明治10年(1877)に 渡来した。成長が早く、痩せ地でも生育するため、砂防用の緑化樹として植えられ、野生化している。
　幹は淡褐色、縦に深い割れ目が入る。葉は互生し、長さ12～25㎝の奇数羽状複葉、小葉は3～11対つく。小葉は長さ2.5～5㎝の惰円形、全縁。小葉の基部に小托葉がある。花は長さ10～15㎝の総状花序につき、藤に似た白花。花は長さ約2㎝の蝶形、花蜜が豊富で、甘い香りがする。果実は長さ5～10㎝、背軸側に狭い翼があり、3～10個の種子が入り、秋に熟すと、裂開する。種子は長さ約6㎜の腎臓形。2n=20,22

ハリエンジュ属

　 family　Fabaceae － genus Robinia

　高木又は低木、全ての部分（花冠を除き）にときに腺のある剛毛がある。芽は腋生だけ。托葉は剛毛状又は刺状。葉は奇数羽状。小葉の葉身は小葉柄があり、小托葉があり、全縁。総状花序は腋生、垂れ下がる。苞は膜質、早落性。咢は鐘形、5裂し、内側の2咢片は唇の先に類合着する。花冠は白色、ピンク色、ローズ色。花弁は有柄、旗弁は大きく、反り返る。翼弁は曲がる。竜骨弁は内側に曲がる。雄しべは2体雄しべ(diadelphous)、1個は他の合着する9個と離れる。葯は準同型（homomorphic）、2室、縦に裂開する。子房は有柄、胚珠は多数。花柱は錐形、先が毛状。柱頭は小さく、頂生。豆果は扁平、腹側の縫合線に沿って狭い翼があり、しばしば区分に伏した剛毛がある。種子は長円形又は斜めの腎形、 種枕は無い。
　世界に4～10種があり、北アメリカ、中央アメリカに分布する。

ハリエンジュ属の主な種と園芸種

1 Robinia hispida L.　 ハナエンジュ 　花槐
　北アメリカ原産。英名はbristly locust , moss locust , rose-acacia 。中国名は毛洋槐 mao yang huai 。別名はハナアカシア、ベニバナエンジュ。
　低木、高さ1～3m、落葉性。若枝は緑色、密に伏した紫色のざらつく腺毛と白色の軟毛がある。2年枝は暗灰褐色、密に褐色の剛毛があり、2～5㎜。葉は長さ15～30㎝、葉軸は伏した剛毛と白色の曲がった毛があり、上面に溝がある。小葉柄には伏した白毛がある。小托葉は芒状、宿存する。小葉は5～7(～8)対。小葉の葉身は楕円形、卵形、広卵形又は類円形、長さ1.8～5㎝×幅1.5～3.5㎝、基部の対はしばしば、小さくなり、無毛、下面は灰緑色、上面は若い時に暗赤色、後に緑色に変わり、下面の中脈にまばらに伏した毛状突起をもち、基部は円形、先は円形で芒状。総状花序は腋生、花冠を除いて、全体に伏した紫色の腺毛と白毛があり、花が3～8個つく。花序柄は長さ4～8.5㎝。苞は卵状披針形、長さ5～6㎜、早落生、ときに先の苞は3裂し、先が次第に細くなり、尾状になる。花冠は赤色～ロズ色。花弁は有柄。旗弁は類腎形、約長さ2㎝×幅3㎝、先には湾曲がある。翼弁はかま形、長さ約2㎝、耳がある。竜骨弁は三角形に近く、長さ約1.5㎝、先は円形、先の縁で合着し、耳がある。雄しべは2体雄しべ、1本が旗弁に対生し、分離。葯は楕円形。子房は類円柱形、長さ約1.5㎝、密に伏した腺状のパピラがあり、縫合線に沿ってかすかに軟毛があり、胚珠は多数。柱頭は頂生。豆果は線形、長さ5～8㎝×幅8～12㎜、扁平、3～5種子が入り、密に伏した剛毛があり、果柄(carpopodium：花托への付着部分）は短く、先は鋭形。花期は5～6月。果期は7～10月。
品種）　'Macrophylla' , 'Rosea' ambig.
1-1 Robinia hispida L. var. fertilis (Ashe) R. T. Clausen
　　synonym　Robinia fertilis Ashe
　北アメリカ原産。英名は bristly locust
品種）　'Arnot' , 'Monument'

2 Robinia pseudoacacia L.　 ハリエンジュ 　針槐
　北アメリカ原産。英名はblack locust , false acacia。中国名は刺槐 ci huai 。別名はニセアカシア
　幹は淡褐色、縦に深い割れ目が入る。葉は互生し、長さ12～25㎝の奇数羽状複葉、小葉は3～11対つく。小葉は長さ2.5～5㎝の惰円形、全縁。小葉の基部に小托葉がある。花は長さ10～15㎝の総状花序につき、藤に似た白花。花は長さ約2㎝の蝶形、花蜜が豊富で、甘い香りがする。果実は長さ5～10㎝、背軸側に狭い翼があり、3～10個の種子が入り、秋に熟すと、裂開する。種子は長さ約6㎜の腎臓形。2n=20,22。花期は5～6月。
品種）　'Aurea' , 'Bessoniana' , 'Bessoniana' , 'Casque Rouge' , 'Coluteoides' , 'Dean Rossman' , 'Fastigiata' , 'Frisia' , 'Inermis' , 'Lace Lady' (PBR) , 'Microphylla' , 'Mimosifolia' , 'Monophylla Fastigiata' , 'Myrtifolia' , 'Pyramidalis' , 'Rehderi' , 'Robusta Vignei' , 'Rozynskiana' , 'Sandraudiga' , 'Semperflorens' , 'Tortuosa' , 'Twisty Baby' (PBR) , Twisty Baby™ , 'Umbraculifera' , 'Umbraculifera' , 'Unifoliola' , 'Idaho Red' ,
2-1 Robinia pseudoacacia L. f. inermis (Mirb.) Rehder　 トゲナシハリエンジュ
　別名はトゲナシニセアカシア

3 Robinia viscosa Vent.　 モモイロハリエンジュ　桃色針槐
　北アメリカ原産。英名はbclammy locust 。
　おおきな低木又は高木、高さ5（～12）m以下。小枝と花序柄は多数の大きな無柄又は類無柄の腺をもつ。托葉は普通、剛毛状。葉は13～25個つき、槍状卵形～楕円形。花は類直立の総状花序に密につき、ピンク色で、黄色の斑点が旗弁にあり、長さ2.5㎝。花冠には細かい毛がある。上唇は分裂し、2個の裂片は鋭い三角形、唇の体より短い。果実は剛毛があり、腺毛がある。2n=20花期は6月。

4 ハイブリッド
(1) Robinia × ambigua Poir.
　Robinia pseudoacacia × Robinia viscosa
品種）　'Bellarosea' , 'Decaisneana' , 'Idahoensis'
(2) Robinia × holdtii Beissn.
　栽培種。 R. neomexicana × R. pseudoacacia
品種）　'Britzensis'
(3) Robinia × margaretta Ashe
　　synonym　Robinia ×slavinii Rehder
　自然交雑種。Robinia hispida × Robinia pseudoacacia
品種）　Casque Rouge , 'Georgia da Torino' (PBR) , ''Hillieri' , Pink Cascade'
(4) その他
品種）　'Purple Robe'

参考

1) SEINet Portal Network - Robinia viscosa
　Robinia viscosa Vent.
　http://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxon=46813
2) Flora of China
　Robinia
　http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128644
3) GRIN
　Robinia
　https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10502