ホザキアヤメ 穂咲菖蒲

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Flora of Mikawa

アヤメ科 Iridaceae ホザキアヤメ属

別 名 バビアナ
英 名 baboon flower , blue freesia
学 名 Babiana nervosa (Lam.) Goldblatt & J.C.Manning
 synonym Babiana stricta (Aiton) Ker Gawl.
ホザキアヤメの花序
ホザキアヤメの花序2
ホザキアヤメの苞
ホザキアヤメの茎
ホザキアヤメ
ホザキアヤメの花
ホザキアヤメの葉
花 期 4~5月
高 さ 15~30㎝
生活型 多年草
生育場所 草地
分 布 外来種 南アフリカ原産
撮 影 西尾市  20.5.15
ホザキアヤメは南アフリカ原産の球茎をもつ多年草、観賞用に栽培され、オーストラリアなどに帰化している。
 球茎は球形、直径約1.3㎝、長い首があり、薄皮はもつれた繊維状。根生葉は約6個、質感は中程度に硬く、葉身は剣形、長さ10~15㎝、有毛。茎は花序を含めて長さ15~30㎝。花序は葉を超え、穂状花序が1~3個つき、花が密に多数つき、花序軸に毛が密にある。仏炎苞のバルブは長円形、質感が硬く、うねが密にあり、毛がごく密にある、長さ1.3~1.8㎝。花被は色が様々で、赤色、ライラック色、青色など。花被は先が漏斗形の筒状、仏炎苞の長さと同長か又は少し長い。花被片はほぼ等長、倒披針状長円形、先は鈍形、長さ1.8~2.5㎝。雄しべは花被片の長さの約半分。花柱の枝は長さ約4㎜、先が扁平。
品種) 'Brilliant Blue' , 'Kew Hybriden' , 'Purple Star' , 'Tubergen's Blue'

ホザキアヤメ(バビアナ)属

  family Iridaceae - genus Babiana

 多年草、球形の球茎(corms)をもつ。陸上部は枯れ、1年生。球茎は繊維状の薄皮(tunic)をもつ。葉は数個つく、下部の2~3個は根生し、完全に鞘となる(鱗片葉=低出葉:cataphylls)。普通葉(foliage leaves)は扇だたみになり(plicate)、又は平らで曲がりくねり又は円柱形、普通、軟毛又は微軟毛がある。茎は単純又は分枝し、ときに類地下性、しばしば微軟毛がある。花序は穂状花序、花の苞は緑色又は乾いて少なくとも先が褐色、内側の苞は外側の苞より短い。外側の苞はときに基部まで裂ける。花は青色又は紫色(ときに南アフリカの種は黄色、赤色、ピンク色又は帯白色)、放射相称又は左右相称、雄しべは片側のみでアーチ状。花被片は短~長の花被筒に統合し、ほぼ等長又は2唇形になる。上側の花被片はかなり長く、雄しべの上にアーチ状になる(又は後屈し、花糸を鞘に納める)。子房は長円状球形、ときに絨毛がある。花柱は花被筒から突き出し又は突き出さない。花柱の枝は短く、上部がやや広がる。蒴果は長円状卵形、皮革質、しばしば種子の外形を示す。種子は黒褐色~暗褐色、室に数個、球形。
 世界に約94種あり、アフリカ南部に分布する。

ホザキアヤメ属の主な種

1 Babiana fragrans (Jacq.) Steud. バビアナ・フラグランス
 南アフリカ原産。砂岩、花崗岩、ときに粘土の斜面に生える。
 球茎を地中にもち、高さ7~20cm。茎は直立し、しばしば分枝し、ビロード状である。葉は披針形~長楕円形で斜上し、幅20mmまでになり、軽くひだがあり、短毛がある。穂状花序はほぼ直立し、4~10個の花がつく。苞は緑色、先端は乾燥したさび色、通常は密に毛があり、長さ12~18㎜、内側の苞は通常外側よりわずかに短く、基部まで裂ける。花は左右相称、淡濃紫色、たまに、クリーム黄色、下側の側花被片には通常、中央に細い条線またはしみがあり、基部近くに濃青色または紫色の斑紋があり、微香から強香がある。花被筒は狭い漏斗形、長さ18~20㎜。花被片はほぼ均等で、背側の花被片が斜上し、長さ18~22㎜、下側の花被片は上側の側花被片と2~3㎜結合し、下側の花被片は長さ±18㎜。雄しべは片側性。花糸はほぼ直立し、長さ12~16㎜。葯は長さ6~7㎜、中~濃い青色。子房は密に毛がある。花柱は葯の基部と中間の間で分岐する。[e-Flora of South Africa]

2 Babiana nana (Andrews) Spreng. バビアナ・ナナ
 南アフリカ原産。英名はSandflat Baboon-Root , dwarf baboon flower。オーストラリア西部に帰化。
 球茎は卵形、直径約1.3㎝、薄皮は褐色、膜質。葉は4~5個つき、葉柄は長さ5~7.5㎝、葉身は披針形、有毛、剣形、長さ5~7.5㎝×幅8~13㎜。穂状花序、は直立、花が2~6個つき、花序柄は短く、有毛。花は葉の先近くに届く。仏炎苞のバルブは長円状披針形、有毛、長さ1.8~2.5㎝。花被は淡ライラック色、筒状漏斗形、長さは仏炎苞と同長。花被片は不等長、長円状鈎爪形(oblong-unguiculate)、長さ2.5~3.1㎝。雄しべは長さが花被の拡大部の長さの約1/2。
品種) 'Carine' , 'Claudia' , 'Halley' , 'The Bride' , 'White Eyed Miss'

3 Babiana nervosa (Lam.) Goldblatt & J.C.Manning  ホザキアヤメ 穂咲菖蒲

  synonym Babiana stricta (Aiton) Ker Gawl.
 南アフリカ原産。英名は baboon flower , blue freesia。オーストラリアに帰化している。
 球茎は球形、直径約1.3㎝、長い首があり、薄皮はもつれた繊維状。根生葉は約6個、質感は中程度に硬く、葉身は剣形、長さ10~15㎝、有毛。茎は花序を含めて長さ15~30㎝。花序は葉を超え、穂状花序が1~3個つき、花が密に多数つき、花序軸に毛が密にある。仏炎苞のバルブは長円形、質感が硬く、うねが密にあり、毛がごく密にある、長さ1.3~1.8㎝。花被は色が様々で、赤色、ライラック色、青色など。花被は先が漏斗形の筒状、仏炎苞の長さと同長か又は少し長い。花被片はほぼ等長、倒披針状長円形、先は鈍形、長さ1.8~2.5㎝。雄しべは花被片の長さの約半分。花柱の枝は長さ約4㎜、先が扁平。
品種) 'Brilliant Blue' , 'Kew Hybriden' , 'Purple Star' , 'Tubergen's Blue'

4 Babiana rubrocyanea (Jacq.) Ker Gawl. バビアナ・ルブロキネア
 南アフリカ原産。石の多い砂質の花崗岩質斜面に生える。
 地下に球茎をもち、高さ5~15㎝。茎は強く外側に曲がり傾斜し、通常は分枝する。葉は披針形でひだ折りになり、毛がある。穂状花序は傾斜し、5~10個の花がつく。苞は緑色で先端が褐色、ビロード状、外側の苞は先端が3裂し、長さ18~30㎜。内側の苞は外側よりわずかに短く、基部まで分かれる。花はほぼ放射相称で雄しべと花柱は片側性(unilateral)、明るい濃青色で中央が赤色、白く縁取られ、無臭。花被筒は狭い漏斗形、長さ15~20㎜。花被片はほぼ均等分で対称的に配置され、広くカップ形になり、長さ20~24㎜、広い爪部がある。雄しべは片側性(ときに対称的に配置される)、花糸は下側の花被片の上に弓状に伸び、長さ10~13㎜。葯は長さ6~7㎜、穂状花序の先端に面して赤褐色。花粉は褐色。子房は基部より上に毛がある。花柱は葯の中央で反対に分かれ、枝は短く、長さは±2㎜、先端は広く平らである。花期はアフリカでは8~9月。 [e-Flora of South Africa]

5 Babiana pygmaea (Burm.f.) Baker バビアナ・ピグメア
 南アフリカ原産。
 高さ12㎝以下。球茎は小さい卵形、薄皮は暗褐色、繊維状。葉は4~5個、対生し、曲がり、明るい緑色、長円形、うねがあり、短軟毛がうねにある。花は放射相称、大きく杯形、直径8㎝以下、芳香は無く、淡~濃レモンイエロー色で中央が栗紫色。雄しべの葯が長く、明るい黄色で目立つ。蒴果は球形、暗褐色、硬い。種子は角(かど)がある。地上部は初夏に乾燥し、その後の長い乾いた夏期に休眠する。花期は春。

6 Babiana striata (Jacq.) G.J.Lewis バビアナ・ストリアタ
 南アフリカ原産。低地の石や砂利の斜面、岩の多い斜面に生える。
 高さ80~150㎜。地中の球茎は球形、外套は粗く繊維質。茎は傾斜し、平滑、ときに1~2分枝、地下部は厚い繊維質の襟とクモの巣状から羊毛状の鱗片葉の鞘で覆われる。葉は剣形~披針形、縁は広く波打ち、薄くパリパリに縮れ、上部は捻じれ、目立つ中脈があり、縁は無毛または縁毛があり、ときに先端付近にのみ毛がある。穂状花序は偏側生(secund)、長さ7.6~12.7㎝、水平に傾斜し、3~5個の花が2列につく。苞は平滑、長さ8~15㎜、内側の苞は上部1/3で二股に分かれる。花は左右相称、2唇形、淡藤色または淡黄色、緑黄色の蜜標(nectar guides)があり、下側の側花被片は中脈ではより濃い黄緑色になり、下側の花被片の中央部には披針形で紫色の斑紋があり、明らかに無臭。花被筒は長さ±7㎜。花被片は不均等、下部が急に狭まって爪部になり、背側の花被片が最も大きく、広く弓なりになり、後に後方に湾曲し、長さ20~25㎜、下側の花被片は上部の側花被片と3~4㎜結合し、互いに3~6㎜結合し、拡大部の基部の上に顕著な耳状裂片があり、長さ12~14㎜。雄しべは片側性。花糸は長さ±15㎜。葯は長さ4.5~6.0㎜。子房は平滑、花柱は対生の葯基部で分かれ、枝は長さ±2㎜。花期はアフリカでは6月~8月上旬[e-Flora of South Africa]。

7 Babiana virginea Goldblatt バビアナ・ビルギネア
 南アフリカ原産。英名はpure-white baboon flower。粗粒玄武岩(dolerite)の露頭の石の多い地面に生える。
 高さは葉を含めて100~180㎜。しばしば球茎が岩の割れ目に挟まっている。茎は地下またはわずかに地上に伸び、通常は分枝せず、ときに地上で分岐する。。葉は基部に房状につき、披針形でひだがあり、細かい毛があり、花より長い。穂状花序は小型で2~4個の花がつく。苞はほとんどが長さ25~45㎜だが、最下部は長さ80㎜以下で、密に毛があり、緑色、先端は褐色で細くなり、内側の苞は先が二股に分かれる。花は強い芳香があり、左右相称、2唇形、白色または淡藤色、下部の側花被片に淡黄色またはクリーム色の斑点があり、強い芳香がある。花被筒は細長い円筒形、長さ45~65 mmで、基部から徐々に広がり、まっすぐである。花被片は不均等。葯は長さ9~11㎜、淡黄色。子房は平滑。花柱は葯の先で分かれ、枝は広がり、長さ±5㎜、先端が広がる。花期は主に9~10月[e-Flora of South Africa]。

8 ハイブリッド
品種) 'Blue Beauty' , 'Blue Gem' , 'Bright Eyes' , 'Jim's Choice' , 'Lady Carey' , 'Laura' , 'Midnight Strain' , 'Mighty Magenta' , 'Porterville' , 'Purple Haze' , 'Purple Sensation' , 'Purple Star' , 'Tubergen's Blue' , 'White King' , 'Zwanenburg's Glory'

参考

1) GRIN
 Babiana
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=17080
2) Global Plants on JSTOR
 Babiana nana
https://plants.jstor.org/compilation/Babiana.nana
 Babiana stricta
https://plants.jstor.org/compilation/Babiana.stricta
3) Pacific Bulb Society | Juno irises
 Babiana
https://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/BabianaThree
4)Kewscience
 Babiana
http://plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331142-2
5) PlantZAfrica
 Babiana pygmaea (Burm.f.) Baker
http://pza.sanbi.org/babiana-pygmaea
6) WFO
 Babiana rubrocyanea Ker Gawl.
https://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000788155