グラジオラス

Flora of Mikawa
アヤメ科 Iridaceae グラジオラス属
別 名 | グラジオラス・グランディフローラ・ハイブリッド、トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲) |
中国名 | 剑兰 jian lan |
英 名 | gladiolus , gladioli , sword lily |
学 名 | Gladiolus Grandiflora hybrid synonym Gladiolus hybrid synonym Gladiolus × hortulanus L.H.Bailey |









花 期 | 6~10月 |
高 さ | 50~90(150)㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 園芸種 |
分 布 | 外来種 ヨーロッパ、南西アジア、アフリカ、マダガスカル原産 |
撮 影 | 西尾市 16.6.27 |
花茎は穂状花序を含め、高さ90~180cm。花は直立する穂状花序に密につき、漏斗形、幅10~15cm、1本の茎に最大30個、花色は多彩。一般的な庭園で育てるのが最も難しいグループとされている。まれに野生化する強健なものもある。夏~秋咲きで、主に夏咲き。
グラジオラス属には多数の種があり、花の形や色も様々であり、栽培されるものも多い。最近では、春咲きの多彩なハイブリッドも栽培されるようになってきた。
グラジオラス属
family Iridaceae - genus Gladiolus多年草。球茎(corm)がある。茎は単一又は分枝する。葉は1~9枚つき、葉身は披針形~線形、平ら又は縁や中肋が様々に持ち上がり、厚くなり、(断面でH-又は X-形)、又は明瞭な円柱形で中肋と縁が非常に厚くなり、溝ができる。溝は4本、縦で狭い。花序は穂状花序、花のつき方は1列、ジグザグ、2列、不整につき、部分的~全体的に偏側生(secund)又は花が弱い対生につく。苞(仏炎苞)は2個、緑色、ときに灰紫色を帯び、不等長、外側の苞は内側の苞より普通、長く、鋭形、又は内側の苞は先が二又又は凹形。花はときに芳香があり、左右相称 [または放射相称]、花を正面から見ると、三角形、星形、または円形となる。花被片は6個(内花被片3個、外花被片3個)基部で合着して筒部になり、色は様々、普通、側生内花被の上に花蜜のガイド(蜜標)を備え、コントラストの強いマーク(斑紋)があり、不等長、背面の花被片(中央内花被片)が最も大きく、雄しべをアーチ状~フード状に被い[または被わない]、下側の3個の花被片は狭い。花被筒部は斜めの漏斗形~円筒形。雄しべは3本、普通、片側のみにつく。葯は普通、平行。花柱は雄しべをアーチ状に超え、糸状の3枝に分かれ、先が広がる。蒴果は普通、わずかに膨れ、長楕円形~楕円形~球形 [まれに円柱近くになり]、柔らかい軟骨質。種子は普通、多数、広い翼があり、球形又は角形、種皮は淡褐色~暗褐色。x=15。2n=30(2倍体)~180(12倍体)。(Flora of North America)
世界に約260種(アメリカに自生は4種)があり、ヨーロッパ、南西アジア、アフリカ、マダガスカルに分布し、南アフリカの特にケープ州に多数の種がある。世界中で栽培されている。属名は、葉の形を暗示するラテン語の「小さな剣」に由来する。この植物はsword lilyと呼ばれることもあるが、一般的にはラテン語の複数形であるgladioliまたは短縮型のglad.が用いられる。
グラジオラス属の主な種と園芸品種
1 Gladiolus abbreviatus Andrews グラジオラス・アブレヴィアトゥス南アフリカ(ケープ州)原産。レノスターフェルトの粘土質斜面に生える。
冬~春咲き。X字形の葉身を持つ長い下部の葉と、長さ40~52mmの二形性花被筒を持つ斜めの筒状花で識別される。上側の側花被片は背花被片の約半分の大きさで、下側の花被片は長さ3~6mmの小さな三角形の鱗片に縮小する。
高さ30~65cm。球茎は球状倒円錐形、直径10~12mm、薄皮は軟骨質(cartilaginous)~木質、繊維状に裂ける。茎は真っすぐに直立し、分枝せず、しばしば赤色または紫色を帯びる。葉は3枚で、下側の2枚は根生し、下側の葉が最も長く、穂状花序の先に達するかわずかに越え、中心性、断面がX字形(十字形)、幅3~4mm、主葉は葉身幅の半分まで隆起し、縁はやや厚くなり、第2葉は穂先ほぼ基部まで茎を覆い、第3葉と重なり、糸状の葉身は長さ最大50mm、最上位の葉は茎の上部1/4に付き、完全に鞘に包まれ、苞状で、しばしば鈍い紫色である。穂状花序は直立し、ほぼ真っすぐ、4~6(9)個の花がつく。苞は緑灰色に暗赤色を帯び、またはオリーブグリーン色に褐色もしくはオレンジ色を帯び、外側の苞は長さ45~60(~70)mm、内側の苞ははるかに短く、鋭形または先端がわずかに切れ込む。花は長い筒形、主に赤色~オレンジ色、背側花被片は下端が褐色を帯び、淡色からほぼ透明、上側および下側の花被片は濃赤色、褐色、または緑色で芳香は無く、花被筒は長さ40~52mm、下半部は細く円筒形で斜上し、長さ17~25mm、上部は急に幅広の円筒形に広がり、長さ24~30mm、斜上し、直径5~6mmとなり、背側の花被片が最も長く、楕円形、長さ16~31mm×幅11~15mm、水平に伸び、上側の側花被片は背花被片と約3mm 結合し、卵状小突起形、長さ7~11mm、ほぼ直立し、下側の側花被片は非常に短く、三角形、長さ5~6mm、下側の中央花被片は長さ3~4mm。花糸は長さ28~44mm、花被筒から8~17mm突出する。葯は長さ8~12mm、鈍い赤色を帯びる。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3で対生し、枝は長さ4~6mm。蒴果は長円形、長さ(20~)30~38mm。種子は卵形、通常一端が細くなり、長さ6~7mm×幅約4mm、広く均一な翼を持つ。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]
2 Gladiolus alatus L. グラジオラス・アラータス
synonym Gladiolus algoensis (Herb.) Sweet
synonym Gladiolus galeatus Burm.f.
synonym Gladiolus papilionaceus Licht. ex Roem. & Schult.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はwing-flowered gladiolus, painted ladies, king kalkoentjie, kipkippie。石質砂岩または花崗岩、しばしば薄層またはローム質土壌の平地、斜面、台地、主に砂地に生育する。茎に隆起または翼があり、主にオレンジ色の大きな花を咲かせ、下側の花被片に黄緑色の斑点がある種の中で、細い稜線状のまたは波状の葉、ほぼ直立する背側の花被片、そして毛のある花糸と花柱によって区別される。グラジオラス・メリウスクルス(Gladiolus meliusculus)は栄養生長が類似するが、典型的には花がピンク色(まれにオレンジ色)、下側の花被片はより幅広い倒披針形、黄色の斑点は少なく、縁は暗赤色。花糸は短く、長さ約15mm。
高さ(8~)15~25cm。球茎は直径12~16mmの凹んだ球形、薄皮は膜質~紙質、不規則に、またはまれに繊維状に腐朽する。茎は下部で±直立し、第3葉の鞘状部より上では外側に曲がり、わずかに潰れ、少なくとも1側面に隆起~翼があり、単枝またはまれに1つの短い枝を生じ、しばしば地下の葉腋に小さな小球茎をもつ。葉は3枚または4枚(5枚)で、下部の2枚または3枚は±根生し、最下部が最も長く穂状花序の±先端まで達し、他は次第に小さくなり、狭披針形~線形または鎌形、幅2~6(~9)mm、軽く(1)2数本の稜がある~著しく波打つ、しばしば葉脈または表面に軽くザラつくパピラがあり、最上部の葉はしばしば±苞状になる。穂状花序は基部で屈曲して傾斜し、軽く屈曲し、2~5(8)花が咲く。苞は緑色で、紫色のキールと縁があり、長さ25~35mm、内側はわずかに短く、2つのキールがあり、鋭形である。花は2唇形、芳香があり、オレンジ色から緋色で、上側の花被片は直立し、下側の花被片は淡黄緑色で、先端はオレンジ色である。上側の側花被片は下半分が暗赤色の羽毛状で、花被片間の縫合部は厚くなり、虹彩色のパピラのある隆起を形成し、甘い草本の香りがある。花被筒は斜めの漏斗形、長さ10~14mm。花被片は背側が最も大きく、±直立または雄しべに向かって弱く弓状に曲がり、ときにほぼ水平になり、長さ35~40(~50)mm×幅16~25mm、縁は下部で波打ち、上側の側花被片はスペード形、長さ22~30mm、下部で短い爪状になり、長さ1~3mm、急に広がって三角形の拡大部になり、幅18~28mm、先で外向きに湾曲し、下側の3個の花被片は下部で3~5mm結合し、自由部は長さ20~26mm、下側の側花被片は狭倒披針形、下部または全体に溝が入り、先端近くで幅8~12mm、最下部は下側で狭まり基部が長さ約8mmの爪状になる、拡大部は広三角形、長さ12~18mm×幅16~19mm、下側の両方の側花被片と同じかまたは広い。花糸は強く弓状に曲がり、長さ20~26mm、筒部から±16~18mm突き出し、上部には軽微から密に、下部にも微量の毛が生える。葯は長さ6~10mm、鈍緑色~帯黄色、紫色の線が入る。花粉は帯黄色。花柱は雄しべの上に弓状に曲がり、まばらに毛があり、葯の頂端付近で分岐し、枝は長さ±5mm。蒴果は長円状楕円形、長さ18~25mm。種子は卵形~円形、長さ約8mm×幅6~8mm、広く均一な翼を持つ。[e-Flora of South Africa]。
品種) Gladiolus alatus x rogersii, Gladiolus alatus x watermeyeri
3 Gladiolus angustus L. グラジオラス・アングストゥス
synonym Gladiolus angustifolius Salisb.
synonym Gladiolus telifer Stokes
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はnarrow-leaved gladiolus, long-tubed painted lady, marsh painted lady。季節的に湿潤な場所、砂岩土壌の小川沿い、湿地に生える。
近縁種のGladiolus carneusおよびG. undulatusとは、非常に長い花被筒(長さ(45~)65~110mm)と比較的短い花被片(背側の花被片は長さ32~40mm、下側の花被片は著しく短い)の組み合わせによって区別される。大西洋岸の低地の個体群は特に長い花被筒を有す。花被筒の長さの地理的変異は、花粉媒介者である現地の長い吻を持つハエの吻長の同様の変異と関連している。
高さ0.6~1.2mで、鱗片葉には緑色または白色の不明瞭な斑点がある。球茎は±球形で、直径14~20mm、薄皮は紙質で、不規則に断片化する。茎は直立または傾向き、2枚の茎葉の鞘の上で外側に曲がり、単純または分枝する。葉は4枚または5枚つき、下部の2枚または3枚は根生し、穂状花序に達するかわずかに越え、狭披針形、幅(3~)5~10mm、主脈はやや肥厚し、縁は狭く透明、茎葉は短い。穂状花序は基部で曲がり、傾向き、弱く湾曲し、(3)5~9個の花がつく。外側の苞は長さ(30~)50~65(~)80mm、淡緑色でときに赤色を帯び、内側の苞は短く~ほぼ同長、小さく二股に分かれる。花はクリーム色~淡黄色、下部の3個の花被片には中央にスペード形の黄色の斑点があり、暗赤色で縁取られ、芳香は無い。花被筒は円筒形で、上部10mmが広がり、長さ(45~)60~110mm。花被片は披針形、背側の花被片が最大、長さ32~40mm×幅16~18mm、雄しべ上をほぼ水平に伸び、上側の側花被片は長さ28~38mm×幅10~13mm、前方に伸び、先端で外側に湾曲し、下側の3個の花被片は長さ25~30mm×幅9~10mm、前方に伸びてほぼ水平、側花被片が上側の花被片より短い。花糸は長さ17~24mm、花被筒から8~12mm 突出する。葯は長さ9~11mm、帯白色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべ上に伸び、葯の頂点のすぐ下で分岐し、枝は長さ6~8mm。蒴果は楕円形、鋭形、長さ(25~)35~40mm。種子は長さ8~9mm×幅5~6mm、幅広く均一に翼がある。 G. carneus に似ているが、花被筒は花被片よりはるかに長く、白色~クリーム色で、下側の花被片には赤い斑点がある。花期は早春~夏。[e-Flora of South Africa]。
4 Gladiolus aureus Baker グラジオラス・アウレウス
南アフリカ(ケープ州)原産。西ケープ州ケープ半島南部に極めて限定された固有種。岩の多い砂岩斜面、泥炭質土壌に生え、火災後に最もよく開花する。英名はgolden gladiolus。
重なり合う葉に毛があり、小さく鮮やかな黄色の花が特徴である。花は花被筒が漏斗形、長さ19~24mm、下部は糸状になる。花被筒とほぼ同長のほぼ同数の花被片を持ち、花糸は筒の先端まで届くか、短く突出する。
球茎性の地生植物、長さ30~50cm、絨毛のある鱗片葉がある。球茎は球形、直径12~18mm、薄皮は革質~木質、粗い木質の繊維状に断片化する。茎は直立し、上部の2枚の葉の鞘状の部分より上では曲がるが、再び直立し、分岐しない。葉は3枚で、下部の2枚は根生する。最下部の葉は通常、穂状花序をわずかに越え、下部の葉は絨毛があり、線形、幅3.0~5.5mm、数本の肋があり、縁はやや厚くなり、最上部の葉は茎の上部1/3に付き、短く、苞状で、通常、全体に溝があり、まばらに毛があるかまたは無毛である。穂状花序は±直立し、3~8個の花がつく。苞は淡緑色または鈍い赤色や褐色がかった色で、外側の苞は長さ15~22mm、内側の苞はやや短いかやや長く、先端に微細な切れ込みがある。花は細長い筒形、明るい黄色、花被筒部の上部と花被片の基部は色あせると赤みがかるが、対照的な模様はなく、無香である。花被筒は長さ19~24mm、下部は長さ10~15mmの糸状で、斜上し、苞からほとんど突出せず、上部はわずかに広がって±水平になる。花被片は倒卵形~楕円形、わずかに不等長、背側の花被片は長さ20~24mm、幅12~15mm、下部の3個の花被片は上側の側花被片に3~4mm結合し、幅20~22mm、長さ9~12mm。花糸は長さ9~12mm、花被筒部の口まで達するか、最大5mm突出し、花被片に囲まれる。葯は長さ7.5~8.8mm、クリーム色。花粉は白色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端またはすぐ先で分岐し、枝は長さ±4mmになる。蒴果は長円形で、長さ±18mm。種子は楕円形、約・長さ9mm×幅7mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]。
5 Gladiolus blommesteinii L.Bolus グラジオラス・ブロムメステイニー
synonym Gladiolus blommesteinii var. major L.Bolus
南アフリカ(ケープ州)原産。砂岩斜面に生える。主に火災後に開花する。
4枚の線形の葉は主脈と縁がわずかに太く、苞は条線または溝があり、花は漏斗形、ピンク色~藤色、花被片は披針形~細長く、通常は濃色の脈と紫色の縞模様の花蜜標識(nectar guides)を持つ。グラジオラス・ヴィルガトゥス(Gladiolus virgatus)は、花被筒がやや長く、長さ22~27mm、上部が±急激に広がり、下側の花被片にはV字型の赤い斑点がある。
高さ30~60cm。球茎は卵形、直径12~20mm、薄皮は硬く木質の層で、下部で爪状の裂片に裂ける。茎は直立し、上部の3枚の葉の鞘の上では外側に曲がり、上部は弱く傾向き、分枝しない。葉は4枚、最下部が根生し、茎の下部1/2を鞘で覆い、茎の中央と穂状花序のすぐ上の間までに達する。葉は線形、幅1.0~1.5mm、真っすぐ、縁と主脈はわずかに隆起する。上部の葉は次第に短くなり、通常長さの半分が鞘で覆われ、葉身はしばしばわずかに狭く、最上部の葉は通常第1花の中央までに達する。穂状花序は傾向き、(1)2~4個の花がつく。苞は緑色~暗灰緑色、先端は脈に沿って隆起し、外側の苞は長さ20~36mm、内側の苞は短く、先端で短く二股に分かれる。花は2唇形、淡藤ピンク色~淡い青藤色、下側の花被片は下面が黄色で、脈に沿って暗赤色、青色、または紫色の縞または線があり、喉部には赤い斑点と縞があり、わずかに甘い香りがある。花被筒は斜めで狭い漏斗形、長さ13~24mm、下部の円筒形部分は長さ7~13mm、下部は苞に囲まれ、上部は外側の苞の先端付近まで達する。花被片は披針形、背側が最も大きく、長さ28~44mm、幅14~20mm、斜上する。上側の側花被片はほぼ同長さかやや短く、やや幅が狭く、やや斜上する。下側の個の花被片は上側の側花被片と4~6mm合着し、互いに2~3mm合着し、合着点に通常短い歯があり、狭披針形、下部には顕著な爪部はなく、自由部分は長さ20~35mm、幅8~10mm、上半分が外側に曲がる。花糸は長さ12~14mm、花被筒から2~6mm突出するが、花に含まれる。葯は長さ8~11mm、帯白色。花粉は淡灰色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3で反対側に分岐し、枝は長さ3~4mm。蒴果および種子は不明。花期は8~10月(春咲き)。
6 Gladiolus brevifolius Jacq. グラジオラス・ブレビフォリウス
synonym Watsonia amoena Pers.
synonym Gladiolus amoenus Roem. & Schult.
synonym Gladiolus tristis var. aphyllus Thunb.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はMarch pypie, Autumn pipes。様々な土壌の石質の平地および砂岩および頁岩の斜面に生える。
花茎に短い葉のない鞘と、比較的小型で通常は芳香の無いピンク色~藤色の花が咲くことで識別される。花は短い花被筒を持ち、長さ11~13mmである。冬季に単生する線状披針形で毛のある栄養葉は特徴的なので、確実な同定のためには前シーズンの乾燥した残骸の確認が必要。これらの残骸がない場合、本種は、粗い繊維質の球茎の薄皮によって、外見が類似する小花で葉のない他種と区別するのが最も効果的である。本種は、開花期に、典型的には深い砂地に生息するグラジオラス・マートレイ(Gladiolus martleyi)と最もよく混同される。グラジオラス・マートレイは、花はほぼ同一であるが通常は芳香があり、柔らかく肉質の球茎は膜質または微細繊維質の薄皮を持ちつ。グラジオラス・マートレイの晩期に発達する円錐形で4溝の葉は、グラジオラス・ブレビフォリウスの葉とは全く異なる。
高さ(12~)25~55(~85)cm。鱗片葉は通常乾燥し、鈍い紫色、葉脈上に微細な毛がある。球茎は球形、直径18~35mm、薄皮(tunics)は革質、かなり粗い繊維に崩壊し、下部はより太くなることが多い。茎は最上部の葉鞘の上で外側に軽く屈曲し、分枝しない。葉は(1)3枚、重なり合わず、長さ40~70mm、大部分がまたは完全に鞘状で、まれに長さ40mm以下の短い葉身を持ち、線形、平滑またはまばらに短毛がある。普通葉(foliage leaf)は独立した枝に。季節の後半に生じ、単生し、線形~狭披針形、毛があり(まれに無毛)、乾燥して花時に枯れるか、または欠落する。穂状花序はわずかに傾向き、軽く湾曲し、8~12(16)個の花がつく。苞は灰緑色、紫色がかった色調で、長さ(15~)18~22mm、内側の苞は外側の苞よりわずかに短く、先端にノッチがある。花は2唇形、淡ピンク色~濃ピンク色、ときにクリーム色、明るい藤色または緑灰色(~褐色または灰色)、花被片は普通先端が濃くなり、下側の花被片は黄色の横縞(~斑点)から不明瞭な中央の帯があり、ときに縁取りが濃いピンク色になりまたは中央に暗い条線があり、花被片が淡色の場合、芳香が無いかまたは強い甘いバラの香りがある。花被筒は斜めの漏斗形、長さ11~13mm、下部は狭まり長さ6~7mm。花被片は披針形、背側の花被片が最も大きく、長さ19~29mm×幅10~20mm、上側の側花被片は長さ14~25mm×幅8~15mm、下側の花被片は上側の側花被片と2~5mm結合し、互いに2.0~3.5mm結合し、自由部分は長さ12~22mm×幅5~6mm。花糸は長さ10~15mm、花被筒から7~9mm突出するが、花被片に囲まれている。葯は長さ(4~)6~8mm、クリーム色。花粉は淡黄色。花柱は葯の先端またはそのすぐ先で散開し、枝は長さ約3mm。蒴果は楕円形、長さ16~22mm。種子は楕円形、長さ7~8×幅約4mm、広く均一な翼を有する。花期は秋(北半球で10月)。[e-Flora of South Africa]。
品種) Gladiolus brevifolius x guthriei
7 Gladiolus bullatus Thunb. ex G.J.Lewis グラジオラス・ブラートゥス
synonym Gladiolus spathaceus Pappe ex Baker
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はCaledon Bluebell, Caledon bell, Bullate Sword Lily。フィンボスの南向きの砂岩斜面、まれに石灰岩斜面に生える。
冬~春咲き。4枚(稀に3枚)の線形葉は重なり合い、基部は茎の先端近くまで完全に覆い、細長くて肋骨のある苞葉と、1~2個の大きな鐘形の青い花が特徴で、花被筒は短く鋭く曲がり、長さ10~16mm。下側の花被片には、黄色の側面斑、または紫色の縁取りのある黄色の横縞が入る。
地生植物、高さ45~100cm。鱗片葉はわずかに軟毛がある。球茎は卵形、直径10~20mm、薄皮は硬い木質で通常、下部で厚い爪状の肋に裂ける。茎は直立し、ほぼ真っ直ぐで、上部の3枚の葉の鞘の上と穂状花序の基部で外側に軽く屈曲し、分岐しない。葉は(3)4枚で、最下部は茎のほぼ中央まで達し、通常、大部分が鞘状、線形、幅は約2mm、主脈は著しく肥厚し、縁はわずかに肥厚し、そのため断面は楕円形で各面に2つの狭い溝がある。上部の葉は次第に短くなり、大部分が鞘状で、すべての葉の鞘は重なり合う。穂状花序は傾向き、1個または2個の花がつく。苞は褐紫色~灰色、漸尖し、脈に沿って軽く隆起し、外側の苞は長さ30~37(~70)mm、内側の苞は同様だが短い。花は膨らんだ鐘形、しばしばわずかに扁平になり、青色~紫色、上側の花被片の裏面はより暗色で、内部は帯白色、下側の花被片の下半部はわずかに紫色の斑点があり、下側の側花被片には縁に黄色の斑紋または上部3分の1に横縞があり、最下部には黄色の中央の条線があり、香りはない。花被筒は長さ10~16mm、斜めの漏斗形、膝状、直立し、下部は長さ5~8mmの円筒形、中央で直角に曲がり、急に広がる。花被片は上側の花被片が広倒卵形、下側の花被片が倒披針形、背側が最も大きく、雄しべの上方に水平に伸び、長さ25~35mm×幅20~28mm、上側の側花被片はわずかに短く、先がわずかに外側に湾曲し、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と4~10mm合着し、互いに約2mm合着し、側花被片は長さ20~32mm×幅10~18mm、カップ形で先が前方を向き、下側の中央花被片はわずかに短く、長さ18~22mm×幅12~16mm。花糸は長さ12~14mm、花被筒から3~6mm突出する。葯は長さ7~10mm、背側花被片の中央まで達し、白色~灰青色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上を弓状に伸び、葯の先端近くで分岐し、枝は長さ約3mm。蒴果は狭卵形、鈍形、長さ18~20mm、苞に覆われる。種子は卵形、一端が尖り、長さ4~5mm×幅約3mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は8~9月(南アフリカ)、冬~春[e-Flora of South Africa]。
8 Gladiolus caeruleus Goldblatt & J.C.Manning グラジオラス・カエルレウス
synonym Gladiolus gracilis var. latifolius G.J.Lewis
南アフリカ(ケープ州)原産。西ケープ州の大西洋岸に分布する。英名はblue gladiolus, blue corn flag。沿岸低木地帯の石灰岩露頭および中性砂に生える。
下部の葉は幅3~7mm、縁に広い翼を持ち、断面は±H字形。また、比較的短い筒状の淡青色の花は鈍い花被片を持ち、下面には濃い青色の斑点がある。内陸部の粘土質土壌に生息するグラジオラス・グラシリス(Gladiolus gracilis)は、幅1.5~2.5mmの細い葉を持ち、縁に翼を持ち、葉身の上で湾曲する。花は様々な色で、鋭い花被片を持ち、下側の花被片に縞模様と斑点がある。
高さ40~60cm。球茎の直径は10~14mm、薄皮(tunics)は硬い木質で、下部から爪状の裂片に裂ける。茎は直立または下部で傾向き、上部は±20°傾向き、上部2枚の葉鞘の上で外側に屈曲し、分枝しない。葉は4枚で、最下部の葉は根生し、茎の下部で鞘状になり、鞘はしばしば下部がザラつき、穂状花序の基部と先端の間までに達し、柔らかく、線形、幅3~7mm、縁は表面に対して直角に隆起し、したがって断面はH字型、縁は平滑、主脈は軽く隆起し、茎葉は上部で次第に短くなり、長さの少なくとも半分は鞘状になり、鞘は閉じる。穂状花序は(4)8~10(14)個の花が付き、基部で屈曲し、弱くしなやか(flexuose)。苞は灰緑色~鈍い紫灰色、縁は狭く膜質、長さ25~35(~40)mm、内側の苞は短く、縁は広い膜質、先端にはほとんど切れ込みがない。花は2唇形、淡青色で、喉部の外側と下側の花被片の下部2/3に、クリーム色の地に暗紫色の斑点が不規則に散らばり、わずかに芳香がある。花被筒は斜めの漏斗形、長さ約15mm。花被片は倒卵形、先が鈍形、背側の花被片が最大で、長さ30~32mm×幅約20mm、上部で外向きに曲がり、上側の花被片は上部で広がり、約・長さ25mm×幅17mm、下側の3個の花被片は上側の花被片と約6mm結合し、さらに互いに2~3mm結合し、基部に向かって細くなり、ほぼ等長で、長さ約20mm×幅8~10mm、鈍形で、外向きに緩やかにアーチ状になる。花糸は長さ約12 mm、花被筒から約6mm突き出る。葯は長さ9~10mm、淡青色。花粉はクリーム色または淡青色。花柱は雄しべの上にアーチ状になり、葯の先端と反対側またはすぐ先で分岐し、枝は長さ約4mm。蒴果は楕円形、長さ約15mm。種子は卵形、長さ5~7mm×幅約4mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は冬。[e-Flora of South Africa]。
9 Gladiolus cardinalis Curtis グラジオラス・カルディナリス
synonym Gladiolus speciosus Eckl.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はsuperb gladiolus, new year-lily, waterfall gladiolus。西ケープ州最南西部の山岳地帯の滝や滝に近い湿った崖に這うように生える。
長さ55~90(60~120)cm。球茎は発達が悪く、小さく、球形で直径12~18mm。岩に付着し、地下には生育せず、薄膜(tunics)は膜質~紙質、細かい繊維状に腐朽するが、積み重ならない。茎は垂れ下がりやすく、分枝しない。葉はよく発達し、剣形、5~7枚、下側の3~4枚は根生し、常に下垂するが、穂状花序の基部まで達するか、またはときにわずかに穂状花序を超え、狭披針形、幅11~21mm、主脈は肥厚してわずかに隆起し、他の1対の脈は突出し、縁は肥厚しない。茎葉はより小さく、大部分が鞘状である。穂状花序は傾向きまたは下垂し、花は上側に生じ、花が(4)8~11個つく。外側の苞は長さ45~60(~70)mm、内側の苞はより短く、鋭形で、通常は先端に切れ込みがない。花は鮮やかな赤色、下側の3個の花被片には中央に幅広の白色の披針形の縦斑があり、芳香は無い。花被筒部は長さ32~40mm、真っすぐまたは斜めの漏斗形、下部の円筒形部分は長さ±28mm。花被片は披針形、鋭形または鈍形、不等長で背側が最も大きく、離れ、広がるかわずかに反り返り、長さ45~55mm×幅24~30mm、上側の花被片は先が広がり、長さ48~56mm×幅20~22mm、下側の3個の花被片は上側の花被片と3~7mm結合し、互いに1~3mm結合し、長さ36~53mm×幅17~19mm、白色の斑点がある。花糸は長さ(25~)35~42mm、花被筒部から23~29mm 突出する。葯は長さ11~14mm、上面は帯赤色、下面は白色で半葯に紫色の縫合線がある。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3で反対側に散開し、枝は長さ8~14mm。蒴果は倒卵形、長さ18~27mm。種子は卵形~長円形、長さ6~8mm、幅3.5~4.0mm、翼は均等に発達しているか、側面が縮小する。花期は12~1月(北半球:5~6月 晩春~夏)[e-Flora of South Africa]。
秋に開花するグラジオラス・センペルビレンス(Gladiolus sempervirens)は、ウテニクア山脈とチチカマ山脈に生息し、より葉が多く、根茎状の根茎と鱗片状の匍匐茎を持つ常緑種である。
品種) Cardinalis hybrids , Gladiolus cardinalis x tristis
10 Gladiolus carmineus C.H.Wright グラジオラス・カルミネウス
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はcliff gladiolus, Hermanus gladiolus。海岸沿いの砂岩の崖や岩、海岸沿いの低い低木林に生える。
秋咲き種で、葉が小さく、中程度の大きさで漏斗状の紅色の花を呈し、花被筒は長さ30~35mmである。ポトベルグに生える栄養的に類似するグラジオラス・ステファニアエ(Gladiolus stefaniae)と混同されることがあったが、ステファニアエはより大きく、通常は花が赤色を呈し、花被筒は長さ35~45mm、背花被片は長さ53~58mm、花糸は長さ30~42mmである。
植物体は高さ(16~)30~50cm、鱗片葉は暗紫色にクリーム色または緑色の斑点がある。球茎は球形、直径20~25mm、薄皮は膜質(~紙質)、繊維状になり、基部の周囲に襟状になり、上部に伸びる。茎は直立し、上部の2枚の葉の鞘の上で外側に曲がり、分岐しない。葉は3~5枚、全て茎葉で、最下部の葉は葉身が鞘より短い痕跡の披針形、長さは最大50mm、上部の葉はより小さく、通常葉身がない。花のつかない植物では通常、2枚の長い鎌形の葉が垂れ下がり、花時に乾燥して腐朽し、幅8~10mm、粉白色、主脈はやや太くなる。穂状花序は直立し、湾曲し、2~6個の花がつく。苞は淡緑色または薄灰色で、外側の苞は長さ30~40mm、内側の苞は短い。花は漏斗形、淡ピンク色~濃ピンク色、下側の3枚の花被片にはそれぞれ中央に帯白色の条線があり、淡い藤色の光輪(halo)に囲まれる。上側の側花被片にも同様の模様があり、無臭のものが時々ある。花被筒は長さ30~35mmで、狭い漏斗形。花被片は広披針形、外側の3枚の花被片は大きく、長さはほぼ同長、背側の3枚の花被片は長さ35~45mm×幅18~27mm、上側の側花被片と下側の中央花被片は長さ33~48mm×幅16~28mm、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と最大4mm結合し、水平方向にほぼ広がる。花糸は長さ21~26mm、花被筒から10~15mm突出する。葯は長さ10~14mm、通常黄色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の下半分の反対側で分岐し、枝は長さ約10mm。蒴果は狭倒卵形、長さ20~22mm。種子は卵形、長さ約8mm×幅6~7mm、幅広く均一に翼がある。花期は秋。[e-Flora of South Africa]
11 Gladiolus carneus D.Delaroche グラジオラス・カルネウス
synonym Gladiolus blandus var. carneus (D.Delaroche) Ker Gawl.
synonym Gladiolus albidus Jacq.synonym Gladiolus blandus Aiton
synonym Gladiolus blandus var. carneus (D.Delaroche) Ker Gawl.
synonym Gladiolus callistus F.Bolussynonym Gladiolus campanulatus Andrews
synonym Gladiolus carneus Jacq.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はpale purple gladiolus, painted lady gladiolus。西ケープ州の海岸沿いおよび内陸部の山岳地帯に分布し、標高500mまでの冷涼な岩場斜面、渓流沿い。砂岩斜面、湿地に生える。
多形性種であり、特に花の形、色、模様など、ほとんどの特徴において多様性に富むが、中程度に柔らかい葉と、背側の花被筒部とほぼ同程度の長さで、通常は苞葉らわずかに突出する、白色~ピンク色の大きな花で識別される。ランゲバーグ山脈とアウテニクア山脈に生息する植物は、花色が淡く、花被片がより強く縮れるが、西側に生息する植物は通常ピンク色で、花被片の波打ち具合は少ない。ルーイ・エルスとクレインモンドの間の沿岸湿地帯に生息する個体は、花被片の下部がスプーン状で、模様がないが、同様の花の形態は他の地域にも見られる。グラジオラス・カルネウスは、細長く重なり合う葉と2~4個の濃いピンク色の花を持つ細長い種であるG. pappeiや、クリーム色で細長くパリパリに縮れる花被片と背側の花被筒より長い花被筒を持つ湿生種であるG. undulatusとの区別が特に困難である。
球茎を持つ地生植物で、長さ20~60(~80)cm、鱗片葉は紫色、クリーム色または緑色の斑点がある。球茎は±球形、直径15~20mm、薄膜(tunics)は紙質、不規則に断片化するか±繊維状になる。茎は直立し、傾向きまたは下垂し、単葉で、ときに1(2)個の枝をもつ。葉は4~5枚で、下部の2~3枚は根生するが、通常扇形となり、ときに重なり合い、少なくとも穂状花序の基部まで達するか、あるいはそれ以上になり、ときに這い、狭披針形~ほぼ線形、幅(2~)6~14(~19)mm、主脈および1本以上の二次脈はやや肥厚し、縁は狭く無色、茎葉はときに短い葉身をもつ。穂状花序は基部で軽く屈曲し、傾向きまたは直立し、花はほぼ2列につき、(3)5~8(11)個の花がつく。苞は淡緑色または灰色を帯び、外側の苞は長さ35~45(~65)mmで、内側の苞は外側より短く、先が鋭形または二股に分かれる。花は白色~淡ピンク色または濃ピンク色、下側の花被片には通常ピンク色~赤色のスペード形またはダイヤモンド形の斑点が筒部に沿下し、ときに中央に線形の条線が入るか、または無斑または淡黄色のしみがあり、筒部にはしばしば喉部の基部に赤色の斑点または線が入り、香りはない。花被筒は狭い漏斗形、長さ(15~)25~38(~45)mm、下部の円筒形部分は長さ22~29mm、通常は苞からちょうど現れる。花被片は披針形、縁は普通波打つがときにほぼパリパリに縮れ、不等長、上側の3個の花被片が最も大きく、背側の花被片は長さ28~40(~50)mm×幅12~20(~30)mm、斜上し、上側の側花被片はわずかに小さく、基部から外側に緩やかに湾曲し、下側の3個の花被片はときに上側の側花被片と最大6mm結合し、長さ25~30(~40)mm×幅7~15mm、ほぼ真っ直ぐで水平、または上部が広がり、まれにややスプーン状。花糸は長さ12~17(~25)mm、花被筒部から5~10(~15)mm突出する。葯は長さ6~11mm、藤色。花粉はクリーム色または紫色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の基部と先の間で散開し、枝は長さ4~8(~10)mm。蒴果は長円形で3面があり、上部は不明瞭に3裂し、長さ20~30cm。種子は長円形、長さ7~9mm×幅5~6mm、幅広で均一な翼を有する。花期は晩春。[e-Flora of South Africa]
12 Gladiolus caryophyllaceus (Burm.f.) Poir. グラジオラス・カリオフィラセウス
synonym Anisanthus caryophyllaceus (Burm.f.) Klattsynonym Gladiolus roseus Andrews
synonym Gladiolus similis Eckl.
synonym Watsonia amoena var. rosea (Ker Gawl.) Pers.
南アフリカ(ケープ州)原産。砂岩や砂質の土壌の平地および斜面、石の多い台地、典型的にはレスティオ(restios:アフリカ南部のイグサのような植物)の間に生える。
グラジオラス・ヒルストゥス(Gladiolus hirsutus)に似た、重なり合った絨毛(細柔毛、軟毛)のある葉を持つが、葉身の幅はより広く、幅は10~27mm、縁は厚く、しばしばピンク色または赤色を帯びる。花は大きく、強い香りがあり、花被筒は長さ30~40mm、花糸の長さは22~27mmである。
高さ(18~)45~60(~110)cm。鱗片葉は通常硬毛で、開花時には乾燥することが多い。球茎は球形、直径20~40mm、薄皮は粗い垂直な繊維質。茎は分岐せず、上部で傾向く。葉は剣形、4~5枚つき、下部の1~3枚は根生し、通常は非常に短く、ときに緩やかな扇形になり、絨毛(細柔毛、軟毛)があり、特に鞘部に多く、披針形、幅10~27mm、縁と主脈と2次脈は隆起して太くなり、しばしばピンク色または紫色を帯び、ときに縁がややパリパリに縮れる。上部の2枚の茎葉は、根生葉に似ているが、より短い。穂状花序は直立し、(2)4~8個の花がつく。苞は淡緑色または帯灰色、長さ30~45(~70)mm、内側の苞はやや短く、捻じれ、鋭形。花は2唇形、漏斗形、大きく、淡ピンク色~濃ピンク色、藤色、またはクリーム色で、花被片の中央線に沿ってより濃色になり、下側の花被片と喉部には白色~クリーム色で濃いピンク色の縦の破線と斑点があり、通常はカーネーションの甘い香りがある。花被筒は斜めの漏斗形、長さ30~40mm、下部の円筒形部分は長さ16~25mm。花被片は披針形~楕円形または卵形、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に上向きまたはわずかにフード状になり、広倒披針形、長さ37~45mm×幅(13~)21~30mm、上側の側花被片は長さ30~35mm×幅18~25mm、基部から徐々に広がり、先に向かって外側に広がり、縁は波打つ。下部の3個の花被片は上部の側花被片と長さ7~8mmが結合し、互いに長さ2~3mm で結合し、長さ25~30mm×幅15~18mm、明瞭な爪部はなく、先の1/2が広く、縁は波打つ。花糸は長さ22~27mm、花被筒から8~9mm 突き出る。葯は長さ10~14mm、クリーム色。花粉は黄色。花柱は花糸の上に弓状に曲がり、葯の頂点のやや下からやや越えて分岐し、枝は長さ4~5mm。種子は卵形、長さ約10mm×幅7~8mm、広く均一な翼を持つ。球茎状の地生植物で、長さ18~75cm、被毛は繊維質。葉は剣形で、軟毛がある。花は大きく、漏斗状で、ピンク色から藤色で、斑点があり、芳香がある。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]
13 Gladiolus ceresianus L.Bolus グラジオラス・ケレシアヌス
南アフリカ(ケープ州)原産。砂岩およびドレライト斜面、石質粘土斜面(多くの場合、排水路沿い)、多肉植物が生い茂るカルーおよびレノスターフェルトの低木地帯に生える。
球茎の薄皮は繊維質、葉は2枚目と3枚目の葉の間に茎を隠す3枚の重なり合った葉、最下の葉は円柱形で4本の溝があり、背側の花被片はほぼ直立し、強い紫色の脈を持つランに似た花によって識別される。グラジオラス・ヴィレスケンス(Gladiolus virescens)にも似た花が咲くが、最上部の葉は常に2枚目の葉からわずかに離れているため、茎の一部が露出する。球茎の薄皮は柔らかい紙質で、後に微細な繊維質になる。
高さ8~18(30)cm、普通10cm以下。球茎は直径9~12mmの円錐形で、基部に小球茎があり、基部の周りには、暗色で中程度~粗い質感の繊維質の薄皮が襟状になる。茎は全体が傾向くかまたは下部が直立し、最上部の葉の鞘より上で外側に曲がり、分枝しない。葉は3枚で常に重なり合い、最下部の葉が最も長く、通常は茎より長く、円柱形で、4本の溝があり、真っすぐまたは鎌形、直径1~2mm、2枚目の葉は茎の下部1/2を鞘で覆い、上部の葉鞘と重なり、穂状花序のほぼ中央まで達し、3枚目の葉は最も短く、基部近くでのみ鞘で覆われる。穂序花序は傾向き、(1)2~4個の花が付き、軽く曲がる。苞は緑色または帯赤色、外側の苞は長さ25~35(~40)mm、内側の苞はわずかに短く、微細な切れ込みがある。花は2唇形、紫褐色または緑灰色、上側の3枚の花被片には中央の線から放射状に広がる暗紫色の脈があり、下側の花被片は下部2/3が緑黄色、花被片間の縫合線は輝くパピラのあるうねを形成し、非常に甘い香りがある。花被筒は狭く斜めの漏斗形、長さ12~16mm、基部の細い部分は長さ8~10mm。花被片は背側の花被片が最も長く、倒披針形、長さ28~36(~45)mm×幅約11mm、直立または下部が傾向き、上部は直立し、縁は反り返り、上側の側花被片はスペード形、基部は急に狭まって爪部になり長さ約4mm、拡大部は三角形で、尖鋭形、上方に外側に湾曲し、長さ20~25mm×幅14~16mm、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と3~4mmで統合し、自由部分は長さ約16~25mm、爪部があり、下部は狭く溝があり、下側の側花被片の拡大部は幅4~6mm、下側中央の花被片は幅9~10mm。花糸は強く弓形、長さ20~22mm、約18mm突出する。葯は長さ8~9mm、淡紫色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央と上部の1/3で分かれ、枝は長さ約6mm。蒴果と種子は不明。花期は8~10月(南アフリカ)、春[e-Flora of South Africa]。
14 Gladiolus communis L. グラジオラス・コミュニス
synonym Gladiolus × byzantinus var. lutarius Maire
synonym Gladiolus × byzantinus var. numidicus (Jord.) Maire & Weiller
ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はeastern gladiolus , common corn-flag。アメリカに帰化。高さ50~100㎝。球茎は薄皮があり、直径約20mm。薄皮は皮革質、不規則に裂け、まれに繊維状になる。茎は1本、単純。葉は穂状花序の基部に達する。葉身は平ら、披針形、ときに狭披針形、幅5~22mm。穂状花序は花が10~20個つく。苞(仏炎苞)は不等長、外側の仏炎苞は長さ25~35(~50)mm、内側の仏炎苞は外側の長さの約2/3 。花は芳香がなく、弱い2列生。花被筒は斜めの漏斗形、長さ10~12mm。花被片は赤紫色、外側の3個の花被片には狭い白色の縞が中央にあり、不等長、背側の花被片は長さ30~40mm×幅14~19mm、内側の側花被片は外側の花被片に約3mm結合し、長さ28~35mm 、外側の3花被片は約2mm合着し、外側の側花被片は長さ18~25mm、外側の中央の花被片は長さ24~28mm。花糸は長さ12~15mm。葯は長さ10~13mm。花柱は葯の先1/3に対生し、枝は長さ約2mm。蒴果は長円形、長さ18~24mm。種子は広い翼があり、直径4~6mm。花期は5~7月(北アメリカ)。
15 Gladiolus cruentus T.Moore グラジオラス・クルエントゥス
南アフリカ(クワズールー ナタール州)原産。クワズール・ナタール州中央沿岸部の狭い地域にのみ分布する固有種。英名はblood-red gladiolus, bloody gladiolus。湿った砂岩の崖に生える。
比較的柔らかな質の葉、垂れ下がる茎、そして下側の花被片の基部近くに白い横縞模様がある大きな緋色の花で識別される。背側の花被片は水平であるが、その他の花被片は長さ約28mmの細い花被筒から±広がり、花糸は長さ約40mmで、よく伸びる。
長さは50~70cm、通常は崖から水平にアーチ状に伸びる。球茎は球形で直径15~20mm、薄皮(tunics:外被)は中程度の質感の繊維でできている。茎は水平より下方に垂れ下がり、通常は上部で上向きにアーチ状になり、分枝しない。葉は7枚または8枚、下側の4枚または5枚の葉は根生し、通常穂状花序よりわずかに長いが、垂れ下がり、剣形、幅10~15mm、主脈は中程度に肥厚し、縁は隆起せず、最上部の茎葉を除いて全て長い葉身を持つ。穂状花序は上方に弓状に伸び、傾向きまたはほぼ直立し、真っすぐ、4~9個の花が付く。苞は外側の苞が長さ4~6(~8)cm、通常± 2節間長があり、内側の苞はより短く、二股に分かれ、しばしば軽く2本の隆起を持つ。花は鮮やかな緋色で、下側の花被片にはそれぞれ拡大部の基部に横向きの白いV字模様があり、下側の花被片の下部と花被筒の上部は白地に赤い斑点があり、香りはない。花被筒は±円筒形で、長さ±28mm、上部は長さ±6mmが広がる。花被片は披針形、背側の花被片は雄しべの上方に軽く傾斜し、約・長さ60mm×幅30mm、残りの花被片は開出し、上側の側花被片は約・長55mm×幅27mm、下側の3個の花被片は基部で2~3mm合着し、下部で狭まり、斜上し、長さ±15mm、拡大部は開出し、約・長さ33mm×幅19mm。花糸は弓状で長さ約40mm、筒部から約35mm突出する。葯は長さ約12mm、散開し、暗紫色。花粉は帯白色。花柱は雄しべの上方に弓状に伸び、葯の先端またはそのすぐ先で散開し、枝は長さ約5mm。蒴果は長円形、先が丸く~小凹形、長さ18~25mm。種子は狭長円形、長さ7~9mm×幅約4mm、翼は不均一に発達し、珠孔(micropylar)端で最長となる。花期は夏~秋。[e-Flora of South Africa]
品種) 'Alice Wilson'(brenchleyensis-cruentus hybrid)
16 Gladiolus dalenii Van Geel グラジオラス・ダレニー
アフリカ、アラブ(サウジアラビア、イエメン)、マダガスカル原産。英名はdragon's-head lily, Dalen's gladiolus , African gladiolus。山地および海岸沿いの草原やサバンナ草原および開けた森林、岩の尾根、低地に生える。
高さ(50)70~120(150) cm。球茎は直径(15)20~30 mm、薄皮は赤褐色、皮革質~膜質、外側が不規則に破れ、ときに繊維状になり、 普通、基部の周りに多数の小球をつける。葉は花と同時に花シュートに出る(subsp. dalenii)、又は花後別のシュートに出る(subsp. andongensis)。同時に出る葉は4~6(7)枚、少なくとも下の2枚は根生。葉身は穂状花序の約半長、幅(5)10~20(30)mm、狭披針形~線形、質は硬く、中脈と縁は厚くなる。上部の1~数枚の葉は茎葉、全長の半分の鞘をもち、ときに、全体が鞘になり、しばしば覆瓦状になる。花後に伸びる葉(hysteranthus foliage leaves)は普通2個だけで、花と同時の葉(synanthus foliage leaves)、に似ている。花茎の葉(花後に伸びる葉をもつ植物)は全体が鞘又は長さ6㎝以下の葉身をもつ。茎は分枝しない。穂状花序は花が(2)3~7(14)個つき、直立する。苞は緑色、ときに乾いて先が淡色にあり、長さ(2.5)4~7㎝、内側の苞は外側の苞よりわずかに短い。花は赤色~橙色で下側の3個花被片には黄色の斑紋があるか又は、花が黄色~帯緑色で上側の花被片に赤色~褐色の縞をもつ。花被筒は長さ(25)35~45mm、円筒形に近く、上半分が外側に曲がる。花被片は不等形、上側の3個の花被片は長さ35~50㎝×幅22~30mm、広楕円状倒卵形、最上部の花被片が最も大きく、水平~下向きに曲がり、雄しべを隠す。上側の側花被片は最も上の花被片とほぼ同長~約5mm以下短く、幅20~30mm、前側に向き、しばしば上部が外側に曲がる。下側の3花被片は長さ20~25(30)mm×幅8~12mm、下側へ曲がる。最も下側の花被片は下側の側花被片よりやや長く、狭い。花糸は長さ約25mm、15~18mm突き出し、淡黄色。花柱は葯の先付近又は超えて分岐し、枝は長さ(4)5~6mm。蒴果は長さ(18)25~35mm、楕円形~卵形、先端は3裂する。花期は11月~5月(夏~秋)。2n=4x=60。3亜種がある。
16-1 Gladiolus dalenii subsp. andongensis (Baker) Goldblatt
synonym Gladiolus andongensis Bakersynonym Gladiolus dalenii var. andongensis (Baker) Goldblatt ex Geerinck
synonym Gladiolus goetzei Harmssynonym Gladiolus mildbraedii Vaupel
synonym Gladiolus pauciflorus De Wild.
アフリカ原産。
高さ60~90cm。球茎は直径は1.5~3cm。葉は開花後に生じる。花茎の葉は短く、完全に鞘に包まれ、長さ2~4個、長さ6~14cm、またはときに葉身があり、葉身は長さ2~3(~5)cm、幅6~12mm、重なり合って茎の下半分を鞘で覆う。葉は後に別々の枝から生じ、通常少なくとも2枚で、狭披針形、幅4~16mm。穂状花序はは花が(2~)3~9個つく。苞は長さ(2.5~)4~5.5cm。花被筒は長さ2.5~3.3(~4)cm。背側の花被片は長さ3.5~4.5cm、最大幅は2.2~3cm。花糸は長さ±2.5cm、花被筒から1.5~1.8cm、突き出る。葯は長さ1.2~1.8cm。[Global Plant JSTOR]
16-2 Gladiolus dalenii Van Geel subsp. dalenii
synonym Gladiolus dracocephalus Hook.f.
synonym Gladiolus natalensis Reinw. ex Hook.f.
synonym Gladiolus psittacinus Hook.
synonym Gladiolus primulinus Baker プリムリヌス
熱帯アフリカ、南アフリカ、マダガスカル、西南アジア原産。英名はdragon's-head-lily , maid-of-the-mist , Natal-lily , parrot-lily , sword-lily。園芸種のプリムリヌス(Gladiolus primulinus)は現在ではこのsynonymとされている。
球茎は直径±5cm、±扁平で、基部に多数の小球果がある。茎は高さ±1.5m。葉は幅±3cm、硬い。花は長さ±10cm、直径±7cm、偏側性の穂状花序に花が10個以上つく。蕾は黄色で、完全に開くと赤色なる。外側の(仏炎)苞は±=花被筒とほぼ同長、花被筒は長さ約5cm、湾曲している。上側の花被片は中央はフード状、約・長さ5cm×幅3cm、広倒卵形、鈍形、赤色。下側の花被片はわずかに短く、はるかに狭く、黄色で先に幅が広い赤色の領域がある。葯は黄色。蒴果は長円形で、(仏炎)苞の長さの約1/2の長さ。種子には広い翼がある。
品種) 'Boone'(Gladiolus Primulinus)6月初旬から開花, 'Buster Brown' , 'Mirella'(夏咲き、緋色、高さ30~60cm)
16-3 Gladiolus dalenii subsp. welwitschii (Baker) Goldblatt
synonym Gladiolus welwitschii Bakerアンゴラ原産。
17 Gladiolus debilis Ker Gawl. グラジオラス・デビリス
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はlittle painted lady, painted ladies, painted lady。岩の多い砂岩斜面に生え、主に火事後に開花する。
春咲き。葉はほとんどが4枚(稀に3枚)の線形、中脈と縁はやや厚くなり、苞は条線または肋があり、白色の花は下側の花被片に赤色の模様があり、しばしば裏面はピンク色がかることにより識別される。花被筒は長さ(10~)15~22mmの円筒形、上部付近でのみ広がる。下側の花被片の模様には、V字形、ダイヤモンド形、または条線や線が規則的なパターンで含まれ、喉部の基部にも赤い輪の模様がある。ホッテントット・ホランド山脈(Hottentots Holland Mtns)の個体は花が最も小さく、下の花被片の模様は小さな赤いダイヤモンド形に縮小する。ケープ半島の個体は花にV字形の模様(V-shaped chevrons)がある。ヘルマナス(Hermanus)からブレダズドルプ(Bredasdorp)にかけての個体は対になった斑点と条線の模様がある。アガラス半島(Agulhas Peninsula)の石灰岩丘陵に生息するグラジオラス・ヴァリエガトゥス(Gladiolus variegatus)は、主に3枚の葉を持ち、平滑な苞と、不均一な斑点のある下側の花被片を持つ。
地生植物、高さ(12~)25~45cm。球茎は直径8~15mm、薄皮は粗い針金状から±木質の爪状の裂片に分かれる。茎は上部の葉鞘の上で外側に曲がり、上部は傾向き、分枝しない。葉は(3)4枚、最下部は根生し、茎の上部1/3~穂状花序先端の間に達し、線形、幅1~2mm、主脈は中程度に肥厚し、縁も普通は同様に肥厚して隆起し、上部の葉は次第に短くなり、長さの約1/2が鞘に包まれる。穂状花序は傾向き、湾曲し、1~3個の花がつく。苞は薄緑色~帯灰色、ときに鈍い帯紫色になり、脈がわずかに隆起し、縁は無色で、長さ15~28mm、内側の苞はわずかに短く、先端が細かく二股に分かれる。花は長い筒形、白色~淡ピンク色、下側の3枚の花被片には様々な赤色の斑点があり、基部近くに1対の大きな斑紋があることが多く、先端にはV字型またはスペード型の斑紋があり、ときに中央線に沿って後方に伸び、喉部の下部には赤い斑点や縞があり、花糸は赤色で無臭。花被筒部は円筒形、ごくわずかに湾曲し、上部2mmが広がり、長さ(10~)15~22mm、苞よりわずかに短いか同長。花被片は卵形~ほぼ円形、背側の花被片が最も大きく、傾向きまたは直立し、長さ17~27mm×幅10~18(~22)mm、上側の側花被片は基部から外側に弓状に曲がり、筒部に対して直角に広がり、長さ15~27mm×幅(9~)13~18mm、下側の花被片はときに基部で最大3mmまで癒合し、上部1/2が下方に弱く屈曲し、下部は狭まり、長さ15~24mm、ほぼ等長または下側の中央の花被片が大きい。花糸は長さ4~10mm、花被筒から2~7mm突き出し、しばしば赤色を帯びるか、または外側が赤色。葯は長さ5~9mm、上面が白色、下面が紫色。花粉はクリーム色。花柱は葯の先端~わずかに上で反対側に分岐し、枝は長さ2~5mm。蒴果は楕円形、先はほぼ鋭形、長さ(12~)14~18mm。種子は卵形、長さ5~6mm×幅約4mm、広く均一な翼を有する。花期は春。[e-Flora of South Africa]。
18 Gladiolus dubius Guss. グラジオラス・ドゥビウス
synonym Gladiolus communis proles dubius (Guss.) Rouy
synonym Gladiolus atrorubens Hanry
synonym Gladiolus communis var. ramosus Tallon
synonym Gladiolus hanryi Jord.
synonym Gladiolus narbonensis Bubani
synonym Gladiolus paui Sennen
ヨーロッパ(バレアレス諸島、コルシカ島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、サルデーニャ島、シチリア島、スペイン)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。珪質の低木地、荒れ地、ブドウ畑に生える。
高さ50~100cm。花は幅35~45mm、ピンク色またはフクシア色、穂状花序に数個つき、雄しべは葯と花糸がほぼ同長。蒴果は小室形、倒卵形、3本の溝があり、先は鈍形または±丸く、±多角形の輪郭を持つ。種子は多数、約長さ8mm×幅5mm、扁平、幅広い膜質の翼に囲まれる。花期は4~5月。
19 Gladiolus ecklonii Lehm. グラジオラス・エックロニー
synonym Gladiolus carneus Klatt
synonym Gladiolus inclusus F.Bolus
synonym Gladiolus marmoratus Tausch
南アフリカ(ケープ州、フリーステイト州、クワズール・ナタール州、北部州)、レソト、スワジランド原産。英名はsheathed gladiolus。乾燥草原、湿潤草原、草地の斜面、山地の草原、断崖下の草原、原生林、しばしば石の多い場所に生える。
比較的草背が低く、短く、しばしばやや鈍い幅15~53 mmの葉を扇状に地上につける。葉の主脈はほとんど肥大せず、その他の脈は細く密集する。花は、大きく重なり合った竜骨のある苞を持つ、細かい斑点のある花が傾向いた穂状花序につく。花は短い筒形、花被筒は長さ14~20mmである。本種は花の大きさ、花被の斑点の色、程度、および強度が多様である。ダルストローム周辺の個体群は特に魅力的で、比較的大きく、ほぼ全体がピンク色または帯赤色の花をつける。本種はグラジオラス・ヴィノソマクラトゥス(Gladiolus vinosomaculatus)と混同されることがあるが、後者はより長く、狭く、±灰白色の葉を持ち、幅4~12mm、長さ4~12mm、鞘は長く偽茎を形成する。花糸は短く、長さ7~12mm、葯は長く、長さ10~13mmである。
多年草、地生、高さ15~35(~70)cm、稀にそれ以上(~100cm)になる。球茎は凹んだ球形、直径25~40mm、薄皮は脆い紙質~軟骨質、不規則に腐朽する。茎は下部が直立し、上部2/3が傾向き、分岐しない。葉は(6)7~9(13)枚、下部4枚はほぼ根生し、通常、密集した扇形を形成し、茎の±中央まで達し、稀に穂状花序の基部まで達し、披針形、幅15~30(~53)mm、縁は中程度~強く肥厚し、主脈はほとんど肥厚せず、上部の2枚の葉は完全に鞘に包まれるか、または退化した葉身を持ち、苞状でわずかに膨らむ。穂状花序は傾向き、8~12(~26)個の花がつく。苞は舟形で重なり、やや膨らんで中間の線で折り畳まれ、鮮やかな緑色、ときに下面が紫色に染まり、強い竜骨があり、竜骨は通常赤みがかる。外側の苞は長さ43~53mm、節間は(2~)3個。内側の苞は外側の苞より短く、まれにほぼ同長、先は鋭形、縁は全縁。下部の花の苞は折れ曲がったり、竜骨があり、上部の花の苞は2本の竜骨がある。花は白地にピンク色、赤色、紫色の斑点やまだらがあり、ときに花被片の少なくとも先端の1/2が均一にピンク色に見えるほど密集し、下側の3個の花被片の下部1/2には黄色~クリーム色の披針形の蜜標(nectar guides)があり、夜間はしっかりと閉じ、芳香は無い。花被筒は斜めの漏斗形、長さ(14~)17~20mm。花被片は広卵状楕円形、ときに先端が窪み、背側は水平で、雄しべに覆われ、長さ(25~)28~35mm×幅(13~)15~20mm、上側の側花被片は普通、背側の花被片より長く、長さ(24~)28~37mm×幅(11~)16~21mm、下側の側花被片は最も小さく、長さ18~20mm×幅9~15mm、下側の中央花被片は長さ(22~)28~35mm×幅(9~)13~20mm、外側および下方に弓状に曲がる。雄しべは花糸が長さ12~15mm、筒部から4~5 mm突出するが、花の下部に含まれる。葯は長さ7~10mm、クリーム色。花粉は白色。子房は長円形。花柱は雄しべに覆われ、葯の中央で反対側に散開し、枝は長さ約4mm。蒴果は倒卵形、上部は弱く3裂し、反り返り、長さ18~25mm。種子は円盤形、幅広で通常は均一な翼を持ち、長さ7~8mm、幅4.5~6.0mm。花期は11月~4月(北半球では2~5月)。[e-Flora of South Africa]。
20 Gladiolus equitans Thunb. グラジオラス・エクイタンス
synonym Gladiolus alatus var. namaquensis (Ker Gawl.) Baker
synonym Gladiolus namaquensis Ker Gawl.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はOrange Kalkoentjie。主に花崗岩、ときに珪岩の岩場の露頭または石の多い地面、岩場の尾根に生える。
普通のスプリンググラジオラスの葉が細いのに対しエクイタンスは、葉が広いのが特徴であり、先端付近が最も広く、縁が赤みを帯びて厚くなっている幅広い鎌形である。花は直径約5cm、鮮やかなオレンジ色から緋色、背側花被片はフード状になり、花糸は平滑により識別できる。
高さは12~30cm。球茎は球形、直径20~40mm、薄皮は硬い膜質~革質、不規則に腐朽し、時に±粗い繊維質となり、しばしば密に集積する。茎は直立し、扁平、隆起し、通常は3本の翼があり、広い2面と狭い1面を持ち、分岐しない。葉は4(5)枚、下側の2または3枚は根生し±1枚ずつ生え、2列の扇形を形成し、下側の葉が最も大きく、穂状花序の基部のすぐ下まで達し、鎌形で、残りの葉は次第に短くなり、幅20~40mm、先は鈍い小突起形、縁は顕著に厚くなり、無色または赤色を帯びる。穂状花序は基部で屈曲し、傾向き、屈曲し、ほぼ2列に、3~7個の花がつく。苞は顕著に竜骨があり、竜骨は茎の角(かど)に沿下し、緑色、竜骨と縁が赤色を帯び、外側の苞は長さ25~40(~50)mm、竜骨は1本、内側の苞はより短く、竜骨は2本、先端でわずかに二股に分かれる。花2唇形、オレンジ色~緋色、下側の側花被片は下部2/3が黄色になり、下側の中央花被片は下部半分が黄色、喉部には花被片間の縫合線に輝くパピラのあるうねがあり、わずかに甘い香りがある。花被筒部は斜めの漏斗形、長さ10~15mm、完全に苞に含まれる。上側の花被片はフード状で背側の花被片が最も大きく、倒卵形凹面で、雄しべを覆い、長さ27~38mm×幅18~20mm、上側の側花被片は広心形で、基部近くで狭まり、先に向かって徐々に外側に湾曲して広がり、長さ23~26mm×幅23~30mm、下側の3枚の花被片は下部で3~5mm合着し、自由部は長さ約25mm×幅9~10mm、下部には爪部があり、側花被片は長さの大部分に溝付き、下側の中央花被片長さ約18mm×幅12~15mm。花糸は強く弓状になり、長さ17~25mm、花被筒部から13~20mm突出する。葯は長さ8~14mm、クリーム色で裂開線が赤色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央から上部1/3で反対側に分岐し、枝は長さ5~7mm。蒴果は長円形、長さ25~30mm。種子は広卵形、長さ8~9mm×幅約7mm、広く均一な翼を持つ。花期は秋~初冬、7~9月(南アフリカ)、10~1月(北半球)。[e-Flora of South Africa]。
品種) Gladiolus aureus × equitans
21 Gladiolus exilis G.J.Lewis グラジオラス・エキシリス
南アフリカ(ケープ州)原産。西ケープ州ケープタウンの北東の山岳地帯に分布する早咲き種。フィンボスの埴壌土、岩の多い砂岩斜面のローム質土壌に生える。
葉は3枚、革質、線形~ほぼ糸状により区別され、葉脈と縁は厚くない。花は漏斗形、淡青色~帯白色、花被筒は背側の花被片より短い。南海岸に生息する同属のグラジオラス・ムタビリス(Gladiolus mutabilis)は4枚の葉を持つ。
地生、高さ25~45(~60)cm。球茎は卵形、直径12~15mm、薄皮は革質で、次第に細かい繊維質になる。茎は細く、通常、葉鞘の上で軽く屈曲し、上部は傾向き、分枝しない。葉は3枚つき、最下の葉は根生し、茎の下部1/2を鞘状に包み、茎の上部約1/3に達する。葉身は線形、長さ(50~)80~120mm、幅1.0~1.5mm、平らでわずかに多肉質、縁と主脈は肥厚も隆起もせず、残りの葉は茎の上部1/3に着生し、根生葉よりはるかに短く、わずかに細い。穂状花序は傾向き、弱く湾曲し、1~4個の花がつく。苞は灰緑色で、比較的柔らかい質で、外側の苞は長さ20~30mm、しばしば細く、捻じれる。内側の苞はわずかに短いかほぼ同長で、通常、先端が短く二股に分かれる。花は2唇形、淡青色~帯白色、わずかに藤色が混じり、下側の側花被片の下半分には細い淡黄色の中央の条線があり、下側の3枚の花被片すべてに不規則に条線と濃い藤色の暗色の斑点があり、通常はわずかにすみれの香りがする。花被筒は斜めの漏斗形、長さ11~15mm、下部の円筒形部分は長さ7~10mm。花被片は披針形、背側の花被片は長さ22~35mm×幅11~18mm、雄しべの上方に±水平に伸び、先端が上方に湾曲し、上側の側花被片は長さ22~33mm×幅10~15mm、上部はわずかに広がり、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と5~8mm結合し、互いに3~4mm結合する。側花被片は長さ16~28mm×幅約6mm、下部は細くなり基部に溝があり、下側の中央花被片は長さ18~28mm×幅約9mm。花糸は長さ11~12mm、花被筒から5~7mm突出するう。葯は長さ8~10mm、淡藤色。花粉は帯白色。花柱は雄しべの上方にアーチ状に伸び、葯の頂点またはそのすぐ先で分岐し、枝は長さ約3mm。蒴果は楕円形、長さ2~15mm。種子は卵形、約・長さ6mm×幅4mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]。
22 Gladiolus floribundus Jacq. グラジオラス・フロリブンダス
synonym Gladiolus bowkeri G.J.Lewis
synonym Gladiolus graminifolius (Baker) G.J.Lewis
synonym Gladiolus striatus Andrews
synonym Gladiolus undulatus Schneev.
synonym Gladiolus vittatus Zuccagni
南アフリカ(ケープ州)原産。乾燥した粘土質、砂質、または石灰岩の平地および斜面に生える。
近縁種とは、花が淡く、花被筒が長さ40~60(~70)mmで狭い漏斗形、下側の花被片が上側の花被片より著しく短いことで区別される。グラジオラス・ミニアトゥス(Gladiolus miniatus)は花がサーモンピンク色~オレンジ色で、花被片が長さ50~65mm、下側の花被片が狭く、上側の花被片は長さ約30mmの幅広い円筒形に分かれ、花糸は長さ35~37mmとはるかに長い。
高さ(15~)25~45(~60)cm。鱗片葉は鈍い紫色、通常、緑色または白色の斑点がある。球茎は±球形、直径20~40mm、薄皮は紙質、中程度から粗い質感の繊維のが塊になって蓄積する。茎は下部が直立し、最上部の葉の鞘の上で外側に曲がり、上部で傾向き、通常1~2回分岐する。葉は剣形、6~8枚で、下部の4~6枚は根生し、穂状花序の±基部まで達するが、しばしば軟らかく下向きにアーチ状になり、披針形(針状)、幅12~20mm、茎葉は小さくなる。穂状花序はほぼ水平に強く傾斜し、湾曲し、3~8(13)個の花がつく。苞は鈍い緑色~灰紫色、外側の苞は長さ(34~)40~50(~65)mm、内側の苞はそれより短いか±同じ長さで、先端に微細な切れ込みがある。花は長い筒形、クリーム色または淡い緑黄色~アイボリー色~白色、まれに淡ピンク色、全ての花被片または背側の花被片以外の花被片に中央に濃色の幅広い条線(縞)が入り、芳香は無い。花被筒部は斜めの漏斗形、長さ40~60(~70)mm、円筒形の下部は長さ25~35(~55)mm。花被片は不等長、披針形~楕円形、先は鈍形~凹形、縁は普通波打つ。背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に傾斜し、長さ30~45mm×幅16~20mm、上部の側花被片は長さ25~46mm×幅13~18mm、下側の花被片は小さく、長さ18~29mm×幅7.5~10.0mm、下側の中央花被片は側花被片よりわずかに長く、長さ38mmまで。雄しべは花糸が長さ20~22mm、花被筒部から4~10mm 突き出る。葯は長さ6~9mm、紫色。花粉はクリーム色~紫色または褐色。子房は長円形、花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央と先端の間で散開し、枝は長さ±6mm。蒴果は長円形で3面があり、長さ30~40mm。種子は楕円形、長さ9~14mm×幅7~10mm、幅広く均一な翼がある。花期は9月~5月(主に晩春)。[e-Flora of South Africa]。
23 Gladiolus gracilis Jacq. グラジオラス・グラシリス
synonym Gladiolus pterophyllus Pers.
synonym Gladiolus recurvus Willd.
synonym Gladiolus scaber Spreng. & Link
synonym Gladiolus setifolius Eckl.
synonym Gladiolus tristis var. punctatus Thunb.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はBlue Pypie, Bloupypie, Sandpypie。低木地帯の粘土質または花崗岩質の平地および斜面に生育する。
葉身は下部が幅1.5~2.5mm、断面は±H字形、縁が中線を超えて内側に湾曲し、縁に狭い翼があり、比較的短い筒状漏斗形の花で識別されます。花は花被片の先先が鋭形、花被片の下部には縞模様と斑点がある。大西洋岸の沿岸の石灰岩地に生息するグラジオラス・カエルレウス(Gladiolus caeruleus)は酷似するが、幅3~7mmの幅広の葉を持ち、縁の翼は葉身に対して直角になる。花被片は淡青色、鈍形で、下部には濃青色の斑点がある。
高さ25~50(~70)cm。球茎の直径は12~20mm、薄皮は硬く木質で、下部で爪状の裂片に裂ける。茎は直立または傾向き、上部は傾向き、上部の3枚の葉の鞘の上で外側に屈曲し、分枝しない。葉は(3)4枚で、最下部は根生し、茎の下部1/2を鞘状に覆い、下部はしばしばザラつき、茎の上部1/3と穂状花序の中央の間までに達し、線形で、断面はH形、幅1.5~2.5mm、縁は広い翼状に隆起し、葉身の表面上で弓状になり、縁は通常ザラつく~縁毛があり、茎葉は次第に短くなり、長さの少なくとも半分は鞘で覆われ、鞘は閉じている。穂状花序は傾向き、屈曲し、2~5(7)個の花がつく。苞は灰緑色または鈍紫色に変色し、縁は膜質で、外側の苞は長さ17~35(~43)mm、先端はしばしば漸尖し、やや捻じれ、内側の苞はより短い。花は2唇形、淡青色~灰色、まれにピンク色または鈍黄色。下側の3枚の花被片と喉部の外側は淡黄色~クリーム色、不規則に暗紫色の条線や斑点(ステンシル模様)が入る。通常はほのかに甘い香りがするが、ときに芳香が無い。花被筒は斜めの漏斗形で、長さ12~18mm。花被片は倒卵形、縁は波打ち、背側の花被片が最も大きく、長さ24~33mm×幅14~19mm、上部1/2が外側に湾曲し、上側の側花被片は類似するがやや小さく、下側の3個の花被片は上側の側花被片と3~8mm結合し、さらに互いに2~3mm結合し、下部は狭まり浅く溝が入り、ときに±爪状になり、側花被片は長さ20~25mm×幅7~9mm、先に向かって下方に弓状に曲がり、下側の中央裂片は下側の側花被片より5~10mm長く、幅は12mm以下。花糸は長さ11~14mm、花被筒から4~8mm突き出る。葯は長さ7~11mm、淡青色~濃青色。花粉はクリーム色または淡青色。花柱は雄しべの上に弓状に曲がり、葯の先端のすぐ下からすぐ先で分かれ、枝は長さ3~4mm。蒴果は長円状楕円形、先が鋭形、長さ12~18mm。種子は卵形、長さ4.5~5.0mm×幅約3mm、広く均一な翼を有する。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]
品種) 'Gracilis Blue'(花期は2~3月、高さ40~50cm、花は直径2~3cm)
ハイブリッド Gladiolus gracilis x priorii
この交配種は2000年にマイケル・メイス氏(Michael Mace)によって作られた。淡青色のグラジオラス・グラシリス(Gladiolus gracilis)とトマトレッドのグラジオラス・プリオリー(Gladiolus priorii)とが交配され、アルストロメリアに少し似た魅力的なマゼンタ色の花で、水彩画のように美しい斑点模様を持つものや、斑点のない、やや明るい色になる。
24 Gladiolus grandiflorus Andrews グラジオラス・グランディフローラス
synonym Geissorhiza grandis Hook.f.
synonym Gladiolus fasciatus Roem. & Schult.
synonym Gladiolus floribundus subsp. fasciatus (Roem. & Schult.) Oberm.
synonym Gladiolus floribundus subsp. milleri (Ker Gawl.) Oberm.synonym Gladiolus milleri Ker Gawl.
synonym Gladiolus scaphochlamys Baker
synonym Gladiolus socium L.Bolus
synonym Gladiolus vittatus Hornem.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はgrand swordlily。
球茎は球形。薄皮は光沢のない繊維状。葉は3~4個、剣形、長さ30~60㎝。茎は花序を含めて、長さ45~60㎝又はそれ以上、よく育つと分枝する。花はごく疎に、2列生の穂状花序に花が2~9(12)個つき、斜上する。花は白色~クリーム色、ピンク色を帯び、ときに下側の花被片又は全ての花被片の中央に暗色の筋をもつ。仏炎苞の外側のバルブは長円状披針形、長さ3.8~5㎝。花被筒は真っすぐに近く、長さ3.8~2㎝、上1/3は漏斗形。花被片は花被筒と同長、倒卵状へら形、先端は三角形、上側の花被片は幅1.8~2.5㎝。雄しべは拡大部の1/3~1/2に達する。花期は9~10月(晩春~早夏)。
品種) 'Blue Smoke'
25 Gladiolus guthriei F.Bolus グラジオラス・グスリエイ
synonym Gladiolus eulophioides F.Bolus
synonym Gladiolus odoratus L.Bolus
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はfragrant afrikaner, rock afrikaner。標高100~800mの岩の多い砂岩の露頭および舗装道路などに生える。
秋から冬にかけて開花するグラジオラス・グスリエイ(Gladiolus guthriei)は、重なり合った無毛または絨毛のある葉と、比較的長い筒状の、強いクローブの香りを持つ鈍いピンク色~褐色の花で識別される。花被筒は背側の花被片とほぼ同長で、長さ20~27mm。北部の個体は無毛またはまばらに毛が生えるが、南部の個体は比較的密に毛が生える。
高さ30~70cm。鱗片葉は通常褐紫色で、ときに細かい毛が生える。球茎は球形、直径20~35mm。粗い垂直繊維の薄皮が密に集まる。茎は直立または傾向き、分枝しない。葉は短い剣形、3枚(4枚)で、ときに鞘に毛が生え、下部の2枚の葉は根生し、最下部の葉は短く硬い披針形、長さ20~80mm、幅3~6mm、縁は中程度の厚さで、主脈およびしばしば2次脈の1対がやや肥厚する。残りの葉の葉身は痕跡形または欠落している。開花しない株では、単葉で、剣形~披針形、幅12~20mm、しばしば垂れ下がり、ときに毛があり、縁は著しく肥厚し、主脈および2対以上の他の脈も顕著で、幼葉には必ず毛がある。穂状花序は通常やや傾向き、3~9(13)個の花がつく。苞は鈍い緑色~帯灰色、質感は柔らかく、外側の苞は長さ20~40mm、内側の苞は短い。花は長い筒形、鈍いピンク色~褐紫色、上側の側花被片と下側の3個の花被片は鈍い黄色で、幅広で不規則な褐色の中央の条線があり、薄く褐色の斑点があり、縁は軽くパリパリに縮れ、強く甘いクローブのような香りが昼夜問わずある。花被筒は斜めの漏斗形、長さ20~27mm、下部の円筒形部分は長さ12~15mmで、苞に包まれているかまたは苞から突出し、上部で急に湾曲してフレア状になる。花被片は倒披針形または背側が倒卵形、最大は長さ22~30mm×幅14~19mm、雄しべの上に傾向き、上側の側花被片は長さ20~30mm×幅10~13mm、先が広がる。下側の3個の花被片は上側の側花被片と3~5mm結合し、互いに1~2mm結合し、自由部分は長さ18~25mm×幅8~11mm、下側の中央花被片は同じかわずかに長い。花糸は長さ12~16mmで、花被筒部から5~7mm突き出る。葯は長さ8~11mmで帯褐色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部半分で反対側に分岐し、枝は長さ3~4mm。蒴果は楕円形、長さ約20mm。種子は広卵形、長さ(5~)7~8mm×幅4~6mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は冬。[e-Flora of South Africa]。
品種) Gladiolus brevifolius x guthriei
26 Gladiolus hirsutus Jacq. グラジオラス・ヒルストゥス
synonym Gladiolus biflorus Roem. & Schult.
synonym Gladiolus laccatus Thunb.
synonym Gladiolus pilosus Eckl.
synonym Gladiolus punctulatus Schrank
synonym Gladiolus villosiusculus Sol. ex Baker
synonym Gladiolus villosus Ker Gawl.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はsmall pink Afrikaner, hairy Afrikaner。石の多い花崗岩または砂岩斜面に生え、山火事後の最初の数年間に最もよく開花する。
葉は毛深く、重なり合い、葉身は通常は比較的短い披針形、幅3~8(~13)mm、花は中程度の大きさで香りは弱く、ピンク色~藤色。花は下部の花被片と花被筒に赤い縞模様と斑点の蜜標を持ち、長さ15~26(~40)mm。花糸は長さ11~13mm。コーゲルベルク(Kogelberg)産の個体は、花が長さ75mm、花被筒が長さ40mmと大型で、特異な特徴がある。グラジオラス・カリオフィラセウス(Gladiolus caryophyllaceus)は葉が幅10~27mmと広く、縁が厚く、しばしばピンク色または赤色を帯びる。花は大きく、強い香りがあり、花被筒は長さ35~40mm、花糸は長さ22~27mm。
草丈は30~60cm。鱗片葉は通常毛があり、花期にはしばしば乾燥する。球茎は±球形、直径18~30mm、薄皮は粗い繊維質で、しばしば塊状に集積する。茎は第2葉の鞘の上で外側に屈曲し、傾向き、分枝せず、穂状花序の基部の下で直径1.0~1.5mm。葉は3枚(4枚)で、下側の2枚は根生する。第2葉は茎の下部1/2を鞘で覆い、全体にまたは鞘のみに毛がある。葉身は比較的短く、最下部は茎の上部1/2、あるいは時に穂序花序の頂部に達し、披針形、幅3~8(~13)mm、主脈と縁はわずかに肥厚し、二次脈も明瞭である。最上部の葉は茎の上部1/3に着生し、毛は有または無、縁は茎の周囲で合着する。穂状花序は傾向き、軽く湾曲し、3~6(8)個の花をつける。苞は緑色または灰紫色を帯び、外側の苞は長さ18~26 mm、内側の苞はより短く、鋭形。花は2唇形、淡ピンク色~濃ピンク色、または藤色、ときにほぼ白色。下側の3枚の花被片はクリーム色~淡黄色、下部2/3に蜜標(nectar guides)の不規則な濃色の斑点または縞模様があり、蜜標は筒部に散在し、ときにわずかに芳香がある。花被筒は斜めの漏斗形、長さ15~26(~40)mm、円筒形の下部は筒状に閉じる。花被片は倒卵形~広披針形、背側の花被片が大きく、雄しべを覆うようにアーチ状になり、長さ19~27(~35)mm×幅13~20mm、先が広がり、上側の花被片は長さ17~23(~34)mm×幅10~15mm、下側の3個の花被片は上側の花被片と 2~5mm結合し、互いに幅3mm以下結合し、狭披針形、下部には明瞭な爪部がなく、長さがほぼ等長、長さ15~20(~23)mm×幅7~12mm。花糸は長さ11~13mm、花被筒から4~6mm 突出する。葯は長さ6~9mm、ピンク色。花粉は白色。花柱は雄しべを覆うようにアーチ状になり、葯の先端は反対側で分岐し、枝は長さ2~4mm。蒴果は卵形~±楕円形、長さ20~24mm、苞とほぼ同長。種子は広楕円形で長さ6.0~7.5mm×幅約5mm、均一に翼があるか、片側に翼がない[e-Flora of South Africa]。花期は北半球で4~5月(または春~夏)。
27 Gladiolus huttonii (N.E.Br.) Goldblatt & M.P.de Vos グラジオラス・フットニー
synonym Homoglossum huttonii N.E.Br.南アフリカ(ケープ州)原産。英名はEastern Cape Flame。砂岩由来の肥沃な土壌の砂岩斜面、ロームまたは粘土質土壌に生える。
植物体の高さは20~45(~80)cm。球茎は球形で、直径8~12mm、薄皮は軟骨質、下部から粗い繊維質または木質の裂片に分かれる。茎は第2葉の鞘状部より上部でわずかに屈曲し、分枝しない。葉は3枚で、下側の2枚は根生し、下側の葉が最も長く、地上部近くでのみ鞘状になり、穂状花序とほぼ同長かわずかに長く、中心的(centric)で断面はX-形(十字形)、主脈は葉身幅の最大1.2倍のフランジ状に盛り上がり、幅は2~3mm、第2葉は茎の下側2/3が鞘状になり、葉身は短く、最上部の葉は茎の上側1/3に挿入される。穂状花序は直立またはわずかに傾向き、3個または4個(8個)の花がつく。苞は緑色または薄紫色で、外側の苞は長さ30~55mm、下部で茎を抱き、筒部の下部を超えることはめったになく、内側の苞はわずかに短く、ノッチがある。花は長い筒形、橙赤色、背側の花被片の下部1/2には幅広の半透明の縁があり、下側の花被片の下半分は明るい橙色~黄色、裏面(reverse)はときに黄色になり、筒部の裏面は花被片の縫合線に沿って濃赤色(特徴的な赤色の縦線)、芳香はない。花被筒部は長さ50~53mm、下部は20~32mmにわたり細く円筒形、上部は長さ22~33mm、幅5~6.5mmの筒状に急激に広がり、斜上する。花被片は不等長、広披針形、背側の花被片が最も大きく、斜上し、長さ25~40mm、幅15~25mm、上側の側花被片は長さ22~32mm、幅12~18mm、上部1/2が広がる。下側の3個の花被片は非常に小さく、下側の側花被片は長さ12~20mm、幅10~14mm、下側中央花被片は長さ13~22mm、幅7~10mm。花糸は長さ32~45mm、花被筒部から13~15mm突出する。葯は長さ8~10mm、橙色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の頂部またはそのすぐ先で分岐し、枝は長さ±4mm、上部が太くなる。蒴果は細長い楕円形、長さ38~40 mm、外側の苞と同長またはわずかに長い。種子は楕円形、長さ5~6mm×幅3.5~4.5 mm、通常幅広く均一に翼がある。花期は7月~12月(冬~春)。[e-Flora of South Africa]。
28 Gladiolus involutus D.Delaroche グラジオラス・インボルトゥス
synonym Gladiolus bimaculatus Lam.
synonym Gladiolus elatus Balb.
synonym Gladiolus muirii L.Bolus
南アフリカ(ケープ州)原産。草地~低木地帯の石灰質粘土質の平地、斜面に生える。
花は白色~淡いピンク色。外側の花被片は披針形~細長く、内側の花被片(背側の花被片を含む)よりもはるかに大きく、下側の側花被片は幅広の緑黄色の帯を伴って狭く縮退する。細長い匍匐茎は、この系統のいくつかの種に特徴的な特徴である。
多年草、地生、高さ20~50cm、鱗片葉は紫色、普通は白色のまだらになる。球茎は凹んだ球形、直径12~17mm、細長い白い匍匐茎に大きな小球茎をつけ、薄皮は柔らかい紙質、稀に多少繊維質になる。茎は通常下部で直立し、ときに傾向き、各茎葉の鞘状の部分の上部で外側に屈曲し、単枝または2~3枝がある。葉は7~9枚で、下部の4~5枚は根生し、穂状花序の基部に達するか時にそれより長く、線形、幅1.7~3.0mm、中肋が厚くなり、縁は透明だが厚くならない。茎葉は次第に小さくなり、最上部は茎を抱かずまたはほとんど抱かない。穂状花序はやや傾向き、ほとんど屈曲せず、4~7個の花がつく。苞は淡緑色で、灰紫色を帯び、外側の苞は長さ25~35(~40)mm、内側の苞は短く、先が鈍形または先端に微細な切れ込みがある。花は白色、ピンク色または淡ピンク色がかり、下側の3個の花被片は下面が淡緑黄色で、縁には細いピンク色または紫色の線が入る。花全体が、特に蜜導管は古くなるとピンク色に変色し、芳香は無い。花被筒は斜めの漏斗形、細長い部分の先端近くで外側に湾曲し、長さ16~18mm、苞の間から出る。花被片は不等長で、披針状漸尖形、上側の花被片が最も長く、長さ25~28mm、幅12.0~13.5mm、下部で前方に向いて捻じれ、背側に覆いかぶさり、先端で外側に湾曲し、背側は雄しべに覆われ、長さ20~24mm、幅約13mm、下側の3個の花被片は下部で3~5mm 合着し、下側の花被片は線形、長さ15~19mm、幅3~5mm、下部は約2mmが狭く爪状になり、拡大部は下部の2/3に溝があり~退縮し、下部の中央は長さ22~28mm、幅6~7mm、下部1mmに不明瞭な爪部がある。雄しべは花糸が長さ12~15mm、花被筒部から6~7mm 突出する。葯は長さ8~10mm、鈍い帯紫色。花粉は淡いオレンジ色。子房は長円形、花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央で反対側に分かれて分岐し、枝は長さ約3mm。蒴果は倒卵形~楕円形、長さ20~25mm、鋭形または鈍形。種子は卵形、長さ6~7mm×幅約4mm、幅広で均一な翼があり、種子体はしばしば暗褐色である。花期は8月~12月(北半球では2~3月)。[e-Flora of South Africa]。
29 Gladiolus italicus Mill. グラジオラス・イタリクス
synonym Gladiolus segetum Ker Gawl.
ヨーロッパ、南西アジア、北アフリカ原産。英名はItalian gladiolus , field gladiolus , common sword-lily。カリフォルニアの道端で野生化している。
高さ50~100cm。球茎は薄皮があり、直径約20mm。薄皮は繊維状。茎は普通、1本、単純。葉は3~5個つき、穂状花序の基部に±達する。葉身は平ら、披針形、ときに狭披針形、幅8~22mm。穂状花序は花が6~16個。仏炎苞は不等長、外側の仏炎苞は長さ30~40(~50)mm、内側の花被片は外側の花被片の長さの1/2~2/3倍。花は芳香がなく、弱く2列生。花被筒は斜めの漏斗形、長さ10~12mm。花被片はピンク色~薄紫色、外側の3花被片に狭い白色の縞を中央にもち、不等形、背側の花被片は長さ45~50mm×幅約16mm。内側の側花被片は約・長30mm×幅8mm。外側の3花被片は約5mm合着し、外側の側花被片は長さ約25mm、外側の中央花被片は長さ約20mm。花糸は長さ約12mm。葯は長さ約15mm。花柱の枝は葯の先の高さで対生し、枝は長さ約2.5mm。蒴果は球形、直径10~12㎜。種子は球形、又は軽く角(かど)があり、直径2~3mm。花期は4~5月(北半球)。
30 Gladiolus jonquilodorus Eckl. ex G.J.Lewis グラジオラス・ジョンクイロドルス
synonym Gladiolus jonquilliodorus Eckl. ex G.J.Lewis [WFO,SANBI]
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はLeafless Lady, Geelpypie, Ruikpypie。フィンボスの海岸沿いの砂地の平地および台地に生える。POWOでは綴りがjonquilodorusとされている。夏咲き種で、球茎の薄皮は柔らかい紙質または微細な繊維状により識別できる。花茎の葉は3枚で±完全に鞘状で、花は漏斗形、淡黄色~真珠灰色、下側の花被片に黄色の横縞がある。花は夜に閉じる。季節の後半に別の芽から生じる2枚または3枚の葉は円柱形、4本の溝がある。グラジオラス・マルトレイ(Gladiolus martleyi)は、秋に同様の形状だが、花がピンク色~藤色で、葉は1枚である。
高さ25~40(~70)cm、乾燥した褐色の鱗片葉を持つ。球茎は球形、直径20~40mm、薄皮は膜質~柔らかい紙質、微細な繊維状になる。茎は真っ直ぐに直立し、分枝しない。葉は2枚または3枚で、完全に鞘状で、最下の葉は通常次の葉に重なり合う。通常葉は花後に生じ、2枚または3枚つき、葉は長さ30~50cm、円柱形、4本の狭い縦溝があり、直径約1mm、開花時には乾燥して枯れ、欠落していることが多い。穂状花序は基部で軽く曲がり傾向き、花が(4)7~14個つく。苞は質が柔らかく、黄緑色~灰色、外側の苞は長さ14~18mm、内側の苞はそれよりわずかに短い。花は2唇形、クリーム色または淡黄色~真珠のような灰色で、ときにピンク色または薄い藤色が混じり、下側の3枚の花被片または下側の側花被片のみに黄色の横縞があり、下部には細い紫色の条線が入る。日中には甘い香りがするが、夜間は部分的に閉じ、その後香りがなくなる。花被筒は斜めの漏斗形、長さ8~9mm、大部分が苞に包まれる。花被片は狭倒披針形、不等長、背側の花被片は約・長20mm×幅9mm、雄しべの上に水平に伸び、上側の側花被片はわずかに短く、前方を向いて斜めに捻じれて背側花被片に重なり、先が外側に湾曲し、下側の花被片は長さ約5mmで互いに癒合し、自由部は長さ8~10mm、下部は狭まり爪部になり、上部は急に広がり長さ約5mmの拡大部になり、下方に弓状に伸びる。花糸は長さ約10mm、花被筒部から長さ約5mm突出する。葯は長さ約6mm、藤色。花粉は淡黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、通常葯の頂点またはそのすぐ先で分岐し、枝は長さ1.0~1.5mm。蒴果は楕円形、長さ16~19mm。種子は卵形、約・長さ6mm×幅3.5mm、幅広く均一な翼がある。花期は夏。[e-Flora of South Africa]
31 Gladiolus kamiesbergensis G.J.Lewis グラジオラス・カミエスベルゲンシス
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はKamiesberg Gladiolus。岩場の斜面、通常はフィンボス(fynbos:ウエスタン・ケープ州独特の灌木地帯)内の岩場に生える。長い根生葉は細かい4本の溝のある円柱形、花は淡青みがかったライラック色で濃い斑点があり、下側花被片は細い爪部を持ち、基部が淡黄色で急に広がる拡大部をもち、斜め卵形の上側の側花被片が背側花被片と窓を形成することで識別される。
地生植物、高さ45~90cm。球茎は球形、直径18~22mm、薄皮は革質、中程度の太さの垂直な繊維状に分裂する。茎はほぼ直立し、分枝しない。葉は通常4枚で、最下の葉はしばしば穂状花序より長くなり、直径約1.3mm、円柱形で狭い4本の溝があり、主脈と縁は隆起して強く厚くなり、第2葉ははるかに短く細く、下部で茎を鞘で包み、上位の2枚の葉は完全に鞘で包まれるか退化した葉身を持ち、下部の縁は重なり合うか稀に鞘が基部近くで閉じる。穂状花序はほぼ直立するか、基部で軽く屈曲しほとんど傾向かず、4~9(12)個の花がつく。苞は淡色で縁は無色、外側の苞は長さ13~18mm、内側の苞はそれより短~ほぼ同長。花は淡い青ライラック色で、花被片に微細な紫色の斑点があり、特に先端に向かって多い。下側の側花被片は拡大部の下半分が黄色で、甘いリンゴの香りがある。花被筒は斜めの漏斗形で、長さ12~13mm。花被片は背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に覆いかぶさるようにアーチ状になり、長さ16~21mm×幅10~12mm、上側の花被片は斜めの卵形で、先端で外側に湾曲し、長さ16~18mm×幅8~10mm、背側の花被片と上側の花被片の基部の間に窓があり、下側の花被片は上側花被片と5mm結合し、上側花被片と1~2mm結合し、下側花被片は斜めに捻じれ、下部で線形になり、長さ3~4mmの溝のある爪部になり、急に楕円形の拡大部に広がり、約・長さ7mm×幅7mmに広がり、拡大部はスプーン状で、下側中央花被片は披針形、約・長さ9mm×幅7mm。花糸は背側花被片の下でアーチ状になり、長さ約12mm、筒部から約9mm突出する。葯は長さ約6mm、ライラック色。花粉は帯白色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央で反対側に分岐し、枝は長さ約2mm。蒴果は倒卵形、鈍形、長さ15~18mm。種子は卵形、約・長さ5.5mm×幅6mm、広く均一な翼を持つ。花期は春。[e-Flora of South Africa]。
32 Gladiolus liliaceus Houtt. グラジオラス・リリアケウス
synonym Gladiolus grandis (Thunb.) Thunb.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はlarge brown Afrikander(Gladiolus grandis)。主に低地の粘土質土壌の斜面などに生える。大花の甘い香りのある春咲き種。
多年草、地上生、高さ30~80cm。球茎は球形、直径12~18mm、薄皮(tunics)は±木質~革質で、下部で爪状の裂片に裂ける。茎は通常下部が傾向き、最上位の葉の鞘の部分より上では外側に鋭く曲がり、上部は強く傾向き、分枝しない。葉は3枚で重なり合い、最下部の2枚は根生し、最下部の葉が最も長く、基部から穂状花序の先の間までに達し、茎の下部または基部付近のみを鞘で覆い、2枚目の葉は茎の下部1/2を鞘で覆い、線形、幅(1.5~)2.0~4.0(~6.0)mm、縁と中脈は強く厚く隆起し、そのため各面に2つの狭いまたは広い溝または溝があり、縁と主脈の縁はわずかにザラつき、最上部の葉は茎の中部と上部1/4の間に挿入される。穂状花序は傾向き、軽く曲がり、1~4(6)花がつく。苞は淡緑色または鈍く灰色がかり、外側の苞は長さ55~80(~115)mm、長く漸尖し、しばしば上部が捻じれ、特に最下部の苞が捻じれ、下部の縁は花序軸の周りに統合し、内側の苞はより短く、外側も苞に接するように捻じれ、二股に分かれる。花は鈍いトランペット形、淡褐色~鈍いピンク赤色、黄褐色、帯紫色またはクリーム色~緑黄色、花被片は中間の線に沿って暗色になり、下面は下部1/3が淡黄色~クリーム色、喉部の裏側1/2には暗褐色の斑点があり、背側花被片の下部の縁と花被片の間の縫合部は透明、花被全体の色は夕方に帯青色~藤色に変わり、その後、非常に甘いクローブの香りがする。花被筒部は狭い斜めの漏斗形、長さ40~45(~53)mm、上部は幅広で長さ12~20mm、苞の間に突出し、筒部の下部にときに薄く毛がある。花被片は披針状漸尖形、上部1/2がわずかに捻じれ、縁は波打ち、ときに上部が縮れ、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に強く傾向き、上部が上方に湾曲し、長さ38~45mm×幅14~20mm、上側の花被片は長さ37~44mm×幅10~15mm、基部から外側に弓状になり、下側の3個の花被片は上側花被片と長さ3~6mm結合し、ときに互いに2mmまで結合し、上部が外側に曲がり、長さ31~40mm×幅10~15mm。花糸は長さ15~25mm、通常花筒から1.5~5.0mm突き出るが、ときに花筒の先端までしか伸びず、下部にはわずかに毛がある。葯は長さ11~16mm、褐色または鈍い紫色、ほぼ水平。花粉は淡黄色またはクリーム色。子房は長円形。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、通常、葯の先端で対生して分岐し、枝の長さは±3mm。蒴果は長楕円形、断面は三角形、長さ30~50mm。種子は長さ4~5mm×幅3.0~3.5mmで、広く均一に翼がある。花期は2~5月(北半球 冬~春)。
類似のグラジオラス・ヒアリヌス(Gladiolus hyalinus)は花がより小さく、上側の花被片が長さ23~30mm、花被筒部は長さ25~36mmで、下側の側裂片は中央から斜めに捻じれる。グラジオラス・トリスティス(Gladiolus tristis)はX字形の葉を持ち、花は主にクリーム色~帯黄色、苞葉は短く、鋭形から鈍形で、長さは最大50mm。[e-Flora of South Africa]。
33 Gladiolus longicollis Bake グラジオラス・ロンギコリス
synonym Acidanthera longicollis (Baker) R.C.Foster
南アフリカ(ケープ州、フリーステイト州、クワズール・ナタール州、北部州)、エスワティニ、レソト原産。低地または岩の多い草原、砂岩の斜面に生える。
花期は春~初夏。下部の葉は±X字形または円柱形で、縁と中脈は著しく厚く隆起している。花は長い筒状のトランペット形で、クリーム色または±褐色の斑点がある。背側の花被片は長さ25~32mm、上部の側花は長さ最大45mm、花被筒は長さ45~110mmで、花糸は全部または大部分が含まれ、長さ5~13mmである。苞葉は比較的短く鈍く、長さ35~65mmである。グラジオラス・トリスティス(Gladiolus tristis)は花糸がより長く、長さ(15~)18~25mmで、主にポートエリザベス(Port Elizabeth)西部に分布するが、スワートバーグ山脈(Swartberg Mtns)にも分布する。
多年草、地生植物、高さ(20~)30~50(~60)cm。球茎は円錐形で長さ(7~)10~14mm、薄皮はかなり細かいからやや粗い繊維で層状になり、下側は時に厚くなり±爪状になる。茎は直立し、通常、第2葉の鞘状の部分のすぐ上で外側に曲がり、分枝しない。葉は3枚で、最下部のみによく発達した葉身があり、長さは茎の±2/3、断面はX字形~円柱形で4本の狭い縦溝がある。第2葉は茎を鞘状に100~150mm覆い、全体に溝があるか、短い葉身を持つ。第3葉は茎の上部1/4に挿入され、大部分が鞘状になる。穂状花序は1~3(7)個の花がつく。苞は灰緑色、外側の苞は短い尖鋭形、長さ35~50(~65)mm、内側の苞はそれよりも短い~やや長く、先は尖鋭形または切れ込みがある。花は長い筒形、白色~淡黄色で均一または、しばしば薄茶色~濃褐色のまだらになり、中央線沿いはより密になり、外花被片は紅色、裏面は帯紫色~褐色または緑色の脈があり、筒部は緑色または紫色の不明瞭な脈(線)があり、縁は透明。花被は夕方または霧のかかる天候時に広がり、カーネーションやクローブの香りがあり、翌朝閉じる。花被筒は細い円筒形、±水平で上部がわずかに湾曲し、または下部は直立し上部が外側に湾曲し、長さ(45~)50~110mm、中央線で直径2~3mm、下側の喉部にはパピラがある。花被片は等長または不等長、外花被片は等長で内花被片より大きく、鋭形~尖鋭形または漸尖形、背花被片はほぼ水平または上部で上方に湾曲し、長さ25~32mm×幅12~17mm、上側の側花被片は長さ25~42mm×幅10~19mm、下側の花被片はときに上側の側花被片と最大2mm結合し、互いに最大 2mm結合し、下側の側花被片は長さ22~32mm×幅9~14mm、下側の中央花被片は長さ25~32mm×幅12~14mm。花糸は長さ5~13mmで、通常花被筒に含まれるか、1~2mm突出する。葯は長さ9~15mm、長さの半分まで花被筒に含まれるか、1~2mmだけ花被筒から突出し、緑色または帯紫色。花粉はクリーム色~黄色。子房は円筒形。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、下部に軟毛があり、葯の上部3分の1で反対側に分岐し、枝は長さ3~6mm。蒴果は楕円形または類円筒形、長さ20~25mm×幅約6mm。種子は卵形、長さ5~6mm×幅3.5~4.0mm、広く均一な翼を持つ。花期は8月~2月(春~初夏)[e-Flora of South Africa]。
33-1 Gladiolus longicollis subsp. longicollis
synonym Gladiolus cygneus Ingram
南アフリカ(ケープ州、フリーステイト州、クワズール・ナタール州、北部州)、レソト原産。乾燥草原、湿潤草原、砂岩斜面に生える。
球茎の地中植物、高さ0.6m以下。葉は3枚で、上部の2枚は鞘状で茎を覆い、円柱形、葉身は縁と中脈が厚くなり、4本の溝がある。穂状花序に花が2~7個つく。花は長い筒形で、基部から先端にかけて広がる。葯は長さ10~12mm、帯紫色。花被片は褐色~クリーム色で、褐色がかった斑点がある。穂状花序に(1)2~4(7)個の花がつく。苞は灰緑色、外側の苞は長さ35~40mm、内側の苞はより短い。花はクリーム色~黄色、褐色の斑点やまだら模様がある。花被筒は通常、下部は直立し、上部は外側に湾曲し、長さ45~65mmで、ときに苞からほんの少しだけ突出する。花被片は披針形、漸尖形、ほぼ等長で、長さ30~35mm×幅8~12mm。花糸は長さ10~12mmで花被筒の口部まで達する。葯は長さ約9mmで、突出するか、ときに基部が筒内に含まれる。花柱は葯の先端で反対側に分岐し、枝は長さ約3mm。花期は9~10月。[e-Flora of South Africa]。
33-2 Gladiolus longicollis subsp. platypetalus (Baker) Goldblatt & J.C.Manning
synonym Acidanthera platypetala Bakersynonym Gladiolus longicollis var. platypetalus (Baker) Oberm
南アフリカ(フリーステイト州、クワズール・ナタール州、北部州)、エスワティニ原産。山地の草原に生える。
球茎を持つ草本植物、高さ0.8m以下。無毛。花被筒は筒形、上部はわずかに広がり、喉部はわずかに狭まり、長さは60mm以上。花被片は通常かなり短く、鋭形、外花被片は内花被片よりしばしば長い。花は白色、クリーム色、または黄色で、しばしば暗赤褐色または紫色の斑点と暗色の中央線が入る。[e-Flora of South Africa]。
34 Gladiolus martleyi L.Bolus グラジオラス・マルトレイ
synonym Gladiolus pillansii G.J.Lewis
synonym Gladiolus pillansii var. roseus G.J.Lewis
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はRose-scented gladiolus。ローム土壌、砂質土壌の岩の多い平地、および標高200mまでの斜面下部に生える。
秋に開花する種で、球茎の薄膜が柔らかい紙質または細かい繊維質で識別される。葉は3枚に減じ、花茎の葉は完全な鞘状。花は漏斗形、ピンク色~藤色、下側の花被片に黄色の横縞または披針形の模様があり、縁取りは赤色である。シーズン後半に別の芽から生じる単生の葉は円錐形で、4本の溝がある。ケープ半島および大西洋岸付近に生息するグラジオラス・ジョンキリオドルス(Gladiolus jonquilliodorus)は、真夏に同様の淡黄色または真珠のような灰色の花を咲かせ、2枚または3枚の葉がある。粘土質土壌に生息するグラジオラス・サブカエルレウス(Gladiolus subcaeruleus)は、球茎の薄皮が粗い繊維質で、茎の基部の周りに襟を形成し、花が淡青色で、長さ15~17mmのやや長い花被筒を持ち、葉は薄く毛がある。
高さ(20~)30~60cm。球茎は球形、直径15~30mm、薄皮は柔らかい紙質または膜質、不規則に断片化するか、やや繊維状になる。茎は下部が直立し、上部は傾向き、分岐しない。葉は1~2枚または3枚、完全に鞘状で、茎に沿って等間隔につき、またはときに、最下部の葉が上部の葉とわずかに重なり、長さ5~15cm、次第に短くなり、最上部の葉は基部まで縁が自由である。葉は開花後に生じ、単生、円錐形で4本の狭い縦溝があり、直径約1mm。穂状花序は弱く傾向き、軽く湾曲し、(3)5~11花がつく。苞は灰緑色~紫緑色、外側の苞は長さ14~22mm、内側の苞は長さ±と同程度かやや短く、先は鋭形。花は淡ピンク色~濃ピンク色、またはライラック色~藤色または白色、下側の側花被片には横帯または披針形~3裂のへら形の黄色斑紋があり、縁取りは濃ピンク色または紫色(の斑点)で、しばしば強い甘い香りがする。花被筒は斜めの漏斗形、長さ11~12mm、下部は長さ約7.5mmの円筒形。花被片は狭~広披針形で、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上方に傾斜し、先端に向かって上方に湾曲し、長さ22~27mm×幅11~12mm、上側の側花被片は先端が反り返り、長さ19~22mm×幅8.5~10.0mm、下側の3個の花被片は上側の側花被片と2~5mm結合し、上側の側花被片と3~4mm結合し、自由部は長さ15~19mmで、下部は次第に狭くなって溝のある爪状になり、拡大部は下方に弓状に湾曲し、側花被片は幅約6mm、下部中央部の幅は約8mm。花糸は長さ12~13mm、花被筒から約8mm突出する。葯は長さ6.0~8.8mm、濃い紫青色。花粉は淡灰青色。花柱は雄しべの上方に弓状に曲がり、葯の頂点近くまたはわずかに越えて分岐し、枝は長さ約3mm。蒴果は狭楕円形、長さ約12~20mm。種子は楕円形、長さ約7mm×幅4~5mm、幅広で均一な翼を有する。花期は秋。[e-Flora of South Africa]
35 Gladiolus meridionalis G.J.Lewis グラジオラス・メリディオナリス
synonym Gladiolus maculatus subsp. meridionalis (G.J.Lewis) Oberm.
南アフリカ(ケープ州)原産。アルバニー地域の茂み、海岸近くのフィンボスの斜面の石質砂岩土壌に生える。極早咲きで1月頃開花。 寒さには、やや弱い。高さ50cm程度。葉は3枚、線形、短くほぼ多肉質で、中脈と縁は肥厚しない。花はグラジオラス・プリオリー(Gladiolus priorii)より大輪、長い筒状、クリーム色~ピンク色、で識別される。筒状は長さ40~48mmで細く、下半分は亜円筒形、上半分は広円筒形である。類似種のグラジオラス・プリオリーは西海岸および南西海岸に生息し、花が橙色、上側の側花被片と下側の花被片は細長く、幅9~12mm。
高さ30~45(~80)cm。球茎は球形、直径10~20mm、薄皮(tunics)は紙質~革質、繊維状になる。茎は直立し、上部2枚の葉の鞘の上方で軽く屈曲し、分岐しない。葉は3枚で、下部の2枚は根生し、最下部の鞘は茎の下部1/2を多い、一般に短く、まれに穂状花序の基部に達し、線形で革質、縁と主脈は隆起も肥大もせず、茎葉は茎の中央と上部1/3の間につき、次第に短くなる。穂状花序は基部で屈曲し傾向き、屈曲し、1個または2(3)個の花がつく。苞は緑色または灰紫色~鈍い紫色で、質は柔らかく、外側の苞は長さ36~50mm、内側の苞はそれより短いかほぼ同長。花は長い筒状、淡~濃サーモンピンク色、またはクリーム色、下側の花被片の基部と下部の喉部に暗い斑点があることが多く、かすかに甘い香りがする。花被筒部は長さ40~48mm、細長く下部は±20mmほどの円筒形、上部は幅広い円筒形。花被片は卵形でほぼ等長、背側の花被片は長さ22~28mm×幅18~23mm、雄しべの上を±水平に伸びる。上側の側花被片は長さ24~32mm×幅15~17mm、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と6~7mm結合し、互いに±1mm結合し、自由部は長さ20~28mm、上半分が下向きに湾曲する。花糸は長さ28~40mm、花被筒部から3~4mm突出する。葯は長さ9~10mm、薄褐色。花粉は黄色。子房は球形。花柱は雄しべの上を水平に伸び、葯の先端から5mmほど突き出たところで分岐し、枝は長さ約4mm。蒴果は卵形~楕円形、長さ約12mm。種子は卵形、約・長さ5mm×幅3mm、幅広く均一な翼を持つ。花期は4~6月(北半球では冬~春)。[e-Flora of South Africa]
36 Gladiolus meliusculus (G.J.Lewis) Goldblatt & J.C.Manning グラジオラス・メリウスクルス
synonym Gladiolus alatus var. meliusculus G.J.Lewis南アフリカ(ケープ州)原産。西ケープ州の大西洋岸に生息する固有種。湿った砂岩および花崗岩の斜面および平地に生える。
矮性種。葉は細長く、肋状または波状、花はピンク色~オレンジ色により識別される。花は、ほぼ直立した背側の花被片、倒披針形の下側の花被片は基部に向かってのみ黄色を帯び、縁は暗赤色で、比較的短く、花糸は長さ約15mm、毛があり、花柱にも毛がある。グラジオラス・アラータス(Gladiolus alatus)は、一貫してオレンジ色の花をつけ、下側の花被片はより狭く、先端を除くほとんどの部分が黄色を帯びる。花糸は長く、長さ20~26mm。
高さは12~20(~27)cm。球茎は直径6~10mmの凹んだ球形で、通常、長さ10mmまでの短い匍匐茎に1~2個の小球茎を形成し、薄膜(tunics)は膜質~紙質。茎は普通、基部から傾向くかまたは下側が直立し、第3葉の鞘より上で外側に曲がり、分枝せず、わずかに扁平、最上部の葉の下側は2本のうね~3翼があり、第1花の下側は通常3本のうねまたは3翼があり、通常、地下の腋に小さな小球茎がある。葉は4枚つき、下部の2または3 枚が根生する。最下部の葉が最も長く、穂状花序と同長かそれ以上で、鎌形で線形、幅(1.8~)3.0~5.0mm、強くうねがあり、最上部の葉は普通苞状で茎から散開する。穂状花序は傾向き、ときに2個、普通3~6個の花がつく。苞は竜骨があり、淡緑色、竜骨と縁は赤色、長さ17~30mm、内側の苞はより短いかほぼ同長で、普通2隆起があり、わずかに二股に分かれる。花は2唇形、ピンク色~レンガ色または橙色。下側の花被片は黄色~帯緑色、下部は縁が狭~広く暗紫色になり、喉部の花被片縫合部に光沢のあるパピラのあるうねがあり、甘い蜂蜜の香りがする。花被筒は斜めの漏斗形、長さ約11mm、ほとんどが苞に含まれる。花被片は背側が最も大きく、倒披針形、完全に開いた状態で前方に弓状に反るかまたはほぼ直立し、長さ30~38mm×幅15~18mm、上側の側花被片はスペード形で、長さ約2mmの短い爪部があり、拡大部は急激に広がり、長さ20~30mm×幅約20mm、上部が広がり、下側の花被片は3~4mm統合し、下部に爪部があり、側花被片は長さ約23mm、爪部には溝があり、拡大部は長さ12~16mm×幅約12mm、下側の中央花被片は短い爪部があり、拡大部は長さ15~18mm×幅14~16mm。花糸は強く弓状に反り返り、長さ約15mm、花被筒部から約10mm 突出し、短い細柔毛がある。葯は長さ5~7mm、紫色または淡黄褐色。花粉はクリーム色~黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、わずかに毛があり、葯の基部と中央部の間で分岐し、枝は長さ約6mm。蒴果は卵形~楕円形、長さ20~26mm。種子は楕円形、長さ6~8mm×幅5~6mm、幅広で均一な翼を持つ。[e-Flora of South Africa]。花期は9月(南アフリカ)、北半球の冬~春。
品種) Gladiolus meliusculus x tristis.(G. meliusculusの形質をもち、パステルカラーの花が中程度の長さの花茎につく。)
37 Gladiolus merianellus (L.) Thunb. グラジオラス・メリアネルス
synonym Gladiolus bonaespei Goldblatt & M.P.de Vos
synonym Watsonia pilosa Klatt
synonym Petamenes pilosus (Klatt) Goldblatt
南アフリカ(ケープ州)原産。絶滅危惧種(Red List of South African Plants)。ケープ半島の海抜0~250mの季節的に湿潤な泥炭質砂質の平地や斜面に生える。
高さ30~50cm。花茎は直立し、穂状花序に花を2~7個付ける。苞は緑色。花は筒状漏斗形、橙色~赤橙色、または中心部~全体が黄色。花被片はスプーン形、拡大部の下部が互いに重なり、先は小突起状、上側の背側の花被片はときに先が丸くなる。花色は開花期間中に橙色~橙黄色に少しずつ変化する。雄しべは3本、葯は褐色、花粉は白色。花柱は赤色、葯を超えて3分岐し、枝は糸状。花蜜を食糧とするタイヨウチョウが花粉媒介する。花期は4~5月(北半球)。
品種) Gladiolus bonaspei(Gladiolus merianellus) x hirsutus
38 Gladiolus miniatus Eckl. グラジオラス・ミニアトゥス
南アフリカ(ケープ州)原産。西ケープ州の南部沿岸地域の固有種。英名はorange swordlily。海岸沿いの石灰質砂および石灰岩の露頭に生える。
春咲き種。花は淡サーモンオレンジ~濃サーモンオレンジ色、花被片の中央線が濃色になり、独特の形状の花被筒は長さ50~65mmで、下部は狭く、上部はより広い円筒形で長さ約30mm。花糸は比較的長く、長さ35~37mm。近縁のグラジオラス・フロリバンダス(Gladiolus floribundus)は、花被筒が細い漏斗形で、花がクリーム色~黄緑色、花糸はより短く、長さ20~22mm。
高さ15~40cm。鱗片葉は鈍い紫色で、通常は緑色または白色の斑点が薄く入る。球茎は直径約20~30mm、薄皮は紙質または中程度~粗い繊維状で、塊状に集まる。茎は最上部または上部2枚の葉の鞘状の部分より上で外側に曲がり、その後強く水平に傾向き、単純または短枝がある。葉は剣形、通常6枚で、下部の4枚は基部に最も長く、穂状花序に達するかわずかに越え、披針形、幅7~18mm、縁と主脈はやや肥厚し、茎葉はより短い。穂状花序は基部で外側に曲がり、ほぼ水平、3~7個の花がつく。苞は鈍い緑色~灰緑色、しばしば帯紫色になり、長さ40~55(~65)mm、内側の苞はより短く、微細な切れ込みがある。花は長い筒形、開花時はクリーム色から明るいサーモンピンク色だが、すぐに濃いサーモンオレンジ色になり、筒の裏面は帯赤色、花被片は中央線に沿ってより暗色で花被筒に垂れ下がり、匂は無い。花被筒部は長さ50~65mm、下部20~35mmは細い円筒形、中央部は外側に湾曲し、上部30mmは広円筒形、直径6~8mm。花被片は披針形、縁は軽く波打ち、不等長、背側の花被片は水平よりわずかに上方に弓状に伸び、長さ32~39mm×幅約15mm、上側の側花被片は先が広がり、長さ30~37mm×幅10~13mm、下側の3枚の花被片はより小さく、長さ28~34mm×幅8~9mm、下側の中央花被片はときに側花被片よりわずかに長くなる。花糸は長さ35~37mm、花被筒から8~11mm突出する。葯は長さ5~7mm、紫色。花粉は紫色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端で反対側に分岐し、枝は長さ約5mm。蒴果は卵状楕円形、長さ25~30mm。種子は卵形、約・長さ9mm×幅7mm、幅広の翼を持つ。花期は春[e-Flora of South Africa]。
39 Gladiolus murielae Kelway グラジオラス・ムリエラエ
synonym Acidanthera murielae (Kelway) Hoog
synonym Acidanthera bicolor Hochst.
synonym Gladiolus callianthus Marais
アフリカ(ブルンジ、チャド、エチオピア、マラウイ、モザンビーク、タンザニア)原産。英名は peacock gladiolus , peacock orchid , acidanthera , Abyssinian gladiolus , fragrant gladiolus。別名はピーコックグラジオラス。
高さ30~65cm。球茎は直径1.5~2.2cm、薄皮は柔らかい膜質、不規則に裂け、ときに亜繊維状になり、暗赤褐色。葉は4~8枚つき、下部の3~5枚は根生し、狭披針形、穂上花序の基部に達し、ときにわずかに超える。最も広い幅は5~12mm、柔らかい膜質、縁や中肋は厚くならない。茎は直立又は傾き、不分枝、花序の基部の直径3~4mm。穂状花序はしばしば、傾き、花が3~5個つく。苞は緑色、外側の苞は長さ5~8(~10)㎝、内側の苞は短く、外側の苞に包まれる。花は白色、下部3枚の花被片又はすべての花被片の中央の下部に先の尖った目立つ暗紫色の斑紋をもち、甘い香りがあり、夜に香りが強くなる。花被の筒部は円筒形で真っすぐのど部でわずかに広がり、長さ(9~)12~15㎝。花被片はほぼ等長、披針形、長さ3.5~4.5㎝×幅1.7~2.2㎝。雄しべは、花糸が長さ1~1.5㎝突き出す。葯は長さ約1.5㎝、先に硬い糸状の長さ2~4mmの突起をもつ。花柱は雄しべをアーチ状に超え、葯を超えて分かれ、枝は長さ約5mm、上半分がかなり幅広になる。蒴果は長円状楕円形、長さ2~2.5㎝。花期は7~11月(南半球1~3月)。
品種) Gladiolus Peacock hybrids , 'Lucky Star' , 'Zwanenburg'
40 Gladiolus mutabilis G.J.Lewis グラジオラス・ムタビリス
synonym Gladiolus muirii L.Bolus
南アフリカ(ケープ州)原産。ケープ州の南海岸沿いに散在する。砂岩斜面、砂岩由来の土壌、ローム質土壌に生える。
細長い倒円錐形の球茎と、葉は線形の4枚(時に短葉)、革質または亜多肉質により識別される。葉は中脈と縁が厚く隆起せず、花は短い漏斗形で花被筒が背側の花被片より短い。西海岸の山地に生息するグラジオラス・エクシリス(Gladiolus exilis)は3本の葉を持つ。
多年草、地生、高さ25~50cm。球茎は細長い倒円錐形、直径8~10mm、薄皮は軟骨質で、硬い帯状に崩壊し、最終的には粗い繊維質になる。茎は直立し、上部2~3枚の葉の鞘の上で外側に屈曲し、分枝しない。葉は4枚で、線形、重なり、幅1.0~1.3mm。最下部の葉は根生し、下部1/3を鞘で覆い、長さ50mm以上または穂状花序の先まで達し、革質または亜多肉質、縁と主脈は肥厚したり隆起したりしない。残りの葉は茎頂~茎中部と上部1/3の間に挿入され、次第に短くなり、全て短い葉身を持ち、覆瓦状で穂状花序の基部まで茎を包み込む。穂状花序は傾向き、わずかに屈曲し、2~5個の花がつく。苞は淡緑色、粉白色を帯び、外側の苞は長くて漸尖し、長さ25~40(~50)mm、内側の苞は短く、先端と縁は内側に巻き込み、わずかに捻じれる。花は淡青色または濃青色、藤色、または帯褐色~クリーム色で褐色を帯び、下側の3枚の花被片は中心線を横切ってまたは下側の2/3が黄色で、薄く不規則に紫色~褐色の斑点があり、スミレの甘い香りがある。花被筒は斜めの漏斗形で、長さ13~17mm、通常は苞に完全に包まれる。花被片は不等長、上側の3枚の花被片が下側の花被片より大きく、倒卵形、下部の側花被片は倒披針形、縁は波打ち~パリパリに縮れ、背花被片は弓状またはフード状で、雄しべを覆い、上部縁は反り返り、長さ25~32mm×幅14~16mm、上側の側花被片は先に向かって外側に湾曲し、下側の花被片は上側の側花被片と6~10mm結合し、上側の側花被片と2~3mm結合し、下側の側花被片は長さ16~28mm×幅7~9mm、下部は先細り溝があり、下側の中央花被片は長さ16~25mm×幅12~14mm。雄しべは花糸が長さ10~15mm、筒部から4~5mm突出する。葯は長さ9~11mm、ライラック色~クリーム色。花粉は淡黄色。子房は卵形、花柱は雄しべに被さって弓状に曲がり、葯の先端のすぐ下~すぐ上で分岐し、枝は長さ約3mm。蒴果は楕円形、長さ約15mm。種子は卵形、約・長さ5mm×幅3mm、広く均一に翼がある。開花期は5~9月(南アフリカ)、冬~春。[e-Flora of South Africa]。
41 Gladiolus oppositiflorus Herb. グラジオラス・オポジティフロルス
synonym Gladiolus blackwellii L.Bolus
synonym Gladiolus oppositiflorus subsp. salmoneus (Baker) Oberm.
synonym Gladiolus salmoneus Baker
南アフリカ(ケープ州)原産。山地草原、亜断崖草原、インド洋沿岸地帯、ドラケンスバーグ草原の湿潤草原、湿った岩の多い斜面に群生し、しばしば開けた草原の岩の多い斜面に生える。
大きく長い筒状の(亜)2唇形、花が2列に咲く穂状花序、花被筒は長さ(28~)40~55mm、苞は±膨らみ、下部の筒状の内側花序によって識別される。茎、葉、苞は平滑であるが、多くの場合は軟毛がある。東ケープ州沿岸部に生息する本種の典型的な形態は、背が高く、鮮やかなピンク色~藤色の花が咲く、はっきりとした2列の穂状花序である。内陸部の標高の高い地域に生息する本種は背が低く、サーモンピンクの花が咲き、2列の穂状花序はそれほど目立たない。Gladiolus oppositiflorus はG. mortonius と混同される可能性が最も高いが、G. mortonius の葉は短い扇形で偏側性穂状花序の基部より上まで達せず、内側の苞は基部まで開き、上部の尖端(cusps)には引き込まれない。
多年生草本、地生、高さ(40~)60~160cm。ビロード状の鱗片葉を持つ。球茎は凹んだ球形、直径30~40mm。薄皮は硬い紙質~革質、不規則に断片化するが、通常は茎基部の周囲に粗い繊維状の襟状部を形成し、上方に短く伸びる。茎は直立し、真っすぐ、しばしばまばらに軟毛が生え、分枝しない。葉は通常7~8枚で、ほとんどが根生し、扇状につき、偽茎を形成し、少なくとも穂状花序の基部まで、またはときにわずかにそれを超える。葉は重なり合って茎の下部2/3を覆い、狭い剣形~ほぼ線形~針状線形、幅12~18(~24)mm、硬く~堅く、主脈と縁は著しく肥厚し、通常、脈間(下面)は著しくビロード状(羊毛状毛)である。最上部の葉は茎の中央に挿入され、より短い。穂状花序は真っすぐ直立し、弱くまたは完全に2列に並び、7~15(26)個の花がつき、長さ6.5~11cm。苞は緑色で、質が堅く、細長く、下側にはまばらに毛があるかまたはビロード状、長さ(27~)32~50(~62)mm、内側の苞はわずかに短く、縁は下側の子房の周囲で統合し、花被筒部の基部を鞘で覆い、長さ2~4mmの細長い尖端に二股に分かれる。花は(亜)2唇形、サーモンピンク色~淡ピンク色または藤色、下側の3枚の花被片は中央線が淡く、下側1/2に赤紫色の中央の条線があり、花被筒は喉部に斑点があり、ときに裏面も赤色または紫色、香りはない。花被筒は狭く外側に湾曲し、先端近くでわずかに広がり、長さ(28~)40~50(~55)mm。花被片は披針状楕円形、縁は波打ち、上側の3枚の花被片が最も大きく、長さ(37~)45~60mm、背側の幅は20~25(30)mm、雄しべの上をアーチ状に覆い、上側の側花被片は完全に開いたとき上部1/2で外側に湾曲し、下側の3枚の花被片は3~4mmで合着し、側花被片は下側中央花被片より短く、幅約13mm、上部が下方にアーチ状に湾曲する。花糸は長さ15~17(~20)mm、花被筒から6~10mm突出する。葯は長さ約11mm、背側花被片のほぼ中央まで達し、淡藤色。花粉はクリーム色。子房は長円形。花柱は雄しべの上をアーチ状に覆い、葯の頂点から2~4mm先で分岐し、枝は長さ6~7mm。蒴果は狭倒卵状長円形、上部は3裂し、先端は切形~凹型、長さ20~25mm。種子は卵形、約・長さ6mm×幅4mm、広く均一に翼がある。花期は(11)12月~3月、夏~秋。[e-Flora of South Africa]。
品種) 'Chalice'(Strong)
42 Gladiolus orchidiflorus Andrews グラジオラス・オーキッディフロールス
synonym Gladiolus alatus Jacq.
synonym Gladiolus dregei Klatt
synonym Gladiolus viperatus Ker Gawl.
南アフリカ(ケープ州、フリーステイト州)、ナミビア原産。英名はorchid-flowered sword lily, Orchid Kalkoentjie。開けた低木地の深い砂質土壌によく見られるが、岩場の斜面や、ドレライトの露頭にも見られる。
花期は冬~春。複数の平らな葉と、特徴的な帯緑紫色の花で識別される。花は、幅3~6mmの細く強くアーチ状の背側花被片と、幅広でスペード形の上側側花被片と下側中央花被片を持つ。大西洋岸に分布する個体はほぼターコイズグリーンの花を咲かせる、その他の地域では灰紫色~鈍い紫色である。
地生植物、高さ(8~)30~80cm。球茎は球形~円錐形、直径12~20mm、基部に多数の小球茎を形成し、薄皮は中程度~非常に粗い繊維質または薄い革質~硬い紙質。茎は下部で直立し、上部の鞘の上で外側に曲がり、単枝または1~2分枝する。葉は(4)5~8(10)枚、下部の3~7枚は根生し、しばしば扇形になり、茎のほぼ中央まで達し、平ら、狭披針形~線形、ときに鎌形(~剣形)、幅2~7(~15)mm、質は柔らかく、ときにやや肉質、中央の、ときに1本以上の二次脈がわずかに肥厚し、縁はときにわずかに肥厚し、まれにわずかにパリパリに縮れる。穂状花序は傾向き、わずかに湾曲し、花は偏側生、2列に並び、5~12個つく。苞は帯緑色、または紫灰色で、外側の苞は長さ(13~)18~23(~30) mm、内側の苞はわずかに短いかほぼ同長で、先端に切れ込みがある。花は2唇形、灰緑色~鈍い紫色で、下側の3枚の花被片の上部1/3に明るい黄色から帯緑色の横縞があり、先の縁は濃い紫色で、スミレの強い香りがある。花被筒は細く斜めの漏斗形、長さ9~14(~28 )mm。花被片は縫合部に沿ってパピラのある隆起があり、背側の花被片が最も長く、狭長円状へら形、強く弓状に湾曲し、長さ20~35mm×幅3~6mm、上側の側花被片は狭スペード形で、爪部は幅2~4mm、拡大部は三角形~披針形、長さ12~16mm×幅6~17mm、先が外側に湾曲し、やや細くなり、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と2~4mm結合し、互いに1~2mm結合し、長さ11~20mm、下向きに弓状に湾曲し、下側の中央花被片は側花被片よりわずかに長いか短いが、幅はほぼ2倍ある。雄しべは花糸が強く弓状に湾曲し、長さ20~25mm、花筒から6~20mm突出する。葯は長さ5~11mm、ライラック色~紫色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央から上部の半分で対生し、枝は長さ3.5~5.0mm。蒴果は楕円形、ときに球形になり、その後ほぼ3裂して反り返り、長さ10~23mm。種子は卵形~円形、長さ6~8mm×幅5~6mm、幅広く均一に翼がある。花期は8~10月(南アフリカ)、冬~春。[e-Flora of South Africa]。
43 Gladiolus oppositiflorus Herb. グラジオラス・オポジティフロールス
synonym Gladiolus blackwellii L.Bolussynonym Gladiolus oppositiflorus subsp. salmoneus (Baker) Oberm.
synonym Gladiolus salmoneus Baker南アフリカ(ケープ州、クワズールー ナタール州)原産。英名はtranskei gladiolus, salmon gladiolus。山地草原、亜断崖草原、湿潤草原、湿った岩の多い斜面に群生する。
夏~初秋咲き。大きく長い筒状の花が2列に咲く穂状花序、花被筒の長さ(28~40~55 mm)、苞葉は±膨らみ、その下側の内側の筒状花序によって識別されます。茎、葉、苞葉は平滑であるが、多くの場合は軟毛がある。東ケープ州沿岸部に生息する本種の典型的な形態は、背が高く、鮮やかなピンク色から藤色の花が2列に咲く穂状花序である。内陸部の標高の高い地域に生息する本種は背が低く、サーモンピンクの花が2列に咲き、穂状花序はそれほど顕著ではない。Gladiolus oppositiflorusはG. mortoniusと混同される可能性が高いが、G. mortoniusの葉は短い扇形で偏側性の穂状花序の基部より上までには達せず、内側の苞は基部まで開いており、上部の尖端には引き込まれない。
高さ(40~)60~160cm、ビロード状の鱗片葉を持つ。球茎は凹んだ球形(depressed-globose)、直径30~40mm、薄膜(tunics)は堅い紙質~革質、不規則に断片化するが、通常は茎の基部を囲む粗い繊維状の襟状部として上方に短い距離まで伸びる。茎は直立し、真っすぐ、しばしばまばらに軟毛があり、分枝しない。葉は単葉、通常7~8枚で、ほとんどが根生し、偽茎を形成し、少なくとも穂状花序の基部まで達するか、ときにそれをわずかに超える。葉は重なり合って茎の下部2/3を覆い、細剣形~ほぼ線形(針状線形)、幅12~18(~24)mm、堅い~硬く、主脈と縁は著しく厚くなり、通常、脈間は著しくビロード状(羊毛状毛)になる。最上部の葉は茎の中央に挿入され、より短い。穂状花序は真っすぐ直立し、弱くまたは完全に2列に並び、7~15(26)個の花がつく。苞は緑色で、堅い質感があり、漸尖し、下部にはまばらに毛があるかビロード状(羊毛状毛)で、長さ(27~)32~50(~62)mm。内側の苞はわずかに短く、縁は下部で合着、筒部の基部を鞘で覆い、漸尖形の尖頭に二股に分かれ、長さ2~4mm。花はサーモンピンク色~淡ピンク色または藤色、下側の3個の花被片は中線が淡く、下側1/2に帯赤色~紫色の中央の条線がある。花被筒部は喉部が赤色または紫色で、ときに裏面も赤色または紫色になり、香りはない。花被筒は細く、外側に湾曲し、先端近くでわずかに広がり、長さ(28~)40~50(~55)mm。花被片は不等長、披針状楕円形で、縁は波打つ。上側の3個の花被片が最も大きく、長さ(37~)45~60mm、背側の幅は20~25(~30)mm、雄しべの上をアーチ状に覆い、上部の側花被片は完全に開いたとき上部1/2が外側に湾曲し、下部の3個の花被片は3~4mmで合着し、側花被片は下側の中央花被片より短く、幅は±13mm、上部が下方にアーチ状に湾曲する。花糸は長さ15~17(~20)mmで花被筒部から6~10mm突出する。葯は長さ±11mmで背側の花被片のほぼ中央まで達し、淡藤色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上をアーチ状に覆い、葯の頂点から2~4mm先で分岐し、枝は長さ6~7mm。蒴果は狭倒卵状長円形、上部は3裂し、切形~凹型、長さ20~25mm。種子は卵形、約・長さ6mm×幅4mm、広く均一に翼がある。花期は12月~3月(カリフォルニア8~9月)[e-Flora of South Africa]。
44 Gladiolus papilio Hook.f. グラジオラス・パピリオ
synonym Gladiolus brachyscyphus Baker
synonym Gladiolus purpureoauratus Hook.f.
synonym Gladiolus schlechteri Baker
synonym Gladiolus spathulatus Baker
南アフリカ(ケープ州、フリーステイト州、クワズール・ナタール州、北部州)、レソト、スワジランド原産。英名はbutterfly gladiolus , goldblotch gladiolus , butterfly sword lily。山地の草原、乾燥草原、湿地、湧水地、川岸、湿地草原に生える。
植物は長い匍匐茎によって栄養繁殖し球茎は比較的小型、薄皮は紙質。花が比較的大きく、垂れ下がった鐘状、顕著に傾向く穂状花序をつけることで容易に識別できる。花被筒は長さ18~20mmで、下側の花被片に目立つ蜜標があり、花被筒は鋭く湾曲する。
多年草、群生し、高さ(40~)50~75(~100)cm。鱗片葉は革質。球茎は花期にはほとんど発達せず、比較的小型、根茎状で、細い匐匐茎を形成し栄養繁殖し、先端には1個の小球茎ができる。薄皮は紙質状の膜質で、年齢とともに断片化する。茎は直立またはわずかに傾向き、最上位の葉鞘の上で外側に屈曲し、その後傾向き、分枝しない。葉は重なってつき、扇形にはならず、6枚または7枚(9枚)で、下部の4~6枚はほぼ根生し、長さは茎の±中央またはそれ以上に達し、狭披針形、幅9~14(~19)mm、縁と主脈はやや肥厚し、茎葉はより小さく、大部分がまたは完全に鞘状になる。穂状花序は傾向き、通常基部で強く屈曲し、4~8(~13)個の花がつく。苞は灰緑色しばしば灰紫色を帯び、外側の苞は長さ20~35mm、内側の苞はやや短く、鋭形。花はうなずき、短い筒部と開いた鐘形の拡大部を持ち、クリーム色~帯緑色または帯黄色を帯び、上部の花被片の内側は半透明のピンク色または薄紫色を帯び、裏面は帯緑色~灰色または紫色である。下側の側花被片には細長い暗緑色または薄紫色~暗紫色の斑点(蜜標)があり、花被筒の上部まで伸び、先端の下に不明瞭~明瞭な三日月形の黄色~クリーム色の帯があり、香りはない。花被筒は斜めの漏斗形、上部の基部で外側に湾曲し(鋭く湾曲)、長さ18~20mm、苞の中央上部から出る。花被片は倒卵形、不等長、背側の花被片が最も大きく、長さ25~35mm×幅23~30mm、雄しべに覆われ、水平または地面に向かって傾き、上側の側花被片は前方を向き、背側および下側の花被片と接して口の広い鐘形を形成し(フード状になり)、長さ24~35mm×幅17~24mm、下側の花被片は±2mmで互いに接合し、下側が狭まり、長さ22~32mm×幅14~21mm、下側中央部の花被片は長さ20~26mm×幅13~20mm。花糸は長さ20~22mm、花被筒から7~10mm突き出る。葯は長さ8~10mm、外面は帯紫色、下部はクリーム色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3で反対側に分岐し、枝は長さ4.0~6.5mm。蒴果は卵状長円形、上部は3裂し、小凹形、長さ18~24mm。種子は長円形で、幅広の翼があり、長さ8~9mm×幅4~5mm、赤褐色。花期は11月~3月(南アフリカ)。花期は夏~秋。[e-Flora of South Africa]。
品種) 'Papilio Major' , 'Purpureoauratus Group' , 'Ruby' , Gladiolus papilio hybrid
45 Gladiolus palustris Gaudin グラジオラス・パルストリス
ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、バルト諸国、ベラルーシ、ブルガリア、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ロシア、ポーランド、スイス、ウクライナ、ユーゴスラビア)原産。英名はmarsh gladiolus , sword lily。沼地、湿地に生える。
高さ30~60㎝。球茎は球形、頂部に格子状の繊維がある。茎は直立、無毛、分枝しない。葉は茎より短く、単葉、並行脈、剣形、長さ4~9㎝。花序は3~6個の両性花と葉が3個つき、長さ約30㎝、花被はローズバイオレット色又はマゼンタ色。花期は5~7月。マルハナバチ(bumblebees)が花粉媒介する。
46 Gladiolus permeabilis D.Delaroche グラジオラス・ペルメアビリス
synonym Gladiolus communis subsp. palustris (Gaudin) Bonnier & Layens
synonym Gladiolus boucheanus Schltdl.synonym Gladiolus felicis Z.Mirek
synonym Gladiolus parviflorus Berdau
synonym Gladiolus pratensis A.Dietr.
synonym Gladiolus triphyllus Bertol.
南アフリカ(ケープ州、自由州、クワズール ナタール州、北部州)、エスワティニ、ボツワナ、レソト、ナミビア、ジンバブエ原産。石の多い草原および開けた草地の低木地帯の亜断崖サバンナ、アルバニーの茂み、フィンボス・レノスターフェルト東部の頁岩斜面に生える。
花期は晩冬~春。細長い葉と、小さく短い筒状の、通常は地味な色の花で識別される。花は横から見ると、背側の花被片と上側側花被片の間に広い隙間または窓がある。球茎の薄皮は細かい繊維質。蒴果は卵状楕円形である。Gladiolus uitenhagensis と G. sekukuniensis は、長さ22~35mmの筒部を持つ類似の花で区別される。分布域の最西端では、木質で爪状の球茎の薄皮と倒卵形で反り返った蒴果を持つ G. scullyi と混同される。
多年草、地生、高さ15~60cm。球茎は球形~円錐形、直径は8~12mm、薄皮は中程度~粗い針金状の繊維質である。茎は普通直立し、第3葉の鞘より上で外側に曲がり、単枝または1~2(4)分枝する。葉は通常4~7枚だが、多数分枝した植物ではさらに多く、下部の4~6枚は緩く扇状に根生し、普通は穂状花序の中央までまたはわずかに越える長さで、線形または円柱形の亜多肉質、鞭状、断面は楕円形、幅1.0~2.0(~3.5)mm、硬く、中央部は中程度に厚くなり、縁は時にわずかに厚くなり、茎葉はより短く、しばしば葉身を持たず、上部は下方に鞘状になるか基部から分岐する。穂状花序は傾向き、わずかに湾曲し、偏側生、4~8個の花がつく。苞は淡灰緑色でときに帯紫色、しばしば乾燥し先端近くは淡色になる。外側の苞は長さ(7~)12~18(~24)mm、内側の苞はより短いかほぼ同じ長さで、鋭形またはわずかに二股に分かれる。花は2唇形、白緑色がかったクリーム色、鈍い青灰色、鈍い紫色、または黄褐色で、しばしば帯黄色の斑点があり、上部の花被片または少なくとも上側の側花被片にはそれぞれ褐色~帯紫色の縦中央縞があり、下側の花被片と喉部には赤紫色の縞があり、拡大部は下半分が通常黄色で、上部の位縁はしばしば暗色で、強い甘い香りがするか、または無臭である。花被筒は斜めの漏斗形、長さ9~13(~15)mm、下部は細く、長さ7~10mmである。花被片は不等長、下部が狭まり爪部があり、±スペード形で、細くなり、極端に細くなることもある。背花被片が最も大きく、長さ(16~)20~33mm×幅10~15mm、雄しべの上に傾向き、先が広がり、上側花被片は先が外側に弓状に広がり、長さ16~23mm×幅7~8mm、背花被片と上側花被片の基部の間に窓があり、下側の3枚の花被片は上側花被片と2~5mm結合し、互いに3~6mm結合し、窪みに小さな肥厚した突起がある。自由部は長さ14~16mm×幅6~8mm、下部は狭まり長さ2~4mmの爪部になり、下向きに急に曲がって幅広い拡大部となる。花糸は長さ12~16mm、花被筒から8~13mm 突き出る。葯は長さ5~9mm、鈍いクリーム色~灰紫色。花粉は帯白色。子房は長円形である。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の基部と先端の間で分岐し、枝は長さ1.5~4.0mm。蒴果は卵状楕円形、長さ(6~)9~16mm×幅5~6mm、先は3裂し、先端は窪む。種子は楕円。花期は8~10月(南アフリカ)、晩冬~春。[e-Flora of South Africa]。
47 Gladiolus priorii (N.E.Br.) Goldblatt & M.P.de Vos グラジオラス・プリオリー
synonym Gladiolus hirsutus var. tenuiflorus Klatt南アフリカ(ケープ州)原産。花崗岩の斜面に多く、砂岩の露頭にも生える。
秋~冬咲き、葉は3枚または4枚つき、線形、短くほぼ多肉質、中脈と縁は厚くならない。花は長い筒状、赤色~ほぼオレンジ色、筒部は長さ30~46mmで、下部は細くほぼ円筒形、上部は広円筒形になる。南海岸原産のグラジオラス・メリディオナリス(Gladiolus meridionalis)は、花がクリーム色~サーモンピンク、幅15~23mmの幅広い卵形の花被片を持つ。
高さは30~50(~70)cm。球茎は卵形で直径12~20mm、薄皮は紙質で、後に軟らかく繊維質になる。茎は直立し、上部の3枚の葉の鞘の上で外側に曲がり、分枝しない。葉は(3)4枚、最下部は根生し、茎の下部1/3~1/2を鞘状に覆い、比較的短く、まれに穂状花序の基部に達し、線形で長さ10cmまで、通常かなり肉質で、縁と主脈は隆起も肥大もせず、残りの葉は次第に短くなる。穂状花序は傾向き、湾曲し、1~4(5)花がつく。苞は質が堅く、外側の苞は長さ2.5~4(~5)cm、内側の苞は外側の苞より短~ほぼ同長。花は筒形(筒状漏斗形)、緋色で、下側の花被片の基部と花被筒の上部(は淡黄色またはクリーム色で、香りはない。花被筒は長さ30~46mm、下部10~20mmは細長い円筒形、上部は長さ20~30mmがより広い円筒形に急に広がる。花被片はほぼ等長、披針形、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に水平に伸び、長さ25~32mm×幅15~19mm、上側の側花被片は基部からほぼ広がり、長さ22~32mm×幅10~12mm、下側の3枚の花被片は基部から下方に弓状に伸び、長さ20~27mm×幅9~12mm。花糸は長さ25~37mm、花被筒部から6~10mm突出する。葯は長さ7.5~8.5mm、淡黄色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に水平に伸び、葯の中央と上部の1/3の間で分岐し、長さ2.5~3.5mm。蒴果は楕円形、先が鋭形、長さ12~15mm。種子は卵形、長さ6~7mm×幅約5mm、幅広く均一な翼がある。花期は4~6月(秋~冬)[e-Flora of South Africa]。
48 Gladiolus pritzelii Diels グラジオラス・プリッツェリー
南アフリカ(ケープ州)原産。標高800~2000mの岩場砂岩および粗粒玄武岩斜面、フィンボス内の岩場砂岩斜面、または内陸部のレノスターフェルトの粗粒玄武岩露頭に生える。春咲き種。3枚の滑らかまたは軟毛のある葉で、片側には一対の肥厚した隆起した葉脈があるが、縁は肥厚しておらず、鐘形をしており、黄色の花は短く鋭く曲がった花被筒を持ち、長さ11~12mmである。グラジオラス・デルピエレイ(Gladiolus delpierrei)は似た葉を持つが、球茎は柔らかい繊維質で、漏斗形で淡黄色からクリーム色の花は、長さ約8mmと非常に短い花被筒を持つ。ボッケフェルト断崖に生息するグラジオラス・サフラバス(Gladiolus sufflavus)は、縁と中脈が肥厚したX字形の葉と、緑がかった花を持つ。
高さ20~60cm。地上部にはしばしば軟毛のある鱗片葉を持つ。球茎は球形で、直径15~20mm、薄皮は木質~革質、下から粗い鋸歯状に裂けるか、または繊維状になる。茎は全体に±直立し、上位2葉の鞘より上で屈曲し、分岐しない。葉は3枚で、最下部の葉は穂状花序の基部までに達し、平滑または微軟毛~絨毛があり、茎の下部1/3を鞘で覆い、線形、幅1.0~3.5mm、通常2本の隆起した中央脈があり、縁は目立って厚くなく、2番目の葉は穂状花序のすぐ下まで茎を鞘で覆い、葉身は短く、3番目の葉は穂状花序のすぐ下に挿入される。穂状は弱く傾向き、屈曲し、1~3(5)花がつく。苞は淡色~オリーブグリーン色、縁は膜質、外側の苞は長さ20~40mm、内側の苞はより短く、わずかに二股に分かれる。花は左右相称、鐘形、明るい~鈍い黄色、上側の側花被片にはときに帯赤色の斑点があり、下側の側花被片には赤色~紫色または褐色の輪郭がある明るい黄色の横帯があり、下部の中央には赤色または紫色の輪郭があるスペード形の黄色の斑紋があり、喉部の下部には暗色の縞があり、甘い香りがある。花被筒は斜めの漏斗形で膝状、長さ11~12mm、下部の半分は直立し、長さ約6mm の円筒形、上部の半分は鋭く曲がって外側に広がる。花被片は上部の3枚が卵形で、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上にアーチ状になり、長さ(16~)22~24mm×幅13~20mm、上側の側花被片はわずかに小さく、先が反り返り、下側の3枚の花被片は上部の側花被片と4~6mm合着し、互いに2~3mm合着し、中脈はザラつき、先が下向きに曲がり、側花被片はへら形、長さ12~16mm×幅約7mm、下側の中央花被片はほぼ同長、披針形。花糸は長さ10~12mm、花被筒部から5~6mm突出するが花に含まれる。葯は長さ約8.5mm、赤褐色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上にアーチ状になり、葯の先端のすぐ下で分岐し、枝は長さ3~4mm。蒴果と種子は不明。花期は春[e-Flora of South Africa]。
49 Gladiolus quadrangularis (Burm.f.) Aiton グラジオラス・クアドラングラリス
synonym Anisanthus quadrangularis (Burm.f.) Sweet南アフリカ(ケープ州)原産。レノスターフェルド低木地帯の粘土質およびローム質土壌の斜面および台地に生える。
同系列の類似種とは、花が似ているが、球茎の薄皮がより柔らかく、中心の葉は直径2.5~4.0mmで、断面はX字型で、主脈は表面の両側に翼状の隆起を持つ点で区別される。西部低地産のGladiolus watsoniusは線形の葉を持ち、主に幅4~6mmで、両面に2つの溝がある。一方、オーバーバーグ産のG. teretifoliusは円柱形の葉を持ち、直径1~2mm、主脈と縁は著しく肥厚し、4つの細い縦溝がある。両種とも、硬く爪状の球茎の薄膜を持つ。
高さ35~90cm。球茎は球状円錐形で、直径12~20mm、薄皮は紙質~革質、下部では細かいまたは中程度の質の垂直な繊維に腐朽する。茎は直立し、上部の2枚の葉の鞘の上で外側に曲がり、分岐しない。葉は3枚で、最下部の葉が最も長く、穂状花序の基部と先端の間まで達し、茎の下部50~80mmを鞘で覆い、上部は直立または垂れ下がり、中心の葉で、幅2.5~4.0mm、断面は十字形で中肋は表面の両側で翼状の隆起になり、中肋の翼縁と縁はやや厚くなり、2番目の葉は短い葉身で茎の長さの±2/3を鞘で覆い、3番目の葉は穂序花序のすぐ下に挿入され、下部を鞘で覆う。穂状花序は直立し、ほぼ真っすぐ、4~8(11)個の花がつく。苞は緑色で、外側の花被片は長さ30~45mm、内側の花被片はより短く、先端で二股に分かれる。花は緋色~レンガ色、稀にピンク色。背側および下側の側花被片は下縁が透明になり、たまに下側の花被片は基部に向かって橙色となることがあり、芳香は無い。花被筒部は長さ(35~)43~55mm、下部は細く円筒形で、長さ10~12(~22)mm、上部は急に広がって外側に湾曲し、より広い円筒形となり、長さ(15~)24~32mm、幅5~7mmm。花被片は披針形、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に水平に伸び、長さ(20~)25~29mm×幅(8~)12~15mm、上部の側花被片は基部からほぼ外側に広がり、長さ(16~)20~28mm×幅(6~)9~11mm、下部の花被片は基部から外側に湾曲し、側花被片板は長さ10~15mm×幅4.5~6.5mm、下側の中央花被片は長さ(12~)15~20mm×幅(3~)5~6 mm。花糸は±水平長さ30~40mmで、筒部から(4~)6~10 mm突出する。葯は長さ9~11(~14)mm、黄色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に水平に伸び、葯の中央と先端の間で分岐し、枝の長さは3.5~4.5mm。蒴果は楕円形、長さ約25mm。種子は不明。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]。
50 Gladiolus recurvus L. グラジオラス・レクルバス
synonym Watsonia recurva (L.) Pers.
synonym Gladiolus modestus Ingram
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はviolet-scented gladiolus。俗名はSandlelie, Sandpypie, Voorlopertjie。ケープ州南西部の端の固有種。石壌土または粘土質土壌の平地および低地斜面に生える。
グラジオラス・グラシリス(Gladiolus gracilis)に似ているが、葉は下部で幅±2mm、断面が±H字形で縁が中脈より内側に湾曲し、狭く縁に翼があり、花が比較的長い筒状であり、花被片が縮れ、漸尖し、下側の花被片に縞模様と斑点があり、花被筒が長さ27~36mmで識別される。グラジオラス・グラシリスは、斜めの漏斗形で青色(稀にピンク色)の花をつける。花被筒は短く、長さ12~18mm、花被片は先がほぼ鋭形。
高さ25~35cm。球茎は球形、直径は10~14mm、薄皮は硬く木質で、下部から爪状の裂片に裂ける。茎は上部で傾向き、各葉の鞘の上で外側に屈曲し、分枝しない。葉は4枚、最下部は根生し、茎の下部1/3を鞘で覆う。葉身は短いかまたは穂状花序の基部直下まで達し、線形、長さ3~10cm、幅約2mm、縁は翼状に隆起し、直角に伸びて葉身表面で内側に弓なりになり、縁は軽くザラつき、主脈は軽く隆起するが肥厚しない。穂状花序は傾向き、屈曲し、花が1個または2個(4個)つく。苞は鈍い緑色~灰褐色、外側の苞は長さ30~40mm、先端はやや捻じれ、縁は内側に巻き込み、内側の苞はより短い。花は鈍いクリーム色(灰色)~淡黄色、下側の側花被片には不規則に線が入り鈍い紫色の斑点がある、上側の花被片にはときに、中線に向かって薄く線または斑点が入る、上側の花被片の下部の縁は透明、強い甘い芳香がある、花被筒は±円筒形、外側に湾曲し、喉部で広がり、長さ 27~36mm。花被片は披針状漸尖形、上側の縁は波打ち、先は外側に捻じれ、背側の花被片が最も大きく、斜上し、長さ22~30mm×幅14~18mm、上側の側花被片は長さ22~26mm×幅8~11mm、先が広がる。下側の3個の花被片は上側の側花被片と4~7mm結合し、互いに2~3mm結合し、自由部は長さ約20mm×幅8~9mm、上部1/2が広がる。花糸は長さ14~15mm、花被筒部から4~5mm突き出ている。葯は長さ8~10mm、鈍い灰色~帯黒色。花粉は淡黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端直下から先端直上で分岐し、枝は長さ2.5~4.0mm。蒴果は卵形~楕円形、長さ14~16mm。種子は卵形、約・長さ5mm×幅3mm、幅広で均一な翼がある。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]。
品種) ハイブリッド 'Robinetta'
51 Gladiolus reginae Goldblatt & J.C.Manning グラジオラス・レジナエ
南アフリカ(北部州)原産。英名はcrane flower , bird of paradise。ムプマランガ州(Mpumalanga)ケネディーズ・ベール(Kennedy’s Vale)近郊のドワーズリバー山脈(Dwarsrivier Mtns)の麓斜面にのみ分布する狭い地域固有種。開けた森林地帯の重金属を多く含む岩盤の露頭に生える。
細長く、比較的柔らかな質感の葉と、中程度の長さの筒形の淡ピンク色の花が2列に咲く穂状花序により識別される。花は中心部が暗赤色、葯は紫色、花被片は披針状漸尖形、下側の3枚の花被片には赤色の縞模様があり、花被筒は長さ33~35mm。内側の苞の縁は下部で合着し、子房を囲む筒状になる。外側と内側の苞の両方の先端から光合成産物が滴状に分泌され、アリを誘引する。内側の苞は筒形、その他の点ではser.(列) Oppositifloriの特徴を備えており、北部州原産のGladiolus dolomiticus Oberm.やGladiolus pole-evansii Verdoornも同様の分泌物を分泌する。
植物体高さ40~150cm。球茎はほぼ球形で、直径±20mm、外側の薄皮は紙質、±繊維状になる。茎は直立または根生葉の上部で外向きに傾向き、分枝しないか、ときに1分枝する。葉は8枚または9枚で、下部の6枚または7枚は根生し、穂状花序の基部またはそれ以上に達する。葉は狭い剣形、幅(3~)5~10mm、質が比較的柔らかく、主脈は隆起するが、その他の脈と縁は肥厚せず、上部1/2がわずかに捻じれる。茎葉はより小さく、最上部の葉はほとんどまたは完全に鞘状になる。穂状花序は直立し、7~16個の花が、2列につく。苞は質が柔らかく、淡緑色、花後まもなく淡い麦わら色になり乾燥する。外側の苞は長さ(20~)22~32mm、内側の苞は外側の苞よりわずかに短いかまたはほぼ同長、先端で微細に二股に分かれ、縁は基部の1/2が融合し、そのため下部は筒状である。外側および内側の苞の先端から光合成産物を滲出する。花は淡い肌ピンク色(flesh-pink)、花被片縫合部と筒部はより濃いサーモンピンク色、下側の3枚の花被片は基部の3分の1の側部が濃赤色、基部の1/2に3本の主線と2本の副線が縦縞模様になり、上側の3枚の花被片は基部が濃赤色であり、芳香は無い。花被筒部は斜めの漏斗形で、先端がわずかに弓状になり、長さ33~35mm、基部の円筒形部分は長さ25~27mm。花被片は上側の3枚が大きく、下部が直立し、先端部で反り返り、披針状漸尖形、縁はわずかに波打つ。背側の花被片は基部1/2が水平になり、深く凹み、長さ約33mm×幅11~12mm。上側の側花被片は長さ32~34mm×幅10~12mm、下側の3枚の花被片は1 mm結合し、下側の側花被片は最も短く、長さ28~29mm×幅9~10mm、下部の中央花被片は長さ約30mm×幅9~10 mm。花糸は長さ17mmで筒部から7mm突出し、基部1/3が濃赤色。葯は長さ8~9mm、紫色。花粉はクリーム色。花柱は背側花被片の下で弓状に曲がり、葯の頂点でまたはそれ以降で分岐し、枝は長さ4mm。蒴果は倒卵形、上部が3裂して微凹形、約・長さ30mm×幅12mm。種子は楕円形~長円形、長さ8~10mm×幅4~6mm、ほぼ均等に翼があるか、または片側に翼がない。花期は3~4月(南アフリカ)。[e-Flora of South Africa]。
52 Gladiolus rogersii Baker グラジオラス・ロゲルシー
synonym Gladiolus burchellii (L.Bolus) Ingram
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はriversdale bluebell , riversdale bell。標高1000mまでの南側の砂岩および石灰岩斜面、海岸沿いの石灰岩平地に生える。
3~5枚の中脈の明瞭な線形葉を持つ変異種で、葉縁と中脈はやや肥厚し、断面はまれに楕円形となる。花は膨らんだ鐘形で、青色~紫色または藤色で、花被筒は短く鋭く曲がっており、長さ12~19mmである。下側の花被片には、典型的には濃紺または紫色の縁取りのある白から黄色の横縞が見られる。
高さは(20~)30~60(~100)cm。鱗片葉は紫色または白色もしくは乾燥し暗褐色の斑点があり、ときに微細なビロード状である。球茎は球形、直径8~14mm、薄皮は通常紙質または微細な繊維質で、まれに中程度の繊維質があり、まれに下部が粗く爪状となる。茎は下部で直立し、上部の2枚の葉の鞘上で外側に曲がり、上部は傾向き、分枝しない。葉は3枚または4枚(5枚)で、最下部または下部の2枚は根生し、穂状花序の基部に達するか花序を超える。葉は線形(まれに断面が±楕円形になり)、まれに鋸歯があり、幅1.5~4.0(~6.5)mm、真っすぐ、質感は軟らか~やや針金状、縁と主脈は軽度~重度に肥厚し、茎葉は地上よりかなり上に付き、次第に短くなり、最上部は時に完全に鞘になり、縁は下部で統合する。穂状花序は傾向き、(1)3~6個の花がつく。苞は緑色または淡灰色~紫色わずかに紅色で、広い透明な縁があり、散開し、外側の苞は長さ15~22mm、内側の苞はわずかに小さく、微細に二股に分かれる。花は膨らんだ鐘形(または2唇形)、淡青色~濃青色または紫色、上側の花被片の裏面はより濃色、下側の花被片の下部1/2には紫色の薄い斑点があり、上部1/3には濃青色~紫色の縁取りまたは囲みのある横方向または中央に黄色~白色の斑点があり、通常、わずかに甘い香りがある。花被筒は斜めの漏斗形、膝状、長さ12~19mm、下半分は直立し、円筒形、上半分は直角に曲がって外側に広がる。花被片は不等形、上側が卵形、下側がへら形、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に水平に伸び、倒卵形、長さ20~30mm×幅16~26mm、上側の側花被片はわずかに短く、先端でわずかに外側に湾曲し、下側の3個の花被片はカップ形になり、先端は前方または下方を向き、上部の側花被片と5~9mm結合し、自由部分は長さ16~22mm×幅8~16mm、拡大部と爪部に明確に分かれず、縁は広鈍形または凹形、先が上方に湾曲する。雄しべは花糸が長さ10~12(~15)mmで、花被筒部から5~8mm突出する。葯は長さ5.5~9.0mmで青色、ほぼ水平に横たわる。花粉はクリーム色。子房は長円形、花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端近くで分岐し、枝は長さ約4mm。蒴果と種子は不明。花期は7~11月(北半球では1~5月)。[e-Flora of South Africa]。
品種) Gladiolus alatus x rogersii, Gladiolus citrinus (trichomenifolius) x rogersii, Gladiolus tristis x rogersii, Gladiolus rogersii x debilis
53 Gladiolus saccatus (Klatt) Goldblatt & M.P.de Vos グラジオラス・サッカトゥス
synonym Anisanthus saccatus Klattsynonym Antholyza duftii Schinz.
synonym Gladiolus saccatus subsp. steingroeveri (Pax) Goldblatt & M.P.de Vos
南アフリカ(ケープ州)、ナミビア原産。英名はSac-like Gladiolus。乾燥した頁岩斜面、排水路沿いの石の多い斜面や岩の露頭に生える。冬~春咲き。深紅色の花が特徴で、背側の花被片のみが発達し、スプーン形(肥大しへこんだ球状)で、残りの花被片は縮小し鱗片状である。花被筒の上部は袋状の距を形成し、中央の花糸の基部に歯状の隆起部を囲む。グラジオラス・クノニウス(Gladiolus cunonius)およびグラジオラス・スプレンデンス(G. splendens)と近縁で、いずれも鮮やかな赤色で高度に2唇形の花を咲かせ、上部の花被片はスプーン形(肥大しへこんだ球状)、上側側花被片に部分的に付着し、下部の花被片は縮小し、中央の花糸の基部に肥厚した歯状または隆起部を有する。葯は多様で、枝は内旋する。
地生植物で、高さ25~80(~120)cm。鱗片葉は紫色に白色の斑点がある。球茎は球形~円錐形、直径12~15mm、短い匍匐茎に大きな小球茎が付き、薄皮は紙質で、不規則に断片化するか、±繊維状になる。茎は上部の節で屈曲し、上部が傾向き、暗紫緑色または紫色(紫色と白色の斑点があり)、2~3(6)分枝する。葉は剣形、革質、5枚または6枚(7枚)つき、下側の3枚は根生し、茎の±上部まで、まれに穂状花序の基部まで達し、狭披針形、±平らまたは軽くひだがあり、幅3~15mm、主葉と通常もう1枚の葉脈はよく発達し、縁は厚くなく、茎葉はより短く、茎から散開し、鞘を持たないかほとんど持たない。穂状花序は傾向き、アーチ状に伸び、2列に8~12(15)個の花がつく。苞は±多肉質で紫褐色、外側の長さは20~35(~42)mm、内側はそれより短く±同程度の長さ。花は鮮やかな赤色で、下側の3枚の花被片と距は開花時には緑色で、後に黄色から橙色になり、芳香は無い。花被筒は長さ11~20mm、下部は6~12mmが細い円筒形で、上部は急に広がり、長さ5~8mm、下部の基部に長さ2~6mmの袋状の距がある。花被片は著しく不等長で、背側の花被片は細長いスプーン形、水平に伸び、長さ30~45mm、爪部は長さ12~16mm、拡大部は倒卵形凹面形、長さ18~26mm×幅10~15mm、上側の側花被片は約5mm背花被片と結合し、線形、自由部分は長さ2~5mm×幅2~3mm、下側の花被片は縮小し小さな鱗片状、下側の側花被片は片側で上側側花被片と約4mm結合する。自由部分は長さ1.5~3.0mm、下側の中央花被片は長さ約1.5mm。花糸は長さ31~42mm、中央の花糸は基部に前方に拡大した扁平な角質の隆起があり、距に突出して半分に分かれる。葯は長さ8~10mm、花糸が中央付近に付着し、下面が自由な半葯を持ち、鮮やかな赤色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の2~3mm下で分岐し、枝は長さ約10mmで、二つ折りになり、広がって先端にのみ柱頭がある。蒴果は卵形、鋭形、長さ(20~)25~30mm。種子は卵形~長円形、長さ7~11mm×幅4.5~5.5mm、広く、時に不均等な翼があり、種子本体は帯黒色。花期は8~9月(南アフリカ)、冬~春。[e-Flora of South Africa]。
54 Gladiolus saundersii Hook.f. グラジオラス・サウンデルシー
南アフリカ(ケープ州、フリーステイト州、クワズール・ナタール州)、レソト原産。英名はLesotho Lily。山地草原、断崖下草原、湿潤草原、やや乾燥した岩場、岩の露頭およびガレ斜面に生える。大きく垂れ下がる緋色の花が特徴。
多年草、地生、群生し、高さ(30~)40~60cm。球茎は凹んだ球形、直径(20~)30~50mm、薄皮は乾燥した紙質、多数の小さな紫褐色の球茎がある。茎は直立し、分岐しない。葉は7~9枚で、堅く直立し、大部分は扇状で、根生し、穂状花序の基部に達するか基部を超え、披針形、幅15~25mm、主脈は著しく肥厚するが、縁は普通それほど肥厚せず、1対以上の二次脈も通常顕著で、茎葉は花序の基部まで茎を包む。穂状花序は直立またはわずかに傾向き、±真っすぐ、(2)4~9個の花がつく。苞は緑色、先端は捻じれ、外側の苞は長さ40~60(~70) mm、中脈で軽く折り畳まれ、内側の苞はわずかに短く、先は捻じれ、ときに線形の尖頭に二股に分かれる。花は横向きまたは垂れ下がり、鮮やかな赤色で、下側の3個の花被片の下半分に白地に赤色の斑点が薄くまたは密に散らばり、芳香は無い。花被筒は斜めの漏斗形、長さ33~37mm。花被片は披針形、不等長、上部の3個が最も大きく、長さ46~67mm×幅21~30mm、背側は水平または下方に傾いて雄しべの上に伸び、先端が反り返り、上部の側花被片は基部から外側に反り返り、下部の3個の花被片は上部の側花被片と約6mm結合し、互いに約2mm結合し、下方にアーチ状になり、先が反り返り、上部の花被片よりやや小さく、下部の側花被片は長さ34~46mm、下部の中央花被片は長さ46~53mm×幅20~28mm。花糸は長さ30~50mm、花被筒部から20~30mm突き出る。葯は長さ15~16mm、先が尖り、下向きに傾き、紫色。花粉はクリーム色。子房は長円形、花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央~上部の1/3で分岐し、枝は長さ7~8mm。蒴果は長円形~倒卵形、上部は3裂して反り返り、長さ25~28mm。種子は卵形、約・長さ6.5mm×幅8.5mm、広く均一に翼がある。花期は12~3月(北半球では6~9月夏)。[e-Flora of South Africa]。
55 Gladiolus scullyi Baker グラジオラス・スカリー
南アフリカ(ケープ州)原産。俗名はIndokwe。低木地帯の石質の花崗岩および頁岩の平地、岩の多い花崗岩および粘土質の斜面に生える。
植物体は高さ(120~)200~350[~600]mm。球茎は球状円錐形、直径12~15mm、基部に小さな小球茎を持つ。薄膜(tunics)はほぼ木質、不規則に断片化し、下部はしばしば爪部があり、若い時はオレンジ色。茎は直立または傾向き、上部の葉の葉鞘の上で外側に屈曲し、単枝または1~2分枝することが多い。葉は(5)6~8枚、下側の4~6枚は根生し、普通2列の扇状になり、灰緑色、しばしば粉白色を帯び、穂状花序の基部または時に中間部まで達し、(剣形~鎌形、扁平)狭披針形~線形、幅(2~)3~5mm、かなり厚く多肉質、主脈は軽く隆起し、縁は隆起せず、最上部の茎葉は茎から散開するか、基部近くでのみ鞘状になる。穂状花序は傾向き、軽く湾曲し、5~8個の花がつく。苞葉は淡緑色で、脈上は半透明、先端近くは時に乾燥し、外側の長さは20~30(~35)mm、内側はより短く、鋭形または細かく二股に分かれる。花は2唇形、緑がかったクリーム色から黄褐色またはベージュ色[帯黄色]、上部の花被片は時に上面が紫色に染まり、下部の花被片肢は基部が黄色で上面が褐色から紫がかっており、喉部は不規則に紫色の縞があり[黄色と紫色の縞模様があり]、強い甘い香りがある。花被筒は斜めに狭まった漏斗形、長さ12~14 mm、下部は細長く8~9mm。花被片は披針形で、背側が最も大きく、雄しべの上へ傾向き、長さ25~35(~42)mmx幅10~14(~16)mm、上部の側花被片は外側に弓状になり、長さ22~28(~35)mmx幅9~15mm、背側と上部の側花被片の間には窓があり、下部の3つの花被片は上部の側花被片と3~4mm、互いに4~7mm合着し、下部で爪部に狭まり、爪部は狭い溝があり、長さ4~6mm、拡大部は急に広がり、反り返り、ときに耳が弱く発達し、長さ10~15(~20)mmx幅8~12 mm。花糸は長さ12~16 mm、花冠筒部から9~12mm突き出る。葯は長さ6~9mm、淡紫色~クリーム色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、反対側に分岐し、または葯そのすぐ下になり、枝は長さ3.0~4.5mm。蒴果は倒卵形、上部は3裂し、長さ9~14mm。種子は長さ5~6mm×幅±5mmで、広く、通常は非対称な翼を持ち、種子体は片側寄りに位置する。花期は7~9月(北半球では1~3月頃)。[e-Flora of South Africa]
56 Gladiolus teretifolius Goldblatt & M.P.de Vos グラジオラス・テレティフォリウス
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はround-leaf gladiolus, round-leaved gladiolus。レノスターフェルトの粘土質土壌の低地斜面および平地に生える。同系統の類似種とは、直径1~2mmの円柱形の葉で、主脈と縁が著しく肥厚し、4本の細長い縦溝があることで区別される。ホッテントット・ホランド山脈(Hottentots Holland Mtns)西部に生息するGladiolus watsoniusは、線形の葉を持ち、主に幅4~6mmで、両面に2本の溝がある。一方、ケレス(Ceres)近郊の内陸部に生息するG. quadrangularisは、中心の葉身の断面がX字型、直径2.5~4.0mm、球茎の薄膜はより柔らかい。
高さ30~70cm。球茎は球形、直径12~20mm、しばしば基部の周りに多数の小球茎があり、薄皮は木質~革質、下部から爪状の裂片に分かれる。茎は通常、最上部の葉の鞘より上でわずかに傾向き、分枝しない。葉は3枚、下部の2枚は根生し、最下部の葉が最も長く、穂状花序付近までに達し、直径1~2mm、横断面は楕円形~ほぼ円柱形、縁と主脈は肥厚し、そのため各面に2本の狭い縦溝がある。第2葉は長さの大半が鞘で茎を覆い、葉身は長さ10~25mm。最上部の葉は茎の上部1/4に挿入され、ほぼ完全に鞘で覆われ、第2葉と重なる。穂状花序はほぼ真っすぐ、1~5(7)個の花がつく。苞は灰緑色で、ときに紫色を帯び、外側の苞は長さ35~45(~50)mm、内側の苞は短い。花は橙赤色~緋色(まれにクリーム色)、背側の花被片は下端に沿って半透明になり、花被筒部は淡色で赤色の斑点があり、上側の側花被片の基部から一対の赤色の線が入り、芳香は無い。花被筒部は長さ35~45mm、下部の12~17mmは真っ直ぐで細長い円筒形、急に広がって外側に湾曲し、上部はより広い円筒形になり、長さ22~27mm、直径6~7mm。花被片は倒卵形、背側の花被片が最も大きく、長さ20~27mm×幅12~15mm、水平に伸び、上側の側花被片は開出し、長さ16~25mm×幅10~12mm、下側の花被片は外側の下方に弓状に反り返り、側花被片は長さ12~18mm×幅8~12mm、下側中央部の花被片は長さ15~22mm。花糸は水平方向に伸び、長さ約32~38mm、花被筒部から9~12mm突出する。葯は長さ7~9mm、暗紫色、花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端で対生し、枝は長さ約3.5mm。蒴果は卵形~楕円形、鋭形、長さ約20mm。種子は卵形、約・長さ4.5mm×幅3mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は秋~冬。[e-Flora of South Africa]。
57 Gladiolus trichonemifolius Ker Gawl. グラジオラス・トリコネミフォリウス
synonym Gladiolus citrinus Klatt グラジオラス・キトリヌスsynonym Gladiolus erectiflorus Baker
synonym Gladiolus symmetranthus G.J.Lewis
synonym Gladiolus trichonemifolius f. symmetranthus (G.J.Lewis) Bullock
synonym Ixia spathacea Sol. ex Ker Gawl.南アフリカ(ケープ州)原産。英名はGeelpypie。標高50~1000mの湿った砂質平地に生える。
冬~早春咲き。球茎の薄皮は木質、葉は細長い楕円形~円柱形、4本の溝があり、3枚つき、花はクリーム色~黄色の左右相称(zygomorphic)花により識別される。花は漏斗状の花被筒を持ち、長さ16~20mm、花被片はほぼ等長で、下側の花被片は基部が濃い黄色になり、喉部には暗紫色の線または条線がある。白花の植物はホッテントット・ホラント山脈とブレダスドルプ周辺に生息する。
高さ10~25cm。球茎は球形、直径7~12mm、薄皮は木質~革質、爪状の裂片に裂ける。茎は下部で直立し、上部の2枚の葉の鞘の上で外側に屈曲し、分岐しない。葉は3枚で、下側の2枚は根生する。最下の葉は茎の下部2/3を鞘で覆い、通常は穂状花序をわずかに越え、横断面が楕円形~円柱形、縦に4本の溝があり、縁と中脈は著しく厚くなり、直径1~2mm。第2葉は茎の長さの半分を鞘で覆い、穂状花序の基部付近までに達する。最上部の葉は茎の上部1/3に挿入され、ほとんどが鞘で覆われる。穂状花序は傾向きまたは直立し、屈曲し、1~3(4)個の花がつく。苞は濃緑色で、脈はほぼ透明で、細くなる。外側の苞は長さ30~40(~50)mm、内側の苞はより短い。花は漏斗形、弱く左右相称またはときにほぼ放射相称、クリーム白色~黄色、外側の花被片はしばしば裏面が紫色がかり、下側の3枚の花被片は、下半分に中心線の両側に1対の褐色の線があり、中央部はより濃い黄色で暗く、ときに先が帯紫色になり、花被筒の口部に星形の紫色の帯または花被片の基部があり、筒上部に黒っぽい星形の斑点があり、しばしば強い甘いフリージアまたはスミレのような香りがあり、または香りがないこともある、花被筒は真っすぐまたは斜めの狭い漏斗形、長さ16~20mm。花被片は上側の3枚が下側の3枚よりわずかに大きい~ほぼ等しく、、または外側の3枚が内側の3枚よりわずかに大きく、披針状楕円形、長さ24~35(~40)mm、背側の花被片は幅10~13(~18)mm、下側の3枚の花被片は普通1~4mm結合し、長さ22~35(~44)mm×幅7~9mm、上部が外側に弓状に曲がる。花糸は長さ8~15mm、花被筒部から±2mm突出する。葯は長さ8~10mm、淡黄色。花粉はクリーム色。花柱は雄しべの上を弓状に曲がるか、または時にほぼ真っすぐ、葯の先のすぐ下で分岐し、枝は長さ4~5mm。蒴果は卵状楕円形、長さ12~15mm。種子は卵形、長さ4~5mm×幅3.0~3.5mm、広く均一に翼がある。花期は冬~早春。[e-Flora of South Africa]。
品種) Gladiolus citrinus (trichomenifolius) x rogersii
58 Gladiolus tristis L. グラジオラス・トリスティス
synonym Gladiolus concolor Salisb.
synonym Gladiolus tristis var. concolor (Salisb.) Baker
synonym Gladiolus tristis var. odorus Thunb.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はevening gladiolus , ever-flowering gladiolus , marsh Afrikaner。
高さ(40~)50~90(~150)cm。球茎は薄皮があり、球形、直径10~20mm、薄皮は±木質で、下部および上部で裂片に分かれ、平行な針金状の繊維状になる。茎は単茎、細い円柱形、長さ30~60㎝。葉は3枚で、重なってつき、根生葉が最も長く、通常±茎の中央までに達し、下部1/2で鞘状になり、最下部の葉は長さ30~45㎝、上部の2枚の葉は大部分がまたは完全に鞘状になる。葉身は円柱形、強いうねがあり、十字形の断面で直径2~3mm。花序は頂生、穂状花序は花が2~4(~8)個つき、偏側生(secund)。苞のバルブは緑色、披針形、外側のバルブは長さ5~6.3㎝。鞘は時に灰紫色を帯び、長さはほぼ等しく、長さ30~40mm、内側の鞘は外側の鞘よりわずかに短く~ほぼ等長。花は夕方にカーネーションやクローブの強い香りがある。花は幅5~6㎝。花被は長さ6.3~7.5㎝、上側の1/3が曲がり、花被筒は斜めの漏斗形、長さ45~50mm、狭い円筒形の断面は約25mm。花被片は白色~クリーム色、中肋(竜骨)は暗緑黄色または紫色(紫褐色を帯び、)、下部10mmの縁が透明、特に背側花被片と内側側花被片の間は透明になり、披針形で不等長、背側は±水平に傾向き、約・長さ22~25mm×幅16mm。外花被片は内側の側花被片と約2mm癒合し、±真っ直ぐで前方を向くか、上部1/2が緩やかに外側に湾曲し、約・長さ22mm×幅10mm。花糸は長さ約20mm、花被筒に含まれる。葯は長さ約12mm、部分的に花被筒に含まれる。花柱は葯の上部1/3で反対側に分岐し、枝は長さ約6mm、葯を越えて伸びる。蒴果は長円形、長さ34~36mm。種子は広い翼があり、約・長さ5mm×幅4mm。花期は3~4月(北半球)。2n=30。[Flora of North America]
品種) 'Moonlight', Night-Scented Gladiola(green hybrids), 'Pink' , Gladiolus tristis x rogersii, Gladiolus cardinalis x tristis, Gladiolus carinatus x tristis, Gladiolus huttonii × tristis , Gladiolus meliusculus x tristis, Gladiolus tristis x (gracilis x priorii),
59 Gladiolus undulatus L. グラジオラス・ウンドゥラトゥス
synonym Gladiolus affinis Pers.
synonym Gladiolus angustus Thunb.
synonym Gladiolus cuspidatus Jacq.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はWaved-flowered Corn-flag , wavy gladiolus, wild gladiolus。小川や湿地沿いの季節的に湿潤または湿潤な場所、主に砂岩だが花崗岩の斜面、河川岸、湿地に生える。
グラジオラス・カルネウス(Gladiolus carneus)に類似だが、分布は主に同種の北西および北限で、花は一貫して淡色で、花被筒が長く、長さ52~75mm(苞の長さの約2倍、背側の花被片よりも長い)であることで区別される。また、花被片は細長く、±強く波打っているか、またはパリパリに縮れ、しばしば下側の花被片には赤色の斑点が見られる。分布域が重複する区域のウェリントンとパールでは、特に判別が困難である。
高さは(25~)45~80(~150)cm。鱗片葉は赤紫色、白い斑点がある。球茎は凹んだ球形、直径16~24mm、薄皮は柔らかい紙質、通常は残存しない。茎は下部で直立し、上部の3枚の葉鞘の上では軽く屈曲し、上部は傾向き、分枝しないか、1~2本の枝を持ち、丈夫。葉は4枚または5枚で、少なくとも下部の2枚は根生し、通常は穂状花序の中央付近までに達し、剣形、狭披針形、幅5~12mm、粉白色、主脈は軽く隆起して肥厚し、縁は透明だがわずかに肥厚する。茎葉は短い。穂状花序は傾向き、±2列に、(3)6~9(12)個の花がつく。苞は硬く、鈍い緑色または淡紫色で、外側の苞は長さ33~40(~70)mm、内側の苞は短く、外側の苞に完全に囲まれる。花は2唇形、白色~ピンクがかったクリーム色~帯緑色または淡ライラック色、下側の各花被片には下部の中央に帯赤色~紫色のダイヤモンド形、披針形または線形の斑紋があり、花被筒の上部の基部には花被片の反対側の基部に帯赤色~紫色のしみがあり、香りはない。花被筒は長さ52~75mm、下部は長さ45~60mmの細い円筒形、上部は7~9mmがフレアー状に広がる。花被片は狭い披針状漸尖形、縁は強く波立ち、背側の花被片が最も大きく、雄しべ上をほぼ水平に伸びて先端に向かって弓状に曲がり、長さ40~50mm×幅12~15mm、上側の側花被片は次第に外側に湾曲し、長さ40~45mm×幅10~12mm。下側の3個の花被片は±2mmで合着し、下向き、やや捻じれて先が端に向かって下向きに湾曲し、長さ33~36mm×幅6~9mm、下側の中央花被片は側花被片よりわずかに長い。花糸は長さ(12~)15~28mm、花被筒から6~13mm突出する。葯は長さ8~9mm、上部はクリーム色、下部は紫色。花粉は紫色。花柱は雄しべの上を弓状に曲がり、通常葯の先端を少し過ぎたところで、あるいはときにはその下で分岐し、枝は長さ約6mm。種子は卵形、約・長さ8mm×幅5mmで、広く均一な翼を持つ。花期は晩春~夏(北半球では5~6月)。[e-Flora of South Africa]。
60 Gladiolus uysiae L.Bolus ex G.J.Lewis グラジオラス・ウイシアエ
南アフリカ(ケープ州)原産。標高600~1000mのレノスターフェルトの粘土質土壌および多肉質の低木地帯に生息し、匍匐茎による栄養繁殖によって広大な群落を形成する。
葉は平面的で亜多肉質、通常はほぼ鎌形、大きく直立した背側の花被片を持ち、強い紫色の脈を持つランのような花により識別でき、細長く裸の匍匐茎を形成するのが本種の特徴である。グラジオラス・セレシアヌス(Gladiolus ceresianus)とグラジオラス・ビレセンス(G. virescens)は類似の花を咲かせる、葉は波状または溝があり、円柱形で、葉脈と縁は厚く隆起し、小球茎は無柄またはほぼ無柄である。
地生植物、高さ7~15(~20)cm。球茎は直径10~14mmの凹んだ球形(円盤状)で、基部から細い白色の匍匐茎を出し、薄皮(tunics)は膜質~紙質、集積しない。茎は下部で±直立し、外側に屈曲し、中央で傾き、まれに短い枝をもつ。葉は3枚、重なり合い、最も下部の葉がもっとも長く、±茎と同じ長さかわずかに長く、平らでやや肉質、鎌形、幅3~6(~9)mm、主脈と1~2本の2次脈が明瞭であるが肥厚せず、残りの葉は茎の中央と穂の基部の間までに達し、最上部の葉は通常大部分が溝がある。穂状花序は基部屈曲し、傾向き、偏側生、長さ2.5~7.6cm、1~3個の花が付き、軽く湾曲する。苞は緑色、外側の苞は長さ20~25mm、縁は透明、内側の苞はより短く、±外側の苞に囲まれる。花は2唇形、紫ピンク色、先は淡色、強い紫色~緑色の脈があり、下側の花被片は先端のすぐ下に濃い黄緑色の帯があり、ときに先端に紫色の脈があり、強い甘い香りがある。花被筒は細く斜めの漏斗形で、長さ10~12mm。花被片は背側の花被片が最も長く、真っ直ぐに直立し、倒披針形、長さ28~35mm、上部1/3が最も広く、縁は反り返る。上側の側花被片はスペード形、基部は急に狭まり、2~3mmが爪部になる。拡大部は三角形、鋭形、上部1/2で外側に湾曲し、長さ15~18mm、下側の3枚の花被片は幅が狭く、約1mmが上側の側花被片と結合し、互いに約1mm結合し、自由部は長さ約15mm、下部は狭まり爪部となり、溝があり、長さ8~9mmの拡大部に急に広がり、下側の側花被片と上側の側花被片の間の縫合部は厚くなり、虹彩色のパピラのあるうねになる。花糸は強く弓状に曲がり、長さ20~25mm、花被筒から18~20mm突き出る。葯は長さ6~8mm、紫色。花粉は黄色。花柱は花糸上に弓状に伸び、葯の上部3分の1で反対側に分岐し、枝は長さ5~6mm。蒴果は倒卵形、先は丸く、不明瞭に3裂し、長さ12~18mm。種子は円形~広楕円形、長さ約6mm×幅4~5mm、幅広く均一な翼がある。花期は晩冬~早春[e-Flora of South Africa]。
61 Gladiolus venustus G.J.Lewis グラジオラス・ヴェヌストゥス
synonym Gladiolus formosus Klatt
南アフリカ(ケープ州)原産。粘土および砂岩の斜面、平地に生え、排水路沿いに見られることが多い。
芳香のある黄色がかった花で、先端が藤色から鮮やかなピンク色になる。上側の側花被片は直立し、背花被片と部分的に重なり、下側の花被片は基部で急激に反り返って閉じ、下側の側花被片は枝の基部で強い耳状突起を形成する。ほとんどの個体では花被片の先端は鈍い紫色から藤色であるが、オリファンツ川渓谷およびウスター周辺の個体では先端が鮮やかなピンク色になる。傍所性のグラジオラス・スカリー(Gladiolus scullyi)は、側面から見ると上部の側花被片が背花被片に対して多少明瞭な窓を形成し、反り返った下部の花被片は枝の基部で強い耳状突起を形成しない。両種は西ケープ州ヴァンリンスドルプ~北ケープ州カルヴィニアに沿って混交しており、そこでは両者の判別は困難である。
高さ12~35(~60)cm。球茎は円錐形で、直径8~14mm、薄皮は硬く、±木質で、不規則に断片化し、しばしば下部は爪状で、若いうちは橙色。茎は下部が直立し、上部の葉鞘の上で外側に屈曲し、その後弱く傾向き、しばしば分枝する。葉は5~6枚で、下部の3~5枚は根生し、穂状花序の基部まで達するか、または穂状花序をわずかに越え、線形~鎌形、幅1.5~4.0(~9.0)mm、主脈はわずかに隆起するが縁は隆起しない。茎葉はより短く、最上部の葉は茎から散開するか、基部付近でのみ鞘状になる。穂状花序は傾向き、屈曲した波状で(flexuose-scalloped)、5~8個の花がつく。苞は淡緑色、ときに先端が乾燥し、脈は透明で、細長く、外側の苞は長さ20~30(~35)mm、内側の苞は長さが外側の苞より短いか±同程度で、小さく二股に分かれる。花は2唇形、青紫色または鮮やかなピンク色、ときに全体が鈍い黄色、下側の3個の花被片は下半分が鮮やかな黄色で、通常わずかにバラの香りがする。花被筒は斜めの漏斗形、長さ12~17mm、下部の円筒形部分は長さ8~11mm。花被片は披針形、背側が最も大きく、わずかに傾向き、長さ30~37mm×幅10~16mm、上側の側花被片は背側よりわずかに短く、ほぼ直立し、少なくとも部分的に背側の後ろに伸び、先に向かって外側に湾曲し、下側の3個の花被片は3~5mmで合着し、自由部分は下部で長さ2~4mmの爪状に狭まり、深く溝が刻まれ、拡大部は鋭く反り返り、屈曲点で互いに挟まれ、縁は上向きの耳状裂片に隆起し、長さ15~22mm×幅9~11mm、±真っすぐ。花糸は長さ11~15mm、筒部から5~7mm突出する。葯は長さ6~8mm、帯灰色または黄色。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3で反対側に分岐し、枝は長さ2~3mm。蒴果は球形、上部は3裂し小凹形、長さ±10mm。種子は長さ5~7mm×幅約5mm、幅広く通常は非対称な翼があり、種子本体は片側に近くなる。花期は2~4月(北半球)。[e-Flora of South Africa]
62 Gladiolus vinosomaculatus Kies グラジオラス・ヴィノソマクラトゥス
synonym Gladiolus ecklonii subsp. vinosomaculatus (Kies) Oberm.
南アフリカ(北部諸州(ハウテン州、ムプマランガ州))原産。開けたまたは乾燥した岩の多い草地の斜面に生える。葉は細く、幅4~12mm、粉白色、基部に偽茎を形成する。苞は大きく長さ120mmにも及び、灰白色、花を部分的に覆う。花被片は淡赤色または紫色の斑点があり、花糸は短く長さ7~11mm、葯は長さ10~13mm。グラジオラス・エックロニー(Gladiolus ecklonii)は、同様の花であるが、より細かい斑点を持つことが多く、基部に明るい緑色の扇状の葉を持ち、花はしばしばより小さく、花糸は長く、12~15mm、葯は短く7~10mmである。
高さ65(~100)cmまで。球茎は凹んだ球形、直径15~30mm、薄皮は脆い紙質~軟骨質、不規則に腐朽する。茎は上部で傾向き、ときに1~2本の短い枝ができる。葉は5~8枚で、根生葉は4~5枚、基部に短い偽茎があり、上部は±扇形で穂状花序の基部~先端の間にまで達し、細い剣形~ほぼ線形、長さ70cmまで、幅(4~)6~12mm、縁と主脈は中程度に太くなり、茎葉は短い。穂状花序は基部で強く屈曲し、傾向き、±真っすぐで、花が9~14個つく。苞は舟形、灰緑色、通常は顕著に粉白色になり、大きく、やや膨らみ、長さ(25~)40~80(~120)mm、節間長は4~5個、内側の苞は長さ約1/2の長さで鋭形。花は白地に赤色~紫色の様々な斑点またはまだらがあり、芳香は無い。花被筒は斜めの漏斗形で、長さ15~18mm。花被片は狭披針形で、普通は鋭形、ときに鈍形、背側が最も大きく、ほぼ水平に弓状に曲がり、長さ32~35mm×幅13~15mm、上側の側花被片は前方を向き、上部1/3が外側に湾曲し、長さ30~34mm×幅8~12mm、下側の花被片は下方に弓状に曲がり、側花被片は長さ28~30mm×幅5~8mm、下側の中央花被片は長さ30~33mm×幅8~11mm。花糸は長さ7~11mm、花被筒部から2~4mm 突出するが、花の下部に含まれる。葯は長さ10~13mm。花粉は黄色。花柱は雄しべの上に弓状に曲がり、葯の上部3分の1で反対側に分岐し、枝は長さ3~4mm。蒴果は長円形、先は丸く、浅く3裂し、長さ24~30mm、苞に隠れる。種子は卵形、約・長さ9.5mm×幅6mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は夏~初秋。[e-Flora of South Africa]。
63 Gladiolus violaceolineatus G.J.Lewis グラジオラス・ヴィオラケオリネアトゥス
南アフリカ(ケープ州)原産。標高500~1000mのより冷涼な南向きの岩場砂岩斜面に生える。花期は早春、高標高では遅くなる。球茎は円錐形、4枚の葉は断面が珍しい3角形で、葉背縁が葉身に対して直角に翼状になる。花は特徴的な紫色の縞模様、花被片は細長いことにより識別される。細長い花被片と上部の鱗片葉に軟毛があることから、海岸近くのヘーレンロゲメント山に生息する黄色い花を咲かせるグラジオラス・コンプトニー(Gladiolus comptonii)との類似性が示唆される。
植物体は地生、高さ30~50(~60)cm、鱗片葉にはときに微細な軟毛が見られる。球茎は円錐形、直径8~10mm、薄皮は軟骨質~紙質、硬い帯状またはやや粗い繊維状に断片化する。茎は直立し、上部3枚の葉鞘の上で外側に屈曲し、上部1/3が傾向き、分枝しない。葉は4枚で、下部の1~2枚は根生し、最下部の葉の鞘は茎の下部1/2を占め、茎の上部1/3と花穂の基部の間まで達し、線形、幅1~2(~4)mm、真っすぐ、3稜があり、背側の縁は隆起した縁が表面と直角に外側に翼状伸び、主脈と背側の縁は肥厚も隆起もなく、残りの葉は次第に短くなり、±平面で、下部の縁は茎のまわりで閉じる。穂状花序は傾向き、屈曲し、(1)2~4個の花がつく。苞は緑色~暗灰緑色、縁は広く膜質、外側の苞は長さ(20~)28~33(~50)mm、内側の苞はより短く、先端に切れ込みがある。花は2唇形、淡青色に紫色の縞模様、斑点、羽毛状になり、下側の3枚の花被片は下面が白色~黄色で上側の花被片より模様が濃い。花被片の基部と花筒の上部には赤色の斑点があり、かすかに甘い香りがする。花被筒は斜めの漏斗形、長さ12~15mm、下部の円筒形部分は苞に包まれる。花被片は狭く披針状漸尖形、上側の3枚の花被片は下側の花被片より大きく、背側の花被片が通常最も大きく、長さ26~39mm×幅9~18mm、上側の側花被片は長さ26~37mm×幅8~11mmで、先が外側に湾曲する。下側の3枚の花被片は上側の側花被片約5mm結合し、互いに約3mm結合し、下部の1/2はわずかに狭まり、深く溝がある。下側の側花被片は長さ18~30mm、下側の中央花被片は側花被片より長く、長さ24~32mm、全て上部が外側に湾曲する。花糸は長さ13~15mm、花被筒から5~10mm突き出るが花に含まれる。葯は長さ9~11mm、淡灰色。花粉は帯白色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3と先で分岐し、枝は長さ約3.5 mm。種子は卵形、長さ7~8mm×幅5~6 mm、幅広で均一な翼がある。花期は早春、高標高では遅くなる。[e-Flora of South Africa]。
64 Gladiolus virescens Thunb. グラジオラス・ヴィレスケンス
synonym Gladiolus bicolor Baker
synonym Gladiolus luridus Hornem.
synonym Gladiolus luteus Klatt
synonym Gladiolus pulchellus Klatt
synonym Gladiolus templemanii Klatt
synonym Gladiolus virescens var. lepidus G.J.Lewis
synonym Gladiolus virescens var. roseovenosus G.J.Lewis
synonym Hebea pulchella Eckl. ex Baker
南アフリカ(ケープ州)原産。主にフィンボス東部-レノスターフェルトの低木林、砂岩または粘土質斜面、ローム質土壌の石質頁岩斜面、または時に扇状地に生える。
早春咲き。球茎の薄皮は柔らかい。葉はしばしばザラつき、最位の葉は下の葉と重ならずに離れているため茎の一部が露出する。花の背側の花被片は直立し、強い脈を持つことよって識別される。花の色は様々で、通常は帯黄色~帯緑色で紫色の脈を持つが、ピンク色で濃いピンク色の脈を持つものもある。スワルトルーゲン(Swartruggens)産の植物は非常に丈夫で、茎は枝分かれし、比較的小型でピンク色の花を咲かせる。グラジオラス・ケレシアヌス(Gladiolus ceresianus)にも花が似るが、必ず葉が3枚で、最下部は円柱形で4本の溝があり、3枚の葉の鞘は重なり合って茎の下部を完全に覆いう。そして、茎の基部を囲む首のような形状の、特徴的な暗い繊維状の球茎の薄皮被がある。
多年草、地生植物、高さ10~25cm。球茎は球形~凹んだ球形、直径12~15mm、薄皮は軟紙質で、繊維状になり、ほとんど宿存しない。茎は下部でほぼ直立し、外側に曲がり、中央部で傾向くが、穂状花序の下がほぼ直立することもあり、まれに分岐する。葉は3~5枚で、最下部の葉は茎よりはるかに長く、長さは茎とほぼ同程度から2倍、線形~円柱状、幅1~3mm、断面は楕円形~円形、縁は隆起し、縁は主脈に向かって弓状に曲がり、主脈としばしばもう1本の脈も隆起し、そのため各面に2または3本の溝がある。残りの葉は短く、最下部の葉は茎の下半分を鞘で覆い、最上部の葉は茎の上半分に挿入され、下側の葉から離れ、普通は苞状で葉身はなく、鞘およびときに葉身に疎~密に葉脈上にザラつきから軟毛が生える。穂状花序は基部で屈曲し、傾向き、ほぼ真っ直ぐまたは軽く屈曲し、3~7(~12)個の花がつく。苞は緑色で、葉脈はほぼ透明、外側の苞は長さ20~30mm、内側の苞はより短く、外側の苞にほぼ囲まれる。花は2唇形、黄色~黄緑色(黄橙色)またはピンク色、上側の花被片3枚は帯緑色または緑色羽毛状、褐紫色または濃いピンク色、下側の花被片3枚は拡大部の基部を横切る濃い黄色から白色の帯があり、上部は淡色で、ときに先が藤色またはピンク色になり、花被片間の縫合部は厚くなり密集したパピラのある虹彩色の隆起になり、強いスミレの香りがするか、または無臭(ピンク色の花が咲く植物の一部)。花被筒は細く斜めの漏斗形、長さ9~12(~15)mm。花被片は背側の花被片が最も長く、±へら形、真っ直ぐで傾向きまたは直立し、縁はときに反り返り、長さ20~40(~48)mm×幅10~16(~20)mm、下側は狭くなって長さ約18mmの爪部になり、上部の1/3は急に広がって三角形、上側の側花被片はスペード形、基部は狭くて爪部になり、長さ1~3mm、拡大部は急に広がり、三角形で、先が外側に湾曲し、長さ14~25(~30)mm、下側の3枚の花被片は上側の側花被片と約5mm結合し、互いに1~3mm結合し、自由部は長さ16~20(~30)mm、爪部状で、下部は狭くて溝があり、急に広がって長さ10~12(~20)mmの拡大部になる。雄しべは花糸が強く弓状に曲がり、長さ18~27mm、15~22mm突出する。葯は長さ6~8mm、淡色または暗色。花粉は黄色。子房は長円形。花柱は雄しべの上に弓状に曲がり、葯の上部1/3で反対側に分岐し、枝は長さ4~6mm。蒴果は長円形~楕円形、長さ18~25(~30)mm。種子は卵形~円形、長さ5~7mm×幅5~6mm、幅広で均一な翼を有する。花期は8~9月(南アフリカ)、早春。[e-Flora of South Africa]。
65 Gladiolus virgatus Goldblatt & J.C.Manning グラジオラス・ヴィルガトゥス
南アフリカ(ケープ州)原産。西ケープ州南西部の山岳地帯に狭く分布する固有種。南向きの砂岩斜面に生える。主に火事後に開花する。4枚の線形葉はやや太い主脈と縁を持ち、苞は条線またはリブ状になり、比較的長い筒形のピンク色の花をつける。花被片は披針形~細長く、下側の花被片には赤いV字形の蜜標(nectar guides)がある。近縁種のグラジオラス・ブロムメステイニー(Gladiolus blommesteinii)は、花被筒がやや短く、緩やかに広がり、長さ17~24mmである。下側の花被片には縞模様または斑点のある蜜標がある。
グラジオラス・ブロムメステイニーに似ているが、花は長い筒状の漏斗形で、淡ピンク色~濃ピンク色、下側の花被片には赤い斑点がある。草丈は40~50cm。球茎は球形、直径は±12~14mm、薄皮は硬く軟骨質~木質、下部で爪状の裂片に裂ける。茎は下部で直立または基部から傾向き、上部2枚の葉の鞘の上で側方に屈曲し、分枝しない。葉は4枚で、下部の2枚は根生し、最下部の葉は穂状花序の基部~わずかに先端を超える高さに達し、ときに茎の中間部まで鞘に覆われ、線形、幅1.5~2.5mm、主脈と縁はわずかに隆起し、残りの葉は次第に短くなり、長さの半分が鞘に覆われる。穂状花序は傾向き、2~4(6)個の花がつく。苞は緑色または薄紫色で、脈に沿って隆起し、長さ30~45(~50)mm、内側の苞はわずかに短く、先端に切れ込みがある。花は淡ピンク色~濃ピンク色またはほぼ白色で、下側の花被片の下半分には披針形の帯白色の条線が中央にあり、先端の縁には濃ピンク色のV字形の斑点があり、喉部にはピンクの斑点があり、香りはない。花被筒は長さ22~27mm、下部は細く、上部4~7mmで急激に広がり、苞をわずかに超える。花被片は披針形、不等長、縁は普通波打つ。背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に傾斜し、長さ±30~37mm×幅18~19mm、上部の側花被片は長さがほぼ同程度で、幅14~16mm、上部1/3で外側に弓状に反り返り、下側の3個の花被片は上側の側花被片と2~3mm合着し、互いに±3mm合着し、中央部で緩やかにまたは鋭く下方に曲がる。下側の側花被片は長さ20~28mm×幅10~12mm、下側の中央花被片は長さ25~28mm×幅10~12mm。花糸は長さ12~16mm、花被筒から±8mm突き出る。葯は長さ8~9mm、明るい藤色。花粉は帯白色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上1/3~先端からわずかに越えたところで分岐し、枝は長さ±6mm。蒴果と種子は不明。花期は春(4月)。[e-Flora of South Africa]。
66 Gladiolus watermeyeri L.Bolus グラジオラス・ワテルメイエリ
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はsweet kalkoentjie, sweet little turkey flower。乾燥したフィンボスの岩の多い砂岩の斜面、季節的に湿った砂地にある石質砂岩に生える。
冬~春咲き。溝があり、斑点のある葉と、特徴的な緑がかったクリーム色~白色の花で識別される。花は半透明で舟形の背花被片が雄しべを覆い、上側の側花被片は濃い脈がありハート形である。下側の花被片は先端部を除き、主に黄緑色である。花は目立たず、強い芳香によって最も簡単に見つけられる。
植物体は地生、高さ10~35cm。球茎は球形~凹んだ球形、直径15~22mm、薄皮は軟紙質~膜質、宿存せず、不規則に腐朽する。茎は下部で直立し、第3葉の鞘より上で外側に屈曲し、上部で傾向く。まれに1本の分枝を持つ丈夫な植物もある。葉は4~5枚で、下側の3枚は根生し、最下側の葉が最も長く、通常は穂状花序を超えるが、他の葉は穂状花序の中央部を超えることは稀で、狭披針形~線形、幅3~11mm、2~5本の強い脈があり、縁は厚く隆起し(稜があり)、脈上はザラつく。茎葉はより小さく、茎から散開する。穂状花序は傾き、軽く湾曲し、(1)2~6個の花がつく。苞は鮮やかな緑色で、脈に沿って透明になる。外側の苞は長さ40~45mm、内側の苞はわずかに短く、竜骨はなく、二股に分かれる。花は2唇形、横から見ると窓があり、帯緑色~クリーム白色、背側の花被片は灰白色だが中央線に沿って紫色を帯び、上側の側花被片には栗色~紫色またはピンク色の脈が顕著に走り、下側の3枚の花被片は濃いオリーブ緑色で先は淡色、わずかに脈があり、花被片間の縫合部は厚くなって虹彩色のパピラのある隆起を形成し、フリージアに似た強い香りがする。花被筒は細く斜めの漏斗形、長さ14~16mm、下部の円筒形部分は長さ約10mm、広がった部分の基部が鋭く曲がる。花被片は上側の側花被片が最も大きく、背側のフードが花糸を覆い、舟形になり、長さ27~35mm×幅10~15mm、上側側花被片はスペード形で、基部近くで短い爪部になり、長さ1~2mm、基部近くから外側に湾曲し、長さ20~30mm×幅15~25mm、下側の3枚の花被片は下部で2~4mm合着し、自由部は長さ 20~25mm、下側側花被片は溝があり、下部が爪部になり、拡大部は狭い舟形、長さ約9mm、最下部は三角形、下部で短い爪部になり、幅約22mm。花糸は強く弓状に曲がり、長さ20~22mm、花被筒から15~16mm突出する。葯は長さ9~13mm、濃緑色。花粉は帯黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の中央と先端の間で分岐し、枝は長さ4~8mm。蒴果は広楕円形、3面体、長さ(20~)27~35mm。種子は広楕円形、長さ(7~)9~11mm×幅(5~)7~9mm、淡ピンク褐色~濃ピンク褐色、幅広く均一な翼を持つ。花期は冬~春。[e-Flora of South Africa]。
67 Gladiolus watsonius Thunb. グラジオラス・ワトソニウス
synonym Watsonia praecox (Andrews) Pers.
synonym Antholyza watsonia (Thunb.) Pax
synonym Gladiolus gawleri (Baker) Klatt
synonym Gladiolus praecox Andrews
synonym Gladiolus recurvus Houtt.
南アフリカ(ケープ州)原産。英名はRooi-Afrikaner。レノスターフェルトの粘土質および花崗岩質土壌の低地斜面および平地に生える。オーストラリア(西オーストラリア州)に帰化している。
同系統の類似種とは、線状の葉(主に幅4~6mm)で、主脈と縁が著しく肥厚し、葉身に4本の縦溝があることで区別される。オーバーバーグ産のGladiolus teretifoliusは幅1~2mmの細長い円錐状の葉を持ち、ケレス近郊の内陸産のG. quadrangularisは、中心の葉の断面がX字形で球茎の薄皮がより柔らかい。
高さ30~70cm。球茎は球形、直径12~20mm、基部周辺に多数の小さな球茎を持つことが多く、薄皮は木質~革質、下部で爪状の裂片に裂ける。茎は頂葉の鞘の上でわずかに外側に曲がり、分枝しない。葉は3枚、重なり合い、下側の2枚は根生し、最下部の葉は茎の下3分の1を鞘で覆い、著しく最も長く、穂状花序の基部まで達するか、ときに穂状花序を超え、線形、幅(1.5~)4.0~6.0mm、中脈は中程度に厚くなって隆起し、縁は非常に厚くなり、葉身に対して直角に伸びた翼を形成し、そのため各面に2本の溝(grooves)またはうね(furrows)がある。2番目の葉は葉身が短く、その長さの2/3の鞘で茎を覆い、最上部の葉は茎の上部1/2に付き、長さの1/2の鞘で茎を覆い、下縁は茎の周囲で結合している。穂状花序は直立し、±真っすぐで、(2)4~6(8)個の花がつく。苞は淡緑色または淡褐色を帯び、外側の苞は長さ(35~)40~55(~70)mm、下縁は茎の周囲で閉じ、内側の苞はより短いかほぼ同じ長さ。花は筒状で、橙赤色~緋色、下側の花被片はしばしば半透明で、たまに、下部が帯黄色になり、基部近くに暗赤色の斑点がある。背側の花被片の縁は下部半分が半透明で、芳香は無い。花被筒部は長さ44~53mm、下部15~25mmは細い円筒形で、急に広がって外側に湾曲し、より広い円筒形になる、上部は水平で長さ30~38mm、直径6~10mm×幅4~6mm。花被片は広披針形、背側の花被片が最も大きく、雄しべの上に水平に伸び、長さ26~33mm×幅12~18mm、上側の側花被片は長さ25~32mm×幅7~12mm、±広がり、下側の3枚の花被片は基部から外側に弓状になり、側花被片は長さ20~26mm×幅5~11mm、下側の中央花被片は長さ23~32mm×幅6~12mm。花糸は長さ32~40mm、花被筒部から8~13mm突出する。葯は長さ7~10mm、暗紫色。花粉はクリーム色~淡黄色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の上部1/3と先端の間で分岐し、枝は長さ4~6mm。蒴果は細長い楕円形、長さ40~45mm×幅約14mm。種子は円盤形、長さ6~9mm×幅5~6mm、幅広で均一な翼を持つ。花期は冬~早春。[e-Flora of South Africa]。
68 ハイブリッド園芸品種
グラジオラスの交配種は広く栽培され、野生種の中には冬が穏やかな地域で屋外栽培されているものもある。一般的な大輪の交配種は、4~5種の交配と選抜によって生まれたものである。G. gandavensis L. van Houtte、G. lemoinei Baker、G. hortulanus L. H. Baileyなど様々な名前で呼ばれるこれらの植物は、庭園や墓地の敷地内やその周辺で時折見かけられ、内側の花被片が60~70mm、外側の花被片が約50mmと、大きく鮮やかな色の花を咲かせることで容易に識別できる。主に球茎で栄養繁殖し、冬が穏やかな地域では数年間生存するが、普通、在来植物への拡散の痕跡は見られない。
(1) Gladiolus × byzantinus Mill. グラジオラス・ビザンチヌス
synonym Gladiolus communis subsp. byzantinus (Mill.) Douin
synonym Gladiolus communis var. byzantinus (Mill.) Martynヨーロッパ(コルシカ島、フランス、イタリア、クリチ、サルデーニャ島、シチリア島、スペイン)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)原産。 G. dubius と G. italicusの自然交雑種。英名はByzantine Gladiolus, Byzantine sword-lily。英国やタスマニアに導入されている。王立園芸協会のガーデンメリット賞(AGM)を受賞している。
多年草、高さ30~60cm。葉は狭い剣形、根生し、3~5枚が扇形につく。穂状花序は直立し、高さ60㎝まで、花が15個以下つく。花は漏斗形、紫マゼンダ色~栗色~銅赤色、長さ2.5~7.5cm、下側の花被片に披針形の白色の斑紋がある。花期は5~7月(Missouri Botanical Garden)。スプリンググラジオラスに含められるが、遅咲きでゴールデンウィーク頃から咲く。
(2) Gladiolus x colvillii Sweet [Gladiolus Colvillei] グラジオラス・コルビリー
栽培種。英名はscarlet gladiolus, Colvillei group。G. cardinalisとG. tristisを交配して1823年にロンドンで作り出された。
矮性で開花が早く春咲き、広がる長楕円形の尖端の花被片を持ち、深紅色で、下側の3個の花被片には黄色の披針形の斑点がある。初めはG. cardinalis とG. blandus,の交雑種とみられていたが、G. cardinalisによって受粉したG. tristis var. concolor である可能性の方がはるかに高い。この交雑種は種子親から芳香を獲得し、G. tristis var. concolor(Waterfall Gladiolus)の鮮やかな色彩をもつ。Gladiolus Colvilleiについては、わずかに異なる様々な記述がなされてきた。これらは一般に、1860年以降、この植物がいくつかの種、あるいは変種を「生み出した」という事実に起因している。最初の白い品種(変種アルバス)は、1872年にオランダの2つのナーサリー(苗圃)で種として生まれた。葯が淡ピンク色の'Albus'である。その後の葯が白い純白の品種は「The Bride(ブライド)」と呼ばれる。
高さ約40㎝。花は濃いピンク色でクリーム色の縞がある。花期は春。
品種) 'Albus'(花は白色、葯が淡ピンク色) , 'The Bride'(純白)
(3) Gladiolus Ramosus グラジオラス・ラモサス
POWOではGladiolus ramosus L.はIxia scillaris subsp. scillarisのsynonym、Gladiolus ramosus MurrayはMoraea ramosissima (L.f.) Druceのsynonymとされている。一般的にはG. cardinalis と G. oppositiflorusの交雑種と推定されていた。
グラジオラス・ラモサス(Gladiolus ramosus)は、1830年に発見された。当初は淡朱色で、プラム色の斑点と下側の花被片に白い縞模様があったが、すぐに多くの変種が現れた。この雑種はG. floribundusの実生の中から偶然発見された。当時オランダでG. floribundusとして栽培されていたこの植物は、実際にはG. oppositiflorusであったという証拠がある。そのため、多くの人はGladiolus ramosusがG. cardinalis(晩春~夏)とG. oppositiflorus(夏~秋咲き)の自然雑種であり、後者が種子親であった可能性が高いと考えている。
品種) 'Robinetta'(夏咲き) , 'Vulcano'(夏咲き)[G.nanus ナヌス]
※Ixia scillaris L.はイキシア属であり、花被片の下側中央が大きいが、雄しべの葯がグラジオラスに似て、3個平行に並ぶ。
(4) Gladiolus × insignis Paxton[Gladiolus lnsignis] グラジオラス・インシグニス
synonym Gladiolus × colvillii Sweet [POWO] POWOではGladiolus × colvillii Sweetに含めている。1839年に開花し、偶然発見された花で、下側の花被片に紫色の斑点のある濃い赤色であり、Gladiolus insignisと命名され、雑種であると考えられていたが、親は不明である。早咲きのグラジオラスであり、おそらく、ramosus、insignis、そして特定のCape種との交雑種であろう。G. blandus(G. carneus)の血統が混ざっていると考えられる。これらの種は、初期の商業活動で作られた「praecox(早生)」、「Gladiolus Nanus(ナヌス)早咲き」、「floribundus(フロリブンダス)」、「delicatissimus(デリカティッシムス)」など、様々な奇抜な名前も使われていた。しかし、Gladiolus floribundus Jacq.はケープ産の独立種であり、Gladiolus praecoxという名前は、別の種(Gladiolus watsonius Thunb.)のsynonymである。Gladiolus delicatissimusは不明。
(5) Gladiolus x gandavensis Van Houtte [Gladiolus Gandavensis] グラジオラス・ガンダベンシス
synonym Gladiolus × sulphureus de Graaf ex Molk.栽培種。G. dalenii × G. oppositiflorusの人工交配種。英名はgarden gladiolus, hybrid gladiolus。
グラジオラスハイブリッドの基本となるハイブリッド、夏咲き、高性、大輪の品種群。1837年に交配(G. natalensis(Gladiolus dalenii subsp. dalenii) × G. oppositiflorus)により作り出された。葉は剣形、高さ30~45㎝。花は漏斗形、赤色~赤黄色、花茎の高さ60~90㎝。花期は6~8月(夏)。現在も栽培されるが、主流ではない。G. × gandavensis、G.×ramosus、G. floribundus などの間や、これらの交配種から選抜された種の間で、様々なハイブリッドが作り出されている。
品種) 'A. B. Davies' , 'Africa' , 'Ajax' , 'Alfalfa' , 'Alois Nerger' , 'Anton Buchner' , 'Aphrodite' , 'Apricot Lustre' , 'Aprikosa'(Gandavensis or Lemoinei) , 'Augusta' , 'Bibi' , 'Bird of Paradise' , 'Blackpool' , 'Blue Beauty' , 'Blue Lagoon' , 'Blue Ribbon' , 'Blue Tropic' , 'Blues' , 'Brenchleyensis' , 'Canary Bird' , 'Candidum' , 'Canicule' , 'Ceres' , 'Chamaeleon' , 'Charlotte Pfitzer' , 'Charmer' , 'Cherry Splash' , 'Chicago White' , 'Comet' , 'Contrast' , 'Coral Lace' , 'Coral Seas' , 'Dannecker' , 'Dr. Dotter' , 'Duke Of Buccleuch' , 'Electra' , 'Emma Thursby' , 'Enchantress' , 'Espresso' , 'Eucharis' , 'Eugene Scribe' , 'Europa' , 'Ferdinando Cortez' , 'Frith Jof'(Gandavensis or Childsii) , 'Finishing Touch' , 'Florence' , 'Fra Diavolo' , 'Frau C. P. Strassheim' , 'Frau Otto Beyrodt' , 'Friendship' , 'Frosty White' , 'Gallieni' , 'George Hausser' , 'George Vollmar' , 'Glare' , 'Glory (Childs)' , 'Goldenes Vliess' , 'Goldfield' , 'Goldfinder' , 'Goldquelle' , 'Grand Prix' , 'Grossfurstin Elisabeth' , 'Harwinton' , 'Hauff' , 'Hazel Harvey' , 'Hermann Fischer' , 'Hofgartner Stapf' , 'Homecoming' , 'Hyde Park( May X Shakespeare )' , 'Iceberg' , 'Impressive' , 'Isaac Buchanan' , 'Ivory Priscilla' , 'Jubilee' , 'King's Gold' , 'La Candeur' , 'La France' , 'La Lorraine' , 'Land O' Lakes' , 'Le Poussin' , 'Le Triomphe C' , 'Lily Lehmann' , 'Louis Walter' , 'Lowland Queen' , 'Madam Butterfly' , 'Madame Brunelet' , 'Madame Monneret' , 'Madhi' , 'Madonna' , 'Maggie' , 'Magnificus' , 'Major Rheinhardt' , 'Marianne(Lemoinei Blotch )' , 'Mars' , 'May' , 'Meadowvale' , 'Melodie' , 'Mezzo Forte' , 'Mon Amour' , 'Monsieur A. Brongniart' , 'Morning Gold' , 'Niagara' , 'Nova Lux' , 'Oberammergau' , 'Octoroon' , 'Orange Crush' , 'Orange Splendor' , 'Orleans' , 'Pactole (Souchet)' , 'Panama'(Gandavensis x Lemoinei) , 'Parure' , 'Paul Bohme' , 'Pepim' , 'Phlegeton' , 'Pink Dream' , 'Pole Position' , 'Prinzessin Viktoria Luise' , 'Priscilla' , 'Purple King' , 'Reine De L’Anjou#' , 'Richard Milner' , 'Richard Strauss' , 'Rochester White' , 'Royal Tapestry' , 'S. Parnell' , 'Safrano' , 'Salmonia' , 'Sans Pareil' , 'Saphir' , 'Schwaben' , 'Shakespeare (Cowee)' , 'Shakespeare (Michell And Others)' , 'Shocking' , 'Silver Shadow' , 'Snowbank' , 'Spic and Span' , 'Spring Maid' , 'Starface' , 'Sulphur King' , 'Summer Butterflies' , 'Sunshine' , 'Tampico' , 'Thalia' , 'Timeless' , 'Triomphe De Caen' , 'Veronica' , 'Victory' , 'Violet Queen' , 'White Angel' , 'White Goddess' , 'White Lady' , 'White Prosperity' , 'Wig's Sensation' , 'Wine and Roses' , 'Winner's Circle' 'Zeppelin'
(6) Gladiolus × brenchleyensis Anon.[Gladiolus Brenchleyensis] グラジオラス・ブレンチリーエンシス
G. dalenii と G. oppositiflorus subsp. salmoneusの人工交配種。英名はLarge Flowred Vermilion-Scarlet。1846年に発見された。ブレンチリーエンシスと鮮やかな緋色で白斑のあるグラジオラス・クルエントゥス(Gladiolus cruentus)を交配して生まれた「アリス・ウィルソン」は、1869年にジョン・スタンディッシュ(John Standish)によって10年間の研究の末に育成された最高の交配種である。これは、反り返ったクリーム色の花に、先端が濃いカーマイン色を帯びる。後に他の色の花が生まれたが、最終的には他の大輪系の交配種と融合した。
品種) 'Alice Wilson' アリス・ウィルソン([Gladiolus × brenchleyensis]×Gladiolus cruentus)
(7) Gladiolus × lemoinei Baker [Gladiolus Lemoinei] グラジオラス・レモイネイ
Gladiolus Gandavensis(G. × gandavensis) × G. purpureoauratus(Gladiolus papilio) の人工交配種。ヴィクトル・ルモワーネ氏(M. Victor Lemoine)がG. gandavensisの品種の花粉を採取し、それを濃黄色で濃い紫色のしみのあるG. purpureoauratus(現在のGladiolus papilio)に交配したものである。G. Lemoineiの品種は1882年から入手可能になった。ガンダベンシスグループよりも優雅な花をつけ、花期が少し早く、耐寒性がある。花はさらにはっきりとしたフードが付いており、茎の片側のみつく、偏側生であった。やがて、多数の色が生み出されたが、最初の主に黄色、赤、赤紫の色合いで、下側の花被片に濃い紫色の斑点が見られたのはこのグループの特徴であり、G. purpureoauratus(Gladiolus papilio)の影響を示している。典型的なレモイネイの主な欠点の一つは、花弁が厚すぎることであったが、この欠点はその後の改良で修正された。
品種) 'Amaryl' , 'Andre Chenier' , 'Azure' , 'Baron Joseph Hulot' , 'Belle Mauve' , 'Blue Jay'(Groff) , 'Charles Martel' , 'Colonel A.C.Slocum' , 'Crackerjack' , 'Crimson Lake' , 'Dandy' , 'Deuil De Carnot' , 'Deuil De St. Pierre' , 'Edison' , 'F. Bergmann' , 'Frau Dora Liebau' , 'Frilled Pink (2-518)' , 'Gay Butterfly' , 'General De Nansouty' , 'Gil Blas' , 'Goethe' , 'Grace' , 'Grafin Degenfeld' , 'Heliotrope' , 'Henri Lemoine' , 'Incendiary' , 'Irma' , 'Jean Dieulafoy' , 'Jessie' , 'Klondyke(Lemoinei Characters )' , 'Lacordaire' , 'Lady Howard De Walden' , 'Lafayette' , 'La Luna' , 'Lamarck' , 'Lemon Drop' , 'Leon Duval' , 'Lillian' , 'Madame Lemoinier' , 'Marc Micheli' , 'Marie Lemoine' , 'Masque De Fer' , 'Meteor' , 'Mrs. Millins' , 'Morning Glory' , 'Muriel'(Lemoinei or Nanceianus) , 'Orchid (Woodruff)' , 'Pactole (Lemoine)' , 'Papillon' , 'Paul Margueritte' , 'Precurseur' , 'Professor Fleischer' , 'Rosella'(Lemoinei or Nanceianus) , 'White And Gold'
レモイネイ・ハイブレッド(Lemoinei hybrid)
品種) 'America'(Gandavensis×Lemoinei), 'Eldorado' , 'Ida Van' , 'Jessie Palmer' , 'Mephistopheles' , 'Mrs. A. C. Beal' , 'Mottled America' , 'Rose Salmon Extra' , 'Royale' , 'Sultane' , 'Zephyr'
早咲きグラジオラス Gladiolus Precoces hybrids
ルモワーヌ(Lemoine)氏によって作出され、1901年から1902年までのカタログNo.149に掲載された交配種である。カタログには、これらの品種はルモワーヌの初期の品種と、あまり知られていないG. Leichtlinti(Gladiolus leichtlinii?)およびG. aurantiacusとの交配種であると記載されている。この品種は以前の最も早い品種よりも約1か月早く開花すると言われている。4月に植え付けると6月に開花し、秋にガラス枠で保護して植え付けると、G. Colvilletと同時に開花する。1901年秋に提供された品種は、Eclaireur、Mesager、Pleiade、Précocitéであった。
(8) Gladiolus × nanceianus Mast. [Gladiolus Nanceianus] グラジオラス・ナンシアヌス
POWOではunplaced nameであるが、一般的にはGladiolus saundersiiとGladiolus × lemoineiの交雑種がGladiolus Nanceianusとされている。グラジオラス・サウンデルシー(Gladiolus saundersii Hook.f.)は夏~秋咲き、花が緋色で、中央に白色の斑点のある赤色のパッチがある。1883年にG. Lemoineiの花粉をGladiolus saundersiiの花に散布し、Gladiolus nanceianusという交配種が誕生した。G. nanceianus にはいくつかの欠点があったが、その変種はどれも枝分かれした茎で非常に自由に開花し、非常に大きく、完全に開き、斑点のある、形の良い花を咲かせた。色は主に赤色と紫色である。最も重要なのは、フードがほぼ無いことである。花は上側の花被片が直立していた。これは G. Lemoinei とは完全に区別できるものである。G. Saundersii は G. psittacinus よりもさらに顕著なフード状になっているように見えるが、これは、花が自然に咲く姿勢によって、本来は直立している先端部が水平に前方に突き出ているためである。
品種) 'Dr. Erwin Ackerknecht' , 'Early Pink' , 'Erica Von Barczay' , 'Erwin Mayer' , 'Frau Gabriele Charton' , 'Frau Herme Seidel' , 'Gaiety' , 'George Paul' , 'Herold' , 'Kark Luz' , 'Mrs. Francis King'(Nanceianus or Childsii) , 'Mrs. Frank Pendleton' , 'Negerfurst S' , 'Oberburgermeister Von Borscht' , 'Pioneer' , 'Wilhelm Steinhausen'
(9) Gladiolus Kelway hybrids [G. Kelwayi] ケルウェイハイブリッド
ケルウェイはガンダベンシス(Gladiolus x gandavensis)とナンシアヌス(G. × nanceianus) の品種と交配し、この交配から有名なケルウェイ交配種(Gladiolus Kelway hybrids)(G. Kelwayi とも呼ばれる)が生まれた。品種) 'Arthur Toms' , 'Captain W.L.Reeves' , 'C.E.J.Esdale' , 'Cellini' , 'Cornishman' , 'Countess Amy' , 'Darkness' , 'Duke Of Richmond' , 'Eugene Sandow' , 'General Kuroki' , 'Huish Tower' , 'Indiana' , 'John Lewis Childs' , 'King Of Gladioli' , 'Lady Warwick' , 'Lady Young' , 'Lord Alverston' , 'Maharajah Of Kholapur' , 'Nonpareil' , 'Parliament' , 'Prince Henry Of York' , 'Sir H. D. Wolff' , 'Sir John Cragle'
ケルウェイの7月咲き(July Flowering)品種
品種) 'Brightness' , 'Countess Of Leicester' , 'Countess Of Suffolk' , 'Earl Compton' , 'Ella' , 'Empocles' , 'Grahame-White' , 'Miss Kelway' , 'Mrs. G. W. Willock' , 'Ruthony Longside' , 'Spiller' , 'Viper'
(10) Gladiolus Childsii グラジオラス・チャイルズィー
POWOではGladiolus leichtlinii BakerはGladiolus dalenii subsp. daleniiのsynonymである。Gladiolus saundersiiとGladiolus x gandavensisとの交配種とされていた。
もとはマックス・ライヒトリン(Max Leichtlin)が1874年にGladiolus saundersiiとGladiolus x gandavensisとの交配種を作り、1877年に開花させてグラジオラス・ライヒトリン(Leichtlinii's Magnificent Hybrid Gladioli)と名付けたものである。Gladiolus × nanceianusより丈夫で、草丈が高く、開花が長い。
この品種の一部がイギリスからフランスに売却され、1884年にこれらはニューヨークのV. H. ハロック&サン社(V. H. Hallock & Son)に移され、ハロック社はこの品種を改良し、7年後に同じくニューヨークのジョン・ルイス・チャイルズ(John Lewis Childs)に売却されたものである。チャイルズは1893年にこのグループをグラジオラス・チャイルズィー(Gladiolus Childsii)として市場に出した。チャイルズ変種は色鮮やかで斑点や縞模様があり、大きく開いた大輪の花を咲かせ、花びらが広く、茎は長くしっかりしていた。アメリカで飛躍的に成長し、気候条件によく耐え、庭の装飾と切り花の両方で人気を博した。
品種) 'Adelina' , 'Adolphe Jaenicke' , 'Alaska' , 'Alice Carey' , 'All-A-Glow' , 'Angelina' , 'Attraction' , 'Aurora(Childs)' , 'Barclay' , 'Britannia' , 'Captain C.B.Tanner' , 'Cardinal'(Childs) , 'Charmer'(Childsii; Lemoinei) , 'Columbia' , 'Cynosure' , 'Dazzler' , 'Dr. Sellew' , 'Dorothy Burnham' , 'Eteocles' , 'Ethel' , 'Euler' , 'Expansion' , 'Fantastic' , 'Flambeau' , 'F. L. Oakley' , 'Florida' , 'George B. Remsen' , 'Gleam' , 'Glowing Coal' , 'Gorgeous' (Childsii or Nanceianus) , 'Governor Mccormack' , 'Gracilis' , 'Harlequin' , 'Helen' , 'Henry Gillman' , 'Irene' , 'Il S. Hendrickson' , 'Jay' , 'Kate' , 'Kearney' , 'King Humbert' , 'Lael' , 'Lavender Queen' , 'Leonard Joerg' , 'Little Blush' , 'Livonia' , 'Lizzie' , 'Lustrous' , 'Lydia' , 'Marion' , 'Mayor' , 'Melrose' , 'Mrs. Beecher' , 'Mrs. La Mance' , 'Mrs. R. A. Goldsmith' , 'Mrs. W. N. Bird' , 'Mohonk' , 'Monster' , 'Nezinscott' , 'Painted Lady' , 'Parody' , 'Portland' , 'Prescott' , 'Prince Of India' , 'Princeps' (Cruentus × Childsii) , 'Radiance' , 'Roseann' , 'Rosedale' , 'Rosy Spray' , 'St. Louis' , 'Salem' , 'Salmon' , 'Saratoga' , 'Scribe' , 'Sir Marcus Samuel' , 'Sir Thomas Dewar' , 'Splendor' , 'Spot' , 'Waukesha' , 'Wild Rose' , 'Winsome'
(11) Gladiolus × turicensis Gumbl. [Gladiolus Turicensis] グラジオラス・トゥリセンシス
POWOではunplaced name。グラジオラス・サウンデルシー(Gladiolus saundersii Hook.f.)の1形態、またはチルズィーと同じ祖先を持つ(Gladiolus saundersiiとGladiolus x gandavensisとの交配種)ともいわれ、スイスのチューリッヒの M. Froebel によって作出された。一部では'Superbus'スーパーバスまたは'64 Grandiflorus' グランディフロルスという別名で呼ばれており、この品種と大輪のガンダベンシス種(G. natalensis(Gladiolus dalenii subsp. dalenii) × G. oppositiflorus)との交配により、チューリッヒのフレーベル社(Froebel & Co.)は、中程度の大きさで深紅の花を咲かせ、下節に白い斑点のあるグラジオラス・トゥリセンシス(Gladiolus turicensis)を生み出したとも言われている。しかし、広く開発も宣伝もされていないため、それほど重要ではない。
(12) Groff's hybrids グロフ・ハイブリッド Gladiolus Burbank
アメリカのルーサー・バーバンク(Luther Burbank)はカリフォルニアの環境に適したグラジオラスの品種を育成することを目指し、1890年頃、彼は強健で花弁が太い品種の育成に成功したが、後にその株をオンタリオ州のH・グロフ氏(H. Groff)に売却した。グロフ氏はガンダベンシス、チャイルズィー、レモイネイといった品種を交配し、選抜と近親交配によって、主に切り花用に設計された大輪で幅広い色彩を持つ品種 Groff's hybridsを作り出した。(13) Gladiolus Princeps グラジオラス・プリンセプス
synonym Gladiolus × princeps L.H.Bailey
POWOには未記載。 Gladiolus cruentus T.Moore × Gladiolus Childsii 'Mrs. Beecher'とされている。
ヴァン・フリート博士(Dr. van Fleet)は、グラジオラス・クルエントゥス Gladiolus cruentusにG. Childsii var. Mrs. Beecherの花粉を用いて、1897年頃に実生を開花させた。博士は、高さ約60cmの、丸く、完全に開いた大きな花を咲かせる品種を選定した。花色は濃い血赤色で、喉元に幅広の白色とクリーム色の斑点があった。彼はこれをGladiolus princepsと名付け、そこから多くの魅力的な変種や交配種が生まれ、中には原種よりも背の高いものもあった。
品種) 'Charles L. Hutchinson' , 'Christmas Candy'(Princeps X Lemoinei), 'Dr. Williams'(Princeps seedling) , 'J. L. Clucas'(Princeps hybrid) , 'Mastodon'(Princeps hybrid) , 'Princepine'(Princeps hybrid) , 'Sir William Ingram' , 'Tavistock'(Princeps hybrid)
(14) Gladiolus Kunderd グラジオラス・クンデルディ (Ruffled Gladiolus)
アメリカ、1896年、インディアナ州のA・E・クンデルド(A. E. Kunderd)は、既存のグラジオラスの交配種や変種の選抜と交配を始め、すぐに花びらが波打つ品種の確保に集中することを決意した。15年後、彼は琥珀色がかった白色の最初の波打つグラジオラス(Ruffled Gladiolus)を手に入れ、'Kunderd Glory' クンデルド・グローリーと名付けた。その後、同様に波打つ品種が次々と生まれ、白からアイボリー、クリーム、黄色、そして赤みがかった色からサーモンピンクまで、様々な色の花が咲いた。斑入りの品種と縞模様の品種もあった。これらは総称してグラジオラス・クンデルディと呼ばれ、さらに発展させて、彼は縁飾りのある花弁を持つ品種を選抜・交配し、'Laciniatus' ラシニアトゥスと名付けた。現在のカタログでは、「大輪グラジオラス」という名称は、ガンダベンシス、レモイネイ、チャイルズィー、ナンシアヌスなどのこれらの系統に由来するすべてのグラジオラスを網羅している。この優れた研究は今も続いており、フランスとアメリカにおけるその後の発展は、ナタール原産のG. dracocephalus(Gladiolus dalenii subsp. dalenii)の使用である。この種は黄緑色の花に鈍い紫色の脈と点模様がある。Praecox(早生)である。ここで、しばしば「praecox」という名称で呼ばれるセクションに至ったが、これはColvillei-Ramosus-Insignisセットとは全く関係がない。これらはドイツやその他の地域で育成されており、一般的にはGandavensis、Lemoinei、Nanceianus、Childsiiの選抜された「早生種」との交配種と考えられている。これは、上記の早生種を得るためのかなり成功した試みである。
品種) 'Kunderd Glory' , 'A.B. Kunderd', 'Laciniatus' , 'Glory (Kunderd)' , 'Pride Of Goshen' , 'Primulinus Hybrid (1/2 Ruffled)' , 'Ruffled Big Face' , 'Ruffled Salmon' , 'Ruffled Yellow' , 'White King'
(15) グラジオラス・プリムリヌス Gladiolus Primulinus
Gladiolus primulinus BakerはPOWOではGladiolus dalenii subsp. daleniiのsynonymである。2n=60。グラジオラス・プリムリヌス Gladiolus PrimulinusはGladiolus primulinus系統のハイブリッドである。
高さ60~120cm。花はグランディフローラ種のように開くのではなく、フード状になる。また、花は小さく、茎に密集していない傾向がある。プリムリヌス・グラジオラスは、グランディフローラよりも耐寒性が高いため、特に冬の厳しい冬の時期の栽培に適している。ゴールデンアプリコットの「'Boone'ブーン」(Gladiolus dalenii 'Boone'夏咲き)のような品種は、USDAゾーン6まで耐寒性がある。
グラジオラス・プリムリヌスは1887年に初めて発見され、印象的なレモンイエローの花を咲かせ、厚い冠を持つ。現在のプリムリヌス・グループの品種はすべて、この種を、他の夏咲きグラジオラスのほとんどの系統と交配させたものである。G. primulinus の特徴である優美さとよく発達したフードを特徴とするタイプと1908年に以降にフランス、イギリスでGladiolus primulinusの交配種が発表された。ルモワーヌ・エ・フィス社(MM. Lemoine et Fils)の交配種は、G. primulinus とLemoineiおよびNanceianusの品種を交配したものである。アメリカにおける初期の系統にはChildsiiの品種が目立ったと考えられる。
この新しいタイプのグラジオラスの改良と普及を急ぐあまり、交配家や栽培家たちは競い合った。イギリスのケルウェイ・アンド・サン社(Kelway & Son)は、1910年と1912年に最初のG. primulinusの品種を発表し、Gladiolus Langprimとして市場に投入した。G. primulinusとG. Kelwayiの変種[ケルウェイ交配種(Kelway hybrids):Gandavensis×Nanceianus]を交配した結果、この品種は入手可能な最高級の品種の一つとなり、優れた品種が数多く生まれた。クンデルド(Kunderd)は1915年、アメリカで最初のグラジオラス・プリムリヌス(G. primulinus)の交配種-ほぼオレンジ色の'Alice Tiplady' アリスティプラディ-として誕生させ、現在でも流通している。その後も様々な産地から次々と新しい品種が生まれ、花色も急速に広がった。現在では、白色からレモン、シトロン、ゴールド、オレンジ、淡いピンクから濃いバラ色、チェリー色、スカーレット、クリムゾン、藤色から紫色、そしてサーモンピンク、アプリコット色、ブロンズ、銅色、テラコッタといった繊細なバリエーションまで、実に様々である。
この重要な品種の新品種の導入は今も続いているが、多くの人々の意見によれば、必ずしも一様に優れた趣味とは言えない。初期の品種の多くは、これまで夏咲きのグラジオラスには見られなかった優雅な姿形をしており、改良された魅力的な形のフード型の花に戻り、良好な体格と美しく柔らかなパステルカラーを併せ持っているが、近年は粗野な傾向が見られる。 G. primulinus の特徴である優美さとよく発達したフードを特徴とする品種もあれば、(特にアメリカで)大輪系の品種に似た、大きく広がる花と鮮やかな色彩を持つ品種も進化を遂げている。現在ではこの2つのタイプの間には多数のバリエーションが存在するが、可能な限り、大輪系は通常 G. primulinus grandiflorus hybrids という名称で区別されている。
品種)(G. primulinus) 'Alice Tiplady' アリスティプラディ-, 'Atom' , 'Boone'(golden-apricot) , 'Candyman' , 'Columbine' , ‘Fiona’, 'Langprim' , 'Las Vegas' , 'Laura Jay' , 'Mirella’, 'Sunbeam'
(16) Gladiolus Butterfly hybrids グラジオラス・バタフライハイブリッド
冬型と夏型の交配種から生まれた。別名はsword lily Butterfly hybrids。バタフライグラジオラスは、花の縁が波打ちフリル状になることから名付けらた。バタフライグラジオラスは、他の品種よりも強健で、冬の気候が穏やかな地域では地植えでき、厳しい地域では球茎を秋に掘り出して保存することができる。やや背が低く、花も小さめである。
球根性の多年草で、高さ60~90cm。葉は緑色の剣形。花序は長さ36㎝以下。花は中型、幅約6㎝、花被片の縁がフリル状になり、赤色、橙色、黄色、ピンク色、紫色など、のど部に対照色や補色の目立つ斑紋がある。花期は8~9月。
品種) Avalanche' (white),'Camborne' (soft pink & carmine), 'Mykonos' (yellow & red) , 'Nori' , 'Novelty Butterfly Belinda' , 'Pamela' (coral-pink & yellow/red).Passos'
(17) Gladiolus × hortulanus L.H.Bailey グラジオラス・ホルトゥラヌス
synonym Gladiolus ×cultorumsynonym Gladiolus x hybridus
synonym Gladiolus Grandiflora hybrids
イギリス、マデイラ諸島、ノーフォーク島、トリニダード・トバゴ、ベネズエラ、オーストラリなどに導入されている。
G. cruentus, G. dalenii, G. oppositiflorus, G. papilio などの人工交雑種。英名はLarge-flowered Gladiolus (Hybrid Gladiolus × hortulanus), common garden gladiolus。Gladiolus ×cultorumと記載されることもある。大花グラジオラスの一般名として使用されている。 G. x gandavensis, G. x lemoinei och G. x nancynsisもsynonymとして含められる。
丈夫な草本植物で、高さ70~120cm。葉は長さ30~50cm、幅1~2cm。花序には最大10個の花をつける。苞は長さ5~7cm、狭く尖り、内側の苞は外側の苞よりわずかに短く、上部の苞は空。花被片は長さ7~12cm。花被筒は基部が細く湾曲し、長さ3~5cm。花被片は不等長で、長さ約4~6cm、幅5~7cm、橙アプリコット色、黄色、ピンク色、赤、紫色、白色、白色で縁はピンク色。葯は長さ約2cm。蒴果は見られない。この名前は疑わしいと考えられているが、より適切な名前はまだ見つかっていない。栽培されている大輪のグラジオラス(通常は鮮やかな花色を幅広く取り揃えている)のほとんどにこの名前が付けられ、4種または5種の交配種から生まれている(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)。
品種) 'Adrienne' , 'Alana' , 'Green Star' , 'Guest from Mars' , 'Lennon' , 'Live Oak' , 'Mars' , 'New Moon' , 'Nova Lux' , 'Platini' , 'Priscilla'(白色、縁が濃ピンク色、しわがある) , 'Traderhorn'
(18) Gladiolus Nanus グラジオラス・ナヌス
Gladiolus nanus AndrewsはPOWOではBabiana nana (Andrews) Spreng.のsynonymとされている。
グラジオラス・ナヌスは、小さな花を咲かせる交配種によく使われる名前である。親の不明なGladiolus lnsignis系統ともされ、耐寒性のあるミニチュア種で、矮性早咲き品種の総称であり、hardy gladiolusとも言われる。主にカルディナリス種とトリスティス種を含み、グランディフローラよりも花が小型、最大3本の細い花茎に最大10個の比較的小さな花をつける。下側の花被片に菱形の斑紋があることもある。花期は(春~)夏。
品種) 'Alba'(白色、下側花被片が黄色) , 'Amanda Mahy'(橙色、下側の花被片に菱形の斑紋) , 'Byzantinus'(AGM) , 'Charm'[Gladiolus Tubergeni](ピンク色、喉部が白色) , Charming Beauty[Gladiolus Tubergeni] , 'Halley'(アイボリー色、喉部が暗色) , 'Impressive'(淡ピンク色、下側の花被片にサクランボ色の斑紋) , 'Las Vegas'[Gladiolus Primulinus](黄色、縁が橙赤色) , 'Lipstick' , 'Mirella'[Gladiolus Primulinus]ミレッラ(鮮やかな赤色) , 'Nathalie'(サーモンピンク色、下側の花被片に赤色の斑紋) , 'Nymph'(白色、下側の花被片にサクランボ色の斑紋) , 'Prins Claus'プリンスクラウス , 'Robinetta'(濃ピンク色) , 'Summer Love' , 'The Bride'[G. Colvillei](白色)
(19) Gladiolus Nanus Herald Gladiolus [G. × Herald] ヘラルドグラジオラス
グラジオラス・チャイルズィー(G. Childsii)の早咲き種と交配したグラジオラス・ナヌス種(nanus type)が1914年にオランダのハールレム(Haarlem )で初めて発表され、好評を博した。彼はこのグラジオラス・ナヌス種(nanus type)にヘラルド・グラジオラス(Herald Gladioli)という名を授け、以来いくつかの品種が育成され商業的に流通しているが、まだ比較的小規模なグループである。ヘラルド・グラジオラス種は早咲きグラジオラスよりもやや背が高く、下側の花被片に特徴的な斑点がある。残念ながら花数は多くないが、花は夏咲きグラジオラスと同じ咲き方をし、開花時期もやや早い。花色は、オレンジ色に緋色やサーモンピンクが混じったものから、純粋なサーモンピンクやサーモンピンクまで様々である。品種) 'Bra Val'(黄色、夏~秋咲き) , 'Comet'(夏咲き) , 'Gelber Herald' , 'Modesty'(White) , 'Peach Blossom'(Pink、夏咲き) , 'White Herald'
【Herald × Nanus交雑種】
品種) 'Elvila'(高さ60~90cm、夏咲き)
(20) Gladiolus Tubergeni グラジオラス・トゥベルゲニ(チューベルゲニー) [Tub]
ヴァン・トゥベルゲン(Van Tubergen)はRamosusとNanus type(Nanus型)の品種を用いて研究したと考えられている。ヴァン・トゥベルゲンはこれに続き、ヘラルド・グループとG. tristis var. concolorの交配種であるG. Tubergeni(Gladiolus Tubergeni)を育成した。この品種はヘラルド・グラジオラスよりも開花が早いと言われている。花期は春。
品種) ‘Bibi’, 'Charm'チャーム(ピンク色、下部に白班) , 'Charming Beauty'チャーミングビューティー, 'Charming Henry'チャーミングヘンリー , 'Charming Lady'
(21) Gladiolus Prinsianus グラジオラス・プリンシアナス
1926年にイギリスはウィズビーチのH.プリンス氏を通じてこの分野に参入し、プリンス氏はG.プリムリヌス(Gladiolus primulinus=Gladiolus dalenii subsp. dalenii 夏~秋咲き)とG.コルビレイ(G. cardinalis × G. tristis)を交配してG.プリムリヌスの品種の開花期をいくらか早め、その子孫がGladiolus prinsianusと呼ばれるようになった。
(22) Gladiolus Pixiola グラジオラス・ピクシオラ
「Pixiola」は1978年にCGD審査委員会(CGD:North American Gladiolus Council (NAGC) のCommercial Growers Division)によって選定された名称であり、業界ではミニチュアグラジオラス(Miniature Flowered Glads)のあらゆるプロモーションにおいてこの名称を使用するよう奨励された。小花グラジオラスには名称が与えられたが、Pixiolaを定義する基準は設定されていなかった。小さな球根から育った大輪タイプや、生育の悪い株から伸びた小さな花穂タイプであってはならないという点で合意に至った。Pixiolaは、それ自体が明確に区別されるタイプであるべきであるとして、フロリダで商業的に栽培される切り花として、Pixiolaが以下の6つの基準を満たすことが提案されている。
1. 穂状花序は全長28インチ(約73cm)に切り取られるべきである。
2. 穂状花序は長さ12~16インチ(約30~48cm)。
3. 花の数は12~16個。
4. 花の大きさは直径3インチ(約7.6cm)以下。
5. 花序は直径1インチ(2.5cm)の球茎(グレード3)から生じる。
6. 花は「タイトバッド」段階(基底花に0.25インチの色が見える段階)で切り花として開花する。
品種) 'Baby Bunting' , 'Bit O'Honey' , 'Bolero' , 'Bonfire' , 'Break O'Dawn' , 'Bugs' , 'Cheerleader' , 'Confetti' , 'Coral Seas' , 'Cupcake' , 'Foxfire' , 'Fraulein' , 'Funny Face' , 'Gallery' , 'Geminese' , 'Green and Gold' , 'Greenbriar , Hummingbird' , 'Irish Lace , 'Jackpot' , 'Junior Miss' , 'Lavender Petunia II' , 'Little Jewel' , 'Little Sweetheart' , 'Little Tiger' , 'Littlest Angel' , 'Majorette' , 'Monkey Face' , 'Nugget' , 'Oriental Ruby' , 'Perky' , 'Pinkie' , 'Red Bantam' , 'Skipper' , 'Spring Green' , 'Titmouse' , 'Welcome' , 'Zing' , 'Tukey's HSD'
(23) Sprng Gladiolus スプリング・グラジオラス
Gladiolus Nanus グラジオラス・ナヌス(4~5月咲きの矮性早咲き品種)、Colvillei-Ramosus-Insignisセット、ヘラルド・グラジオラス(Herald Gladioli)、グラジオラス・トゥベルゲニ(Gladiolus Tubergeni)を含んだ冬~春咲き種の総称。ヘラルド・グラジオラスは早い夏咲き。ミニチュア・グラジオラス(Miniatures Gladiolus)は夏咲きにも使われる。グラジオラス・ナヌスの名は現在では夏咲きを含めて広義に小型種に使われている。冬期生育型グラジオラスは冬が雨期で、夏が乾燥期となる南アフリカの南部のケープ州を中心に分布し、春咲きグラジオラスと呼ばれ、ケープ地方に150種以上あると言われている原種のグラジオラス。早咲きグラジオラスは、これらを元に交配して作られたケープハイブリッド・グラジオラス(Cape hybrids Gladiolus)とも言われる。今まで春咲きグラジオラスとして売られてきた品種に比べて、はるかに耐寒性と耐病性が強く、作りやすい点が特徴である。中でもGladiolus tristis L.(グラジオラス・トリスティス)は性質強健な原種で、古くから交配に使用されている。最近、多くの春咲き系統の交配親にされ、色が豊富な様々な新しいスプリング・グラジオラスが作り出されている。スプリング・グラジオラスは別名、春咲きグラジオラス、早咲きグラジオラスといい、秋に球根を植えて、春に花が咲く。tristis系の栽培品種は英名がGladiolus tristis hybrids, Night-Scented Gladiolaである。Gladiolus tristis以外の原種系のグラジオラスは多数ある。高さ20~30cmの矮性種も多い。葉の幅が夏咲種と同じ広い幅の剣形もあるが、棒状~糸状の細いものも多い。花は夏咲きの品種に比べ花が小さく、花数が少なく、花形は漏斗形、長~短筒形、鐘形、ラン形、スプーン形など様々、色も多彩で赤色、橙色、黄色、白色、青色、紫色、クリーム色、ピンク色、パステル調のやわらかな色彩もある。花期は冬~春であり、気温が低いときに花が咲くので、夏咲きの3倍くらいの長さで花が長く持つ。芳香をもつものも多い。
1 冬~春咲き原種
Gladiolus abbreviatus アブレヴィアトゥス(冬~春咲き、赤色~オレンジ色)、Gladiolus angustus アングストゥス(4~6月咲き、クリーム色に赤色の班)、Gladiolus aureus アウレウス(冬~春咲き、黄色)、Gladiolus blommesteinii ブロムメステイニー(春咲き、淡藤ピンク色~淡い青藤色)、Gladiolus bullatus ブラートゥス(冬~春咲き、鐘形、青色~紫色)、Gladiolus cardinalis カルディナリス(5~6月咲き、赤色)、Gladiolus carneus カルネウス(5月咲き、淡ピンク色)、Gladiolus caryophyllaceus カリオフィラセウス(冬~春咲き、ピンク色、藤色、またはクリーム色)、Gladiolus ceresianus ケレシアヌス(春咲き、ラン状花)、Gladiolus debilis デビリス(春咲き、白色に赤色斑紋)、Gladiolus dubius ドゥビウス(4~5月咲き、ピンク色またはフクシア色)、Gladiolus ecklonii エックロニー(2~5月咲き、ピンク色~紫色~赤色で細かい斑点がある)、Gladiolus exilis エキシリス(冬~春咲き、淡青色~帯白色)、Gladiolus gracilisグラシリス(冬~春咲き、淡青色~灰色、まれにピンク色または鈍黄色)。Gladiolus guthriei グスリエイ(冬咲き、白色に赤色縞班)、Gladiolus hirsutus ヒルストゥス(4~5月咲き、ピンク色~藤色)、Gladiolus huttonii フットニー(冬~春咲き、橙赤色)、Gladiolus involutus インボルトゥス(2~3月咲き、白色)、Gladiolus italicus イタリクス(4~5月咲き、紫色)、Gladiolus kamiesbergensis カミエスベルゲンシス(春咲き、斑点のある淡青ライラック色)、Gladiolus liliaceus リリアセウス(2~6月咲き、淡黄色、ピンク色、紫色)、Gladiolus longicollis ロンギコリス(春~初夏咲き、クリーム色)、Gladiolus meliusculus メリウスクルス(冬~春、矮性、橙色)、Gladiolus meridionalis メリディオナリス(1月頃、ピンク色~クリーム色)、Gladiolus miniatus ミニアトゥス(春咲き、サーモンオレンジ色)、Gladiolus orchidiflorus オーキッディフロールス(冬~春咲き、ラン状花、灰緑色~鈍紫色)、Gladiolus oppositiflorus オポシティフロールス(サーモン色咲き、5~6月)、Gladiolus permeabilis ペルメアビリス(晩冬~春、白緑色がかったクリーム色、鈍青灰色、鈍紫色、黄褐色)。Gladiolus priorii プリオリー(秋~冬咲き、橙色)、Gladiolus pritzelii プリッツェリー(春咲き、黄色、鐘形)、Gladiolus rogersii ロゲルシー(1~5月咲き、青色~紫色、鐘形)、Gladiolus saccatus サッカトゥス(冬~春咲き、赤色、スプーン形)、Gladiolus scullyi スカリィ(3月咲き、淡黄色)、Gladiolus trichomenifolius トリコネミフォリウス(キトリヌス)(冬~早春咲き、クリーム色~黄色)、Gladiolus tristis トリスティス(3~4月咲き、白色~淡黄色)、Gladiolus uysiae ウイシアエ(ウイジアエ)(2~4月咲き、ラン状花)、Gladiolus venustus ヴェヌストゥス(2~4月咲き、黄色と紫色)、Gladiolus violaceolineatus ヴィオラケオリネアトゥス(早春花、淡青色、3稜形葉)、Gladiolus virescens ヴィレスケンス(早春咲き、帯黄色またはピンク色、ラン状花)、Gladiolus virgatus ヴィルガトゥス(4月咲き、ピンク色)、Gladiolus watermeyeri ワテルメイエリ(冬~春咲き、栗色の目立つ縞がある緑がかったクリーム色~白色)、Gladiolus watsonius ワトソニウス(冬~早春、橙赤色~緋色)
2 ハイブリッド品種
2-1 Gladiolus × colvillii Sweet [Gladiolus Colvillei] グラジオラス・コルビリー
古くからあるG. cardinalisとG. tristisの交配種であり、Gladiolus Nanusの1種。夏咲きグラジオラスの交配親にもなっている。花期は4~5月。
品種) 'Albus'(花は白色、葯が淡ピンク色) , 'The Bride'(純白)
2-2 Gladiolus Tubergeni グラジオラス・トゥベルゲニ
G. tristis ×[G. × Herald]、春咲き。
品種) ‘Bibi’, 'Charm'チャーム(ピンク色、下部に白班) , 'Charming Beauty'チャーミングビューティー, 'Charming Henry'チャーミングヘンリー , 'Charming Lady'
2-3 Gladiolus tristis hybrids Night-Scented Gladiola
green hybridsともいわれる。茎は高さ60cm以上になり、株立ちする。花期は4~5月。耐寒、最低気温3.8℃。花はアイボリーグリーンでかすかな赤褐色の斑紋がある。夜にスイートアーモンドの香りを放つ。葉は非常に繊細でイグサ状。
2-4 Gladiolus carinatus × tristis
淡い紫色の点描と縞模様が入った美しい白い花を咲かせる。
2-5 Gladiolus huttonii × tristis
花期は4~5月。全体は G.tristisに似る。高さ60cm。花はやや2唇形、フード状の背花被片を除き、先が鋭形。上側の花被片は地色が黄色~薄黄色、先が赤色で中心部に向かって薄くなる。上側のフード状の背花被片は前向きに突き出し、側花被片は大きく、広がる。下側の花被片は上側の花被片より小さく、ほぼ黄色~薄黄色で先だけが赤色。
2-6 Gladiolus meliusculus × tristis
花期は春。矮性のG. meliusculusの形質をもち、パステルカラーの花が中程度の長さの花茎につく。
2-7 Gladiolus tristis × rogersii
花期は春。花は薄ピンク色、花被片の縁が紫色になり、細かい斑点がある。
2-8 Gladiolus rogersii × carneusu
花期は春。花はやや開いた鐘形、薄ピンク色、下側花被片の中央に横向きの赤色の幅広の帯状の斑紋と、小さい菱形の斑紋がある。
2-9 Gladiolus rogersii × debilis
花はやや開いた鐘形、薄ピンク色、下側花被片の中央に横向きの紫色の帯状の斑紋と、細かい斑点がある。
2-10 Gladiolus alatus × rogersii
花はやや開いた鐘形、ピンク色、下側花被片の中央に横向きの紫色の帯状の斑紋があり、その下部は淡色になり、細かい斑点がある。
2-11 Gladiolus citrinus(trichomenifolius) × rogersii
花期は冬~春。花は開いた鐘形、薄紫色、中心部は紫褐色。下側花被片の中央が黄色くなる。
2-12 Gladiolus exilis × Gladiolus priorii
花は2唇形、濃ピンク色、花被片の先は尖る。上側の花被片はフード形、左右の側花被片は左右に開き、先端は小突起形、捻じれる。下側の3花被片は幅が狭く、側花被片は下部が白色になり、濃ピンク色の斑点が目立つ。
2-13 Gladiolus tristis × (gracilis × priorii)
グラシリス × プリオリーがクリーム色の花を咲かせる丈夫なグラジオラス・トリスティスと交配された。その結果生まれた品種はグラジオラス・トリスティスの大きさと基本的な色を持つが、濃いマゼンタ色の線、点、脈が見られる。
2-14 その他ハイブリッド
品種) 'Addie'アディー(高さ60~80cm、赤色、披針形の白班) , 'Ankennamesen'アンケナメーセン , 'Black Spot'ブラックスポット , 'Bonsoir'ボンジュール(高さ約60cm), 'Bonsoir'ボンソワール , 'Cape Rouge'ケープルージュ, 'Cat's eye'キャッツアイ(高さ約60cm、芳香がある) , 'Charming Beauty'チャーミングビューティー(Gladiolus Tubergeni) , 'Cleopatra'クレオパトラ , 'Concerto'コンチェルト, 'Daruka'ダルーカー , 'Dancing Girl'ダンシングガール(高さ20~30cm、小輪), 'Devitoria'デビトリア , 'Galaxian'ギャラクシアン(上部が暗赤色、下部が白色) , 'Hatshepsut' ハトシェプスト , 'Pluto'プルートゥ , 'Proxyon'プロキシオン , 'Fontainebleau'フォンティーヌブロー(高さ約60cm), 'Isis' イシス , 'Jupiter'ジュピター , 'Sirius'シリウス , 'Mars'マーズ , 'Mona Lisa'(高さ約40cm), 'Moonlight'ムーンライト, 'Nefertiti'ネフェルティティ , 'Neferulah'ネフェルーラー, 'Neptune'ネプチューン , 'Nouvelle Mauve'ヌーベルモーヴ(高さ20~30cm), 'Nefertari'ネフェルタリ , 'Tristis Pink'トリスティス ピンク , 'Red Star'レッドスター , 'Regina'レッジーナ(高さ約70cm、濃紫色に白い覆輪) , 'Ryo'リョウ , 'Saturn'サターン , 'Sessions'セッション, 'Southern Cross'サザンクロス(高さ50~60cm、芳香がある), 'Sister'シスター(高さ約20cm), 'Jun'ジュン , 'Sheshetty'シェシェティ , 'Titan'タイタン , 'Uranus'ウラヌス(ユラナス) , 'Venus'ヴィーナス , 'Vintage 'ヴィンテージ(高さ50~60cm)
(24) その他グラジオラス・ハイブリッド Gladiolus hybrid
現在、主に栽培されているのはハイブリッドであり、多数の品種がある。
上記ハイブリッドと重複もある。
品種) '457' , 'A.W.Clifford' , 'Aarti' , 'Abdel Kader' , 'Adagio' , 'Adjustrel' , 'Adrenalin'アドレナリン , 'Advance' , 'Advance Red' , 'Advantage' , 'Adventure' , 'After Shock' , 'Afterglow'(Christy) , 'Afterglow'(Cowee) , 'Agni Rekha' , 'Alana' , 'Alaska' , 'Alex the Great' , 'Alice' , 'Alice Chamberlain' , 'All Aglow' , 'Almeirim' , 'Alpha'アルファ , 'Amanda Mahy' , 'Ambiance'アンビアンス , 'America'(Gandavensis×Lemoinei) , 'American Beauty' , 'America's Lady' , 'Amethyst' , 'Amsterdam' , 'Andy Anderson' , 'Angel Child' , 'Angel Eyes' , 'Anjali' , 'Ann Dittus' , 'Annie Wigman' , 'Anniversary' , 'Apollo' , 'Applause' , 'Apricot Brandy' , 'Apricot Delight' , 'Apsara' , 'Archana' , 'Argentina' , 'Arizona' , 'Arlette' , 'Armstrong' , 'Ashes of Roses' , 'Athena' , 'Atlantis' , 'Atlas' , 'Aurora' , 'Austin'No.25, No.30, No.52, No.55, No.56, No.57, No.58 , 'Auten's 7-2' , 'Auten's 8-1' , 'Auten's 9-14' , 'Autumn Chafin' , 'Autumn Glow' , 'Autumn Sensation' , 'Aztec Chief' , 'Azurro' , 'Baltimore' , 'Bananarama' , 'Banifay' , 'Beacon Fire' , 'Beau Jour' , 'Beauty' , 'Beijing' , 'Belinda' , 'Belladonna' , 'Belle de Nuit' , 'Ben Hur' , 'Ben Venuto' , 'Berlew' , 'Bertha Comstock' , 'Bertrex' , 'Bessie Rand' , 'Beta' , 'Big Daddy' , 'Big Medicine' , 'Big Red' , 'Big Yellow' , 'Bimbo' , 'Bindiya' , 'Bit o' Honey' , 'Bizarre' , 'Black Beauty' , 'Black Jack' , 'Black Prince' , 'Black Sea' , 'Black Star'ブラックスター , 'Black'S Seedling H-2' , 'Blanche' , 'Blarney Stone' , 'Blood Spot' , 'Blotched Rosella' , 'Blue 4X' , 'Blue Bird' , 'Blue Conqueror' , 'Blue Hawaii' , 'Blue Isle' , 'Blue Mist' , 'Blue Mountain' , 'Blue Ruffles' , 'Blue Sky' , 'Bravo'ボレロ , 'Bolivian Peach' , 'Bonfire' , 'Bonnie' , 'Bono's Memory' , 'Boone' , 'Boston' , 'Bouquetd'or' , 'Break of Dawn' , 'Bridesmaid , 'Brigadier Cliffie' , 'Brightsides' , 'Brilliance' , 'Brown Beauty' , 'Brown Thrasher' , 'Buccaco' , 'Buggy' , 'Burchett No. 389' , 'Burgundy Bean' , 'Burrel' , 'Bush Ballad' , 'Buster Brown' , 'California' , 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Thompson' , 'Mrs. Watt' , 'Mukta' , 'Music Man' , 'My Love' , 'Mykonos' , 'Nagarit' , 'Nancy Ray' , 'Nassau' , 'Nathalie' , 'Nathan'ナタン , 'Natty' , 'Nautilus' , 'Nazrana' , 'Neelam' , 'Negraz' , 'Nellie' , 'Neon' , 'New America (Crawford)' , 'New America (Mallory & Brown)' , 'New Wave' , 'Nightmare' , 'Nori'ノリ , 'Nugget' , 'Oasis' , 'Ocilla' , 'Odyssee' , 'Old Spice' , 'Olympic Flame' , 'Ophir' , 'Orange Beauty' , 'Orange Chiffon' , 'Orange Punch' , 'Orange Sun' オレンジサン , 'Orange Wink' , 'Orchid (Kunderd)' , 'Orchidea' , 'Oregon Sunset' , 'Orient' , 'Osaka' , 'Oscar' , 'Ovatie' , 'Pale Moon' , 'Papoose' , 'Parade' , 'Paradise' , 'Partituur' , 'Party Ruffles' , 'Passion' , 'Passos' , 'Patricia Jean' , 'Peace' , 'Peche Melba' , 'Pegasus' , 'Pentera' , 'Perky' , 'Perseus' , 'Pescara' , 'Peter Pears' , 'Philadelphia' , 'Phlebosovenia'フレボスーベニア , 'Piccolo' , 'Pink Beauty' , 'Pink Cheer' , 'Pink Event' , 'Pink Formal' , 'Pink Impression' , 'Pink Lady' , 'Pink Lady'ピンクレディー , 'Pink Parrot'ピンクパーロット , 'Pink Pastel' , 'Pink Perfection' , 'Pink Prospector' , 'Pink Sensation' , 'Pink Triumph' , 'Plum Tart'(花径11~14cm) , 'Pocahontas' , 'Poonam' , 'Porterdale' , 'Powder Puff' , 'Praha' , 'Precious' , 'Premiere' , 'President Taft' , 'Pride' , 'Prima Verde' プリマベルデ , 'Prime Time' , 'Prince Claus'プリンスクラウス , 'Prince George' , 'Prince of Orange' , 'Princess Lea' , 'Princess Margaret Rose'プリンセスマーガレットローズ , 'Princess Of Orange' , 'Princess Summer Yellow'プリンセスサマーイエロー , 'Princess Summer'プリンセスサマー , 'Prins Claus' , 'Priscilla'プリシラ , 'Prometheus' , 'Province' , 'Pure Veil'ピュアベール , 'Purple Flora'パープルフローラ , 'Purple Giant' , 'Purple Moth' , 'Pusa Suhagin' , 'Queen Esther' , 'Queen Of Sheba' , 'Queenly' , 'Quickie' , 'Rajah' , 'Rangmahal' , 'Rapid Red' , 'Ray' , 'Red Bantum' , 'Red Beauty' , 'Red Flora' , 'Red Lion' , 'Red Majesty' , 'Red Rebel' , 'Red Sensation' , 'Red Star' , 'Red Swirl' , 'Red Tornado' , 'Red Velvet'レッド・ベルベット , 'Red, White Center' , 'Redeem' , 'Renown' , 'Rexford' , 'Rhapsody in Blue' , 'Richmond' , 'Robineau' , 'Robinetta' , 'Romance' , 'Romance' , 'Rose Button' , 'Rose Lind'ローズリンド , 'Rose Queen' , 'Rose Red' , 'Rose Supreme' , 'Rose Wells' , 'Rosiebee Red' , 'Rouge Torch' , 'Royal Brocade' , 'Royal Buff' , 'Royal Dame' , 'Royal Dutch' , 'Royal Glimpse' , 'Royal Gold' , 'Royal Ruffles' , 'Royalty' , 'Royalty' , 'Ruffled Lotus' , 'Ruth' , 'Rutherford' , 'Safari' , 'Sagar' , 'Salmon Button' , 'Salmon Queen' , 'Salmon Red No. 16' , 'San Remo' , 'Sancerre' , 'Sangohime'(春咲き) , 'Sanguine' , 'Sanjevani' , 'Sapna' , 'Sarang' , 'Sassy Willie' , 'Scarlet Letter' , 'Scarlet Velvet' , 'Scarsdale' , 'Scepter' , 'September' , 'Sequoia' , 'Setting Sun' , 'Shabnam' , 'Shagun' , 'Shakti' , 'Shalimar' , 'Shannon' , 'Shihounoasa' 紫峰の朝 , 'Shirley Cole' , 'Shirly' , 'Shobha' , 'Shringgrika' , 'Shu' , 'Shweta' , 'Sieger' , 'Silver Dollar' , 'Silver Jubilee' , 'Silver State' , 'Silvia' , 'Simplicity' , 'Sindur' , 'Sister Fortuna' , 'Skidoo' , 'Small Wonder' , 'Smoky Lady' , 'Snow White' , 'Snowdrop' , 'Snowdust' , 'Socialite' , 'Solist' , 'Sonate' , 'Sophie'ソフィー , 'Speed Date'スピードデート , 'Spic and span'スピックアンドスパン , 'Spring Green' , 'Spring Ruffles' , 'Spring Song' , 'Star Burst' , 'Stella' , 'Stephanie' , 'Stereo' , 'Stewart No. 102' , 'Stewart No. 103' , 'Stewart No. 108' , 'Stewart No. 113' , 'Stewart No. 30' , 'Stewart No. 74' , 'Stewart No. 98' , 'Stewart No. 99' , 'Strawberry Sundae' , 'Suchitra' , 'Sugar Babe'シュガーベイブ , 'Sugar Plum' , 'Sukanya' , 'Sulphur Queen' , 'Summer Garden' , 'Summer Love' , 'Sun Kissed' , 'Sunayna' , 'Sundown' , 'Sunset' , 'Sun'サン , 'Super Sak®' , 'Super Star' , 'Surprise' , 'Swapnil' , 'Swarnima' , 'Sweet Debbie' , 'Sweet Fairy' , 'T 512' , 'Table Talk' , 'Taconic' , 'Taipeh' , 'Tallyho' , 'Tangerine' , 'Tantastic' , 'Tapestry' , 'Tartan' , 'Tea Party' , 'Ted Fritzl'テッドフリッツル , 'That's Love' , 'The Gem' , 'Theresa' , 'Thomasena' , 'Thunder Bird' , 'Tiger' , 'Tilak' , 'Tiny Taj' , 'Titanic' , 'Topaz' , 'Tout a Toi' , 'Tracy' , 'Traderhorn'トレーダーホーン , 'Traveller'トラベラ , 'Tricolore' , 'Triton' , 'Tropic Seas' , 'Tropicana' , 'True Love' , 'Twilight' , 'Umpleby No. 65,' , 'Union Jack' , 'Upper Crust' , 'Urmil' , 'Urvashi' , 'V. L. S. R.' , 'Valenciennes' , 'Vamp' , 'Vandana' , 'Vandohla' , 'Velvet Eyes'ベルベットアイズ , 'Velvet King' , 'Venetie'ベネチア , 'Vera Lynn' , 'Vesuvius' , 'Vicki Cream' , 'Vicki Lin' , 'Victor Borge' , 'Vidi Napoli' , 'Viking' , 'Violetta' , 'Vista (Austin)' , 'Vista (Burchett)' , 'Vista' , 'Volcano'ボルケーノ , 'Wachusetts' , 'Waimea John' , 'Waimea Lady' , 'Wanda' , 'Waris' , 'West Coast Hybrids' , 'White City' , 'White Crepe' , 'White Enchantress' , 'White Friendship'ホワイトフレンドシップ , 'White Heaven' , 'White Knight' , 'White Oak' , 'White Prosperity'(L) , 'White Wonder' , 'Wildcat' , 'Windsong' , 'Windsor' , 'Winifred' , 'Witch Doctor' , 'Woodruff No. 111' , 'Woodruff No. 2-701' , 'Yellow Bird' , 'Yellowstone'エローストーン , 'Zingari' , 'Zizanie' , 'Zorro'
グラジオラスの園芸品種分類
グラジオラスは春咲き系と夏咲き系とに大別され、普通グラジオラスといえば夏咲き系統を指し、春咲き系統は春咲きグラジオラスと呼び区別されている。Missouri Botanical Gardenの分類
園芸品種の分類はMissouri Botanical Gardenでは3種に分類している。a Gladiolus Grandiflora hybrids グランディフローラ・ハイブリッド
Gladiolus × hortulanusの学名がつけられ、大輪グラジオラスと呼ばれる。
花茎は穂状花序を含め、高さ90~180cm。花は漏斗形、幅10~15cm、1本の茎に最大30個、花色は多彩。一般的な庭園で育てるのが最も難しいグループとされている。夏~秋咲き、主に夏咲き。
※これをGladiolus Grandiflorus hybridsとするのは誤り。Gladiolus grandiflorus Andrewsという種があるためそのハイブリッドを指す。
b Gladiolus Nanus hybrids ナヌス・ハイブリッドミニチュア交配種。花茎は高さ45cmに達し、花は幅4.5cmまでの小さなフレア形。
c Gladiolus Primulinus hybrids プリムリヌス・ハイブリッド
c-1 Hooded-type hybrids フード型・ハイブリッド
花茎が高さ60~120cm、花が緩くつき、優美さとよく発達したフードをもつ
c-2 butterfly hybrids バタフライハイブリッド
プリムリヌス交配種のサブグループとしてよく含まれる。
花茎が60~90cm、花は波打つような(ruffled)花被片と、対照的な喉の斑点などの模様が特徴である。
The Journal of The Botanical Society of South Africaの分類
a 早咲き(春咲き)のColvillei-Ramosus-Insignisグループとその変種および近縁種
矮性で、より細い茎に花が散在する。b 夏咲きのグループ
茎が長く、より太く、花は互い違いではあるものの、2列に密集して咲く。
b-1 大輪系品種(Grandiflora hybrids)
Gandavensis、Lemoinei、Nanceianus、Childsiiの交配種
大輪系交配種(Grandiflora hybrids):様々な色の大輪13~15cm)花を豊富に咲かせる、典型的なグラジオラス。
b-2 G. primulinusの交配種
(1) 優美さとよく発達したフードを特徴とする品種
(2) (特にアメリカで)大輪系の品種に似た、大きく広がる花と鮮やかな色彩を持つ品種
( G. primulinus grandiflorus hybrids)
Ready Reckoner on Cultivation of Gladiolusの分類
A 園芸品種分類グラジオラスには、花の大きさと形によって4つの種類がある。園芸上、グラジオラスは以下のように分類される。
(1) Large flowered Hybrids(Gladiolus Gandavensis) 大輪グラジオラス
大輪グラジオラスは、三角形の重なり合った花を咲かせ、花飾りというよりも庭のディスプレイに適している。穂状花序は高さ120~150cmまで成長し、力強く直立し、花は直径10~15cm、三角形で対称的な花を密につける。開花は晩期。
(2) Primulinus Gladiolus プリムリヌス・グラジオラス
プリムリヌス・グラジオラスは、長い穂状花序を持ち、ジグザグに並んだ幅広の花がつく。花はフード形、小さめである。穂状花序は高さ100cmまで成長し、花は直径5~10cm。開花は中期。
(3) Miniatures Gladiolus ミニチュア・グラジオラス
ミニチュアグラジオラスは、通称ピクシオラ(Pixiola)と呼ばれ、上側の花被片がわずかにフード状になり、最も繊細である。温室下での促成栽培、鉢やコンテナで育てるのに適している。コルビレア(Colviella)、ナヌス(Nanus)、ビザンティヌス(Byzantinus)、グランディス(Grandis=G. liliaceus)、トリスティス(Tristis)などが、このカテゴリーで人気の栽培品種である。穂状花序は高さ60~100cmに成長し、花は直径5~7.5cmで、切り花や早咲きタイプに適している。この中には、穂状花序が最大36cmに達するバタフライ型交配種(butterfly hybrids バタフライハイブリッド)も含まれる。バタフライハイブリッドは花被片の縁がフリル状で、花は直径約6cm、喉元に特徴的な模様がある。
(4) Peacock Hybrids ピーコックハイブリッド
グラジオラス・ムリエラエ(Gladiolus murielae Kelway=synonym Gladiolus callianthus Marais)は英名が peacock gladiolus , peacock orchid , acidanthera , Abyssinian gladiolus , fragrant gladiolus。別名はピーコックグラジオラス。花は芳香があり、星形、白色。
切り花に適しており、高さは矮性で、花被片が反り返った多色種である。
(5) Star flowered Gladiolus Hybrids 星咲きハイブリッド
このタイプは平らな星のような花を咲かせ、イギリスのケンブリッジのアンウィンズによって育成された品種である(詳細不明)。
花を正面から見ると、三角形、星形、または円形になる。
品種) Starface’, ‘Lucky Star’,'Black Star' , 'Midnight Star'
B 商業分類
商業目的では、グラジオラスは穂状花序の長さと花の数などに基づいて分類される。これらの分類は以下の通り。
B-1 花序の長さと花の数による分類
(1) Fancy :花序長107㎝以上、最小花数16個
(2) Special :花序長96~107㎝、最小花数15個
(3) Standard:花序長81~96㎝、最小花数12個
(4) Utility :花序長81㎝以下、最小花数10個
B-2 花の大きさによる分類
(1) Miniature :花径6.4㎝以下
(2) Small :花径6.4~8.9㎝
(3) Decorative:花径8.9~11.4㎝
(4) Standard or Large:花径11.4~14.0㎝
(5) Giant :花径14.0㎝以上
B-3 花の色による分類
白色、黄色、オレンジ色、サーモンピンク色、ピンク色、レッドローズ色、ラベンダー色、バイオレット色、スモーク色、タン色、ブラウン色など。それぞれの色において、ペール、ライト、ミディアム、ディープなどの濃さも考慮される。
British Gladiolus Societyでは世界で使われる3桁のコードが使用されている。
1桁目は穂状花序の基部の花の直径:(1)=narrowest~(5)=widest
2桁目は花の色 (i.e. green, yellow, orange etc, 0-9)
3桁目は強さ、色合い (0)=Pale, (2)=Light, (4)=Medium, (6)= Deep, (8) = Very Deep
2・3桁のカラーチャートが示されている。
農林水産省審査基準では花の色は1: 白, 2: 黄, 3: 橙, 4: 桃橙, 5: 桃, 6: 紫, 7: 赤紫, 8: 青, 9: 緑 に分けている。
RHSによる高さの分類
giant, large(L), medium(M), small, minature(Min)
グラジオラス交配種の歴史
ゴールドブラット氏(Goldblatt)の著書『熱帯アフリカのグラジオラス』には「園芸グラジオラスの発展」という有益な章がある。ゴールドブラット氏が記録した経緯を簡単にまとめた。南アフリカは、その植物相において世界の庭園に価値ある貢献を果たしてきた。交配者によって園芸の完成度を高められた在来植物の中でも、グラジオラスは最高の地位を占めている。しかし、現在南アフリカとローデシアに生息することが知られている150種のうち、わずか24種が、人々の手によって形作られる母体となり、その中で現代のグラジオラスの誕生に真に重要な役割を果たしたのはわずか7、8種である。興味深いことに、初期の交配の多くは西ケープ州の冬季降雨地域に生息する種同士で行われたが、その後のグラジオラスの育種における最大の進歩は、東部州、ナタール州、トランスバール州、ローデシアの夏季降雨地域に生息する種の使用によって促進された。グラジオラスの交配と改良は主に商業園芸に従事する人々によって行われてきたが、私たちがデータを持っている最初の研究は、その結果に金銭的な利害関係を持たない個人によって行われた。
ディーン・ウィリアム・ハーバート(Dean William Herbert)は、1847年に亡くなるまでの40年間に数多くのグラジオラスの交配種を育てた。彼の交配の多くは西ケープ州の種を中心に行われ、現在栽培されている交配種は一つもない。ハーバートによる交配は他の人々よりも先駆的かつ同時代的であったにもかかわらず、それらの交配種は枯死し、その後の研究にも使用されなかったと考えられている。この見解を支持するために、現在栽培されているグラジオラスの品種は、ハーバートが用いた多くのケープ州の種の特徴を示していないという主張がある。しかし、私たちは独断的であってはならない。ある属の種が交配され、その子孫が130年間交配を続けた場合、すべての現代品種がそれぞれの祖先の特徴を露骨に示しているとは期待できない。ここでは、より明確に定義され、連続的な発展の系統について見ていく。
最初のグラジオラス交配種は、ハーバート・メダル受賞者のディーン・ハーバート氏(Dean Herbert)によって1820年代に育成された。ケープ原産の様々な種との交配種が生み出され、その中にはG. angustus、G. cardinalis、G. carneus、G. tristis由来の耐寒性グラジオラスや、冬季に生育する軟弱なグラジオラスなどが含まれていた。いくつかは命名され、育苗場(nurseries)に配布された。 [ケープ植物(Cape plants)の栽培は当時、今日よりもはるかに一般的で、園芸家や育苗場では、エリカをはじめとする南アフリカの植物が幅広く栽培されていた。エリカもまた交配種であった。現在、南アフリカのヒースを栽培している人もいるかもしれない。]
グラジオラスの育種を始めた人々もあり、チェルシー(Chelsea)のコルビル氏(Colville)もその一人で、彼らはG. cardinalisとG. tristisを交配してGladiolus x colvilleiを作り出した。これは1826年に記載され、現在も栽培されている。その後、Gladiolus oppositiflorusが持ち込まれ、これがGladiolus cardinalis x cruentusの交配種と交配されGladiolus ramosus L.(Ixia scillaris subsp. scillaris)として知られる種が生まれた。これらがさらに交配され、Gladiolus Nanus (Babiana nana (Andrews) Spreng.は青花の別種)と呼ばれる種が作られた。この名前は今でも小花の栽培品種のカタログに掲載されている。
1837年、ベルギーでGladiolus dalenii Van Geelとの最初の交配が行われた当時には、すでに様々な遺伝子が流通していた。これらの交配種が、G. x gandavensis(トウショウブ)へと進化した。一般化された理想的なG. x gandavensisを特定するのは困難であろう。ファン・ホウテ(van Houtte)が誤解を招くラテン語の異名ではなく、単に「ゲント・ハイブリッド(Ghent Hybrids)」と呼んでいた方がずっとましである(ガンダ(Ganda)はラテン語でゲント(Ghent)を意味し、パルマ産のハムに似た、地元の美味しいドライキュアハムにもこの形で使われてる。フランス語ではGand = Ghent、フラマン語(Flemish)ではGentであるが、英語では音の通りになるようにhを付ける。この魅力的なフランドルの町を訪れることを強くお勧めする)。
ゴールドブラットは、「その後数年間で、ガンダベンシス・ハイブリッド(Gandavensis hybrid)と他の栽培品種を交配することで、多くの新しいハイブリッド種が生み出された」と述べ、G. ramosusがこれらの重要な親の一つであったことを示唆している。
1870年、フランスの偉大なナーセリーマン、ヴィクトル・ルモワーヌ(Victor Lemoine)はG. papilioを入手し、それを用いて深紫色の斑点のある品種改良を行い、Gladiolus x lemoineiとして知られるようになった。この品種は耐寒性があるが、この特性は見過ごされていた。ルモワーヌはさらにこの植物をGladiolus saundersiiと交配し、G. x nanceianusを作り出した(ルモワーヌのナーセリーはナンシーにあった)。ドイツの植物学者マックス・ライヒトリン(Max Leichtlin)もまた、G. x gandavensisとG. saundersiiを交配し、下花被片に淡い斑点のある大輪のグラジオラスを開発した。これらは1891年にアメリカのナーセリーマン、ジョン・ルイス・チャイルズ(John Lewis Childs)に売却され、この株から大輪のグラジオラスのほとんどが生み出された。
帯緑色、帯褐色、そして紫色の色合いは、ルモワーヌが使用した緑色のG. daleniiに由来しているようである。黄色は、前述のように、1890年頃、当時はG. primulinusと呼ばれていたG. daleniiから生まれた。ゴールドブラットは次のように記載している。「この植物の使用は、野生種が大輪グラジオラスの栽培品種の育種に使用された最後の例のようである。既存の交配種間の戻し交配によって、今日市場で見られるような多様性と斬新さが生まれている。」
それ以来、野生種同士の交配が数多く行われており、野生種との交配によって、大輪交配種よりも魅力的な(できれば丈夫な)植物を、同じ色彩範囲で生み出す余地は大いにあるように思われる。数年前、オランダの大きなフラワーショーで、イスラエルで栽培された美しく優美なグラジオラス交配種を見かけたが、それらは市場に出回ることはなかった。商業利用には増殖が遅すぎたり、病気にかかりやすかったりするかもしれないが、多くの植物愛好家はそれを欲しがることであろう。
Garden Gladioli — Their Origin and History
(参考9)南アフリカは、その植物相において世界の庭園に多大な貢献を果たしてきた。交配種によって園芸的に完成された在来植物の中でも、グラジオラスは最高の地位を占めている。しかし、現在南アフリカとローデシアに生息することが知られている150種のうち、精力的な栽培者によって形作られる母体となったのはわずか24種に過ぎず、その中で現代のグラジオラスの誕生に真に重要な役割を果たしたのはわずか7、8種に過ぎない。興味深いことに、最も初期の交配の多くは西ケープ州の冬季降雨地域に生息する種の間で行われたが、その後のグラジオラスの品種改良における最大の進歩は、東部州、ナタール州、トランスバール州、ローデシア州の夏季降雨地域に生息する種の使用によって促進された。グラジオラスの交配と改良は主に商業園芸に従事する人々によって行われてきたが、私たちがデータを持っている最初の研究は、結果に金銭的な関心を持たない個人によって行われた。
ディーン・ウィリアム・ハーバート(Dean William Herbert)は、1847年に亡くなるまでの40年間に、数多くのグラジオラスの交配種を育てた。彼の交配の多くは西ケープ州の種を中心に行われたが、彼の交配種の中で現在栽培されているものは一つもない。ハーバートによる交配は他の人々よりも先駆的かつ同時代的であったにもかかわらず、それらの交配種は枯れてしまい、その後のいかなる研究にも使われることはなかったと考えられている。この見解を支持するために、現在栽培されているグラジオラスの品種は、ハーバートが用いた多くのケープ州の種の特徴を示していないと主張されている。しかし、私たちは独断的であってはならない。ある属の種が交配され、その子孫が130年間も交配を続けた場合、現代の品種すべてがそれぞれの祖先の特徴をあからさまに示しているとは期待できない。
以下は、より明確に定義された連続的な開発品種。
グラジオラス・コルヴィレイ Gladiolus Colvillei
永続的な価値を持つ最初の交配種を育てた功績は、ロンドンのチェルシーの苗木業者コルヴィル(Colville)に帰せられるべきであろう。彼は1823年にG.コルヴィレイを生み出した。矮性で早咲きのこの品種は、花被片が緋色で広がった長円形、先が鋭形、下側の3個の花被片に黄色の披針形のしみがある。R. スウィート(R. Sweet)が『British Flower Garden』第155巻(1826年)で、生きた標本を用いて記載・図示した。ハーバートは(自身のグラジオラス・スポフォルティアヌス(G. spofforthianus)と同様に)グラジオラス・カーディナルス(G. cardinalis)とグラジオラス・ブランドゥス(G. blandus)の交雑種と考えていたが、スウィートの主張通り、グラジオラス・カーディナルスによって受粉したグラジオラス・トリスティス・ヴァー・コンカラー(G. tristis var. concolor)である可能性の方がはるかに高い。この交雑種は種子親から芳香を受けつぎ、Waterfall Gladiolusはその鮮やかな色彩を担っている。
G. Colvillei については、これまで様々な記述があり、若干の相違が見られる。これらは一般的に、1860年以降、この植物が複数の変異(sports)や変種(variations)を生み出したという事実に起因しているとされている。最初の白い品種(var. albus)は、1872年にオランダの2つのナーサリーで変異して出現した。これらの品種は葯に色がついていたが、葯が白い純白の品種が登場したことで人気は衰えた。この品種は「The Bride」と呼ばれ、今日でもヨーロッパやアメリカでは温室栽培の題材として高く評価されている。しかし、混乱も生じている。『Index Lon-dinensis』では、var. albus の初版が1885年とされているが、奇妙なことに13年もの歳月が経っている。「The Bride」については言及されていない。他の書籍では、この2つを誤って同義語として引用している。
早咲きの交配種の先駆けであるグラジオラス・コルビレイに続いて、この方向への将来の発展に決定的な影響を与える2つの交配種、グラジオラス・ラモサスとグラジオラス・インシグニスが誕生した。 どちらも偶然の産物であった。
グラジオラス・ラモサス Gladiolus Ramosus
グラジオラス・ラモサスは1830年にハールレムのG. フォーヘルム・シュネーヴォート氏(G. Voorhelm Schneevoogt)の球根苗圃で発見された。当初は淡い朱色で、下側の花被片にプラム色の斑点と白い縞模様があったが、すぐに多くの変種が現れた。G. blandusとG. cardinalisが親株とされているが、この交雑種はG. floribundusの実生群の中から発見された。当時オランダでG. floribundusとして栽培されていたこの植物は、実際にはG. oppositiflorus(トランスカイ(Transkei)原産の背が高く、白い縞模様のライラック色)であったという証拠がある。この種は1842年にハーバートによって命名された。そのため、多くの人がGladiolus ramosusを自然交配種だと考えている。G. cardinalis と G. oppositiflorus の雑種で、後者が種子親である可能性が高い。
グラジオラス・インシグニス Gladiolus insignis
エクセターのルッコム・ピンス社(Luccombe Pince & Co.)は、チェルシー・ナーサリー(Chelsea nursery)からコルヴィルなど球根をすべて入手した。その中には、1839年に開花した、それまで知られていなかったグラジオラスも含まれていた。このグラジオラスは、下側の花被片に紫色の斑点のある濃い赤色の花を咲かせた。このグラジオラスはGladiolus insignisと命名され、交雑種と考えられていたが、その親は不明である。今日では、G. Colvilleiは種類としてかなり明確に区別されているが(白やピンクのグラジオラスも入手可能)、早咲きのグラジオラス(early-flowering Gladioli)の中には、それほど明確に区別できないものも存在する。おそらく、ramosus、insignis、そして特定のケープグラジオラス種(Cape species)との交雑種であろう。例えば、現在では複雑に混ざり合っているこれらの早咲きのグラジオラスの中には、G. blandusの血統が混ざっていると考えるのは、決して不合理ではない。これらは、「praecox」「nanus」「floribundus」「delicatissimus」など、様々な架空の名称で統合されている。これらはすべて、初期の商業活動で作られた造語である。しかし、「praecox」という名称は、後ほど説明する別のグループを指すこともある。
グラジオラス・ガンダベンシス Gladiolus Gandavensis
G・コルヴィレイの16年後に光が見えた。現代グラジオラスの歴史において最も重要な出来事の一つが大陸で起こった。これはグラジオラス・ガンダベンシスという交配種の出現であった。この交配種は、ゲント(Ghent)のルイ・ファン・フーテ( Louis van Houtte)の功績とされることが多く、彼はこの植物を「ガンダベンシス(gandavensis)」と名付け、1841年にその記載を行い、親株はG. psittacinus × G. cardinalisであるとした。しかし、G. ガンダベンシスの育成の栄誉は、アンギャン(Enghien)のダレンベルグ公爵(Duc d'Aremberg)の庭師であったベディングハウス(Bedinghaus)に帰せられるものである。彼は1837年に交配を行い、1839年か1840年に交配種を展示し、その実生苗の一つをファン・フーテに売却しました。ファン・フーテが示した親株はすぐに疑問視されるようになった。ハーバート(Herbert)を含む数人が交配を試みたが、交配種であるG. ガンダベンシスは得られなかった。ハーバートがG. oppositiflorusと、同じく背が高く、生命力に溢れる赤色と黄色のG. psittacinusを交配してG. gandavensisを実際に入手していなければ、この結果は決定的なものとはみなされなかったであろう。その後、他の研究者もこれらの親株を用いてG. gandavensisを入手している。
オリジナルのG. gandavensisは、実質的にG. psittacinusの改良版であった。上側の花被片が前方に曲がり、花は赤色と黄色の色合いが混ざり、しばしば斑入りであった。色彩は豊かで、背の高い穂状花序は開花が遅かった。ファン・フーテの変種citrinusは1849年に発表された。その後、フォンテーヌブロー(Fontainebleau)でナポレオン3世の庭師を務めたスーシェ(Souchet)によって、1852年から彼が亡くなる1880年までの間に、大規模な改良が行われた。スーシェ(Souchet)は、G. gandavensis、G. ramosus、G. floribundus の間や、これらの交配種から選抜された種の間で、多数の雑種を育てた。
グラジオラス・ブレンチリーエンシス Gladiolus Brenchleyensis
ブレンチリーエンシス:グラジオラスの交配にはグラジオラス・ガンダベンシス(Gladiolus gandavensis)またはその親株がしばしば関与する、他の場所での訴訟も行われていた。ウィリアム・フッカーは1846年にグラジオラス・ブレンチリーエンシス(Gladiolus brenchleyensis)を導入した。その学名は、フッカー(Hooker)が住んでいたケント州ブレンチリー(Brenchley)に由来する。かつてはグラジオラス・プシッタシヌス(Gladiolus psittacinus)とグラジオラス・フロリバンダス(Gladiolus floribundus)の交配種と考えられていたが、現在では単にグラジオラス・ガンダベンシスの赤色種とみなされている。ブレンチリーエンシスと鮮やかな緋色で白斑のあるグラジオラス・クルエントゥス(Gladiolus cruentus)を交配して生まれた「アリス・ウィルソン(Alice Wilson)」は、1869年にジョン・スタンディッシュ(John Standish)によって10年間の研究の末に育成された最高の交配種である。これは、反り返ったクリーム色の花に、先端が濃いカーマイン色を帯びた、これまでにない「ブレーク」であった。後に他の色の花が生まれたが、最終的には他の大輪系の交配種と融合した。
グラジオラス・レモイネイ Gladiolus Lemoinei
1875年、ナンシー(Nancy)のヴィクトル・ルモワーヌ氏(M. Victor Lemoine)はグラジオラスの歴史に残る画期的な交配を始めた。彼はグラジオラス・ガンダベンシスの特定の品種から花粉を採取し、それを当時ナタール産の新種であった濃い黄色に濃い紫色のしみのあるグラジオラス・プルプレオアウラトゥス(G. purpureo-auratus)の花に使用した。この交配からルモワーヌは3本の苗木を得た。1878年8月、そのうちの1本が開花し、これがグラジオラス・レモイネイであった。彼はそこから、庭園やその後の交配においてその価値がすぐに認識されることになった、優れた交配種の育成を始めた。グラジオラス・レモイネイの品種は1882年から入手可能になった。これらの品種はガンダベンシス群よりも優美で、開花時期がやや早く、花はよりはっきりとしたフード状で、茎の片側だけに咲いた。やがて、それらは幅広い色彩を帯びるようになったが、最初は主に黄色、赤色、赤紫色の色合いであった。一方、下側の花被片にある濃い紫色のしみは、このグループの特徴であり、G. purpureoauratus の影響を示している。
G. Lemoinei と同一の親を持つ系統が過去に少なくとも2つ確認されている。G. Froebellii と G. Engesseri である。どちらもチューリッヒのフレーベル社(Froebel & Co.)によって育成された。Lemoinei 系統からは紫色、すみれ色、青色の系統も育成されており、トランスヴァール地方とナタール地方に生息するライラック色、紫色、黄色の G. papilio がこの目的に用いられた可能性がある。
典型的なレモイネイの主な欠点の一つは、花弁が厚すぎることであった。この欠点が顕著なため、花は切り花には適していなかった。この欠点はその後の改良で修正された。
グラジオラス・ナンシアヌス Gladiolus Nanceianus
1872年に、グラジオラス・サウンデルシー(Gladiolus saundersii Hook.f.)はキューガーデンで開花した。これは偉大な業績を残す運命にあった種である。花は緋色で、中央に白色の斑点のある赤色のパッチがある。1883年、ルモワーヌ氏(M. Victor Lemoine)は所有していたG. Lemoineiの花粉をGladiolus saundersiiの花に散布し、Gladiolus nanceianusという交配種が誕生した。この交配種は1885年に初開花し、1889年に展示された。この新しいグループを設立するために使われたのは、わずか2本の実生だったと考えられている。G. nanceianus にはいくつかの欠点があったが、その変種はどれも枝分かれした茎で非常に自由に開花し、非常に大きく、完全に開き、斑点のある形の良い花を咲かせた。色は主に赤色と紫色である。最も重要なのは、フードがほぼ失われていることである。花は上側の花被片が直立していた。これは G. Lemoinei とは完全に「分離」できるものである。G. Saundersii は G. psittacinus よりもさらに顕著なフード状になっているように見えるが、これは、花が自然に咲く姿勢によって、本来は直立している先端部が水平に前方に突き出ているためである。G. nanceianus の変種の大きな価値は、サマセット州ラングポート(Langport)のジェームズ・ケルウェイ(James Kelway)による育種への影響力にあった。ケルウェイは1847年にスーシェのガンダベンシス変種のいくつかを確保しており、G. nanceianus が出現する頃には、ガンダベンシスの豊富な在庫を保有していた。彼はこれらを G. nanceianus の変種と交配し、この交配から有名なケルウェイ交配種(Gladiolus Kelway hybrids)(G. Kelwayi とも呼ばれる)が生まれた。
グラジオラス・チャイルズィー Gladiolus Childsii
グラジオラス・チャイルズィーは、もともとバーデン=バーデン(Baden-Baden)のマックス・ライヒトリン(Max Leichtlin)の研究によるものである。彼は1874年にGladiolus saundersiiを使っていたが、これとGladiolus x gandavensisとの交配種を作り、1877年に開花させてグラジオラス・ライヒトリン(Leichtlinii's Magnificent Hybrid Gladioli)と名付けた。Gladiolus × nanceianusより丈夫で、草丈が高く、開花が長い。
この品種の一部はイギリスに渡ったが、1882年にライヒトリンは残っていた全株をフランスで売却した。1884年にこれらはニューヨークのV. H. ハロック&サン社(V. H. Hallock & Son)に移され、ハロック社はこの品種を改良し、7年後に同じくニューヨークのジョン・ルイス・チャイルズ(John Lewis Childs)に売却した。チャイルズは1893年にこのグループをグラジオラス・チャイルズィー(Gladiolus Childsii)として市場に出した。簡単に言うと、チャイルズ変種は色鮮やかで斑点や縞模様があり、大きく開いた大輪の花を咲かせ、花びらが広く、茎は長くしっかりしていた。アメリカで飛躍的に成長し、気候条件によく耐え、庭の装飾と切り花の両方で人気を博した。
グラジオラス・トゥリセンシス Gladiolus Turicensis
一部では'Superbus'スーパーバスまたは'64 Grandiflorus' グランディフロルスという別名で呼ばれており、この品種と大輪のガンダベンシス種との交配により、チューリッヒのフレーベル社(Froebel & Co.)は、中程度の大きさで深紅の花を咲かせ、下節に白い斑点のあるグラジオラスを生み出したと言われている。この品種はグラジオラス・トゥリセンシス(Gladiolus turicensis)と呼ばれている。
グラジオラス・バーバンクとグロフハイブリッド Gladiolus Burbank、Groff's hybrids アメリカに帰国したルーサー・バーバンク(Luther Burbank)は、非常に精力的で多作な交配家であり、手に入る限りのあらゆる品種を交配し、驚くほど優れた成果を上げていた。カリフォルニアの環境に適したグラジオラスの品種を育成することを目指し、1890年頃、彼は強健で花弁が太い品種の育成に着手した。この試みは成功したが、後にその株をオンタリオ州のH・グロフ氏(H. Groff)に売却した。グロフ氏は既にガンダベンシス、チャイルズィー、レモイネイといった品種の膨大なコレクションを所有していた。グロフ氏はその後、これらの品種を交配し、選抜と近親交配によって、主に切り花用に設計された大輪で幅広い色彩を持つ品種 Groff's hybridsを作り出した。
グラジオラス・プリンセプス Gladiolus Princeps
synonym Gladiolus × princeps L.H.Bailey
ヴァン・フリート博士(Dr. van Fleet)は、グラジオラス・クルエントゥス Gladiolus cruentusにG. Childsii var. Mrs. Beecherの花粉を用いて、1897年頃に実生を開花させた。博士は、高さ約60cmの、丸く、完全に開いた大きな花を咲かせる品種を選定した。花色は濃い血赤色で、喉元に幅広の白色とクリーム色の斑点があった。彼はこれをGladiolus princepsと名付け、そこから多くの魅力的な変種や交配種が生まれ、中には原種よりも背の高いものもあった。
グラジオラス・クンデルディ Gladiolus Kunderd
アメリカ、1896年、インディアナ州のA・E・クンデルド(A. E. Kunderd)は、既存のグラジオラスの交配種や変種の選抜と交配を始め、すぐに花びらが波打つ品種の確保に集中することを決意した。15年後、彼は琥珀色がかった白色の最初の「波打つ」グラジオラスを手に入れ、'Kunderd Glory' クンデルド・グローリーと名付けた。その後、同様に波打つ品種が次々と生まれ、白からアイボリー、クリーム、黄色、そして赤みがかった色からサーモンピンクまで、様々な色の花が咲いた。斑入りの品種と縞模様の品種もあった。これらは総称してグラジオラス・クンデルディと呼ばれ、さらに発展させて、彼は縁飾りのある花弁を持つ品種を選抜・交配し、'Laciniatus' ラシニアトゥスと名付けた。
現在のカタログでは、「大輪グラジオラス」という名称は、ガンダベンシス、レモイネイ、チャイルズィー、ナンシアヌスなどのこれらの系統に由来するすべてのグラジオラスを網羅している。この優れた研究は今も続いており、フランスとアメリカにおけるその後の発展は、ナタール原産のG. dracocephalusの使用である。この種は黄緑色の花に鈍い紫色の脈と点模様がある。Praecox(早生)である。ここで、しばしば「praecox」という名称で呼ばれるセクションに至ったが、これはColvillei-ramosus-insignisセットとは全く関係がない。これらはドイツやその他の地域で育成されており、一般的にはGandavensis、Lemoinei、Nanceianus、Childsiiの選抜された「早生種」との交配種と考えられている。これは、上記の早生種を得るためのかなり成功した試みである。
グラジオラス・プリムリヌス Gladiolus Primulinus
現代のグラジオラスの歴史を完結させるためには、今度は欧州連合の外に目を向けなければならない。なぜなら、ローデシアは、交配種のガンダベンシス以来、グラジオラスにおいておそらく最も大きな進歩をもたらしたからである。印象的なレモンイエローの花を咲かせ、厚いフードを持つグラジオラス・プリムリヌスは、1887年に初めて発見された。この花は1890年にキューガーデンで開花したが、交配に利用されたのは1902年に再導入されたときであった。現在のプリムリヌス・グループの品種はすべて、この種を、上記で起源を示した夏咲きグラジオラスのほとんどの系統と交配させた結果である。1908年は波乱に満ちた年で、その数ヶ月後には、MM.カイユー(MM. Cayeux)とル・クレール(Le Clerc)がパリでGladiolus primulinusの交配種を発表した。ルモワーヌ・エ・フィス社(MM. Lemoine et Fils)は、この交配種を自社カタログに加え、ロンドンではイギリスのウォレス社(Wallace & Co.)が扱っていたアメリカ産のヴァン・フリート博士の交配種(Dr. van Fleet's hybrids)を目にした。ルモワーヌ(Lemoine)の交配種は、G. primulinus と彼自身のLemoineiおよびNanceianusの品種を交配したものであり、アメリカにおける初期の系統にはChildsiiの品種が目立ったと考えられる。
この新しいタイプのグラジオラスの改良と普及を急ぐあまり、交配家や栽培家たちは競い合った。イギリスのケルウェイ・アンド・サン社(Kelway & Son)は、1910年と1912年に最初のG. primulinusの品種を発表し、Gladiolus Langprimとして市場に投入した。G. primulinusとG. Kelwayiの変種[ケルウェイ交配種(Kelway hybrids):Gandavensis×Nanceianus]を交配した結果、この品種は入手可能な最高級の品種の一つとなり、優れた品種が数多く生まれた。クンデルド(Kunderd)は1915年、アメリカで最初のグラジオラス・プリムリヌス(G. primulinus)の交配種-ほぼオレンジ色の'Alice Tiplady' アリスティプラディ-として誕生させ、現在でも流通している。その後も様々な産地から次々と新しい品種が生まれ、花色も急速に広がった。現在では、白色からレモン、シトロン、ゴールド、オレンジ、淡いピンクから濃いバラ色、チェリー色、スカーレット、クリムゾン、藤色から紫色、そしてサーモンピンク、アプリコット色、ブロンズ、銅色、テラコッタといった繊細なバリエーションまで、実に様々である。
この重要な品種の新品種の導入は今も続いているが、多くの人々の意見によれば、必ずしも一様に優れた趣味とは言えない。初期の品種の多くは、これまで夏咲きのグラジオラスには見られなかった優雅な姿形をしており、改良された魅力的な形のフード型の花に戻り、良好な体格と美しく柔らかなパステルカラーを併せ持っているが、近年は粗野な傾向が見られる。 G. primulinus の特徴である優美さとよく発達したフードを特徴とする品種もあれば、(特にアメリカで)大輪系の品種に似た、大きく広がる花と鮮やかな色彩を持つ品種も進化を遂げている。現在ではこの2つのタイプの間には多数のバリエーションが存在するが、可能な限り、大輪系は通常 G. primulinus grandiflorus hybrids という名称で区別されている。
園芸上、そしてその起源から判断すると、現段階ではグラジオラスには2つの主要なグループがあることがわかる。極早咲きのColvillei-Ramosus-Insignisグループとその変種および近縁種である。次に、夏咲きのグループがある。これは、(a) Gandavensis、Lemoinei、Nanceianus、Childsiiの交配種、および(b) 上記とG. primulinusの交配種からなる。親から想像できるように、2つのグループの特性にはいくつかの違いがある。真の早咲きグラジオラスははるかに矮性で、より細い茎に花が散りばめられ、一方、夏咲きのグループは茎が長く、より太く、花は互い違いではあるものの、2列に密集して咲く。
ヘラルドグラジオラス Herald Gladiolus、グラジオラス・トゥベルゲニ Gladiolus Tubergeni、グラジオラス・プリンシアナス Gladiolus Prinsianus
両グループの最良の特性を体現する中間系統の育成に向けた努力は必然的に行われた。おそらくこの分野で最も成功したのは、ヴァン・トゥベルゲン(Van Tubergen)の研究であろう。彼はRamosusとNanus type(Nanus型)の品種を用いたと考えられている。
グラジオラス・チャイルズィー(G. Childsii)の早咲き種と交配したグラジオラス・ナヌス種(nanus type)が1914年にハールレムで初めて発表され、好評を博した。彼はこのグラジオラス・ナヌス種(nanus type)にヘラルド・グラジオラス(Herald Gladioli)という名を授け、以来いくつかの品種が育成され商業的に流通しているが、まだ比較的小規模なグループである。ヘラルド・グラジオラス種は早咲きグラジオラスよりもやや背が高く、下側の花被片に特徴的な斑点がある。残念ながら花数は多くないが、花は夏咲きグラジオラスと同じ咲き方をし、開花時期もやや早い。花色は、オレンジ色に緋色やサーモンピンクが混じったものから、純粋なサーモンピンクやサーモンピンクまで様々である。
ヴァン・トゥベルゲン(Van Tubergen)はこれに続き、ヘラルド・グループ(Herald group)とG. tristis var. concolorの交配種であるG. Tubergeni(Gladiolus Tubergeni)を育成した。この品種はヘラルド・グラジオラスよりも開花が早いと言われている。
1926年にイギリスはウィズビーチ(Wisbech)のH.プリンス氏(Mr. H. Prins)を通じてこの分野に参入し、プリンス氏はG.プリムリヌス(G. primulinus)とG.コルビレイ(G. Colvillei)を交配してG.プリムリヌスの品種の開花期をいくらか早め、その子孫がGladiolus prinsianusと呼ばれるようになった。
これが、グラジオラスが今日、広大で増え続ける貴重な園芸植物の属として存在する基盤なのである。世界中で栽培されている品種の総数は、今や数千に上るに違いない。将来の発展を正確に予測できる人は誰もいない。数十種はまだ利用されたことがなく、グラジオラスに全く新しい「ブレイク」をもたらす可能性は、決して幻想的ではない。
南アフリカには青いグラジオラスの品種がいくつかあり、青い品種の改良交配種が開発される可能性がしばしば示唆されている。香りの良いグラジオラスを求める人々もおり、この特徴を確保するための試みがいくつか行われてきた。ただし、庭園での価値は主に色の質量効果に頼る夏咲きの品種では、香りは必ずしも必要ではないかもしれない。
100年前、ディーン・ハーバートはG. tristisとG. recurvusを交配してG. fragrans(この種はBabiana fragrans (Jacq.) Steud.のsynonym)を育成した。また、香りの良い交配種としてG. odoratus(G. hirsutus × G. spofforthianus)も生まれた[Gladiolus odoratus L.BolusはGladiolus guthriei F.Bolusのsynonym]。今日では、同様の交配種を作ったり、既存の園芸品種と香りの良い種を交配したりする傾向がある。例えば、数年前、カリフォルニアではG. tristisと早生のサーモンレッドのG. Prince of Walesとの交配に成功し、報告によるとG. tristisの香りが子孫に受け継がれたとのことである。筆者は、カレドン(Caledon)、タルバグ(Tulbagh)、リバーズデール・ベルズ(Riversdale Bells)のようなほっそりとした優美さと、一部のアフリカンデルズ(Afrikanders)が持つ独特の香りが融合した、香りの良いベルズ系(fragrant bells)の品種を構想している。また、triangularis、Kirkii、Stanfordiae といった種の特徴的な形状は、将来のグラジオラスに取り入れられると有益であろう。交配家が未だ手つかずの分野は数多くある。
私たちは、何世代にもわたる経験と知識の蓄積によって、スピードと快適さを享受できる時代に生きている。多くの人々が一つの植物属に、そして長い年月をかけて捧げてきた努力と忍耐に、しばしの休息を取り、思いを馳せるのは良いことである。先駆者たちは、全く未知の可能性を秘めた種を用いて、純粋な実験によって研究を進めることも多く、時には幸運に恵まれることもあった。しかし、彼らは、私たちの庭園をより豊かで美しくするために、今もなお続けられている取り組みの基盤を築いたのである。
参考
1) GRINGladiolus
Gladiolus
Gladiolus
Gladiolus × gandavensis
Gladiolus
グラジオラス新品種‘常陸はつこい’の育成
Ready Reckoner on Cultivation of Gladiolus
Gladiolus italicus
Garden Gladioli — Their Origin and History
細木高志、寺林敏、浅平端 春咲きグラジオラスの生態的品種分類
グラジオラス新品種‘舞姫’の育成経過および特性
市村勉・永井永久”・本図竹司・浅野昭・高城誠志
GLADIOLUS HISTORY
Hottes: GARDEN GLADIOLI
Gladiolus studies—I,Ⅱ
Proc. Fla. State Hort. Soc. 92:313-316. 1979.
PIXIOLA: A NEW CUT FLOWER FOR FLORIDA
グラジオラス(Gladiolus)
The uses of the modern gladiolus
The Twentieth century flower : gladiolus
by Arthur Cowee (Firm)
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