ゴボウはキク科ゴボウ属の根菜。日本へは平安時代に中国から薬草として伝わったとも言われ、外来種とされていたが、縄文時代の複数の遺跡から種子などが発見されている。日本では自生のゴボウは発見されておらず、古い時代の朝鮮からの外来種と考えられている。ゴボウを食用とするのは日本と朝鮮だけであり、中国では薬用としている。
　2年草、高さ2m以下。茎は紫色を帯び、直立、丈夫、上部で分枝し、まばらにクモ毛があり、枝は斜上する。葉は下面が灰白色又は淡緑色で薄いフェルト状、上面は緑色まばらに剛毛があり、黄色の腺点がある。根生葉は葉柄が長さ約32㎝以下。葉身は心形、約・長さ30㎝×幅21㎝、縁は全縁で、さざ波状～微刺突起状。茎葉は根生葉に似るか又は卵形、最上部の茎葉は卵形～浅い心形、小さい。頭花は少数～多数、ほぼ散房花序状につく。総苞は卵形、直径1.5～2㎝、細かい腺毛を除き無毛。総苞片は全て先が鈎状。外総苞は三角形～披針状錐形、約・長さ15mm×幅1㎜。中及び内総苞片は披針形～線状錐形、長さ約15㎜×幅1.5～3mm。花冠は紫赤色、長さ約1.4㎝、花冠筒部は長さ約8mm。痩果は淡褐色、暗褐色又は同色の斑が入り、狭く、ときに斜めの倒卵形、長さ5～7㎜、多数の条線がある。冠毛は剛毛、長さ3.5mm以下。花期と果期は6～9月。2n=18, 34, 36。

ゴボウ属

　 family　Asteraceae － genus Arctium

　2年草又は多年草。葉は単葉、縁はまばらに小歯があるかほぼ全縁。頭花は多数つき、無毛又はクモ毛がある。花序は散房花序又は総状花序又は円錐花序の合成花序。総苞片は狭く、細い鈎状の刺がある。雄しべはパピラがある。葯はほぼ全縁～不規則に裂けた付属体が基部にある。花柱の枝は線形。痩果は倒卵形～狭楕円形、側部が扁平、しわがあり、条線又はうねがあり、先には不明瞭な縁取りがある。冠毛は剛毛が3列につく、外側の剛毛はごく短い。英名はburdock。
　世界に約11種があり、北アフリカ、アジア、ヨーロッパに分布する。

ゴボウ属の主な種と園芸品種

1 Arctium lappa L.　 ゴボウ　牛蒡
　日本(栽培)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、パキスタン、東ヒマラヤ、西ヒマラヤ、ネパール、チベット、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は牛蒡 niu bang。英名はedible burdock , greater burdock , great burdock , beggar's buttons , vegetable burdock。日本の自生は発見されず、外来種といわれてきたが、縄文時代の遺跡から種子が発見されている。
　2年草、高さ2m以下。茎は紫色を帯び、直立、丈夫、上部で分枝し、まばらにクモ毛があり、枝は斜上する。葉は下面が灰白色又は淡緑色で薄いフェルト状、上面は緑色まばらに剛毛があり、黄色の腺点がある。根生葉は葉柄が長さ約32㎝以下。葉身は心形、約・長さ30㎝×幅21㎝、縁は全縁で、さざ波状～微刺突起状。茎葉は根生葉に似るか又は卵形、最上部の茎葉は卵形～浅い心形、小さい。頭花は少数～多数、ほぼ散房花序状につく。総苞は卵形、直径1.5～2㎝、細かい腺毛を除き無毛。総苞片は全て先が鈎状。外総苞は三角形～披針状錐形、約・長さ15mm×幅1㎜。中及び内総苞片は披針形～線状錐形、長さ約15㎜×幅1.5～3mm。花冠は紫赤色、長さ約1.4㎝、花冠筒部は長さ約8mm。痩果は淡褐色、暗褐色又は同色の斑が入り、狭く、ときに斜めの倒卵形、長さ5～7㎜、多数の条線がある。冠毛は剛毛、長さ3.5mm以下。花期と果期は6～9月。2n=18, 34, 36。
品種)　アサヒ魁白肌 , 'Chiko' , 'Ha Gobo' 葉ゴボウ , 'Kobaruto-gokuwase' , 改良魁大長白 , 'Kobaruto-okute' , 'Kobaruto-wase' , 薫風 , 直輝 , 'Nuda' (PBR) , サラダむすめ(R) , 'Shirohada' , 'Takinogawa' 滝野川ゴボウ , 'Takinogawa Long' , 堀川ゴボウ , 大作 , 大浦ゴボウ , 'Tegaru' , 常豊 , 梅田ゴボウ , 'Tsuneyutaka' , 美肌 , みとよ白肌 , 柳川中生 , 柳川理想 , 山田早生 , 'Watanabe Early'

1 Arctium minus (Hill) Bernh.　 ヒメゴボウ　姫牛蒡
　ヨーロッパ、西南アジア、北アフリカ原産。英名はlesser burdock , common burdock , little burdock , louse-bur, button-bur , cuckoo-button , wild rhubarb。オーストラリア、アメリカなどに帰化。
　高さ50～300㎝。根生葉は葉柄が中空(ときに基部だけ)、長さ15～50㎝、薄く～密にクモ毛がある。葉身は長さ30～60㎝×幅15～35㎝、縁は粗い歯があるか又はほぼ全縁 (まれに深く裂け)、下面に±薄く灰色の綿毛があり、上面は緑色、まばらに短毛がある。頭花は総状花序状又は円錐花序状に束生し、花序柄は無又は有。花序柄は長さ0～9.5㎝。総苞は直径15～40mm。総苞片は線形～線状披針形、無毛～密にクモ毛があり、内総苞片はしばしば紫色を帯び、縁にはしばしば細かい鋸歯があり、腺毛と微軟毛がある。小花は30+個。花冠は紫色、ピンク色、又は白色、長さ7.5～12mm、無毛又は拡大部に腺のある微軟毛がある。痩果は暗褐色又は暗色の斑点をもち、長さ5～8㎜。冠毛は剛毛、長さ1～3.5mm。2n=32 (ドイツ)、36 (as A. nemorosum)、花期は7～9月。
品種)　'Plus'

1 Arctium tomentosum Mill.　ワタゲゴボウ　綿毛牛蒡
　中国、カザフスタン、キルギスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタン、ヨーロッパ原産。中国名は毛头牛蒡 mao tou niu bang。英名はwoolly burdock。
　2年草、高さ2m以下。茎は直立、分枝し、まばらにクモ毛があり、枝は斜上する。葉は下面が灰白色、密にフェルト状。上面は緑色、無毛。根生葉は葉柄がある。葉身は心形、長さ25～50㎝×幅10～30㎝、縁にはまばらに小歯があり、歯は小刺又は微小突起状、先は鋭形～鈍形で微小突起がある。茎葉は根生葉に似る。最上部の茎葉は無柄、卵形～卵状楕円形。頭花は少数～多数、±散房花序状につく。総苞は卵形、直径1.5～2㎝、±密にクモ毛がある。外総苞片は錐形、三角状錐形～披針形、約・長さ6㎜×幅1㎜。中総苞片は線状錐形、長さ10～14㎜ ×幅約2㎜、すべての先に鈎がある。内総苞片は披針形～線状披針形、先は尖鋭形。花冠は紫赤色、長さ0.9～1.2㎝、花冠筒部は長さ4.5～6㎜。痩果は淡褐色、暗褐色の斑があり、狭倒卵形、長さ約5.6㎜, multistriate. 冠毛は剛毛、淡褐色, 長さ約3㎜。花期と果期は6～9月。

参考

1) Flora of China
　Arctium 2) Flora of North Amerioca
　Arctium minus 3) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
　Arctium minus