アサザ 浅沙

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Flora of Mikawa

ミツガシワ科 Menyanthaceae アサザ属

別 名 イヌジュンサイ、ハナジュンサイ
中国名 荇菜 xing cai
英 名 fringed-water-lily, yellow floating-heart, water fringe
学 名 Nymphoides peltata ((S.G. Gmel.) Kuntze
アサザの花
アサザの花横
アサザの雄しべ
アサザの葉の開く前
アサザの葉裏
アサザ
アサザの葉
アサザ茎
花 期 6~9月
高 さ 浮葉植物
生活型 多年草
生育場所 湖沼、溜池、水路
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、アゼルバイジャン、イラン、ヨーロッパ
撮 影 田原市 14.6.19
北アメリカに帰化している。日本では絶滅が危惧されている。
 根茎は円筒形、地下を水平に這い、節から根を出し、葉は水面に浮かぶ。葉柄は長さ5~10㎝、円筒形。葉は互生し、直径1.5~8㎝の卵状円形~円形、縁に低い波状の鋸歯がある。葉の基部は深裂し、やや盾状に葉柄がつく。花柄は長さ3~7(12)㎝。花は5数性、黄色、直径3~4㎝程度、水面から出て、束生する。花冠は長さ2.5~3㎝、黄金色、捻じれ、深く5裂し、不規則に切れ込む。萼片は5個、長さ9~13㎜。花は花柱の長さが異なる2型があり、異型間での交配により結実する。日本では2型は霞ヶ浦だけで確認されており、ほとんどのものはクローンではないかといわれている。短花柱型の花は子房長さ5~7㎜、花柱長さ1~2㎜、柱頭は短く、花糸長さ3~4㎜、葯は曲がり、長さ4~6㎜、矢状。長花柱型の花は子房長さ7~17㎜、花柱長さ10㎜以下、柱頭は大きく、2裂し、花糸長さ1~2㎜、葯は長さ2~3.5㎜。腺は黄金色。果実は長さ1.7~2.5㎝、幅0.8~1.1㎝、惰円形。種子は褐色、長さ4~5㎜。2n= 54。

アサザ属

  family Menyanthaceae - genus Nymphoides

 多年草[または一年草]、水生植物、普通、湖や池の表面にカーペット状になり、短い基部の根茎が多数の細い葉柄のような匍匐茎を生じる[または根茎が無い]。 茎は普通、長く、浮き、ときに、節から細根を出す。葉は互生し、まれに、明らかに対生することもある。葉身は浮き、脈は掌状脈。花は節に束生し、(4 または) 5数性、二形花柱性(distylous)またはたまに等花柱性(homostylous)。萼は基部近くまで分裂する。花冠は車形、基部近くまで深裂し、まれに深く分裂せず、鐘形になり、喉部には長い線毛が5束ある。雄しべは花冠筒部につく。花柱は線形。蜜腺は5個、子房の基部につく。蒴果は非裂開、種子が少数。種子は扁平または球形、平滑または装飾されている。  世界に約40種あり、温帯および熱帯に分布する。

アサザ属の主な種と園芸品種

1 Nymphoides aquatica (Walter) Kuntze ハナガガブタ 
 USA(アラバマ州、デラウェア州、フロリダ州、ジョージア州、ルイジアナ州、メリーランド州、ミシシッピ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テキサス州、バージニア原産。英名はbanana floating heart , banana plant , banana lily, big floatingheart。別名はバナナプラント、バナナフローティングハート。池やゆっくりと流れる小川に見られる。
 多年草、浮遊葉の水生植物。小さなスイレン(スイレン)に似ている。根茎は池底の泥に埋もれる。葉は、浮く茎の末端に1個つく。葉は全縁、直径約10㎝、卵形、基部は心形、葉柄があり、上面は緑色、下面は赤紫色。葉の下面と茎の両方が粗く、質感は小石の粒状。花は浮葉の下に束生する。花は開花中は(花が完全に開いて機能している期間)、水面上に保持され(水面から数インチ)、直径約1.8㎝。花弁は5個、白色、黄色の目がある。花の付着部位に、太く、鈍い細長い塊茎がバナナの房状につく。果実は蒴果。花期および果期は4~8月。
 バナナフローティングハートはLittle Floating Heart(Nymphoides cordata(Elliott)Fernald)に似ている。Little Floating Heartには小さな葉があり、上面が紫色のまだらになる。Little Floating Heartの塊茎は、バナナフローティングハートの塊茎よりも細くて尖る。

2 Nymphoides aurantiaca (Dalzell) Kuntze ヒメアサザ 姫浅沙
 台湾、インド、スリランカ原産。中国名は水金莲花 shui jin lian hua。静水に生える。
 多年草、浮遊葉の水生植物。根茎は水平。茎は円柱形、細長く、節からの発根は無く、分枝する。葉は節ごとに2個つく。葉柄は長さ3~9cm。葉身は円形、直径約4.5cm、下面は紫色で点があり、基部は心形。 花は節ごとに2個つき、5数性。小花柄は長さ1.5~4.5cm。萼片は長さ3~6㎜。花冠は黄色、長さ8~10㎜。花冠裂片はくさび形、縁は不規則な切れ込みがあり、先は円形~形。蒴果は球形、直径約6㎜、種子が10~15個。種子は球形、直径約1.5㎜、種皮は網状になる。花期は6~8月。

3 Nymphoides coreana (H.Lév.) H.Hara ヒメシロアサザ 姫白浅沙
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、台湾、ロシア原産。中国名は小荇菜 xiao xing cai。湖沼やため池、水田などに生える
 多年草または1年草。浮葉植物。茎は長く、円筒形で、節から発根し、枝分かれしない。葉柄は円筒形、長さ1~10㎝、関節があり、基部は沿下する。葉身は卵状心形、直径2~6㎝、基部は心形、縁は全縁。花は小数~多数つき、4または5数性。小花柄は円筒形、長さ1~3cm。萼片は広披針形、先は鋭形。花冠は白色、車形、長さ約8㎜。花冠裂片は膜質、縁は不規則に切れ込む。蒴果は楕円形、長さ4~5㎜、1mm未満の花柱が宿存する。種子は楕円形、長さ約1㎜、種皮は平滑、または縁にまばらな歯がある。2n=56。花期は7~9月。

4 Nymphoides hydrophylla (Lour.) Kuntze ヒメガガブタ 姫鏡蓋
  synonym Nymphoides cristata (Roxb.) Kuntze
 中国、インド、ラオス、タイ、ベトナム原産。中国名は刺种荇菜 ci zhong xing cai。静水に生える。
 多年草、茎は長さ10~30㎝、節から発根する。葉は節ごとに少数。葉柄は長さ4~10㎝、細い。葉身は心形、長さ1~6㎝×幅1~4(~5)㎝、ほぼ膜質、脈は不明瞭。花は節に2~10個、5数性、 等花柱性(homostylous)。 小花柄は長さ2~6cm、細い。萼は長さ4~5㎜、基部近くまで深裂する。萼片は狭長円形、先は鋭形。 花冠は白色、鐘形、長さ7~8㎜、中間まで分裂し、花冠筒部は長さ4~5㎜。花冠裂片は長さ3~4㎜、縁は不規則な切れ込みがあり(laciniate)、先は凹形。花糸は無い。葯は三角形、長さ約1㎜。花柱は非常に短い。蒴果は球形、直径約3㎜、種子が6~10個。種子は褐色、球形、直径約1mm。種皮は棘がある。花期および果期は8~9月

5 Nymphoides indica (L.) Kuntze ガガブタ 鏡蓋
 日本(本州、四国、九州)、韓国、中国、台湾、カンボジア、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、スリランカ、ベトナム、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は金银莲花 jin yin lian hua。静水に生える。英名はWater Snowflake。
 多年草、浮葉性、または抽水性。根茎は水平。茎は円柱形、枝分かれしない。葉柄は円筒形、長さ1~2㎝。葉身は広卵形~ほぼ円形、長さ3~18㎝、ほぼ皮革質、下面に密に腺があり、基部は心形、縁は全縁。脈は不明瞭、掌状脈。 花は多数つき、節に束生し、5数性、2形花柱性(distylous)。小花柄は円筒形、長さ3~5㎝。萼は長さ3~6㎜、基部近くまで深裂する。萼片は披針形~狭楕円形、先は鈍形。花冠は白色、中央が黄色、長さ7~12㎜。花冠裂片は卵状楕円形、外側は密に房状へりの直軟毛があり、先は鈍形。花糸は扁平、線形、長さ1.5~1.7㎜。葯は矢じり形、長さ2~2.2㎜。花柱は円筒形。柱頭は裂片が三角形。蒴果は楕円形、長さ3~5㎜、種子は少数。種子は褐色、球形、長さ1.2~1.5㎜。種皮は平滑。花期および果期は8~10月。2n=18 [または36]。

6 Nymphoides peltata (S.G.Gmel.) Kuntze アサザ 浅沙
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、アゼルバイジャン、イラン、ヨーロッパ原産。中国名は荇菜 xing cai。英名はfringed-water-lily, yellow floating-heart, water fringe。別名はイヌジュンサイ、ハナジュンサイ。
 多年草。浮葉植物。根茎は円筒形、地下を水平に這い、節から根を出し、葉は水面に浮かぶ。葉柄は長さ5~10㎝、円筒形。葉は互生し、直径1.5~8㎝の卵状円形~円形、縁に低い波状の鋸歯がある。葉の基部は深裂し、やや盾状に葉柄がつく。花柄は長さ3~7(12)㎝。花は5数性、黄色、直径3~4㎝程度、水面から出て、束生する。花冠は長さ2.5~3㎝、黄金色、捻じれ、深く5裂し、不規則に切れ込む。萼片は5個、長さ9~13㎜。花は花柱の長さが異なる2型があり、異型間での交配により結実する。日本では2型は霞ヶ浦だけで確認されており、ほとんどのものはクローンではないかといわれている。短花柱型の花は子房長さ5~7㎜、花柱長さ1~2㎜、柱頭は短く、花糸長さ3~4㎜、葯は曲がり、長さ4~6㎜、矢状。長花柱型の花は子房長さ7~17㎜、花柱長さ10㎜以下、柱頭は大きく、2裂し、花糸長さ1~2㎜、葯は長さ2~3.5㎜。腺は黄金色。果実は長さ1.7~2.5㎝、幅0.8~1.1㎝、惰円形。種子は褐色、長さ4~5㎜。2n= 54。花期は6~9月。
品種) 'Bennettii'

参考

1) Flora of China
 Nymphoides
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=122533
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Nymphoides
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30013186-2
3) World Flora Online
 Nymphoides
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000026425;jsessionid=13D13D4C295258FA1EBF119B91D52206
4) Flora of Victoria
 Nymphoides
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/2de114cf-81b1-49f5-9257-056fc6110fa3
5) Vascular Plants of North Carolina
 Nymphoides aquatica
https://auth1.dpr.ncparks.gov/flora/species_account.php?id=1966