アーモンド

mark

Flora of Mikawa

バラ科  サクラ属 スモモ亜属 アーモンド節

別 名 ヘントウ(扁桃)、ハタンキョウ(巴旦杏)almond , bitter almond , sweet almond
英 名 almond , bitter almond , sweet almond
中国名 扁桃 bian tao
学 名 Prunus amygdalus Batsch
 synonym Amygdalus amygdalus (Batsch) Frye & Rigg
 synonym Amygdalus communis L.
 synonym Prunus communis (L.) Arcang.
アーモンドの蕾
アーモンドの花
アーモンドの花2
アーモンドの花後
アーモンドの幹
アーモンド
アーモンド花序
アーモンド萼
花 期 3~4月
果 期 7~8月
高 さ (2~)3~6(~8)m
生活型 落葉高木または低木
生育場所 果樹園、公園、庭
分 布 外来種 トランスコーカサス原産
撮 影 のんほいパーク  23.4.24
バラ科サクラ属の落葉高木または低木、果樹の中堅果類として分類される。和名はヘントウ(扁桃)で、アンズ、モモやウメの近縁種であり、梅などに似た果実をつける。その果肉は薄く食用にならないが、食用とされるアーモンドは種子の殻を取り除いた種子の中の仁(kernel)である。
 以前はモモ属 (Amygdalus)又はモモ亜属(Prunus subg. Amygdalus)に分類されていたが、現在ではサクラ属・スモモ亜属・アーモンド節に分類される。
 高木又は低木、高さ (2~)3~6(~8)m。枝は直立又は水平に広がり、刺は無く、多数の短小枝をつけ、無毛、前年の小枝は帯褐色、古くなると灰褐色~灰黒色。冬芽は帯褐色、卵形、長さ3~5㎜、無毛。葉は様々、前年枝の葉は普通、互生し、短枝の葉はおおよそ、しばしば束生し、葉柄は長さ1~2(~3)㎝、無毛、先又は葉身の基部に2~4個の蜜腺がある。葉身は披針形~楕円状披針形、長さ3~6(~9)㎝×幅1~2.5㎝、若いときにわずかに軟毛があり、無毛になり、基部は広楔形~円形、縁には浅い密な鋸歯状、先は鋭形~短い尖鋭形。花は単生、葉の展開前に開花する。花柄は長さ3~4㎜、果時に長さ4~10㎜、無毛。花托筒は円筒形、長さ(5~)6~8㎜×幅3~5㎜、外側は無毛。萼片は広長楕円形~広披針形、長さ5~6㎜、外側は無毛、縁に短毛があり、先は鈍形。花弁は白色又は帯ピンク色、長楕円形~倒卵状長楕円形、長さ1.2~2㎝×幅0.7~1.1㎝、基部は狭くなり、狭い爪部となり、先は鈍形~凹形。雄しべは長さが不等。子房は密に綿毛がある。花柱は雄しべより長い。核果は斜めの卵形~長楕円状卵形、扁平、長さ3~4.3㎝×幅2–3㎝、密に短毛があり、基部はほとんど切形、先は尖るかやや鈍形。果皮は薄く、熟すと割れる。内果皮は黄白色~褐色、卵形~広楕円形~短い長楕円形、両側は非対称、長さ2.5~3(~4)㎝ 、硬く~脆く、原側の縫合は曲がり、±鋭い竜骨がある。背側の縫合は普通、真っすぐ、表面は平滑で穴があり、浅いうねが有又は無、基部は斜めの切形~球状の切形。種子は甘く又は長い。花期は3~4月。果期は7~8月。
 アーモンドの栽培品種は核の殻の砕きやすさによって軟核種soft shellと硬核種hard shellが、風味によって甘仁種sweet almondと苦仁種bitter almondがあり、食用には主に軟核の甘仁種が利用され、苦仁種は花の観賞用などに栽培される。苦仁種は変種としてPrunus dulcis var. amara (Duhamel) Buchheimとされていたが、現在ではPrunus amygdalusに品種として含められる。
品種) Aldrich , 'All-in-One' , Avalon , Badaam , 'Bute'(ビュート) , Butte[hard shell] , ダベイ , 'California'(カルフォルニア) , 'Carmel'(カーメル) , 'Crimson'(Flowering Almond) , Delon , Desertniy , Frize[hard shell] , 'Garden Prince' , Geliodor , 'Hall's Hardy' , Independence , Krasiviy , Livingstone[hard shell] , Mangup , Marcona[hard shell] , Mariana , Milas , Mindalny , 'Mission' (ミッション)[hard shell], 'Monterey'(モントレー)[hard shell] , 'Neplus' , Nikitsky 2240 , 'Nonpareil'(ノンパレル) , Oracle Almond Tree™ , 'Padre'[hard shell] , 'Papershell Almond' , Peerless[hard shell] , Pervenets , Price , Primorsky , 'Purpurea' , Ruby[hard shell] , Sablevidniy , Sonora , Stepnoy , 'Supernova' , 'Texas Mission' , 'Titan' , Tuono , Ugamskiy , Ulutsheny , Winters , Wood Colony , Yubileiny

サクラ亜属を含む広義のサクラ属 genus Prunus

 被子植物(Angiosperm)-真正双子葉類(Eudicots)-コア真正双子葉類(Core eudicots)-バラ上群(Superrosids)-バラ類(Rosid)-窒素固定クレード(nitrogen-fixing clade)-バラ目(Rosales)-バラ科(Rosaceae)-サクラ亜科 A(Amygdaloideae =スモモ亜科Prunoideae)-サクラ連 Amy(tribe Amygdaleae)-サクラ属(genus Prunus)
 低木または高木、ときにクローン性の茂みを形成し、直径0.1~4mになり、無毛または毛がある。茎は1~20+本。樹皮は帯赤色、赤褐色、灰褐色、または暗灰色。普通、長いシュートと短いシュートが存在し、刺は有または無。葉は落葉性または宿存性、茎葉。托葉は早落性、線形~披針形、縁は鋸歯状から裂片状、普通、腺がある。葉柄は有または無、普通、葉身近くに腺体がある。葉身は楕円形、長円形、ほぼ円形、卵形、披針形、線形、倒卵形、倒披針形、へら形、扇形または菱形、中肋に沿って折り畳まれることはめったになく、長さ0.5~18㎝、膜質~革質、縁は平ら、普通、全縁または歯があり、ときに波打ち、歯は普通、腺があり、ときに腺が無い。花序は短いシュートの上または前年の葉に腋生し、花が1~64(~90)[~100]個つき、総状花序、散房花序、散形状に束生し、花は2個束生または単生。苞はときに有り、小苞がある。小花柄は普通あるが、ときに欠く。花は普通、両性、ときに単性(その後、普通、雌雄異株、ときに雌雄混株(andropolygamous)、花は葉の展開前または展開と同時に咲き、直径4~40mm。花托筒は長さ1.5~8㎜、外面は無毛または有毛。萼片は5個、直立~後屈し、普通は三角形、半円形、卵形、または長円形、まれに卵状楕円形、披針形、または倒卵形。花弁は5個(観賞用の重弁花では~50+個)、通常は白色~ピンク色または暗ピンク色、ときに帯黄色、普通、ほぼ円形~楕円形または倒卵形、ときに長円形、まれに卵形、倒披針形、または菱形、基部には普通、爪部がある。雄しべは10~3本、普通は花弁と同長またはそれより短く、ときに長くなる。核果は1個、緑黄色~帯黄色、またはオレンジ色~明るい赤色~暗赤色、赤褐色、または暗紫色~黒色、球形~卵形~卵状長円形~楕円形、または倒卵形、長さ5~30(~80)㎜。花托筒は脱落性、まれに果時に宿存する。萼片は花托筒と一緒にで落ちる。中果皮は普通、肉質、ときに革質~乾燥し、まれに縫合糸に沿って裂け、核(石)が現れる。内果皮は球形~卵形または楕円形~紡錘形の核(石)を形成し、ときに側部が平らになる。種子は1個。x=8。(FNA)
 世界に約340種あり、汎存種(cosmopolitan)。

広義のサクラ属 genus Prunusの下位分類 [Shi etc.(2013)]

 ウワミズザクラ亜属(subgen. Padus)、サクラ亜属(subgen. Cerasus)、スモモ亜属(subgen. Prunus)の3亜属に分類される。

Prunus subgen. Padus(ウワミズザクラ亜属)

 花序は総状花序。単系統群では無い(参考10)。 Prunus mahalebとPrunus maackii(ウラボシザクラ)はsubgen. Cerasusに移動された。
(1) Laurocerasus(旧バクチノキ亜属)英名はcherry laurels:タイプ種はセイヨウバクチノキ(Prunus laurocerasus)
 ほとんどが常緑(他の亜属は落葉)
 腋芽は単生。花期は早春。小花柄は短い。花は総状花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果に溝がない。核は平滑。
 Prunus amplifolia - Prunus brittoniana - Prunus caroliniana - Prunus ilicifolia(holyleaf cherry) - Prunus integrifolia - Prunus javanica - Prunus laurocerasus(セイヨウバクチノキ:cherry laurels) - Prunus lusitanica - Prunus myrtifolia - Prunus oblonga - Prunus occidentalis - Prunus oleifolia - Prunus phaeosticta(クロボシザクラ) - Prunus reflexa - Prunus spinulosa(リンボク) - Prunus tucumanensis - Prunus undulata - Prunus zippeliana(バクチノキ)
(2) Maddenia(旧マッデニア属)
 冬芽は大きい長円形~卵形、数個の鱗片がある。花期は春~晩春。花序は総状花序。小花柄は短い。核果は長円形、平滑。核は骨質、卵形、3角(かど)があり、先は鋭形。
 Prunus fujianensis - Prunus himalayana (Himalayan false bird cherry) – Prunus hypoleuca (false bird cherry) - Prunus hypoxantha(Sichuan false bird cherry) - Prunus incisoserrata)
(3) Padus(旧ウワミズザクラ亜属)英名はbird cherries:タイプ種はエゾノウワミズザクラ(Prunus padus)
 腋芽は単生。花期は晩春。小花柄は短い。花は総状花序につき、葉の多い新芽につく。核果に溝がない。核は平滑。
 Prunus brachypoda – Prunus brunnescens – Prunus buergeriana(イヌザクラ) – Prunus cornuta(Himalayan bird cherry) ‐ Prunus grayana(ウワミズザクラ) – Prunus gyirongensis(entire-leaved bird cherry) - prunus maackii(ウラボシザクラ amur chokecherry) - Prunus napaulensis(Nepalese bird cherry) - Padus nakatakei(モロツカウワミズザクラ) - Prunus obtusata(シマウワミズザクラ) - Prunus padus(エゾノウワミズザクラ bird cherries) – Prunus perulata – Prunus serotina(black cherry) – Prunus ssiori(シウリザクラ) – Prunus stellipila – Prunus velutina – Prunus virginiana(chokecherry) – Prunus wilsonii(Wilson's bird cherry) (4) Pygeum(旧ピジウム亜属)
 常緑。花序は総状花序。
 Prunus africana(African cherry) - Prunus arborea - Prunus ceylanica - Prunus costata - Prunus crassifolia - Prunus dolichobotrys - Prunus gazelle-peninsulae - Prunus grisea - Prunus lancilimba - Prunus malayana - Prunus marsupialis - Prunus oligantha - Prunus oocarpa - Prunus polystachya - Prunus pullei - Prunus schlechteri - Prunus turneriana - Prunus wallaceana

Prunus subgen. Cerasus(サクラ亜属)

 英名はtrue cherries;タイプ種はスミミザクラ(Prunus cerasus)
 腋芽は単生。花期は早春。小花柄は長い。花は散房花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果は溝がない。核は平滑。
 Cerasus 亜属は真のサクランボ(true cherries)のみで構成されている。Microcerasus ユスラウメ節(dwarf cherries) はこの亜属に属さない。真のサクランボは、各葉腋に芽を1個だけ付けるが、Microcerasus(dwarf cherries) は、各葉腋に3個の芽を付ける (モモとアーモンドで観察される特性状態)。北アメリカのdwarf cherriesは、真のサクランボよりもプラムに似ていることが知られていた (Catling et al. 1999)。dwarf cherriesをプラム、アプリコット、さらにはモモと交配させる方が、真のサクランボと交配するよりも簡単である (Garley 1980; Kataoka et al. 1988)。dwarf cherriesは、果物の種類がプラムに似ています。dwarf cherriesを真のサクランボと一緒に系統配置することを支持する確固たる証拠はこれまでのところ見つかっていない。分子解析データは、P. mahaleb L. と P. maackii Rupr がCerasus 亜属の構成員であることをサポートしている。これらの2種は、散房花序が長いため、Padus 亜属のメンバーとして扱われた。 Prunus mahaleb は真のサクランボに似ていると報告されており (Krüssmann 1986)、亜属 Cerasus のほとんどの種と同様に2倍体であり (González Zapatero et al. 1988)、一方、調査された亜属 Padus の種はすべて4倍体である (Goldblatt and Johnson)。 1979–2012)。 P. maackii とサクランボの類似性は形態学によって裏付けられており (Li and Jiang 1998)、この種は Cerasus 亜属の種である Prunus maximo wiczii Rupr. と自然交雑種を形成できることが報告されている。亜属 Cerasus における種の相違は、重要ではないように思われる。これは、跳躍的種分化(quantum speciation)またはマーカーの低解像度が原因である可能性がある。種間交雑 (Ohta et al. 2007) は、この亜属の分類を複雑にしている。亜属はこの研究では十分に示されていなかったため、近い将来、亜属内の系統関係を解決するために、より広範な種のサンプリングとより多くの様々な遺伝子が使用されると期待される(参考11)。

Prunus subgen. Prunus(スモモ亜属) [Shi etc.(2013).]

(1) sect. Prunus(スモモ節)[旧スモモ亜属]: Old World plums:タイプ種はセイヨウスモモ( P. domestica)
 腋芽は単生。花期は早春。小花柄がある。花は葉のある新芽(シュート)にはつかない。核果は片側に溝がある。核は粗い。
約40種。
 P. blireiana – P. bokhariensis – P. cerasifera(ベニバスモモ=ミロバランスモモ) – P. cocomilia – P. consociiflora – P. domestica(セイヨウスモモ) – P. fruticans – P. ramburii – P. salicina(スモモ) – P. simonii(サイモンスモモ) – P. spinosa(スピノサスモモ) – P. ursina – P. ussuriensis(マンシュウスモモ) – P. vachuschtii
(2) sect. Prunocerasus(アメリカンプラム節)[旧スモモ亜属]: New World plums
 旧スモモ亜属の北アメリカ産種。
  P. alleghaniensis – P. americana(アメリカスモモ) – P. angustifolia – P. geniculata – P. gracilis – P. hortulana – P. maritima – P. mexicana – P. munsoniana – P. murrayana – P. nigra – P. orthosepala – P. rivularis – P. subcordata – P. umbellata
(3) sect. Armeniaca(アンズ節)[旧スモモ亜属]英名はapricots:タイプ種はアンズ(P. armeniaca)5種
 腋生の冬芽は単生。頂生の冬芽はない。小花柄は無いかまたは極短く、まれに長い。花は1~3個、葉のある新芽(シュート)にはつかない。核果は片側に溝がある。核は平滑、ザラつき、網目があり、または稀に穴がある。
 P. armeniaca(アンズ apricot) – P. brigantina(Alpine apricot) – P. × dasycarpa(紫杏 zi xing) - Prunus limeixing - P. mandshurica(マンシュウアンズ) – P. mume(ウメ)
(4) sect. Microcerasus(ユスラウメ節)旧オウトウ亜属: bush cherries 24種
 サクラ亜属から移動された。
 P. alaica – P. albicaulis – P. bifrons – P. brachypetala – P. chorossanica - P. dictyoneura – P. erythrocarpa – P. erzincanica – P. glandulosa(ニワザクラ) – P. griffithii – P. griffithii var. tianshanica - P. hippophaeoides – P. humilis(コニワザクラ) – P. incana – P. jacquemontii – P. japonica(ニワウメ) – P. microcarpa – P. pogonostyla(タカサゴニワウメ) – P. pojarkovii(unplaced name, イラン、トルクメニスタン原産) – P. prostrata – P. pseudoprostrata – P. susquehanae – P. tomentosa(ユスラウメ) – P. verrucosa – P. yazdiana
(5) sect. Amygdalus(アーモンド節): almonds 24種
 P. amygdalus(ヘントウ=アーモンド) – P. arabica(Arabian wild almond) – P. argentea – P. brahuica – P. bucharica – P. carduchorum – P. cercocarpifolia – P. eburnea – P. elaeagrifolia – P. eremophila – P. erioclada – P. fenzliana – P. haussknechtii – P. korshinskyi – P. kotschyi – P. kuramica – P. lycioides – P. minutiflora – P. sibirica(モウコアンズ) – P. scoparia – P. spinosissima – P. trichamygdalus – P. turcomanica – P. webbii(syn. Amygdalus delipavlovii)
(6) sect. Persica(モモ節): peaches 6種
 P. davidiana(サントウ=ノモモ) – P. kansuensis – P. mira – P. mongolica – P. persica(モモ) – P. tangutica
 ※Sect. AmygdalusとP. sect. PersicaはときにPrunus subg. Amygdalus (モモ亜属)とされ、境界が明確でなく、P. spinosissima (とげのあるアーモンド) ,P. kansuensisや P. × hybrida(syn. P. persicoides=P. amygdalus × P. persica.) は両節に属す。このためsect. Amygdalus & sect. Persicaとすることもある。
(5&6) sect. Amygdalus(アーモンド節) & sect. Persica(モモ節)[旧モモ亜属 genus Amygdalus];タイプ種はアーモンド(P. amygdalus)
 腋芽は3個(中央に栄養芽、側部に 2個の花芽)。花期は早春。小花柄は無またはほぼ無。花は葉のある新芽にはつかない。核果は片側に溝がある。核は深い溝がある。
 P. amygdalus(アーモンド)、P. persica(モモ)、P. persica var. nectarina(ネクタリン)など
(7) sect. Emplectocladus(エムプレクトクラドゥス節): desert almonds
 アメリカ大陸に分布し、6種が含まれる。sect. Amygdalusに密接に関係する。
 P. cercocarpifolia – P. fasciculata(desert almond) – P. eremophila(Mojave Desert almond) – P. havardii(Havard's wild almond) – P. microphylla ( Mexican wild almond)– P. minutiflora(Texas wild almond)
 以下はまだ、不確定の節。
(8) sect. Chamaeamygdalus(シャマエアマイグダルス節)
 Prunus sect. Chamaeamygdalus Spach は、以前は Amygdalus-Persica クレードに含まれていたが、分子系統学的研究により、 Amygdalus-Persica クレードから除外されるべきであることが示された。この節における種の系統学的位置はまだ不明である。
 P. tenella(Russian almond) – P. petunnikowii
(9) sect. Louiseania(ルイゼアニア節)
 Prunus sect. Louiseania (Carrière) Yazbekにはアジアの2~3種が含まれる。flowering almondと呼ばれるが、アンズ節やユスラウメ節とより密接に関係する。
 P. pedunculata - P. triloba(オヒョウモモ) - Prunus ulmifolia(本種がこの節に属するかどうか、分子研究では未確認)
(10) sect. Penarmeniaca(ペナルメニアカ節)[旧バクチノキ亜属の一部]:タイプ種: Prunus pumila (sand cherry)
 北アメリカに分布する。ペナルメニアカ節はアメリカ大陸のプラムであり、P. texana(アメリカンプラム節) および旧世界種である P. tenella(sect. Chamaeamygdalus) の姉妹グループである。
 腋芽は3個。花期は早春。小花柄は長い。花は散房花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果に溝がない。核は平滑。
 P. andersonii(desert peach) – P. fremontii(desert apricot) – P. pumila(dwarf cherry ,sand cherry)

アーモンド節(sect. Amygdalus)

  synonym Prunus subgen. Amygdalus (L.) Focke  family Rosaceae - genus Prunus - subgen. Prunus - sect. Amygdalus
 高木または低木、樹冠は広がり~直立する。樹皮は褐色、灰色、または白灰色ぽい。 枝には刺は無または有。1年目の小枝は緑色、、褐色、または淡褐色、ときに、露出した面は赤みがかり、無毛か、無毛になり、または毛がある。短いシュートが有りまたは無い。腋芽は通常、帯褐色、無毛または毛がある。葉はつぼみの中で重なり(conduplicate)、または回旋(convolute)し、通常は短いシュートに束生し、1年目の小枝に互生する。托葉は線形、しばしば早落性。葉柄は無柄~長さ30㎜まで、無毛または毛があり、葉柄の腺は無いか、7個まで。葉身の色は様々、形も様々、縁には通常、歯があり、腺のある歯があるが、常には無い。葉は無毛または毛がある。花序は通常、短いシュートに束生する。小花柄が無毛または毛がある。花は花托筒が帯赤色、または帯緑色、ほとんどが鐘形または狭円筒形で、外側は通常は無毛、まれに毛がある。萼片が帯赤色または帯緑色、縁は常に全体、縁に毛があるかまたは無毛、花弁の色は様々、基部はほとんど先細り、先は通常ノッチがある。雄しべは10~35本。花柱は雄しべに対する長さが様々。果実は通常、短い小花柄を持ち、無毛または毛がある。核果は通常、緑色、ときに露出した面が赤色を帯び、扁平または扁平では無く、表面には密に毛がある。中果皮(mesocarp)が成熟時に分裂するか、または分裂しない。内果皮(endocarp)は褐色~薄褐色で、表面には穴があり、溝があり、穴と溝があり、または平滑。
 世界に約27種あり、西アジア、中国、地中海沿岸地域、北アメリカに分布し、アーモンドが世界中で栽培されている。

アーモンド節の種と品種

 P. amygdalus(ヘントウ=アーモンド) – P. arabica(Arabian wild almond) – P. argentea – P. brahuica – P. bucharica – P. carduchorum – P. cercocarpifolia – P. eburnea – P. elaeagrifolia – P. eremophila – P. erioclada – P. fenzliana – P. haussknechtii – P. kansuensis – P. korshinskyi – P. kotschyi – P. kuramica – P. longispinosa - P. lycioides – P. minutiflora – P. mongolica – P. sibirica – P. scoparia – P. spinosissima – P. trichamygdalus – P. turcomanica – P. webbii(syn. Amygdalus delipavlovii)

アーモンド節の主な種

1 Prunus amygdalus Batsch アーモンド
  synonym Prunus dulcis (Mill.) D.A.Webb
 トランスコーカサス原産。中国名は扁桃 bian tao。英名はalmond , bitter almond , sweet almond。別名はヘントウ(扁桃)、アメンドウ、カラモモ。広く栽培されている。アーモンド節(sect. Amygdalus)に属す。地中海沿岸地域、アジア南西部に帰化し、中国(甘粛省、陝西省、山東省、新疆ウイグル自治区)で栽培されている。現在では世界中で栽培され、栽培の多いのはカリフォルニア州、オーストラリアであり、日本でも栽培が始められている。
 高木又は低木、高さ (2~)3~6(~8)m。枝は直立又は水平に広がり、刺は無く、多数の短小枝をつけ、無毛、前年の小枝は帯褐色、古くなると灰褐色~灰黒色。冬芽は帯褐色、卵形、長さ3~5㎜、無毛。葉は様々、前年枝の葉は普通、互生し、短枝の葉はおおよそ、しばしば束生し、葉柄は長さ1~2(~3)㎝、無毛、先又は葉身の基部に2~4個の蜜腺がある。葉身は披針形~楕円状披針形、長さ3~6(~9)㎝×幅1~2.5㎝、若いときにわずかに軟毛があり、無毛になり、基部は広楔形~円形、縁には浅い密な鋸歯状、先は鋭形~短い尖鋭形。花は単生、葉の展開前に開花する。花柄は長さ3~4㎜、果時に長さ4~10㎜、無毛。花托筒は円筒形、長さ(5~)6~8㎜×幅3~5㎜、外側は無毛。萼片は広長楕円形~広披針形、長さ5~6㎜、外側は無毛、縁に短毛があり、先は鈍形。花弁は白色又は帯ピンク色、長楕円形~倒卵状長楕円形、長さ1.2~2㎝×幅0.7~1.1㎝、基部は狭くなり、狭い爪部となり、先は鈍形~凹形。雄しべは長さが不等。子房は密に綿毛がある。花柱は雄しべより長い。核果は斜めの卵形~長楕円状卵形、扁平、長さ3~4.3㎝×幅2–3㎝、密に短毛があり、基部はほとんど切形、先は尖るかやや鈍形。果皮は薄く、熟すと割れる。内果皮は黄白色~褐色、卵形~広楕円形~短い長楕円形、両側は非対称、長さ2.5~3(~4)㎝ 、硬く~脆く、原側の縫合は曲がり、±鋭い竜骨がある。背側の縫合は普通、真っすぐ、表面は平滑で穴があり、浅いうねが有又は無、基部は斜めの切形~球状の切形。種子は甘く又は長い。花期は3~4月。果期は7~8月。
 アーモンドの栽培品種は核の殻の砕きやすさによって軟核種soft shellと硬核種hard shellが、風味によって甘仁種sweet almondと苦仁種bitter almondがあり、食用には主に軟核の甘仁種が利用され、苦仁種は花の観賞用などに栽培される。苦仁種は変種としてPrunus dulcis var. amara (Duhamel) Buchheimとされていたが、現在ではPrunus amygdalusに品種として含められる。
品種) Aldrich , 'All-in-One' , Avalon , Badaam , 'Bute'(ビュート) , Butte[hard shell] , ダベイ , 'California'(カルフォルニア) , 'Carmel'(カーメル) , 'Crimson'(Flowering Almond) , Delon , Desertniy , Frize[hard shell] , 'Garden Prince' , Geliodor , 'Hall's Hardy' , Independence , Krasiviy , Livingstone[hard shell] , Mangup , Marcona[hard shell] , Mariana , Milas , Mindalny , 'Mission' (ミッション)[hard shell], 'Monterey'(モントレー)[hard shell] , 'Neplus' , Nikitsky 2240 , 'Nonpareil'(ノンパレル) , Oracle Almond Tree™ , 'Padre'[hard shell] , 'Papershell Almond' , Peerless[hard shell] , Pervenets , Price , Primorsky , 'Purpurea' , Ruby[hard shell] , Sablevidniy , Sonora , Stepnoy , 'Supernova' , 'Texas Mission' , 'Titan' , Tuono , Ugamskiy , Ulutsheny , Winters , Wood Colony , Yubileiny

2 Prunus arabica (Olivier) Meikle プルナス・アラビカ
  synonym Amygdalus scoparia Spach
 湾岸諸国、イラン、イラク、レバノン・シリア、オマーン、パレスチナ、サウジアラビア、トルコ原産。英名はArabian wild almond。標高500~2700mの乾燥および半乾燥地域、石灰岩および火山岩の斜面、山地およびサバンナに生え、多くの場合、川沿い、峡谷、干上がった峡谷、峡谷に沿って生える。
 低木、高さ1~3(4)m、箒状になり、直立した (斜上) 樹冠を持つ。 樹皮は褐色。枝には刺がない。1年目の小枝は緑色、無毛、古い小枝は緑色、無毛、短いシュートは無い。腋芽は1個、褐色、卵形、内側は平ら、先は凸形~円形、(2)4~5(6)個つく。芽鱗は長さ(2)4~5㎜、縁は全縁、毛があり、先は円形で微突形、乾燥すると裂け、通常は果実の基部に宿存する。葉は葉芽では二つ折り(conduplicate)になり、互生のみで束生せず、干期の初めに落葉する。ときに托葉は分岐し、長さ2~5㎜、基部が広く、縁は歯に腺があり、先端に向かって直形、無毛、しばしば早落性である。葉柄は長さ6(8)㎜、緑色、無毛、葉柄の腺は無い。葉身は緑色、狭披針形~狭楕円形~線形、ときに狭倒披針形、長さ15~46㎜×幅2~8(10)㎜、基部は楔形、沿下し、基部の歯の腺は1~3(5)個、上の歯より大きくて暗く、縁には鋸歯状円鋸歯があり、しばしば不明瞭であり、歯は腺があり、先は鋭形、微突形、若いときまたは成熟したとき、下面は中脈にまばらに毛があり、上面は無毛。花序は単生。小花柄は緑色、長さ3㎜まで、無毛。花は花托筒が暗赤色、広鐘形~半球形、長さ2~5㎜×幅3~7㎜、無毛。萼片は外側が暗赤色、内側が緑色、長さ2~5(6)mm、縁は全縁、密に毛があり、毛は縮れ、先は鋭形。花弁は白色、淡ピンク色、またはピンク色、円形、広長円形または倒卵形、長さ5~13 mm、基部は楔形、先は円形、ノッチがある。雄しべは20~35本。 花柱は雄しべより長く、下部は毛があり、しばしば果時に宿存する。果実は花柄が長さ5(6)mmまで、無毛。核果は卵形、長卵形、または断面が円形で、扁平またはわずかに扁平で、長さ11~20mm×幅8~13mm×深さ7~10mm、基部は円形、ときにわずかに非対称、先は鋭形~円形、核果が成熟すると表面が無毛になる。中果皮は熟すと、割れる。内果皮は褐色~薄褐色、卵形、長卵形または断面が円形、扁平、長さ13~19mm×幅8~11mm×深さ7~9mm、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形、腹側の縫合線は鋭形または鈍形の竜骨をもち、表面の穴は無く、縫合線に沿って2本の溝があり、ときに浅い溝が基部から始まり浅くなって消える。花きは3月上旬~5月中旬。果期は4~7月上旬。

3 Prunus argentea (Lam.) Rehder プルナス・アルジェンティア
  synonym Amygdalus orientalis Duham.
 イラン、イラク、レバノン・シリア原産。英名はsilver almond。標高500~2000mの開けたオーク林、岩だらけの斜面、乾いたシルト地帯、急な川岸などに生える。
 低木、高さ0.5~3m、樹冠は直立または広がる。樹皮は褐色または灰色で粗い。枝は刺がある。1年経った小枝は白色、古い小枝は灰褐色、毛があり、無毛または無毛になる。短いシュートが存在し、長さ2~13㎜。腋芽は鱗片が長さ2~3㎜、縁は全縁、毛があり、先は円形、微突形。葉は短いシュートに束生し、1年目の小枝に互生する。托葉は線形、長さ1~6㎜、縁は通常全縁、毛があり、まれに腺のある歯があって無毛、しばしば早落性。葉柄は長さ1~5(8)㎜、白色の綿毛がある。葉柄の腺は葉の基部の上部に1~4個、または無く、ときに葉の基部の上の高い位置にある。葉身は毛があるために銀白色、楕円形、披針形、まれに倒卵形、倒披針形、またはへら形、長さ10~44㎜×幅(3)10~23㎜、基部は楔形、根部の歯の腺1~4個は上部の歯より大きく暗色で、葉柄の腺と変わらないが、一部は葉柄の下部にあり、縁は全縁、またはときに不明瞭な円鋸歯状鋸歯があり、歯には腺があり、先は鋭形~円形、若いときまたは成熟すると、下面と上面に白色の綿毛がある。花序は単生。小花柄は長さ1~3㎜、白色の綿毛がある。花は花托筒が赤色、漏斗形、長さ3~5㎜×幅2~4㎜、外側は無毛。萼片は赤色、卵形~長円形、長さ3~4㎜、縁は全縁、毛があり、先は鋭形、ときに円形。花弁はピンク色~淡いピンク色、倒卵形、長さ7~12㎜、基部は先細り、先端は丸く切れ込みがあります。 雄しべは20~25本。花柱はおしべとほぼ同じ長さ。 果実は小花柄があり、長さ2~7㎜、思春期。 思春期のため核果は銀白色、卵形から狭卵形または楕円形、圧縮またはわずかに圧縮、長さ10~26㎜×幅7~16㎜×深さ6~12㎜、基部は円形、非対称、頂端は鋭形から円形、表面は緻密な銀白色の粘液状。 中果皮は熟すと割れる。内果皮は褐色~淡褐色、卵形~狭卵形、扁平、長さ9~24㎜×幅6~15㎜×深さ5~11㎜、基部は円形、ときに非対称、先は鋭形~円形、ときに微突形、腹側に鈍形の竜骨があり、表面には穴がときにあり、竜骨に沿った2本の長い溝と、短い溝が基部から始まり、浅くなり、先に向かって消えていく。花期は3~5月。果期は5~7月。

4 Prunus brahuica (Boiss) Aitch. & Hemsl プルナス・ブラフイカ
 アフガニスタン、パキスタン原産。英名はmashmonk , mazhmonk , ghorghosthai。傷ついた目や感染した目の治療に使われる。標高1500~2800mの山地や丘陵、石灰岩または火山性土壌の岩の多い斜面に生える。
 低木、高さ1.5~2.5m、密に非常に刺あり、若枝は片側が褐赤色、反対側が緑色。形態学的に、Prunus lycioides、P. Spinosissima、P. eburnea、および P. erioclada に類似する。内果皮は核果の外側に見える網状の溝を持つことで、類似の種と区別できる。
 低木、高さ(0.3)1.5~2.5m、密集し、樹冠は直立または平伏する。樹皮は褐色~灰色。枝は目立つ刺があり、1年目の小枝は片側が赤褐色、反対側が緑色、無毛または小剛毛がある。古い小枝は褐色~灰色~白灰色、無毛または無毛になる小剛毛がある。短いシュートがある。腋芽は1個または3個が束生し、褐色、長さ2㎜。鱗片は縁が全縁、縁毛があり、先は円形、微突形、裂ける。葉は短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は見られず、早落性。葉柄は長さは0~1.3㎜。葉身は緑色、倒披針形、線状倒披針形、線状へら形、または倒卵形、長さ9~22㎜×幅3~7㎜、基部は楔形、ときに基部の歯1~2(3)個に腺があり、上部の歯よりも大きくて暗色、縁は全縁に見えるが不明瞭な鋸歯状円鋸歯があり、歯には腺があり、先は鋭形~円形、微突形、微突は下面に向かって後屈し、、若いときも成熟したときも下面にはほとんどが小剛毛があり、ときに無毛、上面は小剛毛があるか、ときに無毛。 花序は短いシュートに束生する。小花柄は長さ最大1㎜、無毛または毛がある。花は赤色を帯びた花托筒を持ち、円筒形で基部が膨らみ、長さ4~7㎜×幅1~3㎜、無毛。萼片は赤色を帯び、長さ2~4㎜、縁は全縁、縁毛があり、先は鋭形、腺は無い。花弁はピンク色またはクリーム色、長円形または倒卵形、長さ3~7㎜、基部は楔形または先細になり、先は円形、ほとんどにノッチがある。 雄しべは10~12本、5輪のうち1輪のみが花托筒から突き出る。花柱は突き出た雄しべよりも短い。果実は小花柄があり、長さ0.5~2㎜、無毛。核果は卵形、長卵形、または断面が円状卵形、非対称、強く扁平またはわずかに扁平、長さ(7)11~19㎜×幅9~13㎜×深さ3~9㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形、非対称、表面には毛がある。中果皮は熟すと分裂する。内果皮は見られないが、内果皮の溝は全体に網状で、核果で目立つ。花期は2月中旬~5月中旬。果期は5月中旬~7月中旬。

5 Prunus bucharica (Korsh.) hand-Mazz プルナス・ブチャリカ
  synonym Amygdalus bucharica Korsh.
 アフガニスタン、キルギス、ウズベキスタン原産。英名はBukhara almond。標高500~1500mの深い粘土質の土壌と石の多い斜面の森林に生える。
 長い間、栽培アーモンド(Prunus dulcis)の起源に貢献した野生種の1つと考えられていたが、DNA検査により、否定された。
 落葉低木または小高木、高さ(1.5)2~4(6)m、直立または広がった樹冠を持つ。 樹皮は灰色~暗灰色、または褐灰色。 枝には刺がない。1年目の小枝は緑色、白色の綿毛があり、古い小枝は褐色、白色の綿毛があり、無毛または無毛になり、短いシュートは多数。腋芽は芽鱗が長さ4~7㎜、全縁、特に先近くに白色の毛があり、先は円形、微突形。葉は芽中では二つ折り(conduplicate)になり、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は線形に分岐し[fimbricate]、長さ3~6mm、縁の歯は腺があり毛があり、しばしば早落性。葉柄は長さ10~30㎜、毛があり、葉柄の腺は1~7個あり、ときにそのいくつか(1~2個)が葉の基部の上部にある。葉身は淡緑色、広楕円形、広卵形または広披針形、長さ20~60(72)㎜×幅13~33㎜、基部は円形、まれに切形、縁は円鋸歯~円鋸歯状鋸歯があり、歯には腺があり、先は鋭形~円形の微突形、若い時または成熟したときに下面に毛がありまたはまばらに主に中脈に沿って毛があり、まれに無毛、上面はほとんど無毛。花序は短いシュートに束生する。小花柄は長さ0.5~2㎜、有毛または無毛。花は花托筒が赤色を帯び、鐘形~広円筒形、長さ5~8㎜×幅4~6㎜、外側は無毛。萼片は帯赤色、卵形~長円形、長さ5~8㎜、縁は全縁、非常に長い毛があり、先は鋭形~円形。花弁は淡ピンク色、倒卵形~広倒卵形、長さ14~18㎜、基部は先細になり、先は円形、深い切れ込みがある。雄しべは20~30本。花柱は最長の雄しべとほぼ同長。果実は小花柄が長さ1~3㎜、有毛または無毛。核果は緑色、長い卵形、楕円形、長円形、非対称で、強く扁平、長さ17~39㎜×幅12~22㎜×深さ9~13㎜、基部は円形で非対称、先は鋭形、円形または尖鋭形で、非対称、表面は密に白色の毛がある。中果皮は成熟すると割れ、厚さ約3mm。内果皮は淡褐色、長卵形で非対称、扁平、長さ13~23㎜×長さ11~15㎜×深さ7~9㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~尖鋭形、非対称、表面は平滑、穴はなく、溝はない。花期は3~4月。果期は5~7月。

6 Prunus carduchorum (Bornm.) Meikle プルナス・カルドゥコルム
  synonym Amygdalus carduchorum Bornm.
 イラン、イラク、トルコ原産。野生のアーモンド。
 低木、高さ05~1.2m、枝に刺は無い。中果皮は完全に熟すと裂開する。内果皮の表面に穴は無い。
 低木、高さ0.5~1.2m、密集した樹冠が広がる。樹皮は褐色または灰褐色。枝には刺は無いが、非常に硬いのでとげがあるように見える。1年経った小枝は緑褐色、無毛または毛があり、淡色の皮目を持ち、古い小枝は褐灰色~黄灰色、無毛。短いシュートが存在する。腋芽は鱗片が長さ2~4㎜、縁は全縁、縁のみまたは全体に毛があり、先は円形。葉は葉芽の中では二つ折り(conduplicate)、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は線形、長さ約4㎜、縁に鋸歯のある腺状または全体、無毛または思春期、しばしば尾状突起がある。 葉柄は長さ1~2㎜、無毛または思春期。 葉柄腺は存在しない。 葉身は緑色、線状槍状、まれに槍状、稀に倒披針形、長さ14~33(37)㎜×幅3~7(14)㎜、基部は楔形、基部の歯の腺1~4個は上部の歯より大きく暗く、腺毛があり、縁は全縁または不明瞭な鋸歯があり、まれに鋸歯があり、歯は腺があるかまたは腺が無く、先は真っ直ぐ~鋭形、若いときは下面および上面に毛があり、成熟すると、下面および上面が無毛または毛がある。花序は単生。小花柄は緑色、長さ1~2mm、無毛。花は花托筒が長い鐘形、ときに縁がくびれ、長さ3~4㎜×幅約3㎜、外側は無毛。 萼片は卵形、長さ約3㎜、縁は全縁、無毛、先は鋭形。花弁はピンク色、長円形または倒卵形、長さ7~8㎜、基部は楔形~漸尖形、先は円形で深いノッチがある。雄しべは約25本。花柱は雄しべより長い。果実は小花柄があり、長さ1~2㎜、無毛。核果は緑色、球形~ほぼ球形、まれに卵形または長円形、ほとんど扁平ではなく、長さ14~17㎜×幅9~12㎜×深さ9~11(15)㎜、基部は円形、ときにわずかに非対称、先は円形、表面はビロード状の灰色の毛がある。中果皮は熟すと割れ、厚さ約0.8mm。 内果皮は褐色~薄褐色、長円形~ほぼ球形、ほとんど扁平にならず、長さ14~16㎜×幅8~10(12)㎜×深さ8~11㎜、基部は円形、先は円形、腹部の縫合線には不明瞭な竜骨があり、表面に穴と溝(grooved)があり、深いしわ(furrow)は無いかまたは不明瞭。花期は4~5月。果期は6~7月。

7 Prunus cercocarpifolia Villarreal プルナス・ケルコカルピフォリア
 メキシコ原産。チワワ砂漠に生える。
 根茎のある低木、高さ60~120㎝、茎は赤褐色、ややジグザグになる。若い小枝は綿毛があり、縮れた毛状突起があり、古い小枝はほぼ無毛、節間は6~12(~15)㎜。短いシュートの距は長さ3~10㎜。托葉は線状錐形、長さ3~5㎜。葉は葉柄が長さ2~5㎜、葉身は革質、楕円状卵形~楕円状倒披針形、長さ10~20㎜×幅6~18㎜、先は円形、基部は楔形、縁は歯があり、わずかに外巻き、先の片側に5~10個の尖頭形の歯があり、下部の縁は全縁、葉身は微細剛毛があり、基部に短い直立する毛があり、上面には伏した小剛毛があり、下面には伏した長い毛があり、脈は上面で凹み、下面では明瞭に隆起する。花は単性、ほぼ無柄、単生または節に少数つく。花托筒はほぼ無毛、鐘状倒三角形、長さ1.5~2㎜、萼片は5個、三角形。花弁は白色、円形、長さ2㎜、短い爪部がある。雄しべは15本、3列につく。果実は楕円形、長さ12~15㎜×幅8~12㎜、褐黄色、毛が多く、中果皮(mesocarp)は薄い。Prunus haussknechtii と交雑しPrunus × pabotii が得られる。

8 Prunus eburnea (Spach) C. K. Schneid プルナス・エブルネア
  synonym Amygdalus eburnea Spach
 イラン原産。野生のアーモンドの1種。英名はgray almond。標高980~1820mの乾燥した半砂漠地帯、石灰質粘土、シルトまたは砂質の土壌、石の多い斜面、オーク林に生える。
 Prunus lycioides, P. spinosissima, P. erioclada P. brahuicaに似ているがこれらは花托筒に毛がなく、Prunus eburneaは花托筒に毛がある。
 密集した低木 高さ(0.3)0.6~1.5m、広がるか直立する。樹皮は灰色。枝は目立つ刺があり、刺はほとんど枝に垂直になる。1年経った小枝は赤褐色、無毛、古い小枝は灰色、無毛。 短いシュートが存在する。腋芽は3個あり、褐色、長さ2㎜。 鱗片は長さ2㎜、縁は全縁、毛があり、ときに密にあり、先は円形、微突形。 葉は葉芽中で巻き込み(convolute)、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は毛があり、しばしば早落性である。葉柄は長さ約0㎜。葉身は緑色、ヘラ形~線状ヘラ形、まれに倒卵形または線状倒披針形、長さ7~20㎜×幅2~5㎜、基部は楔形、基部の歯1~2個の腺は、上部の歯の腺より大きくて暗色、ときに全縁に見えるが、微細な歯状鋸歯があり、特に先に向かってあり、歯には腺があり、先は鋭形~円形、短い微突形、微突は下面に向かって後屈し、、ときにそれが微凹形(retuse)のように見える、若いときは下面と上面はほとんど無毛、ときに毛があり、上面はほとんど無毛、まれに毛があり、成熟すると下面と上面は無毛になる。花序は短いシュートに束生する。小花柄は長さ最大1㎜、無毛。花は花托筒が赤色、円筒形、基部が膨らみ、長さ4~8(10)㎜×幅1~3㎜、毛がある。萼片は緑色、長さ(1)2~3(5)㎜、縁には毛があり、全縁、先は鋭形、腺は無い。花弁はピンク色~淡いピンク色、倒卵形またはくさび形、長さ4~9㎜、基部は楔形、先は円形、ほとんどにノッチがある。雄しべは10本、5輪のうち1輪のみが花序から突き出る。花柱は突き出る雄しべよりも短い。果実は小花柄があり、長さは最大約1.5㎜、無毛。核果は卵形、たまに長円状卵形または断面が円状卵形、扁平またはわずかに扁平、長さ9~14㎜×幅7~11㎜×深さ7~9㎜、基部は円形、ときにわずかに非対称、先は鋭形~円形、ときにわずかに非対称、表面には毛がある。中果皮は熟すと割れる。内果皮は薄褐色、卵形、しばしば断面が長円状卵形または円状卵形、扁平。長さ9~13㎜×幅8~11㎜×深さ7~8㎜、基部は円形、ときに非対称、先は鋭形~円形、ときに非対称、腹側縫合線は鈍形の非常に薄い竜骨があり、表面の穴は無く、腹側縫合線に沿って溝はほとんど2本あり、浅い溝は基部から始まり、先に向かって浅くなって消え、ときに全体に網状の溝があり、深くまたは浅い。花期は2月中旬~4月末。果期は3月中旬~7月末。

9 Prunus elaeagnifolia (Spach) A.E.Murray プルナス・エラエアグニフォリア

 イラン原産。主にZagros Mountainsの南部に分布し、標高1600~2300mの半砂漠や荒廃した森林地帯、岩だらけの山の斜面、石灰質土壌の谷などに生える。
 低木または小高木、高さ3~4m、樹冠が広がる。樹皮は灰色~茶色。 枝はやや刺がある。1年経った小枝は緑色、露出した側はときに赤みがかり、有毛または無毛。古い小枝は灰色の皮が剥がれ、黄褐色になり、毛があり、無毛になり、または無毛。短いシュートが存在する。腋芽は鱗片が長さ1~2㎜、全縁、縁毛があり、先は円形で微突形。葉は葉芽の中で二つ折り(conduplicate)、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は葉柄内(intrapetiolar)、線形、長さ1~2mm、縁は全縁、毛があり、しばしば早落性。葉柄は長さ1~4㎜、有毛または無毛。葉柄の腺は無い。葉身は緑色、大部分が楕円形~長円形、まれに倒卵形~倒披針形、または卵状披針形、長さ11~21(29)㎜×幅5~ 8(11)㎜、基部は円形~広楔形、基部の歯の腺は1~3個、上部の歯より大きくて暗く、縁は全縁に見えるが不明瞭な鋸歯があり、歯には腺があり、先は鋭形~円形、微突形、若いときまたは成熟すると下面は有毛または無毛、上面に毛がありまたはまばらに毛があり、または無毛。花序は単生。小花柄は緑色、長さ約1㎜、有毛または無毛。花は花托筒が赤みを帯び、鐘形、長さ3~5㎜×幅3~4㎜、外側は無毛。萼片は帯赤色、卵形、長さ2~3㎜、全縁、縁毛があり、またはときに先に向かってのみ毛があり、または無毛、先は鋭形。花弁はピンク色、倒卵形~広倒卵形、長さ8~12mm、基部は漸尖し、先は円形、ノッチがある。雄しべは20~25本。花柱は雄しべより短い。果実は小花柄が長さ2~3㎜、毛があるかまたは無毛。核果は緑色、長卵形~長円形、非対称、扁平、長さ14~25㎜×幅11~15㎜×深さ7~10㎜、基部は円形、非対称、先は円形、非対称、表面には毛があり、ごくまれに無毛になる。中果皮は熟すと割れる。内果皮は褐色~薄褐色、長卵形~長円形、非対称、扁平、長さ13~24㎜×幅 9~14㎜×深さ 6~9㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形、非対称、腹側縫合線は竜骨状になり、表面に穴と溝穴が存在し、短い溝が基部からおよび竜骨に沿って消失する。花期は3~4月。果期は4月下旬~8月。2n=16

10 Prunus eremophila Prigge プルナス・エレモフィラ
 カリフォルニア州原産。標高900~1200mの砂漠の河床、岩だらけの斜面に生える。
 低木、吸枝は知られてなく、多数分枝し、高さ1~2.5m、弱い刺がある。小枝は腋生の頂芽をもち、灰白色。葉は落葉。葉柄は長さ0.5~3(~5)㎜、毛があり、腺は無い。葉身は卵、倒卵形、またはへら形、長さ0.5~2(~3)㎝×幅0.2~1(~2)㎝、基部は楔形~鈍形、縁は不規則な鋸歯があり、歯は通常鋭く、腺は無く、ときに鈍く、不明瞭な腺があり、先は鈍形~円形、しばしば微突形、表面には毛がある。花序は単生、花が単生または2個が束生する。小花柄は長さ0~3㎜、微軟毛がある。花は単性、植物は雌雄異株、葉の出現ともに開花すいる。花托筒は鐘形、長さ2~4㎜、外側には毛がある。萼片は直立、三角形、長さ1~2㎜、縁は全縁、まばらに縁毛があり、外面は密に毛があり、内面は無毛またはわずかに毛がある。花弁は白色、楕円形、菱形、卵形、またはほぼ円形、長さ2.5~6㎜、外側には毛がある。子房は毛がある。核果は黄橙色、倒卵形~卵形、長さ9~16㎜、ビロード状。中果皮は革質~燥く。核はほぼ球形~卵形、わずかに扁平。花期は3~4月。果期は5~6月。

11 Prunus erioclada (Bornm) Yazbek プルナス・エリオクラダ
  synonym Prunus erioclada (Bornm.) ined.
  synonym Amygdalus erioclada Bornm
 アフガニスタン、イラン原産。野生アーモンドの一種。標高1700~3000mの半砂漠地帯、石灰岩、沖積地および渓谷、粘土質土壌および石の多い斜面、森林および低木林に生える。
 Prunus lycioides、P. Spinosissima、P. eburnea、および P. brahuica に類似しているが、1年経った小枝が白色の毛(綿毛)で覆われることにより、類似種と区別できる。
  低木、高さ0.2~1.2m、枝は刺が多い。1年経った小枝は密に白色の毛、白い綿毛で覆われるため、帯白色。古い小枝は帯灰色、白い綿毛で覆われる。短いシュートが存在する。腋芽は鱗片が全縁で毛があり、先は鋭形~円形で、微突形である。葉は短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉はしばしば早落性である。葉柄は長さは0~1.5㎜。葉身は白色の綿毛があり、線状倒披針形~線状楕円形、長さ9~17㎜×幅2~5(8)㎜、基部は楔形、まれにわずかに円形、基部の歯の腺1~2個は、上部の歯より大きくて暗い、縁は全縁に見えるが不明瞭な鋸歯状円鋸歯があり、歯には腺があり、先は鋭形、若いときまたは成熟すると下面および上面には白色の綿毛がある。花序は短いシュートに束生する。小花柄は長さ約0㎜。花は花托筒が赤紫色、円筒形、基部が膨らみ、長さ5~8㎜×幅1~2㎜、無毛。萼片は赤紫色、長さ1~3㎜、縁は全縁、ときにまばらに縁毛があり、先は鋭形、腺は無い。花弁は濃ピンク色から淡ピンク色、倒卵形またはくさび形、長さ4~6㎜、基部は楔形、先は円形、ときにノッチがある。雄しべは10~15本、5輪のうち1輪生のみが花托筒から突き出る。花柱は長い雄しべよりも短い。果実は長さ1㎜以下の小花柄を持ち、無毛。核果は広卵形、または断面が楕円状卵形、扁平、長さ11~16㎜×幅9~13㎜×深さ7~10㎜、基部は円形、先端は鋭形から円形、表面は毛状。 中果皮は成熟時に分裂します。 内果皮は褐色、広卵形、断面、わずかに非対称、圧縮、長さ15~16㎜×幅8~12㎜×深さ6~9㎜、基部は円形、先は鋭形~円形、腹側の縫合線は竜骨状になり、表面の穴は無く、腹側縫合線に沿ってほとんど2本の溝があり、浅い溝は基部から始まり、先に向かって消えるかまたは浅くなる。花期は2月下旬~5月上旬。果期は4月中旬~5月下旬。

12 Prunus fenzliana Fritsch プルナス・フェンズリリアナ
  synonym Amygdalus fenzliana (Fritsch) Korsh.
  synonym Amygdalus fenzliana (Fritsch) Lipsky
 イラン、トランスコーカサス、トルコ原産。英名はkaukasische Mandel。標高1400~3500mの森林や低木地、主に岩の多い斜面や崖、渓谷に生える。
 低木または小高木、高さ2(4)m まで、分岐した(divaricate)枝を持つ。樹皮は暗褐色。枝はやや刺がある[亜刺状]。1年経った小枝は緑色、露出した側は赤色を帯び、ほとんど無毛で、まれに毛があり、帯白色の皮目があり、古い小枝は灰色が剥がれて褐色に見え、無毛。 短いシュートが存在する。腋芽は3個あり、卵形、長さ3~6㎜、全体または鱗片の縁のみに毛があり、先に密にあり、独特の外観を与え、先は鋭形。鱗片は長さ約4㎜、全体に毛があり、または縁のみに毛があり、縁は全縁、密に毛があり、先は柄mm形、微突形。葉は葉芽の中では二つ折り(conduplicate)、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は葉柄内にあり(intrapetiolar)、線形、基部で幅が広く、長さ5~9㎜、縁には歯に腺があり、無毛、しばしば早落性、長さ約3㎜の部分を残す。葉柄は赤みを帯び、ときに皮目をもち、長さ5~20(26)㎜、無毛。葉柄の腺は1~6個。葉身は下面が帯緑色、上面が暗緑色、披針形、狭披針形、または楕円形、長さ(16)30~67(95) mm×幅(6)9~21㎜、基部は円形、まれに広楔形、基部の歯の腺1~4個は上部の歯よりも 大きくて暗いが、ときに葉柄の腺と変わらず、葉柄の下にあり、縁は円鋸歯~鋸歯状円鋸歯があり、歯には腺があり、先は鋭形からわずかに尖鋭形形、若いときまたは成熟すると下面と上面が無毛、またはまれに中脈に毛がほとんどなく、上面が無毛。花序は単生し、短いシュートに束生する。小花柄は緑色、長さ1㎜未満、無毛。花は花托筒が帯赤色~赤紫色、鐘形、長さ4~7㎜×幅4~6㎜、外側は無毛。萼片は帯赤色~赤紫色、卵形~三角形、長さ4~5㎜、縁は全縁、まれに不明瞭かつ微細な歯があり、無毛、縁毛があるかまたは毛の幅広の帯があり、先は鋭形。花弁はピンク色、広倒卵形~円形、長さ11~15㎜、基部は先細り、先は円形、ノッチがあり、ときに深くなる。 雄しべは25~30本。花柱は雄しべより短い。果実は小花柄が長さ0.5~2㎜、無毛。核果は帯緑色、帯黄色の毛があり、長円形、倒卵形、楕円形、中間より上で幅が広く、扁平、長さ14~23 mm×幅10~18 mm×深さ7~12 mm、基部は円形で非対称、先は円形で非対称、表面はビロード状、帯黄色。中果皮は熟すと割れる。内果皮は褐色~薄褐色、長楕円形、倒卵形、楕円形、中間点より上が広く、圧縮、長さ14~22㎜×幅10~15㎜×深さ6~9㎜、基部は円形、非対称、先は円形、非対称、腹部縫合線は鋭形または狭い竜骨があり、表面の穴と溝状穴(grooved pits)があり、竜骨に沿って 2本の長い溝があり、主に先に向かって不規則で浅い溝がある。花期は3月中旬~4月下旬。果期は5月上旬~8月下旬。

13 Prunus haussknechtii C.K.Schneid. プルナス・ハウスネチッティ
 イラン原産。標高1200~3600mの川の土手や高山の麓、水辺の近く、オークの森、石灰岩、砂利、岩の多い斜面に生える。  低木または小高木、高さ1~2(4)mで、密集した樹冠が広がる。樹皮は灰色。枝には刺がある。1年経った小枝は緑褐色、無毛または毛があり、小さな淡い皮目を持ち、古い小枝は褐色または灰色、無毛、毛があるかまたは無毛になる。短いシュートが存在する。腋芽は内側が平らになり、鱗片は長さ3~4㎜、縁は全縁、縁毛があり、先は円形。葉は葉芽中では二つ折り、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は線形、長さ2~3㎜、縁は鋸歯に腺があり、無毛、まれに全縁で縁毛があるか、または歯があり縁毛があり、しばしば早落性。葉柄は長さ0.5~3㎜、無毛またはけがある。葉柄の腺は通常、2個あり、ときに無いこともあり、ときに葉の基部にあることもあり、通常は毛で覆われる。葉身は緑色、楕円形~狭楕円形、まれに倒卵形、長さ14~27(37)㎜×幅4~11(14)㎜、基部は楔形、基部の歯の腺以外は上部の歯より大きくて暗色、葉柄の腺と変わらないが、一部は葉柄の上に下がり、縁は全縁に見えるが、若いときまたは成熟したときは、下面および上面に不明瞭な鋸歯があり、歯の先端に腺があり、先は鋭形、ときに微突形。花序は単生または束生。小花柄は緑色、長さ3㎜まで、無毛。花は花托筒が赤色を帯び、鐘形~広鐘形、長さ3~5㎜×幅4~6㎜、外側は無毛。萼片は赤みを帯び、卵形~長円形、長さ2~4㎜、縁は全縁で毛があり、先は鋭形~円形。花弁はピンク色で円形、長さ8~10㎜、基部は漸尖し、先は円形、わずかにノッチがある。雄しべは20~30本。花柱は雄しべとほぼ同長。果実は小花柄が長さ2~5㎜で無毛。核果は緑色、卵形~長卵形~長円形または楕円形、非対称またはわずかに非対称、強く扁平になり、長さ17~26㎜×幅11~18㎜×厚さ7~10㎜、基部は円形、ときに非対称、先は鋭形~円形、非対称、表面には毛がある。中果皮は熟すと割れる。内果皮は褐色、卵形、非対称、扁平、長さ22㎜×幅15㎜×深さ9㎜、基部は円形、先は鋭形~尖鋭形、腹側の縫合線は竜骨状にはならず、表面に穴(pit)があり、溝のある穴(grooved pits)があり、深いしわ(furrow)は無い。花期は2月下旬~5月中旬。果期は5月上旬~8月中旬。

14 Prunus kansuensis Rehder プルナス・カンスエンシス
  synonym Amygdalus kansuensis (Rehder) Skeels
 中国(甘粛省、湖北省、青海省、陝西省、四川省)原産。中国名は甘肃桃 gan su tao。標高1000~2300mの山岳地帯に生える。
 高木または低木高さ3~7m。 小枝は緑褐色、後に露出した側が赤褐色になり、細く、無毛、不明瞭な小さな皮目がある。冬芽は卵形~長卵形、無毛、先は±鈍形。葉柄は長さ5~10㎜、無毛、通常は蜜腺がない。葉身は卵状披針形~披針形、長さ5~12㎝×幅1.5~3.5㎝、中央から基部が最も広く、下面は基部近くの中脈上に軟毛があり、または無毛、上面は無毛、基部は広楔形、縁はまばらに薄い鋸歯があり、歯の先端は腺が有または無、先は尖鋭形。花は単生、葉の展開前に開花し、直径2~3㎝。小花柄は非常に短いかまたはほとんどなく、果実は長さ4~5㎜。花托筒は鐘形、外側に毛があるかまたはまれにほぼ無毛。萼片は卵形~卵状長円形、花托筒より短く、外側は有毛またはまれにほぼ無毛、先は鈍形。花弁は白色または帯ピンク色、ほぼ円形~広倒卵形、基部は漸尖し、爪部があり、縁はときに波打つかまたは浅く切れ込み、先は鈍形。雄しべは 20~30本、長さは不揃い、花弁より短い。子房には毛がある。花柱は雄しべよりも長い。核果は帯黄色、卵状球形~ほぼ球形、直径約2㎝、密に毛がある。中果皮は肉質で、熟しても裂開しない。内果皮はほぼ球形で、両側が扁平、表面は縦方向と横方向に浅い溝があるが、穴はなく、基部はほぼ切形で対称、先は鈍形。花期は3~4月。果期は8~9月。

15 Prunus korshinskyi Hand.-Mazz. プルナス・コルシンスキー
  synonym Amygdalus korshinskyi (Hand.-Mazz.) Bornm.
 レバノン・シリア、パレスチナ、サウジアラビア、トルコ原産。
 落葉低木、高さ3.5mになる。種子は食用になるが、ビターアーモンドに似て苦い。 生でも調理しても使用できる。

16 Prunus kotschyi (Hohen. Ex Spach) Meikle プルナス・コチュイ
  synonym Amygdalus kotschyi Hohen. ex Spach
 イラン、イラク、トルコ原産。標高1400~2450mの石灰岩の斜面や山の尾根の岩の上に生えるオーク林や森林地帯に生える。
 密な低木、高さ1.2mまで、樹冠が広がる。樹皮は褐灰色。枝はやや刺がある。1年経った小枝は褐緑色、密に毛があり、古い小枝は褐灰色で、毛があり、無毛になるかまたは無毛。短いシュートがある。腋芽は鱗片が長さ2~3㎜、全体または縁だけに毛があり、縁は全縁、先は円形。 葉は葉芽の中で二つ折り(conduplicate)、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は線形、基部が幅広、長さ2~5㎜、縁は全縁、毛があり、ときに早落性。葉柄は長さ1~2㎜、毛がある。葉柄の腺は無い。葉身は緑色だが、毛のために灰色がかって見え、披針形、長円状披針形、まれにわずかに倒披針形、長さ(13)20~40(50)㎜×幅5~15㎜、基部は楔形または沿下し、基部の歯の腺は1~2個だが、密な毛のためめったに見えない、縁は全縁に見えるが不明瞭な腺のある歯があり、先は鋭形、微突形、若いときまたは成熟すると、下面および上面に黄灰色の綿毛がある。花序は通常、対で束生し、中間に栄養シュートをもつ。小花柄は長さ1~5㎜、毛がある。 花は花托筒が赤みを帯び、鐘形、長さ3~5㎜×幅3~4㎜、外側は無毛。萼片は帯赤色、卵形、長さ2~4㎜、全縁、縁毛があり、先は鋭形。花弁はピンク色、長円形~倒卵形、長さ6~10㎜、基部は楔形~先細になり、先は円形、ノッチがある。雄しべは20~25本。花柱は雄しべとほぼ同長。果実は小花柄が長さ2~5㎜、毛があるかまたは無毛。核果は緑色だが毛のため灰色に見え、長卵形~楕円形、わずかに非対称、ときにわずかに扁平、長さ13~19(25)㎜×幅9~12(15)㎜×深さ8~10(13)㎜、基部は円形、先は円形、表面は黄灰色の毛がある。中果皮は熟すと割れる。内果皮は褐色、楕円形、非対称、扁平、長さ12~17㎜×幅8~10㎜×深さ7~9㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形で非対称、腹側の縫合線は不明瞭な竜骨があり、表面は平滑かまたは穴があるか、短く浅い溝がある。花期は4月上旬~5月下旬。果期は6~7月

17 Prunus kuramica (Korsh.) Kitam プルナス・クラミカ
  synonym Amygdalus kuramica Korsh.
 アフガニスタン、パキスタン、西ヒマラヤ原産。標高1800~2850mのコナラ林、乾いた崖、石灰岩のある岩山の斜面、多くの場合渓谷に生える。
 低木または高木、高さ1~5m、密な樹冠をもつ。花托筒と萼片は紫赤色、花弁は白色またはピンク色。 コナラ属やビャクシン属の種が生息する乾燥性森林地帯(xeric woodlands)に生える。通常は海抜1800 ~2850mの岩だらけの渓谷に生える。遺伝子研究により、Prunus bucharica、P. webbii、P. kotschii と密接に関連していることが示され、完全な遺伝的および形態学的分析により、その最も近い親戚がPrunus bucharica であることが示されている。
 低木または小高木、高さ1~5m、密で、樹冠が広がる。樹皮は褐色~暗褐色。枝には刺がない。1年目の小枝は緑色、無毛、古い小枝は緑色、褐色、無毛。短いシュートがある。腋芽は長さ3~5 mm で、縁が全縁、毛があり、先は円形で毛がある。葉は葉芽の中では二つ折り(conduplicate)、短いシュートに束生し、一年生の小枝に互生する。托葉は線形で基部が広く、長さ7~9 mm、縁は鋸歯状腺状、無毛、しばしば尾状である。 葉柄は赤みがかった長さ4~20mm、無毛。 葉柄の腺は1~4個。葉身は緑色、披針形、楕円形、まれに広楕円形、 長さ(11)30~72 mm×幅8~30mm、基部は円形、絹の歯の腺1~2(4)個は上部の歯より大きくて暗く、葉柄の腺と区別できないこともあり、縁は鋸歯~鋸歯状円鋸歯~微細な鋸歯状円鋸歯があり、歯は腺があり、先は尖鋭形、鋭形、円形、ときに微突形、若いときは下面にまばらに毛があるかまたは無毛、上面は無毛で、成熟すると、下面と上面が無毛になる。花序は単生。小花柄は緑色、長さ1~5(7)㎜、無毛。花は花托筒が完全にまたは部分的に赤紫色になり、鐘形~広鐘形、長さ4~7mm×幅5~8㎜、外側は無毛。萼片は赤紫色、卵形、長さ4~5㎜、縁は全縁、毛があり、先に向かって毛束があり、先は鋭形。花弁は白色またはピンク色、円形~広倒卵形、長さ10~17㎜、基部が漸尖し、先は円形、ノッチがある。雄しべは20~30本。花柱は最長の雄しべより短い。果実は長さ3~10㎜の小花柄があり、無毛。 核果は緑色、ほぼ球形、円形~長方形、または円状長円形または円状楕円形、扁平、長さ13~21mm×幅11~16mm×深さ8~11mm、基部は円形、わずかに非対称、先は円形、わずかに非対称、表面は帯黄色が、毛がある。中果皮は熟すと割れる。 内果皮は薄褐色、ほぼ球形、円状長円形または円状楕円形、わずかに非対称、扁平、長さ11~18㎜×幅10~15㎜×深さ7~10㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形、腹側の縫合線は鋭形または鈍形の竜骨をもち、表面の穴と溝状穴(grooved pits)があり、竜骨に沿って2本の長い溝があり、短い溝が基部から始まり、ときに先に向かって網状になる。花期は3月上旬~5月下旬。果期は5月下旬~8月分布。

18 Prunus longispinosa Shahbaz & Abdulr. プルナス・ロンギスピノサ
 イラク原産。標高1095m以上の半乾燥~半湿潤地帯の急峻な岩山の斜面に生える。
 低木、高さ0.65~1.22m、刺状の枝がある。1年目の枝は濃い赤みを帯び、古い枝は灰白っぽく、帯黒色の皮目があり、無毛。 葉はかま形または曲がり、披針形~倒披針形~狭楕円形、長さ6~25㎜×幅2~4.5mm。花托筒は赤紫色、円筒形で基部が膨らみ、長さ4.5~9mm×幅0.5~2mm、暗色の縦条線が6~10本あり、無毛。花柱は下部に長い毛が密にある。核果は緑色、長さ8.5~16mm×幅6~10.5mm。内果皮は卵形、扁平、長さ8.5~13 mm x幅5.5~9.6 mm x厚さ4.2~6.2 mm、表面の窪みはなく、溝は基部から始まり、頂点に向かって浅くなり、ときに、パッチ状または全体に網状の溝があり、厚さ5.2~7 mm、表面に毛がある。花期は3月上旬~4月下旬。果期は5月上旬~7月下旬。

19 Prunus lycioides (Spach) C.K.Schneid. プルナス・リキオイデス
 イラン、トルコ原産。標高450~2200mの乾燥および半乾燥地域、岩の多い斜面および丘の斜面、ときに川の近くに生える。
 1年目の小枝は赤みを帯びた側面と淡い緑色の側面を持ち、古い小枝は灰色で無毛。 葉は線形、線状披針形、または線状披針形、長さ9~32㎜x 幅1~4(7)㎜。 花托筒は深赤色~紫色、円筒形、基部が膨らみ、長さ3~7㎜×幅1~3 ㎜、無毛。 核果は緑色、長さ10~17mm×幅7~14mm×厚さ5~10mm、表面は無毛。 内果皮は卵形~広卵形、強く扁平、10~16㎜x幅8~13㎜x厚さ6~10㎜、表面の窪みはなく、溝は基部から始まり先に向かって網状になり、深い場合もあれば浅い場合もある。花期は1月下旬~5月上旬。果期は3月下旬~7月中旬。

20 Prunus minutiflora Engelm. ex A.Gray プルナス・ミヌティフローラ
 メキシコ、テキサス州(エドワーズ高原周辺)原産。英名はTexas almond。標高100~700mの乾いた岩だらけの河床や高地、石灰岩の丘、棚に生える。
 低木、 吸枝があり[多数分枝]、高さ1~2m、弱い刺がある。 小枝は腋生の頂芽があり、灰白色(canescent)。 葉は落葉性。葉柄は長さ1~2(~6)mm、無毛、腺は無い。葉身は楕円形または倒卵形、長さ0.5~1.6(~3.5)㎝×幅0.3~0.8(~2.1)㎝、基部は楔形、縁は通常全縁、ときに不規則な鋸歯状(長いシュートでは歯状)、歯は鋭~鈍、腺は無く、先端にいくらかカルス(callus)があり、先は通常鈍形~円形、ときに尖頭形で、表面は無毛。花序は花が単生。小花柄は長さ0~2mm、微軟毛がある。花は単性、雌雄異株、葉の展開と同時に開花する。花托筒は鐘形、長さ2~3mm、外側は無毛。萼片は広がり、三角形、長狭0.7~1.5mm、縁は全縁、表面は無毛。花弁は白色、倒卵形、長さ2~3.5mm。子房は毛がある。核果は赤褐色、球形~卵形、長さ9~12mm、微軟毛がある。花托筒は遅発性脱落(tardily deciduous:一斉に脱落しないで遅れて脱落する)。中果皮は乾くと革質になる(わずかに裂ける)。核は卵形~ほぼ球形で、扁平ではない。花期は2~3月。果期は5~6月。

21 Prunus mongolica Maxim. プルナス・モンゴリカ
  synonym Amygdalus mongolica (Maximowicz) Ricker
 中国(甘粛省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区)、モンゴル原産。中国名は蒙古扁桃 meng gu bian tao。標高1000~2400m、砂漠または砂漠の草原、石の多い斜面、乾いた川床の丘陵地帯に生える。
 低木、高さ1~2m。枝が広がり、多数、分枝する。小枝は若いときは赤褐色で、年齢とともに灰褐色になり、毛があり、しばしば先端が刺になる。短い小枝の葉はほとんどが束生し、一年生の葉は通常互生する。葉柄は長さ2~5㎜、無毛。 葉身は広楕円形~ほぼ円形または倒卵形、長さ8~15㎜×幅6~10㎜、両面とも無毛、基部は楔形、縁は浅い鈍鋸歯があり、先は鈍形、ときに微突形、二次脈は中脈の両側に各4本ある。花は単生、まれに短い小枝に数個束生する。小花柄は非常に短く、果時にあまり伸びず、無毛。花托筒は鐘形、長さ3~4㎜、外側は無毛。萼片は長円形で、花托筒とほぼ同長、外側は無毛で、先は急に微突形。 花弁はピンク色、倒卵形、長さ5~7㎜。 雄しべは多数、不等長。子房には毛がある。花柱は細く、雄しべとほぼ同長で、毛がある。核果は広卵状球形、長さ1.2~1.5㎝×幅1~1.2㎝、毛があり、先は鋭形。 中果皮は薄く、内果皮から分離し、成熟すると裂開する。 内果皮は卵形、長さ0.8~1.3㎝、表面は平滑、浅いうねがあるが穴はなく、腹側の縫合は平らで、基部は非対称、先は点状の微突形。種子は淡褐色、扁平な広卵形。花期は5~6月。果期は8~9月。

22 Prunus sibirica L. モウコアンズ 蒙古杏
  synonym Armeniaca sibirica (L.) Lam. [Flora of China]
  synonym Prunus armeniaca var. sibirica (L.) K.Koch
  synonym Armeniaca sibirica var. multipetala G.S.Liu & L.B.Zhang

  synonym Armeniaca sibirica var. pleniflora J.Y.Zhang, T.Z.Li, Xui J.Li & Y.He

  synonym Prunus sibirica var. pubescens Kostina ex Nakai
  synonym Prunus sibirica var. pubescens (Kostina) Kitag.
 朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山西省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は山杏 shan xing。標高400~2500mの森林、茂み、山岳地帯、丘の草原、斜面、川の谷、乾燥した日当たりの良い斜面に生える。以前はsect. Armeniaca(アンズ節)に入れられていた。
 低木または高木、高さ2~5m。樹皮は暗灰色。枝は広がる。小枝は灰褐色~赤褐色、若い時はまばらに毛があり、無毛になる。 冬芽は赤褐色、卵形~円錐形、長さ2~4㎜、芽鱗は縁に毛がある。葉柄は長さ2~3.5㎝、若いときは無毛または軟毛があり、小さな蜜腺は有または無。葉身は卵形~ほぼ円形、長さ(3~)5~10㎝×幅(2.5~)4~7㎝、両面無毛、軟毛、または葉脈の下面葉腋に軟毛、基部は丸みを帯びて下心筋、縁は鈍く細かな鋸歯、先は長く尖って~ 尾状。 花は単生、葉の前に開き、直径1.5~3.5㎝。 小花柄は長さ1~2㎜。花托筒は外側が紫赤色、鐘形、外側の基部は無毛またはわずかに軟毛がある。萼片は長円状楕円形、花時に反り返り、先は鋭形~短い尖鋭形。花弁は白色でピンク色の筋があるか、またはピンク色を帯、ほぼ円形から倒卵形。雄しべは花弁とほぼ同長。子房には毛がある。核果は黄色~橙赤色、ときに赤色を帯び、扁平な球形、長さ1.5~2.5㎝、幅が広く、軟毛があり、粉白色またはそうでない。中果皮は厚さ2.5~3㎜、乾燥して緻密、苦く、食べられず、内果皮から容易に分離し、成熟すると腹側縫合に沿って裂開する。内果皮は横方向に扁平な球形、長さ1.2~2.2㎝でほぼ同幅、腹側の縫合の中肋には鋭い翼があり、背側の肋はより鈍形、表面はより平滑、基部は非対称、先は鈍形。種子は±苦い。花期は3~4月。果期は6~7月。

23 Prunus scoparia (Spach) C.K.Schneid. プルナス・スコパリア
 イラン、トルクメニスタン原産。野生アーモンドの一種。栽培種のアーモンドの接ぎ木の台木に使用される。
 落葉低木または小高木、通常高さ約3mであるが、ときに、6mに達するものもある。植物は腋芽を出し、小さな茂みを形成する。暑い乾季には葉がなくなり、乾燥地域の多くの植物と同様に、緑色の茎が光合成の機能をもつ。果実はまばらに毛があり、斜めの長円状卵形で非対称、片側が他の側がより曲がり、長さ16~20㎜×幅10~12㎜。果実は果肉がアーモンド (Prunus dulcis) のように硬くて乾燥している。

24 Prunus spinosissima (Bunge) Franch プルナス・スピノシッシマ
  synonym Amygdalus spinosissima Bunge
 アフガニスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン原産。英名はthorny almond。
 低木、高さ1~2(3~4)m。樹皮は褐赤色、古くなると灰白色に変わる。枝は分枝し、長い刺がある。1年経った小枝は濃赤色を帯び、古い小枝は褐灰色~白灰色で、無毛。葉はヘラ形、倒卵形、楕円形または披針形で、長さ(11)18~28(30)㎜×幅3~9㎜。花托筒は赤みを帯びた円筒形、基部が膨らみ、長さ3~8㎜×幅1~3㎜、無毛。花は薄ピンク色~暗ピンク色、花弁は5個、円形。核果は片側が赤みを帯び(光沢のある黄色でピンク色に熟し、)、反対側が緑色、楕円形、長さ9~15㎜×幅9~16㎜×厚さ8~10㎜、表面は毛があり、裂開する。内果皮は卵形、強く扁平、長さ13~14mm x幅9~17mm x厚さ7~9mm、表面の窪みはなく、浅い溝は基部から始まり頂点に向かって浅くなるか、または全体の網状の溝が深いかまたは浅くなる。花期は2月下旬~4月下旬、果期は5月上旬~8月中旬。

25 Prunus trichamygdalus Hand.-Mazz. プルナス・トリカミググダルス
  synonym Amygdalus trichamygdalus (Hand-Mazz.) Woronow
 イラン、トルコ原産。標高950~2500mの石灰岩や火成岩の土壌、崖や岩場、特に渓谷沿いに生える。
 低木。高さ2~3m、樹冠が広がる。樹皮は褐色。枝には刺がない。1年経った小枝は帯緑色、無毛または毛がある。古い小枝は褐色~灰褐色、無毛。短いシュートが存在する。腋芽は帯褐色、鱗片は長さ3~5 mm、全体に毛があり、ときに縁だけがある。鱗片は縁が全縁、先は円形、尖頭形、乾燥すると裂ける。葉は葉芽の中では二つ折り、短いシュートに束生し、一年目の小枝に互生する。托葉は線形、長さ3~6㎜、縁には腺のある鋸歯があり、無毛、早落性ではない。葉柄は帯黄色、長さ4~9㎜、無毛。葉柄の腺は2個、見た目には葉柄の下部にある葉の基部の腺である。葉身は緑色、楕円形、まれに、披針形または倒披針形、長さ27~43㎜×幅11~23㎜、基部は円形、基部の歯の1~5個の腺は上側の歯の腺よりも大きくて暗く、ときに葉柄の腺に移行し、縁は小円鋸歯で、歯に明瞭な腺があり、先は鋭形で微突形、若いときまたは成熟したとき、下面にまばらに毛があり、主に中脈に沿ってあり、上面は無毛。花序は単生または短いシュートに束生する。小花柄は長さ1㎜未満で無毛。 花は花托筒が濃赤色、鐘形、長さ4~5㎜×幅4~5mm、外側は無毛。萼片は濃赤色、卵形、長さ4~5mm、縁は全縁、先は鋭形。花弁はピンク色、倒卵形、長さ13~16㎜、基部は楔形、先は円形、ノッチがある。雄しべは25~30本。花柱は雄しべとほぼ同長。果実は小花柄が長さ0.8~1.5㎜、無毛。 核果は緑色、卵形~長卵形、断面は非対称、扁平またはわずかに扁平、長さ19~36㎜×幅15~23㎜×深さ11~16㎜、基部は円形、ときに非対称、先は鋭形~円形、非対称、微突形、ときに微突が片側に曲がり、表面は短いビロード状。中果皮は熟すと裂け、乾燥時の厚さは4~5㎜。内果皮は褐色~淡褐色、卵形~長卵形、扁平、長さ16~31mm×幅14~20mm×深さ6~10㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形、ときに短い尖鋭形、微突形、腹側の縫合線には竜骨があり、表面に穴があり、特に竜骨に沿って溝状の窪み(grooved pits)が存在し、深いしわ(furrow)は無い。花期は4月。果期は6~8月。

26 Prunus turcomanica (Lincz.) Kitam. プルナス・トゥルコマニカ
  synonym Amygdalus turcomanica Lincz.
 イラン、トルクメニスタン原産。英名はTurkmen almond。
 木は矮小で、枝にはかなり刺がある。葉は細くて長く、無毛で緑色、 Amygdalus orientalisより葉が小さい。花期が遅く、開花はちょうどAmygdalus orientalisの花期の終わりと一致する。果実の収量が不十分で、そしてナッツは濃い褐色。 非常に苦いので、実は食べることができない。

27 Prunus webbii (Spach) Fritsch プルナス・ウェッビー
  synonym Prunus webbii (Spach) Vierhapper
  synonym Amygdalus webbii Spach
  synonym Amygdalus salicifolia Boiss. & Balansa
  synonym Amygdalus trabutii A.Chev.
 地中海沿岸地域原産。標高50~1200mの主に渓谷や渓谷にある、岩や石の多い石灰岩の斜面に生える。
 低木または小高木、樹冠が広がり密集する。樹皮は褐色。枝には刺がある。1年経った小枝は褐緑色、無毛、古い小枝は灰褐色、無毛。短いシュートがあり、長さ2~6 mm。 腋芽は鱗片が長さ2~5mm、全縁、巻いた毛があり、先は円形、微突形、乾くと裂ける。葉は葉身の中では二つ折り、短いシュートに束生し、1年目の小枝に互生する。托葉は線形、長さ5~6 mm、縁は歯に腺があり、無毛、しばしば早落性。葉柄は長さ3~12mm、無毛。 葉柄の腺は無い。葉身は緑色、または下面がわずかに帯緑色、上面は暗緑色、狭楕円形、ときに狭披針形、長さ23~76 mm×幅6~17 mm、基部は楔形、腺は1~4個、ときに基部の歯の腺のように見え、上部の歯よりも大きく暗く、ときに葉柄の下部につき、縁は微細な円鋸歯状鋸歯があり、歯には腺があり、先は真っ直ぐ~鋭形、微突形、若い時または成熟した下面と上面は無毛。花序は単生。小花柄は緑色、長さ1~2mm、無毛。花は花托筒が鐘形、長さ3~7㎜×幅3~6㎜、外側は無毛。萼片は卵形~長円形、長さ3~5mm、縁は全縁、巻き毛があり、先は鋭形~円形。花弁は白色またはピンク色、倒卵形~丸身のある倒卵形、長さ10~16㎜、基部は漸尖し、先は円形、深いノッチがある。雄しべは20~30本。花柱は雄しべとほぼ同長。 果実は小花柄が長さ1~4㎜、無毛。 核果は緑色、卵形~楕円形、わずかに非対称、扁平、長さ16~29 mm×幅11~17mm×深さ7~12 mm、基部は円形、ときに非対称、先は鋭形~円形、ときに非対称、表面はビロード状。中果皮は熟すと割れる。内果皮は淡褐色、卵形~楕円形、扁平、長さ14~28 mm×幅10~16㎜×深さ6~11㎜、基部は円形、非対称、先は鋭形~円形、腹側の縫合線には竜骨があり、表面に窪みがあり、深いしわ(furrow)は無い。花期は3~5月。果期は4月下旬~6月。

28 Prunus × hybrida (Schmidt) Banfi, Galasso & Bartolucci
  synonym Amygdalus × hybrida Schmidt
  synonym Amygdalus × amygdalo-persica Duhamel
  synonym + Amygdalopersica hybrida (Pers.) Soó i
 アーモンドとモモの人工交配の園芸品種。英名はhybrid almond。
品種) 'Ingrid' , 'Pollardii' , 'Bostandikskiy pozdnotsvetushiy'

参考

1) Amygdalus in Flora of China @ efloras.org
 Amygdalus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=101512
2) GRIN
 Genus: Prunus L. subg. Amygdalus
hhttps://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?type=subgenus&id=17845
3) Flora of North America
 Prunus persica
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=242341609
4) Flora of China
 48. AMYGDALUS Linnaeus, Sp. Pl. 1: 472. 1753.
http://flora.huh.harvard.edu/china/PDF/PDF09/Amygdalus.PDF
5) SIDA, Contributions to Botany Vol.13,No.3(1989),273-275
A NEW SPECIES OF PRUNUS SUBGENUS AMYGDALUS (ROSACEAE) FROM COAHUILA, MÉXICO
https://www.jstor.org/stable/41967481
6) Pak. J. Bot., 52(2): 645-651, 2020.
PRUNUS LONGISPINOSA (ROSACEAE): A NEW SPECIES FROM KURDISTAN-IRAQ
https://www.pakbs.org/pjbot/papers/1583481364.pdf
7) Cornell University 2010
SYSTEMATICS OF PRUNUS SUBGENUS AMYGDALUS MONOGRAPH AND PHYLOGENY
https://ecommons.cornell.edu › handle PDF(4).pdf