ハナゴマはノウゼンカズラ科ハナゴマ属の栽培種。写真は園芸品種のピンクフェアリー。
　1年草又は多年草、有茎、分枝し、高さ約80㎝。根は類木質、分枝する。葉は互生、茎の基部に束生せず、2～3回羽状分裂。花序はまばらな総状花序、長さ約20㎝。苞は緑色、線形、長さ3～5㎜。花柄は長さ1～5㎜。咢は緑色、鐘形、咢歯は紫赤色、錐形、約長さ5㎜×幅5㎜、基部は大きくなり腺がある。花冠は鐘状漏斗形、約長さ4㎝×幅2.5㎝、基部でくびれ筒形になる。花冠裂片は円形。雄しべは花冠筒部の基部につく。葯は密着する。花柱は淡黄色。蒴果は淡緑色、狭い円柱形、長さ3～6(～10)㎝×直径約5㎜、先は尾状尖鋭形。種子は扁球形、直径約2㎜、透明な膜質の翼が周りにつき、先は切れ込む。
品種）　'Alba' , 'Cheron' , 'Cheron Pink' , 'Cheron White' , 'Pink Fairy,
(1) Incarvillea sinensis var. sinensis
　葉は形が様々、花は淡ローズ色、淡赤色、又は紫色。花期は5～9月。果期は10～11月 2n = 22。
(2) Incarvillea sinensis var. przewalskii (Batalin) C. Y. Wu & W. C. Yin
　中国名は黄花角蒿 huang hua jiao hao
　花は淡黄色。花期は7～9月。

ハナゴマ(インカルビレア)属

　 family　Bignoniaceae － genus Incarvillea

　1年草又は多年草、長立又は平伏、有茎又は無茎。葉は単葉又は1～3回羽状分裂。花序は総状花序、頂生。咢は鐘形、咢歯は5個、三角形、まれに大きくなり、基部に腺がある。花冠は赤色又は黄色、漏斗形、2唇形。裂片は円形、広がる。雄しべは4本、2強雄しべ、突き出無い。葯は散開し、無毛、基部に距がある。花盤は環状。子房は無柄、2室。胚珠は多数、各胎座に1～2列につく。柱頭は扁平、扇形、2裂。蒴果は胞背裂開、長い円柱形、直立又は曲がり、尖鋭形、ときに4～6角(かど)がある。種子は小さく、横に扁平、透明な膜質の翼又は糸状の毛に取り囲まれる。
　世界に16種あり、中国、モンゴル、インド、ブータン、ネパール、カシミール、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンに分布する。

ハナゴマ属の主な種と園芸種

1 Incarvillea delavayi Bureau et Franch.　 ウンナンハナゴマ
　中国(四川省、雲南省)原産。中国名は红波罗花 hong bo luo hua 。英名はChinese trumpet-flower。
　多年草無茎、高さ約30㎝以下、無毛。葉は根生し、1回羽状分裂、長さ8～25㎝。葉軸は長さ約20㎝。側小葉は4～11対つき、楕円状披針形、長さ4～7㎝×幅1～3㎝、基部は鈍形～類円形、鋸歯縁、先は尖鋭形。頂小葉は長さ1.5～3.5㎝×幅1～2.5㎝、ほぼ無柄。花序は総状花序、花が2～6個つき、頂生。花序柄は長さ約30㎝。苞は長さ約1㎝。小苞は長さ約5㎜。花柄は長さ0.5～1.5㎝。咢は鐘形ながさ1.3～2㎝。咢歯は長さ5～7㎜×幅5～7㎜、先は尾状尖鋭形。花冠は赤色、鐘形、約長さ6.5㎝×幅3.5㎝、筒部は長さ約5㎝、花冠裂片は半円形、広がる。花糸は長さ約2.5㎝。葯は卵形、 多方向。花柱は長さ約3㎝。柱頭は扁平、扇形。蒴果は灰褐色、4角(かど)があり、長さ5～7.5㎝、木質。種子は広卵形、片面は無毛、他には毛があり、約長さ5㎜×幅3～4㎜。花期は7月。2n = 18, 22。
品種）　'Alba' , 'Bees' Pink' , 'Rose' , 'Snowtop' , 'White Top' ,

2 Incarvillea himalayensis Grey-Wilson 　インカルビレア・ヒマラエンシス
　ネパール、ブータン、チベット原産
　多年草、無茎。葉はロゼットを作り、肉質の根茎をもつ。葉は羽状複葉。側小葉は0～4対つき、卵形、長さ7～40㎜×幅6～20㎜、鋭頭、細鋸歯縁。小葉柄は無又は長さ約1㎜。頂小葉は円形、長さ(15～)25～40(～70)㎜×幅30～45(～65)㎜。葉柄は長さ(15～)40～100㎜。花序柄は長さ22～28(～45)㎜、不分枝又は基部近くで分枝する。咢筒は長さ10～5㎜。咢片は卵形～披針形、長さ3～6㎜×幅 2～6㎜、尖鋭形。花冠は濃ピンク色、筒の基部は黄色又は橙色、のど部には白色の縞がある。花冠筒部は長さ40～65㎜、花冠裂片は円形、長さ10～15(～20)㎜。蒴果は木質、断面に4角(かど)があり、曲がり、長さ45～70㎜×幅5～10㎜。種子は類円盤形又は卵形、太い腺毛で密に覆われ、狭い翼を含めて長さ5～7㎜×幅5㎜。
品種）　 'Frank Ludlow' , 'Nyoto Sama'

3 Incarvillea mairei (H.Lev.) Grierson 　インカルビレア・マイレイ
　中国(四川省、雲南省、チベット自治区)、ブータン、ネパール原産。中国名は鸡肉参 ji rou shen 。
　多年草、無茎、高さ30～40㎝。葉は根生し、1回羽状複葉。側小葉は2～8対つき、卵形～卵状披針形、無毛、基部はわずかに心形～広楔形、鋸歯縁、先は鈍形～尖鋭形。花序は総状花序、花が2～4個つき、類頂生。花序柄は花柄とほぼ同長又はかなり長い。小苞は線形、長さ約1㎝。咢は鐘形、長さ約2.5㎝。咢歯は三角形、先は尖鋭形。花冠は紫赤色又は淡赤色、長さ7～10㎝×幅5～7㎝。筒部は長さ5～6㎝。花冠裂片は円形。葯は花柱に密着して取り囲み、強く散開する。花柱は長さ5～7㎝。柱頭は扇片、薄い膜質、2裂する。蒴果は円錐形、長さ6～8㎝×幅約1㎝、不明瞭な条線がある。種子は広卵形、多数。花期は5～8月。果期は7～11月。
品種）　'Frank Ludlow'
3-1 Incarvillea mairei (H.Lev.) Grierson var. grandiflora (H.R.Wehrh.) Grierson　 オオバナハナゴマ
　中国、ブータン、ネパール原産。中国名は大花鸡肉参 da hua ji rou shen

4 Incarvillea sinensis Lam.　 ハナゴマ（インカルビレア・シネンシス）
　　synonym　Incarvillea variabilis Batalin　
　中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、青海省、陕西省、河南省、山東省、山西省、四川省、雲南省、チベット自治区、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区)原産。中国名は角蒿 jiao hao 。英名はtrumpet-flower。
　1年草又は多年草、有茎、分枝し、高さ30～60(～80)㎝。根は類木質、分枝する。葉は互生、茎の基部に束生せず、2～3回羽状分裂。花序はまばらな総状花序、長さ約20㎝。苞は緑色、線形、長さ3～5㎜。花柄は長さ1～5㎜。咢は緑色、鐘形、咢歯は紫赤色、錐形、約長さ5㎜×幅5㎜、基部は大きくなり腺がある。花冠は鐘状漏斗形、約長さ4㎝×幅2.5㎝、基部でくびれ筒形になる。花冠裂片は円形。雄しべは花冠筒部の基部につく。葯は密着する。花柱は淡黄色。蒴果は淡緑色、狭い円柱形、長さ3～6(～10)㎝×直径約5㎜、先は尾状尖鋭形。種子は扁球形、直径約2㎜、透明な膜質の翼が周りにつき、先は切れ込む。花期は5～9月。
品種）　'Alba' , 'Cheron' , 'Cheron Pink' , 'Cheron White' , 'Pink Fairy ピンクフェアリー
4-1 Incarvillea sinensis var. sinensis
　葉は形が様々、花は淡ローズ色、淡赤色、又は紫色。花期は5～9月。果期は10～11月 2n = 22。
4-2 Incarvillea sinensis var. przewalskii (Batalin) C. Y. Wu & W. C. Yin
　中国名は黄花角蒿 huang hua jiao hao
　花は淡黄色。花期は7～9月。

5 その他ハイブリッド
品種）　'Brighton Pride' , 'Snowdrop'

参考

1) Plant Finder - Missouri Botanical Garden
　Incarvillea delavayi 　 2) Flora of China
　Incarvillea 　 3) GRIN
　Incarvillea 　 4）Bhutan Biodiversity Portal
　Incarvillea himalayensis Grey-Wilson