ヒメキンギョソウ 姫金魚草

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Flora of Mikawa

オオバコ科 Plantaginaceae ウンラン属

別 名 リナリア
中国名 柳彩雀花 liu cai que hua
英 名 Moroccan toadflax、Baby Snapdragon
学 名 Linaria maroccana Hook.f.系統 
ヒメキンギョソウの花序
ヒメキンギョソウの花
ヒメキンギョソウの花2
ヒメキンギョソウの花3
ヒメキンギョソウの花冠口部の毛
ヒメキンギョソウの萼と腺毛
ヒメキンギョソウの花茎の葉
ヒメキンギョソウ
ヒメキンギョソウの花序2
ヒメキンギョソウの花茎の葉2
ヒメキンギョソウ葉茎の葉表
ヒメキンギョソウ葉茎の葉裏
ヒメキンギョソウ葉
花 期 ((12)3~6月
高 さ 19~55㎝
生活型 1年草
生育場所 栽培種の道端への逸出
分 布 帰化種 ヨーロッパ、地中海沿岸原産
撮 影 西尾市  17.1.27
リナリア属の園芸種の和名は総称でリナリア又はヒメキンギョソウと呼ばれる。YList ではLinaria bipartita をムラサキウンランとし、Linaria purpurea を ヒメキンギョソウとしている。Linaria maroccana はヒメキンギョソウのsynonymとしているが、Linaria maroccanaは1年草であり、多年草のLinaria purpureaと同種ではない。最近、日本で栽培が多くなった1年草のLinaria maroccanaの園芸品種もヒメキンギョソウと呼ばれているため、ここではLinaria maroccanaの園芸品種をヒメキンギョソウとし、Linaria purpureaを宿根ヒメキンギョソウとして区別する。1年草のリナリアのよく野生化したものが見かけられ、これがムラサキウンラン Linaria bipartita とされている。これはオーストラリアに帰化しているLinaria incarnataといわれるものとも下唇の毛が似ている。Linaria incarnataはLinaria maroccanaとは同じように腺毛があり、大変よく似ているが、穏やかな(鮮やかなものもある)紫色系統で下唇全体が白っぽくなり、下唇弁の裂片がやや長く、距の長さがやや短い。また、Linaria maroccanaは一般的には色が鮮やかである。Linaria bipartita、Linaria maroccana、Linaria incarnataは交雑しやすく、腺毛のないLinaria bipartita Hybridsと呼ばれるものもある。
 写真のものは形質が混ざった園芸品種である。図鑑にあるムラサキウンランと似たものと思われ、花柄、萼などに明らかに腺毛がある。苞は萼片とほぼ同長、花柄の長さの1/2以下。萼片の縁は膜質。花冠の下唇の口部に毛があり、下唇の裂片が短いものが多い。葉は幅に変化があり、花のつかない茎の葉は幅が広く、輪生する。1月27日に早く伸びたものは開花していた。2月末頃、新しい花芽が伸びてきたものも多い。
 腺毛のあるムラサキウンランの学名に腺毛のないとされるLinaria bipartita をあてるのは誤りであると思われ、花色が鮮やかなため、、これをここではヒメキンギョソウLinaria maroccanaとした。

ウンラン属(リナリア属)

  family  Plantaginaceae - genus  Linaria

 1年草又は多年草。葉は互生、対生又は輪生、しばしば無柄、葉脈は1又は数本、弧状(campylodromou)。花序は穂状花序、総状花序まれに頭状花序。萼はほとんど基部まで5裂。花冠筒部は筒状、基部に距がある。花冠の拡大部は2唇形、下唇は凸状、上唇の中央に向かって広がり、ほとんどのど部で閉じ、3裂片のようにになり、密に腺毛がある。上唇は直立し、2裂。雄しべは4個、前側の2個は長い。葯は前側と後側が2対に輻合(connivent)する。葯室は平行、裂開後に離れる。柱頭は先がしばしば凹む。蒴果は卵形~球形、先の不規則な穴から裂開し、バルブは不規則。種子は多数、扁平、しばしば、円盤状で縁に広い翼があり、まれに、3角状で翼がなく、又は腎形で縁が厚い。
 北半球の温帯、主にアジ、ヨーロッパに約150種が分布する。
 ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)からオオバコ科(Plantaginaceae)に変更されている。

【ウンラン属の7節(Sutton 1988)】主な種
1 sect. Linaria:種子は円盤形、翼が有(duration)、多年草、柱頭は全縁
   L. azerbaijanensis、L. baminaica、L. elymatica、L. farsensis、L. fastigiata、L. guilanensis、L. karajensis、L. khalkhalensis、L. khorasanensis、L. kurdica、L. leptoceras、L. lineolata、L. loeselii、L. meyeri、L. michauxii、L. nurensis、L. odora、L. pyramidalis、L. remotiflora、L. shahroudensis、L. striatella、L. thibetica、L. vulgaris
2 sect. Speciosae : 種子は非円盤形、翼は無、多年草、柱頭は全縁
  L. dalmatica、Linaria repens、L. grandiflora、L. orientalis、L. genistifolia、L. mazandaranensis、 L. peloponnesiaca、L. purpurea、L. ventricosa
3 sect. Supinae:種子は円盤形、翼は有(duration)、1年草又は多年草、柱頭は全縁
3-1 Subsect. Supinae: L. aeruginea、L. almijarensis、L amethystea 、L. amoi、L. anticaria、L. arvensis、 L. caesia、 L. depauperata、L. kavirensis、L. latifolia、L. lilacina、 L. micrantha、L. mumbyana s.l.、L. oblongifolia 、L. platycalyx、L. polygalifolia、L. simplex、L. tristis、 L. verticillata
3-2 Subsect. Saxatile:L. huteri、L. intricata、L. saxatilis、L. tursica
4 sect. Diffusae :種子は非円盤形、翼は無、1年草又は多年草、柱頭は全縁
  L. albifrons、L. bousherensis、 L. flava、L. haelava、L. hirta、L. joppensis、 L. laxiflora、L. triphylla、L. warionis
5 sect. Macrocentrum:種子は非円盤形、翼は無、1年草、柱頭は全縁
   2種 L. chalepensis、L. armenica
6 sect. Pelisserianae:種子の共有派生形質(synapomorphy)が腹面が膨れ、背面はつぶれて平ら
   3種 Linaria pelisseriana(2n = 24)、L. triornithophora、L. dumanii
7 sect. Versicolores:種子は非円盤形、翼は無、1年草又は多年草、柱頭は分裂  柱頭が2裂するため bifid toadflaxesと呼ばれる。)  約30種
7-1 Subsect. Versicolores: L. algarviana、L. bipartita、L. bordiana(subsp. bordiana , subsp. kralikiana)、L. clementei、L. dissita、L. gattefossei、L. gharbensis、 L. hellenica、L. imzica、L. incarnata、L. iranica、L. mamorensis、L. maroccana、L. multicaulis(subsp. multicaulis , subsp. aurasiaca , subsp. galioides , subsp. heterophylla) 、 L. onubensis、L. pedunculata、L. pinifolia、L. pseudoviscosa、L. salzmannii、L. spartea、L. tenuis、L. tingitana、L. viscosa(subsp. viscosa , subsp. spicata)、L. weilleri.
7-2 Subsect. Elegantes:L. elegans、L. nigricans.

ウンラン属の主な種と園芸品種

1 Linaria alpina (L.) Mill. リナリア・アルピナ
 ヨーロッパ原産。英名はalpine toadflax。
品種) 'Purpurea' , 'Rosea'

2 Linaria aeruginea (Gouan) Cav.  リナリア・アエルギネア
 ポルトガル、スペイン、バレアレス諸島原産。
品種) 'Aureopurpurea' , 'Gemstones' , 'Lindeza Violet' , 'Neon Lights'

3 Linaria amethystea (Lam.) Hoffmans. et Link リナリア・アメジステア
 ヨーロッパ地中海沿岸(スペイン、オオルトガル)原産。ポルトガル語Esporao 、フィンランド語Ametistikannusruoho 。別名はヒメウンラン。
 1年草、半耐寒性、茎は斜上、長さ10~30㎝、しばしば、分枝市内。葉は下部では輪生し、長さ5~20㎜、線形~倒披針形。花序は総状花序、花が疎、2~5個つく。花は青紫色又は全体に明黄色~クリーム色、紫色の斑点があり、長さ1~2.5㎝、距は長さ5~15㎜。亜種のsubsp. multipunctataは花が黄色、長さ2~2.7㎝、普通、距が紫色。荒地を含め開けた場所に生える。

4 Linaria bipartita (Vent.) Willd. ムラサキウンラン 紫海蘭
 地中海沿岸原産。英名はcloven-lip toadflax。別名は1年草のリナリア、これもヒメキンギョソウともいわれる。アメリカなどに帰化している。
 1年草、全体に無毛、粉白を帯びる。花茎は少数、高さ(8~)18~60㎝、ほぼ直立、分枝しないか又は上部で分枝。花のつかない茎は0~5本。花茎の葉は長さ15~50㎜、幅0.5~8㎜、線形~長楕円状楕円形、鋭形~類鋭形、扁平、下部は3輪生。花序は花が (2~) 10~30個つき、やや疎、果時には疎。苞は長さ2.5~6㎜、卵形、鋭形、普通、マゼンダ色を帯びる。葉柄は花時と果時に長さ5~9㎜、分離。萼裂片はほぼ等長、長さ 3.5~4.5㎜、幅1.1~1.5㎜、披針形又は披針状卵形、鋭形、尖鋭形、まれに鈍形、縁は薄膜質、普通、紫色を帯びる。花冠は長さ18~23㎜、濃青色、紫色、又は淡モーブ色(mauve)、まれにピンク色、のど部は膨れ、白色、基部がオレンジ色。内唇(adaxial)は湾曲、長さ2.5~3㎜、外唇(abaxial)は湾曲、長さ2.5~3㎜、距は長さ10~12㎜、曲がり、やや花冠(距を除いた)より長い。花柱は深く2裂する。柱頭は2裂し、平ら。蒴果は長さ3~4.5㎜、幅 2.8~4㎜、卵形、ほとんど凹形でなく、無毛、 室は 3 (~5)歯から裂開する。種子は長さ0.5~0.7㎜、腎形~梨形(ピラミッド形)、横にうねがあり、暗灰色~黒色、横のうねは7~10本、鈍形~類鋭形、分離又はまれに合流する。外種皮の細胞の周縁の壁はいぼ状、縁は持ち上がり、うねの先の縁に角張ったパピラを生じる。中央はパピラが無、たまに有、小さく、丸く、ほぼ等径。n = 6 (Verma and Dhillon, 1967: 217)、 2n = 12 (Heitz, 1926).花は12月~7月。普通、4~7月ごろ開花し、まれに12~1月から咲き始める。
 園芸品種はに赤色、ピンク色、紫色、白色などがあるといわれるが、ウエブ上では品種名が記載されたものは見つからなかった。日本で野生化しているものは腺毛のあるものはLinaria bipartita (Vent.) Desf. Hybridsと思われる。
 【The Jepson Herbariumの解説】
 1年草、無毛、粉白を帯びる。茎は長さ10~30㎝。葉は長さ30~50㎜、線形。花序は無毛。萼は長さ2.5~6㎜。花冠は長さ18~20㎜、紫色(violet)。のど部は膨らみ、白色で基部がオレンジ色。柱頭は2裂、平ら。果実は長さ約2㎜。種子は小形、ピラミッド形、うねがある。標高< 550 m。地中海沿岸原産。花期は12月~7月( Robert E. Preston & Margriet Wetherwax2017)。
 【日本帰化植物図鑑の解説】
  一年草。花をつけない茎は横に広がって葉を輪生または対生し、花をつける茎は直立し、高さ20~40㎝、下部は無毛、上部は腺毛が散生し、互生する葉をつける。葉は線形、長さ3~6㎝、幅0.3~0.6㎜、先は尖り、無柄、両面無毛。7~8月、茎の先に総状花序をのばし、多数の花をつける。苞はは線形。花柄は苞葉の2~3倍長く、腺毛が生える。萼は鐘形、ほとんど基部まで5裂し、裂片は披針状線形、縁は白色を帯びる。花冠は仮面状唇形、長さ2~2.5㎝、紫色、下唇は黄色で、ビロード状の毛が密生し、花冠基部に長さ約1㎝の距がある。蒴果は球形で、径4~5㎜。[原産地]北アフリカ、ポルトガル、スペイン南部。[渡来]神奈川県で園芸品からの逸出として報告されている。[2001神奈川県植物誌](平凡社 日本帰化植物図鑑 PL90-5をそのまま転載 )

 園芸品種はに赤色、ピンク色、紫色、白色などがあるといわれるが、ウエブ上では品種名が記載されたものは見つからなかった。日本で野生化している腺毛のあるものはLinaria bipartita (Vent.) Desf.や Linaria bipartita Hybridsではなく、Linaria maroccana又は.Linaria incarnata、Linaria pinifolia 系統のものと思われる。

※Linaria bipartita (Vent.) Desf. Hybrids (L.bipartita、L. maroccana、 L. incarnataを含む)
 Linaria bipartita、Linaria maroccana、 Linaria incarnataの3種はよく似ている。DNA系統学的解析により、地中海西部に分布する約25種が単系統を構成し、この中の分離できる3種である。園芸においては複雑なハイブリッドができやすく、今では園芸種の中で分けることが困難になっている。Jager & al. (2008) はこれを L. bipartita Hybridsと呼んだ。純粋なL. bipartitaは無毛(腺毛がない)であり、花と距がL. maroccana.より短い。最近ベルギーで見つかったものは花序が無毛で、しばしば(常ではなく)、距が長くなり、これをLinaria bipartita Hybridsと呼んでいる。Linaria bipartita Hybridsは普通、腺毛が無く、酷似していているものをいう。花冠の長さは次のとおり。
  花冠長さ㎜
距を含む
距長さ 腺毛
Linaria bipartita 18~23㎜ 10~12㎜
花冠(距を除く)よりやや長い
無毛
 Linaria maroccana 20~30㎜ 12~17㎜
花冠(距を除く)より長い
花序に腺毛
Linaria incarnata 20~25㎜ 8.5~13㎜
花冠(距を除く)とほぼ同長
花序に腺毛
※ 参考)Manual of the Alien Plants of Belgium (ベルギー国立植物園)
                 http://alienplantsbelgium.be/content/linaria
          花冠(距を除く):the rest of the corolla

5 Linaria buriatica Turcz. ex Benth. ヒメウンラン  姫海蘭
 中国、モンゴル、ロシアに分布する。中国名は多枝柳穿鱼 duo zhi liu chuan yu 。
 多年草、高さ8~20㎝。茎は基部で分枝し、しばしば広がる。葉は互生、多数、密集する。葉身は糸状~狭い線形、長さ1.5~5㎝、無毛、1脈がある。花序は総状花序、頂生、長さ3~7㎝、花序軸と花柄は密に腺毛がある。苞は線状披針形、最下の苞は長さ約1㎝。花柄と萼は腺毛がある。萼裂片は線状披針は長さ4~6㎜、幅約1㎜。花冠は黄色長さ1.2~1.5㎝(距を除き)、距は長さ0.8~1.5㎝、わずかに曲がる。下唇の側裂片は長楕円形、幅2~5㎜、中裂片は幅が狭い。上唇は下唇より長く、裂片は長さ約2㎜、先は円形~鈍形。蒴果は卵状球形、長さ約9㎜、幅約7㎜。種子は円盤状、縁に広い翼があり、中央はいぼ状。花期は6~9月。

6 Linaria dalmatica (L.) Mill. subsp. dalmatica キバナウンラン 黄花海蘭
 地中海沿岸に分布。世界に広く帰化している。英名は Dalmatian toadflax、 broadleaf toadflax。
 多年草、無毛。茎は直立し、高さ20~120㎝、分枝する。葉は密集し、長さ6㎝以下、披針形~卵形、硬く、茎を抱き、先は鋭形~長く狭まる。花序は密集~疎、花柄は長さ1~13㎜、ほぼ苞と同長。萼は長さ2~12㎜、裂片は線形~三角状卵形。花冠は長さ20~50㎜、黄色、下唇はのど部を閉じ、密に白色~オレンジ色の毛がある。柱頭は分裂しない。果実は長さ3~7㎜。種子は長さ約1.2㎜、ピラミッド形、うねがある。2n=12。花期は4月~9月。

7 Linaria incarnata (Vent.) Spreng  リナリア・インカルナタ
 ポルトガル、スペイン、モロッコ原産。ヨーロッパ全体に広く、オーストラリア東部で少数、野生化している。英名はcrimson toadflax。アメリカでは未確認。
 1年草、下部は無毛、花序は密に腺毛があり、多細胞の毛は横の壁が紫色又は赤紫色。花茎は3~8(12~)本、長さ16~55㎝、ほぼ直立、分枝は無又はときの有。花のつかない茎は1~6本。花茎の葉は長さ3~8㎜、幅 0.4~0.6㎜、線形、鈍形 、扁平~ 内巻き、互生。不稔の茎の葉は花茎の葉に似ているが対生又は輪生。花序は花が3~7個、疎ときに密、果時に疎。苞は長さ2.5~4㎜、披針形、鋭形。花柄は花時に長さ3.5~8㎜、果時に長さ6~9㎜、ほぼ直立(erecto-patent)~直立、分離。萼裂片はほぼ等長、花時に長さ2.5~4㎜、幅0.5~0.6㎜、果時に長さ3..5~4㎜、幅0.7~1㎜、線状披針形、鋭形、赤紫色又は紫色(violet)、縁は薄膜質、赤紫色又は紫色。花冠は長さ20~25㎜、青紫色( blue-violet)~ライラック色(lilac)、まれにピンク色。内唇(adaxial)は湾曲、長さ4~5 ㎜、外唇(abaxial)は湾曲、長さ2~4㎜、距は長さ8.5~13㎜、真っすぐ又は曲がり、花冠(距を除いた)とほぼ同長。花柱は深く2裂、しばしば分岐の基部が膨れる。蒴果は長さ3~4.7㎜、幅 2.8~3.8㎜、長楕円形、無毛又は短毛がある。室はほぼ等形、それぞれの室は3歯から裂開する。種子は長さ0.5~0.6㎜、腎形又は腎状梨形、表面は cristate-papillate(spain)、ハチの巣状(ruminate-alveolate)又は横のうねがあり、たまに不明瞭な縦のうねがあり、黒灰色。横のうねは6~8本、丸く、しばしば低く、合流する。外種皮の細胞の周縁の壁はいぼ状又は小いぼ状、縁は持ち上がり、うねの先の縁に丸い又はやや角張ったパピラを生じる。中央にパピラは無い。2n = 12
 ※ムラサキウンラン(No514)が千葉県の外来種(植物)の現状等に関する報告書(案)平成22 年3 月ではこの学名とし、冬緑1年草、日本へは1870年頃侵入とされている。
7-1 1 オーストラリアに逸出しているもの(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)
 1年草、直立し、高さ15~60㎝、花序の腺毛以外は無毛。葉は花の無い茎では輪生、花茎では互生、線形、長さ2~4.5㎝幅0.5~4㎜、先は漸尖。花序には多数の花を疎につけ、果時には非常に疎。苞は長さ2~5㎜。花柄は直立、長さ4~9㎜。萼片は長さ4~5㎜。花冠(おそらく距を除く)は長さ5~10㎜、赤紫色(reddish purpl)~ピンク色、黄色の下唇(palate)がつく、距はわずかに曲がり、長さ8~10㎜、口部は軟毛で覆われた口を開ける。上唇と下唇は大きく反曲し、上唇が最も長い。蒴果は長楕円状楕円形、長さ4~5.5㎜。 Wikimedia にオーストラリアの花の写真(2004.9月)が掲載され、上記と同様な解説もつけられている。

7-2 ポルトガルの野生種は花序軸に腺毛があり、花柄がほぼ直角に近くまでひらいてつき、腺毛がある。萼片は線状披針形、鋭形、濃紫色、腺毛がある。花が淡紫色、上唇の裂片が長く、ほぼ直立、色がやや濃く、紫色の脈がある。下唇は白っぽく、不明瞭な脈があり、2個の縦の膨らみがあり、中間が明瞭に凹み、口部の毛は写真では不明瞭、基部に小さな黄橙色の斑紋があり、裂片はやや長く、中央裂片が長いものや短いものがある。距は花柄と同長か又はやや長く、紫色。(Flora-Onで見られる)。花は3~6月。スェーデン語でViolsporre。写真はオーストラリアの花によく似て淡紫色、上唇が色が濃く、裂片が小さい。花が白色のものはKal violsporre であり、上唇の裂片が大きい。
 Liaria elegansに似ているが、Liaria elegansは黄色の斑紋がない。

8 Linaria japonica Miq. ウンラン 海蘭
 日本、朝鮮、中国、ロシアに分布する。中国名は海滨柳穿鱼(hai bin liu chuan yu )、 英名は Japanese toadflax。
 多年草、海辺に生え、高さ15~40㎝、帯灰色、無毛。茎は斜上し、しばしば分枝する。葉は対生又は3~4個の輪生、しばしば不規則に輪生又は丈夫で互生し、無柄、卵形~倒卵形~長楕円形、長さ1.5~3㎝、幅0.5~1.5㎝、基部は鈍形~類楔形、先は鈍形~類鋭形。葉脈は不明瞭な3本の弧状(3-campylodromou)。花序は頂生、総状花序、苞は蕾と似た長さで、葉より短い。花柄は長さ3~5㎜。萼裂片は卵形~披針形、長さ2.5~4㎜、幅1.5~2.5㎜。花冠は明黄色、長さ12~17㎜(距を除いて)、中央は橙黄色。距は長さ3~6㎜、直線状。下唇の側裂片は幅3~5㎜、中裂片は狭く、上唇は下唇より長い。蒴果は直径約6㎜。種子は腎形、長さ約2.5㎜、幅約1.5㎜、縁が厚い。花期は8~10月。2n=12

9 Linaria maroccana Hook. f. ヒメキンギョソウ 姫金魚草
 地中海沿岸(モロッコ)原産。英名はMoroccan toadflax、Baby Snapdragon。別名は1年草のリナリア、リナリア・マロッカナ。アメリカに帰化している。
 園芸品種は Linaria bipartita でなく、ほとんどこの系統。
 1年草。腺毛のある花序を除き無毛。花茎は1~8(11~)本、長さ19~55㎝、直立、分枝無くたまに状部で分枝する。不稔の茎は0~6本、斜上~直立。花茎の葉は長さ (4~) 10~45㎜、幅 0.5~1.8㎜、線形、鈍形~類鋭形 、扁平、互生、最下の葉はときに4輪生。不稔の茎の葉は似ているが、幅が3㎜以下、線形又は線状楕円形、鈍形、3又は4輪生。花序は花が (3~) 10~35個、密につき、果時に疎になる。苞は長さ2.5~6㎜、線形、鈍形、しばしば赤紫色を帯びる。花柄は花時に長さ4~6㎜、果時に6~10㎜、直立、分離。萼裂片は類等長、長さ3.5~5㎜、幅0.5~0.9㎜、線状披針形、類鋭形、縁は薄膜質、白色又はたまに赤紫色。花冠は長さ23~30㎜、赤紫色又はマゼンダ、口(palateのど部)は赤色、黄色又はほぼ白色。内唇(adaxial)は湾曲、長さ0.8~1 ㎜、外唇(abaxial)は湾曲、長さ3.5~4㎜、距は長さ12~17㎜、直線状~わずかに曲がり、花冠(距を除いた)より長い。花柱は深く2裂。柱頭は2裂、平ら。蒴果は長さ3~5㎜、幅 2.5~4㎜、斜めの長楕円形、無毛。室は不等長、内側の室は、長く突き出し、普通、外側の室を越えて曲がり、3 (~5)歯から裂開する。外側の室は(3~)5歯から裂開する。種子は長さ0.5~0.65㎜、黒色、腎形~不規則な三角形~梨形、強い横のうねがある。横のうねは(3~) 5~7本、分離又はまれに合流し、丸い。外種皮の細胞の周縁の壁は小いぼ状(verruculate)又はしわ状(rugulate)、縁は持ち上がり、うねの先の縁に丸いパピラを生じる。中央に普通、パピラがあり、丸く、ほぼ等径。
 【Jepson eFloraの解説】
 1年草、茎は< 50㎝。葉は長さ20~40㎜、線形。花序は花が密、果時に疎、腺毛(+-)がある。萼は長さ3~6㎜、裂片は披針形、、基部や中肋に毛がある。花冠は長さ20~38㎜、赤紫色(red-violet )~マゼンタ色、のど部は膨れ、赤色、黄色、白色、距は普通、ほぼ真っすぐ。柱頭は2裂、平ら。kajituは長さ3~5㎜。種子は長さ約1㎜、ピラミッド形、うねがある。2n=12.。標高< 830m。地中海沿岸原産。花期は3~6月。野生種の様々な花色の混合種に含まれ、庭から逸出する。
品種) 'Confetti' , 'Dwarf fairy bouquet' , 'Enchantment' , 'Fairy Bouqet' , 'Fairy Lights' , Fantasy series(Fantasy Yellow、Fantasy Violet、Fantasy Blue、Fantasy Speckled Pink , Fantasy? White , Fantasy White with Yellow Eye) , 'Licilia Azure' , 'Licilia Peach' , 'Licilia Red' (Licilia Series) , 'Little Sweeties' , 'Northern Lights' , 'Rhythm and Blues' , 'Sweeties' , グッピーシリーズLinaria Guppy:'Fairy BouquetとFairy Lightsと原種の混合(マゼンタローズ 、スポッテッドピンク、ブルー、 イエロー 、ホワイト、スカーレットウィズイエローアイ、ホワイトウィズイエローアイ、アプリコットウィズイエローアイグッピー)、ヘロンシリーズ:Northern Lightsから選抜(ヘロンマゼンダローズ、ヘロンパープル、ヘロンイエロー、ヘロンホワイト)

10 Linaria pelisseriana (L.) Mill. フタミウンラン
 南ヨーロッパから地中海沿岸原産。英名はJersey toadflax、 Pelisser's toad-flax、Pelisser's toadflax。北アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどに帰化している。日本でも野生化が確認されている。最初に1994年神戸市で見つかった。
 多年草、高さ40㎝以下。茎は直立、無毛。葉は下部では短く、脈は枝分かれ無く、三出脈、短葉柄があり、楕円形、長さ1㎝以下。上部の葉は広がり、無柄、線形、長さ4㎝以下。花は初め短い花序に単生し、後に伸びて頂生の花序となる。花序は長さ25㎝以下。花は紫色、口部は白色。苞は線形、花柄より短い。萼片は基部で融合し、長さ4㎜以下。花冠は長さ18㎜以下、5裂し、花弁は筒部に融合し、2唇形、上唇は2個の狭く長い裂片が直立し、下唇は2個の短い裂片がある。花冠の底部は長さ約9㎜のわずかに曲がった距になる。果実は蒴果、円盤形の翼がある種子を入れる。花期は4~7月。道端や草地の砂地に生え、広く南ヨーロッパに分布し、中東やコーカスまで分布する。ベルギーやオランダでは報告されていない。

11 Linaria pinifolia (Poir.) Thell. リナリア・レティクラタ
  synonym  Linaria reticulata (Sm.) Desf.
 北アフリカ(アルジェリア、チュニジア)原産、英名は Thell.pine-needle toadflax , purple-net toadflax、Spurred Snapdragon 。 GRINではLinaria reticulata (Sm.) Desf.をLinaria pinifoliaのsynonimとしている。また、Evolution in snapdragonsでもLinaria reticulataは掲載されていない。一般的にはLinaria reticulata が使われ、The Plant Listでも両者を生かしている。日本ではLinaria reticulataが一般的。Evolution in snapdragonsに詳しい解説があるが、アルジェリア産のもので多年草となっている。日本、アメリカでは1年草。
 多年草(アルジェリアで)、粉白色を帯び、ほぼ無毛、花序には腺毛があり、花茎には長い腺のない毛がある。花茎は普通、多数つき、長さ50~140㎝、直立、普通、上部で分枝する。花のつかない茎は普通、多数。花茎の葉は長さ (8~) 20~50㎜、幅0.3~1㎜、糸状~線形、類鋭形~鈍形、漸尖形、細い溝状、最下の葉は4~6輪生、上部はほとんど互生。花のつかない茎の葉は花茎の葉と似て、互生又は不規則に輪生。花序は花を多数つけ、花時、果時にも密。苞は長さ2.5~8㎜、線状披針形、鋭形。花柄は花時と果時に長さ1.5~3.5㎜、直立、分離。萼裂片はほぼ等形、長さ3.5~5㎜、幅0.8~1㎜、線状披針形、鋭形、縁は薄膜質、白色又は赤紫色を帯びる。花冠は長さ11~20㎜、黄色、濃赤紫色、又は黄色を帯び、又は赤色の脈があり、花冠筒部は内側の唇が湾曲し、長さ1.4~1.8(~2)㎜、内側の唇が湾曲し、長さ0.5~0.7㎜。距は長さ5~10㎜、基部の幅0.8~1.8㎜真っすぐ又はやや鋭形、ほぼ花冠(距を除く)と同長。花柱は深く2裂。蒴果は長さ3~5㎜、幅3~4㎜、卵形、 凹形、無毛、室はほぼ等長又はやや不等長、それぞれの室は3~5個のバルブから裂開する。種子は長さ.6~0.7㎜、腎形又は腎状四面体、強い横のうねがあり、黒灰色。横のうねは5~8本、丸く、分離又はまれに合流する。外種皮の細胞の周縁の壁はいぼ状又はしわ状、縁はうねの先にある縁のパピラを除いてほとんど持ち上がらず、中央のパピラがしばしばあり、小さく、丸く、ほぼ等径。(Evolution in snapdragons)
 【Jepson eFloraの解説】
 1年草。茎は長さ80~100㎝、花のつかない傾伏するシュートを持つ。葉は長さ2~4㎝、線形、花のつかないシュートの葉は楕円形。花序は花が密につき、密に腺毛がある。萼は長さ3~5㎜。萼片は卵形、縁毛がある。花冠は長さ15~18㎜、赤紫色、のど部は膨らみ黄色、脈は紫色。柱頭は2裂、平ら。果実は長さ約4㎜。種子は長さ約1㎜、ピラミッド形、うねがある。2n=12。花期は4~6月。

品種) 'Crown Jewels' , 'Flamenco' , 'Flaming passion' , 'Velvet Red' , クリムソンウイズエローアイグッピー , バイオレットウイズエローアイグッピー , ピンクウイズエローアイグッピー

12 Linaria purpurea (L.) Mill. 宿根ヒメキンギョソウ(プルプレア)
 地中海沿岸(イタリア)原産。英名は purple toadflax。別名 リナリア、ヒメキンギョソウ。アメリカに帰化している。
 多年草、丈夫な木質の根茎がある。茎は高さ30~70㎝。葉は長さ2~5㎝、線形~倒披針形。花序は花時、果時に蜜。萼は長さ約2.5㎜。花冠は長さ15~18㎜、ラベンダー色~紫色、のど部は膨れ、暗色になる。距は長さ約5㎜、曲がる。花柱は分裂しない。果実は長さ約3㎜。種子は長さ約1㎜、ピラミッド形、うねがある。花期は3月~10月。庭から逸出し、荒地で野生化する。
品種) 'Alba' , Anstey's form , 'Brown's White' , 'Brown's White Strain' , 'Canon Came' , 'Canon Staid' , 'Canon Went' =Canon J. Went , 'Charlton White' , 'Cotton Candy' , 'Dwarf Canon Went' , 'Evensong' , 'Freefolk Piccolo' , 'Fleurs' , Harbutt's hybrids , 'Harlinone' , 'Poached Egg' , 'Port' , 'Purpurea' , 'Purple Toadflax' , 'Radcliffe Innocence' , 'Springside White' , 'Tammy' , 'Thurgarton Beauty' , 'Tina McDowell' , 'Toadflax' , 'Vainglorious' , 'Winifrid's Delight'

13 Linaria verticillata Boiss.
 スペイン原産
13-1 Linaria verticillata subsp. anticaria (Boiss. & Reut.) L.Saez & M.B.Crespo
  synonym Linaria anticaria Boiss. & Reut.
品種) 'Antique Silver'.

14 Linaria vulgaris Mill. ホソバウンラン 細葉海蘭
 地中海沿岸原産。英名はcommon toadflax、 butter-and-eggsなど。中国名は柳穿鱼 liu chuan yu 。日本、アメリカなど世界に広く帰化している。
 多年草、茎は長さ30~100㎝、斜上~直立し、1本又は数本。葉は密集し、長さ25~50㎜、ほぼ線形、無毛~まばらに柔らかい長いもじゃもじゃの毛がある。花序は総状花序、密に腺毛がある。花柄は長さ1~4㎜。萼片は長さ約3㎜、不等長。花冠は長さ18~32㎜、黄色。下唇にはオレンジ色の毛がある。花柱は分裂しない。kajituは長さ9~12㎜。種子は長さ約1.5㎜、平ら、翼がある。2n=12。花期は6~8月。花が白色のものも見られる。
 シロバナセイヨウウンラン Linaria vulgaris Mill. f. leucantha Fernald.
品種) 'Flore Pleno' (d) , 'Hemipeloria' , 'Peloric'

14 その他ハイブリッド系の栽培品種
 ハイブリッド系も多い。Hybrid Toadflaxといわれる。
(1) Linaria x dominii はLinaria purpureaとLinaria repensの交雑種
品種例)Linaria x dominii 'Carnforth
      Linaria x dominii 'Yuppie Surprise'
(2) Linaria x cornubiensisはLinaria repensとLinaria supinaの交雑種
(3) Linaria x sepium はLinaria vulgarisとLinaria repensの交雑種
 =synonymes Linaria × ambigua , Linaria × camusii , Linaria × intermedia
 =Linaria hybrida Schur , Linaria vulgaris var. hybrida (Schur.)
品種例) Linaria x sepium 'Petra'
       Linaria x sepium 'Cho'
       Linaria hybrida 'Enchantment'=Linaria x sepium 'Enchantment'
(4) その他ハイブリッド
品種) 'Carnforth' , 'Gemstones' , 'Grenada Sol' , 'Peachy'

園芸品種などの分類

【Jepson eFloraの検索に和名をあてはめ追加修正 】
リナリア類の検索 
1. 花冠黄色
 2. 葉:披針形~卵形、花冠長:20~50㎜、種子:±ピラミッド形、うね有り
                                   .    ....①Linaria dalmatica
  2' 葉:線形、花冠長:18~32㎜、種子:平ら、翼あり       .....②Linaria vulgaris
  2''葉:卵形~倒卵形~長楕円形 花冠長12~17㎜、種子:腎形
                                        ....⑩ウンラン(在来種)
1' 花冠黄色以外 (のど部を除いて)
 3. 多年草、葉:線形~倒披針形 花冠 ラベンダー色~紫色、のど部暗色
                                       ..... ③Linaria purpurea
  4'' 葉:下部は楕円形、上部は線形 花冠:紫色、のど部は白色
                                       ..... ⑦フタミウンラン
 3' 1年草、葉:線形~楕円形、種子は翼がない
  4.花序:無毛 、花冠:紫色(バイオレット)、のど部は膨れ、白色、基部にオレンジ色のパッチをもつ
                                       .....④Linaria bipartita
  4' 花序:腺毛あり、花冠:赤紫色~マゼンダ、のど部は膨れ、赤色、黄色、白色
   5. 萼片:披針形、花序は果時に疎、花冠長:20~38㎜
     葉:長さ20~40㎜、幅 0.5~1.8㎜、線形
     距の長さ12~17㎜、花冠(距を除く)より長い       .....⑤Linaria maroccana
   5' 萼片:卵形、 花序は果時にも密 花冠長:11~20㎜  . ...⑥Linaria pinifolia
  4'' 花序:腺毛あり、花冠:青(赤)紫色~ライラック色、ピンク色、のど部は膨れ白色
   5'' 萼片:披針形、花序は果時に疎、花冠長:20~25㎜
     葉:長さ20~45㎜、幅 0.5~4㎜、線形
     距の長さ(8~10)8.5~13㎜、花冠(距を除く)とほぼ同長 ....⑪Linaria incarnata

日本の園芸種

 リナリア属の種は地中海沿岸地域を原産とし、およそ150種があり、ヨーロッパに約70種がある。多くの種が観賞用に栽培され、リナリア、toadflaxと呼ばれている。ハイブリッドができやすく、純粋なものは園芸種には少ないとされている。なかでもLinaria bipartita、Linaria maroccana、 Linaria incarnataの3種は同じ節(sect. Versicolores)に属し、よく似ていて、分けることが難しいため、Linaria bipartita Hybridsと呼ばれるほどである。日本ではLinaria incarnataは話題にならず、まだ、渡来が無く、日本の1年草のリナリアはLinaria bipartita、Linaria maroccana、Linaria pinifolia (= Linaria reticulata)の3種が多い。最近、多くなってきたLinaria pinifolia (= Linaria reticulata)はアフリカ原産であり、学名が最近、Linaria reticulataからLinaria pinifoliaに変わってきている。Linaria pinifoliaの主品種はフラメンコといい、派手な赤色などである。この3種のうちではLinaria bipartitaだけが全体に無毛であり、花序にも腺毛が無い。もし腺毛があれば、似ていても Linaria bipartita Hybridsなどである。Linaria bipartita は多色あるとされていることが多いが、品種名が記載されていることがなく、古くからある園芸品種をLinaria bipartitaとしているようであり、Linaria bipartita Hybrids を意味していると思われる。品種名があるのは1年草のリナリアではLinaria maroccanaの園芸品種が最も多く、Northern Lights 、Fairy Bouqet、グッピーシリーズなどである。
 ※原種についてはEvolution in snapdragonsに詳しい解説が載せられている。

参考

1) Flora of China
 Linaria  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=118612
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Linaria  
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:325776-2
3)GRIN
 Linaria  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6852
4)Flora of Victoria
 Linaria  
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/163f7bc1-584b-48c3-b957-16c3bb814307
5)CSIC: SNAPDRAGONS - CONSEJO SUPERIOR DE ...
 Evolution in snapdragons  
http://www.rjb.csic.es/snapdragons/Paginas/