スベリヒユ科モンティオプシス属の観賞用の栽培種。学名は以前は マツゲボタン(カランドリニア)属Calandriniaとされていたが、現在では モンティオプシス属に変えられている。
　常緑多年草、小型、高さ5～20㎝、葉は主に基部に集まってつき、無柄、葉身は単葉、多肉質、線形～線状披針形、長さ1～2(4)㎝×幅1～2㎜、灰緑色、白色の長毛が目立つ。花茎は直立し、小数の長さ約5㎜の小さな茎葉が離れて互生する。花序は茎の頂部、上部の葉腋に小型の散形花序が数個つき、散房花序状に花が多数、上向きにつく。花柄は長さ3～15㎜。花はマツバボタンに似た杯形、濃ピンク色～マゼンタ色、直径1.5～2㎝。咢片は2個、卵形、長さ約4㎜、無毛又は羊毛状の毛があり、赤色を帯び、ときにわずかに斑点がある。花弁は5個。雄しべは多数。花糸は赤色。花柱は1個、柱頭は3分岐。種子は腎形、長さ5～8㎜、褐色、光沢がある。花期は4～7月（春～夏）。

モンティオプシス属

　family　 Portulacaceae －　genus　 Montiopsis

　しばしば多肉質の1年草又は多年草又は亜低木。葉は互生又は対生、腺は有又は無、毛状突起は有又は無（subgen. Dianthoideaeは無毛）。托葉は硬く又は刺毛状。花は放射相称、両性、単生又は集散花序又は総状花序に様々につく。咢片は2(又は5)個、卵形～半円形、覆瓦状（縁が重なり）、分離。花弁は3～9個、覆瓦状、分離又は基部が合着し、すぐに垂れる。子房は上位、3室。雄しべは3～30本。花柱は短く、柱頭は3裂。蒴果は3バルブ、裂開する。種子は6～10個、胚は内向きに曲がる。
　世界に18種あり、ほとんど南アメリカに分布し、ウズベキスタンに1種分布する。
　基準種　：　Montiopsis boliviana Kuntze.=Montiopsis cumingii (Hook. & Arn.) D.I. Ford.

【モンティオプシス属の種】
Montiopsis andicola (Gillies) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]　
Montiopsis berteroana (Phil.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis capitata (Hook. & Arn.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis cistiflora (Gillies ex Arn.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis copiapina (Phil.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis cumingii (Hooker & Arnott) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ、ボリビア、ペルー]
Montiopsis demissa (Phil.) D. I. Ford 　[チリ]
Montiopsis gayana (Barneoud) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis gilliesii (Hook. & Arn.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis glomerata (Phil.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis modesta (Phil.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis parviflora (Phil.) D. I. Ford 　[チリ]
Montiopsis polycarpoides (Phil.) I. Peralta 　[アルゼンチン、チリ、ボリビア]
Montiopsis potentilloides (Barneoud) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ]
Montiopsis ramosissima (Hook. & Arn.) D. I. Ford 　[チリ]
Montiopsis sericea (Hook. & Arn.) D. I. Ford 　[チリ]
Montiopsis trifida (Hook. & Arn.) D. I. Ford 　[チリ]
Montiopsis umbellata (Ruiz & Pav.) D. I. Ford 　[アルゼンチン、チリ、ウズベキスタン]

モンティオプシス属の主な種と園芸品種

1 Montiopsis umbellata (Ruiz & Pav.) D. I. Ford ハイマツゲボタン　這睫毛牡丹
　　synonym　Calandrinia umbellata (Ruiz & Pav.) DC.　[YList] [The Plant List], [Kewscience]
　　synonym　 Calandrinia gilliesii Hook. & Arn 　[参考2]
　　synonym　Calandrinia chubutensis Speg
　　synonym　Calandrinia hispida Phil.
　　synonym　Calandrinia phalacra Phil.
　　synonym　Calandrinia sanfurgii Phil.
　　synonym　Calandriniopsis umbellata (Ruiz & Pav.) E.Franz
　　synonym　Talinum umbellatum Ruiz & Pav.
　アルゼンチン、チリ、ウズベキスタン原産。英名はrock-purslane , rock purslane。別名は笠咲七弦草。
　常緑多年草、小型、高さ5～20㎝、葉は主に基部に集まってつき、無柄、葉身は単葉、多肉質、線形～線状披針形、長さ1～2(4)㎝×幅1～2㎜、灰緑色、白色の長毛が目立つ。花茎は直立し、小数の長さ約5㎜の小さな茎葉が互生する。花序は茎の頂部、上部の葉腋に小型の散形花序が数個つき、散房花序状に花が多数、上向きにつく。花柄は長さ3～15㎜。花はマツバボタンに似た杯形、濃ピンク色～マゼンタ色、直径1.5～2㎝。咢片は2個、卵形、長さ約4㎜、無毛又は羊毛状の毛がある。花弁は5個。雄しべは多数。花柱は1個、柱頭は3分岐。種子は腎形、長さ5～8㎜、褐色、光沢がある。花期は4～7月（春～夏）。
品種)　'Amaranth' ,'ミルキーピンク' , 'Redmaids' , 'リトルバタフライ' , 'Ruby Tuesday'

マツゲボタン(カランドリニア)属

　family　 Portulacaceae －　genus　 Calandrinia

　1年草、根茎や匍匐枝は無い。茎は平伏～直立、分枝する。節は無毛。葉は互生、基部に関節は無く、やや～顕著に茎を抱き、接続点は線形。葉身は線形～倒線形、～卵形～へら形、平らになり、無毛又は長い単細胞の毛をもつ。花序は総状花序、やや～顕著に2番目の花序があり（少なくとも上部で）、長く、苞がある。苞は葉状。花は花柄があり、咢片は果時に宿存し、覆瓦状、緑色、角（かど）や竜骨が目立ち、卵形、草質、無毛又は長い単細胞の毛がある。花弁は普通5個、赤色、雄しべは3～15個、普通、花弁に対生し、花弁につかない。胚珠は6個～多数。花柱は有る。柱頭は3個。蒴果は3バルブ、縦に先から裂開する。バルブは脱落性ではなく、裂開後に後屈;し、縁は顕著に内巻する。内果皮と外果皮は分離しない。種子は10～20個、黒色、ほぼ楕円形、網目又はこぶがあり、30倍で見え、無毛、種沈は無い。x = 12。
　世界に14種あり、温帯のアメリカに分布し、南アメリカ西部に多い。(Flora of North America)

マツゲボタン属の主な種と園芸品種

1 Calandrinia breweri S. Watson
　メキシコ、USA(カリフォルニア州)原産。英名はBrewer's calandrinia , Brewer's redmaids
　1年草、茎は平伏又は斜上、高さ10～45㎝。葉身はほぼ卵形～へら形、長さ2～8㎝、無毛。咢片は長さ4～6㎜。花弁は長さ3～5㎜。雄しべは3～6個。花柄は普通、果時に曲がり、長さ6～20㎝。蒴果は普通、

2 Calandrinia ciliata (Ruiz & Pavon) de Candolle 　マツゲボタン　睫毛牡丹
　北アメリカ、南アメリカ原産。英名はfringed redmaids , red-maids.。
　茎は 平伏又は斜上、高さ3～40㎝。葉身は線形～倒披針形、長さ1～10㎝、無毛又は長い単細胞の毛をもつ。咢片は長さ2.5～8㎜。花弁は紫色、長さ4～15㎜。雄しべは3～15本。花柄は果時にほぼ真っすぐ、長さ0.4～2.5㎝。蒴果は普通、咢を3+㎜まで超えない。種子は10～20個、幅1～2.5㎜、30倍で見える細かい網目がある。花期は春。

3 ハイブリッド
品種)　 'Neon' , 'Shining Pink'

シスタンセ属と園芸品種

　family　 Portulacaceae －　genus　 Cistanthe

　1年草又は多年草、多肉、無毛、てい幹をもち、根茎や匍匐枝は無い。根は肉質及び/又はひげ根又は直根。茎は傾伏～直立、単純又は分枝し、節は無毛。葉は根生葉と茎葉、無毛、基部に関節は無く、やや～顕著に茎を抱き、接続点は線形。根生葉はロゼットになる。茎葉は互生（C. umbellata と C. tweedyiでは普通無い）。花序は腋生、小散形花序、円錐花序、又は集散花序、ときにサソリ形や2次花序があり、疎～密に、花は1個～多数つき、葉や小苞があり、苞は（1～）2個、花を抱き、顕著に不等長。花は小花柄があるか又はほぼ無柄。咢片は宿存し分離し、竜骨や角（かど）は無く、しばしば、不等長、草質～薄膜質、無毛。花弁は2～9(～12)個、分離。雄しべは1～23本。胚珠は1～多数。花柱は有又は無。柱頭は2～3個。蒴果は2～3バルブ、先から胞背裂開し、バルブは脱落しない(横周裂開し、3～4バルブ基部から割れるC. tweedyiを除く)、縁は裂開後に後屈せず、縁は顕著に内巻しない。種子は1～40個、暗褐赤色、鈍い灰色、又は黒色、普通、楕円形～円形、ときに円状腎形、鈍く又は光沢があり、平滑又は彫刻され、ときに有毛、C. maritima や C. tweedyiには種沈がある。x = 22, 23。
　世界に約 35種あり、北アメリカ、南アメリカに分布する。

シスタンセ属の主な種

1 Cistanthe grandiflora (Lindl.) Schltdl. タイリンマツゲボタン　[The Plant List], [Kewscience]
　　synonym　　Calandrinia grandiflora Lindl.　　 [YList]
　　synonym　　Calandrinia discolor Schrad
　　synonym　　Calandrinia elegans H. Vilm.
　チリ原産。英名はrock purslane。別名はアンデスマツバボタン
　多年草又は亜低木、高さ20～40（50～90）㎝、枝は斜上又は直立、分枝し、灰緑色、ときに赤色を帯び、下部に葉がつく。根生葉はロゼットになり、葉柄があり、長さ5～16㎝、ときに肉質、基部は楔形、先は尖り、灰緑色、無毛。茎葉は互生し、葉柄は短～無、小さい。花序は頂生の総状花序。苞は卵形長さ1～3㎝。咢片は2個、宿存し、長さ6～12㎜、緑色～帯ピンク色、暗色の斑点がある。花弁は普通、5個、卵形～浅い心形、長さ25㎜以下、ピンク色～赤色。雄しべは多数。花糸は赤色。蒴果は長さ約13㎜。花期は春～夏。
品種)　'Jazz Time'

参考

1) Flora of North America
　Calandrinia 　 　Calandrinia ciliata 　 2) Montiopsis - Plantes et botanique
　Le genre Montiopsis 　 　Le genre Calandrinia 　 　Montiopsis 　 4）Plants of the World Online | Kew Science
　Montiopsis 　 5) Alpine Garden Society
　Calandrinia umbellata 　 6) Phytoneuron 2019-27: 1-77. Published 6 May 2019.
　SYSTEMATICS, EVOLUTION, AND PHYLOGEOGRAPHY OF MONTIACEAE (PORTULACINEAE) 　 7) CISTANTHE GRANDIFLORA (Lindl.) Schltdl. | BOTANY.cz
　CISTANTHE GRANDIFLORA (Lindl.) Schltdl.