ヒメアブラススキ 姫油薄

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae ヒメアブラススキ属

中国名 细柄草 xi bing cao
英 名 scented-top grass , golden-beard
学 名 Capillipedium parviflorum (R.Br.) Stapf.
Bothriochloa parviflora (R. Br.) Ohwi.
ヒメアブラススキ小花序の小穂
ヒメアブラススキ花序枝
ヒメアブラススキ果実
ヒメアブラススキ葉鞘
ヒメアブラススキ葉舌
ヒメアブラススキ茎の節の毛
ヒメアブラススキ Capillipedium parviflorum
ヒメアブラススキ小穂
ヒメアブラススキ小穂(果期)
ヒメアブラススキ葉
ヒメアブラススキの葉表の毛
花 期 9~11月
高 さ 50~100(150)㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の丘陵地
分 布 在来種  本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー、タイ、インドネシア、フィリピン、ニューギニア、西南アジア、アフリカ、オーストラリア
撮 影 新城市  09.11.13
和名の由来はアブラススキに似て、小さいことから。
 茎は直立し、叢生する。茎には毛がないが、節だけに白色の毛が密生する。葉は長さ8~25㎝、幅2~7㎜の線形、葉の基部には長毛が生える。葉の質はやや堅く、両面および縁に小さな刺があり、ざらつく。長さ8~25㎝の円錐花序、花序の枝は細く、節に長毛が散生する。枝は2~3回分枝し、枝の先に数個(普通5~7個)の小穂が固まった長さ5~8㎜の小花序をつける。小穂は赤褐色を帯び、基部に毛がある。小穂には無梗小穂(小穂柄が無いもの)と有梗小穂(小穂柄があるもの)があり、有梗の小穂は雄性で芒がなく、長さ3~3.8㎜。無梗の小穂は両性で芒があり、長さ2.5~3.5㎜、芒の長さは10~15㎜。無梗小穂と有梗小穂が対になってつくが、小穂が奇数個の場合、小花序の先端に2個の有梗小穂がつき、耳のように見える。頴果は長さ約1.7㎜、紫褐色。2n=20, 40, 60
 アブラススキ Eccoilopus cotulifer は全体に大きく、対になる小穂が長梗と短梗で、両方とも芒があり、両性で大きさもほとんど等しい。

ヒメアブラススキ属

  family Poaceae - genus Capillipedium

 多年生または一年生。稈は直立、傾伏、または曲がりくねる。葉身は線形、ときに芳香がある。葉舌は膜質、縁に繊毛がある。花序は頂生の開いた円錐花序、長い中心軸をもつ。枝は毛細管状、細分岐し、各小枝の先端に短い総状花序がつく。総状花序は1–5(–8)対の小穂をもち、しばしば、1個の無柄と2個の有柄の小穂の三つ組になり、基部の同性の小穂の対は無い。花序軸の節間と小梗は細く、厚みのある縁の間の中央に半透明の縞模様がある。無柄の小穂は背側が扁平。カルスは非常に短く、鈍形、短い毛がある。第1苞穎は軟骨質、広く凸面形~わずかに凹面形、側面は丸く、先に向かって竜骨があり、先は鋭形~鈍形。第2苞穎は舟形、背に竜骨がある。下側の小花は小さな空(から)の透明な護穎に退化する。上側の護穎は柄があり(stipitiform)、全縁、先から芒が出る。芒は膝状に曲がり、無毛または微軟毛がある。有柄の小穂は雄性または不毛、無柄の小穂に似るかまたは小さく、草質。
 世界に約18種ありアフリカ東部、熱帯アジア、オーストラリアに分布する。

ヒメアブラススキ属の主な種と園芸品種

1 Capillipedium assimile (Steud.) A.Camus エダウチヒメアブラススキ 
 中国、台湾、バングラデシュ、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム原産。中国名は硬秆子草 ying gan zi cao。小川、林内、山の斜面などに生える。
 多年草、しばしば不規則に伸びる。 稈は傾伏し、基部から発根し、木質、高さ1.5~3.5m、直径1.5~5㎜、しっかりと枝分かれし、節は無毛または毛がある。葉鞘は無毛、口部に毛がある。葉身は線状披針形、長さ6~15㎝×幅0.3~0.6㎝、無毛または小剛毛があり、基部は先細になり、先ほ剛毛状に尖鋭形。葉舌は長さ約0.7㎜。 円錐花序はピラミッド形、長さ5~12㎝×幅約4㎝。枝は腋に直軟毛がある。総状花序は三つ組の小穂からなり、ときに1~2対の小穂が付け加えられ、帯緑色または帯ピンク色。花序軸の節間と小梗は長い縁毛がある。無柄の小穂は長さ2.1~2.9㎜。第1苞穎は楕円状長円形または披針形、背に2~5脈があり、わずかに凸面状、光沢があり、無毛または小剛毛があり、上部の縁に竜骨があり、剛毛の縁毛がある。第2苞穎は縁に縁毛があり、芒は長さ0.6~1.5㎝。 有柄の小穂は線状披針形、無柄の小穂の長さの2倍以下。花期および果期は8~12月。2n=40。

2 Capillipedium kwashotense (Hayata) C.C.Hsu カショウアブラススキ 火焼油薄
  synonym Bothriochloa kwashotensis (Hayata) Ohwi
 日本(西表島)、台湾原産。中国名は绿岛细柄草 lü dao xi bing cao。和名は台湾近くの離島である火焼島(現・緑島)に由来する。海岸近くの崖や斜面に生える。
 多年草、根茎がある。稈は単生または房状になり、硬く、高さ15~30㎝、直径約1㎜、基部の上で多数、分枝し、節は無毛。葉鞘は無毛。葉身は線状披針形、長さ6~11㎝×幅0.3~0.5㎝、無毛、葉舌の上に基部にいぼのある長い剛毛があり、先は剛毛状の尖鋭形。葉舌は長さ約1㎜。円錐花序は小さく、外形が楕円形、長さ4~8㎝。枝は単純または少し分岐する。総状花序は、頂部の三つ組の小穂とその下の3~4対の小穂からなり、麦わら色。 花序軸の節間と小梗は長い縁毛がある。無柄の小穂は長さ3~3.8㎜。第1苞穎は狭披針状長円形、背に5~7脈があり、平ら、光沢がなく、脈は細かくザラつき、縁は中間より上に竜骨があり、ザラつき、先は鋭形または二歯がある。第2苞穎は上部の竜骨がザラつく。上側の護穎の芒は長さ1~1.6㎝。有柄の小穂は無柄の雄性の小穂に似る。花期および果期は秋。2n =40。

3 Capillipedium parviflorum (R.Br.) Stapf ヒメアブラススキ 姫油薄
  synonym Capillipedium assimile auct. non (Steud.) A.Camus
  synonym Capillipedium parviflorum (R.Br.) Stapf f. villosulum (Nees) Kitag.
  synonym Capillipedium parviflorum (R.Br.) Stapf f. viviparum Kitag.
  synonym Capillipedium parviflorum (R.Br.) Stapf f. violascens (Trin.) Kitag.
 日本 (本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー、タイ、インドネシア、フィリピン、ニューギニア、西南アジア、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は细柄草 xi bing cao。英名はscented-top grass , golden-beard。和名の由来はアブラススキに似て、小さいことから。別名はコモチヒメアブラススキ、チョウセンヒメアブラススキ、ムラサキヒメアブラススキ。山地の丘陵地に生える。
 多年草。高さ50~100(150)㎝。茎は直立し、叢生する。茎には毛がないが、節だけに白色の毛が密生する。葉は長さ8~25㎝、幅2~7㎜の線形、葉の基部には長毛が生える。葉の質はやや堅く、両面および縁に小さな刺があり、ざらつく。長さ8~25㎝の円錐花序、花序の枝は細く、節に長毛が散生する。枝は2~3回分枝し、枝の先に数個(普通5~7個)の小穂が固まった長さ5~8㎜の小花序をつける。小穂は赤褐色を帯び、基部に毛がある。小穂には無梗小穂(小穂柄が無いもの)と有梗小穂(小穂柄があるもの)があり、有梗の小穂は雄性で芒がなく、長さ3~3.8㎜。無梗の小穂は両性で芒があり、長さ2.5~3.5㎜、芒の長さは10~15㎜。無梗小穂と有梗小穂が対になってつくが、小穂が奇数個の場合、小花序の先端に2個の有梗小穂がつき、耳のように見える。頴果は長さ約1.7㎜、紫褐色。2n=20, 40, 60。花期は9~11月。

4 Capillipedium spicigerum (Benth.) S.T.Blake リュウキュウヒメアブラススキ 琉球姫油薄
  synonym Capillipedium parviflorum (R.Br.) Stapf var. spicigerum (Benth.) C.C.Hsu
 日本(琉球諸島)、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリア原産。中国名は多节细柄草 duo jie xi bing cao。山の斜面に生える。
 多年草。稈は房状になり、高さ150㎝以下、枝分かれせず、節には毛がある。葉鞘は普通、直軟毛があり、口部に縁毛がある。葉身は長さ15~40㎝×幅0.5~0.8 ㎝、細かくザラつきまたは毛があり、通常は根元に向かって結節ベースの毛があり、根元が丸く、頂点が尖っている。葉舌は長さ0.5~1㎜。 円錐花序は長円状卵形で、外形は長さ10~18㎝×幅5~8㎝。 枝はむやみに曲がりくねり、花序軸に直軟毛がある。総状花序は頂部の三つ組の小穂とその下の3~7対の小穂からなり、紫色。花序軸の節間および小梗は縁毛がある。無柄の小穂は長さ3~4㎜。第1苞穎は長円状披針形、わずかに光沢があり、背に4~5脈があり、中脈に沿ってほとんど凹まず、まばらに小剛毛があり、縁には竜骨があり、中間より上に櫛状の縁毛があり、先は狭い鈍形。第2苞穎は上部の縁に沿って縁毛があり、芒は長さ1.2~1.8㎝。有柄の小穂は、無柄のしばしば雄性の小穂と等しく、または小さくて不毛になる。花期および果期は秋。2n=40。

参考

1) Flora of China
 Capillipedium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=105549
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Capillipedium
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:17676-1
3) World Flora Online
 Capillipedium
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000006585;jsessionid=2C015356927885A938129060CA775110
4) World Checklist of Vascular Plants
 Capillipedium
https://wcvp.science.kew.org/
5) GRIN
 Capillipedium
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomylist?category=species&type=genus&value=Capillipedium&id=2045