エノキ 榎
Flora of Mikawa
アサ科 Cannabaceae エノキ属
中国名 | 朴树 po shu |
学 名 | Celtis sinensis Pers. synonym Celtis sinensis Pers. var. japonica Nakai |
花 期 | 4~5月 |
高 さ | 15~20m |
生活型 | 落葉高木 |
生育場所 | 丘陵、山地、人里 |
分 布 | 在来種 本州、四国、九州、沖縄、中国、台湾 |
撮 影 | 幡豆町町 09.4.12 |
公園、街路に植えられる、道端の雑草の間に芽生えしていることも多い。ニレ科 Ulmaceae からアサ科に変更された。
幹は灰黒褐色。葉は互生し、長さ3~10㎝、幅3.5~6㎝のの広惰円形、質が厚く、葉表に光沢がある。葉脈は三行脈の典型で、脈が縁まで達しない。葉の基部は左右不相称、上半部に鈍い鋸歯がある。葉柄は長さ3~10㎜、毛が密生し、芽どきに目立つ。雌雄同株。葉の展開と同時に開花する。新枝の上部の葉腋に両性花、下部に雄花がつく。両性花は花被片4個、花柱が2裂し、大きく目立つ。雄花は花被片4個、ときに5個、雄しべは花被片と同数、中心部に白色の綿毛が密生する。果実は直径5~7(8)㎜の球形の核果、核は1個入り、9月以降に光沢のない橙褐色に熟す。果肉は橙色で甘い。核は直径5~6㎜、表面に網状のしわがある。
高木、落葉又は常緑。小枝は刺がなく、コルク質にはならず、翼が無い。冬芽は芽鱗が有又は無。托葉は2個、離生、膜質又は厚い紙質、葉の基部に両側に短い横の葉痕を残し、早落性、又は頂部の托葉は宿存し、冬芽を包む。葉は数列、互生する。葉身は縁が全縁又は鋸歯縁、基部から3脈があり、2次脈は縁に達する前に吻合する(anastomosing)。花序は円錐花序、総状花序、又は小集散花序の束生。花は小さく、単性又は両性。花被片は4~5個、基部はわずかに合着し、早落性。雄しべは花被片の数と同数。花柱は短い。柱頭は2個、線形。子房は単質。胚珠は1個、倒生。雄花は茎生花(cauliflorus)又は1年の古小枝の下部の葉腋に束生する。雌花と両性花は普通、混性の花序の先につく。果実は核果、内果皮は骨質、網状に凹点があり(reticulately foveolate)又は平滑に近い。胚乳は乏しいか又は欠く。胚は曲がり、子葉は広い。
世界に約60種あり、熱帯、亜熱帯地域に分布する。
synonym Celtis leveillei Nakai
日本(本州の近畿地方以西、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は紫弹树 zi dan shu 。
落葉高木、高さ18m以下。樹皮は灰色。小枝は黄褐色、古くなると褐色、若いときは密に軟毛があり、皮目が散在する。冬芽は黒褐色、長さ3~5㎜、密に剛毛がある。芽鱗は少なくとも内側の芽鱗には剛毛があり、伏した平行の毛をもつ。托葉は線状披針形、軟毛があり、早落性。葉柄は長さ3~6㎜、若いときに軟毛があり、上側に広くて浅い溝がある。葉身は広卵形~卵状楕円系、長さ2.5~8㎝×幅2~4㎝、薄い皮革質、初めは剛毛又は絹毛があり、不明瞭に散在する伏毛があり、しばしば、主脈と下面の脈軸を除いて無毛になり、基部は鈍形~ほぼ円形でわずかに斜め、縁は上半部に浅い鋸歯があり、歯は各側に(0~)6~11(~14)個、先は細い尖鋭形~尾状尖鋭形、2次脈は中脈の各側に2(~3)本。花柱の枝は線形、不分裂。果序(infructescences)は花序軸に1~3個、細く、分枝せず、軟毛があり、長さ1~2㎝、基部につく枝の長さの2~5倍。核果は黄色~赤橙色、ほぼ球形、直径5~7㎜。核はわずかに扁平、直径約4㎜、網状の凹点があり、4うねがある。花期は4~5月。果期は9~10月。
2 Celtis boninensis Koidz. クワノハエノキ 桑の葉榎
synonym Celtis liukiuensis Nakai
日本固有種(本州の山口県、九州、沖縄諸島、小笠原諸島)。別名はオガサワラエノキ、ムニンエノキ、リュウキュウエノキ。海岸近くの林内、林縁に生える。
落葉高木。小枝はほとんど無毛。葉は互生し、葉柄は長さ6~10㎜。葉身は卵状長楕円形、長さ5~11背㎜地、普通、下から3分の1以上に鈍鋸歯があり、左右不相称、両面とも無毛、ザラつかない。果実は球形、直径5~8㎜、赤褐色に熟す。果柄は長さ6~20㎜。花時は2~3月。
3 Celtis bungeana Blume トウエノキ 唐榎
朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、湖北省、江蘇省、江西省、遼寧省、内モンゴル、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)原産。中国名は黑弹树 hei dan shu。標高100~2300mの森林、低木の間、道端、山の斜面に生える。
高さ10mまでの落葉樹。樹皮は灰色。 小枝は褐色で無毛、楕円形の皮目が散在し、翌年には灰褐色になる。冬芽は褐色、長さ1~3㎜、無毛。葉柄は長さ0.5~1.5㎝、淡黄色または褐色、ときに若い時には毛があり、上面の溝は広い。 葉身は狭い卵形、長円形、または卵形、長さ3~7(~15)㎝×幅2~4(~5)㎝、厚い紙質、下面の主脈の葉腋の毛束と、たまに葉脈散在する毛を除いて無毛、基部は広楔形~±円形で、わずかに斜めかまたは斜めでなく、縁は先半分に不規則に浅い鋸歯があり、ときに全体にあり、歯は両側に0~10(~15)個あり、先は鋭形~尖鋭形。2次脈は中脈の両側に2~3本ある。花柱の枝は線形、分岐しない。果序は単生、細く、無毛、長さ1~2.5㎝。果時の小花柄は基部を抱く葉柄の長さの1.7~4倍ある。核果は果序ごとに1~2個つき、成熟すると黒青色、±球形、直径6~8㎜ 核は球形、直径4~5㎜、ほぼ平滑、目立たないうねがある。花期は4~5月。果期は10~11月。
4 Celtis jessoensis Koidz. エゾエノキ 蝦夷榎
synonym Celtis cordifolia Nakai
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮原産。別名はオクエノキ、オクジリエノキ。エノキ属では本種のみが北海道に生育することから名付けられた。
落葉高木。幹は直立し、分岐し、高さ20~30mになる。 若枝は帯黄褐色、微毛が密生するが、2年枝以降は赤褐色~黒褐色、無毛、平滑、灰白色の小さい皮目が目立つ。托葉は無い。 葉は2列に、互生し、葉柄は長さ0.2~0.7㎝、やや軟毛があり、上面に溝がある。葉身は狭卵形~広卵形、長さ6~10㎝×幅3~6㎝、基部は円形~広楔形、斜め、枝の下部の葉ほど歪みがひどくなり、縁は上部2/3以上に鋭鋸歯があり、先は尾状尖鋭形、紙質、基部から3主脈が長く伸び、側脈は3~4対、下面に隆起し、上面は緑色、やや光沢があり、下面は粉白色~淡緑色、両面ともに脈上に毛があってザラつくが、ときに無毛。雌雄同株。葉の展開と同時に開花する。雄花は新枝の頂部に集まってつき、両性花は上部の葉腋に1個ずつつく。雄花、両性花とも花被片は4個。雌花は花柄が長く、果時に長さ2~2.5㎝。果実は核果、球形、直径0.6~0.7㎝、黒色に熟す。花期は4~5月。果期は9~10月。
5 Celtis julianae C.K.Schneid. ケルティス・ジュリアナエ
中国(安徽省、福建省、広東省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は珊瑚朴 shan hu po。英名はjulian hackberry。標高300~1300mの森林、谷、斜面に生える。
高さ30mまでの落葉樹。樹皮は灰色。小枝は暗褐色、密に褐黄色の毛があり、まれに無毛。冬芽は褐色、長さ1~4㎜。 少なくとも内側の芽鱗は褐赤色の剛毛があり、平行な伏毛がつく。葉柄は長さ0.7~1.5㎝、丈夫で、密に金色の毛があり、上面に深くて狭い溝がある。葉身は広卵形~狭卵状楕円形、長さ6~13㎝×幅3.5~8㎝、厚い紙質、下面に密に金色の毛があり、まれに脈だけにあり、上面は平滑またはザラつき、基部は±円形でわずかに斜めになり、縁は中部より上に細かい歯があり、まれにほぼ全縁、歯は両側に13~23 個あり、長さ1㎜未満、先は短い尖鋭形~尾状尖鋭形、2次脈は中脈の両側に4~6本ある。花は密に束生する。花柱の枝は線形、分岐しない。果序は単生し、丈夫で、分枝がなく、密に褐黄色の毛があり、まれに無毛、長さ1~3㎝、下部を抱く葉柄の長さの1.5~2.5倍ある。核果は果序ごとに1個、金色~橙黄色、楕円形~±球形、長さ1.1~1.4㎝。核は乳白色、倒卵形~広倒卵形、両側がわずかに扁平、長さ7~9㎜、網目状の凹点があり(reticulately foveolate)、基部は鋭形~わずかに鈍形、上部半分に2本のうねがある。花期は3~4月。果期は9~10月。
6 Celtis koraiensis Nakai チョウセンエノキ 朝鮮榎
synonym Celtis aurantiaca Nakai
朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、江蘇省、遼寧省、陝西省、山東省、山西省)原産。中国名は大叶朴 da ye po。標高100~1500mの森林、谷、斜面に生える。
高さ15mまでの落葉樹。樹皮は灰色。小枝は褐色で無毛、または節近くに少数の毛があり、小さな楕円形の皮目が散在する。冬芽は褐色、長さ2~4㎜。 内側の芽鱗は褐色の毛がある。葉柄は褐色、長さ0.5~1.5cm、軸方向に狭くはっきりとした溝があり、無毛またはまばらに毛がある。 葉身は楕円形、倒卵状楕円形、または稀に広倒卵形、長さ7~12 ×幅3.5~10 cm、紙質、無毛、または下面にまばらに毛があるが、ときに、葉脈および葉腋にのみあり、基部は広楔形、±円形、または±心形でわずかに 斜めになり、縁には深い不規則に切れ込む歯があり、歯は両側に15~24個つき、長さ4~8㎜、先は切形で尾状の先端をもつ。2次脈は中脈の両側に3~4本ある。花は単生または束生する。花柱の枝は線形、分岐しない。果序は丈夫、単生し、無毛またはまばらに毛があり、長さ1.5~2.5cm、長さは下部を抱く葉柄の長さの2~2.5倍。核果は果序ごとに1個つき、橙黄色、成熟すると暗褐色、±球形~楕円形、長さ1~1.3 cm、基部と頂部が鈍形。核は灰褐色、卵形楕円形、直径約8㎜、網目状の凹点があり、4本の肋がある。花期は4~5月。果期は9~10月。
7 Celtis laevigata Willdenow ケルティス・ラエビガタ
北アメリカ原産。英名はsugarberry, southern hackberry。
落葉高木、高さ18~24m。枝は垂れ下がる。樹皮は平滑、淡褐色、薄色のパッチの斑紋がある。葉身は長さ10㎝以下、卵形~狭卵形、先は長く漸尖し、縁は普通、全縁、平滑、基部は斜め、中脈の片側が狭くなり、他は円くなる。果実は球形、直径約6㎜、鈍い赤色になる。
品種) 'All Seasons'
8 Celtis occidentalis L. アメリカエノキ
北アメリカ原産。 英名はcommon hackberry , American hackberry , hackberry , Mississippi hackberry , nettletree , northern hackberry , sugarberry , nettletree, sugarberry , beaverwood , northern hackberry。
高木、高さ9~15m、樹冠は丸い。樹皮は灰色、深い溝があり、古くなると いぼがある。材質は薄黄色で弱い。枝は刺がなく、広がり、若枝にはほとんど軟毛がある。葉柄は長さ0.5~1.2㎜。葉身は槍状卵形~広卵形~デルタ形、長さ5~12㎝×幅3~6(~9)㎝(稔性の枝上で)、革質、基部は斜め又は斜めのやや尖鋭形、縁は中間の下まで目立つ鋸歯があり、歯は10~40個、先は尖鋭形、面はザラつく。花序は密に垂れ下がる花が束生する。核果は暗橙色、熟すと紫黒色~青黒色、球形、直径7~11(~20)㎜、一般的に太い嘴がある。果柄は長さ15㎜以下。核はクリーム色、長さ7~9㎜×幅5~8㎜、網目がある。2n=20 , 30, 40。
品種) 'Chicagoland' , 'Delta' , 'Prairie Pride , 'Windy City'
9 Celtis philippensis Blanco コウトウエノキ
中国(広東省、海南省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、太平洋諸島、アフリカ原産。中国名は大果油朴 da guo you po。海抜1000m付近までの石灰岩地域、森林、斜面のモンスーン熱帯雨林に生える。
高さ30mほどになる常緑高木。樹皮は灰白色~灰褐色~灰色。小枝は茶色または黄褐色、無毛または毛がある。冬芽は裸で、鱗片の分化がない。托葉は卵状披針形~卵形、長さ2~8㎜、無毛または毛があり、裸の頂芽を包み込み、先は漸尖する。葉柄は無毛、長さ0.5~1.5(~2)㎝、下面は溝が深くて狭く、または広くて浅い。葉身は披針状楕円形、卵状楕円形、または長円形、長さ4.5~18㎝×幅2.5~11.5㎝、紙質~革質、無毛、または目立たない伏毛が散在し、基部は鋭形、鈍形、または円形、対称または弱く非対称、縁は全縁、先は円状鈍形、徐々にまたは急に尖鋭形になる。2次脈は中脈の両側に1~2本ある。集散花序は各葉腋に1~2個つき、花が密につき、よく分枝し、それぞれ両性花が約5個、雄花が5個以上ある。花柱は2本、先が広がり、2裂または凹形。果序は各葉腋当たり1~3個つき、丈夫、分枝または非分枝、1~3個の核果と花が落ちた顕著な傷跡を持ち、無毛、長さ2.5~5cm、長さは下部を抱く葉柄の長さの3~6倍。核果は橙色~赤色、長さ0.8~1.4㎝、球形~楕円形、基部は丸く~鈍形、先は丸く~鈍形。核は卵形~±球形、長さ6~13㎜、目立つ~目立たないうねがある。
9-1 Celtis philippensis var. philippensis
中国(雲南省)、台湾、インド、スリランカ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は果油朴 da guo you po。標高500~1000mの石灰岩地帯のモンスーン熱帯雨林に生える。
高木、高さ30mまで。托葉を除いて無毛。樹皮は灰白色~灰褐色。小枝は暗灰色、皮目が散在する。托葉は卵形~披針形、長さ4~8mm。 葉柄は長さ0.5~1.5(~2)㎝、丈夫。 葉身は乾燥すると緑黄色、長楕形、長さ8~18㎝×幅3~7㎝、各側面に1本の目立つ側脈があり、葉の頂点に達する。核果は長さ1~1.5㎝。核は卵形、長さ1.3㎝以下、目立つ4~6(~8) うねがある。花期は2~3月。果期は5~10月。
9-2 Celtis philippensis var. wightii (Planchon) Soepadmo
中国(広東省、海南省)、インド、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は铁灵花 tie ling hua。海抜0付近の沿岸林、斜面に生える。
高木、高さ3~12m。樹皮は灰色。若い小枝は綿毛があり、無毛になる。托葉は卵形、長さ約3㎜。葉柄は長さ3~6㎜。葉身は楕円形~長円形、長さ3~10㎝×幅2~4.5㎝、両面に2本の顕著な側脈があり、基部の側脈は葉身の2/3に達する。核果は長さ0.8~1.2㎝。核は±球形、長さ約6㎜。目立たないうねがある。花期は4~7月。果期は10~12月。
10 Celtis sinensis Pers. エノキ 榎
日本(本州、四国、九州)、沖縄、中国、台湾原産。中国名は朴树 po shu 。英名はJapanese hackberry, Chinese Hackberry
落葉高木、高さ15~20m。幹は灰黒褐色。葉は互生し、長さ3~10㎝、幅3.5~6㎝の広惰円形、質が厚く、葉表に光沢がある。葉脈は三行脈の典型で、脈が縁まで達しない。葉の基部は左右不相称、上半部に鈍い鋸歯がある。葉柄は長さ3~10㎜、毛が密生し、芽どきに目立つ。雌雄同株。葉の展開と同時に開花する。新枝の上部の葉腋に両性花、下部に雄花がつく。両性花は花被片4個、花柱が2裂し、大きく目立つ。雄花は花被片4個、ときに5個、雄しべは花被片と同数、中心部に白色の綿毛が密生する。果実は直径5~7(8)㎜の球形の核果、核は1個入り、9月以降に光沢のない橙褐色に熟す。果肉は橙色で甘い。核は直径5~6㎜、表面に網状のしわがある。花期は4~5月。
品種) 'Green Casade'
10-1 Celtis sinensis Pers. f. pendula (Miyoshi) Makino シダレエノキ 枝垂榎
11 Celtis tetrandra Roxb. タイワンエノキ 台湾榎
synonym Celtis formosana Hayata
中国(広西省、海南省、四川省、西蔵、雲南省)、台湾、インド、ネパール、ブータン、バングラディシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は四蕊朴 si rui po。標高700~1500mの中湿性混交林、谷、斜面に生える。
高さ30mまでの落葉樹または常緑樹。樹皮は灰白色。小枝は若いうちは密に黄褐色の毛があり、年とともに褐色になり、通常は無毛になり、皮目は少数または無い。冬芽は褐色、長さ1~3㎜、芽鱗は無毛、縁には縁毛がある。 托葉は狭披針形、長さ7㎜までで、芽を包み込むことはない。葉柄は長さ6~13㎜、褐色、幅広の溝があり、少なくとも上面の溝付近に微軟毛がある。葉身は卵状楕円形、卵状披針形、または±菱形、長さ5~13㎝×幅2.5~5.5㎝、厚い紙質~±紙質、下面には若い時は通常不明瞭な黄褐色の微軟毛があり、毛は主脈上に散在し、古くなると脈腋にときに束生し、基部は斜めで片側が丸く、もう一方は楔形で、縁は全縁または鈍い鋸歯があり、歯は両側に0~13個あり、先は尖鋭形から短い尾状尖鋭形になる。2次脈は中脈の両側に3~4本ある。花は束生し、たまに2~3個の花の総状花序になる。花柱の岐は線形、分岐しない。果序は枝分かれしないか、またはほとんど二股に分かれず、まれに落ちた雄花による小さな傷跡が見られず、葉腋あたり1~3個つき、かなり細く、無毛または毛があり、長さ0.8~1.5㎝。果時の小花柄は、基部につく葉柄の長さの1~2倍ある。核果は成熟すると黄色~橙色、±球形、直径7~8㎜。核は±球形、直径約5㎜、4本のうねがある。花期は3~4月。果期は9~10月。
Celtis
Celtis
Celtis jessoensis Koidz.
原寛. 東亜植物註解(6) エゾムグラ
Celtis
28. GALIUM Linnaeus, Sp. Pl. 1: 105. 1753.
Celtis laevigata
幹は灰黒褐色。葉は互生し、長さ3~10㎝、幅3.5~6㎝のの広惰円形、質が厚く、葉表に光沢がある。葉脈は三行脈の典型で、脈が縁まで達しない。葉の基部は左右不相称、上半部に鈍い鋸歯がある。葉柄は長さ3~10㎜、毛が密生し、芽どきに目立つ。雌雄同株。葉の展開と同時に開花する。新枝の上部の葉腋に両性花、下部に雄花がつく。両性花は花被片4個、花柱が2裂し、大きく目立つ。雄花は花被片4個、ときに5個、雄しべは花被片と同数、中心部に白色の綿毛が密生する。果実は直径5~7(8)㎜の球形の核果、核は1個入り、9月以降に光沢のない橙褐色に熟す。果肉は橙色で甘い。核は直径5~6㎜、表面に網状のしわがある。
エノキ属
family Cannabaceae - genus Celtis高木、落葉又は常緑。小枝は刺がなく、コルク質にはならず、翼が無い。冬芽は芽鱗が有又は無。托葉は2個、離生、膜質又は厚い紙質、葉の基部に両側に短い横の葉痕を残し、早落性、又は頂部の托葉は宿存し、冬芽を包む。葉は数列、互生する。葉身は縁が全縁又は鋸歯縁、基部から3脈があり、2次脈は縁に達する前に吻合する(anastomosing)。花序は円錐花序、総状花序、又は小集散花序の束生。花は小さく、単性又は両性。花被片は4~5個、基部はわずかに合着し、早落性。雄しべは花被片の数と同数。花柱は短い。柱頭は2個、線形。子房は単質。胚珠は1個、倒生。雄花は茎生花(cauliflorus)又は1年の古小枝の下部の葉腋に束生する。雌花と両性花は普通、混性の花序の先につく。果実は核果、内果皮は骨質、網状に凹点があり(reticulately foveolate)又は平滑に近い。胚乳は乏しいか又は欠く。胚は曲がり、子葉は広い。
世界に約60種あり、熱帯、亜熱帯地域に分布する。
エノキ属の主な種と園芸品種
1 Celtis biondii Pamp. コバノチョウセンエノキ 小葉の朝鮮榎synonym Celtis leveillei Nakai
日本(本州の近畿地方以西、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は紫弹树 zi dan shu 。
落葉高木、高さ18m以下。樹皮は灰色。小枝は黄褐色、古くなると褐色、若いときは密に軟毛があり、皮目が散在する。冬芽は黒褐色、長さ3~5㎜、密に剛毛がある。芽鱗は少なくとも内側の芽鱗には剛毛があり、伏した平行の毛をもつ。托葉は線状披針形、軟毛があり、早落性。葉柄は長さ3~6㎜、若いときに軟毛があり、上側に広くて浅い溝がある。葉身は広卵形~卵状楕円系、長さ2.5~8㎝×幅2~4㎝、薄い皮革質、初めは剛毛又は絹毛があり、不明瞭に散在する伏毛があり、しばしば、主脈と下面の脈軸を除いて無毛になり、基部は鈍形~ほぼ円形でわずかに斜め、縁は上半部に浅い鋸歯があり、歯は各側に(0~)6~11(~14)個、先は細い尖鋭形~尾状尖鋭形、2次脈は中脈の各側に2(~3)本。花柱の枝は線形、不分裂。果序(infructescences)は花序軸に1~3個、細く、分枝せず、軟毛があり、長さ1~2㎝、基部につく枝の長さの2~5倍。核果は黄色~赤橙色、ほぼ球形、直径5~7㎜。核はわずかに扁平、直径約4㎜、網状の凹点があり、4うねがある。花期は4~5月。果期は9~10月。
1-1 Celtis biondii Pamp. var. heterophylla (H.Lev.) C.K.Schneid. コバノチョウセンエノキ 狭義
最近では変種に分けない。1-2 Celtis biondii Pamp. var. holophylla (Nakai) E.W.Ma チュウゴクエノキ
synonym Celtis leveillei Nakai var. holophylla Nakaisynonym Celtis biondii Pamp. f. holophylla (Nakai) Koji Ito
1-3 Celtis biondii Pamp. var. insularis Hatus. ex H.Umemoto, Yokota et Kokub. サキシマエノキ
2 Celtis boninensis Koidz. クワノハエノキ 桑の葉榎
synonym Celtis liukiuensis Nakai
日本固有種(本州の山口県、九州、沖縄諸島、小笠原諸島)。別名はオガサワラエノキ、ムニンエノキ、リュウキュウエノキ。海岸近くの林内、林縁に生える。
落葉高木。小枝はほとんど無毛。葉は互生し、葉柄は長さ6~10㎜。葉身は卵状長楕円形、長さ5~11背㎜地、普通、下から3分の1以上に鈍鋸歯があり、左右不相称、両面とも無毛、ザラつかない。果実は球形、直径5~8㎜、赤褐色に熟す。果柄は長さ6~20㎜。花時は2~3月。
3 Celtis bungeana Blume トウエノキ 唐榎
朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、湖北省、江蘇省、江西省、遼寧省、内モンゴル、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)原産。中国名は黑弹树 hei dan shu。標高100~2300mの森林、低木の間、道端、山の斜面に生える。
高さ10mまでの落葉樹。樹皮は灰色。 小枝は褐色で無毛、楕円形の皮目が散在し、翌年には灰褐色になる。冬芽は褐色、長さ1~3㎜、無毛。葉柄は長さ0.5~1.5㎝、淡黄色または褐色、ときに若い時には毛があり、上面の溝は広い。 葉身は狭い卵形、長円形、または卵形、長さ3~7(~15)㎝×幅2~4(~5)㎝、厚い紙質、下面の主脈の葉腋の毛束と、たまに葉脈散在する毛を除いて無毛、基部は広楔形~±円形で、わずかに斜めかまたは斜めでなく、縁は先半分に不規則に浅い鋸歯があり、ときに全体にあり、歯は両側に0~10(~15)個あり、先は鋭形~尖鋭形。2次脈は中脈の両側に2~3本ある。花柱の枝は線形、分岐しない。果序は単生、細く、無毛、長さ1~2.5㎝。果時の小花柄は基部を抱く葉柄の長さの1.7~4倍ある。核果は果序ごとに1~2個つき、成熟すると黒青色、±球形、直径6~8㎜ 核は球形、直径4~5㎜、ほぼ平滑、目立たないうねがある。花期は4~5月。果期は10~11月。
4 Celtis jessoensis Koidz. エゾエノキ 蝦夷榎
synonym Celtis cordifolia Nakai
synonym Celtis jessoensis var. angustibolia Nakai ナガバエゾエノキ
synonym Celtis bungeana Blume var. jessoensis (Koidz.) Kudo
synonym Celtis hashimotoi Koidz. カンサイエノキ日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮原産。別名はオクエノキ、オクジリエノキ。エノキ属では本種のみが北海道に生育することから名付けられた。
落葉高木。幹は直立し、分岐し、高さ20~30mになる。 若枝は帯黄褐色、微毛が密生するが、2年枝以降は赤褐色~黒褐色、無毛、平滑、灰白色の小さい皮目が目立つ。托葉は無い。 葉は2列に、互生し、葉柄は長さ0.2~0.7㎝、やや軟毛があり、上面に溝がある。葉身は狭卵形~広卵形、長さ6~10㎝×幅3~6㎝、基部は円形~広楔形、斜め、枝の下部の葉ほど歪みがひどくなり、縁は上部2/3以上に鋭鋸歯があり、先は尾状尖鋭形、紙質、基部から3主脈が長く伸び、側脈は3~4対、下面に隆起し、上面は緑色、やや光沢があり、下面は粉白色~淡緑色、両面ともに脈上に毛があってザラつくが、ときに無毛。雌雄同株。葉の展開と同時に開花する。雄花は新枝の頂部に集まってつき、両性花は上部の葉腋に1個ずつつく。雄花、両性花とも花被片は4個。雌花は花柄が長く、果時に長さ2~2.5㎝。果実は核果、球形、直径0.6~0.7㎝、黒色に熟す。花期は4~5月。果期は9~10月。
5 Celtis julianae C.K.Schneid. ケルティス・ジュリアナエ
中国(安徽省、福建省、広東省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は珊瑚朴 shan hu po。英名はjulian hackberry。標高300~1300mの森林、谷、斜面に生える。
高さ30mまでの落葉樹。樹皮は灰色。小枝は暗褐色、密に褐黄色の毛があり、まれに無毛。冬芽は褐色、長さ1~4㎜。 少なくとも内側の芽鱗は褐赤色の剛毛があり、平行な伏毛がつく。葉柄は長さ0.7~1.5㎝、丈夫で、密に金色の毛があり、上面に深くて狭い溝がある。葉身は広卵形~狭卵状楕円形、長さ6~13㎝×幅3.5~8㎝、厚い紙質、下面に密に金色の毛があり、まれに脈だけにあり、上面は平滑またはザラつき、基部は±円形でわずかに斜めになり、縁は中部より上に細かい歯があり、まれにほぼ全縁、歯は両側に13~23 個あり、長さ1㎜未満、先は短い尖鋭形~尾状尖鋭形、2次脈は中脈の両側に4~6本ある。花は密に束生する。花柱の枝は線形、分岐しない。果序は単生し、丈夫で、分枝がなく、密に褐黄色の毛があり、まれに無毛、長さ1~3㎝、下部を抱く葉柄の長さの1.5~2.5倍ある。核果は果序ごとに1個、金色~橙黄色、楕円形~±球形、長さ1.1~1.4㎝。核は乳白色、倒卵形~広倒卵形、両側がわずかに扁平、長さ7~9㎜、網目状の凹点があり(reticulately foveolate)、基部は鋭形~わずかに鈍形、上部半分に2本のうねがある。花期は3~4月。果期は9~10月。
6 Celtis koraiensis Nakai チョウセンエノキ 朝鮮榎
synonym Celtis aurantiaca Nakai
synonym Celtis koraiensis Nakai var. aurantiaca (Nakai) Kitag.
synonym Celtis choseniana Nakai朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、江蘇省、遼寧省、陝西省、山東省、山西省)原産。中国名は大叶朴 da ye po。標高100~1500mの森林、谷、斜面に生える。
高さ15mまでの落葉樹。樹皮は灰色。小枝は褐色で無毛、または節近くに少数の毛があり、小さな楕円形の皮目が散在する。冬芽は褐色、長さ2~4㎜。 内側の芽鱗は褐色の毛がある。葉柄は褐色、長さ0.5~1.5cm、軸方向に狭くはっきりとした溝があり、無毛またはまばらに毛がある。 葉身は楕円形、倒卵状楕円形、または稀に広倒卵形、長さ7~12 ×幅3.5~10 cm、紙質、無毛、または下面にまばらに毛があるが、ときに、葉脈および葉腋にのみあり、基部は広楔形、±円形、または±心形でわずかに 斜めになり、縁には深い不規則に切れ込む歯があり、歯は両側に15~24個つき、長さ4~8㎜、先は切形で尾状の先端をもつ。2次脈は中脈の両側に3~4本ある。花は単生または束生する。花柱の枝は線形、分岐しない。果序は丈夫、単生し、無毛またはまばらに毛があり、長さ1.5~2.5cm、長さは下部を抱く葉柄の長さの2~2.5倍。核果は果序ごとに1個つき、橙黄色、成熟すると暗褐色、±球形~楕円形、長さ1~1.3 cm、基部と頂部が鈍形。核は灰褐色、卵形楕円形、直径約8㎜、網目状の凹点があり、4本の肋がある。花期は4~5月。果期は9~10月。
7 Celtis laevigata Willdenow ケルティス・ラエビガタ
北アメリカ原産。英名はsugarberry, southern hackberry。
落葉高木、高さ18~24m。枝は垂れ下がる。樹皮は平滑、淡褐色、薄色のパッチの斑紋がある。葉身は長さ10㎝以下、卵形~狭卵形、先は長く漸尖し、縁は普通、全縁、平滑、基部は斜め、中脈の片側が狭くなり、他は円くなる。果実は球形、直径約6㎜、鈍い赤色になる。
品種) 'All Seasons'
8 Celtis occidentalis L. アメリカエノキ
北アメリカ原産。 英名はcommon hackberry , American hackberry , hackberry , Mississippi hackberry , nettletree , northern hackberry , sugarberry , nettletree, sugarberry , beaverwood , northern hackberry。
高木、高さ9~15m、樹冠は丸い。樹皮は灰色、深い溝があり、古くなると いぼがある。材質は薄黄色で弱い。枝は刺がなく、広がり、若枝にはほとんど軟毛がある。葉柄は長さ0.5~1.2㎜。葉身は槍状卵形~広卵形~デルタ形、長さ5~12㎝×幅3~6(~9)㎝(稔性の枝上で)、革質、基部は斜め又は斜めのやや尖鋭形、縁は中間の下まで目立つ鋸歯があり、歯は10~40個、先は尖鋭形、面はザラつく。花序は密に垂れ下がる花が束生する。核果は暗橙色、熟すと紫黒色~青黒色、球形、直径7~11(~20)㎜、一般的に太い嘴がある。果柄は長さ15㎜以下。核はクリーム色、長さ7~9㎜×幅5~8㎜、網目がある。2n=20 , 30, 40。
品種) 'Chicagoland' , 'Delta' , 'Prairie Pride , 'Windy City'
9 Celtis philippensis Blanco コウトウエノキ
中国(広東省、海南省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、太平洋諸島、アフリカ原産。中国名は大果油朴 da guo you po。海抜1000m付近までの石灰岩地域、森林、斜面のモンスーン熱帯雨林に生える。
高さ30mほどになる常緑高木。樹皮は灰白色~灰褐色~灰色。小枝は茶色または黄褐色、無毛または毛がある。冬芽は裸で、鱗片の分化がない。托葉は卵状披針形~卵形、長さ2~8㎜、無毛または毛があり、裸の頂芽を包み込み、先は漸尖する。葉柄は無毛、長さ0.5~1.5(~2)㎝、下面は溝が深くて狭く、または広くて浅い。葉身は披針状楕円形、卵状楕円形、または長円形、長さ4.5~18㎝×幅2.5~11.5㎝、紙質~革質、無毛、または目立たない伏毛が散在し、基部は鋭形、鈍形、または円形、対称または弱く非対称、縁は全縁、先は円状鈍形、徐々にまたは急に尖鋭形になる。2次脈は中脈の両側に1~2本ある。集散花序は各葉腋に1~2個つき、花が密につき、よく分枝し、それぞれ両性花が約5個、雄花が5個以上ある。花柱は2本、先が広がり、2裂または凹形。果序は各葉腋当たり1~3個つき、丈夫、分枝または非分枝、1~3個の核果と花が落ちた顕著な傷跡を持ち、無毛、長さ2.5~5cm、長さは下部を抱く葉柄の長さの3~6倍。核果は橙色~赤色、長さ0.8~1.4㎝、球形~楕円形、基部は丸く~鈍形、先は丸く~鈍形。核は卵形~±球形、長さ6~13㎜、目立つ~目立たないうねがある。
9-1 Celtis philippensis var. philippensis
中国(雲南省)、台湾、インド、スリランカ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は果油朴 da guo you po。標高500~1000mの石灰岩地帯のモンスーン熱帯雨林に生える。
高木、高さ30mまで。托葉を除いて無毛。樹皮は灰白色~灰褐色。小枝は暗灰色、皮目が散在する。托葉は卵形~披針形、長さ4~8mm。 葉柄は長さ0.5~1.5(~2)㎝、丈夫。 葉身は乾燥すると緑黄色、長楕形、長さ8~18㎝×幅3~7㎝、各側面に1本の目立つ側脈があり、葉の頂点に達する。核果は長さ1~1.5㎝。核は卵形、長さ1.3㎝以下、目立つ4~6(~8) うねがある。花期は2~3月。果期は5~10月。
9-2 Celtis philippensis var. wightii (Planchon) Soepadmo
中国(広東省、海南省)、インド、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は铁灵花 tie ling hua。海抜0付近の沿岸林、斜面に生える。
高木、高さ3~12m。樹皮は灰色。若い小枝は綿毛があり、無毛になる。托葉は卵形、長さ約3㎜。葉柄は長さ3~6㎜。葉身は楕円形~長円形、長さ3~10㎝×幅2~4.5㎝、両面に2本の顕著な側脈があり、基部の側脈は葉身の2/3に達する。核果は長さ0.8~1.2㎝。核は±球形、長さ約6㎜。目立たないうねがある。花期は4~7月。果期は10~12月。
10 Celtis sinensis Pers. エノキ 榎
synonym Celtis sinensis Pers. var. japonica (Planch.) Nakai f. rotundata (Nakai) Nakai
synonym Celtis sinensis Pers. var. japonica (Planch.) Nakai f. longifolia Uyeki
synonym Celtis sinensis Pers. var. japonica (Planch.) Nakai
synonym Celtis nervosa Hemsl. コバノエノキ日本(本州、四国、九州)、沖縄、中国、台湾原産。中国名は朴树 po shu 。英名はJapanese hackberry, Chinese Hackberry
落葉高木、高さ15~20m。幹は灰黒褐色。葉は互生し、長さ3~10㎝、幅3.5~6㎝の広惰円形、質が厚く、葉表に光沢がある。葉脈は三行脈の典型で、脈が縁まで達しない。葉の基部は左右不相称、上半部に鈍い鋸歯がある。葉柄は長さ3~10㎜、毛が密生し、芽どきに目立つ。雌雄同株。葉の展開と同時に開花する。新枝の上部の葉腋に両性花、下部に雄花がつく。両性花は花被片4個、花柱が2裂し、大きく目立つ。雄花は花被片4個、ときに5個、雄しべは花被片と同数、中心部に白色の綿毛が密生する。果実は直径5~7(8)㎜の球形の核果、核は1個入り、9月以降に光沢のない橙褐色に熟す。果肉は橙色で甘い。核は直径5~6㎜、表面に網状のしわがある。花期は4~5月。
品種) 'Green Casade'
10-1 Celtis sinensis Pers. f. pendula (Miyoshi) Makino シダレエノキ 枝垂榎
11 Celtis tetrandra Roxb. タイワンエノキ 台湾榎
synonym Celtis formosana Hayata
中国(広西省、海南省、四川省、西蔵、雲南省)、台湾、インド、ネパール、ブータン、バングラディシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は四蕊朴 si rui po。標高700~1500mの中湿性混交林、谷、斜面に生える。
高さ30mまでの落葉樹または常緑樹。樹皮は灰白色。小枝は若いうちは密に黄褐色の毛があり、年とともに褐色になり、通常は無毛になり、皮目は少数または無い。冬芽は褐色、長さ1~3㎜、芽鱗は無毛、縁には縁毛がある。 托葉は狭披針形、長さ7㎜までで、芽を包み込むことはない。葉柄は長さ6~13㎜、褐色、幅広の溝があり、少なくとも上面の溝付近に微軟毛がある。葉身は卵状楕円形、卵状披針形、または±菱形、長さ5~13㎝×幅2.5~5.5㎝、厚い紙質~±紙質、下面には若い時は通常不明瞭な黄褐色の微軟毛があり、毛は主脈上に散在し、古くなると脈腋にときに束生し、基部は斜めで片側が丸く、もう一方は楔形で、縁は全縁または鈍い鋸歯があり、歯は両側に0~13個あり、先は尖鋭形から短い尾状尖鋭形になる。2次脈は中脈の両側に3~4本ある。花は束生し、たまに2~3個の花の総状花序になる。花柱の岐は線形、分岐しない。果序は枝分かれしないか、またはほとんど二股に分かれず、まれに落ちた雄花による小さな傷跡が見られず、葉腋あたり1~3個つき、かなり細く、無毛または毛があり、長さ0.8~1.5㎝。果時の小花柄は、基部につく葉柄の長さの1~2倍ある。核果は成熟すると黄色~橙色、±球形、直径7~8㎜。核は±球形、直径約5㎜、4本のうねがある。花期は3~4月。果期は9~10月。
参考
1) Flora of ChinaCeltis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=105995
2) Plants of the World Online | Kew ScienceCeltis
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30002308-2
3) Trees and Shrubs OnlineCeltis jessoensis Koidz.
https://treesandshrubsonline.org/articles/celtis/celtis-jessoensis/
4) 植物研究雑誌第54巻第4号 ]ourn. ]ap. Bot. p103-105(1979)原寛. 東亜植物註解(6) エゾムグラ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/54/4/54_54_4_6972/_pdf/-char/ja
5) Galium verrucosum (Southern Cleavers) : MaltaWildPlants ...Celtis
http://www.maltawildplants.com/RUBI/Galium_verrucosum.php
6)Fl. China 19: 104–141. 2011.28. GALIUM Linnaeus, Sp. Pl. 1: 105. 1753.
http://flora.huh.harvard.edu/china/PDF/PDF19/Galium.pdf
7)LADY BIRD JOHNSON WILDFLOWER CENTERCeltis laevigata
https://www.wildflower.org/plants/result.php?id_plant=CELA