ヒオウギ 桧扇
Flora of Mikawa
アヤメ科 Iridaceae アヤメ属
別 名 | カラスオウギ |
中国名 | 射干 she gan |
英 名 | blackbery lily, belamcanda, leopard-lily , shenan |
学 名 | Iris domestica (L.) Goldblatt et Mabb. synonym Belamcanda chinensis (L.) DC. |
花 期 | 8~9月 |
高 さ | 60~100㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山地の草原 |
分 布 | 在来種 本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ネパール、ブータン、ベトナム、ミャンマー、フィリピン |
撮 影 | 面ノ木園地 02.8.25 |
ヒオウギはアヤメ科アヤメ属の多年草。よく栽培されているが、日本では観賞用に普通に栽培されているのは矮性のダルマヒオウギが多い。黒の枕詞に使われる「うば玉」はこのヒオウギの種子のことである。以前はヒオウギ属 Belamcanda であったが、DNA系統解析により、2005年にアヤメ属とされた。
根茎は淡褐色、短く這う。茎は高さ1~1.5m。葉は互生し、長さ30~60㎝、幅2~4㎝の幅が広い剣状葉、中脈は不明瞭、先は尖鋭形、扇状につく。葉の色は粉白色を帯びた緑色。花は直径3~4㎝。花柄は細く、花柄は長さ1~4㎝。花被片は6個、橙色~赤橙色、暗赤色の斑点がある。外花被片は倒卵形~楕円形、長さ約2.5㎝、幅約1㎝、基部は楔形、先は鈍形。雄しべは3個長さ1.8~2㎝。花柱は花被片と同じ長さで、裂片が広がる。蒴果は長さ2.5~3㎝、幅1.5~2.5㎝、倒卵状楕円形、先に嘴は無い。種子は直径約5㎜の光沢のある真っ黒な球形。2n=(16, 27), 32。
以前はBelamcanda属とPardanthopsi属であった種が2003年まではリムニリス亜属 subg. Limnirisに入れられていたが、分離されパルダンソプシス亜属 subg. Pardanthopsisに分類された。ヒオウギ(Iris domestica=Iris pampaninii), ヒオウギモドキ(Iris dichotoma), Iris × norrissii(ヒオウギとヒオウギモドキの交雑種)の3種がある。
1 Iris domestica (L.) Goldblatt et Mabb. ヒオウギ 桧扇
synonym Belamcanda chinensis (L.) DC
synonym Belamcanda flabellata Grey (Dwarf Blackberry Lily)
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ネパール、ブータン、ベトナム、ミャンマー、フィリピン原産。中国名は射干 she gan。英名はblackbery lily, belamcanda, leopard-lily , shenan。別名はカラスオウギ。黒の枕詞に使われる「うば玉」はこのヒオウギの種子のことである。以前はヒオウギ属 Belamcanda であったが、DNA系統解析により、2005年にアヤメ属(Iris)とされた。日本では観賞用に普通に栽培され、栽培されているのは矮性のダルマヒオウギが多い。中国では古くから根茎を薬用とし、広く栽培されている。中国名の射干 she ganは日本ではシャガ(Iris japonica)の和名として使われ、混同しやすい。シャガの中国名は蝴蝶花 hu die huaである。
多年草、高さ60~100㎝。根茎は淡褐色、短く這う。茎は高さ1~1.5m。葉は互生し、長さ30~60㎝、幅2~4㎝の幅が広い剣状葉、中脈は不明瞭、先は尖鋭形、扇状につく。葉の色は粉白色を帯びた緑色。花は直径3~4㎝。花柄は細く、花柄は長さ1~4㎝。花被片は6個、橙色~赤橙色、暗赤色の斑点がある。外花被片は倒卵形~楕円形、長さ約2.5㎝、幅約1㎝、基部は楔形、先は鈍形。雄しべは3個長さ1.8~2㎝。花柱は花被片と同じ長さで、裂片が広がる。蒴果は長さ2.5~3㎝、幅1.5~2.5㎝、倒卵状楕円形、先に嘴は無い。種子は直径約5㎜の光沢のある真っ黒な球形。2n=(16, 27), 32。
品種) 'Avalon Hybrids'(Belamcanda chinensis×Belamcanda flabellata) , 'Chong Qing Lady'(鮮やかな橙色に鮮やかな橙赤色の斑点、高さ97㎝) , 'Chong Qing Fan Xing'(鮮やかな橙色N30Cに鮮やかな橙赤色34Bの斑点、花柱の枝が鮮やかな橙色 25C, 、高さ102㎝) , 'Chong Qing Xiang Fei'(薄橙色28Cに鮮やかな赤橙色32Bの斑点、高さ104㎝) , 'Crug Colossal' , 'Dwarf Orange' , Freckle Face'(淡橙色に暗赤色の斑点、高さ60~120㎝) , 'Fu Zhou Luo Xia' , 'Gone with the Wind'(黄色に薄い斑点、高さ60~180㎝) , 'Hello Orange'(鮮やかな橙色に暗色の斑点、高さ45㎝) , 'Hello Yellow'(黄花、斑点がない、高さ45~50㎝)=黄竜 , 'Irish Canary' (D) , 'Irish Johnnies' (F) , 'Irish Molly' (D) , 'Irish Peach' (D) , 'Irish Seedling' (F) , 'Leopard Lily'=ダルマヒオウギ(Belamcanda chinensis var. curtata) , 'Pumila Campbellii' , 'Yellow Bird' , 'Zi Mo Xian')
1-1 Iris domestica 'Leopard Lily' ダルマヒオウギ 達磨檜扇
synonym Belamcanda chinensis var. curtata Makino
synonym Belamcanda chinensis f. vulgaris Makino
POWOではこの下位分類を認めず、基本種のsynonymとしている。
英名はDwarf Blackberry Lily。花茎が高くならず、高さ40~60㎝の矮性種。葉幅が広く、花もやや大きい。
品種) 真竜(しんりゅう):花は朱橙色に紅色の斑点 , 黄竜(おうりゅう):黄花で斑点は入らない , 緋竜(ひりゅう):花は橙紅色に紅色の斑点 , 桃竜(とうりゅう):桃色花
2 Iris dichotoma Pall. ヒオウギモドキ 桧扇擬
synonym Evansia dichotoma (Pall.) Decne.
synonym Pardanthopsis dichotoma (Pallas) Lenz. [Flora of China]
朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、陝西省、山東省、山西省、雲南省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は野鸢尾 ye yuan wei。英名はAutumn iris。標高200~2300mのコナラ林、砂地の草原、乾燥した日当たりの良い地域に生える。
根茎は直立し、褐色で、非常に短く、丈夫。根は長く、太い。葉は基部に扇状につき、花茎の基部に互生し、灰緑色で剣状、わずかに湾曲、長さ15~35㎝×幅 1.5~3㎝、中脈はない。花茎は二股に分岐し、長さ40~60㎝、葉がある。仏炎苞は4または5個、緑色、披針形、長さ1.5~2.3㎝、3または4 個の花が付き、先は鈍形。花は紫色、淡青色、またはクリーム色で紫褐色の斑点があり、直径4~4.5㎝、花後に螺旋状になる。小花柄は仏炎苞から突出し、長さ2~3.5㎝、硬く、宿存する。花被筒は非常に短く、外花被片は広倒披針形、長さ3~3.5㎝× 幅約1㎝、爪部は黄褐色の縞模様があり、拡大部は中央に暗い斑点があり、淡いパッチがある。内花被片は狭倒卵形、長さ約2.5㎝×幅6~8㎜、先は微凹形。雄しべは長さ1.6~1.8㎝。子房は緑色、長さ約1㎝。花柱の枝は平らで、長さ約 2.5㎝。蒴果は黄緑色、円筒形、長さ3.5~5㎝×幅1~1.2㎝。種子は暗褐色、楕円形小さな翼がある。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=32。
品種) 'An Xiang' , 'Chenshan Moonlight' , 'Footstone' , 'Snow Honey' , 'Summer Princess' , 'Sweet Girl'
3 Iris × norrissii パルダンカンダ
synonym × Pardancanda norrisii
ヒオウギ(Iris domestica)とヒオウギモドキ(Iris dichotoma)の交雑種。英名は Candy lily。
高さは60~90㎝、葉は剣状。よく分枝した花茎に紫色、赤色、黄色、2色など様々な花をつける。花期は7~9月。
品種) 'Blue Sapphire' ブルー・サファイア=伊賀の誉(ダルマヒオウギとパルダンカンダの交雑種) , 'Shilka' , 'Vanilla Frost'
根茎は淡褐色、短く這う。茎は高さ1~1.5m。葉は互生し、長さ30~60㎝、幅2~4㎝の幅が広い剣状葉、中脈は不明瞭、先は尖鋭形、扇状につく。葉の色は粉白色を帯びた緑色。花は直径3~4㎝。花柄は細く、花柄は長さ1~4㎝。花被片は6個、橙色~赤橙色、暗赤色の斑点がある。外花被片は倒卵形~楕円形、長さ約2.5㎝、幅約1㎝、基部は楔形、先は鈍形。雄しべは3個長さ1.8~2㎝。花柱は花被片と同じ長さで、裂片が広がる。蒴果は長さ2.5~3㎝、幅1.5~2.5㎝、倒卵状楕円形、先に嘴は無い。種子は直径約5㎜の光沢のある真っ黒な球形。2n=(16, 27), 32。
ヒオウギ類の分類
Flora of China では以前のヒオウギ属 Belamcanda としているが、ヒオウギ属 Belamcanda はDNA系統解析により、2005年にアヤメ属とされた。以前はBelamcanda属とPardanthopsi属であった種が2003年まではリムニリス亜属 subg. Limnirisに入れられていたが、分離されパルダンソプシス亜属 subg. Pardanthopsisに分類された。ヒオウギ(Iris domestica=Iris pampaninii), ヒオウギモドキ(Iris dichotoma), Iris × norrissii(ヒオウギとヒオウギモドキの交雑種)の3種がある。
1 Iris domestica (L.) Goldblatt et Mabb. ヒオウギ 桧扇
synonym Belamcanda chinensis (L.) DC
synonym Belamcanda flabellata Grey (Dwarf Blackberry Lily)
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ネパール、ブータン、ベトナム、ミャンマー、フィリピン原産。中国名は射干 she gan。英名はblackbery lily, belamcanda, leopard-lily , shenan。別名はカラスオウギ。黒の枕詞に使われる「うば玉」はこのヒオウギの種子のことである。以前はヒオウギ属 Belamcanda であったが、DNA系統解析により、2005年にアヤメ属(Iris)とされた。日本では観賞用に普通に栽培され、栽培されているのは矮性のダルマヒオウギが多い。中国では古くから根茎を薬用とし、広く栽培されている。中国名の射干 she ganは日本ではシャガ(Iris japonica)の和名として使われ、混同しやすい。シャガの中国名は蝴蝶花 hu die huaである。
多年草、高さ60~100㎝。根茎は淡褐色、短く這う。茎は高さ1~1.5m。葉は互生し、長さ30~60㎝、幅2~4㎝の幅が広い剣状葉、中脈は不明瞭、先は尖鋭形、扇状につく。葉の色は粉白色を帯びた緑色。花は直径3~4㎝。花柄は細く、花柄は長さ1~4㎝。花被片は6個、橙色~赤橙色、暗赤色の斑点がある。外花被片は倒卵形~楕円形、長さ約2.5㎝、幅約1㎝、基部は楔形、先は鈍形。雄しべは3個長さ1.8~2㎝。花柱は花被片と同じ長さで、裂片が広がる。蒴果は長さ2.5~3㎝、幅1.5~2.5㎝、倒卵状楕円形、先に嘴は無い。種子は直径約5㎜の光沢のある真っ黒な球形。2n=(16, 27), 32。
品種) 'Avalon Hybrids'(Belamcanda chinensis×Belamcanda flabellata) , 'Chong Qing Lady'(鮮やかな橙色に鮮やかな橙赤色の斑点、高さ97㎝) , 'Chong Qing Fan Xing'(鮮やかな橙色N30Cに鮮やかな橙赤色34Bの斑点、花柱の枝が鮮やかな橙色 25C, 、高さ102㎝) , 'Chong Qing Xiang Fei'(薄橙色28Cに鮮やかな赤橙色32Bの斑点、高さ104㎝) , 'Crug Colossal' , 'Dwarf Orange' , Freckle Face'(淡橙色に暗赤色の斑点、高さ60~120㎝) , 'Fu Zhou Luo Xia' , 'Gone with the Wind'(黄色に薄い斑点、高さ60~180㎝) , 'Hello Orange'(鮮やかな橙色に暗色の斑点、高さ45㎝) , 'Hello Yellow'(黄花、斑点がない、高さ45~50㎝)=黄竜 , 'Irish Canary' (D) , 'Irish Johnnies' (F) , 'Irish Molly' (D) , 'Irish Peach' (D) , 'Irish Seedling' (F) , 'Leopard Lily'=ダルマヒオウギ(Belamcanda chinensis var. curtata) , 'Pumila Campbellii' , 'Yellow Bird' , 'Zi Mo Xian')
1-1 Iris domestica 'Leopard Lily' ダルマヒオウギ 達磨檜扇
synonym Belamcanda chinensis var. cruenta Makino f. vulgaris Makino
synonym Belamcanda flabellata Greysynonym Belamcanda chinensis var. curtata Makino
synonym Belamcanda chinensis f. vulgaris Makino
POWOではこの下位分類を認めず、基本種のsynonymとしている。
英名はDwarf Blackberry Lily。花茎が高くならず、高さ40~60㎝の矮性種。葉幅が広く、花もやや大きい。
品種) 真竜(しんりゅう):花は朱橙色に紅色の斑点 , 黄竜(おうりゅう):黄花で斑点は入らない , 緋竜(ひりゅう):花は橙紅色に紅色の斑点 , 桃竜(とうりゅう):桃色花
2 Iris dichotoma Pall. ヒオウギモドキ 桧扇擬
synonym Evansia dichotoma (Pall.) Decne.
synonym Pardanthopsis dichotoma (Pallas) Lenz. [Flora of China]
朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、陝西省、山東省、山西省、雲南省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は野鸢尾 ye yuan wei。英名はAutumn iris。標高200~2300mのコナラ林、砂地の草原、乾燥した日当たりの良い地域に生える。
根茎は直立し、褐色で、非常に短く、丈夫。根は長く、太い。葉は基部に扇状につき、花茎の基部に互生し、灰緑色で剣状、わずかに湾曲、長さ15~35㎝×幅 1.5~3㎝、中脈はない。花茎は二股に分岐し、長さ40~60㎝、葉がある。仏炎苞は4または5個、緑色、披針形、長さ1.5~2.3㎝、3または4 個の花が付き、先は鈍形。花は紫色、淡青色、またはクリーム色で紫褐色の斑点があり、直径4~4.5㎝、花後に螺旋状になる。小花柄は仏炎苞から突出し、長さ2~3.5㎝、硬く、宿存する。花被筒は非常に短く、外花被片は広倒披針形、長さ3~3.5㎝× 幅約1㎝、爪部は黄褐色の縞模様があり、拡大部は中央に暗い斑点があり、淡いパッチがある。内花被片は狭倒卵形、長さ約2.5㎝×幅6~8㎜、先は微凹形。雄しべは長さ1.6~1.8㎝。子房は緑色、長さ約1㎝。花柱の枝は平らで、長さ約 2.5㎝。蒴果は黄緑色、円筒形、長さ3.5~5㎝×幅1~1.2㎝。種子は暗褐色、楕円形小さな翼がある。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=32。
品種) 'An Xiang' , 'Chenshan Moonlight' , 'Footstone' , 'Snow Honey' , 'Summer Princess' , 'Sweet Girl'
3 Iris × norrissii パルダンカンダ
synonym × Pardancanda norrisii
ヒオウギ(Iris domestica)とヒオウギモドキ(Iris dichotoma)の交雑種。英名は Candy lily。
高さは60~90㎝、葉は剣状。よく分枝した花茎に紫色、赤色、黄色、2色など様々な花をつける。花期は7~9月。
品種) 'Blue Sapphire' ブルー・サファイア=伊賀の誉(ダルマヒオウギとパルダンカンダの交雑種) , 'Shilka' , 'Vanilla Frost'