼は紫色を帯び、上唇の萼歯は下唇の萼歯と同長。上唇の萼歯は長さ(0.5~)0.7~lmm、尖らない(not pungent)。花冠はライラック色~紫色。花期は4~8月。
10-2 subsp. chaubardii (Rchb.f.) Jalas
 葉は普通、幅2~3.3mm、 ±披針形、普通、鋭形、しばしば皮革質、側脈が目立つ。萼は帯緑色、めったに紫色を帯びない。上唇の萼歯は下唇の萼歯と同長又は普通、長い。上唇の萼歯は長さ(0.5~)0.8~1.2㎜、しばしば尖る(pungent)。花冠は淡色。花期は5~7月。

12 Thymus mandshuricus Ronniger ティムス・マンシュリクス
 中国(黒龍江省)原産。中国名は短节百里香 duan jie bai li xiang。POWOには掲載されていない。
 植物はほぼ直立する。稔性の小枝の基部はやや木質化し、長さ30㎝まで、直径1.5~2㎜、小枝があり、広がり、密に粗毛があり、毛は長さ0.5~1㎜、節間は 0.9~1.1 cm。葉は広菱形楕円形~楕円形で、長さ0.8~1.2㎝×幅3~7㎜(葉柄を含む)、密に軟毛があり、腺が明瞭で、葉腋には長さ2.5~4㎜×幅1~2.5㎜の葉の房がある。花序は穂状で長さ5㎝まで。小花柄は長さ2~4㎜。萼は花時には長さ約5㎜、果時に長さ6㎜で、丈夫な脈と腺があり、萼筒は長さ2.5㎜、上側の萼歯は三角形で長さ約1㎜、縁毛がある。花冠はバラ色、細柔毛があり、長さ約8㎜。花冠筒部は狭い漏斗形、長さ約5㎜、上唇の先は凹形、下唇は±細長い(標本は見られない)。

13 Thymus mastichina (L.) L. ティムス・マスティチナ
 ポルトガル、スペイン原産。標高10~1800mの道路の端や放棄された畑、ガレ場や岩場、主に粗い質感の珪質基質、砂地や固定海岸砂丘に生える。
 亜低木、高さ50(80)cmにもなり、直立して優雅に根元から分枝する。茎は直立・斜上し、ときに赤色を帯び、四角形の断面を持ち、短い逆向きの毛が生える。葉は長さ3.5~13㎜×幅1~4㎜、楕円形または披針形、平らで基部に縁毛がなく、帯黄色のほぼ球形の腺があり、葉柄がある。越冬する葉は束生し、小さく、毛が密生し、非常に短い毛で、灰白色(ashy)である。若い茎の古い葉は、無毛になり、緑色、全縁、またはときに小円鋸歯のある縁を持つ。花序は穂状花序形または球形、直径10~18㎜、一般に基部に離れた輪散花序を持ち、しばしば分割され、側方に有柄または無柄の団散花序(glomeruli)を持つ。苞は長さ4~8㎜×幅3~6㎜、一般に卵形、緑色、多少、毛があり、縁毛がある。萼は長さ4~7㎜。萼筒は長さ2.5㎜以下、密に毛がある。萼歯は同長、剛毛状、成熟すると開出して星状になり、萼筒よりもはるかに長い。花冠は白色またはクリーム色、サイズは様々、葯は白色。小堅果は長さ0.6~1.1㎜。2n=30, 56, 58, 60。
品種) 'Didi'
 2亜種がある。
1. 花序は直径10~18㎜。苞は卵状長円形または楕円形。萼は長さ5㎜を超える。...subsp. mastichina
1. 花序は直径約10㎜。苞は広卵形。萼は長さ5㎜以下。... subsp. donyanae
13-1 Thymus mastichina subsp. mastichina
 ポルトガル、スペイン原産。標高10~1800mの道路の縁と斜面、放棄された畑、松林、山のガレ場、岩、除去された、緩い質感を持つ珪質の基質上、多少の砂質、石灰岩の基質上に生える。
 葉は長さ5~13×幅1~4mm。苞は長さ6~8㎜×幅3~6㎜、不明瞭だが、ときに縁に小円鋸歯がある。花序は直径10~18㎜。萼は長さ5.5~7㎜、長い毛があり、上側の歯は長さ2.5~4㎜、下の歯は長さ3.5~4.5㎜より大きく、すべて長い縁毛があり、縁毛は長さ0.5㎜を超える。花冠は長さ5~6.5㎜、通常は萼から突き出ない。小堅果は長さ0.7~1.1㎜、楕円形、褐色。2n=56, 58, 60。
13-2 Thymus mastichina subsp. donyanae R.Morales
 ポルトガル、スペイン原産。標高10~80mの砂州と固定海岸砂丘に生える。
 葉は長さ3.5~8㎜×幅1.5~3㎜。花序は直径約10㎜。苞は長さ4~6㎜×幅3~5㎜、葉とは若干異なり、広卵形で、通常は全縁。萼は長さ4~5㎜、萼筒は長さ2㎜以下、短毛がある。萼歯は縁毛が長さ0.5㎜未満。花冠は長さ3~4㎜、萼の中に入り、突き出ない。小堅果は長さ0.6~0.9㎜、楕円形、暗褐色。2n=30。

14 Thymus mongolicus (Ronniger) Ronniger スナジジャコウソウ 砂地麝香草

  synonym Thymus kitagawianus Tscherneva

  synonym Thymus quinquecostatus Celak. var. asiaticus (Kitag.) C.Y.Wu et Y.C.Huang

  synonym Thymus asiaticus (Kitag.) Kitag.

 中国(甘粛省、河北省、内モンゴル、青海省、陝西省、山西省)原産。中国名は百里香 bai li xiang。標高1100~3600mの石の多い丘陵、斜面、草地、谷に生える。
 茎は多数、匍匐~斜上する。栄養シュートには軟毛がある。稔性の枝は長さ(1.5~)2~10㎝、花序の下部に密に後屈する細柔毛(pilose)またはわずかに開出する細柔毛があり、基部にまばらに細かい細柔毛があり、2~4 枚の葉がある。下部の茎葉の葉柄は葉身の長さ約1/2 の長さである。葉身は卵形、長さ4~10㎜×幅2~4.5㎜、無毛、± 顕著に腺毛があり、基部は楔形~漸尖形、縁は全縁または 1~2個の小鋸歯があり、先は鈍形~ほぼ鋭形。花序は頭状、花葉は縁の下部の1/3に縁毛がある。小苞は基部で脱落する。萼片は筒状鐘形~狭鐘形、長さ4~4.5㎜、基部には細柔毛があり、先はほぼ無毛である。上唇の歯は唇の1/3未満の長さで、三角形、縁毛があるかまたは無毛。下唇は上唇と同じ長さか上唇より長い。花冠は赤紫色~紫色または帯赤色、長さ6.5~8㎜、まばらに毛がある。花冠筒部は細長く、長さ4~5㎜、上方にわずかに広がる。小堅果はほぼ球形~卵形、扁平。花期は7~8月。

15 Thymus praecox Opiz ティムス・プラエコクス
 ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコスロバキア、フランス、フェロー諸島、ドイツ、イギリス、ギリシャ、 ハンガリー、アイルランド、イタリア、オランダ、北コーカサス、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、シチリア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス、ユーゴスラビア)、グリーンランド、アイスランド、イラン、トルコ原産。英名はmother of thyme , wild thymus , creeping thyme。標高10~2500mの森の端、高山の牧草地に生える。
 亜低木、高さ10㎝まで、傾伏し、±放射状に広がり、不稔の匍匐茎を持ち、草質な外観を持つ。茎は長さ45㎝以下。花茎は長さ(1.4)1.8~15㎝、直立、多数、通常、後ろ向きの毛があり、各節間の向かい合った面と互生の面に毛がある。葉は長さ4~10×幅1.2~5mm、倒卵形、卵形または楕円形、平らで、先は通常、鈍形または円形、下面に目立つ脈があり、長い縁毛があり、特に基部にあり、面は無毛で、ときに縁毛のような長い毛があり、表面にはほぼ球形の腺がある。葉柄があり、葉柄に漸尖する葉身がある。花序は長さ8~30㎜×幅10~15㎜、頭状、穂状、ときに下部に離れた輪散花序がある。苞は葉状、ときに卵形で、通常は無柄。小苞は長さ1~1.5㎜、線形。小花柄は長さ3㎜、毛がある。萼は長さ3.5~5㎜、しばしばスミレ色または紫色で、基部は帯白色。萼筒は腹部に長い毛があり、果実は歯の間から突き出し、密で、白色。上側の歯は長さ約1㎜。下側の歯は長さ1.5~3.5㎜、上向きにアーチ状になり、すべてに縁毛がある。花冠は長さ5.5~8㎜、毛があり、紫色、乾くとクリーム色、上唇は長さ2~3㎜、先にノッチがあり、下唇の2裂片は長さ約2㎜、±等長。小堅果は長さ約0.9㎜、球形、暗褐色。花期は5~9月。
品種) 'Albiflorus' , 'Coccineus' , 'Doone Valley' , 'Highland Cream' , 'Latavin Lucy' , 'Minus' , 'Purple Carpet' , 'Purple Dwarf' , 'Pseudolanuginosus'
 8亜種がある。

15-1 Thymus praecox subsp. britannicus (Ronniger) Holub

  synonym Thymus britannicus Ronniger
  synonym Thymus polytrichus subsp. britannicus (Ronniger) Holub   synonym Thymus praecox subsp. arcticus
 ヨーロッパ北西部(フランス、フェロー諸島、イギリス、アイルランド、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン)、グリーンランド、アイスランド、原産。標高10~2500mの森林の端、牧草地や高山の牧草地の端、川床の隣、岩の裂け目に生える。
 亜低木、高さ8㎝まで、傾伏、這い、広がり、ときに叢生し、不稔の匍匐茎をもつ。茎は長さ45㎝以下。花茎は長さ(1.4)1.8~7.5㎝、直立し、多数があり、通常、匍匐性の茎に整列し、根生葉の束はない。葉は長さ4~9㎜×幅1.2~4㎜、倒卵形~楕円形または披針形、通常、先は鈍形または円形、下面に目立つ脈があり、長い縁毛があり、基部には多く、無毛、ときに上面に縁毛のような長毛が束になり、ほぼ球形の腺があり、葉柄があり、葉柄に漸尖する葉身をもつ。不稔の茎の葉はしばしば下向きにアーチ状になる。若い葉はやや肉厚で、密に束生し、±同じ大きさである。花序は長さ8~17㎜×幅10~15㎜、頭状、まれに穂状。花は小花柄が長さ2(3)㎜以下、毛がある。萼は長さ3.5~4.5㎜、しばしばスミレ色または紫色、基部が帯白色。上側の歯は長さ約1㎜。下側の歯は長さ1.5~2.5㎜、上向きにアーチ状になり、すべてに縁毛がある。花冠は長さ6~7㎜。上唇は長さ2~2.5㎜、先が凹形。下唇の下側の裂片は長さ約2㎜、±等長。小堅果は長さ約0.9㎜、球形、暗褐色。2n=28。花期は5~9月。
品種)  'Albus' , 'Doretta Klaber' , 'Hall's Variety' , 'Hall's Woolly' , 'Hazel Camplin' , 'Languinosus' , 'Minor' , 'Nutmeg' ,'Orkney White' , 'Thomas's White'

16 Thymus pulegioides L. ティムス・プレジョイデス
 ヨーロッパ、ロシア、新疆ウイグル自治区原産。英名は broad-leaved thyme , lemon thyme , creeping thyme
 多年草。葉は卵形~楕円形。花序はT. albidusより小型で明瞭な頂生。茎の毛は短く、0.5mm以下で後ろに曲がる。T. praecox Opiz,にやや似る。強い側脈は吻合し、葉先で葉縁脈となる。茎は全体に毛があるか、少なくとも2対面に毛がある。
品種) 'Archer's Gold' , 'Aureus' , 'Bertram Anderson' , 'Dot Wells' , 'Elliott's Gold' , 'Foxley' , 'Foxley' (v) , 'Golden Dwarf' , 'Goldentime' , 'Hans' , 'Kurt' , 'Lemon King' , 'Sir John Lawes' , 'Sundon Hills' , 'Tabor'

17 Thymus pannonicus All. ティムス・パンノニクス
  synonym Thymus pulegioides subsp. pannonicus (All.) Kerguélen
  synonym Thymus marschallianus Willd. [Flora of China]

  synonym Thymus pulegioides subsp. carniolicus (Borbás ex Déségl.) P.A.Schmidt [Flora Helvetica]

 ヨーロッパ、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、中国(新疆ウイグル自治区)原産。中国名は异株百里香 yi zhu bai li xiang。英名はHungarian thyme , Eurasian thyme。乾燥した岩石の多い場所、石の多い斜面、盆地、川岸に生える。
 植物は雌雄異株。茎は短く、多数、分枝する。栄養芽は主に頂端から生じ、±短く、稔性枝より数が少なく、軟毛がある。稔性小枝は長さ30㎝まで、直立または斜上し、大きい場合は小さい小枝があり、花のつく箇所には開出するか後ろ向きの絨毛があり、他には±軟毛があり、ときに葉腋に小さな葉の房がつく。葉は長円状楕円形~線状長円形、長さ1~2.8㎝×幅1~6.5㎜、無毛またはまばらに微軟毛があり、下面に明瞭に腺があり、基部は漸尖し、縁は全縁または不明瞭に1~2個の小鋸歯があり、内巻きしないかわずかに内巻きし、先は鋭形~鈍形。稔性小枝の頂部に穂状花序に輪散花序がつく。両性花はよく発達する。雌花は縮小する。小花柄は長さ2~4.5(~5)㎜、密に毛がある。萼は筒状鐘形、長さ2.5~3.5(~4)㎜、開出する毛があり、果時には腺がある。上唇の歯は三角形、鋭形、縁毛がある。花冠は赤紫色、紫色、または白色で、毛があり、長さ約5㎜で突き出し、下唇は広がる。雌花の花冠は長さ4㎜までで、下唇はほぼまっすぐ。小堅果は黒褐色、卵形、長さ約1㎜m。花期と果期は8月(Flora of China)。
 Th. pulegioides に似ているが、すべての部分により密で長い毛が生え、開花芽の毛は通常茎の直径よりも長く、直角に突き出ている。葉は幅の2~4倍の長さがあり、両面にかなり密に毛が生える。花期は4~8月。[Flora Helvetica]。
品種) 'Linear-Leaf Lilac'

18 Thymus quinquecostatus Celak. イブキジャコウソウ 伊吹麝香草(広義)
  synonym hymus serpyllum subsp. quinquecostatus (Čelak.) Kitam.
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。
 2変種に分けられる。

18-1 Thymus quinquecostatus var. przewalskii (Kom.) Ronniger コウガイジャコウソウ

  synonym Thymus przewalskii (Kom.) Nakai
  synonym Thymus chankoanus Klokov
  synonym Thymus magnus (Nakai) Nakai

  synonym Thymus quinquecostatus var. magnus (Nakai) Kitag. タケシマジャコウソウ 

  synonym Thymus serpyllum Linnaeus var. przewalskii V. Komarov, Trudy Imp.  朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒龍江省、河南省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、陝西省、山西省)、ロシア原産。中国名は展毛变种 zhan mao bian zhong。標高600~3500mの砂利地帯、草地、砂地の川岸、砂浜、岩の割れ目に生える。
 葉は広卵状披針形で、長さ1~1.2㎝×幅4~5㎜、側脈は3対または4対。花序軸には密に毛があり、毛は軸の直径より短い。

18-2 Thymus quinquecostatus var. quinquecostatus イブキジャコウソウ 伊吹麝香草 狭義

  synonym Thymus quinquecostatus var. ibukiensis (Kudô) H.Hara in Enum. Spermatophytarum Japon. 1: 233 (1948)

  synonym Thymus serpyllum var. ibukiensis Kudô

  synonym Thymus quinquecoslatus Celakovsky var. laxus Hara in Bot. Mag. Tokyo 51: 147 (1937)

 日本(北海道、本州、九州)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は地椒 di jiao 。英名はdesert thyme。別名はヒャクリコウ、イワジャコウソウ。海岸の岩場や北海道のアポイ岳、幌満岳などや本州、九州の高山に生える。
 矮性低木。高さ2~10㎝。全草に良い香りがする。茎は這い、よく分枝する。葉は十字対生し、長さ5~10㎜、幅3~6㎜の卵形~狭卵形、鈍頭、全縁。葉に腺点がある。花は淡紅紫色の唇形花。花冠は長さ7~8㎜、花冠の内部に細毛がある。上唇は2裂し、下唇が大きく、3裂する。花冠の筒部は萼より短い。雄しべ4個。萼は長さ5~6㎜、萼歯は5個、下側の2歯は細い。果実は4分果。花期は7~8月。
【Bot. Mag. Tokyo 51: 147 (1937)の解説 イワジャコウソウ】
 茎は通常、這い、根がある。花枝(花茎)は直立または斜上し、高さ(1.5~)4~15㎝、断面は四角形、角(かど)に毛があり(goniotrichite)、まれに、面にも後向きの毛がある。下部の葉は通常、ヘラ形、中間と上部の葉は卵形で先が鈍形、基部はくさび形または広いくさび形、長さ(5~)8~13㎜×幅(2~)3~5㎜、ときに長円形、幅2~3㎜になり、無毛、基部近くに長い縁毛があり、短柄があるかまたは無柄、下面に目立つ5~7脈がある。花序は枝先に束生する。小花柄は長さ1~2㎜、微細な後ろ向きの毛がある。萼は長さ(3.5~)4~5㎜、腹側に毛があり、上唇の裂片は三角形、長さ約1㎜、無毛または縁毛があり、下唇の裂片は錐形で開出する堅い縁毛があり、裂片は上唇の裂片とほぼ同長。花冠は萼をほぼ2倍超える。花期は7~8月。
 日高産の細長い葉の標本と模式地の千葉県産の標本との間には類似点があるが、日高産の標本は上部の萼裂片が短い(長さ1mm)。蝦夷および本州の普通種は葉が幅広の卵形である。中間型も見られるが、伊吹山および本州の他の産地の標本は葉脈が目立たない卵形の葉と、より尖った上部の萼裂片を持ち、長さは1.5mmに達する。工藤は最初蝦夷産の標本から変種ibukiensisを記載し図示したが、彼のibukiensisは明らかに飯沼の草木図説に伊吹蛇紅草として図示されている伊吹山の植物に基づいていた。その時点では蝦夷産と本州の植物を区別していなかった。このような混乱を避けるため、私は、日本の一般的な形態に japonicus という新しい名前を、イブキ植物に laxus³) という新しい名前を採用したいと思う。アポイ岳や蝦夷地、本州の高山地帯には、花枝が低く、葉が小さく、花が濃い色の花が小さく咲く形態 (f. alpina HARA) が見られる。 品種) 'Albus' , 'Ibukiensis'
 POWOでは下位分類は認められていない。イワジャコウソウ(Thymus japonicus)はPOWOでは別種とされている。

(1) Thymus quinquecostatus Celak. var. ibukiensis (Kudô) H.Hara f. albiflorus H.Hara  シロバナイブキジャコウソウ 

 白花品種。

(2) Thymus quinquecostatus Celak. f. maritimus H.Hara ハマジャコウソウ 

 海岸の岩場に生える。葉が厚く、茎などに長い毛がない。

(3) Thymus quinquecostatus Celak. var. canescens (C.A.Mey.) H.Hara ヒメヒャクリコウ 

  synonym Thymus serpyllum L. subsp. quinquecostatus (Celak.) Kitam. var. canescens C.A.Mey.

 北海道、本州の北アルプスに分布する。岩の割れ目や礫地に生える。
 葉の表面に粗い灰白色の毛があるもの。

19 Thymus richardii Pers. ティムス・リチャルディー
 スペイン、バレアレス諸島、ボスニア、シチリア島原産。
 5亜種に分けられている。

19-1 Thymus richardii subsp. aureopunctatus (Beck) L.Sáez, Bogunic & Bogdanovic

 ユーゴスラビア原産。海抜400~1040mの砂質ドロマイトおよびドロマイト質岩場に生える。
 茎は長さ45㎝まで、平伏~匍匐性。葉身は長さ7.7㎜×幅5.3㎜・以下、ほぼ円形~楕円形、全縁。花序は長さ8~21㎜、頭状。苞は長さ6.5㎜×幅5㎜・以下、葉状、全縁、通常縁に毛がある(無腺毛は長さ1㎜以下)。萼は長さ3~5㎜、無毛~まばらに毛があり、無腺毛は長さ0.5㎜以下で、柄のある腺はない。萼筒は長さ1.3~2.2㎜、まばらに毛があり、腹面に長さ0.5㎜までの無腺毛がある。上唇の中央の歯は長さ0.7~1.6㎜、下唇の歯は長さ2~3㎜、毛は長さ0.5㎜以下の櫛状。花冠は長さ6~9㎜、バラ色。2n=28。

19-2 Thymus richardii subsp. ebusitanus (Font Quer) Jalas

 バレアレス諸島原産。海抜5~370mの石灰岩の岩場に生える。
 茎は長さ54㎝まで、多少、直立する。葉身は長さ11㎜×幅8mm・以下、亜球形から楕円形で全縁。花序は長さ19~62㎜、長楕円形。苞片は長さ8.3㎜×幅7.3mm・以下、葉状、全縁。縁と中脈は無毛~毛がある(無腺毛は長さ1㎜以下)。萼は長さ4.5~6.9mm、密に毛があり、ときに多毛で、腺の無い毛は長さ1㎜以下で、通常は柄のある腺毛がある。萼筒は長さ1.8~2.7㎜、密に毛があり、腹面に長さ1㎜までの腺の無い毛がある。上唇の中央の歯は長さ0.9~1.9㎜、下唇の中央の歯は長さ1.9~3.1 mm、櫛状毛は長さ1㎜に達する。花冠は長さ6~8.5 mm、淡いバラ色。2n=30。

19-3 Thymus richardii subsp. nitidus (Guss.) Jalas

 シチリア島原産。海抜10~600mの石灰岩の岩場に生える。
 茎は長さ25cmまで、平伏またはほぼ直立する。葉身は長さ10㎜×幅4.5mm以下、楕円形、全縁。花序は長さ8~30㎜、ほぼ頭状~長円形。苞は長さ7㎜×幅4㎜以下、葉状、全縁、縁と中脈は無毛または毛がある(長さ0.4㎜までの腺の無い毛が、柄付き腺毛と混ざる)。萼は長さ4.5~6.3㎜で、密に柄付き腺毛と長さ0.5㎜までの腺の無い毛にまばらに覆われる。萼筒は長さ1.9~2.5㎜、腹面に長さ0.5㎜までの腺のない毛がある。上唇の中央の歯は長さ0.8~1.5㎜、下側の歯は長さ2~3㎜、櫛状毛があり毛は長さ0.5㎜まで。花冠は長さ6.5~9.5㎜、淡いバラ色。2n=28。
品種) 'Compactus Albus' , 'Peter Davis'
19-4 Thymus richardii Pers. subsp. richardii
  synonym Thymus richardii subsp. richardii   synonym Thymus serpyllum var. richardii (Pers.) Knoche
  synonym Thymus serpyllum subsp. richardii (Pers.) Malag.
 バレアレス諸島、シチリア、スペイン、ユーゴスラビア原産。海抜250~1430mの湿潤で北向きの石灰岩の崖に生える。  茎は長さ47㎝以下、平伏~匍匐性(reptant)。葉身は長さ13㎜×幅7.7㎜・以下、広卵形から楕円形で全縁。花序は長さ15~30㎜で、頭状から長楕円形。苞は長さ11 ×幅7.8㎜・以下、葉状、全縁、無毛。萼片は長さ6~8㎜で無毛になり(ときに無毛)で、長さ0.3㎜以下の腺のない毛があり、ときに散在する柄付き腺毛がある。萼筒は長さ2.2~3.2㎜で無毛(ときに背側は無毛)で、腹面に長さ0.3㎜以下の腺の無い毛がある。上唇の中央の歯は長さ1.3~2.2㎜、下側の歯は長さ2.8~3.8㎜、櫛状毛があり、毛は長さ0.3㎜に達する。花冠は長さ7~11㎜、ピンク紫色。2n=30。

19-5 Thymus richardii subsp. vigoi Riera, Güemes & Rosselló

 スペイン原産。標高130~600mの石灰岩土壌の開けた低木林に生える。
 茎は長さ16cmまで、半直立から直立する。葉身は長さ11㎜×幅8.1㎜・以下、卵状三角形、小歯がある。花序は長さ15~34㎜で、通常長楕円形。苞は長さ8㎜×幅7㎜・以下、葉状、小歯があり、通常無毛。萼は長さ5.8~7㎜、まばらに毛があり、長さ0.7㎜までの腺の無い毛があり、ときにまばらに柄付きの腺毛がある。萼筒は長さ2.1~2.9㎜、腹面に長さ0.5㎜までの腺の無い毛がある。上唇の中央歯は長さ1.8~2.6㎜、下側の歯は長さ3~3.5㎜で、長さ0.7㎜までの櫛状毛がある。花冠は長さ7~10㎜、帯白色~淡バラ色、ときにクリーム色。染色体数は不明。

20 Thymus serpyllum L. ヨウシュイブキジャコウソウ 洋種伊吹麝香草
  synonym TThymus serpyllum var. canescens C.A.Mey.
 ヨーロッパ、ロシア原産。英名はcreeping thyme , wild thyme , Breckland thyme , Breckland wild thyme。別名はクリーピングタイム。
 矮性の常緑亜低木、多数分枝し、マット状に低く這い、高さ2~10㎝。直根をもつ。茎は細く多少、毛がある。葉は対生し、無柄、楕円形~長円形~披針形、長さ3~8mm、基部はくさび形、先は円形、全縁、下面に明瞭な黒色の腺点がある。輪散花序は密で、頂生し、球形の頭状になる。花は束生し、強い芳香があり、ライラック色、モーブ色、ピンク紫色、マゼンタ色、又はまれに白色、長さ4~6mm。萼は筒状鐘形、2唇形、萼歯は上唇が短く、下唇が長く狭い。花冠は2唇形。不規則な真っすぐな筒部があり、毛がある。花冠筒部は萼と同長。花冠の上唇はノッチがある。下唇は3裂し、中裂片が大きい。雄しべは4本、突き出る。心皮は2個。果実は分離果。花期は4~6月。
品種) 'Albus' , 'Albus Variegatus' , 'Amadé' , 'Annie Hall' , 'Atropurpureus' , 'August Moon' , 'Aureus' , 'Barwinnock Snowdrift' (v) , 'Conwy Rose' , 'Desborough' , 'East Lodge' , 'Elfin' , 'Elfin' , 'Flossy' , 'Fulney Red' , 'Golden' , 'Goldstream' (v) , 'Hans Stam' , 'Iden' , 'Lemon Curd' , 'Little Heath' , 'Magic Carpet' , 'Minimalist' , 'Minimus' , 'Minor' , 'Minor Albus' , Minor' Bloom , 'Minus' , 'Ohme Garden Carpet' , 'Petite' , 'Pink Chintz' , 'Posh Pinky' , 'Purple Beauty' , 'Purpurteppich' , 'Pygmaeus' , 'Red Carpet' , 'Red Elf' , 'Red Glow' , 'Reiter' , 'Roger's Snowdrift' , 'Roseus' , 'Russetings' , 'September' , 'Silver Dew' , 'Snowcarpet' , 'Snowdrift' , 'Variegatus' , 'Vey' , 'Winter Beauty' , 'Wirral White'

21 Thymus vulgaris L. タチジャコウソウ 立麝香草
 フランス、イタリア、スペイン原産。英名はThyme, garden thyme。別名はコモンタイム。代表的なタイムで、ハーブとして広く利用される。香りなどに個体差がある。
 多年生の亜低木、高さ25㎝以下、多数、分枝し、枝は4稜径、硬く、木質になり、多少、密に反曲する短毛で覆われ、無柄の腺が散在する。葉はほぼ柄があり、線形まれに線状楕円形、長さ3~8mm×幅1~3mm、縁が強く反曲し、密に短毛と無柄の腺で覆われる。花序は密散花序(thyrse)、花序柄は無く、無柄の集散花序の部分花序をもち、各集散花序に少数の花をもつ。花は花柄が短く、花の束と同長又は長い苞に抱かれる。下部の節との間に長い節間をもつ。萼片はその長さの約半分が融合し、13脈があり、長さ3~4mm、2唇形、背側の唇はかすかに3裂し、前側の唇は深く2裂して、硬い繊毛をもち、内側と外側に毛があり、外側の露出面に無柄の腺がある。後ろ側の広長円形の唇はかすかに2裂し、前側の唇はほとんど等しく3裂する。雄しべは花冠筒部ののどのすぐ下につき、花糸は無毛。葯は稔性の2室をもつ。わずかに広い葯隔からやや開き、後ろ側の唇を超えて突き出る。子房は厚い花盤の上につき、深く4裂し、基部近くにつく細い花柱をもつ。柱頭は短く2裂。分果は長円状倒卵形、長さ1~1.5mm、竜骨はなく、基部の付着痕は小さく、平滑。
品種) 'Aranjuez' , 'Argenteus' , 'Aurea' , 'Aureus' hort. , 'Boule' , 'Caborn Wine and Roses' , 'Château Queribus' , 'Compactus' , 'Corbière' , 'Deutsche Auslese' , 'Diamantis' , 'Dorcas White' , 'Elsbeth' , 'Erectus' , 'Fredo' , 'German Winter' , 'Golden Pins' , 'Haute Vallée de l'Aude' , 'Highland Cream' , 'Lemon Queen' , 'Lucy' , 'Narrow-leaf French' , 'Orange Balsam' , 'Pinewood' , 'Rosemary's White' , 'Saint Chinian Blanc' , 'Saint Chinian Rose' , 'Silver Pearl' (v) , 'Silver Posie' , 'Snow White' , 'Suditin' , 'Tiny Tim' , 'Victoria Becker' , 'Wedgwood'

22 Thymus × citriodorus (Pers.) Schreb. レモンタイム
 コモンタイム(T. vulgaris)とT. pulegioidesの交配種。多様な品種がある。英名はCreeping Thyme。
品種) 'Archer's Gold' , 'Argenteus' (v) , 'Aureus' , 'Bertram Anderson' , 'Boothman's Variety' , 'E.B. Anderson' , 'Fragrantissimus' , 'Golden Dream' , 'Golden King' , 'Lime' , 'Mayfair' , 'Nyewoods' (v) , 'Silver King' , 'Silver Posie' , 'Silver Queen' , 'Sweet Greens' , 'Variegata' , 'Variegatus' , 'Clear Gold'

23 その他ハイブリッド
品種) (Coccineus Group) 'Atropurpureus' Schleipfer , (Coccineus Group) 'Bethany' , (Coccineus Group) 'Hardstoft Red' (v) , (Coccineus Group) 'Purple Beauty' , (Coccineus Group) 'Purple Kiss' , (Coccineus Group) 'Purpurteppich' , (Coccineus Group) 'Red Elf' , 'A Touch of Frost' , 'Alan Bloom' , 'Albus' , 'Anderson's Gold' , 'Aureus' ambig. , 'Belle Orchard' , 'Blush' , 'Bressingham' , 'Brigantes' , 'Caborn Fragrant Cloud' , 'Caborn Greenfinch' , 'Caborn Grey Lady' , 'Caborn Lilac Gem' , 'Caborn Pink Beauty' , 'Caborn Pink Carpet' , 'Caborn Purple Haze' , 'Caborn Rosanne' , 'Caborn Royale' , 'Caborn Wine and Roses' , 'Carol Ann' (v) , 'Caroline' , 'Carshalton' , 'Coccineus Major' , 'Cow Green' , 'Creeping Lemon' , 'Creeping Mauve' , 'Creeping Orange' , 'Creeping Pink' , 'Creeping White' , 'Culinary Lemon' , 'Culinary Lime' , 'Dark Eyes' , 'Dartmoor' , 'Desboro' , 'Dillington' , 'Doone Valley' (v) , 'Duftkissen' (PBR) , 'E.B. Anderson' , 'Eastgrove Pink' , 'Elf' , 'Elfin Pink Carpet' , 'Elizabeth' , 'Emma's Pink' , 'Fragrantissimus' , 'Gibson's Cave' , 'Golden Icing' , 'Golden King' (v) , 'Golden Lemon' (v) , 'Golden Queen' (v) , 'Goldie' , 'Gowbarrow' , 'Gratian' , 'Hadrian' , 'Hamada' , 'Hans Stam' , 'Hardstoft Red' , 'Hartington Silver' (v) , 'Hi Ho Silver' , 'Higdown Lemon' , 'Highdown' , 'Highdown Adur' , 'Highdown Lemon' , 'Highdown Red' , 'Highdown Stretham' , 'Highland Cream' , 'Iden' , 'Jekka' , 'Jekka's' , 'Jekka's Autumn Pink' , 'Jekka's Bee Haven' , 'Jekka's Rosy Carpet' , 'Jürgens Rosenteppich' , 'Kurt' , 'Lake District' , 'Lammefjord' , 'Lavender' , 'Lavender Sea' , 'Lemon Beauty' , 'Lemon Caraway' , 'Lemon Curd' , 'Lemon Frost' , 'Lemon Sorbet' , 'Lemon Supreme' , 'Lemon Variegated' (v) , 'Lilac Time' , 'Lime' , 'Lime Frost' , 'Lindisfarne' , 'Longwood' , 'Low Force' , 'Magic Carpet' , 'Marjorie' , 'Massa' , 'Moonlight' , 'Mother of Thyme' , 'Mountain Select' , 'Nettleton Pink Carpet' , 'New Hall' , 'Onyx' , 'Orange' , 'Orange Balsam' , Orange Spice = 'Tm95' , 'Pat Milne' , 'Peter Davis' , 'Pinewood' , 'Pink Lemonade' , 'Pink Ripple' , 'Pinkushion' , 'Porlock' , 'Provence' , 'Rainbow Falls' (v) , 'Rasta' (v) , 'Red Elf' , 'Red Glow' , 'Red Start' , 'Rosa Ceeping' , 'Rosalicht' , 'Rosalind' , Rose Petal™ , 'Rosedrift' , 'Rosemary's Early Red' , 'Rosemary's Lemon Carpet' , 'Ruby Glow' , 'Silver King' (v) , 'Silver Posie' , 'Silver Queen' , 'Silver Rose' , 'Snowdonia Idris' , 'Snowdonia Ifor' , 'Snowdonia Imperial Beauty' , 'Snowdonia Iorwerth' , 'Snowdonia Isolde' , 'Snowdonia Istyn' , 'Snowdonia Lass' , 'Snowdonia Pearl' , 'Snowdonia Pedr' , 'Snowdonia Pink Gem' , 'Snowdonia Pryderi' , 'Snowdonia Pwyll' , 'Snowdonia Rhiannon' , 'Snowdonia Rosie' , 'Snowdonia Rowena' , 'Snowman' , 'Southcombe Spreader' , 'Sparkling Bright' (v) , 'Spicy Orange' , 'Swaledale' , 'Thomas's White' , 'Tm95' , 'Valerie Finnis' , 'Widecombe' (v) , 'Wild Turkey' , 'Wintergold'

参考

1) Flora of China
 Thymus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=132935
2) POWO Kewscience
 Thymus
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30002942-2
3)Campus Flora  Thymus longicaulisC.Pres
http://ibuflora.ibu.edu.tr/en/genus/thymus
4)Electronic Flora of South Australia species Fact Sheet  Thymus vulgaris
http://flora.sa.gov.au/cgi-bin/speciesfacts_display.cgi?form=speciesfacts&name=Thymus_vulgaris
5)PhytoKeys
On the identity of Thymus humifusus var. aureopunctatus (Lamiaceae) and taxonomic notes on the Th. richardii complex
https://phytokeys.pensoft.net/article/75412/
6)植物研究雑誌 1952 年 27 巻 7 号 p. 201-207
 北川政夫 東亜植物断想録 (7)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/27/7/27_27_7_3443/_pdf/-char/ja
7)Cretan Flora-cretanflora.com
 Thymus leucotrichus ssp. leucotrichus
https://www.cretanflora.com/thymus_leucotrichus.html
8)Cretan Flora-cretanflora.com
 Thymus leucostomus HAUSSKN
http://vanherbaryum.yyu.edu.tr/flora/azortandir/thymuslele/index.htm
9)Flora Iberica
 Thymus
http://www.floraiberica.es/floraiberica/texto/pdfs/12_140_21_Thymus.pdf
10)Kallima.sk SKALNIČKY, SKALNÉ RUŽE A INÉ RASTLINY
 Thymus cherlerioides
http://kallima.sk/species.php?plant=774