ダーウィニア・シトリオドーラはオーストラリア原産の観賞用の常緑低木。ダーウィニア属はオーストリアに固有で、多数の種があり、日本ではダーウィニア・タクシフォリアやダーウィニア・シトリオドーラが流通している。高温や多湿に弱く、鉢植えにされている。
　低木、小型で高さ、幅とも1～1.5m程度。葉は対生、長さ6～12㎜、槍形～楕円形、先端が鈍く、縁は外巻き、濃緑色、冬に紫色を帯びる。葉の下面に明瞭な油腺をもち、つぶすとレモンの香りがする。花は枝先付近に4つのグループにつき、各グループは赤色を帯びた緑色の葉状の苞に囲まれる。各花は小さく、筒形、黄色、花弁は雄しべを包む。花柱は長さ約10㎜、赤色～黄色、花から突き出る。花柱の先端はブラシ状、花のグループの中心に向かって曲がる。花期は5～12月(オーストラリア)。

ダーウィニア属

　 family　Myrtaceae － genus Darwinia

　低木、平伏～直立、高さ0.2～3m、ほとんどが無毛。葉は単葉、小さく、円柱形、線形、卵形又はかま形、対生ときに鱗生、広がり、縁は全縁、繊維状又は小歯がある。花序は腋生、花が単生又は散房花序状の頭状花序につき、どちらの花も脱落性の2個の小苞に抱かれる。花は両性、花托にパピラがあり、中空、杯形～短円筒形、基部に5うねか又はしわがあり、子房の上に伸びる。咢片は5個、普通、小さく、花弁状。花弁は5個、白色又は他色、咢片と同長又は長く、花柱の下部を包む。雄しべは10本、輪状につき、10個の小さな仮雄しべをもつ。葯は球形、頂部の孔から開く。子房は下位、1室、花托筒の下部に包まれる。胚珠は2～4個。花柱は花から突き出し、柱頭の下に毛がある。果実は小さく、非裂開、花托筒に包まれ、咢片と花弁が宿存して密集する。種子は普通、1個、柔らかい。
　世界に約70(51)種あり、オーストラリアのニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、サウスオーストラリア州、ウェスタンオーストラリア州に分布し、ウェスタンオーストラリア州に最も多く、次いでニューサウスウェールズ州に多い。

ダーウィニア属の主な種と園芸品種

1 Darwinia taxifolia A.Cunn
　サウスウエールズ州固有種。英名はmountain bells , simply bells 。
　低木、高さ0.2～1m、直立又は傾伏し、不規則に広がる。葉はこすると芳香があり、対生し、長さ 0.5～1.2㎝×幅 0.3～1.3㎜、断面は三角形。花は2～6個、葉腋に束生し、花が対につく。咢片は5個、長さ0.5～1㎜。花弁は花托筒（floral tube=hypanthium）の先に5個つき、曲がり、長さ1～2㎜。花托筒は長さ5～9㎜、 淡ピンク色～暗紫赤色。花柱は長さ6～24㎜、赤色。 小苞は2個、花を囲んでつき、ピンク色～紫赤色、長さ5～14㎜、開花後に落ちる。 花期は春～初夏(日本では3～6月)。
1-1 Darwinia taxifolia subsp. macrolaena
　小苞は長さ7～14㎜。花筒は長さ6～9㎜。花弁は長さ1.5～2㎜。花柱は長さ15～24㎜。
1-2 Darwinia taxifolia subsp. taxifolia
　小苞は長さ5～8㎜。花托筒は長さ5～6㎜。花弁は長さ1～1.5㎜。花柱は長さ6～12㎜。

2 Darwinia citriodora (Endl.) Benth.
　西オーストラリア州固有種。 英名はlemon-scented darwinia , lemon scented myrtle。
　低木、小型で高さ、幅とも1～1.5m程度。葉は対生、長さ6～12㎜、槍形～楕円形、先端が鈍く、縁は外巻き、濃緑色、冬に紫色を帯びる。葉の下面に明瞭な油腺をもち、つぶすとレモンの香りがする。花は枝先付近に4つのグループにつき、各グループは赤色を帯びた緑色の葉状の苞に囲まれる。各花は小さく、筒形、黄色、花弁は雄しべを包む。花柱は長さ約10㎜、赤色～黄色、花から突き出る。花柱の先端はブラシ状、花のグループの中心に向かって曲がる。花期は5～12月(オーストラリア)。春～夏(Australian Plants Society)。
品種)　'Seaspray'

参考

1) Flora of Victoria
　Darwinia 　 2)Howling Pixel
　Darwinia 　 3) Lucid Apps　Plants of South Eastern New South Wales
　Darwinia taxifolia 　 4）Australian Plants Society NSW
　Darwinia citriodora, Lemon-scented Myrtle