ヒトモトススキ 一本薄
Flora of Mikawa
カヤツリグサ科 Cyperaceae ヒトモトススキ属
別 名 | シシキリガヤ |
中国名 | 克拉莎 ke la suo |
学 名 | Cladium mariscus (L.) Pohl subsp. mariscus synonym Cladium jamaicense Crantz subsp. chinense (Nees) T.Koyama synonym Cladium chinense Nees |
花 期 | 7~10月 |
高 さ | 1~2.5m |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 海岸に近い湿地 |
分 布 | 在来種 日本(本州の関東南部以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ベトナム、太平洋諸島、[ヨーロッパ、北アフリカ、サウジアラビア、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、コーカサス、パキスタン、トルキスタン、カシミール、カザフスタン |
撮 影 | 西浦半島 05.7.24 |
多年草、叢生する。根茎は短く、這う。稈は直立し、単生、高さ1~2.5m、基部が円柱形、節が多数ある。葉は茎葉、葉舌は無い。葉身は広線形、長さ60~80㎝×幅8~10㎜、断面はV形、硬く、厚い革質、先が次第に狭くなり、先端が3角(かど)の尾状になり、縁や下面の中脈は強く前向きにザラつく。苞は葉状、上方のものは短くなり、縁と下面の中脈が前向きに強くザラつく。花序は5~8個の頂部と側部のイグサ形花序をもつ。花序柄は扁平。小苞は苞穎に似て、狭卵形~披針形、紙質、脈は褐色、先は尾状~尖鋭形。花序は2~3回分枝し、分花序はさび褐色の球形の頭状花序になり、小穂が4~12個つく。小穂は長楕円形~卵形~広卵形、褐色、約・長さ3㎜×幅4~7㎜。苞穎(鱗片)は6~8個つき、卵形~広卵形、先は鈍形~鋭形。基部の4苞穎は空。先の2個に花がつき、上側の花は両性、下側の花は機能的に雄性、雄しべは2~3本、葯は長さ約2㎜、淡黄色。花柱は細く、柱頭は3岐、淡黄色、花柱と同長、有毛。小堅果(痩果)は褐色、長円状卵形、3稜形、長さ約2.5㎜、基部は円形、外果皮はコルク質、先には不明瞭な嘴がある。花期と果期は(4~)7~10月。
多年草。叢生または否。根茎は短く、這うまたは匍匐枝がある。稈は単生または否、円柱形または丸みのある3稜形、通常高さ70㎝以上。葉は茎葉。葉舌は無い。葉身は平らまたは内巻き、断面でV形、縁はザラつく。苞(involucral bract:総苞片)は3~4+個、広がり、葉状、鞘がある。花序は長い複合のイグサ形花序(anthela)[頂生または一部側生し、散房花序または頭状花序で、顕著に分枝する]。小穂は100~1000個以上つき、卵形。苞穎(glume, scale, floral scale:鱗片)は5~6(7~10)個、±螺旋状につき、基部の1~3(4~6個)は空。先の2(3~4)個は稔性、最も先の花は小堅果をつける。花は両性または雄性。指針状花被片(花被の剛毛)は無い。雄しべは2~3個。柱頭は線形、3岐。柱基(style base)は明瞭ではなく、やや太くなり、宿存する。小堅果(痩果)は卵形、類円柱形。x=20。
世界に約3種があり、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、太平洋諸島の熱帯、温帯に分布する。英名はtwig-rush, sawgrass, marisque。
ベネズエラ、ガイアナ原産。英名はCostatum cladium, Costatum sawgrass, Costatum bulrush。
稈は高さ30㎝まで。 葉は縁が平滑または先端部分のみザラつかない。中肋は平滑または先端部分のみがザラつかない。花序はパラクラジウム(paracladium:1次花序が2次花序に似ている)の分岐が最大2回までの密集した総状花序状の円錐花序。花柱は2分岐。果実は長さ3~4㎜、平滑。
2 Cladium mariscoides (Muhlenberg) Torrey クラディウム・マリスコイデス
カナダ、USA原産。英名はsmooth sawgrass。標高0~400(~1200)mの 開けた酸性からアルカリ性の湿地、潮汐湿地の上端の汽水域に生える。
根茎は約・長さ10㎝×太さ2㎜。稈は長さ0.3~1m×幅1~2㎜。葉: 葉身は二つ折り~ほぼ内巻き、幅(1~)2~3.5㎜、平滑またはほぼ平滑。花序は頂生または側生および頂生、花序柄があり、花序柄はほとんどが下につく葉鞘で覆われ、長さ15~25㎝。1 次および2次の枝は(めったに混雑せず、明瞭な分枝はほとんどない)、枝は堅く、斜上する。小穂は3~5(~30)個のグループにつき、狭楕円形~披針形。花の鱗片は5~6個、下部の鱗片は栗褐色、卵形~長円状披針形、長さ2.5~3㎜×幅2㎜、中脈が目立ち、側脈は弱い。雄しべは2本。葯は長さ2㎜、葯隔の先端は長さ0.1㎜。花柱は長さ2~2.5㎜。柱頭は長さ1~1.5㎜。痩果は帯白色または淡緑色、卵形、長さ2.5~3㎜×幅1.5~1.7㎜、基部は3~6裂、円盤形、切形で凹み、フレア状、先はほぼ鋭形、縦の不規則なしわがあり、光沢がある。果期は夏~初秋。
3 Cladium mariscus (L.) Pohl ヒトモトススキ 一本薄 広義
日本、朝鮮、中国、台湾、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、ネパール、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア、南北アメリカ、中央アフリカ、西インド諸島原産。 英名はswamp sawgrass, great fen-sedge, saw-sedge, sawtooth sedge。
多年草、高さ1m以上、単生。根茎は這い又は匍匐枝を出し、頑健。稈は直径6㎜以下、節間は10個以上、、円柱形、中空、平滑、灰緑色。葉は茎全体にほぼ等しく螺旋状につく。基部の葉鞘は長さ約15㎝、硬く、宿存し、灰褐色~黒褐色。葉舌は無い。葉身は長さ50㎝以上×幅5~9㎜、単面葉、平ら又は折り畳まれ、灰緑色、下面の中肋と縁は鋭くザラつき、先は長く漸尖して3稜形になりザラつく。花序は葉腋に6個以上に部分花序をもち、上部は重なる。苞は茎の先を除いて部分花序よりかなり長い。部分花序は複合のイグサ形花序(anthelodium)、たまにかなり長くなり、長さ15㎝×幅10㎝以下。花序柄は長さ25㎝以下、1次枝は長さ(0~)25~100 ㎜。2次枝は長さ35㎜以下、先は穂状花序が束生又は3次のイグサ形花序に終わる。3次枝は長さ15㎜以下、ほとんど穂状花序(小穂)が束生して終わる。最終の枝は苞をもち、長さ3~5㎜、筒形の前出葉は3~14個のほとんど無柄の穂状花序(小穂)が束生する。穂状花序(小穂)は紡錘形、長さ約4㎜、苞穎のような苞は長さ約1㎜、苞穎のような前出葉は長さ約1㎜。最下の2~3個の苞穎は不稔(空)、長さ1.2~3㎜。4番目の苞穎の腋に雄しべが2個の単性の花がつく(たまに両性)。5番目の苞穎の腋に両性の花がつき、ほとんど2個の雄しべとほとんど3柱頭の雌しべをもつ。堅果は長さ2.9~3.3㎜×幅1.4~1.6㎜、紡錘形、黄褐色、平滑、光沢があり、基部は多少、円盤形に分化し、先は円錐形。 (Flora of Pakistan)
3-1 Cladium mariscus (L.) Pohl subsp. mariscus ヒトモトススキ 一本薄
synonym Cladium chinense Nees [The Plant List]
synonym Mariscus chinensis (Nees) Fernald
synonym Cladium jamaicense Crantz subsp. chinense (Nees) T.Koyama [Flora of China]
synonym Cladium jamaicense Crantz var. chinense (Nees) T.Koyama
synonym Cladium mariscus Benth.
日本(本州の関東南部以西、四国、九州、沖縄、小笠原諸島)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、ネパール、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア原産。中国名は克拉莎 ke la su。英名はswamp sawgrass, great fen-sedge, saw-sedge, sawtooth sedge。別名はイノシシでも切れそうなほど鋭いということからシシキリガヤという。沿海地の湿った場所、沼地に生える。
多年草、叢生する。根茎は短く、這う。稈は直立し、単生、高さ1~2.5m、基部が円柱形、節が多数ある。葉は茎葉、葉舌は無い。葉身は広線形、長さ60~80㎝×幅8~10㎜、断面はV形、硬く、厚い革質、先が次第に狭くなり、先端が3角(かど)の尾状になり、縁や下面の中脈は強く前向きにザラつく。苞は葉状、上方のものは短くなり、縁と下面の中脈が前向きに強くザラつく。花序は5~8個の頂部と側部のイグサ形花序をもつ。花序柄は扁平。小苞は苞穎に似て、狭卵形~披針形、紙質、脈は褐色、先は尾状~尖鋭形。花序は2~3回分枝し、分花序はさび褐色の球形の頭状花序になり、小穂が4~12個つく。小穂は長楕円形~卵形~広卵形、褐色、約・長さ3㎜×幅4~7㎜。苞穎(鱗片)は6~8個つき、卵形~広卵形、先は鈍形~鋭形。基部の4苞穎は空。先の2個に花がつき、上側の花は両性、下側の花は機能的に雄性、雄しべは2~3本、葯は長さ約2㎜、淡黄色。花柱は細く、柱頭は3岐、淡黄色、花柱と同長、有毛。小堅果(痩果)は褐色、長円状卵形、3稜形、長さ約2.5㎜、基部は円形、外果皮はコルク質、先には不明瞭な嘴がある。花期と果期は(4~)7~10月。(Flora of China , Flora of Pakistan)
3-2 Cladium mariscus subsp. californicum (S.Watson) Govaerts
synonym Cladium californicum (S.Watson) O'Neill
USA(南西部~南中部)、メキシコ原産。英名はCalifornia sawgrass。標高0~2000mのアルカリ性の湿原、湿地、泉に生える。
根茎は約・長さ20cm×幅10㎜。 稈は長さ1~2m×太さ5~10㎜。 葉: 葉身は平ら~広V字形、長さ1~2m ×幅7~10㎜、縁と中脈は背軸に激しく痂皮があり、歯は肉眼で確認できます。 花序は末端(または側方および末端)、花柄、花柄はほとんどが下にある葉鞘で覆われ、長さ30~50 cm。 1次、2次、3次、まれに4次の枝があり、枝はわずかに曲がります。 小穂は (3~)4~6個のグループでつき、楕円形~披針形、長さ3㎜。花鱗片は5~6個、下部は栗褐色、卵形~長円状披針形、長さ2.5~3㎜×幅2㎜、中脈は目立ち、側脈は弱い。雄しべは2本。葯は長さ2mm、先端の葯隔は長さ0.1㎜。花柱は長さ1~1.5㎜。 柱頭は長さ1~1.5mm。 痩果は紫褐色、卵形、長さ1.5~2㎜×幅1㎜、基部は不明瞭に3裂し、切形、フレア(flared:外に広がった)や円盤形(discoid)ではなく、先は鋭形、宿存性の柱基を形成して、嘴は長さ0.2㎜、平滑または不規則なしわがあり、光沢がある。2n=36。花期と果期は春の終わり~夏。
3-3 Cladium mariscus subsp. intermedium Kuk
synonym Cladium procerum S.T.Blake
オーストラリア、ニューカレドニア原産。英名はleafy twig-rush。沼地や海岸近くの小川や湖の縁に生え、たまに、低~中程度のレベルの塩分でも生える。
多年草、草丈が高く、根茎があり、しばしば大きな株立となる。稈は±円柱形、平滑、無毛、高さ1~2.5m×直径5~10㎜、しばしば節で多数分岐する。葉身は長さ2.5m以下、幅5~20㎜。下部の鞘は黄褐色。 花序は緩くつき、外形は中断される長円形、長さ18~35㎝×直径6~9㎝。苞は花序よりも長い。小穂はしばしば、下部の花が両性のみで、長さ3~5㎜。苞穎は5~6個、鈍形~鋭形、赤褐色、無毛、約4個の最下の苞穎は空で、稔性の苞穎よりも短く、長い。花柱は3分岐。成熟時の柱基は目立たない。堅果は楕円形~卵形、無毛、平滑、光沢があり、褐色、長さ2.0~2.5㎜×直径1.3~2㎜。花期は春~夏(Flora of Victoria)。
3-4 Cladium mariscus (L.) Pohl. jamaicense (Crantz) Kuk.
synonym Cladium jamaicense Crantz
南アメリカ、中央アメリカ、北アメリカ、西インド諸島原産。英名はJamaica swamp sawgrass。アフリカ、マダガスカル、スマトラ、パプアニューギニアなどに帰化。海岸の汽水や真水の沼地に生える。
根茎は長さ20㎝×幅10㎜以下。稈は長さ1~3m×幅5~10㎜。葉身は平ら~V形、幅5~11㎜、縁と下面の中脈は激しくザラつき、歯は肉眼で見える。花序は頂生(又は側生と頂生)、長さ30~50㎝、1次、2次、3次と4次の枝があり、枝はわずかに曲がりくねる。小穂は2~3(~6)個のグループにつき、狭楕円形~披針形。花の鱗片は5~6個、下部は栗褐色、卵形~長円状披針形、長さ2.5~3㎜×幅約2㎜、中脈は目立ち、側脈は弱い。雄しべは2個。葯は長さ約2㎜。葯隔の先は長さ0.1~0.2㎜。花柱は長さ2~2.5㎜。柱頭は長さ1~1.5㎜。痩果は薄緑褐色、卵形、約長さ2㎜×幅1㎜、光沢があり、基部はあいまいに3裂、切形、フレアや円盤は無く、先は鋭形、不規則に縦のしわがある。花期は春~夏。(Flora of North America)
Cladium
Cladium
Cladium
Cladium
Cladium mariscus
Cladium procerum S.T.Blake
ヒトモトススキ属
family Cyperaceae - genus Cladium多年草。叢生または否。根茎は短く、這うまたは匍匐枝がある。稈は単生または否、円柱形または丸みのある3稜形、通常高さ70㎝以上。葉は茎葉。葉舌は無い。葉身は平らまたは内巻き、断面でV形、縁はザラつく。苞(involucral bract:総苞片)は3~4+個、広がり、葉状、鞘がある。花序は長い複合のイグサ形花序(anthela)[頂生または一部側生し、散房花序または頭状花序で、顕著に分枝する]。小穂は100~1000個以上つき、卵形。苞穎(glume, scale, floral scale:鱗片)は5~6(7~10)個、±螺旋状につき、基部の1~3(4~6個)は空。先の2(3~4)個は稔性、最も先の花は小堅果をつける。花は両性または雄性。指針状花被片(花被の剛毛)は無い。雄しべは2~3個。柱頭は線形、3岐。柱基(style base)は明瞭ではなく、やや太くなり、宿存する。小堅果(痩果)は卵形、類円柱形。x=20。
世界に約3種があり、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、太平洋諸島の熱帯、温帯に分布する。英名はtwig-rush, sawgrass, marisque。
ヒトモトススキ属の種
1 Cladium costatum Steyerm. クラディウム・コスタツムベネズエラ、ガイアナ原産。英名はCostatum cladium, Costatum sawgrass, Costatum bulrush。
稈は高さ30㎝まで。 葉は縁が平滑または先端部分のみザラつかない。中肋は平滑または先端部分のみがザラつかない。花序はパラクラジウム(paracladium:1次花序が2次花序に似ている)の分岐が最大2回までの密集した総状花序状の円錐花序。花柱は2分岐。果実は長さ3~4㎜、平滑。
2 Cladium mariscoides (Muhlenberg) Torrey クラディウム・マリスコイデス
カナダ、USA原産。英名はsmooth sawgrass。標高0~400(~1200)mの 開けた酸性からアルカリ性の湿地、潮汐湿地の上端の汽水域に生える。
根茎は約・長さ10㎝×太さ2㎜。稈は長さ0.3~1m×幅1~2㎜。葉: 葉身は二つ折り~ほぼ内巻き、幅(1~)2~3.5㎜、平滑またはほぼ平滑。花序は頂生または側生および頂生、花序柄があり、花序柄はほとんどが下につく葉鞘で覆われ、長さ15~25㎝。1 次および2次の枝は(めったに混雑せず、明瞭な分枝はほとんどない)、枝は堅く、斜上する。小穂は3~5(~30)個のグループにつき、狭楕円形~披針形。花の鱗片は5~6個、下部の鱗片は栗褐色、卵形~長円状披針形、長さ2.5~3㎜×幅2㎜、中脈が目立ち、側脈は弱い。雄しべは2本。葯は長さ2㎜、葯隔の先端は長さ0.1㎜。花柱は長さ2~2.5㎜。柱頭は長さ1~1.5㎜。痩果は帯白色または淡緑色、卵形、長さ2.5~3㎜×幅1.5~1.7㎜、基部は3~6裂、円盤形、切形で凹み、フレア状、先はほぼ鋭形、縦の不規則なしわがあり、光沢がある。果期は夏~初秋。
3 Cladium mariscus (L.) Pohl ヒトモトススキ 一本薄 広義
日本、朝鮮、中国、台湾、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、ネパール、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア、南北アメリカ、中央アフリカ、西インド諸島原産。 英名はswamp sawgrass, great fen-sedge, saw-sedge, sawtooth sedge。
多年草、高さ1m以上、単生。根茎は這い又は匍匐枝を出し、頑健。稈は直径6㎜以下、節間は10個以上、、円柱形、中空、平滑、灰緑色。葉は茎全体にほぼ等しく螺旋状につく。基部の葉鞘は長さ約15㎝、硬く、宿存し、灰褐色~黒褐色。葉舌は無い。葉身は長さ50㎝以上×幅5~9㎜、単面葉、平ら又は折り畳まれ、灰緑色、下面の中肋と縁は鋭くザラつき、先は長く漸尖して3稜形になりザラつく。花序は葉腋に6個以上に部分花序をもち、上部は重なる。苞は茎の先を除いて部分花序よりかなり長い。部分花序は複合のイグサ形花序(anthelodium)、たまにかなり長くなり、長さ15㎝×幅10㎝以下。花序柄は長さ25㎝以下、1次枝は長さ(0~)25~100 ㎜。2次枝は長さ35㎜以下、先は穂状花序が束生又は3次のイグサ形花序に終わる。3次枝は長さ15㎜以下、ほとんど穂状花序(小穂)が束生して終わる。最終の枝は苞をもち、長さ3~5㎜、筒形の前出葉は3~14個のほとんど無柄の穂状花序(小穂)が束生する。穂状花序(小穂)は紡錘形、長さ約4㎜、苞穎のような苞は長さ約1㎜、苞穎のような前出葉は長さ約1㎜。最下の2~3個の苞穎は不稔(空)、長さ1.2~3㎜。4番目の苞穎の腋に雄しべが2個の単性の花がつく(たまに両性)。5番目の苞穎の腋に両性の花がつき、ほとんど2個の雄しべとほとんど3柱頭の雌しべをもつ。堅果は長さ2.9~3.3㎜×幅1.4~1.6㎜、紡錘形、黄褐色、平滑、光沢があり、基部は多少、円盤形に分化し、先は円錐形。 (Flora of Pakistan)
3-1 Cladium mariscus (L.) Pohl subsp. mariscus ヒトモトススキ 一本薄
synonym Cladium chinense Nees [The Plant List]
synonym Mariscus chinensis (Nees) Fernald
synonym Cladium jamaicense Crantz subsp. chinense (Nees) T.Koyama [Flora of China]
synonym Cladium jamaicense Crantz var. chinense (Nees) T.Koyama
synonym Cladium mariscus Benth.
日本(本州の関東南部以西、四国、九州、沖縄、小笠原諸島)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、ネパール、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア原産。中国名は克拉莎 ke la su。英名はswamp sawgrass, great fen-sedge, saw-sedge, sawtooth sedge。別名はイノシシでも切れそうなほど鋭いということからシシキリガヤという。沿海地の湿った場所、沼地に生える。
多年草、叢生する。根茎は短く、這う。稈は直立し、単生、高さ1~2.5m、基部が円柱形、節が多数ある。葉は茎葉、葉舌は無い。葉身は広線形、長さ60~80㎝×幅8~10㎜、断面はV形、硬く、厚い革質、先が次第に狭くなり、先端が3角(かど)の尾状になり、縁や下面の中脈は強く前向きにザラつく。苞は葉状、上方のものは短くなり、縁と下面の中脈が前向きに強くザラつく。花序は5~8個の頂部と側部のイグサ形花序をもつ。花序柄は扁平。小苞は苞穎に似て、狭卵形~披針形、紙質、脈は褐色、先は尾状~尖鋭形。花序は2~3回分枝し、分花序はさび褐色の球形の頭状花序になり、小穂が4~12個つく。小穂は長楕円形~卵形~広卵形、褐色、約・長さ3㎜×幅4~7㎜。苞穎(鱗片)は6~8個つき、卵形~広卵形、先は鈍形~鋭形。基部の4苞穎は空。先の2個に花がつき、上側の花は両性、下側の花は機能的に雄性、雄しべは2~3本、葯は長さ約2㎜、淡黄色。花柱は細く、柱頭は3岐、淡黄色、花柱と同長、有毛。小堅果(痩果)は褐色、長円状卵形、3稜形、長さ約2.5㎜、基部は円形、外果皮はコルク質、先には不明瞭な嘴がある。花期と果期は(4~)7~10月。(Flora of China , Flora of Pakistan)
3-2 Cladium mariscus subsp. californicum (S.Watson) Govaerts
synonym Cladium californicum (S.Watson) O'Neill
USA(南西部~南中部)、メキシコ原産。英名はCalifornia sawgrass。標高0~2000mのアルカリ性の湿原、湿地、泉に生える。
根茎は約・長さ20cm×幅10㎜。 稈は長さ1~2m×太さ5~10㎜。 葉: 葉身は平ら~広V字形、長さ1~2m ×幅7~10㎜、縁と中脈は背軸に激しく痂皮があり、歯は肉眼で確認できます。 花序は末端(または側方および末端)、花柄、花柄はほとんどが下にある葉鞘で覆われ、長さ30~50 cm。 1次、2次、3次、まれに4次の枝があり、枝はわずかに曲がります。 小穂は (3~)4~6個のグループでつき、楕円形~披針形、長さ3㎜。花鱗片は5~6個、下部は栗褐色、卵形~長円状披針形、長さ2.5~3㎜×幅2㎜、中脈は目立ち、側脈は弱い。雄しべは2本。葯は長さ2mm、先端の葯隔は長さ0.1㎜。花柱は長さ1~1.5㎜。 柱頭は長さ1~1.5mm。 痩果は紫褐色、卵形、長さ1.5~2㎜×幅1㎜、基部は不明瞭に3裂し、切形、フレア(flared:外に広がった)や円盤形(discoid)ではなく、先は鋭形、宿存性の柱基を形成して、嘴は長さ0.2㎜、平滑または不規則なしわがあり、光沢がある。2n=36。花期と果期は春の終わり~夏。
3-3 Cladium mariscus subsp. intermedium Kuk
synonym Cladium procerum S.T.Blake
オーストラリア、ニューカレドニア原産。英名はleafy twig-rush。沼地や海岸近くの小川や湖の縁に生え、たまに、低~中程度のレベルの塩分でも生える。
多年草、草丈が高く、根茎があり、しばしば大きな株立となる。稈は±円柱形、平滑、無毛、高さ1~2.5m×直径5~10㎜、しばしば節で多数分岐する。葉身は長さ2.5m以下、幅5~20㎜。下部の鞘は黄褐色。 花序は緩くつき、外形は中断される長円形、長さ18~35㎝×直径6~9㎝。苞は花序よりも長い。小穂はしばしば、下部の花が両性のみで、長さ3~5㎜。苞穎は5~6個、鈍形~鋭形、赤褐色、無毛、約4個の最下の苞穎は空で、稔性の苞穎よりも短く、長い。花柱は3分岐。成熟時の柱基は目立たない。堅果は楕円形~卵形、無毛、平滑、光沢があり、褐色、長さ2.0~2.5㎜×直径1.3~2㎜。花期は春~夏(Flora of Victoria)。
3-4 Cladium mariscus (L.) Pohl. jamaicense (Crantz) Kuk.
synonym Cladium jamaicense Crantz
南アメリカ、中央アメリカ、北アメリカ、西インド諸島原産。英名はJamaica swamp sawgrass。アフリカ、マダガスカル、スマトラ、パプアニューギニアなどに帰化。海岸の汽水や真水の沼地に生える。
根茎は長さ20㎝×幅10㎜以下。稈は長さ1~3m×幅5~10㎜。葉身は平ら~V形、幅5~11㎜、縁と下面の中脈は激しくザラつき、歯は肉眼で見える。花序は頂生(又は側生と頂生)、長さ30~50㎝、1次、2次、3次と4次の枝があり、枝はわずかに曲がりくねる。小穂は2~3(~6)個のグループにつき、狭楕円形~披針形。花の鱗片は5~6個、下部は栗褐色、卵形~長円状披針形、長さ2.5~3㎜×幅約2㎜、中脈は目立ち、側脈は弱い。雄しべは2個。葯は長さ約2㎜。葯隔の先は長さ0.1~0.2㎜。花柱は長さ2~2.5㎜。柱頭は長さ1~1.5㎜。痩果は薄緑褐色、卵形、約長さ2㎜×幅1㎜、光沢があり、基部はあいまいに3裂、切形、フレアや円盤は無く、先は鋭形、不規則に縦のしわがある。花期は春~夏。(Flora of North America)
参考
1) Flora of ChinaCladium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107172
2) GRINCladium
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=2643
3)Flora of North America Cladium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=107172
4)Plants of the World Online | KewscienceCladium
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329463-2
5)Flora of PakistanCladium mariscus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=242101103
6)Flora of VictoriaCladium procerum S.T.Blake
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/6df147dc-33a5-47b5-8639-8c84c05699fc