アオノツガザクラ 青の栂桜
Flora of Mikawa
ツツジ科 Ericaceae ツガザクラ属
英 名 | Aleutian mountainheath |
学 名 | Phyllodoce aleutica (Spreng.) A. Heller. synonym Menziesia aleutica Sprengel |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 7~20㎝ |
生活型 | 常緑低木 |
生育場所 | 高山の岩場、 草地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州(中部地方以北)、ロシア、アラスカ、カナダ |
撮 影 | 千畳敷 06.8.8 |
和名は葉がツガに似て、花がやや緑色を帯びることに由来する。
葉は互生し、長さ8~14㎜、幅約1.5㎜の広線形、密につく。茎頂に長い花柄を直立し、花を4~7個、固まってつける。花は長さ6~7㎜の淡黄緑色の壺形、先が浅く5裂し、横から下向きに開花する。雄しべ10個。蒴果は長さ約4㎜。
低木、茎は広がり又は直立する(多数、分枝)。若枝は普通、腺毛があり、古い枝は無毛、又は微軟毛、(葉の落ちた後に粗いクギのような突起が残り、樹皮が剥離:exfoliating)。葉は宿存、互生。葉柄がある。葉身は皮革質、縁は全縁、小鋸歯、又は腺のある小鋸歯(、外巻きし、下面の1/3以下が見える)。花序は頂生、散形花序、散房花序、又は穂状花序状に束生し、花が2~30個つき、ときに花が単生する。鱗片葉(perulae)は無い。花は両性、放射相称。咢片は5個、基部で合着する。花弁は5個、その長さの1/2+が合着する。花冠は脱落性、つぼ形、鐘形、又は円筒形。雄しべは(8~)10本、突き出ず又は突き出る。葯は芒が無く、頂部に隙間から裂開する。子房は5室。花柱は突き出ず又は突き出る。柱頭は頭状。果実は蒴果、広卵形~球形、求基的に胞間裂開する。種子は100+個、楕円形、狭い翼があり、尾は無い。種皮は平滑。x = 12。
世界に8種あり、北アメリカ、ユーラシアに分布する。英名はmountain heather。
synonym Menziesia aleutica Sprengel
日本(北海道、本州の中部地方以北)、ロシア、アラスカ、カナダ原産。英名はAleutian mountainheath。
常緑低木、斜上又は直立、分枝し、高さ(7)10~25㎝。若枝は腺があり、古枝は無毛になる。葉は互生、広がり、多数つくが、覆瓦状にならない。葉身は線形、長さ4~12(14)mm×幅1~1.1(1.5)mm、縁は小鋸歯縁、面にしばしば腺がある。花序は頂生、散形花序又は散房花序、花が1~4(4~10)個つく。花柄は細く、長さ10~15(20)mm、微毛と腺毛がある。小苞は2個。花は下向きにつく。咢片は線形~線状披針形、長さ2.5~3.5mm、縁毛があり、外面に腺毛がある。花冠は黄色~黄緑色、つぼ形、口部でくびれ、長さ5~8mm、無毛、先が5裂。花冠裂片は後屈し、長さ約1mm。雄しべは長さ9~10mm、突き出ない。花糸は長さ1.5~2mm、無毛。葯は乾くと褐色、長さ0.3~0.5mm。子房は球形、直径1.5~2mm、腺毛がある。花柱は突き出ず、長さ2~3mm。蒴果は長さ約4㎜、5バルブ。花期は6~8月。
1-1 Phyllodoce aleutica subsp. glanduliflora (Hook.) Hultén
synonym Menziesia glanduliflora Hook.
synonym Phyllodoce glanduliflora (Hooker) Coville [Flora of North America]
北アメリカに分布。英名はyellow mountain heather , cream mountain-heather , white heath , yellow heather
直立又は傾伏、多数分枝し、高さ10~40㎝。葉は多数つき、長さ7~10mm、長円形~倒卵形、縁は上側に内巻きし、葉幅が狭く見え、下面に密に腺があり、上面は腺のある毛に堅い毛が混じる。花序は類散形花序、花が3~7個つく。花柄、咢、花冠は密に毛と腺毛で覆われる。花柄は長さ6~10mm。咢片は槍状卵形、先は鋭形。花冠は垂れ下がり、淡黄色~クリーム色、つぼ形、花冠は基部近くで幅が最も広く、次第に先細になり、5個の短い開出する裂片をもつ。花冠裂片は卵状披針形。花柱は花冠から突き出ない。花糸は毛があり、葯は長さ約1mm。 2n = 24。この種はP. empetriformisと交雑する。 品種) 'Flora Slack'
2 Phyllodoce caerulea (L.) Bab. エゾノツガザクラ 蝦夷の栂桜
日本(北海道~東北地方以北)、朝鮮、中国、ロシア、北アメリカ原産。中国名は松毛翠 song mao cui。英名はPurple mountain heather , phyllodoce bleue。高山帯の湿り気のある岩場や草地に生える。 常緑小低木。高さ5~25㎝。茎は匍匐~斜上し、拡散して分枝し、しばしばマット状になる。葉は広がり、覆瓦状になる。葉身は線形~へら形、長さ4~10mm×幅1~1.3mm、縁には細かい腺のある小鋸歯があり、下面は無毛又は腺がある。花序は散形花序、花が1~6個つく。花柄は長さ10~30mm、腺がある。小苞は2個。花は下向きにつく。咢片は線形~披針形、長さ3~4mm、縁毛は無く、外面に腺がある。花冠は紫色、つぼ形、口部でくびれ、長さ4~9mm、腺がある。花冠裂片は反曲し、長さ約1mm。雄しべは8~10本、突き出ない。花糸は長さ3~3.5mm、無毛。葯は長さ1.2~1.5mm。子房は球形、直径2~2.5mm、腺がある。花柱は長さ4~5mm、突き出ない。蒴果は5バルブ、球形、直径2.5~3.5mm、腺がある。2n = 24。花期は7~8月。 アオノツガザクラと同じ場所に生えることもあり、両者の雑種のコエゾツガザクラが見られる。エゾノツガザクラの花冠はやや細く、雑種は花冠に丸味があり、花色もやや薄い。
品種) 'Murray Lyon' , 'Viking' , 'W.M. Buchanan's Peach Seedling'
2-1 Phyllodoce caerulea (L.) Bab. f. takedana (Tatew.) Ohwi ユウバリツガザクラ 夕張栂桜
synonym Phyllodoce caerulea (L.) Bab. var. takedana Tatew.
3 Phyllodoce nipponica Makino ツガザクラ 栂桜
日本固有種(本州福島県から鳥取県)および四国(愛媛県、四国)。高山帯の岩上や岩礫地に生える。
常緑低木、高さ5~10㎝。茎は地上を這い、先が斜上する。葉は密につき、互生し、線形、長さ4~7mm×幅約1.5mm、縁にはまばらに小さな鋸歯がある。花序は頂生の散形花序、花が2~6個、横向きにつく。花柄は細く、長さ1~2.5㎝、微細な毛と腺毛がある。萼片は卵形~広披針形、紅紫色、短く、長さ1.5~2mm、背面は無毛。花冠は鐘形、長さ4~5mm×幅3~4mm、淡いピンク色、先は浅く5裂する。花期は6~8月。
3-1 Phyllodoce nipponica Makino subsp. tsugifolia (Nakai) Toyok. ナガバツガザクラ 長葉栂桜
synonym Phyllodoce nipponica Makino var. tsugifolia (Nakai) Ohwi
synonym Phyllodoce nipponica Makino var. oblongo-ovata (Tatew.) Toyok. ex Ohwi
4 ハイブリッド
(1) Phyllodoce x alpina Koidz. オオツガザクラ 大栂桜
アオノツガザクラとツガザクラの自然交雑種。別名はコツガザクラ、シロウマツガザクラ。
(2) Phyllodoce aleutica (Spreng.) A.Heller x P. caerulea (L.) Bab. コエゾツガザクラ 小蝦夷栂桜
synonym Phyllodoce caerulea (L.) Bab. f. yezoensis (Koidz.) Nakai
synonym Phyllodoce aleutica (Spreng.) A.Heller var. marmorata Toyok.
synonym Phyllodoce caerulea (L.) Bab. var. yezoensis Koidz. コエゾツガザクラ
アオノツガザクラとエゾノツガザクラの自然交雑種。別名はニシキツガザクラ。
(3) Phyllodoce × intermedia (Hook.) Rydb.
synonym Phyllodoce × hybrida Rydb.
北メリカ原産。Phyllodoce aleutica subsp. glandulifloraとP. empetriformisとの自然交雑種。
品種) 'Drummondii' , 'Fred Stoker'
(4) その他ハイブリッド
品種) 'Peach'
Phyllodoce
Phyllodoce aleutica (Sprengel) A. Heller,
Phyllodocem
葉は互生し、長さ8~14㎜、幅約1.5㎜の広線形、密につく。茎頂に長い花柄を直立し、花を4~7個、固まってつける。花は長さ6~7㎜の淡黄緑色の壺形、先が浅く5裂し、横から下向きに開花する。雄しべ10個。蒴果は長さ約4㎜。
ツガザクラ属
family Ericaceae - genus Phyllodoce低木、茎は広がり又は直立する(多数、分枝)。若枝は普通、腺毛があり、古い枝は無毛、又は微軟毛、(葉の落ちた後に粗いクギのような突起が残り、樹皮が剥離:exfoliating)。葉は宿存、互生。葉柄がある。葉身は皮革質、縁は全縁、小鋸歯、又は腺のある小鋸歯(、外巻きし、下面の1/3以下が見える)。花序は頂生、散形花序、散房花序、又は穂状花序状に束生し、花が2~30個つき、ときに花が単生する。鱗片葉(perulae)は無い。花は両性、放射相称。咢片は5個、基部で合着する。花弁は5個、その長さの1/2+が合着する。花冠は脱落性、つぼ形、鐘形、又は円筒形。雄しべは(8~)10本、突き出ず又は突き出る。葯は芒が無く、頂部に隙間から裂開する。子房は5室。花柱は突き出ず又は突き出る。柱頭は頭状。果実は蒴果、広卵形~球形、求基的に胞間裂開する。種子は100+個、楕円形、狭い翼があり、尾は無い。種皮は平滑。x = 12。
世界に8種あり、北アメリカ、ユーラシアに分布する。英名はmountain heather。
ツガザクラ属の主な種と園芸品種
1 Phyllodoce aleutica (Spreng.) A.Heller アオノツガザクラ 青の栂桜synonym Menziesia aleutica Sprengel
日本(北海道、本州の中部地方以北)、ロシア、アラスカ、カナダ原産。英名はAleutian mountainheath。
常緑低木、斜上又は直立、分枝し、高さ(7)10~25㎝。若枝は腺があり、古枝は無毛になる。葉は互生、広がり、多数つくが、覆瓦状にならない。葉身は線形、長さ4~12(14)mm×幅1~1.1(1.5)mm、縁は小鋸歯縁、面にしばしば腺がある。花序は頂生、散形花序又は散房花序、花が1~4(4~10)個つく。花柄は細く、長さ10~15(20)mm、微毛と腺毛がある。小苞は2個。花は下向きにつく。咢片は線形~線状披針形、長さ2.5~3.5mm、縁毛があり、外面に腺毛がある。花冠は黄色~黄緑色、つぼ形、口部でくびれ、長さ5~8mm、無毛、先が5裂。花冠裂片は後屈し、長さ約1mm。雄しべは長さ9~10mm、突き出ない。花糸は長さ1.5~2mm、無毛。葯は乾くと褐色、長さ0.3~0.5mm。子房は球形、直径1.5~2mm、腺毛がある。花柱は突き出ず、長さ2~3mm。蒴果は長さ約4㎜、5バルブ。花期は6~8月。
1-1 Phyllodoce aleutica subsp. glanduliflora (Hook.) Hultén
synonym Menziesia glanduliflora Hook.
synonym Phyllodoce glanduliflora (Hooker) Coville [Flora of North America]
北アメリカに分布。英名はyellow mountain heather , cream mountain-heather , white heath , yellow heather
直立又は傾伏、多数分枝し、高さ10~40㎝。葉は多数つき、長さ7~10mm、長円形~倒卵形、縁は上側に内巻きし、葉幅が狭く見え、下面に密に腺があり、上面は腺のある毛に堅い毛が混じる。花序は類散形花序、花が3~7個つく。花柄、咢、花冠は密に毛と腺毛で覆われる。花柄は長さ6~10mm。咢片は槍状卵形、先は鋭形。花冠は垂れ下がり、淡黄色~クリーム色、つぼ形、花冠は基部近くで幅が最も広く、次第に先細になり、5個の短い開出する裂片をもつ。花冠裂片は卵状披針形。花柱は花冠から突き出ない。花糸は毛があり、葯は長さ約1mm。 2n = 24。この種はP. empetriformisと交雑する。 品種) 'Flora Slack'
2 Phyllodoce caerulea (L.) Bab. エゾノツガザクラ 蝦夷の栂桜
日本(北海道~東北地方以北)、朝鮮、中国、ロシア、北アメリカ原産。中国名は松毛翠 song mao cui。英名はPurple mountain heather , phyllodoce bleue。高山帯の湿り気のある岩場や草地に生える。 常緑小低木。高さ5~25㎝。茎は匍匐~斜上し、拡散して分枝し、しばしばマット状になる。葉は広がり、覆瓦状になる。葉身は線形~へら形、長さ4~10mm×幅1~1.3mm、縁には細かい腺のある小鋸歯があり、下面は無毛又は腺がある。花序は散形花序、花が1~6個つく。花柄は長さ10~30mm、腺がある。小苞は2個。花は下向きにつく。咢片は線形~披針形、長さ3~4mm、縁毛は無く、外面に腺がある。花冠は紫色、つぼ形、口部でくびれ、長さ4~9mm、腺がある。花冠裂片は反曲し、長さ約1mm。雄しべは8~10本、突き出ない。花糸は長さ3~3.5mm、無毛。葯は長さ1.2~1.5mm。子房は球形、直径2~2.5mm、腺がある。花柱は長さ4~5mm、突き出ない。蒴果は5バルブ、球形、直径2.5~3.5mm、腺がある。2n = 24。花期は7~8月。 アオノツガザクラと同じ場所に生えることもあり、両者の雑種のコエゾツガザクラが見られる。エゾノツガザクラの花冠はやや細く、雑種は花冠に丸味があり、花色もやや薄い。
品種) 'Murray Lyon' , 'Viking' , 'W.M. Buchanan's Peach Seedling'
2-1 Phyllodoce caerulea (L.) Bab. f. takedana (Tatew.) Ohwi ユウバリツガザクラ 夕張栂桜
synonym Phyllodoce caerulea (L.) Bab. var. takedana Tatew.
3 Phyllodoce nipponica Makino ツガザクラ 栂桜
日本固有種(本州福島県から鳥取県)および四国(愛媛県、四国)。高山帯の岩上や岩礫地に生える。
常緑低木、高さ5~10㎝。茎は地上を這い、先が斜上する。葉は密につき、互生し、線形、長さ4~7mm×幅約1.5mm、縁にはまばらに小さな鋸歯がある。花序は頂生の散形花序、花が2~6個、横向きにつく。花柄は細く、長さ1~2.5㎝、微細な毛と腺毛がある。萼片は卵形~広披針形、紅紫色、短く、長さ1.5~2mm、背面は無毛。花冠は鐘形、長さ4~5mm×幅3~4mm、淡いピンク色、先は浅く5裂する。花期は6~8月。
3-1 Phyllodoce nipponica Makino subsp. tsugifolia (Nakai) Toyok. ナガバツガザクラ 長葉栂桜
synonym Phyllodoce nipponica Makino var. tsugifolia (Nakai) Ohwi
synonym Phyllodoce nipponica Makino var. oblongo-ovata (Tatew.) Toyok. ex Ohwi
4 ハイブリッド
(1) Phyllodoce x alpina Koidz. オオツガザクラ 大栂桜
アオノツガザクラとツガザクラの自然交雑種。別名はコツガザクラ、シロウマツガザクラ。
(2) Phyllodoce aleutica (Spreng.) A.Heller x P. caerulea (L.) Bab. コエゾツガザクラ 小蝦夷栂桜
synonym Phyllodoce caerulea (L.) Bab. f. yezoensis (Koidz.) Nakai
synonym Phyllodoce aleutica (Spreng.) A.Heller var. marmorata Toyok.
synonym Phyllodoce caerulea (L.) Bab. var. yezoensis Koidz. コエゾツガザクラ
アオノツガザクラとエゾノツガザクラの自然交雑種。別名はニシキツガザクラ。
(3) Phyllodoce × intermedia (Hook.) Rydb.
synonym Phyllodoce × hybrida Rydb.
北メリカ原産。Phyllodoce aleutica subsp. glandulifloraとP. empetriformisとの自然交雑種。
品種) 'Drummondii' , 'Fred Stoker'
(4) その他ハイブリッド
品種) 'Peach'
参考
1) Flora of ChinaPhyllodoce
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=125218
2) Flora of North America @ efloras.orgPhyllodoce aleutica (Sprengel) A. Heller,
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=250065659
Phyllodoce glanduliflora
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=250065662
3) Plants of the World Online | Kew SciencePhyllodocem
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:326275-2