民間薬として有名で、薬効が１０種もあることから十薬ともいわれる。特有の臭いがする。乾燥すると臭いは消え、ドクダミ茶になる。
　地下茎は白く、長い。全体にほぼ無毛。茎は赤色を帯びる。葉は互生し、暗紫色を帯び、長さ4～10㎝の心形、鋭尖頭。茎頂に近い葉脇に多数の花をつけた長さ1～3㎝、幅5～6㎜の穂状の花序をつける。花は花被を欠き、雌しべ1個（花柱3個）、雄しべ3個からなる。葯は黄色。白い4個の花弁のように見えるのは花序の総苞片で、花序が伸びると総苞片が開き、花序が1つの花のように見える。果実は緑色、長さ2～3㎜、ほぼ球形、花柱が残存する。種子は褐色、長さ0.5～0.7㎜の惰円形、表面に網目模様がある。2n=24,96

ドクダミ属

　 family　Saururaceae － genus Houttuynia

　多年草、直立又は斜上、根茎をもつ。茎には縦にうねと溝がある。葉は全縁。托葉は膜質。葉柄は葉身より短い。花序は頂生又は葉に対生する穂状花序、基部に4個、まれに6個又は8個の白色の花弁状の総苞片をもつ。花は成熟すると白色、小さい。雄しべは3本、まれに4本、花柱より長い。花糸は葯の長さの約3倍、下部は子房に合着する。葯は長円形。雌しべは3本、心皮は3個。心皮は部分的に合着する。子房は半下位(花は子房周位)、1室をもつ。胎座は3個、各6～9個の胚珠をもつ。花柱は3本、反曲する。蒴果はほぼ球形、先から裂開する。
　世界に1種だけがあり、東アジアと南アジアに分布する。

ドクダミ属の主な種と園芸品種

1 Houttuynia cordata Thunb.　 ドクダミ　毒矯み、毒痛み
　日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、タイ、インドネシア、ミャンマー、シッキム原産。中国名は蕺菜 ji cai 。英名はheart-leaved houttuynia , Fish Mint。別名はジュウヤク　十薬。
　多年草、高さ(5～)30～60㎝。根茎は這い、細い。茎の基部は這い、節に輪状に根を出し、上部は直立し、無毛又は節に毛があり、ときに紫赤色になる。托葉の鞘は長さ(0.5-)1～2.5㎝、葉柄の長さの1/4～1/2、普通、縁毛があり、基部は大きく、わずかに抱く。葉柄は長さ(0.7～)1～3.5(～4)㎝、無毛。葉身は広卵形～卵状心形、長さ(1.5～)4～10㎝×幅(1.8～)2.5～6㎝、薄い紙質、密に腺があり、普通、無毛、ときに脈に毛があり、下面が普通、紫色を帯び、基部は心形、先は短い尖鋭形、脈は5～7本、基部又は最も内側の対は基部の上約5mmに生じる。もし7脈なら最も外側の非常に細く、又は不明瞭。網状脈は±明瞭。花序は長さ(0.4～)1.5～2.5(～2.7)㎝×幅(2～)5～6㎜。花序柄は長さ1.5～3㎝、ほぼ無毛。総苞片は長円形又は倒卵形、長さ(5～)10～15mm×幅(3～)5～7㎜、先は円形。各花の下の苞は線形、円柱形、不明瞭。雄しべは子房より長い。蒴果は長さ2～3mm、花柱が宿存する。花期は4～9月。果期は6～10月。2n = 24, 96。
品種)　'Boo-boo' (v) , 'Chameleon' (v) , 'Fantasy' (v) , 'Flame' (v) , 'Flore Pleno' (d) , 'Harlequin' , 'Joker's Gold' , 'Pied Piper' (v) , 'Sunshine' , 'Tequila Sunrise' , 'Tricolor' , Variegata Group (v)

1-1 Houttuynia cordata Thunb. f. plena (Makino) Okuyama　 ヤエドクダミ　
　　synonym　Houttuynia cordata Thunb. f. polypetaloidea T.Yamaz.

1-2 Houttuynia cordata Thunb. f. variegata (Makino) Sugim., n. n.　 フイリドクダミ　

1-3 Houttuynia cordata Thunb. f. viridis J.Ohara　 ミドリドクダミ　

参考

1) Flora of China
　Houttuynia 2) Plants of the World Online
　Houttuynia