ハマゼリ 浜芹

mark

Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae  ハマゼリ属

別 名 ハマニンジン
中国名 滨蛇床 bin she chuang
学 名 Cnidium japonicum Miq.
ハマゼリの花
ハマゼリの葉表
ハマゼリの葉裏
ハマゼリの芽
ハマゼリ
ハマゼリ葉
ハマゼリ果実
花 期 8~9月
高 さ 15~20cm
生活型 多年草または2年草
生育場所 海岸の砂地
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国(遼寧省)
撮 影 渥美半島  05.9.13
多年草または2年草、高さ15~20cm。直根は長く、長さ5~13㎝、または紡錘形、太さ約8mm。茎は数本。根生葉の葉柄は長さ1~5(~7)㎝。葉身は長円状楕円形、長さ5~6㎝×幅2~3㎝、1~2回羽状複葉。羽片は3~4対。最終裂片は倒披針形または倒卵形、長さ5~8(~10)mm×幅1.5~4mm。散形花序は直径1~2cm。苞は4~5(~8)個、線形、長さ3~5mm。 大散形花序の枝は6~9本、長さ1~2㎝、不等長。小苞は4~5(~10)個、線形、長さ2~4mm、花柄の長さにほぼ等しく、縁は硬い膜質。小散形花序は花が8~10個。果実はほぼ球形、長さ2~3.5mm×幅2~3.5mm。側隆条は背隆条よりわずかに幅が広い。種子の表面は平坦。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=20。

ハマゼリ属

  family Apiaceae - genus Cnidium

 多年草または2年草、まれに1年生。茎は普通、1本、ときに数本、枝は細い。 根生葉と下部の葉は2~3回羽状複葉または1~2回羽状複葉。最終裂片は、倒卵形、線状披針形、または線形。 上部の葉は、削減され、小さく、広がった鞘に無柄でつく。複散形花序は、頂生および側生。苞は数個、普通、宿存し、線形~披針形、まれに早落性。大散形花序の枝(ray)は6~15(~20)本。小苞は数個、線形。萼歯は普通、廃れ、ときに小さい。花弁は白色または帯ピンク色、基部はくさび形、先はノッチがあり、小裂片が狭く内曲する。柱下体(stylopodium)は円錐形または低円錐形。花柱は柱下体よりも長く、花後に後屈する。果実は長円状卵形またはほぼ球形、背側がわずかに扁平。隆条は5小、幅の狭いコルク質の翼がある。側隆条は他より少し広いか、またはほぼ等しい。油管(vittae)は各溝に1個合成面(commissure)に2個。種子は表面が平坦、まれに凹面。分果柄(carpophore)は2分岐。
 世界に6~8種あり、アジア、ヨーロッパに分布し、中国に5種(1種は固有種)ある。

ハマゼリ属の主な種と園芸品種

1 Cnidium dauricum (Jacq.) Fisch. et C.A.Mey. ダフリアゼリ
  synonym Laserpitium dauricum Jacquin
 朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安蛇床 xing an she chuang。別名はタニセリモドキ。標高500~2000mの河岸の湿った草地または牧草地に生える。
 多年草、高さ80~100cm。直根はやや太い。 茎は1本、直立し、条線がある。根生葉と下部の葉は葉柄が長さ5~15㎝。葉身は卵状三角形、長さ10~20㎝×幅7~15㎝、2~3回羽状複葉。最終裂片は卵状披針形~披針形、長さ5~15×幅2~3mm。 散形花序は直径5~8cm。 苞は6~8個、披針形、長さ5~15mm、縁は広く白色の膜質。大散形花序の枝は10~20本、長さ2~4㎝、不等長。 小苞は4~7(~9)個、長円形または長円状卵形、花柄の長さとほぼ同長またはそれより長く、縁は広く白色の膜質で、先は尖頭形。 小散形花序は花が10~20個。花柄は長さ5~8mm。萼歯は廃れる。柱下体は円錐形。果実は長円状卵形、長さ3~5mm×幅2~3mm。隆条はほぼ同長。種子は表面が平坦。花期は7~8月。果期は8~9月。

2 Cnidium japonicum Miq. ハマゼリ 浜芹
  synonym Angelica takesimana Nakai
  日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(遼寧省)原産。中国名は滨蛇床 bin she chuang。別名はハマニンジン。海岸の砂地に生える
 多年草または2年草、高さ15~20cm。直根は長く、長さ5~13㎝、または紡錘形、太さ約8mm。茎は数本。根生葉の葉柄は長さ1~5(~7)㎝。葉身は長円状楕円形、長さ5~6㎝×幅2~3㎝、1~2回羽状複葉。羽片は3~4対。最終裂片は倒披針形または倒卵形、長さ5~8(~10)mm×幅1.5~4mm。散形花序は直径1~2cm。苞は4~5(~8)個、線形、長さ3~5mm。 大散形花序の枝は6~9本、長さ1~2㎝、不等長。小苞は4~5(~10)個、線形、長さ2~4mm、花柄の長さにほぼ等しく、縁は硬い膜質。小散形花序は花が8~10個。果実はほぼ球形、長さ2~3.5mm×幅2~3.5mm。側隆条は背隆条よりわずかに幅が広い。種子の表面は平坦。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=20。

3 Cnidium monnieri (L.) Cusson オカゼリ 丘芹
 韓国、中国全土、台湾、モンゴル、ロシア、インド、ラオス、ベトナム、ヨーロッパ原産。中国名は蛇床 she chuang。別名はジャショウシ。河川沿いの草原、畑の縁に生える。北アメリカに帰化している。
植物は一年生で、長さ10~60(~80)cm。主根は太さ2~3mm。茎は単生、条線があり、鱗片がある。下部の葉柄は3~8cm。葉身は卵形披針形、長さ3~8 × 幅2~5cm、2~3羽状。最終節は線状から線状披針形、長さ3~10 × 幅1~1.5mm、葉脈と縁は鱗片状。散形花序は径2~3(~5)cm。苞葉は6~10個、線状から線状披針形、長さ2~3mm、生残し、縁は狭く白色の膜状で、非常に微細な繊毛がある。舌状花序は8~20(~30)mm、長さ5~20mm、不等。苞葉は5~9個、線状で、ほぼ等しい小花柄、縁は繊毛がある。散形花序には15~20個の花が咲く。小花柄の長さは 3~5 mm。萼歯は退化または微細。柱頭は円錐形で、花柱は柱頭の 3~4 倍長い。果実は卵形で、1.5~3 × 1~2 mm。側肋は背肋よりわずかに広い。種子面は平面。花期は4~7月。果期は7~10月。
3-1 Cnidium monnieri var. formosanum (Y.Yabe) Kitag. カギノニンジン
 台湾原産。中国名は台湾蛇床 tai wan she chuang。果実は「社荘子」の代用品として地域的に使用される。
 高さ10~30㎝。小苞は小花柄より長い。萼歯は微細で三角形。果実はほぼ球形、長さ1~2㎜×幅1~2㎜。2n=20。
3-2 Cnidium monnieri var. monnieri
 韓国、中国全土、台湾、モンゴル、ロシア、インド、ラオス、ベトナム、ヨーロッパ原産。中国名は蛇床 she chuang。河畔の草原、畑の縁に生える。伝統的な中国の薬草であり、果実は「社荘子」として使用される。
 高さ10~80㎝。小苞は小花柄とほぼ同じ長さ。萼歯は退化している。果実は卵形、長さ1.5~3㎜×幅1~2㎜。

4 Cnidium salinum Turcz. モウコゼリ 蒙古芹
 中国(甘粛省、河北省、黒龍江省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、青海省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は碱蛇床 jian she chuang。湿地、湿った牧草地に生える。
 多年草または2年草、高さ20~50(~70)㎝。根は太さ3~6㎜、節は時に膨らむ。茎は単生、条線がある。根生葉および下部の葉の葉柄は長さ5~10㎝。葉身は長円形、長さ6~12㎝×幅3~10㎝、2~3回羽状複葉、稀に1~2回羽状複葉、最終裂片は線状披針形または鎌形、長さ5~30㎜×幅1.5~3㎜、縁はわずかに反り返る。散形花序は直径3~6cm。苞は脱落性またはときに1個残存し、線形。大散形花序の柄(rays)は(6~)10~15本、不揃いで、内側がわずかにザラつく。小苞は4~6本、線形、小花柄より長く、縁は狭く膜質になり、わずかにザラつき、縁毛はない。花弁は白色またはピンク色。柱下体(stylopodium)は低い円錐形。花柱は柱下体より2~3倍長く、反り返る。果実は長円形~卵形、長さ2.5~3㎜×幅約1.5㎜。種子は面が平らかわずかに凹む。花期は7~8月。果期は8~9月。

参考

1) Flora of China
 Cnidium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107435
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Cnidium
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30087062-2
3) World Flora Online
 Cnidium
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000008698