ヘクソカズラ 屁糞蔓/屁臭蔓
Flora of Mikawa
アカネ科 Rubiaceae ヘクソカズラ属
別 名 | ヤイトバナ |
中国名 | 鸡矢藤 ji shi teng |
英 名 | skunkvine, Chinese fever plant |
学 名 | Paederia foetida L. synonym Paederia scandens (Loureiro) Merrill synonym Paederia scandens (Lour.) Merr. f. mairei (H.Lev.) Nakai |
花 期 | 7~9月 |
高 さ | つる性 |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 日当たりのよい土手、草地などに普通 |
分 布 | 在来種 日本(本州、四国、九州、沖縄、小笠原諸島)、韓国、中国、台湾、南シナ海、アンダマン諸島、ニコバル諸島、インド、スリランカ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、カンボジア、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン |
撮 影 | 蒲郡市豊岡町 05.8.20 |
多年草、蔓性で、長さ5mまで。茎は無毛から密に微軟毛(puberulent)が生え、微細粗毛(hirtellous)または微細柔毛(pilosulous)があり、しばしば無毛になり、乾くと灰色~褐色になる。葉は対生または稀に3出する(ternate)。葉柄は長さ0.5~9㎝、無毛から密に微細粗毛が生え、または微細柔毛がある。葉身は乾すると紙質~亜革質、卵形、卵状長円形、披針形、披針状楕円形、又は楕円形、長さ(1~)5~9(~21)㎝×幅1~4(~9)㎝、上面は無毛~少なくとも主脈上に微軟毛があり、下面は少なくとも主脈上が無毛または微軟毛~微細粗毛又は小直剛毛があり(strigillose)、基部は楔形、円形、切形、又はときにやや心形~心形、縁は平ら、先は鋭形又は尖鋭形、二次脈は4~6対。托葉は一般に宿存し、三角形~卵形、長さ1.5~6㎜、鈍形~鋭形、尖鋭形、又はまれに二裂する。花序は腋生および/または頂生、円錐花序、密穂花序(thyrsiform)、散房花序または集散花序、ピラミッド形~円形、長さ5~100㎝、2~5次まで分枝し、高次の軸は二股(dichotomous)分枝またはしばしばさそり形になり、微細粗毛~小直剛毛がありまたは無毛、花序柄がある。苞は披針形~三角形、長さ0.8~3㎜。小花柄は長さ1.5㎜まで。花は無柄~小花柄で二股~さそり形で、小集散花序は緩く~やや密集する。萼片は無毛から密に微軟毛があり、花托筒部分はこま形~楕円形、長さ0.8~2mm、拡大部は深く裂け、萼片は三角形、長さ0.4~1㎜。花冠は淡紫色、灰ピンク色、ライラック色、または灰白色、(鐘状)漏斗形、外側は密に粉状の微軟毛または粉状の繊細な綿毛があり(tomentulose)、中央は紅紫色で毛が生える。花冠筒部は長さ(5~)7~10(~17)㎜×幅2~6㎜、切れ込みはない。花冠裂片は広三角形~卵形、長さ1~2㎜、鋭形。雄しべ5本は花冠の内部につき、花糸は短い。花柱は2個、基部で合着する。果実は球形の核果、長さ4~7㎜×幅4~7㎜、無毛、熟して乾くと灰色~黄色褐になる。小堅果=核(pyrenes)は2個、凹凸形~平凸形。花期は5~10月。果期は7~12月。
様々な変種、品種が報告されているが、POWOでは認められていない。
葉幅が狭く、基部が円形のものはコバノヘクソカズラと呼ばれる。葉幅の変化は連続的であり、明確に区別できないといわれている。
葉に毛が多いのはビロードヤイトバナと呼ばれる。これも変化が連続的である。
ツツナガヤイトバナは花冠の長さが普通の3倍以上ある。
葉に毛がなく、艶がある海岸型はハマサオトメカズラと呼ばれる。
ヘクソカズラ属
family Rubiaceae - genus Paederia多年草、低木、亜低木、又はつる性、刺は無く、普通、広がり、絡み付く、普通、傷つけると悪臭がする。束晶(raphide)がある。葉は対生、又はまれに、3~4輪生、軟毛のあるダニ室は無又はときにある(Paederia foetida, P. spectatissima)。托葉は早落性又は宿存し、葉柄間につく、三角形~2裂する。花序は腋生及び/又は頂生、主茎又は短い側茎につき、密穂花序、円錐花序、集散花序、又は穂状花序、花は数個~多数、花序柄は無又は有。苞はあり、苞はときに大きく、柄がある。花は花柄が無又は有、両性、1形。萼の拡大部は(4~)5(~ 6)裂 [ときに、calycophyllsをもつ]。花冠は白色、ピンク色、又は紫色、漏斗形(funnelform)~高杯形(salverform)、普通、筒部はごく細く、急に短く広がり、筒部やのど部の内側に軟毛があり、ときに、基部近くに穴がある(fenestrate)。花冠裂片は(4~)5(~6)裂、蕾では二度繰り返しの敷石状(induplicate-valvate)、縁はしばしば不規則に細かく縮れ(crisped)、まれに先が短く3裂する。雄しべは(4~)5(~6)本、突き出ず、花冠筒部の中間近くの様々な高さにつく。花糸は短く、突き出ない [ときに発達ずる]。葯は背着。子房は2(~ 3)室、胚珠は各室に1個、直立、底着、倒生胚珠。柱頭は2個、糸状、突き出ず又は突き出る。果実は特徴的、乾いた核果、分離果になり、球形又は扁平な球形~扁平な楕円形、萼の拡大部が宿存し、たまに大きくなり、外果皮は乾き、膜質~紙質、普通、乾くと光沢があり、熟すと破砕する。小堅果=核(pyrenes=diaspores)は2(~3)個、非裂開、膜質~革質、半球形~平ら、長円形~卵形、全縁~翼があり、まれに軟毛があり(P. yunnanensis)、ときに宿存する分果柄(carpophore)の上につく。種子は種皮が薄い。子葉は広心形、幼根は短く、地下性。
世界に約30種があり、熱帯、亜熱帯のアフリカ、アジア、マダガスカル、北アメリカ、南アメリカに分布する。
ヘクソカズラ属の主な種
1 Paederia cavaleriei H.Lev. ビロードヘクソカズラ中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、四川省)、台湾原産。中国名は耳叶鸡矢藤 er ye ji shi teng。標高100~3000mの山地の茂みに生える。
蔓性で、高さ4mまで。茎は密に粗毛(hirsute)または微細粗毛(hirtellous)、微細柔毛(pilosulous)、または繊細綿毛があり(tomentulose)~無毛になり、乾くと褐色になる。葉は対生し、葉柄は長さ2~8(~21)㎝、密に粗毛~微細剛毛がある~無毛になる。葉身は乾くと、膜質~紙質、卵形~長円状卵形~披針形~菱状卵形、または長円形、長さ 6~18(~22)㎝×幅 2.5~10(~13)㎝、上面は疎~密に小直剛毛(strigillose)、微細粗毛、粗毛、またはザラつき、下面には疎~密に微細柔毛~微細粗毛があり、葉脈上にはより密な軟毛(pubescence)があり、基部は円形又は切形~ほぼ心形(cordulate=subcordate)又は通常心形、縁は平ら又は通常密に細かくカリカリに縮れてしばしば小歯があるように見え、先は鋭形~長い尖鋭形、2次脈は5~10対ある。托葉は一般的に宿存し、三角形~披針形、長さ5~12㎜、鋭形~尖鋭形。花序は腋生および/または頂生、円錐花序~総状花序、円筒形~狭いピラミッド形、長さ7~20(~30)㎝、2~4次まで分枝し、密に微細粗毛、微細柔毛または粗毛があり、花序柄がある。苞は三角形~線形、長さ1~3㎜。小花柄は長さ1㎜まで。花は無柄~小花柄があり、密集した小集散花序または小さな頭状花序につく。萼は微軟毛があるか無毛、花托筒部分は楕円形~こま形、長さ1~1.6㎜、拡大部は基部近くまで分裂し、萼片は三角形、長さ0.4~1㎜。花冠はピンク灰色、ライラック灰色、灰白色、または紫緑色で、筒状漏斗形、外側は密に粉質の綿毛があるかまたは粉質の微軟毛がある。花冠筒部は長さ4~10㎜×幅2.5~4.5㎜、切れ込みはない。花冠裂片は広三角形~広卵形、長さ1~2㎜、鈍形~鋭形。果実は球形、長さ4.5~5㎜×幅4.5~5㎜、微軟毛がある~無毛、乾くと麦わら黄色。小堅果(pyrenes)は平凸形~凹凸形。花期は4~8月。果期は8~11月。
2 Paederia foetida L. ヘクソカズラ 屁糞蔓
synonym Paederia scandens (Lour.) Merr. f. mairei (H.Lev.) Nakai
synonym Paederia scandens (Lour.) Merr.synonym Paederia scandens (Lour.) Merr. var. mairei (H.Lev.) H.Hara
synonym Paederia scandens var. longituba (Nakai) H.Hara ツツナガヤイトバナ
synonym Paederia scandens var. maritima (Koidz.) H.Hara ハマサオトメカズラ
synonym Paederia scandens f. rubrae-stellaris Konta & S.Matsumoto ホシザキハマサオトメカズラ
synonym Paederia foetida f. microphylla (Honda) Tsukaya, Imaichi & J.Yokoy. コバノヘクソカズラ
synonym Paederia scandens f. rubescens Asai アケボノヤイトバナ
synonym Paederia scandens var. velutina (Nakai) Nakai ビロードヤイトバナ
synonym Paederia scandens var. villosa (Hayata) Masam. サメハダヘクソカズラ
日本(本州、四国、九州、沖縄、小笠原諸島)、韓国、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河南省、湖北省、江蘇省、江西省、山東省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、南シナ海、アンダマン諸島、ニコバル諸島、インド、スリランカ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、カンボジア、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン原産。中国名は鸡矢藤 ji shi teng。英名はskunkvine , Chinese fever plant。花の中央が紅紫色でお灸をすえた跡に似ていることから、別名はヤイトバナ(灸花)という。標高200~2000mの森林、森林の縁、渓谷や山腹の茂みに生える。USA(フロリダ州、ハワイ州、ノースカロライナ州)などに帰化している。多年草、蔓性で、長さ5mまで。茎は無毛から密に微軟毛(puberulent)が生え、微細粗毛(hirtellous)または微細柔毛(pilosulous)があり、しばしば無毛になり、乾くと灰色~褐色になる。葉は対生または稀に3出する(ternate)。葉柄は長さ0.5~9㎝、無毛から密に微細粗毛が生え、または微細柔毛がある。葉身は乾すると紙質~亜革質、卵形、卵状長円形、披針形、披針状楕円形、又は楕円形、長さ(1~)5~9(~21)㎝×幅1~4(~9)㎝、上面は無毛~少なくとも主脈上に微軟毛があり、下面は少なくとも主脈上が無毛または微軟毛~微細粗毛又は小直剛毛があり(strigillose)、基部は楔形、円形、切形、又はときにやや心形~心形、縁は平ら、先は鋭形又は尖鋭形、二次脈は4~6対。托葉は一般に宿存し、三角形~卵形、長さ1.5~6㎜、鈍形~鋭形、尖鋭形、又はまれに二裂する。花序は腋生および/または頂生、円錐花序、密穂花序(thyrsiform)、散房花序または集散花序、ピラミッド形~円形、長さ5~100㎝、2~5次まで分枝し、高次の軸は二股(dichotomous)分枝またはしばしばさそり形になり、微細粗毛~小直剛毛がありまたは無毛、花序柄がある。苞は披針形~三角形、長さ0.8~3㎜。小花柄は長さ1.5㎜まで。花は無柄~小花柄で二股~さそり形で、小集散花序は緩く~やや密集する。萼片は無毛から密に微軟毛があり、花托筒部分はこま形~楕円形、長さ0.8~2mm、拡大部は深く裂け、萼片は三角形、長さ0.4~1㎜。花冠は淡紫色、灰ピンク色、ライラック色、または灰白色、(鐘状)漏斗形、外側は密に粉状の微軟毛または粉状の繊細な綿毛があり(tomentulose)、中央は紅紫色で毛が生える。花冠筒部は長さ(5~)7~10(~17)㎜×幅2~6㎜、切れ込みはない。花冠裂片は広三角形~卵形、長さ1~2㎜、鋭形。雄しべ5本は花冠の内部につき、花糸は短い。花柱は2個、基部で合着する。果実は球形の核果、長さ4~7㎜×幅4~7㎜、無毛、熟して乾くと灰色~黄色褐になる。小堅果=核(pyrenes)は2個、凹凸形~平凸形。花期は5~10月。果期は7~12月。
様々な変種、品種が報告されているが、POWOでは認められていない。
(1) Paederia scandens (Lour.) Merr. var. longituba (Nakai) H.Hara ツツナガヤイトバナ
花冠の長さが普通の3倍以上ある。(2) Paederia scandens (Lour.) Merr. var. maritima (Koidz.) H.Hara ハマサオトメカズラ
synonym Paederia scandens (Lour.) Merr. f. maritima (Koidz.) Sugim.葉に毛がなく、艶がある海岸型
(3) Paederia scandens f. rubrae-stellaris Konta & S.Matsumoto ホシザキハマサオトメカズラ
synonym Paederia scandens (Lour.) Merr. var. maritima (Koidz.) H.Hara f. rubrae-stellaris Konta et S.Matsumoto
花冠の中央の紅紫色が花冠の外側まで延び、星形に見えるもの。(4) Paederia foetida L. f. microphylla (Honda) Tsukaya, Imaichi et J.Yokoy. コバノヘクソカズラ
synonym Paederia scandens (Lour.) Merr. f. microphylla (Honda) H.Hara日本、台湾に分布。別名はホソバノヤイトバナ、コバノヤイトバナ
葉の幅が狭く、幅5~10 ㎜。
(5) Paederia scandens (Lour.) Merr. f. rubescens Asai アケボノヤイトバナ
花冠の外面も内面同様に顕著な紅紫色になる。(6) Paederia scandens (Lour.) Merr. var. velutina (Nakai) Nakai ビロードヤイトバナ
葉に毛が多ク、ビロード状になる。(7) Paederia scandens (Lour.) Merr. var. villosa (Hayata) Masam. サメハダヘクソカズラ
synonym Paederia villosa Hayata沖縄、台湾以南に分布。
葉はヘクソカズラよりザラつき、下面に絨毛が密にあり、やや紫色を帯びる。
参考
1) Flora of ChinaPaederia
Paederia
新品種アケボノヤイ卜バナ(浅井康宏)
九州帝国大学農学部演習林報告. 3, p167-168 (1933)
534 Paederia villosa Hayata サメハダヘクソカヅラ