ヒメキンギョソウ 姫金魚草
Flora of Mikawa
オオバコ科 Plantaginaceae ウンラン属
別 名 | リナリア |
中国名 | 柳彩雀花 liu cai que hua |
英 名 | Moroccan toadflax、Baby Snapdragon |
学 名 | Linaria maroccana Hook.f. |
花 期 | (12)3~6月 |
高 さ | 19~55㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 栽培種の道端への逸出 |
分 布 | 帰化種 モロッコ原産 |
撮 影 | 西尾市 17.1.27 |
写真のものは形質が混ざった園芸品種である。図鑑にあるムラサキウンランと似たものと思われ、花柄、萼などに明らかに腺毛がある。苞は萼片とほぼ同長、花柄の長さの1/2以下。萼片の縁は膜質。花冠の下唇の口部に毛があり、下唇の裂片が短いものが多い。葉は幅に変化があり、花のつかない茎の葉は幅が広く、輪生する。1月27日に早く伸びたものは開花していた。2月末頃、新しい花芽が伸びてきたものも多い。
腺毛のあるムラサキウンランの学名に腺毛のないとされるLinaria bipartita をあてるのは誤りであると思われ、花色が鮮やかなため、これをここではヒメキンギョソウLinaria maroccanaとした。
ウンラン属(リナリア属)
family Plantaginaceae - genus Linaria1年草又は多年草。葉は互生、対生又は輪生、しばしば無柄、葉脈は1又は数本、弧状(campylodromou)。花序は穂状花序、総状花序まれに頭状花序。萼はほとんど基部まで5裂。花冠筒部は筒状、基部に距がある。花冠の拡大部は2唇形、下唇は凸状、上唇の中央に向かって広がり、ほとんどのど部で閉じ、3裂片のようにになり、密に腺毛がある。上唇は直立し、2裂。雄しべは4個、前側の2個は長い。葯は前側と後側が2対に輻合(connivent)する。葯室は平行、裂開後に離れる。柱頭は先がしばしば凹む。蒴果は卵形~球形、先の不規則な穴から裂開し、バルブは不規則。種子は多数、扁平、しばしば、円盤形で縁に広い翼があり、まれに、3角状で翼がなく、又は腎形で縁が厚い。
北半球の温帯、主にアジ、ヨーロッパに約190種が分布する。
ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)からオオバコ科(Plantaginaceae)に変更されている。
【ウンラン属の7節(Sutton 1988)】主な種
1 sect. Linaria:種子は円盤形、翼が有(duration)、多年草、柱頭は全縁
L. azerbaijanensis、L. baminaica、L. elymatica、L. farsensis、L. fastigiata、L. guilanensis、L. karajensis、L. khalkhalensis、L. khorasanensis、L. kurdica、L. leptoceras、L. lineolata、L. loeselii、L. meyeri、L. michauxii、L. nurensis、L. odora、L. pyramidalis、L. remotiflora、L. shahroudensis、L. striatella、L. thibetica、L. vulgaris
2 sect. Speciosae : 種子は非円盤形、翼は無、多年草、柱頭は全縁
L. dalmatica、Linaria repens、L. grandiflora、L. orientalis、L. genistifolia、L. mazandaranensis、 L. peloponnesiaca、L. purpurea、L. ventricosa
3 sect. Supinae:種子は円盤形、翼は有(duration)、1年草又は多年草、柱頭は全縁
3-1 Subsect. Supinae: L. aeruginea、L. almijarensis、L amethystea 、L. amoi、L. anticaria、L. arvensis、 L. caesia、 L. depauperata、L. kavirensis、L. latifolia、L. lilacina、 L. micrantha、L. mumbyana s.l.、L. oblongifolia 、L. platycalyx、L. polygalifolia、L. simplex、L. tristis、 L. verticillata
3-2 Subsect. Saxatile:L. huteri、L. intricata、L. saxatilis、L. tursica
4 sect. Diffusae :種子は非円盤形、翼は無、1年草又は多年草、柱頭は全縁
L. albifrons、L. bousherensis、 L. flava、L. haelava、L. hirta、L. joppensis、 L. laxiflora、L. triphylla、L. warionis
5 sect. Macrocentrum:種子は非円盤形、翼は無、1年草、柱頭は全縁
2種 L. chalepensis、L. armenica
6 sect. Pelisserianae:種子の共有派生形質(synapomorphy)が腹面が膨れ、背面はつぶれて平ら
3種 Linaria pelisseriana(2n = 24)、L. triornithophora、L. dumanii
7 sect. Versicolores:種子は非円盤形、翼は無、1年草又は多年草、柱頭は分裂 柱頭が2裂するため bifid toadflaxesと呼ばれる。) 約30種
7-1 Subsect. Versicolores: L. algarviana、L. bipartita、L. bordiana(subsp. bordiana , subsp. kralikiana)、L. clementei、L. dissita、L. gattefossei、L. gharbensis、 L. hellenica、L. imzica、L. incarnata、L. iranica、L. mamorensis、L. maroccana、L. multicaulis(subsp. multicaulis , subsp. aurasiaca , subsp. galioides , subsp. heterophylla) 、 L. onubensis、L. pedunculata、L. pinifolia、L. pseudoviscosa、L. salzmannii、L. spartea、L. tenuis、L. tingitana、L. viscosa(subsp. viscosa , subsp. spicata)、L. weilleri.
7-2 Subsect. Elegantes:L. elegans、L. nigricans.
ウンラン属の主な種と園芸品種
1 Linaria aeruginea (Gouan) Cav. リナリア・アエルギネアsynonym Linaria supina subsp. aeruginea (Gouan) Malag.
ポルトガル、スペイン、バレアレス諸島原産。標高150~3300mの石灰岩地帯、低木林に生える。
多年草まれに1年草、花序に腺毛があり、腺毛は長さ0.3~1.2㎜、粉白を帯びる。稔性の茎は1~10本、長さ70㎝以下、傾伏~直立・斜上し、単純または分枝する。不稔の茎は1~8本、長さ35㎝以下、傾伏~斜上し、ときに直立する。稔性の茎の葉は長さ3~35㎜×幅0.3~1.5(1.9)㎜、線形~線状楕円形、鋭形またはほぼ鈍形、±外巻きまたは下側が溝状になり、または±平らで、通常は片側に配置される。下部の葉は2~6個が渦巻き状に配置され、残りは互生する。不稔の茎の葉は長さ2~20㎜×幅0.3~1.5㎜で、稔性の茎の葉に似ている。花序は長さ(0.8)2.5~31㎝、花が(1)3~34個つき、±花期には密、果時にはやや緩くなる。苞は長さ2.5~10㎜×幅0.5~1.2㎜、狭倒披針形~線形、鋭形。小花柄は花時に長さ0.5~6㎜、果時に長さ0.5~14㎜になり、直立する。萼は不均等な萼片を持ち、倒披針形~線状披針形、鋭形またはほぼ鈍形。上側の萼片は花時に長さ3.5~7.5(9)㎜×幅0.5~1.2㎜、果時に4~8.5(10)㎜×幅0.5~1.7㎜。下側の萼片は花時に長さ2.5~5㎜×幅0.6~1.9㎜、果時に長さ3~6㎜×幅0.7~2㎜。花冠は長さ(11)13~27(30)㎜、帯赤色、赤紫色、ピンク紫色、灰紫色、黄色または黄橙色、ときに紫青色。花冠筒部は幅2.7~7 mm。上唇の切れ込みは0.8~3㎜、下唇の切れ込みは0.7~1.4㎜。距は長さ5~11(14)㎜、基部の幅1~2.3㎜、やや湾曲し、花冠の残りの部分より短いかほぼ同長。蒴果は長さ3~7.5㎜×幅2.8~7.3㎜、球形~卵状亜球形、無毛、または頂部に向かって長さ0.1~0.2㎜の腺毛がある。種子は長さ1.2~4㎜×幅1.1~3.8㎜、通常わずかに凹凸面がある腎形の円盤形、疣状突起があるかまたは平滑またはうねで覆われ、パピラはなく、褐色、暗褐色または黒色。翼は幅0.2~1.2mm、膜質、厚くなく、全縁、パピラはなく、灰色または黄灰色、灰褐色または黒色、ときに縁が白灰色。2n=12。
品種) 'Aureopurpurea' , 'Gemstones' , 'Lindeza Violet' , 'Neon Lights'(='Ripple Stone'リナリア・リップルストーン), まろんパレット
1-1 Linaria aeruginea subsp. aeruginea
ポルトガル、スペイン、バレアレス諸島原産。標高800~2200mの石灰岩、低木林に生える。
稔性の茎は長さ6~70cmで、傾伏~直立・斜上し、単純または分枝する。不稔の茎は長さ35㎝以下、傾伏~直立する。稔性の茎の葉は長さ3.5~20(35)㎜×幅0.3~1.5(1.9)㎜、線形~線状楕円形、鋭形またはほぼ鈍形、外巻きまたは下面に溝がある。花序は長さ5~21㎝、花が(1)3~34個つき、花時は±密、果時にはやや緩くなる。小花柄は花時に長さ0.5~1.2(2)㎜、果時に長さ0.5~2.5(4)㎜。花冠は長さ15~27(30)㎜、黄色で、下唇の隆起(palate)は橙色~帯赤色、または赤色~赤紫色、または暗赤色~帯紫色、花冠筒部は幅5~7㎜、上唇の切れ込みは0.8~3.1㎜。下唇の切れ込みは0.6~1.4㎜。距は長さ(5)7.5~10(14)㎜、基部の幅1.4~2.3㎜、 やや湾曲しており、花冠の残りの部分より短いかほぼ同長。種子は長さ2.2~2.7(3.5)㎜×幅2~2.6(3.3)㎜、腎形、疣状突起があるかまたは平滑な円盤形、明るい褐色、暗灰色または黒色、翼は幅0.6~1.2㎜で灰黄色または帯白色。2n=12。
1-2 Linaria aeruginea subsp. cardonica (Font Quer) L.Sáez & Sainz
スペイン原産。標高150~1400mの岩場やガレ場、尾根、低木林の空き地、大通りの石床に生える。稔性の茎は4~35㎝、傾伏~直立・斜上し、ときに直立する。稔性の茎の葉は長さ3.5~16㎜×幅0.5~1.4㎜、線形~線状楕円形、鋭形またはほぼ鈍形、±平らまたはわずかに外巻きする。花序は長さ5㎝以下、花は(1)3~8(12)個つき、花時は±密、果時にはやや緩くなる。苞は長さ2.2~6.5㎜×幅0.5~1.1㎜、狭い倒披針形~線形、ほぼ鋭形。小花柄は花時に長さ0.7~1.5mm、果時に長さ1~3(6.5)mm。花冠は長さ16~25㎜、黄色または紫青色(ときに帯紫色)、下唇はの隆起は黄橙色。花冠筒部は幅5~7㎜。上唇の切れ込みは1~3㎜。下唇の切れ込みは0.5~1.2㎜。距は7~12㎜、基部の幅は1~2㎜、真っ直ぐかまたはやや湾曲しており、花冠の残りの部分より短いかほぼ同長。種子は長さ2.4~4㎜×幅2.2~3.8㎜、疣状突起があるかまたは平滑な円盤形、黒色。翼の幅は0.3~0.8(1)㎜、黒色または帯灰色。
1-3 Linaria aeruginea subsp. nevadensis (Boiss.) D.A.Sutton
スペイン原産。標高(1800)2300~3300mの片岩のガレ場に生える。
稔性の茎は4~15㎝、傾伏し、単純または中央ゾーンで分枝し、半分またはそれ以上、ときに匍匐茎がある。不稔の茎は長さ6㎝以下、傾伏または直立する。稔性の茎の葉は長さ2~20㎜×幅0.3~1㎜、線形~線状楕円形、鋭形またはほぼ鈍形、外巻きまたは溝がある。花序は長さ0.8~1.5(2)㎝、花が1~5(8)個つき、花時には±密であるが、果時にはやや緩くなる。苞は長さ(2)2.5~4(5)㎜×幅0.5~1.1㎜、狭い倒披針形~線形、鋭形またはほぼ鈍形。小花柄は長さ0.5~2㎜(花時)、果時には長さ(1)2~3(4)㎜になる。花冠は長さ(11)13~17(19)㎜、黄色。花冠筒部は幅2.7~3.5㎜。上唇の切れ込みは(0.5)1~2(3)㎜。下唇の切れ込みは0.6~1.2㎜。距は長さ5~8.5㎜m、基部の幅1~1.3㎜、真っすぐまたは曲はり、短いかまたは花冠の他の部分とほぼ同長。種子は長さ1.2~2㎜×幅1.1~1.5㎜、円盤は波状になり、まれに平滑、うねがあり、暗灰色、幅0.2~0.4㎜の翼があり、翼は灰色または黄灰色。
2 Linaria alpina (L.) Mill. リナリア・アルピナ
ヨーロッパ原産。英名はalpine toadflax。
1年草、2年草、または多年草、無毛で、萼と花序軸にときに腺毛があり、毛は長さ0.3~1.7㎜、 粉白を帯びる。稔性の茎は1~26本、長さ5~40㎝、傾伏~直立・斜上し、単純、または基部~中央で分枝する。不稔の茎は1~20本、長さ15㎝以下、平伏または斜上する。稔性の茎の葉は長さ2.5~25㎜×幅0.6~5㎜、狭楕円形または倒卵形~線形、先は鋭形または鈍形、平らで、下部および中間ゾーンの葉は(3)4~6個が輪生し、たまに上部では互生する。不稔の茎の葉は長さ3.5~18㎜×幅0.7~2.5㎜、稔性の茎の葉と似ている。花序は長さ12㎝まで、花が1~12個つき、花時は密または+緩く、果時は緩い。苞は長さ2.7~12㎜×幅0.5~1.6㎜、線状倒披針形~線形、鋭形。小花柄は花時に長さ1.5~12㎜、果時に長さ2.5~15㎜、直立またはほぼ直立する。萼は萼片がほぼ不均等、倒披針形、長円形または線形、鋭形または鈍形。上側の萼片は花時に長さ3.5~6㎜×幅0.5~0.9㎜、果時に長さ4.5~6.1㎜×幅0.5~1㎜。下側の萼片は花時に長さ3~5㎜×幅0.6~1.4㎜、果時に長さ3.4~5.2㎜×幅0.6~1.7㎜。花冠は長さ12~30㎜、青紫色(violet-blue)、ピンクがかった黄色または白黄色。下唇の隆起(palate)は黄色、黄橙色、橙色または白色で、青紫色または薄青紫色の脈がある。筒部は幅(1.5)2~4(4.5)㎜。上唇の切れ込みは(2)2.5~6㎜。下唇の切れ込みは1.5~3㎜。距は長さ(5)8~14㎜、基部の幅1~2㎜、真っすぐまたはやや曲がり、長さは花冠の残りの部分より短いかほぼ同長。蒴果は長さ3~7㎜×幅3~7.1㎜、球形、無毛。種子は長さ1.6~3.3㎜×幅1.5~3.1㎜、ほぼ円形、平凸形、腎形または腎状円形の円盤形、平滑または疣状突起があり、パピラは有または無、暗灰色、褐色または黒色、翼は幅0.3~0.7㎜、膜質、厚くなく、全縁、パピラは有または無、たまに円盤にいくつかの疣状突起があり、灰色または黒色。2n=12。
品種) 'Purpurea' , 'Rosea'
3 Linaria amethystea (Lam.) Hoffmans. et Link リナリア・アメジステア
ヨーロッパ地中海沿岸(スペイン、ポルトガル、西サハラ)原産。ポルトガル語Esporao 、フィンランド語Ametistikannusruoho 。別名はヒメウンラン。1年草、半耐寒性、花序は無毛または長さ0.2~0.7㎜の腺毛があり、粉白色を帯びる。稔性の茎は1~25本、高さ3~38㎝、斜上または直立し、単純または分枝する。不稔の茎は1~15本、長さ8㎝以下、斜上または直立する。稔性の茎の葉は長さ2~25㎜×幅0.3~4(6)㎜、楕円形、倒披針形、線状楕円形または線形、先は鋭形、平ら。下部の葉は4または5個が渦巻き状に配置され、残りは互生する。不稔の茎の葉は長さ2~11㎜×幅0.3~1.5㎜で、稔性の茎の葉と同様。花序は1~14cm、花数は1~8(15)個、花時には±密、果時には緩い。苞は長さ0.7~5(8)㎜×幅0.1~1.2㎜、線形、鋭形。小花柄は花時に長さ0.5~2(4)㎜、果時に長さ(0.5)2~6㎜、直立する。萼は萼片がほぼ同長かまたはやや不均等で、狭倒披針形~線状長円形で、鋭形またはほぼ鋭形。上側の萼片は花時に長さ2~4.5㎜×幅0.6~1.5㎜、果時に2.5~5.5㎜×幅0.8~1.5㎜。下側の萼片は花時に長さ1.8~4㎜×幅0.6~1.7㎜、果時に長さ2~5㎜×幅0.8~2㎜。花冠は長さ10~28㎜、青紫色、黄色または白色、下唇の隆起には通常紫色の斑点がある。花冠筒部は幅2~4㎜。上唇の切れ込みは(1)2~4㎜。下唇の切れ込みは(0.9)1.2~2.4㎜。距は長さ(4)6~8(12)㎜、基部の幅1~2㎜、真っすぐまたは湾曲し、長く、ときに長さは花冠の残りの部分より短いかほぼ同長。蒴果は長さ(2)3~5㎜×幅2~4.8㎜、ほぼ球形~卵状球形、頂部に長さ0.1~0.2㎜の腺毛がある。種子は長さ0.9~2㎜×幅0.9~1.8㎜、円形からほぼ円形、平凸形、円盤形、腎形、疣状突起があり、パピラがあり、暗褐色または黒色。翼は幅0.15~0.25㎜、厚く、全縁で、通常、円盤への付着領域にパピラがあり、暗褐色、帯灰色、または帯黒色。2n=12。
3-1 Linaria amethystea subsp. aedoi J.F.Jiménez, Sánchez-Gómez, D.López, J.B.Vera & Güemes
スペイン原産。3-2 Linaria amethystea subsp. albiflora (Boiss.) Casim.-Sor.Solanas & Cabezudo
スペイン原産。3-3 Linaria amethystea subsp. amethystea
synonym Linaria amethystea subsp. ignescens (Kunze) D.A.Sutton
synonym Linaria amethystea var. bicolor J.Gay ex Lange
synonym Linaria amethystea var. concolor Levier
synonym Linaria amethystea f. subalpina (Brot.) Samp.
スペイン、ポルトガル原産。標高0~2500mの草地、低木林や森林の開拓地、畑や海岸の砂浜に生える。
稔性の茎は高さ3~25(34)㎝、斜上または直立し、単純または分枝する。花序は長さ1~14㎝、花数は1~8(15)個、花時は±密、果時は緩い。花冠は長さ10~20(25)㎜、紫青色、白色または薄黄色、下唇の隆起は薄黄色または橙色、ときに帯白色、紫色の斑点は有または無。花冠筒部は幅2~4㎜。距は長さ(4)6~8(12)㎜、基部の幅1~2㎜、紫色または帯白色、ときに黄色、真っすぐまたは湾曲し、長く、ときに短いか花冠の残りの部分と同長。種子は長さ1.1~1.6㎜×幅1~1.5㎜。2n=12。
3-4 Linaria amethystea subsp. broussonetii (Poir.) Malato-Beliz
モロッコ、西サハラ原産3-5 Linaria amethystea subsp. multipunctata (Brot.) Chater & D.A.Webb
モロッコ、スペイン、ポルトガル原産。標高0~300の草地に生える。稔性の茎は長さ7~38㎝、斜上または直立する。花序は長さ1~20㎝、2~9個の花がつき、花時および果時に±密集する。花冠は長さ18~28㎜、黄色。下唇の隆起は黄色または薄黄色で、通常は紫色の斑点がある。花冠筒部は幅2~4㎜。距は長さ9~16㎜、基部の幅は1.5~2㎜、黄色、真っ直ぐ、まれに曲がり、通常は花冠の残りの部分より長い。種子は長さ1.2~2㎜×幅1~1.8㎜。
3-6 Linaria amethystea subsp. toloxense Casim.-Sor.Solanas & Cabezudo
スペイン原産。4 Linaria bipartita (Vent.) Willd. ムラサキウンラン 紫海蘭
モロッコ原産。英名はcloven-lip toadflax。別名は1年草のリナリア、これもヒメキンギョソウともいわれる。アメリカなどに帰化している。
1年草、全体に無毛、粉白を帯びる。花茎は少数、高さ(8~)18~60㎝、ほぼ直立、分枝しないか又は上部で分枝。花のつかない茎は0~5本。花茎の葉は長さ15~50㎜、幅0.5~8㎜、線形~長楕円状楕円形、鋭形~類鋭形、扁平、下部は3輪生。花序は花が(2~) 10~30個つき、やや疎、果時には疎。苞は長さ2.5~6㎜、卵形、鋭形、普通、マゼンダ色を帯びる。葉柄は花時と果時に長さ5~9㎜、分離。萼片はほぼ等長、長さ3.5~4.5㎜、幅1.1~1.5㎜、披針形又は披針状卵形、先は鋭形、尖鋭形、まれに鈍形、縁は薄膜質、普通、紫色を帯びる。花冠は長さ18~23㎜、濃青色、紫色、又は淡モーブ色(mauve)、まれにピンク色、のど部は膨れ、白色、基部がオレンジ色。内唇(adaxial)は湾曲、長さ2.5~3㎜、外唇(abaxial)は湾曲、長さ2.5~3㎜、距は長さ10~12㎜、曲がり、やや花冠(距を除いた)より長い。花柱は深く2裂する。柱頭は2裂し、平ら。蒴果は長さ3~4.5㎜、幅2.8~4㎜、卵形、ほとんど凹形でなく、無毛、 室は 3 (~5)歯から裂開する。種子は長さ0.5~0.7㎜、腎形~梨形(ピラミッド形)、横にうねがあり、暗灰色~黒色、横のうねは7~10本、鈍形~類鋭形、分離又はまれに合流する。外種皮の細胞の周縁の壁はいぼ状、縁は持ち上がり、うねの先の縁に角張ったパピラを生じる。中央はパピラが無、たまに有、小さく、丸く、ほぼ等径。n=6 (Verma and Dhillon, 1967: 217)、 2n=12 (Heitz, 1926).花は12月~7月。普通、4~7月ごろ開花し、まれに12~1月から咲き始める。
【The Jepson Herbariumの解説】
1年草、無毛、粉白を帯びる。茎は長さ10~30㎝。葉は長さ30~50㎜、線形。花序は無毛。萼は長さ2.5~6㎜。花冠は長さ18~20㎜、紫色(violet)。のど部は膨らみ、白色で基部がオレンジ色。柱頭は2裂、平ら。果実は長さ約2㎜。種子は小形、ピラミッド形、うねがある。標高550 m。地中海沿岸原産。花期は12月~7月( Robert E. Preston & Margriet Wetherwax2017)。
【日本帰化植物図鑑の解説】
一年草。花をつけない茎は横に広がって葉を輪生または対生し、花をつける茎は直立し、高さ20~40㎝、下部は無毛、上部は腺毛が散生し、互生する葉をつける。葉は線形、長さ3~6㎝、幅0.3~0.6㎜、先は尖り、無柄、両面無毛。7~8月、茎の先に総状花序をのばし、多数の花をつける。苞はは線形。花柄は苞葉の2~3倍長く、腺毛が生える。萼は鐘形、ほとんど基部まで5裂し、裂片は披針状線形、縁は白色を帯びる。花冠は仮面状唇形、長さ2~2.5㎝、紫色、下唇は黄色で、ビロード状の毛が密生し、花冠基部に長さ約1㎝の距がある。蒴果は球形で、径4~5㎜。[原産地]北アフリカ、ポルトガル、スペイン南部。[渡来]神奈川県で園芸品からの逸出として報告されている。[2001神奈川県植物誌](平凡社 日本帰化植物図鑑 PL90-5をそのまま転載 )
園芸品種は赤色、ピンク色、紫色、白色などがあるといわれるが、ウエブ上では品種名が記載されたものは見つからなかった。日本で野生化している腺毛のあるものはLinaria bipartita (Vent.) Desf.や Linaria bipartita Hybridsではなく、Linaria maroccana又はLinaria incarnata、Linaria pinifolia 系統のものと思われる。
※Linaria bipartita (Vent.) Desf. Hybrids (L.bipartita、L. maroccana、 L. incarnataを含む)
Linaria bipartita、Linaria maroccana、 Linaria incarnataの3種はよく似ている。DNA系統学的解析により、地中海西部に分布する約25種が単系統を構成し、この中の分離できる3種である。園芸においては複雑なハイブリッドができやすく、今では園芸種の中で分けることが困難になっている。Jager & al. (2008) はこれを L. bipartita Hybridsと呼んだ。純粋なL. bipartitaは無毛(腺毛がない)であり、花と距がL. maroccana.より短い。最近ベルギーで見つかったものは花序が無毛で、しばしば(常ではなく)、距が長くなり、これをLinaria bipartita Hybridsと呼んでいる。Linaria bipartita Hybridsは普通、腺毛が無く、酷似していているものをいう。花冠の長さは次のとおり。
花冠長さ㎜ 距を含む |
距長さ | 腺毛 | |
---|---|---|---|
Linaria bipartita | 18~23㎜ | 10~12㎜ 花冠(距を除く)よりやや長い |
無毛 |
Linaria maroccana | 20~30㎜ | 12~17㎜ 花冠(距を除く)より長い |
花序に腺毛 |
Linaria incarnata | 20~25㎜ | 8.5~13㎜ 花冠(距を除く)とほぼ同長 |
花序に腺毛 |
http://alienplantsbelgium.be/content/linaria
花冠(距を除く):the rest of the corolla
5 Linaria buriatica Turcz. ex Benth. ヒメウンラン 姫海蘭
中国(内モンゴル)、モンゴル、ロシアに分布する。中国名は多枝柳穿鱼 duo zhi liu chuan yu 。標高100~200mのステップ、荒れ地、砂丘に生える。
多年草、高さ8~20㎝。茎は基部で分枝し、しばしば広がる。葉は互生、多数、密集する。葉身は糸状~狭い線形、長さ1.5~5㎝、無毛、1脈がある。花序は総状花序、頂生、長さ3~7㎝、花序軸と花柄は密に腺毛がある。苞は線状披針形、最下の苞は長さ約1㎝。花柄と萼は腺毛がある。萼裂片は線状披針は長さ4~6㎜、幅約1㎜。花冠は黄色長さ1.2~1.5㎝(距を除き)、距は長さ0.8~1.5㎝、わずかに曲がる。下唇の側裂片は長楕円形、幅2~5㎜、中裂片は幅が狭い。上唇は下唇より長く、裂片は長さ約2㎜、先は円形~鈍形。蒴果は卵状球形、長さ約9㎜、幅約7㎜。種子は円盤状、縁に広い翼があり、中央はいぼ状。花期は6~9月。
6 Linaria dalmatica (L.) Mill. キバナウンラン 黄花海蘭
synonym Linaria dalmatica subsp. macedonica (Griseb.) D.A.Sutton
アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、イタリア、レバノン・シリア、ルーマニア、ユーゴスラビア原産。世界に広く帰化している。英名は Dalmatian toadflax、 broadleaf toadflax。多年草で、不定芽または匍匐茎により栄養繁殖する。稔性の茎は直立し、長さ49~150㎝。不稔の茎は長さ15cmまで。稔性の茎の葉は葉身が卵形~披針形で平ら、長さ10~65㎜×幅3~31㎜、先は鋭形。総状花序は1~35花で、緩くまたは密。苞は卵形~披針形で長さ3~20㎜×幅2~12㎜。小花柄は直立・開出~直立し、花時に長さ3~22㎜、果時には長さ4~32㎜。萼片は卵形~線状披針形、花時に長さ(1.9~)3~9.5㎜×幅(0.9~)1~3.5㎜、果時には長さ4~10(~13)㎜×幅1.5~5㎜、先は鋭形。花冠は淡黄色~明るい黄色、長さ(27~)28~49㎜。花冠筒部は幅6~11㎜、距は真っ直ぐまたは湾曲し、長さ11~30㎜、花冠の残りの部分よりわずかに短いかまたはほぼ同長、または長い、下唇の切れ込みは(1.8~)2~2.5㎜。上唇の切れ込みは2~3.5(~4)㎜。花柱は1本。柱頭は全縁。蒴果はほぼ球形、長さ4~7㎜×幅4~7㎜、無毛、小室は同長または、まれにほぼ同長。種子は褐色、褐灰色、または黒色、ほぼ3稜形または±四面体、長さ1~2㎜×幅0.8~1.6㎜、縦の鈍い縁隆起と、面に鈍形または切形の吻合する縁隆起があり、翼はない。2n=12。花期は4~9月。
Flora of North Americaでは2亜種に分けているが、POWOでは下位分類を認めず、synonymとしている。
6-1 Linaria dalmatica subsp. dalmatica
標高0~3100mの道端、乱れた場所、鉄道の敷地、芝生、廃地、川岸、放牧地、耕作地、牧草地、森林、低木林、通常は水はけのよい土壌に生える。 苞は通常、果時に小花柄とほぼ同長またはそれより長い。小花柄は花時に長さ3~8 mm、果時には 長さ4~10(~13)㎜。萼片は卵形~披針形、花時に長さ3~9㎜×幅1~3.5㎜、果時に長さ4~10(~13)㎜×幅1.5~5㎜。花冠は長さ(27~)28~38(~42)㎜、距は真っ直ぐまたは湾曲し、長さ11~24㎜、花冠の残りの部分より短いかまたはほぼ同長、または長い。2n=12。花期は4~9月。
6-2 Linaria dalmatica subsp. macedonica (Grisebach) D. A. Sutton
標高50~2000mの乱れた場所、開けた土手に生える。苞は通常、果時の小花柄より短い。小花柄は花時に長さ7~22㎜、果時にでは長さ(7~)12~32㎜。萼片は卵形~線状披針形、花時には長さ(1.9~)3~9.5㎜×幅(0.9~)1~3㎜、果時には長さ4~9(~11)㎜×幅1.5~4㎜。花冠は長さ30~49㎜m、距は真っすぐで、長さ18~30㎜、花冠の残りの部分とほぼ同長かまたはそれより長い。2n=12 (ヨーロッパ)。花期は5~9月。
7 Linaria incarnata (Vent.) Spreng リナリア・インカルナタ
ポルトガル、スペイン、モロッコ原産。ヨーロッパ全体に広く、オーストラリア東部で少数、野生化している。英名はcrimson toadflax。アメリカでは未確認。
1年草、下部は無毛、花序は密に腺毛があり、多細胞の毛は横の壁が紫色又は赤紫色。花茎は3~8(12~)本、長さ16~55㎝、ほぼ直立、分枝は無又はときの有。花のつかない茎は1~6本。花茎の葉は長さ3~8㎜、幅0.4~0.6㎜、線形、鈍形 、扁平~ 内巻き、互生。不稔の茎の葉は花茎の葉に似ているが対生又は輪生。花序は花が3~7個、疎ときに密、果時に疎。苞は長さ2.5~4㎜、披針形、鋭形。花柄は花時に長さ3.5~8㎜、果時に長さ6~9㎜、ほぼ直立(erecto-patent)~直立、分離。萼裂片はほぼ等長、花時に長さ2.5~4㎜、幅0.5~0.6㎜、果時に長さ3..5~4㎜、幅0.7~1㎜、線状披針形、鋭形、赤紫色又は紫色(violet)、縁は薄膜質、赤紫色又は紫色。花冠は長さ20~25㎜、青紫色(blue-violet)~ライラック色(lilac)、まれにピンク色。内唇(adaxial)は湾曲、長さ4~5 ㎜、外唇(abaxial)は湾曲、長さ2~4㎜、距は長さ8.5~13㎜、真っすぐ又は曲がり、花冠(距を除いた)とほぼ同長。花柱は深く2裂、しばしば分岐の基部が膨れる。蒴果は長さ3~4.7㎜、幅2.8~3.8㎜、長楕円形、無毛又は短毛がある。室はほぼ等形、それぞれの室は3歯から裂開する。種子は長さ0.5~0.6㎜、腎形又は腎状梨形、表面はcristate-papillate(spain)、ハチの巣状(ruminate-alveolate)又は横のうねがあり、たまに不明瞭な縦のうねがあり、黒灰色。横のうねは6~8本、丸く、しばしば低く、合流する。外種皮の細胞の周縁の壁はいぼ状又は小いぼ状、縁は持ち上がり、うねの先の縁に丸い又はやや角張ったパピラを生じる。中央にパピラは無い。2n=12。
※ムラサキウンラン(No514)が千葉県の外来種(植物)の現状等に関する報告書(案)平成22年3月ではこの学名とし、冬緑1年草、日本へは1870年頃侵入とされている。
7-1 オーストラリアに逸出しているもの(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)
1年草、直立し、高さ15~60㎝、花序の腺毛以外は無毛。葉は花の無い茎では輪生、花茎では互生、線形、長さ2~4.5㎝幅0.5~4㎜、先は漸尖。花序には多数の花を疎につけ、果時には非常に疎。苞は長さ2~5㎜。花柄は直立、長さ4~9㎜。萼片は長さ4~5㎜。花冠(おそらく距を除く)は長さ5~10㎜、赤紫色(reddish purpl)~ピンク色、黄色の下唇(palate)がつく、距はわずかに曲がり、長さ8~10㎜、口部は軟毛で覆われた口を開ける。上唇と下唇は大きく反曲し、上唇が最も長い。蒴果は長楕円状楕円形、長さ4~5.5㎜。Wikimedia にオーストラリアの花の写真(2004.9月)が掲載され、上記と同様な解説もつけられている。
7-2 ポルトガルの野生種は花序軸に腺毛があり、花柄がほぼ直角に近くまで開いてつき、腺毛がある。萼片は線状披針形、鋭形、濃紫色、腺毛がある。花が淡紫色、上唇の裂片が長く、ほぼ直立、色がやや濃く、紫色の脈がある。下唇は白っぽく、不明瞭な脈があり、2個の縦の膨らみがあり、中間が明瞭に凹み、口部の毛は不明瞭、基部に小さな黄橙色の斑紋があり、裂片はやや長く、中央裂片が長いものや短いものがある。距は花柄と同長か又はやや長く、紫色。(Flora-Onで見られる)。花は3~6月。スェーデン語でViolsporre。オーストラリアの花によく似て淡紫色、上唇が色が濃く、裂片が小さい。花が白色のものはKal violsporre であり、上唇の裂片が大きい。
Liaria elegansに似ているが、Liaria elegansは黄色の斑紋がない。
8 Linaria japonica Miq. ウンラン 海蘭
日本(北海道、本州の太平洋側は千葉県以北、日本海側は鳥取県以北、四国北部)、朝鮮、中国、ロシアに分布する。中国名は海滨柳穿鱼(hai bin liu chuan yu )、 英名は Japanese toadflax。
多年草、海辺に生え、高さ15~40㎝、帯灰色、無毛。茎は斜上し、しばしば分枝する。葉は対生又は3~4個の輪生、しばしば不規則に輪生又は丈夫で互生し、無柄、卵形~倒卵形~長楕円形、長さ1.5~3㎝、幅0.5~1.5㎝、基部は鈍形~類楔形、先は鈍形~類鋭形。葉脈は不明瞭な3本の弧状(3-campylodromou)。花序は頂生、総状花序、苞は蕾と似た長さで、葉より短い。花柄は長さ3~5㎜。萼裂片は卵形~披針形、長さ2.5~4㎜、幅1.5~2.5㎜。花冠は明黄色、長さ12~17㎜(距を除いて)、中央は橙黄色。距は長さ3~6㎜、直線状。下唇の側裂片は幅3~5㎜、中裂片は狭く、上唇は下唇より長い。蒴果は直径約6㎜。種子は腎形、長さ約2.5㎜、幅約1.5㎜、縁が厚い。花期は8~10月。2n=12。
9 Linaria maroccana Hook. f. ヒメキンギョソウ 姫金魚草
モロッコ原産。英名はMoroccan toadflax、Baby Snapdragon。別名は1年草のリナリア、リナリア・マロッカナ。ヨーロッパ、アメリカに帰化している。
園芸品種は Linaria bipartita でなく、ほとんどこの系統。
1年草。腺毛のある花序を除き無毛。花茎は1~8(11~)本、長さ19~55㎝、直立、分枝無くたまに状部で分枝する。不稔の茎は0~6本、斜上~直立。花茎の葉は長さ(4~) 10~45㎜、幅 0.5~1.8㎜、線形、鈍形~類鋭形 、扁平、互生、最下の葉はときに4輪生。不稔の茎の葉は似ているが、幅が3㎜以下、線形又は線状楕円形、鈍形、3又は4輪生。花序は花が(3~) 10~35個、密につき、果時に疎になる。苞は長さ2.5~6㎜、線形、鈍形、しばしば赤紫色を帯びる。花柄は花時に長さ4~6㎜、果時に6~10㎜、直立、分離。萼裂片は類等長、長さ3.5~5㎜、幅0.5~0.9㎜、線状披針形、類鋭形、縁は薄膜質、白色又はたまに赤紫色。花冠は長さ23~30㎜、赤紫色又はマゼンダ、口(palateのど部)は赤色、黄色又はほぼ白色。内唇(adaxial)は湾曲、長さ0.8~1㎜、外唇(abaxial)は湾曲、長さ3.5~4㎜、距は長さ12~17㎜、直線状~わずかに曲がり、花冠(距を除いた)より長い。花柱は深く2裂。柱頭は2裂、平ら。蒴果は長さ3~5㎜、幅2.5~4㎜、斜めの長楕円形、無毛。室は不等長、内側の室は、長く突き出し、普通、外側の室を越えて曲がり、3(~5)歯から裂開する。外側の室は(3~)5歯から裂開する。種子は長さ0.5~0.65㎜、黒色、腎形~不規則な三角形~梨形、強い横のうねがある。横のうねは(3~)5~7本、分離又はまれに合流し、丸い。外種皮の細胞の周縁の壁は小いぼ状(verruculate)又はしわ状(rugulate)、縁は持ち上がり、うねの先の縁に丸いパピラを生じる。中央に普通、パピラがあり、丸く、ほぼ等径。
【Jepson eFloraの解説】
1年草、茎は50㎝。葉は長さ20~40㎜、線形。花序は花が密、果時に疎、腺毛(+-)がある。萼は長さ3~6㎜、裂片は披針形、基部や中肋に毛がある。花冠は長さ20~38㎜、赤紫色(red-violet)~マゼンタ色、のど部は膨れ、赤色、黄色、白色、距は普通、ほぼ真っすぐ。柱頭は2裂、平ら。果実は長さ3~5㎜。種子は長さ約1㎜、ピラミッド形、うねがある。2n=12。標高830m。地中海沿岸原産。花期は3~6月。野生種は様々な花色の混合種が庭から逸出したものである。
品種) 'Confetti' , 'Dwarf fairy bouquet' , 'Enchantment' , 'Fairy Bouqet' , 'Fairy Lights' , Fantasy series(Fantasy Yellow、Fantasy Violet、Fantasy Blue、Fantasy Speckled Pink , Fantasy? White , Fantasy White with Yellow Eye) , 'Licilia Azure' , 'Licilia Peach' , 'Licilia Red' (Licilia Series) , 'Little Sweeties' , 'Northern Lights' , 'Rhythm and Blues' , 'Sweeties' , グッピーシリーズLinaria Guppy:'Fairy BouquetとFairy Lightsと原種の混合(マゼンタローズ 、スポッテッドピンク、ブルー、 イエロー 、ホワイト、スカーレットウィズイエローアイ、ホワイトウィズイエローアイ、アプリコットウィズイエローアイグッピー)、ヘロンシリーズ:Northern Lightsから選抜(ヘロンマゼンダローズ、ヘロンパープル、ヘロンイエロー、ヘロンホワイト)
10 Linaria pelisseriana (L.) Mill. フタミウンラン
synonym Linaria pelisseriana var. gracilis (Pers.) Rouy
南ヨーロッパから地中海沿岸原産。英名はJersey toadflax、 Pelisser's toad-flax、Pelisser's toadflax。北アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどに帰化している。日本でも野生化が確認されている。最初に1994年神戸市で見つかった。
多年草、高さ40㎝以下。茎は直立、無毛。葉は下部では短く、脈は枝分かれ無く、三出脈、短葉柄があり、楕円形、長さ1㎝以下。上部の葉は広がり、無柄、線形、長さ4㎝以下。花は初め短い花序に単生し、後に伸びて頂生の花序となる。花序は長さ25㎝以下。花は紫色、口部は白色。苞は線形、花柄より短い。萼片は基部で融合し、長さ4㎜以下。花冠は長さ18㎜以下、5裂し、花弁は筒部に融合し、2唇形、上唇は2個の狭く長い裂片が直立し、下唇は2個の短い裂片がある。花冠の底部は長さ約9㎜のわずかに曲がった距になる。果実は蒴果、円盤形の翼がある種子を入れる。花期は4~7月。道端や草地の砂地に生え、広く南ヨーロッパに分布し、中東やコーカスまで分布する。ベルギーやオランダでは報告されていない。
11 Linaria pinifolia (Poir.) Thell. リナリア・ピニフォリア
synonym Linaria reticulata (Sm.) Desf.
北アフリカ(アルジェリア、チュニジア)原産、英名はThell.pine-needle toadflax , purple-net toadflax、Spurred Snapdragon。別名はリナリア・レティクラタ。GRINではLinaria reticulata (Sm.) Desf.をLinaria pinifoliaのsynonimとしている。また、Evolution in snapdragonsでもLinaria reticulataは掲載されていない。一般的にはLinaria reticulata が使われ、The Plant Listでも両者を生かしている。日本ではLinaria reticulataが一般的。Evolution in snapdragonsに詳しい解説があるが、アルジェリア産のもので多年草となっている。日本、アメリカでは1年草。
多年草(アルジェリアで)、粉白色を帯び、ほぼ無毛、花序には腺毛があり、花茎には長い腺のない毛がある。花茎は普通、多数つき、長さ50~140㎝、直立、普通、上部で分枝する。花のつかない茎は普通、多数。花茎の葉は長さ(8~) 20~50㎜、幅0.3~1㎜、糸状~線形、類鋭形~鈍形、漸尖形、細い溝状、最下の葉は4~6輪生、上部はほとんど互生。花のつかない茎の葉は花茎の葉と似て、互生又は不規則に輪生。花序は花を多数つけ、花時、果時にも密。苞は長さ2.5~8㎜、線状披針形、鋭形。花柄は花時と果時に長さ1.5~3.5㎜、直立、分離。萼裂片はほぼ等形、長さ3.5~5㎜、幅0.8~1㎜、線状披針形、鋭形、縁は薄膜質、白色又は赤紫色を帯びる。花冠は長さ11~20㎜、黄色、濃赤紫色、又は黄色を帯び、又は赤色の脈があり、花冠筒部は内側の唇が湾曲し、長さ1.4~1.8(~2)㎜、内側の唇が湾曲し、長さ0.5~0.7㎜。距は長さ5~10㎜、基部の幅0.8~1.8㎜真っすぐ又はやや鋭形、ほぼ花冠(距を除く)と同長。花柱は深く2裂。蒴果は長さ3~5㎜、幅3~4㎜、卵形、凹形、無毛、室はほぼ等長又はやや不等長、それぞれの室は3~5個のバルブから裂開する。種子は長さ.6~0.7㎜、腎形又は腎状四面体、強い横のうねがあり、黒灰色。横のうねは5~8本、丸く、分離又はまれに合流する。外種皮の細胞の周縁の壁はいぼ状又はしわ状、縁はうねの先にある縁のパピラを除いてほとんど持ち上がらず、中央のパピラがしばしばあり、小さく、丸く、ほぼ等径。(Evolution in snapdragons)
【Jepson eFloraの解説】
1年草。茎は長さ80~100㎝、花のつかない傾伏するシュートを持つ。葉は長さ2~4㎝、線形、花のつかないシュートの葉は楕円形。花序は花が密につき、密に腺毛がある。萼は長さ3~5㎜。萼片は卵形、縁毛がある。花冠は長さ15~18㎜、赤紫色、のど部は膨らみ黄色、脈は紫色。柱頭は2裂、平ら。果実は長さ約4㎜。種子は長さ約1㎜、ピラミッド形、うねがある。2n=12。花期は4~6月。
品種) 'Crown Jewels' , 'Flamenco' , 'Flaming passion' , 'Velvet Red' , クリムソンウイズエローアイグッピー , バイオレットウイズエローアイグッピー , ピンクウイズエローアイグッピー
12 Linaria purpurea (L.) Mill. 宿根ヒメキンギョソウ
地中海沿岸(イタリア)原産。英名は purple toadflax。別名リナリア、リナリア・プルプレア、ヒメキンギョソウ。アメリカに帰化し、標高0~1900mの乱れた場所、鉄道の敷地、海岸沿いに生える。庭から逸出し、荒地で野生化する。
多年草、丈夫な木質の根茎がある。主根から伸び、匍匐茎による栄養繁殖はない。稔性の茎は直立またはほぼ直立し、高さ71(~140)㎝まで。稔性の茎は長さ18㎝まで。稔性の茎の葉は倒披針形~線形、通常は平らで、長さ5~45(~60)㎜×幅0.8~4(~8)㎜、先は鋭形またはほぼ鈍形。総状花序は1~117個の花が密につく、苞は線形、長さ2~5(~5.5)㎜×幅0.3~1mm。小花柄は直立し、花では長さ1~3㎜、果実では長さ2~4(~5)㎜。萼片は線形から線状披針形で、花時には長さ1.5~3㎜×幅0.5~1㎜、果時には長さ2~3.5㎜×幅0.7~1.2㎜、先は鋭形またはほぼ鋭形。花冠は青紫色~紫色で、下唇の隆起が黄色またはライラック色になり、長さ9~13(~17)㎜。花冠筒部は幅1.5~2.5㎜、距は湾曲し、長さ 5~7(~9)㎜、花冠の残りの部分とほぼ同長、下唇の切れ込みは(0.6~)0.8~1.5(~2)㎜、上唇の切れ込みは1㎜。花柱は1本。柱頭は全縁。蒴果はほぼ形、長さ 2.7~4㎜×幅2.5~3.7㎜、無毛、小室は均等。種子は黒色または黒褐色、ほぼ三稜形または±四面体、長さ0.8~1.2㎜×幅0.6~1㎜、表面に縦の縁隆起と吻合隆起があるかまたは疣状突起があり、翼はない。2n=12 (ヨーロッパ)。花期は[3]6~10月(FNA)。
品種) 'Alba' , Anstey's form , 'Brown's White' , 'Brown's White Strain' , 'Canon Came' , 'Canon Staid' , 'Canon Went' =Canon J. Went , 'Charlton White' , 'Cotton Candy' , 'Dwarf Canon Went' , 'Evensong' , 'Freefolk Piccolo' , 'Fleurs' , Harbutt's hybrids , 'Harlinone' , 'Poached Egg' , 'Port' , 'Purpurea' , 'Purple Toadflax' , 'Radcliffe Innocence' , 'Springside White' , 'Tammy' , 'Thurgarton Beauty' , 'Tina McDowell' , 'Toadflax' , 'Vainglorious' , 'Winifrid's Delight'
13 Linaria verticillata Boiss. リナリア・ベルティキラータ
スペイン原産。標高260~2500mの石灰岩地帯に生える。地域により亜種に分類されている。
多年草、粉白色になり、全長にわたって長さ0.1~1.9㎜の腺毛があり、または茎の基部に長さ0.1~0.3㎜の腺毛を除いて無毛で、ときに、花序に0.2~1.1㎜の毛がある。稔性の茎は1~20本、長さ5~41㎝、傾伏~斜上し、単純または分枝する。不稔の茎は1~15本、長さ16㎝以下。稔性の茎の葉は長さ3~34㎜×幅1~9㎜、線状長円形、楕円形または卵形、鋭形、平らで、3~6枚が渦巻き状につき、上部の葉は通常、互生する。不稔の茎の葉は稔性の茎の葉に似ており、3~5枚が輪生する。花序は長さ18㎝以下、花が(1)3~17個つき、緩いかまたは密。苞は長さ4~10㎜×幅1~3㎜、線状長円形、線状楕円形または倒披針形、鋭形または鈍形。小花柄は花時に長さ0.8~2(4)mm、果時に長さ1.5~6mm、直立する。萼は萼片が均等でなく、長円状倒卵形または倒披針形、鋭形またはほぼ鋭形。上側の萼片 は花時に長さ4~8.5㎜×幅0.7~1.8㎜、果時に長さ5.5~10㎜×幅1~2.2㎜。下側の萼片は長さ2.5~6.5㎜×幅0.8~2.2㎜、果時に長さ5~7.5㎜×1.5~3㎜。花冠は長さ(15) 26~33㎜、白色、黄色、灰ライラック色または紫ピンク色、下唇の隆起(palate)は濃い紫青色~黄色。花冠筒部は幅4~7㎜。上唇に切れ込みは長さ0.5~4.5㎜。下唇の切れ込みは0.5~1.5mm。距は長さ(5)8~17(20)㎜、真っ直ぐかやや湾曲し、花冠の残りの部分より短いか同長まれに長くなる。蒴果は長さ(3.5)4~7㎜×幅(3.4)4~6.8㎜、球形~卵状球形、頂部に長さ0.1~0.4㎜の腺毛がある。種子は長さ1.7~2.6(3.2)㎜×幅1.6~2.5(3.2)㎜、ほぼ円形、凹凸形または±平坦、腎形、疣状突起があるかまたは平滑、パピラはなく、褐色、灰褐色、または帯黒色の円盤形、翼は幅(0.3)0.4~1(1.2)㎜、膜質、厚くなく、全縁 、ときに±引き裂かれ、パピラは無く、白褐色~白灰色。2n=12(Flora Iberica)。
品種) 'Antique Silver'.
13-1 Linaria verticillata subsp. anticaria (Boiss. & Reut.) L.Sáez & M.B.Crespo
synonym Linaria anticaria Boiss. & Reut.イベリア半島南東部に分布。標高650~1200mの石灰岩に生える。
多年草、茎の基部と花序に長さ0.1~1.1㎜の腺毛があることを除いて、無毛。稔性の茎の葉は長さ3~25㎜×幅1.5~9㎜、線状長円形~楕円形。花序は花序軸に毛があり、花時には密、果時には密または±緩い。小花柄は花時に長さ1.2~2㎜、果時に長さ1.5~2.5㎜。花冠は長さ19~26(30)mm、ライラック色、灰ライラック色または白色で、脈と下唇の隆起(palate)は濃い紫青色(violet blue)で、ときに距が帯黄色になる。花冠筒部は幅5.5~7㎜。上唇の切れ込みは0.5~1.5 ㎜。距は長さ(5)8~12(14)㎜、一般に花冠の残りの部分より短い。種子は長さ1.7~2.7(3.1)㎜×幅1.6~2.5(2.9)㎜、疣状突起があるかまたは平滑な円盤形、翼は幅(0.3)0.6~1.2㎜。2n=12。
13-2 Linaria verticillata subsp. cuartanensis (Degen & Hervier) L.Sáez & M.B.Crespo
イベリア半島の南東部に分布。標高700~2250mの石灰岩に生える。多年草、茎の基部に長さ0.1~0.25㎜の腺毛があることを除いて、無毛、まれに花序に毛がある。稔性の茎の葉は長さ5~30㎜×幅1~9mm、線状長円形~広楕円形。花序は花序軸が無毛、一般に花時と果時に緩い。小花柄は花時に長さ1.5~3㎜、果時に長さ(1.5)2.5~6㎜。花冠は長さ20~33㎜、淡紫色~紫色、ときに距と下唇の隆起が黄色になる。花冠筒部は幅4~5.8㎜。上唇の切れ込みは(2.5)3~4㎜。距は長さ9.5~17(20)㎜、±真っ直ぐ、花冠の残りの部分より長いか同長。種子は長さ1.5~2.6㎜×幅1.4~2.3㎜、円盤形、疣状突起があるかまたは平滑、翼は幅0.4~0.7㎜。2n=12。
13-3 Linaria verticillata var. gaditana Pérez Lara
Linaria verticillata var gaditana はsubsp anticariaとLinaria aeruginea subsp aeruginea.の中間と思われる
13-4 Linaria verticillata subsp. lilacina (Lange) L.Sáez & M.B.Crespo
イベリア半島南東部に分布。標高600~2100mの山地の石灰岩に生える。
多年草、長さ0.1~1.9㎜の腺毛がある。稔性の茎の葉は長さ5~34㎜×幅2~8㎜、線形~長円形~楕円形。花序軸は毛があり、花時および果時には一般に密である。小花序は花時に長さ0.8~2㎜、果時に長さ1.5~2.5(5)㎜。花冠は長さ20~31㎜、紫色、灰ライラック色、または白ライラック色、まれに黄色で紫色または褐紫色の脈がある。花冠筒部は幅5~6.5㎜。上唇の切れ込みは2.5~4.5㎜。距は長さ9~13.5㎜、±真っ直ぐ、花冠の残りの部分より短いかほぼ同長。種子は長さ1.8~2.3(2.5)㎜×幅1.7~1.9(2.2)㎜、円盤形、疣状突起があり、ときに平滑、翼は幅(0.3)0.6~0.8㎜。2n=12。
13-5 Linaria verticillata subsp. verticillata
イベリア半島の南東部に分布する。標高260~2500mの岩や石の多い場所、石灰またはシリカの基質の上に生える。
多年草、長さ0.12~1.7㎜の腺毛がある。稔性の茎の葉は長さ5~21㎜×幅1~5㎜、線形~長方形、楕円形または卵形です。毛深い軸を持つ花序、花時には一般に密、果時には密または±緩い。小花柄は花時に長さ1~2(4)㎜、果時に長さ1.5~4㎜。花冠は長さ(15)26~33㎜、全体が黄色または淡黄色、通常は紫褐色の脈と黄橙色の下唇の隆起(palate)を持つ。花冠筒部は幅5~6.5㎜。上唇の切れ込みは2.5~4.5㎜。距は長さ9~15(17)㎜、真っ直ぐかやや曲がり、花冠の残りの部分より短いかまたは同長、まれに長くなる。種子は長さ1.7~2.6(3.2)㎜×幅1.6~2.5(3.2)㎜、疣状突起があるかまたは平滑な円盤形、翼は幅0.3~0.7㎜。2n=12。
14 Linaria vulgaris Mill. ホソバウンラン 細葉海蘭
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、パキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、レバノン・シリア、トルコ、ヨーロッパ原産。英名はcommon toadflax、 butter-and-eggsなど。中国名は柳穿鱼 liu chuan yu 。標高(170)800~1100mの土手、斜面、および石灰岩と珪質の両方の基質上の荒地化した草原に生える。日本、アメリカなど世界に広く帰化している。
多年草、無毛、ときに花序に緩く長さ0.2~0.5 mmの腺毛があり、ときに±粉白色になる。稔性の茎は1~5本、高さ(30)50~120㎝、通常は直立し、ときに斜上し、単純または分枝する。不稔の茎は通常無い。葉は長さ15~53㎜×幅1~5㎜、通常線形または線状倒披針形、まれに狭楕円形、先は鋭形、平らで、互生または基部で3輪生し[、無毛~まばらに柔らかい長いもじゃもじゃの毛がある]。花序は長さ20~70cm、5~85個の花があり、花時および果時には±密集する。苞は長さ3~20㎜×幅0.3~1㎜、線形~披針形、鋭形、下部の苞は葉状。小花柄は花時に長さ2~4㎜、果時に長さ3.5~8㎜、直立する。萼は萼片がほぼ同長、花時に長さ3~5㎜×幅1~1.9㎜、果時に長さ3~6㎜×幅1~2㎜、卵形~披針形、先は鋭形または尖鋭形。花冠は長さ19~28㎜、淡黄色~濃黄色、[まれに白色]通常は下唇の隆起が橙色になる。花冠筒部は幅5~9㎜。上唇の切れ込みは2.2~4.5㎜。下唇の切れ込みは2.2~3.3㎜。距は長さ8~15㎜、基部の幅は2~3㎜、通常は±真っ直ぐで、花冠の残りの部分より短い。蒴果は長さ(4)4.5~9㎜、卵形または長円状球形、無毛。種子は長さ1.8~2.8㎜×幅2~2.5㎜、長円形~ほぼ円形、暗灰色または黒色、しばしば金属光沢があり、疣状突起のある円盤形、翼は幅0.4~0.8㎜。2n=12。花期は6~8月。
品種) 'Flore Pleno' (d) , 'Hemipeloria' , 'Peloric'
14-1 Linaria vulgaris subsp. chinensis (Bunge ex Debeaux) D.Y.Hong
synonym Linaria chinensis Bunge ex Benth.朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒龍江省、河南省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、陝西省、山東省)原産。中国名は柳穿鱼 liu chuan yu。標高 1000m以下の山の斜面、道端、牧草地、砂利の草原に生える。
葉は互生し、まれに下位の葉が輪生、またはすべて輪生する。葉身は線形、長さ2~6㎝×幅2~4(~10)㎜、1(~3)脈がある。花序軸と小花柄は無毛またはまばらに短い腺毛がある。萼片は披針形、長さ約4㎜x幅1~1.5㎜、内側にまばらに腺毛がある。花期は6~9月。
14-2 Linaria vulgaris subsp. pinetorum Kosachev
synonym Linaria pinetorum (Kosachev) Kosachev
ロシア原産。
14-3 Linaria vulgaris subsp. vulgaris
モンゴル、ロシア、パキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、レバノン・シリア、トルコ、ヨーロッパ原産。
14 その他ハイブリッド系の栽培品種
ハイブリッド系も多い。Hybrid Toadflaxといわれる。
(1) Linaria x dominii はLinaria purpureaとLinaria repensの交雑種
品種例)Linaria x dominii 'Carnforth
Linaria x dominii 'Yuppie Surprise'
(2) Linaria x cornubiensisはLinaria repensとLinaria supinaの交雑種
(3) Linaria x sepium はLinaria vulgarisとLinaria repensの交雑種
=synonymes Linaria × ambigua , Linaria × camusii , Linaria × intermedia
=Linaria hybrida Schur , Linaria vulgaris var. hybrida (Schur.)
品種例) Linaria x sepium 'Petra'
Linaria x sepium 'Cho'
Linaria hybrida 'Enchantment'=Linaria x sepium 'Enchantment'
(4) その他ハイブリッド
品種) 'Carnforth' , 'Gemstones' , 'Grenada Sol' , 'Peachy'
園芸品種などの分類
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1. 花冠黄色
2. 葉:披針形~卵形、花冠長:20~50㎜、種子:±ピラミッド形、うね有り
3. 多年草、葉;線形~倒披針形、花冠:ラベンダー色~紫色、のど部暗色
4.花序:無毛 、花冠:紫色(バイオレット)、のど部は膨れ、白色、基部にオレンジ色のパッチをもつ
4' 花序:腺毛あり、花冠:赤紫色~マゼンダ、のど部は膨れ、赤色、黄色、白色
5. 萼片:披針形、花序は果時に疎、花冠長:20~38㎜葉:長さ20~40㎜、幅 0.5~1.8㎜、線形
距の長さ12~17㎜、花冠(距を除く)より長い
4'' 花序:腺毛あり、花冠:青(赤)紫色~ライラック色、ピンク色、のど部は膨れ白色
5'' 萼片:披針形、花序は果時に疎、花冠長:20~25㎜葉:長さ20~45㎜、幅 0.5~4㎜、線形
距の長さ(8~10)8.5~13㎜、花冠(距を除く)とほぼ同長
日本の園芸種
リナリア属の種は地中海沿岸地域を原産とし、およそ190種があり、ヨーロッパに約70種がある。多くの種が観賞用に栽培され、リナリア、toadflaxと呼ばれている。ハイブリッドができやすく、純粋なものは園芸種には少ないとされている。なかでもLinaria bipartita、Linaria maroccana、 Linaria incarnataの3種は同じ節(sect. Versicolores)に属し、よく似ていて、分けることが難しいため、Linaria bipartita Hybridsと呼ばれるほどである。日本ではLinaria incarnataは話題にならず、まだ、渡来が無く、日本の1年草のリナリアはLinaria bipartita、Linaria maroccana、Linaria pinifolia (= Linaria reticulata)の3種が多い。最近、多くなってきたLinaria pinifolia (= Linaria reticulata)はアフリカ原産であり、学名が最近、Linaria reticulataからLinaria pinifoliaに変わってきている。Linaria pinifoliaの主品種はフラメンコといい、派手な赤色などである。この3種のうちではLinaria bipartitaだけが全体に無毛であり、花序にも腺毛が無い。もし腺毛があれば、似ていても Linaria bipartita Hybridsなどである。Linaria bipartita は多色あるとされていることが多いが、品種名が記載されていることがなく、古くからある園芸品種をLinaria bipartitaとしているようであり、Linaria bipartita Hybrids を意味していると思われる。品種名があるのは1年草のリナリアではLinaria maroccanaの園芸品種が最も多く、Northern Lights 、Fairy Bouqet、グッピーシリーズなどである。※原種についてはEvolution in snapdragonsに詳しい解説が載せられている。
参考
1) Flora of ChinaLinaria
Linaria
Linaria
Linaria
Evolution in snapdragons
Linaria