ボタンボウフウ 牡丹防風

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae カワラボウフウ属

別 名 長命草
中国名 滨海前胡 bin hai qian hu
学 名 Peucedanum japonicum Thunb.
ボタンボウフウの蕾
ボタンボウフウの苞
ボタンボウフウの苞2
ボタンボウフウの花
ボタンボウフウの花2
ボタンボウフウの花後
ボタンボウフウの前年の花序
ボタンボウフウの茎
ボタンボウフウの基部
ボタンボウフウ
ボタンボウフウの花序
ボタンボウフウの小花序
ボタンボウフウの葉
ボタンボウフウの葉裏
ボタンボウフウの葉2
花 期 6~7(12)月
高 さ (30~)40~70(~100)㎝
生活型 1年草、多年草
生育場所 沿岸地域、海岸
分 布 在来種  日本(本州関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、フィリピン原産
撮 影 田原町 22.7.17
カワラボウフウはPeucedanumに分類されていたが、最近ではKitagawia属に分類されている。このため属名のカワラボウフウ属は適切でない。
 一回開花枯死型の場合(一年草)もあるが、開花後も枯死せずに翌年にも再度開花する多年草的な個体が集団内に見られる。高さ(30~)40~70(~100)㎝、丈夫で、本質的に無毛である。 茎はしばしば屈曲する。葉身は広卵状三角形、35×25㎝・以下、薄い革質、1~2回3出複葉。小葉は卵状円形、3深裂し、幅7~9㎝、粉白を帯びる。中央裂片は倒卵状くさび形、側裂片は斜めの卵形。葉柄の基部は鞘状になり、鞘は筒状に閉じず、開いている。散形花序は幅(4~)5~10㎝。 苞は2~3個または無く、卵状披針形、長さ5~10×幅約2㎜、毛がある。大散形花序の枝(ray)は15~30本、長さ1~5㎝、不等長、微軟毛がある。小苞は8~10個、線状披針形、花と同長またはそれより長い。小散形花序は花が約20個つく。萼歯は廃れる。花弁は紫色または白色、外側に剛毛がある。花柱は短い。果実は長円状卵形または楕円形、長さ4~6㎜×幅2.5~4㎜、粗毛があり、特に背隆条に多く、側隆条は翼があり、翼は非常に厚い。 油管は小さく、各隆条間に3~5個、合成面に6~10個。花期は6~7月(9~12月)。果期は8~9月。

広義のカワラボウフウ属

  family Apiaceae - genus Peucedanum

 多年草。 根茎は短く、花冠は普通、葉鞘の残片を持つ。茎は細かい条線(線条)があり、上部で2又分枝する。葉は小葉柄があり、小葉柄は鞘になる。散形花序は緩い複合花序、頂生および腋生。苞は多数または無い。大散形花序の枝=小散形花序の花序柄(ray)は多数または少数。小苞(bracteole)は多数あり、まれに少数または無い。萼歯は短いか、廃れる。花弁は普通、白色、たまに帯ピンク色または帯紫色、まれに淡黄色になり、円形~倒卵形、先は狭く内向きに曲がる。柱下体(stylopodium)は低円錐形。果実は楕円形、長円形~ほぼ円形、背側が扁平。 背側の肋は糸状、わずかに目立ち、側肋は厚く、狭い翼があり、翼は互いに密接に圧着する。油管(vittae)は各溝に1~数本、合成面(commissure)に2~数本。種子は表面が平坦またはわずかに凹面状。分果柄(carpophore)は2深裂。
 世界に約75種あり、アフリカ、アジア、ヨーロッパに分布する。

カワラボウフウ属の主な種と園芸品種

1 Peucedanum coreanum Nakai タカネボウフウ 高嶺防風
  synonym Kitagawia komarovii Pimenov
  synonym Ligusticum coreanum (Nakai) M.Hiroe
  synonym Peucedanum elegans Kom. [Flora of China]
  synonym Peucedanum hakuunense Nakai ホソバボウフウ 異分類
  synonym Peucedanum terebinthaceum var. hakuunense (Nakai) M.Kim
 朝鮮、中国(満州)、ロシア原産。中国名は刺尖前胡 ci jian qian hu。カエデ科のまばらな林内、谷の側面、石の多い山の斜面に生える。
 多年草、高さ70~80cm。 茎は単生、無毛。根生葉は葉身が卵状長円形、長さ8~10㎝×幅6~8㎝、3羽状全裂、両面とも無毛。最終裂片は長さ4~20㎜×幅約1 ㎜、全縁、先は棘状尖頭形。 葉柄は葉鞘が狭い。茎葉は上部では小さくなり、分裂が少なく、上部の葉は3裂または鞘になり、線形。合成花序はほぼ散房花序状に分枝する。散形花序は直径5~7㎝。苞は多数、披針形、長さ8~12㎜×幅1~1.2㎜、先は尾状。大散形花序の枝(ray)は20~25本、長さ2~3㎝、堅く、内面には剛毛がある。小苞は7~9個、線状披針形、花よりわずかに短いかまたは等しい。散形花序は花が約20個つく。萼歯は不明瞭または廃れる。花弁は白色または紫色がかり、倒卵状円形。花柱は短い。果実は長円状楕円形、長さ3~4㎜×幅2~2.5㎜、平滑、背隆条(dorsal rib)は糸状、わずかに目立ち、側隆条には広い翼があり、油管は各隆条間に1本、合成面に2本。花期および果期は7~9月。

2 Peucedanum giraldii Diels イトバボウフウ ⇒トンゴロア属(紅花芹属)
  synonym Pimpinella dunnii H. de Boissieu,
  synonym Tongoloa dunnii (H. de Boissieu) H. Wolff トンゴロア属
 中国原産。中国名は宜昌东俄芹 yi chang dong e qin。林内に生える。
 多年草、高さ50~70㎝。 直根は褐茶色、短い。茎は数本分枝する。下部の葉柄は長さ7~18㎝、鞘は長円形、長さ1.3~3㎝、膜質で抱茎。 葉身は広三角形、2~3回羽状複葉、羽片は4~5対、短い小葉柄があり、最終裂片は細長い線形、長さ2~4.5㎝×幅1.5~3㎜、全縁。散形花序は直径5~10㎝。苞および小苞はない。大散形花序の枝(ray)は7~17本、長さ3~6㎝。散形花序は花が10~25個。萼歯は小さく、卵形または三角状卵形。花弁は長い楕円形~倒卵形、白色または帯緑が色、長さ1.2~2㎜×幅約1㎜、先は鈍形~鋭形。 若い果実は広卵形~心形、長さ約1.5㎜(成熟した果実は不明)。花期は6月。

3 Peucedanum harry-smithii Fedde ex H.Wolff  トウカワラボウフウ 唐河原防風
 中国原産。中国名は华北前胡 hua bei qian hu。林縁、谷、川の土手、乾燥した谷の岩の間の隙間、荒地に生える。
 多年草、高さ(30~)60~100㎝。茎は白色の綿毛があり、特に上部に多く、繊維状の襟がある。葉身は三角状卵形、3出2回羽状複葉、最終裂片は菱状倒卵形または卵形、長さ1~4㎝×幅1.2~3㎝、上面にまばらに毛があり、下面は粗く、密に毛があり、灰緑色。合成花序は多数、分枝する。散形花序は直径2.5~8(~16)cm、苞は無いかまたは少数、線形、長さ約5㎜、脱落性。大散形花序の枝(ray)は8~15(~22)本、長さ1~3(~10)㎝、不等長、内面には剛毛があり、外面は無毛。小苞は6~10個、披針形、不等長、花よりも短く、密に毛がある。散形花序は花が12~20個つく。萼歯は小さく、三角形。花弁は白色、内面に細かいパピラがあり、外面に白色の毛がある。花柱は柱下体(stylopodium)より長い。果実は卵状楕円形、長さ4~5㎜×幅3~4㎜、密に剛毛があり、背隆条はやや目立ち、側隆条には翼があり、翼は果実の幅の約1/3、薄い。油管は各隆条間に3~4本、合成面に6~8本。花期および果期は8~10月。

4 Peucedanum japonicum Thunb. ボタンボウフウ 牡丹防風 広義
 日本(本州関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、フィリピン原産。中国名は滨海前胡 bin hai qian hu。別名は長命草。沿岸地域、海岸に生える。
 一回開花枯死型の場合(一年草)もあるが、開花後も枯死せずに翌年にも再度開花する多年草的な個体が集団内に見られる。高さ(30~)40~70(~100)㎝、丈夫で、本質的に無毛である。 茎はしばしば屈曲する。葉身は広卵状三角形、35×25㎝・以下、薄い革質、1~2回3出複葉。小葉は卵状円形、3深裂し、幅7~9㎝、粉白を帯びる。中央裂片は倒卵状くさび形、側裂片は斜めの卵形。葉柄の基部は鞘状になり、鞘は筒状に閉じず、開いている。散形花序は幅(4~)5~10㎝。 苞は2~3個または無く、卵状披針形、長さ5~10×幅約2㎜、毛がある。大散形花序の枝(ray)は15~30本、長さ1~5㎝、不等長、微軟毛がある。小苞は8~10個、線状披針形、花と同長またはそれより長い。小散形花序は花が約20個つく。萼歯は廃れる。花弁は紫色または白色、外側に剛毛がある。花柱は短い。果実は長円状卵形または楕円形、長さ4~6㎜×幅2.5~4㎜、粗毛があり、特に背隆条に多く、側隆条は翼があり、翼は非常に厚い。 油管は小さく、各隆条間に3~5個、合成面に6~10個。花期は6~7月(9~12月)。果期は8~9月。
4-1 Peucedanum japonicum Thunb. var. japonicum ボタンボウフウ 狭義
  synonym Anethum japonicum (Thunberg) Koso-Poljansky

4-2 Peucedanum japonicum Thunb. f. purpurascens (Makino) Honda ムラサキボタンボウフウ 
 大分県豊後高田市の香々地地区に自生する。別名は香々地長命草。茎が紫色を帯びる。栽培されている。

4-3 Peucedanum japonicum Thunb. var. australe M.Hotta et A.Seo ナンゴクボタンボウフウ 
 カラ列島の宝島以南に分布する。石灰岩の上に生え、花期が5~6月。

4-4 Peucedanum japonicum Thunb. var. latifolium M.Hotta et Shiuchi コダチボタンボウフウ 
 屋久島、トカラ列島に分布する。高さが3mに達する。生活形は一回開花枯死型であり、開花結実に至るまでの長い生育期間をもち、観察された最長は16年間。小葉の基部がしばしば切形~心形になる。

5 Peucedanum multivittatum Maxim. ハクサンボウフウ 白山防風
 日本固有種。北海道、本州(中部地方以北)に分布。亜高山帯~高山帯の草地に生える。
 多年草。高さ10~50㎝。茎は中空、直立する。葉は1~2回羽状複葉、小葉は広卵形~披針形、深く切れ込んで裂片の先が尖る。裂片はさらに切れ込むか又は粗い鋸歯がある。葉の形に変化が多い。茎頂の複散形花序に小花を多数つける。花は白色、直径2~3㎜、花弁は5個、先が内側に曲がる。雄しべは5個、葯は紫褐色~黒色。花柱2個。総苞片や小総苞片はほとんど無く、あっても短い。果実は長さ7~8㎜、幅3~4㎜、扁平、側隆条は広い翼となる。小花序の中心に不稔の花が必ずある。花期は7~8月。
5-1 Peucedanum multivittatum Maxim. f. dissectum Makino キレハノハクサンボウフウ 
 葉の切れ込みが特に深いもの。
5-2 Peucedanum multivittatum Maxim. f. linearilobum (Tatew.) Ohwi エゾノハクサンボウフウ 蝦夷の白山防風
  synonym Peucedanum multivittatum Maxim. var. linearilobum Tatew.
 北海道(アポイ岳)に分布。亜高山帯の草地に生える。
 多年草。高さ30~60㎝。茎は中空。葉は1~2回3出複葉。小葉が線形に深裂する。花期は6月~7月中旬

6 Peucedanum officinale L.
  synonym Selinum officinale (L.) Vest
 ヨーロッパ原産。英名は hoar strange , hoar strong, harstrong , Hog's Fennel , sulphurweed。
 多年草、高さ2m以下またはそれ以上、直立し、無毛。木質の根茎状の塊茎があり、長く、しばしば多数分枝する直根がある。茎は中実、条線があり、ときに弱い稜があり、淡黄色~緑色または赤色~紫色、基部に葉柄の繊維状の残片が宿存する。下部の葉は3~6回3出状に分裂し、1次裂片は長い柄がある。葉の裂片は長さ4~10㎝、線形、無柄、両端が漸尖し、完全に全縁で、全方向に広がり、狭い軟骨質の縁があり、普通、先近くに小鋸歯があり、長い葉柄をもつ。上部の葉は分裂が少なく、小さく、長円形の鞘状の葉柄がある。散形花序は複合、直径5~15㎝。大散形花序の枝(ray)は15~45本、平滑、やや不等長、長さ1.5~8㎝。花序柄は無毛、普通、大散形花序の枝より長く、花は雌雄同株(hemaphrodite)。苞は普通無く、あっても3個以下、線形で早落性。小苞は線形、糸状の小花柄より短いか長い。花は硫黄の黄色、目立つ鋭い萼片があり、外側の花弁は放射状では無い。花柱は反曲し、基部が大きくなり、柱下体(stylopodium)を形成する。柱頭はへら形。果実は直径7㎜以下、楕円形~卵形、平滑、背側が扁平。合成面は広く、分果は明瞭な背隆条があり、翼のある側隆条は1本の油管(樹脂道)で離れ、翼は密に圧着する。果実は糸状の分果柄(carpophore)で保持される。乾いた分果の重さは4.25~6.5mg。

7 Peucedanum ostruthium (L.) W.D.J.Koch インペラトリア
  synonym Imperatoria ostruthium L.
  synonym Peucedanum angustifolium (Bellardi) Rchb.f.
  synonym Angelica officinalis Bernh.
 ヨーロッパ原産。英名はfellon wort , masterwort。
 多年草。根茎は木質、直立、太く、直径1.5~1.8㎝。株は数個の葉鞘の乾燥した残骸で覆われる。茎は円筒形、高さ30~100㎝、直径1~1.3㎝、中空、縦の条線があり、無毛、普通は上部で枝分かれしする。下部の葉は長さ30~40㎝、葉身は長さ20×幅20㎝・以下、1~2回3出全裂し、外形が三角形または七角形、一次分裂は3全裂~3深裂、最終裂片は長さ5~12㎝×幅4~7㎝、外形は±三角状倒卵形または披針形、肋と重鋸歯がはっきりと見え–歯は非常に不規則、縁が曲がり、、短突起があり縁は細かい歯があり–、葉柄は長さ15~25㎝、鞘の基部で広がり、縁は膜質。上部の葉は長さ12~20㎝、3深裂し、上部では3浅裂し、外形が三角形、長さより幅が広く、最終裂片は外形が±披針形、普通、2裂または3裂し、先の裂片と葉柄は葉身より短く、鞘はその長さ全体にわたって広がる。散形花序は大散形花序の枝(ray)が30~45(60) 本、不等長、長さ2.5~9㎝、内側の脈がザラつき、基部にやや微軟毛がある。苞は0~5個、長さ1.2~1.7㎝、糸状。小散形花序は30~45個の花を持ち、花序枝(rays)は長さ(3)5~15㎜。小苞は0~4個、長さ2.5~4㎜。萼は小さく、萼歯は広三角形。花弁は長さ0.8~1㎜、倒心形、白色または帯ピンク色、中脈がわずかに目立つ。柱下体(stylopodium)は花柱よりも短く、円錐形、幅広。花柱は長さ1~1.2㎜、糸状、白色、外側に曲がる。柱頭は花柱よりもやや太く、短く、暗色。果実は長さ4~5.5㎜×幅4~4.5㎜、外形が楕円形または円形、先と基部に切り欠きがある。分果はわずかに目立つ3本の隆条があり、帯白色、翼は幅1.1~2㎜で、分果の残りの幅と同じ幅で薄い。2n =22。
品種) 'Chloe' (v) , 'Daphnis' (v)

8 Peucedanum palustre (L.) Moench ミルクパースレイ
  synonym Selinum palustre L.
  synonym Thysselinum palustre (L.) Hoffm.
 ヨーロッパ、シベリア原産。英名はbrimstone wort , milk-parsley , hogfennel , marsh hog's fennel。
 高さ50~100㎝。茎は枝分かれし、溝に剛毛があり、無毛、しばしば帯紫色になり、中空、節に隔壁を備える。葉は互生し、葉柄がり、葉の基部は鞘状になる。葉身は三角形、2~4回羽状複葉。小葉は羽状、裂片は狭く、線形、縁は全縁、先端が黒色。花序は複合散形花序、2次の散形花序は20~40個。1次と2次の散形花序は垂れ下がる。苞は線形、縁が膜質。花は放射相称、白色(帯赤色)、幅5㎜以下。花弁は5個、浅いノッチがあり、先端は反曲する。萼片は痕跡~無。雄しべは5本、雌しべは融合した心皮が2個。花柱は2本。果実は楕円形、背(back)が平ら、2分分割、翼は厚く、隆条が幅広、褐色、分離果は長さ4~5㎜。

9 Peucedanum terebinthaceum (Fischer ex Treviranus) Ledebour カワラボウフウ 河原防風 
  synonym Kitagawia terebinthacea (Fisch. ex Trevir.) Pimenov [YList,Kewscience] カワラボウフウ属
  synonym Imperatoria dahurica D.Dietr.
  synonym Kitagawia terebinthacea subsp. trichootheca Pimenov
  synonym Oreoselinum dahuricum Besser ex Steud.
  synonym Peucedanum davuricum Turcz. ex Ledeb.
  synonym Peucedanum deltoideum Makino ex Y.Yabe
  synonym Peucedanum fauriei Fedde ex H.Wolff
  synonym Peucedanum paishanense Nakai  ミヤマボウフウ 
  synonym Peucedanum terebinthaceum f. aciculare (T.Inoue) H.Ohba  モイワボウフウ 
  synonym Peucedanum terebinthaceum (Fisch. ex Trevir.) Fisch. ex Turcz. var. aciculare T.Inoue  モイワボウフウ
  synonym Peucedanum terebinthaceum subsp. aculeolatum Vorosch.
  synonym Peucedanum terebinthaceum subsp. deltoideum (Makino ex Y.Yabe) Vorosch.
  synonym Peucedanum terebinthaceum var. paishanense (Nakai) C.C.Huang ミヤマボウフウ 
  synonym Selinum terebinthaceum Fisch. ex Trevir.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は石防风 shi fang feng。別名はシラカワボウフウ(白川防風)、ヤマニンジン(山人参)、チョウセンボウフウ。混合林内、林縁、雑低木林、草が茂った斜面に生える。
 多年草、高さ30~120㎝。茎は上部に微軟毛がある。基部の葉の葉身は楕円形または三角状卵形、2回羽状複葉/羽状全裂、羽片は3~5対、最終裂片は披針形、長さ0.8~3㎝×幅0.5~1.2㎝、両面とも無毛で、ときに、基部の脈近くに毛があり、基部はくさび形、縁は分裂または2~3歯がある。合成花序は多数、分枝し、花序柄の先に剛毛がある。散形花序は幅3~10(~15)㎝。苞は無いか、または1~2個、線状披針形。大散形花序の枝は8~20本またはそれ以上、不等長、4角(かど)があり、内面に剛毛があり、外面は無毛。小苞は6~10個、線形、花より短い。萼歯は長い錐状。花弁は白色、中脈は淡黄色。花柱は柱下体より長い。果実は楕円形または卵状楕円形、長さ3.5~4mm×幅2.5~3.5mm、無毛。背隆条が突出し(細くて低く)、側隆条が翼を持ち、翼は幅約1mm、果体の幅の約1/3、薄い。油管は各隆条間に1個、合成面に2個。花期は7~9(10)月。果期は9~10月。
9-1 Peucedanum terebinthaceum var. terebinthaceum カワラボウフウ 
  synonym Selinum terebinthaceum Fischer ex Treviranus
  synonym Kitagawia terebinthacea (Fischer ex Treviranus) Pimenov
  synonym Peucedanum terebinthaceum var. paishanense (Nakai) Y. Huei Huang. [YList] ミヤマボウフウ 
  synonym Peucedanum paishanense Nakai
 中国、ロシアに分布。中国名は石防风 shi fang feng。林縁、草が茂った斜面に生える。中国の漢方薬(qian hu)として使われる。
 葉身は楕円形~三角状卵形。最終の裂片は披針形または卵状披針形、長さ0.8~3㎝×幅0.5~1.2㎝。n =11。
9-2 Peucedanum terebinthaceum var. deltoideum (Makino ex Y. Yabe) Makino
  synonym Peucedanum deltoideum Makino ex Y. Yabe
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は宽叶石防风 kuan ye shi fang feng。混合林、雑低木林に生える。Flora of Chinaでは変種に分類しているが、YList,Kewscienceでは分類しない。
 葉身は広三角状卵形、最終裂片は卵形(長円状卵形~披針形、幅1~2㎜)、長さ3~6㎝×幅2~3.5㎝、かなり厚くて硬く、縁に不規則な粗い歯がある。
9-3 Peucedanum terebinthaceum (Fisch. ex Trevir.) Fisch. ex Turcz. f. aciculare (T.Inoue) H.Ohba  モイワボウフウ 
  synonym Peucedanum terebinthaceum (Fisch. ex Trevir.) Fisch. ex Turcz. var. aciculare T.Inoue
 最終裂片は線形~線状披針形、幅0.2㎜以下。

10 Peucedanum verticillare (L.) W.D.J.Koch ex DC.
 ヨーロッパ(イタリア、オーストリア、スイス、ハンガリー、ユーゴスラビア)原産。英名はgiant hog fennel , milk parsley。植物は有毒。
 隔年または短命の多年草、落葉性、成熟するまでに2~5年かかり、高さ1~2(3)m。茎は粉白を帯びた紫色、直立し、中空、丈夫で(直径1~2㎝)、細かい条線がある。葉は2~3回羽状複葉、細かく分裂し、最終裂片は卵形、粗い歯があり、しばしば非対称に切れ込み、上面は暗緑色、下面は青緑色。大散形花序は輪生状に2~3(5)個つき、大きく、大散形花序の枝は12~20本、不等長。花は小さく、黄緑白色、苞と小苞はほとんど無く、まれに1~2個つく。果実は扁平、楕円形、長さ7~9㎜、側隆条に幅広い翼がある。

狭義のカワラボウフウ属

  family Apiaceae - genus Kitagawia

狭義のカワラボウフウ属の種

1 Kitagawia baicalensis (Redowsky ex Willd.) Pimenov
  synonym Peucedanum baicalense (Redowsky ex Willd.) W.D.J.Koch [Flora of China]
  synonym Peucedanum caespitosum H.Wolff
  synonym Peucedanum polyphyllum Ledeb.
  synonym Peucedanum trinioides H.Wolff
  synonym Pteroselinum sibiricum Rchb.
  synonym Selinum acaule Turcz. ex Besser
  synonym Selinum baicalense Redowsky ex Willd.
  synonym Selinum collinum Kit. ex DC.
  synonym Selinum obscurum Fisch. ex Trevir.
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安前胡 xing an qian hu。
2 Kitagawia eryngiifolia (Kom.) Pimenov
  synonym Peucedanum eryngiifolium Kom.
 ロシア原産。
3 Kitagawia formosana (Hayata) Pimenov
  synonym Peucedanum formosanum Hayata
 中国、台湾原産。中国名は台湾前胡 tai wan qian hu。
4 Kitagawia litoralis (Vorosch. & Gorovoj) Pimenov
  synonym Peucedanum litorale Vorosch. & Gorovoj
 ロシア原産。
5 Kitagawia macilenta (Franch.) Pimenov
  synonym Peucedanum macilentum Franch.
 中国原産。中国名は细裂前胡 xi lie qian hu。
6 Kitagawia pilifera (Hand.-Mazz.) Pimenov
  synonym Peucedanum piliferum Hand.-Mazz.
 中国原産。中国名は乳头前胡 ru tou qian hu。
7 Kitagawia praeruptora (Dunn) Pimenov ゼンコ
  synonym Peucedanum hirsutiusculum (Ma) V.M.Vinogr.
  synonym Peucedanum praeruptorum Dunn [Flora of China]
  synonym Peucedanum praeruptorum subsp. hirsutiusculum Ma
  synonym Peucedanum pulchrum H.Wolff
  synonym Peucedanum turgeniifolium H.Wolff
 中国原産。中国名は前胡 qian hu。
8 Kitagawia stepposa (Y.H.Huang) Pimenov
  synonym Peucedanum stepposum Y.H.Huang
 中国原産。中国名は草原前胡 cao yuan qian hu。
9 Kitagawia terebinthacea (Fisch. ex Trevir.) Pimenov カワラボウフウ 河原防風
  synonym Imperatoria dahurica D.Dietr.
  synonym Kitagawia terebinthacea subsp. trichootheca Pimenov
  synonym Oreoselinum dahuricum Besser ex Steud.
  synonym Peucedanum davuricum Turcz. ex Ledeb.
  synonym Peucedanum deltoideum Makino ex Y.Yabe
  synonym Peucedanum fauriei Fedde ex H.Wolff
  synonym Peucedanum paishanense Nakai
  synonym Peucedanum terebinthaceum (Fisch. ex Trevir.) Turcz.
  synonym Peucedanum terebinthaceum f. aciculare (T.Inoue) H.Ohba
  synonym Peucedanum terebinthaceum subsp. aculeolatum Vorosch.
  synonym Peucedanum terebinthaceum subsp. deltoideum (Makino ex Y.Yabe) Vorosch.
  synonym Peucedanum terebinthaceum var. paishanense (Nakai) C.C.Huang
  synonym Selinum terebinthaceum Fisch. ex Trevir.
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は石防风 shi fang feng。

参考

1) Flora of China
 Peucedanum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124750
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Peucedanum
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30001138-2
3) World Flora Online
 Peucedanum
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000029000;jsessionid=B224CF2E83D3D768C96C3869B37E20D3
4) 植物研究雑誌 71(4): 183–187(1996)
堀田満,志内利明:南西諸島の植物1. トカラ列島からの2新変種コダチボタンボウフウとトカラタマアジサイ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_071_183_187.pdf
5) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76(5): 275-287(2001)
 山崎敬:日本のセリ科植物Ⅱ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_275_287.pdf