ボダイジュ 菩提樹
Flora of Mikawa
アオイ科 Malvaceae シナノキ属
別 名 | コバノシナノキ |
中国名 | 南京椴 nan jing duan |
学 名 | Tilia miqueliana Maxim. |
花 期 | 6月 |
高 さ | 8~10(20)m |
生活型 | 落葉高木 |
生育場所 | 栽培種(寺院) |
分 布 | 帰化種 中国原産 |
撮 影 | 西尾市 14.6.12 |
幹は暗灰色~帯紫暗灰色、縦に割れ目が入る。葉は互生し、長さ5~12㎝、幅4~9.5㎝の三角状円形、先は漸尖し、基部は歪んだ切形~浅い心形、縁に鋭い鋸歯がある。側脈は6~8対。葉裏は灰白色、ビロード状に星状毛が密生する。葉柄は長さ(2)3~4㎝、星状毛が密生する。枝先の葉腋に苞葉をつけ、苞葉の中央近くから集散花序を下垂し、花を3~12(20)個つける。集散花序は長さ6~10㎝。苞葉は短い柄があり(ときに無柄)、長さ5~8(12)㎝のへら形、先は鈍く、基部が狭い楔形、両面に星状毛があり、裏面に密生する。花は淡黄色、芳香がある。花柄は長さ4~6㎝、小花柄は長さ8~12㎜。萼片は長さ5~6㎜。花弁は萼片より少し長い。雄しべ5個、仮雄しべ5個。堅果は直径7~8㎜の球形、硬く、表面に細かい星状毛が密生する。2n=164。
インドボダイジュ Ficus religiosa はインド、ネパール、パキスタン原産。中国名は菩提树(pu ti shu)。葉の先が長く伸びる。
セイヨウボダイジュ Tilia ×europaea ナツボダイジュとフユボダイジュの自然交配種。ヨーロッパでは古くから栽培されている。英名はcommon lime, common linden 。シナノキによく似ている。
シナノキ属
family Malvaceae - genus Tilia落葉低木。葉は互生。托葉は早落性。葉身は基部が普通、わずかに斜めの心形、切形又は円形、縁は普通、鋸歯縁、ときに全縁、しばしば、脈腋に毛叢がある。花序は腋生、集散花序、花は3個から多数つく。苞は花序の花柄につき、帯状、大きく、宿存性。花は両性。咢片は5個、内側の基部に蜜腺をもつ。花弁は5個、白色又は黄色、覆瓦状。雄しべは多数、離生又は合着し、5個の束になる。葯は2室、背着。仮雄しべはあれば、花弁状、花弁に互生し、花柱と柱頭をしっかり包む。子房は5室、卵形、花後に普通、有毛。胚珠は室に2個、花柱は無毛。柱頭は5裂する。果実は堅果、球形、倒卵形、楕円形又は卵形。果皮は普通、有毛、ほとんどが木質又はもろくて非裂開、まれに革質で乾くと裂開する。種子は1又は2個。
世界に23~40種があり、温帯と亜熱帯地域に主に分布する。
シナノキ属の主な種と園芸品種
1 Tilia americana L. アメリカシナノキ北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。別名はアメリカボダイジュ。
高木、ときに多幹。葉身(花のつくシュートの)は長さ5~15(~20)㎝×幅5~12㎝、下面は初めほぼ無毛であるが、単純毛、分岐毛又は束生毛の房が脈腋にあり、又は初め密~まばらに星状毛があり、ときに無毛になり、単純毛、分岐毛又は束生の毛が脈腋に有又は無。上面は無毛(glabrous)又はほぼ無毛(glabrate)。花序の苞は長さ7~15㎝、網状脈が目立ち、毛が著しく~無毛になり(glabrescent)~ほぼ無毛。花序柄は苞の中間の長さ近く又は中間の長さを超えて出る。花柄は弱い棍棒形、長さ4~15+㎜、毛が目立つ~無毛になり~ほぼ無毛。咢片は長さ4~6(~9+)㎜。花弁は長さ5~9(~11)㎜。仮雄しべは長さ 4~7(~10)㎜。果実は楕円形~球形、直径5~10㎜。2n= 82。花期は(4)6~7月。
品種) American Sentry = 'McKSentry' , 'Boulevard' , 'Dakota' , 'Dentata' , 'Douglas' , 'Fastigiata' , FrontyardR , 'Legend' , 'Lincoln' , 'Nova' , 'Redmond' , 'Rosehill'
1-1 Tilia americana L. var. heterophylla (Vent.) Loudon
synonym Tilia heterophylla Vent.
品種) 'Continental Appeal'
2 Tilia amurensis Rupr. アムールシナノキ
synonym Tilia amurensis Rupr. var. amurensis
synonym Tilia amurensis Rupr. f. polyantha (V.Engl.) Nakai
朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は紫椴 zi duan。標高1300~1400mのトドマツとアカマツの混合林に生える。
高木、高さ25m、幹の直径1m d.b.h.まで。樹皮は暗灰色で、剥がれる。小枝は白色または赤みがかった星状毛があり、無毛になる。頂芽は無毛、芽鱗は3個。葉柄は細く、長さ2~3.5㎝、無毛。葉身は広卵形~卵状円形、長さ4.5~6㎝×幅4~5.5㎝、下面は帯緑色、脈腋のみに毛があり、上面は無毛、側脈は4~5対、基部は心形、まれに斜めの切形、縁には鋸歯があり、歯は長さ約1㎜で尖り、先は鋭形、尖鋭形、切形、またはわずかに凹形または3裂する。集散花序は花が3~20個つき、細く、長さ3~5㎝、無毛。苞は1~3.5㎝の柄があり、長さ3~7㎝×幅0.5~0.8㎝、狭い帯形で、長さの1/3~1/2が花序柄に接してつき、両面とも無毛。 小花柄は長さ7~10㎜。萼片は広披針形、長さ5~6㎜、外面に星状の微軟毛がある。花弁は長さ6~7mm。雄しべは20本、長さ5~6㎜。 仮雄しべは無い。子房は灰白色の綿毛がある。花柱は長さ約5㎜、無毛。果実は卵状球形、5角(かど)があるかまたは不明瞭な角(かど)があり、長さ5~8㎜、星状綿毛がある。外果皮は厚い革質、もろく、裂開しない。花期は7月。2n=82。
2-1 Tilia amurensis var. amurensis
synonym Tilia insularis Nakai タケシマシナノキ
朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は紫椴 zi duan。
小枝は白色の星状綿毛があり、無毛になる。葉身は長さ4.5~6×幅4~4.5cm、下面の脈腋にのみに毛があり、基部は心形、先は鋭形または尖鋭形、ときに3裂する。苞の柄は長さ1~3.5㎝。2n=82。
2-2 Tilia amurensis Rupr. var. amurensis f. grosseserrata (Nakai) Nakai ハダカシナノキ 裸科の木
2-3 Tilia amurensis var. araneosa C. Wang & S. D. Zhao中国(吉林省)原産。中国名は毛紫椴 mao zi duan。標高1300~1400のトドマツとアカマツの混合林に生える。
小枝は白色の星状綿毛がある。葉身は長さ約1㎝、毛がある。葉身は長さ3~4.5㎝×幅2.5~4.5㎝、下面は帯緑色、密に毛があり、基部は心形、先は尾状。
2-4 Tilia amurensis Rupr. var. koreana (Nakai) Nakai チョウセンシナノキ 朝鮮科の木
synonym Tilia rufa (Nakai) Nakai2-5 Tilia amurensis var. taquetii (C. K. Schneider) Liou & Li
朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は小叶紫椴 xiao ye zi duan。小枝と集散花序は赤みを帯びた星状直軟毛がある。葉身は基部が通常切形か、またはわずかに心形。苞の柄は長さ1~1.5㎝。2n=82。
3 Tilia chinensis Maxim ティリア・チネンシス
中国(甘粛省、河南省、湖北省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は华椴 hua duan 。標高1800~3100(~3900)mの森林に生える。
高木、高さ30mにもなる。小枝は通常、乾くと褐色になり、無毛、まれに直軟毛またはまばらに綿毛がある。冬芽は大きく、芽鱗は無毛。葉柄は長さ3~8 cm、通常まばらな毛がある。葉身は広楕円形~円形から卵状円形、長さ(5~)7~13㎝×幅(4.5~)6~9㎝、紙質、下面に密な星状綿毛があり、上面は無毛、基部の脈は5~7本、側脈は7~9対 、基部は通常斜め、心形、切形、または円形、縁には鋸歯があり、先は尖鋭形または短い尖鋭形。集散花序は1~3個の花がつき、通常は苞を超えず、葉より短い。花序柄は毛がある。苞は長い帯状、長さ4~9(~12)㎝×幅1~2㎝、苞の長さの2/5~1/2が花序柄に付着し、下面に毛あり、上面は無毛、無柄または0.5㎝までの柄がある。萼片は狭卵形、長さ6~7㎜、外面に星状毛があり、内面に星状綿毛があるかまたは中央部分が無毛になり、縁には毛が密生する。花弁は長さ8~9㎜、無毛。 雄しべは30~45本、5束になり、仮雄しべは5本、花弁より小さい。子房は5角(かど)のある灰黄色の綿毛がある。花柱は無毛。柱頭は盾状または頭状。果実は楕円形または球形、明瞭な5角(かど)があり、長さ10~14㎜×幅8~9㎜、灰黄色の綿毛がある。外果皮は木質、硬くて裂開しない。花期は6~7月。果期は8~10月。2n=164。
3-1 Tilia chinensis var. chinensis
中国(甘粛省、河南省、湖北省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は华椴 hua duan 。標高1800~3100(~3900)mの森林に生える。
小枝は無毛、またはまれに、非常に若いうちに毛がある。葉身は長さ7~13㎝×幅6~9㎝、下面は古くなると密な星状綿毛があり、縁の芒は長さ3~5㎜。果実は楕円形または球形。
3-2 Tilia chinensis Maxim. var. intonsa (E.H.Wilson) Y.C.Hsu et R.Zhuge ブンゴボダイジュ 豊後菩提樹
synonym Tilia intonsa E.H.Wilson中国(四川省)原産。中国名は多毛椴 duo mao duan。
小枝は密に綿毛がある。葉身の縁の歯は1.5㎜より短い。 果実は卵状形球形。
3-3 Tilia chinensis var. investita (V. Engler) Rehder
中国(湖北省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は秃华椴 tu hua duan。
小枝は無毛か、またはそれにほぼ近い。葉身は長さ5~10㎝×幅4.5~9㎝、下面はほぼ無毛、古くなると葉腋にのみに毛がある。果実は楕円形または球形。
4 Tilia cordata Mill. フユボダイジュ 冬菩提樹
ヨーロッパ、コーカサス、ロシア原産。英名はlinden , littleleaf linden , small-leaf European linden , small-leaf lime , small-leaf linden。別名はコバノシナノキ。葉や花がハーブとして利用される。
落葉高木、高さ30m以下、樹冠は半球形~淡円柱形。樹皮は褐灰色、縦に割れ目が入り、若枝は無毛。芽は長さ5~7㎜、卵形、帯赤色、無毛。葉は長さ3~7.5(~10)㎝、基部は心形、やや非対称、先は鋭い尖鋭形、鋸歯縁、光沢があり無毛、下面には帯赤色の毛があり、主に脈腋にある。葉柄は無毛。花序は頂生、花期と果期に直立し、花が4~15個つく。花は小さく、淡黄色、強い芳香がある。果実は球形、直径6~8㎜、種子を1((2) 個入れる。果皮は木質、硬く、平滑。2n=82~86。 花期は7月(6~8月)。
品種) 'Bicentennial' , 'Bohlje' , 'Chancellor' , CorinthianR , 'Corzam' , 'Dainty Leaf' , 'DeGroot' , 'Erecta' , Erecta Group , 'Fairview' , 'Firecracker' , 'Glenleven' , 'Golden Cascade' , 'Green Globe' , 'Greenspire' , 'Handsworth' , 'June Bride' , 'Len Parvin' , 'Lico' , Linn = 'Elin' (PBR) , 'Morden' , 'Monto' , 'Norlin' , 'Olympic' , 'Pendula Nana' , 'Plymtree Gold' , 'Prestige' , 'Rancho' , 'Roelvo' , 'Salem' , ShamrockR , 'Simone' , 'Skjold' (PBR) , 'Streetwise' , 'Swedish Upright' , 'Turesi' , 'Umbrella' , 'Westonbirt Dainty Leaf' , 'Winter Orange'
5 Tilia dasystyla Steven ティリア・ダシスチラ
アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、クリミア、ウクライナ、ロシア北部コーカサス、トトルコ原産。丘陵や山地の崖、ガレ場、林地に生える。
高木、高さ35mまで。樹皮は灰色で、うねが発達し、四角形の鱗片に割れる。小枝は細く、太さ1.5~3㎜、しばしば、特に太陽の下では赤色になり、無毛または少数の毛がある。芽は長さ7~9㎜、3枚の目に見える鱗片があり、多少、無毛で、赤色または緑色になる。葉柄は長さ2.5~5.5㎝。葉身は長さ5~13㎝×幅5~11㎝、広卵形または円形、先は尖鋭形、基部は心形または斜めの切形、上面は緑色、下面はやや灰緑色で、脈腋に薄褐色の毛の束があり、縁の歯は三角形で、先端は尖り、尖端は長さ0.7~1.7㎜。苞は長さ5~14㎝×幅0.8~2.6㎝、楕円形、披針形、または倒披針形。花序は垂れ下がり、3~7個の花がつく。花柱はときに密に毛がある。仮雄しべは無い。果実は長さ7~11㎜×幅5~8㎜m、球形~倒卵形、密に白色の綿毛がある。
5-1 Tilia dasystyla subsp. dasystyla
葉は長さ5~8㎝の円形、上面は光沢がある。苞は長さ5~11㎝、狭楕円形、ワックス状の黄緑色。
5-2 Tilia dasystyla Steven subsp. caucasica (V. Engl.) Pigott
コーカサス(アゼルバイジャン、ジョージア、ロシア)、ウクライナ、イラン、トルコ原産。
葉身は長さ5~13㎝×幅5~11㎝、広卵形、基部は心形または斜めの切形、上面は光沢が無い。苞は長さ7~14㎝×幅1.1~2.6㎝、披針形または倒披針形、鈍い淡緑色、ワックス状にならない。
品種) 'Select' ,'Winter Red'
6 Tilia henryana Szyszyl. ティリア・ヘンリアナ
中国原産。中国名は毛糯米椴 mao nuo mi duan 。
高木、高さ25m以下。樹皮は淡灰色、割れ目が入る。小枝と頂芽は黄色の星状綿毛があるか又は無毛。葉柄は長さ3~5㎝、黄色の綿毛がある。葉身は円形、長さ6~10㎝×幅6~10サ円地、下面には密に黄色の星状綿毛があるか又は脈腋にだけ毛があり、上面はほぼ無毛、側脈は5~6対でその先端は長さ3~5㎜の芒状に伸び、基部は心形、ときに斜めになり、鋸歯縁、先は広円形で短い尾状。集散花序は花が30~100個つき、長さ10~12㎝。花序柄には星状微軟毛がある。苞は狭倒披針形、長さ7~10㎝×幅1~1.3㎝、花序柄に3~5㎝でつき、外側は黄色の星状微軟毛があり、内側はときに無毛、基部は狭く、先は鈍形、苞の柄は長さ0.7~2㎝。花柄は長さ7~9㎜有毛。咢片は狭卵形、長さ4~5㎜、外側は有毛。花弁は長さ6~7㎜。雄しべは咢片と同長。仮雄しべは花弁より短い。子房は有毛。花柱は長さ約4㎜。果実は卵形、5角(かど)があり、長さ7~9㎜、星状毛がある。外果皮は木質、硬く、非裂開。花期は6月。2n = 164。
品種) 'Arnold Select' , 'Bluebell' , 'Kerdalo'
7 Tilia japonica (Miq.) Simonk. シナノキ 科の木
synonym Tilia japonica (Miq.) Simonk. var. magna H.Hara
日本(北海道、本州、四国、九州)原産。英名はJapanese lime , Japanese linden 。中国名は华东椴 hua dong duan 。中国に帰化している。
高木、高さ20~30m。小枝は絨毛がるが、すぐに無毛になる。頂芽は卵形、無毛。葉柄は細く、長さ3~4.5㎝、無毛。葉身は乾くと褐色、円形~ほぼ円形、長さ5~10㎝×幅4~9㎝、革質、下面は脈腋だけに毛があり、上面は無毛、側脈は6~7対、基部は心形、まれに切形、縁は鋭い細鋸歯、先は鋭形。集散花序は花が6~16個つき、長さ5~7㎝。花序柄は下部に苞をもつ。苞は長さ1~1.5㎝の柄をもち、狭倒披針形~狭長円形、長さ3.5~6㎝×幅1~1.5㎝、長さの1/2で花序柄につき、無毛。花柄は長さ5~8㎜。咢は狭長円形、長さ4~4.5㎜、まばらに星状毛がある。花弁は長さ6~7㎜。雄しべは長さ約5㎜。仮雄しべは花弁よりわずかに短い。子房は有毛。花柱は長さ3~4㎜。果実は卵形、角(かど)は無く、星状毛がある。外果皮は厚く、革質、もろく、非裂開。2n=164。
品種) 'Ernest Wilson'
7-1 Tilia japonica (Miq.) Simonk. f. inaensis (Kusaka) H.Hara グンバイシナノキ
7-2 Tilia japonica (Miq.) Simonk. f. ishiharae (Yanagita) Sugim. トビダシシナノキ
7-3 Tilia japonica (Miq.) Simonk. f. pygmaea Satomi チャボシナノキ 矮鶏科木
7-4 Tilia japonica (Miq.) Simonk. f. stenoglossa (Honda) H.Hara アラカワシナノキ
7-5 Tilia japonica (Miq.) Simonk. var. leiocarpa Nakai シコクシナノキ 四国科の木
四国の山地に分布する。別名はケナシシナノキ。果実は上部を除いて無毛。8 Tilia kiusiana Makino et Shiras. ヘラノキ 箆の木
日本(本州の奈良県・兵庫県以西、四国、九州)原産。和名は苞のへら形に由来する。
落葉高木。高さ10~15(~20)m。樹皮は褐色~灰褐色、縦に裂け、鱗片状に剥がれる。冬芽は卵形~広卵形、無毛、光沢がある。芽鱗は2個、内側の芽鱗は大きく、芽全体を包み、外側のは小さい。葉は互生、葉柄は長さ0.5~1.2㎝。葉身は狭卵形~卵状長楕円形、長さ3~8㎝×幅2~5㎝、基部は歪んだ浅い心形~切形、不整の鋭い細鋸歯縁、先は尾状に尖り、上面は濃緑色、下面は緑色、両面ともに脈上に毛があり、下面の脈腋に褐色の毛束がある。集散花状は散房状、長さ4~5㎝、花が10数個、下向きにつく。苞はへら形、長さ3~5㎝。花は淡黄色、芳香がある。果実は球形、直径4~5㎜、褐色の短毛が密生し、熟すと、苞とともに落ちる。花期は(6~)7月。
9 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. マンシュウボダイジュ 満州菩提樹 広義
朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山東省)、ロシア原産。中国名は糠椴 kang duan。
高木、高さ20m、幹の直径0.5(~0.7)m d.b.h.まで。 樹皮は濃い灰色で、古くなると縦に亀裂が入ります。 小枝は若いときは灰白色の星状の茎を持つ。 つぼみのトメントース。 葉柄は丈夫、長さ2~5㎝、星状糸状、無光沢。 葉身は卵形~輪形、長さ8~10㎝×幅7~9cm、背軸方向に濃い灰色の星状糸状、向軸方向に無毛、側脈5~7対、基部は斜めに臍状または切形、縁歯状、歯は三角形、長さ1.5~5mm、またはあり 芒はなく、間隔は 4~7 mm、先端は鋭角です。 集散花序は花が6~12(~20)個つき、長さ6~9㎝。 花柄に毛深い。 苞は狭い長楕円形または狭い倒披針形、長さ5~9㎝×幅1~2.4㎝、長さの 1/3~1/2 柄に付着し、背軸方向に星状の思春期、向軸方向に無毛、基部は鈍形、先端は丸く、柄は長さ4~5㎜。 小花柄は長さ4~6㎜、毛がある。萼片は長さ約5mm、外面に星状毛があり、絹毛状、内面に絨毛がある。花弁は長さ7~8㎜。雄しべは萼片と同長。仮雄しべは花弁よりわずかに小さい。子房には星状綿毛がある。花柱は長さ4~5㎜、無毛 果実は球形~卵形または倒卵形、弱く~明瞭な5角(かど)があり、長さ7~9㎜、ときにいぼ状突起がある。外果皮は木質、裂開しない。花期は7月。果期は9月。2n=82。
9-1 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. var. mandshurica マンシュウボダイジュ 満州菩提樹
synonym Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. f. chugokuensis (Hatus.) T.Yamaz.
synonym Tilia semicostata Nakaisynonym Tilia chugokuensis Hatus
朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山東省)、ロシア原産。中国名は糠椴 kang duan。
葉身には芒のある縁歯がある。苞は長さ5~9㎝×幅1~2.4㎝。果実は球形で、弱い5角(かど)があり、いぼ状突起は無い。
9-2 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. f. depressa (Nakai) W.T.Lee ネンジュボダイジュ
9-3 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. f. villicarpa (Nakai) W.T.Lee セツガクボダイジュ
9-4 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. var. megaphylla (Nakai) T.N.Liou et S.X.Li カラボダイジュ 唐菩提樹
synonym Tilia megaphylla Nakai9-5 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. var. ovalis (Nakai) T.N.Liou et S.X.Li コウライボダイジュ 高麗菩提樹
synonym Tilia ovalis Nakai96 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. var. rufovillosa (Hatus.) Kitam. ツクシボダイジュ 筑紫菩提樹
synonym Tilia rufovillosa Hatus.9-7 Tilia mandshurica Rupr. et Maxim. var. toriiana T.Yamaz. エチゴボダイジュ 越後菩提樹
10 Tilia maximowicziana Shiras. オオバボダイジュ 大葉菩提樹
日本(北海道、本州の中部地方以北)原産。別名はオオバシナノキ 大葉科の木。
落葉高木。高さ6~8(25)m。樹皮は暗灰色~帯紫暗灰色、縦に浅く割れ目が入る。若枝には淡黄褐色の星状毛が密にある。冬芽は赤褐色、卵形~広卵形、長さ5~8㎜、星状軟毛が密にある。葉は互生し、葉柄は長さ4.5~7㎝。葉身は大きく、円形、長さ(7)10~14(18)cm、基部は歪んだ心形、細鋸歯縁、先は短く尖り、下面には密に星状毛があり灰白色、脈腋に褐色の毛束があり、上面は無毛。集散花序は垂れ下がり、長さ6~10㎝、花が10数個つく。苞は狭長円形~へら形、長さ5~8㎝、両面に星状毛があり、苞の柄は長さ2~5㎜。咢片は披針形、長さ6~7㎜、先は鋭形、外面には星状毛が密にある。花弁は淡黄色、長さ約8㎜、先は鈍形。雄しべは多数、長さ約5㎜。仮雄しべは5個、花弁状、花弁より短い。果実は球形~楕円形、長さ10~15㎜、5稜があり、毛がある。花期は6~7月。
10-1 Tilia maximowicziana Shiras. var. yesoana (Nakai) Tatew. モイワボダイジュ
synonym Tilia maximowicziana Shiras. f. yesoana (Nakai) H.Hara葉の下面の星状毛がまばらなもの。
11 Tilia miqueliana Maxim. ボダイジュ 菩提樹
synonym Tilia franchetiana C.K.Schneid.
中国原産。中国名は南京椴 nan jing duan。
落葉高木。高さ8~10(20)m。幹は暗灰色~帯紫暗灰色、縦に割れ目が入る。葉は互生し、長さ5~12㎝、幅4~9.5㎝の三角状円形、先は漸尖し、基部は歪んだ切形~浅い心形、縁に鋭い鋸歯がある。側脈は6~8対。葉裏は灰白色、ビロード状に星状毛が密生する。葉柄は長さ(2)3~4㎝、星状毛が密生する。枝先の葉腋に苞葉をつけ、苞葉の中央近くから集散花序を下垂し、花を3~12(20)個つける。集散花序は長さ6~10㎝。苞葉は短い柄があり(ときに無柄)、長さ5~8(12)㎝のへら形、先は鈍く、基部が狭い楔形、両面に星状毛があり、裏面に密生する。花は淡黄色、芳香がある。花柄は長さ4~6㎝、小花柄は長さ8~12㎜。萼片は長さ5~6㎜。花弁は萼片より少し長い。雄しべ5個、仮雄しべ5個。堅果は直径7~8㎜の球形、硬く、表面に細かい星状毛が密生する。2n=164。花期は6月。
12 Tilia mongolica Maxim. モウコシナノキ 蒙古科の木
中国原産。中国名は蒙椴 meng duan。
高木、高さ10m以下。樹皮は帯灰色、不規則に剥離する。小枝は無毛。冬芽は卵形、無毛。葉柄は細く、長さ2~3.5㎝、無毛。葉身は広卵形~円形、長さ4~6㎝×幅3.5~5.5㎝、下面は脈腋だけに毛があり、上面は無毛、側脈は4~5対、基部はわずかに心形又は斜めの切形、縁は粗い鋸歯、先は尖鋭形、普通、3分裂。集散花序は花が6~12個つき、長さ5~8㎝。花序柄は無毛。花柄は細く、長さ5~8㎜。苞は長さ約10㎜の柄があり、狭長円形、長さ3.5~6㎝×幅0.6~1㎝、長さの1/2で花序柄につき、両面とも無毛、基部は鈍形、先は鈍形。咢片は披針形、長さ4~5㎜、外側は類無毛。花弁は長さ6~7㎜。雄しべは咢片と同長。仮雄しべはわずかに小さい。子房は有毛。花柱は無毛。果実は倒卵形、5角(かど)があるか又は角が不明瞭、長さ6~8㎜、外果皮は厚い革質、もろく、有毛、非裂開。花期は6月。2n=164。
品種) 'Buda' , 'Harvest Gold'
13 Tilia platyphyllos Scop. ナツボダイジュ 夏菩提樹
ヨーロッパ、トルコ原産。英名はlarge-leaved lime , big-leaf linden , broadleaf lime , large-leaf lime , large-leaf linden , linden。
落葉高木、高さ20~25(~35)m、樹幹は卵形~円錐形、直径12~15m(湿った地域では直径14~18m)。樹皮は灰色、縦の細かい割れ目やうねがある。若枝には毛がある。葉は互生、広卵形~円形、基部は心形、非対称、普通、長さ6~9(12~15)㎝、鋭い鋸歯縁、先は短く尾状に尖り、上面は濃い緑色、脈にわずかに毛があり、下面には密に淡色の毛があり、特に脈上に多く、秋に黄色になる。花序柄は長さ約2.5㎝、均等に毛がある。花序は長さ7~10㎝、上部の葉腋から垂れ下がり、花は2~6個つき、両性、咢片は離生、5個。花弁は離生、5個、帯黄色、芳香がある。雄しべは多数、多少、5個の束に融合する。各子房は5個の区画(室)をもち、各区画に2個の胚珠を含む。花柱は1個、無毛。果実は堅果、果皮が木質、強い3~5本のうねがあり、卵形~球形、直径(5~8)8~15㎜、種子を1~3個もつ。種子は褐色。果実は木に冬中残る。花期は6月(6~7月)。
品種) 'Asplenifolia' , 'Aurea' , 'Corallina' , 'Dakvorm' , 'Delft' , 'Donovan's Filigree' , 'Erecta' , 'Erkegem' , 'Fastigiata' , 'Glauca' , 'Grandiflora' , 'Insignis' , 'Laciniata' , 'orebro' , 'Pannonia' , 'Pendula' , 'Prince's Street' , 'Rubra'(小枝が冬に帯赤色)[AGM] , 'Street Parade' , 'Tiltstone Filigree' , 'Tortuosa' , 'Vitifolia' , 'Zelzate' (PBR)
14 Tilia tomentosa Moench ティリア・トメントサ
synonym Tilia argentea Desf. ex DC.
ヨーロッパ、トルコ原産。英名はHungarian silver linden , silver lime , silver linden , weeping silver lime。
落葉高木、高さ20~30(~35)m。樹皮は帯灰色、縦に割れ目が入る。枝は有毛。頂芽は長さ4~5㎜、卵形、綿毛がある。葉は互生、葉柄は長さ2.5~4㎝、密に星状毛がある。葉身は円形~三角状卵形、長さ4~13㎝×幅4~13㎝、上面は緑色、ほぼ無毛、下面は密に白色の星状毛の綿毛があり、銀色、縁には粗い歯がある。集散花序は垂れ下がり、(3~)6~10個の花がつく。花は両性、淡黄色、仮雄しべをもつ。果実は卵形、長さ6~8㎜、種子を1(2) 個もつ。果皮に毛があり、わずかに5うねがある。2n = 80。花期は7~8月。
品種) 'Brabant' , 'Chelsea Sentinel' , 'Doornik' , 'Erecta' , 'Orbicularis' , 'Petiolaris' , 'Satin Shadow' , 'Silver Globe' , 'Sterling' , 'Szeleste' , 'Tortuosa' , 'Van Koolwijk'
15 Tilia tuan Szyszyl. ティリア・チュアン
中国(広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は椴树 duan shu。標高1200~2400mの森林に生える。
高木、高さ10~20m。樹皮は灰色で、縦に剥離する。小枝は無毛または綿毛がある。頂芽は無毛または毛がある。葉柄は長さ1~6㎝、無毛または綿状。 葉身は狭卵形または卵状長円形~卵状円形、長さ6.5~17㎝×幅3.5~11㎝、下面は無毛または密に短い灰白色または褐色の綿毛があり、上面は無毛、側脈は3~11対、基部は斜めの円形~切形、または心形、縁は全縁、または先付近に少数の微細な歯があるか、または先近くに明瞭な歯があり、先は尖鋭形または鋭形。 集散花序は花が3~22個つき、長さ5~14㎝、無毛または毛深い。 苞は帯状~倒披針形、長さ6~16㎝×幅1~3㎝、花序柄に長さの約1/2が付着し、星状直軟毛または綿毛があるかまたは無毛、基部は楔形~円形、先は鈍形~尖鋭形、無柄または長さ0.5~0.8㎝の柄がある。小花柄は長さ4~9㎜、無毛または綿毛がある。萼片は卵形~卵状披針形、長さ4~6㎜、外面に微軟毛があり、内面基部に絨毛があり、縁には密に毛がある。花弁は長さ6~8㎜、無毛、短い爪部がある。 雄しべは35~50本、5束になり、無毛。仮雄しべは5本、倒披針形で、明瞭な竜骨がある。子房は卵形で、密に灰白色の星状綿毛がある。花柱は長さ3~4㎜、無毛。果実は球形または倒卵状球形、うねはなく、長さ7~11㎜×幅7~9mm、褐色または灰色の毛があり、疣状。外果皮は木質、硬くて裂開しない。花期は6~7月。果期は7~11月。n= 82。
15-1 Tilia tuan Szyszyl. var. chinensis (Szyszyl.) Rehder et E.H.Wilson ヒエイボダイジュ
中国(貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、四川省、浙江省)原産。中国名は毛芽椴 mao ya duan。小枝と頂芽は綿毛がある。葉身は広卵形、長さ10~12㎝×幅7~10cm、下面は灰色の星状綿毛があり、基部は通常斜めで、縁には顕著な歯がある。 集散花序は花が16-22個つく。苞は長さ8~12㎝、無柄。
16 Tilia × europaea L. セイヨウシナノキ 西洋科の木
synonym Tilia x vulgaris Hayne
ヨーロッパ原産のナツボダイジュとフユボダイジュの自然交雑種(T. cordata × T. platyphyllos)。英名はcommon lime , common linden , European lime , basswood , linden tree。別名はセイヨウボダイジュ 西洋菩提樹。
落葉高木、高さ30~40m。 若いシュートはわずかに有毛~無毛。葉は両親の中間、5本の主脈があり、広卵形、長さ5~7.5㎝×幅3.5~5.5㎝、極まばらに毛があり、脈腋に毛の束をもち、基部は斜めの(歪んだ)心形又はやや切形、鋸歯縁、先は急に尖鋭形~鋭形。葉柄は長さ1.5~3.5㎝、密に毛がある。集散花序はやや散形花序状、花が5~10個つく。花序柄は苞と同長又はわずかに長く、ほぼ無毛。苞は長円状倒披針形、長さ6.5~7.5㎝×幅2~2.5㎝、鈍形、無毛。花は直径約1.5㎝。花柄は長さ1.2~1.5㎝。咢片は狭卵形、長さ約6㎜×幅約2.5㎜、外側が有毛、先は鋭形。花弁は倒披針形、長さ約7㎜、鈍形。雄しべは30~35本、花糸は花弁の長さと同長。子房は球形、長さ約2㎜、密に毛がある。花柱は長さ約3㎜無毛。果実は広卵状類球形、直径約8㎜、綿毛があり、微突頭。
品種) 'Eleonora' (PBR) , 'Hatfield Tall' , 'Koningslinde' , 'Pallida' , 'Pendula' ,'Wratislaviensis' , 'Zwarte Linde'
17 Tilia × flavescens
T. cordata × T. americana
品種) 'Glenleven'
18 Tilia x noziricola Hisauti ノジリボダイジュ
シナノキとオオバボダイジュの交雑種
19 その他ハイブリッド
品種) 'Blue Star' , 'Emerald Spire' , 'Hanwell' , 'Harold Hillier' , 'Hillieri' , 'McKSentry' , 'New Millennium' , 'Palace Garden' , 'Pendamur' , 'Petiolaris' , 'Varsaviensis'
参考
1) GRINTilia
Anchusa azurea Miller
Tilia
Flora Iberica - Tilia cordata Mill.
Tilia platyphyllos - Tilo
Tilia platyphyllos Scop.
Tilia dasystyla Steven