ホウキギクとヒロハホウキギクの学名
Flora of Mikawa
最近の学名
従来はシオン属(Aster)の中に含められてきたが、最近はシムフィヨトリクム属(Symphyotrichum)として分類されている。シムフィヨトリクム属のSymphyotrichum
subulatum (Michaux) G. L. NesomにはU.S.Aでは5変種があり、Flora of North Americaに次のように掲載されている。
表 Varieties 5
日本のホウキギクはAster subulatus Michaux var. sandwicensis (A. Gray ex H. Mann) A. G. Jonesとされてきた。U.S.Aではシムフィヨトリクム属 Symphyotrichumが使われる前の分類であり、⑤var. squamatumが現在、使われている学名である。染色体数も2n = 20である。 ④var. subulatumは染色体数が2n = 10であるため、否定され、⑤var. squamatum が日本のホウキギクである。
日本のヒロハホウキギクは染色体数が2n = 10でありvar. subulatumにあてられたことがある。神奈川県植物誌の見解では最も近いものは① var. ligulatumとしている。しかし、花色や総苞片などが表のとおりであり、舌状花がピンクのヒロハホウキギクに近いものは③ var. parviflorumであり、筒状花の数が少なく、舌状花が2列になる。
観察したヒロハホウキギクは総苞片28~32個、筒状花の数が6~15個、舌状花が2列、31~37個、小舌(舌状花の舌部 laminae) の長さ2~2.5㎜、舌状花の幅0.4~0.5㎜であり、総苞片の数以外は③ var. parviflorumにほぼ一致する。総苞の長さも5~5.5㎜であり、これに近い。冠毛は長さ3~3.5㎜。
オオホウキギクは2n = 20であり、②var. elongatum とされている。花が直径11㎜とするとほぼ合致すると推定できる。① var. ligulatumは筒状花数がかなり多く、舌状花も大きく、オオホウキギクよりさらに花が大きいものと考えられる。Aster subulatus Michx. var. obtusifolius Fernald がオオホウキギクにあてられたことがあったが、これはSymphyotrichum subulatum (Michx.) G.L. Nesom と同義語であるとされている。
日本のインターネットで公開されているヒロハホウキギクを見ても筒状花が少ないものばかりである。 以上からピンクの花の日本でヒロハホウキギクと呼んでいるものは2n=10であればvar. parviflorumに該当するものと思われる。
表 Varieties 5
① var. ligulatum | ② var. elongatum | ③ var. parviflorum | ④ var. subulatum | ⑤ var. squamatum | ||
---|---|---|---|---|---|---|
common name | New Mexico aster, saltmarsh aster, slim aster, southern annual saltmarsh |
Bahaman aster | southwestern annual saltmarsh aster | - | asterweed, bushy starwort, narrow-leaf aster, southeastern annual saltmarsh aster |
|
原産地 | U.S.A、メキシコ | U.S.A、西インド諸島 | U.S.A、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ | カナダ、U.S.A | ブラジル、ボリビア、アルゼンチン | |
高さ ㎝ | (10)60~200 | 30~200 | (10)70~150 | 30~120(150) | 30~150 | |
茎 | simple sometimes branched | simple, often with leafy branches | usually simple, often with short, leafy branches | simple | simple or branched basally | |
頭花 個 | 50~120 | 15~130 | 20~100 | (10)30~100(150) | 30~100 | |
総苞片 個 | 25~45(62) | 21~35(40) | 30~42 | 20~30 | 18~24(30) | |
舌状花 | 列数 | 1列 | (2)3列 | (1)2列 | 2列 | (2)3列 |
個数 | 17~30(45) | 30~54 | (23)27~37(42) | 16~30 | 21~28(38) | |
小舌の長さ㎜ | (3.5)4.5~7 | (2)2.5~3.5(4.2) | 1.9~3 | (1.3)1.5~2.6(3.1) | 1.3~1.7(2) | |
乾いた小舌の巻数 | 3~5 | 2~3(4) | 1~2 | 0~1 | 0 | |
冠毛より | 長い | 長い | 長い | 短いかわずかに長い | 短い | |
幅 ㎜ | 0.9~1.3 | 0.3~0.6 | 0.2~0.5 | 0.2~0.5 | 0.2~0.3 | |
花色 | lavender~blue | pink~lavender | white, sometimes pink | white | white | |
筒状花 | 個数 | (20)33~50 | 11~23 | (6)8~15 | 4~10(13) | (3)7~14 |
長さ㎜ | 3.7~4.5(5) | 4.3~5.2 | 3.4~4.4(4.7) | 3.8~4.6(4.9) | 4~4.9 | |
痩果 ㎜ | (1.3)1.7~2.5(2.9) | 1.3~2.5(2.9) | 1.5~2.7 | (1.2)1.5~2.5 | 1.5~2.6(3) | |
冠毛 ㎜ | (3)3.5~4.6 | (3.2)3.6~5 | 3.5~3.8(4.2) | (3.5)4~5.5 | 4~5.1(5.3) | |
染色体数 | 2n = 10 | 2n = 20 | 2n = 10 | 2n = 10 | 2n = 20 |
日本のホウキギクはAster subulatus Michaux var. sandwicensis (A. Gray ex H. Mann) A. G. Jonesとされてきた。U.S.Aではシムフィヨトリクム属 Symphyotrichumが使われる前の分類であり、⑤var. squamatumが現在、使われている学名である。染色体数も2n = 20である。 ④var. subulatumは染色体数が2n = 10であるため、否定され、⑤var. squamatum が日本のホウキギクである。
日本のヒロハホウキギクは染色体数が2n = 10でありvar. subulatumにあてられたことがある。神奈川県植物誌の見解では最も近いものは① var. ligulatumとしている。しかし、花色や総苞片などが表のとおりであり、舌状花がピンクのヒロハホウキギクに近いものは③ var. parviflorumであり、筒状花の数が少なく、舌状花が2列になる。
観察したヒロハホウキギクは総苞片28~32個、筒状花の数が6~15個、舌状花が2列、31~37個、小舌(舌状花の舌部 laminae) の長さ2~2.5㎜、舌状花の幅0.4~0.5㎜であり、総苞片の数以外は③ var. parviflorumにほぼ一致する。総苞の長さも5~5.5㎜であり、これに近い。冠毛は長さ3~3.5㎜。
オオホウキギクは2n = 20であり、②var. elongatum とされている。花が直径11㎜とするとほぼ合致すると推定できる。① var. ligulatumは筒状花数がかなり多く、舌状花も大きく、オオホウキギクよりさらに花が大きいものと考えられる。Aster subulatus Michx. var. obtusifolius Fernald がオオホウキギクにあてられたことがあったが、これはSymphyotrichum subulatum (Michx.) G.L. Nesom と同義語であるとされている。
日本のインターネットで公開されているヒロハホウキギクを見ても筒状花が少ないものばかりである。 以上からピンクの花の日本でヒロハホウキギクと呼んでいるものは2n=10であればvar. parviflorumに該当するものと思われる。