フクオウソウ 福王草

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae フクオウソウ属

学 名 Nabalus acerifolius Maxim.
 synonym Prenanthes acerifolia (Maxim.) Matsum.
フクオウソウの花序
フクオウソウの頭花
フクオウソウの頭花
フクオウソウの総苞
フクオウソウ
フクオウソウの葉
花 期 8~9月
高 さ 30~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の木陰
分 布 在来種(日本固有種)本州、四国、九州
撮 影 天狗棚  06.9.16
和名は三重県の福王山に由来する。山地の薄暗い林内に生え、天狗棚での開花は9月中旬以降。
 茎や萼など全体に腺毛がある。葉は互生し、翼がある長い柄につく。葉は長さ幅とも6~10㎝、掌状に3~7裂し、基部は心形。細長い花序の花柄の先にまばらに頭花を下向きにつける。頭花は長さ約2㎝、幅1~1.5㎝、9~13個の舌状花が集まる。舌状花は紫白色、灰色の縦線模様がある。総苞は長さ約10㎜の細い筒形。痩果は無毛。冠毛は鈍い白色~褐色を帯びる。

フクオウソウ属

  family  Asteraceae - genus  Nabalus

 多年草。茎は直立、葉がつく。合成花序は円錐花序、多数の頭花がつく。頭花はしばしば、下向きで、小花を5~25個つける。総苞は狭円筒形~狭鐘形。総苞片は少数列。外総苞片は中心に向かって次第に長くなり、内総苞片の長さの1/2以下。内総苞片はほぼ等長。花托は裸。小花は黄色、淡帯紫色、帯白色、又は帯緑色。痩果は円柱形~狭棒さう異形、5本の弱い~強いうねをもち、2~4本の目立つ2次うねが互生し、先は切形。冠毛は帯褐色のザラつく剛毛。
 世界に約15種があり、アジア東部、北アメリカに分布する。

フクオウソウ属の主な種と園芸品種

1 Nabalus acerifolius Maxim. フクオウソウ 福王草
  synonym Prenanthes acerifolia (Maxim.) Matsum.
 日本固有種(本州、四国、九州)。和名は三重県の福王山に由来する。山地の薄暗い林内に生える。
 多年草。高さ30~100㎝。茎や萼など全体に腺毛がある。葉は互生し、翼がある長い柄につく。葉は長さ幅とも6~10㎝、掌状に3~7裂し、基部は心形。細長い花序の花柄の先にまばらに頭花を下向きにつける。頭花は長さ約2㎝、幅1~1.5㎝、9~13個の舌状花が集まる。舌状花は紫白色、灰色の縦線模様がある。総苞は長さ約10㎜の細い筒形。痩果は無毛。冠毛は鈍い白色~褐色を帯びる。花期は8~9月。

2 Nabalus ochroleucus Maxim. コウライオオニガナ 高麗大苦菜
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は耳菊 er ju。森林の湿った地域に生える。
 多年草、高さ90cm以下、太い根茎を持つ。茎は単生し、直立し、先で分枝し、鱗片状の暗褐色、パリパリの毛(crisped hairs)があるかまたは無毛。下部および中部の茎葉は葉柄があり、葉柄は長さ26㎝以下、基部が広がり、半抱茎、翼は波状の歯がある。葉身は頭大羽状全裂し、上面には普通多細胞の褐色の毛があり、縁には不規則に粗い波状歯がある。側裂片は1~2対、楕円形~菱形、または不規則な菱形、長さ5.5~7㎝×幅約4㎝、基部の方が小さい。頂裂片は広三角形~不規則な円形、長さ6~9㎝×幅5~9㎝。上部の茎葉は葉柄が長さ4.5㎝以下、葉身は三角形、小さく、分裂せず、それ以外は中部の茎葉に似る。最上部の茎葉は無柄、披針形で、拡大した抱茎状の基部がある。合成花序は円錐花序で、棒状の総状花序の枝をもち、多数の頭花をつけ、花序軸は多細胞のパリパリの毛で密に覆われる。頭花は20~25[~30]個の小花を持つ。総苞は狭鐘形、長さ13~15㎜×幅約7㎜。総苞片は乾燥すると暗緑色、外面に鱗片状の毛があるか、または無毛、先は鋭形。外側の総苞片は線状披針形、最長のものが内側の総苞片の長さの約1/2。 内側の総苞片は10~12個、線状披針形。小花は淡黄色。 痩果は褐色、±円柱形、長さ7~8㎜、やや扁平、先は切形。冠毛は帯褐色、長さ6~7mm。花期と果期は8~9月。2n=16。

3 Nabalus tanakae Franch. et Sav. ex Y.Tanaka et Ono オオニガナ 大苦菜
 日本固有種(本州の近畿地方~東北地方)。里山から低山のため池の縁や放棄水田などの日当たりのよい湿地に生える。
 高さは50~100㎝。茎は直立し、花序以外は分枝しない。葉は互生し、葉柄は長く、翼がある。茎を抱く。葉は三角状矢羽根形、羽状中裂~深裂するがトゲはなく、基部は矢じり形。円錐花序に頭花が10~20数個つく。頭花は直径3.5~4㎝、淡黄色。総苞は太く、長さ12~14㎜。内総苞片は12~13個。外総苞片は2列つき、披針形、鈍頭。頭花の小花は25~30(~39)個つく。花期は9~11月。

4 Nabalus tatarinowii (Maxim.) Nakai フクオウモドキ 福王擬
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は盘果菊 pan guo ju。山の斜面、山間の林内、林縁、森林、草原、水辺の湿った場所、草の生い茂る湿った場所に生える。
 多年草、高さ0.5~2mm。茎は単生、直立、通常上半分で枝分かれし、無毛または亜無毛。 下部と中央の茎葉はまばらに直軟毛があり、細かい多細胞毛と小剛毛があり、固い錐形の毛がある。葉柄は長さ7~17㎝。 subsp. tatarinowiiの下部および中部の茎葉の葉身は卵形~三角状卵形、長さ5~15㎝×幅6~15㎝、分割されず、基部は心形、矛形、切形または楔形、縁は下部が全縁~波状歯があり、歯先が微突形、葉先は尖鋭形、または葉身に加えて、楕円形~斜め卵形の側裂片が1対あり、長さ0.6~5.5㎝×幅0.4~4.5㎝。下部および中部のsubsp. macranthaの茎葉は葉身が長さ29㎝×幅22㎝・以下で分裂し、側裂片は1~3対、楕円形、卵形、または披針形、頂裂片よりはるかに小さく、縁は全縁~粗い波状歯があり、歯先が微突形、先は鋭形。頂裂片は、外形が広三角状卵形、ほぼ円形、または広披針形、羽状深裂~羽状全裂、裂片は披針形、楕円形、または倒披針形、基部は心形~楔形、縁は粗い波状の歯があり、歯先が微突形、先は鋭形~尖鋭形。 上部と最上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、より小さく、広三角状卵形、線状披針形、ほぼ菱形、広卵形または卵形、基部は切形~くさび形、先は短い~長い尖鋭形。合成花序は円錐花序、数個~多数の頭花を持つ。頭花は開花時に垂れ下がり、果時に直立し、約5小花をもつ。花序柄は毛細管状、総苞よりも短く、しばしば、密に直軟毛があり、多細胞の毛をもつ。総苞は狭円筒形、長さ10~13㎜×幅1.5~2.5㎜。外総苞片は少数、卵形~三角状卵形、最長は長さ2~3㎜、先は鋭形~鈍形。内総苞片は5個、線状披針形~線形、±薄膜質の縁があり、外面にしばしばまばらに直軟毛があり、先は鈍形~円形。小花は淡紫色、ピンク色、帯白色、または帯緑色。葯筒は褐紫色。痩果は褐色、長さ3.5~4.5㎜、先は切形。冠毛は褐色~レンガ色、長さ6~8㎜。

4-1 Nabalus tatarinowii subsp. tatarinowii フクオウモドキ 福王擬 狭義

 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は盘果菊 pan guo ju。山の斜面、林縁、森林、草原、水辺の湿った場所に生える。
 下部と中部は茎葉は葉身があり、卵形~三角状卵形、長さ5~15㎝×幅6~15㎝、分裂せず、基部は心形、矛形、切形または楔形、縁はほぼ全縁~波状の歯があり、歯先が微突形、先は鋭形~尖鋭形、または葉身は、さらに楕円形~斜め卵形の側裂片を1対持ち、長さ0.6~5.5㎝×幅0.4~4.5㎝。上部および最上部の茎葉は、葉身が広三角状卵形、線状披針形、ほぼ菱形、広卵形または卵形、中部の茎葉に似ているが、より小さく、より頻繁には分裂せず、基部は切形~楔形になり、先は短い~長い尖鋭形。花期と果期は8~10月。2n=16。

4-2 Nabalus tatarinowii subsp. macrantha (Stebbins) N. Kilian キレハノフクオウモドキ 切葉福王擬

  synonym  Nabalus tatarinowii (Maxim.) Nakai var. divisa Nakai et Kitag.
 中国(甘粛省、河北省、河南省、陝西省、山西省、四川省)に分布。中国名は多裂耳菊 duo lie er ju。標高1100~2700mの山地の斜面、山谷の林内、草が生い茂る湿った場所に生える。
 下部と中部の茎葉は葉身が29×22cm・以下になり、分裂する。側裂片は1~3対、楕円形、卵形、または披針形、頂裂片よりはるかに小さく、縁は全縁~粗い波状の歯があり、歯先が微突形、先は鋭形。頂裂片は外形が広三角状卵形、ほぼ円形、または広披針形、羽状深裂~羽状全裂、裂片は披針形、楕円形、または倒披針形、基部は心形~楔形、縁は粗い波状の歯があり、歯先が微突形、先は鋭形~尖鋭形。 上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、小さくて分裂しない。一番上の茎葉は、楕円形、菱形、または披針形、羽状深裂または粗い波状の歯があるか、全縁、基部は楔形、先端は短い尖鋭形~長い尖鋭形。花期と果期は7~10月。

参考

1) GRIN
 Nabalus
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=15479
2) Kewscience
 Nabalus
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30008089-2
 Nabalus acerifolius Maxim.
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:234053-1
3)Flora of China
 Nabalus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=121572
4)レッドデータブックとちぎ
 オオニガナ
http://www.pref.tochigi.lg.jp/shizen/sonota/rdb/detail/05/0329.html