茎は下部が地を這い、分枝して広がる。葉は長さ7～15㎝、幅3～8㎜、無毛。葉鞘も無毛。葉舌は白色の膜質。花序は長さ15～40㎝の円錐状、花序枝は糸状で、間隔が広く、輪生してつき、横に開く。枝の片側に片寄って小穂が2列につき、枝の上側は軸が見える。小穂は長さ約3㎜、赤紫色で、小花を5～7個もつ。第1苞頴は長さ約1㎜、披針形、第2苞頴は長さ約1.5㎜広披針形。護頴の長さは1～1.5㎜。果実は長さ1～1.5㎜の惰円形。2n=40。

アゼガヤ属

　 family　Poaceae － genus　Leptochloa

　1年草又は多年草。葉身は線形、葉舌は膜質、ときに縁毛がある。花序は開き、数個～多数の細い総状花序の複合、普通、覆瓦状の小穂が花序の主軸に沿って散在する。小穂は側部が扁平又はほぼ円柱形、小花は1～数個、小軸は苞頴の上と小穂の間に関節があり、苞頴(glumes )は護頴(lemmas,)より普通、短く、不等長、膜質、1脈がある。護頴は膜質、3脈があり、通常、脈に毛があり、竜骨又は丸くなり、先は鈍形又は2歯があり、ときに微突形～短い芒がある。パレア(palea)は護衛と同長又はわずかに短い。雄しべは(1～)3本。穎果(caryopsis)は側部又は背部が扁平。x = 10。
　世界に32種があり、熱帯全体とアメリカ、オーストラリアの温帯に分布する。

アゼガヤ属の主な種と園芸品種

1 Leptochloa chinensis (L.) Nees　 アゼガヤ
　　synonym　Dinebra chinensis (L.) P.M.Peterson et N.Snow
　　synonym　Poa chinensis L.
　本州、四国、九州、中国、インド、スリランカ、ブータン、インドネシア、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、アフリカ原産。中国名は千金子 qian jin zi。田の畔、湿地に生える。
　1年草。茎は下部が地を這い、分枝して広がる。葉は長さ7～15㎝、幅3～8㎜、無毛。葉鞘も無毛。葉舌は白色の膜質。花序は長さ15～40㎝の円錐状、花序枝は糸状で、間隔が広く、輪生してつき、横に開く。枝の片側に片寄って小穂が2列につき、枝の上側は軸が見える。小穂は長さ約3㎜、赤紫色で、小花を5～7個もつ。第1苞頴は長さ約1㎜、披針形、第2苞頴は長さ約1.5㎜広披針形。護頴の長さは1～1.5㎜。果実は長さ1～1.5㎜の惰円形。2n=40。
2 Leptochloa panicea (Retz.) Ohwi　イトアゼガヤ
　　synonym　Dinebra panicea (Retz.) P.M.Peterson et N.Snow
　日本、中国、台湾、インド、スリランカ、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、アフリカ、アメリカ原産。中国名は虮子草 ji zi cao。落葉低木林、木の生える草原、農園、道端、荒地に生える。
　1年草、束生する。稈は高さ25～110㎝、細く、鋭角に屈曲し(geniculately)、斜上する。葉身は線形、平ら、長さ25㎝以下、幅7㎜以下、長く、尖鋭形。葉鞘と葉身の両面にパピラ状の直軟毛があり、毛は開出する。花序は楕円形～長円形、ブラシ状、しばしば紫色を帯び、長さ20～30㎝、多数の真っすぐな細い斜上する総状花序の複合で、総状花序は長さ4～11㎝、中軸に沿って散在する。小穂は小花が2～5個(普通3)つき、狭楕円形、長さ1.9～2.5㎜。重なる苞頴はほぼ等長、護頴より短い。第1苞頴(lower glume)は披針形、長さ0.7～1.5㎜、鋭形。第2苞頴(upper glume)は狭長円形、長さ0.9～1.6㎜、鈍形で微突形。護頴は楕円状長円形、長さ0.8～1.2㎜、背に微細な毛があり、鈍い2歯がある。穎果は広楕円形、長さ0.5㎜、褐色、断面は鈍い三角形。
2-1 Leptochloa panicea subsp. panicea　 イトアゼガヤ
　　synonym　Dinebra panicea (Retz.) P.M.Peterson et N.Snow subsp. panicea　
　日本、中国、台湾、インド、西ヒマラヤ、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ニューギニア
2-2 Leptochloa panicea subsp. brachiata (Steud.) N.Snow　 ホウキアゼガヤ
　　synonym　Leptochloa filiformis (Pers.) P. Beauv.
　　synonym　Leptochloa mucronata (Michx.) Kunth
　北アメリカ～南アメリカに分布。日本に帰化している。英名はmucronate sprangeltop , red sprangletop。湿った場所、乾いた池などに生える。
　1年草、茎は普通、直立、高さ10～150㎝、ときに、赤色～紫色を帯びる。葉鞘はパピラ状の毛がある。葉舌は長さ1～3㎜、全縁又はギザギザ。葉身は長さ5～30㎝、幅3～20㎜。花序は長さ3～20㎝、花序柄だは普通、開出し、下部で長さ5～10㎝。小穂は長さ1～3㎜、扁平。苞頴は長さ1～2㎜、ほぼ等長、紫色を±帯びる。小花は小穂に(2)3～4個。護頴は長さ1～2㎜、竜骨があり、脈に毛があり、先は微細に2裂し、芒は無い。2n=20.。花期は9～12月。

ハキダメガヤ属　Dinebra

　 family　Poaceae － genus　Dinebra

　1年草。稈は束生。葉身は線形、平ら。葉舌は引き裂かれ又は縁毛があり、膜質。花序は長い又はくさび形の総状花序、中央の花序軸に沿い、脱落性又は脱落性の2次枝がある。小穂は無柄、2列に密集して覆瓦状につく。小穂はくさび形、側部が扁平、小花は(1～)2個～数個、花序軸はやがて、苞頴の上と小花の間で関節が離れる。苞頴は小花よりかなり長く、小花を包み、ほぼ同長、しばしば革質、ときに3脈があり、強い竜骨があり、鋭形又は尾状又は芒状。護頴は薄い膜質、3脈があり、脈に毛があり又は無毛、竜骨があり、鋭形～凹形、微突は有又は無。パレアは護頴よりわずかに短く、透明。穎果は楕円形、三角形。
　世界に3(8)種あり、アフリカ～マダガスカル～インドに分布する。

ハキダメガヤ属の主な種

1 Dinebra retroflexa (Forssk. ex Vahl) Panz.　 ハキダメガヤ
　　synonym　Cynosurus retroflexus Vahl
　　synonym　Dinebra paspaloides P.Beauv.
　　synonym　Dinebra arabica Jacq.
　　synonym　Leptochloa arabica (Jacq.) Steud.
　アフリカ、南西アジア、インド原産。日本に帰化している。
　叢生し、稈は高さ15～112㎝。葉鞘は腺がある。葉舌は縁毛がなく、膜質又は縁毛があり、膜質、長さ1.2～1.6㎜、披針形。葉身は長さ4.5～28㎝、幅4～8㎜、尖鋭形。花序は総状花序の複合。総状花序は多数、主軸につき、反曲又は開出し、線形、長円形又はくさび形、片側性、長さ0.5～6㎝、少数又は多数の稔性の小穂を2～20個つける。中央の花序軸は長さ8～34㎝、花序軸は脱落性、狭い翼があり、扁平。小穂は花序軸の腹側につく。小穂は伏せ、単生、稔性の小穂は無柄。小穂は稔性の小花が1～3個つき、先に不稔の小花がつく。小穂はくさび形、側部が扁平、長さ5.7～9㎜、熟すと、別れ、各稔性の小花の下で関節が離れる。苞頴は宿存し、似ていて、小花の先を超え、稔性の護頴より硬く、先が反曲する。第1苞頴は楕円形、長さ6.1～8.2㎜、第2苞頴の長さの0.9～1倍、皮革質、1竜骨、1脈がある。第1苞頴の1次脈はザラつき、側脈は無く、先は尾状。第2苞頴は楕円形、長さ6.1～8.2㎜、隣接する稔性の護頴の長さの3倍、皮革質、1竜骨、1脈がある。第2苞頴は1次脈がザラつき、側脈は無く、先は尾状。稔性の護頴は卵形、長さ2..1～2.9㎜、膜質、竜骨が3脈にある。護頴は中脈の下部に毛があり、側脈は縁に接し、縁の下部に毛があり、先は凹形、鋭形又は微突形。パレアは護頴の長さの0.8～0.9倍、2脈があり、竜骨に毛がある。先の不稔の小花は稔性の小花に似るが、発達しない。穎果は粘着する果皮をもち、等直径の三角形、長さ1㎜。

参考

1) Plants of the World Online | Kew Science
　Leptochloa P.Beauv. 　 　Dinebra Jacq. 　 2）Flora of China
　Leptochloa 　 　Dinebra 3）Flora of Pakistan
　Leptochloa 　 4) The Jepson Herbarium
　Leptochloa panicea subsp. brachiata