アイアシ 間葦
Flora of Mikawa
イネ科 Poaceae アイアシ属
中国名 |
束尾草 shu wei cao |
学 名 | Phacelurus latifolius (Steud.) Ohwi |
花 期 | 6~8月 |
高 さ | 100~200㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 海岸、河口 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国 |
撮 影 | 田原市 06.8.6 |
和名はヨシ(アシ)に似ているが別なものという意から。葉はアシとよく似ているが、果穂は全く違う。汽水域の河口など塩性湿地に生える。
根茎が地中を這って広がる。全体に強靱、稈は直立し、直径3~10㎜。葉鞘は無毛、平滑、節間より長い。葉は長さ10~40㎝、幅1.5~3㎝、葉の中央脈が白い。葉舌は円く、長さ0.5~3㎜。花序は掌状に並んだ3~10個の長さ20㎝以下の総状花序からなる。小穂は硬く、花軸に密着してつき、有柄小穂と無柄小穂がある。無柄の小穂は長さ8~10㎜、節間とほぼ同長。苞頴は竜骨があり、第1苞頴はざらつき、第2苞頴には小刺状の毛がある。有柄小穂は有柄小穂と似ていて、小梗が節間と似ている。
多年草、稈はしばしば強靱。葉身は線形まれに円柱形。葉舌は膜質。花序は頂生、総状花序、普通、類掌状、まれに、伸びた軸に沿って広がり、又は単生。総状花序は平らになり、対の小穂をつけ、水平につながり、しばしば、かなり遅く脱落する。花軸(rachis)の節間は膨張~棍棒形になり、無毛、基部は切形、ときに、中央にクギがある。無柄の小穂は平ら、凸面又は背面全体が凹面。第1苞頴(lower glume 外頴)は披針形~卵形、膜質~革質、平滑、縁に竜骨が2本又は丸い。第2苞頴(upper glume 内頴)は舟形、第1(下部の)小花は雄性又は不稔(barren)、内頴(palea)は有又は無、上部の小花は両性、護頴(lemma)には芒がなく、全縁。有柄の小穂は無柄の小穂に似ているが、普通、小さく、わずかに側面が圧縮され、花軸の節間付近につく。
世界に9種があり、旧大陸の熱帯からヨーロッパ南東部の北側に広がり分布する。日本にはアイアシ1種が分布し、中国には3種が分布する。
【アイアシ属の種】
Phacelurus cambogiensis (Balansa) Clayton , Phacelurus digitatus (Sm.) Griseb. , Phacelurus franksae (J.M.Wood) Clayton , Phacelurus gabonensis (Steud.) Clayton , Phacelurus huillensis (Rendle) Clayton , Phacelurus latifolius (Steud.) Ohwi[アイアシ] , Phacelurus schliebenii (Pilg.) Clayton , Phacelurus speciosus (Steud.) C.E.Hubb. , Phacelurus zea (C.B.Clarke) Clayton
多年草、根茎は強靱、鱗片があり、地中を広がる。稈は根茎の節から束生し、直立、高さ1~2m、直径3~10㎜、多数の節がある。葉鞘は平滑、無毛、普通、節間より長く、重なる。葉身は線状披針形、強靭、長さ10~40㎝、幅1.5~3㎝、無毛又はまばらに伏毛があり、基部は円形、縁はざらつき、先は漸鋭形。葉舌は円形、長さ0.5~3㎜。総状花序は長さ20㎝以下、堅く、ほぼ直立し、しばしば白粉状。花序軸(rachis)の節間は強く、長楕円状楔形、鋭い3角(かど)があり、長さは花柄と同長又はわずかに短い。無柄の小穂は長さ8~10㎜、節間と同長。カルス(callus)は無毛。第1苞頴(lower glume)は線状披針形、革質、背面は凹面、縁に竜骨があり、竜骨はざらつく。第2苞頴(upper glume)は先に向かって竜骨の上に小刺がある。第1小花は雄性、内頴がある。上部の小花の護頴や内頴はほぼ等長。花柱は合着し、長く、先が2分岐する長い羽毛状の柱頭に続く。有柄の小穂はよく発達し、わずかに側面が圧縮し、弱く曲がる。小梗は節間に似ている。花期と果期は夏~秋。
2 Phacelurus speciosus C.E.Hubb. ファケルルス・スペキオスス
パキスタン、アフガニスタン、インド、ネパール原産。
多年草、根茎がある。稈は高さ30~150㎝、直立する。葉身は平ら~折り畳まれているか、または回旋状、長さは10~45cm×幅(1~)3~9(~15)㎜、緑色または帯白色、無毛または毛があり、毛は基部が疣状または疣状でない。花序は長さ6~25㎝、総状花序は1個または2~5(~9)個のほぼ掌状(subdigitately)または総状花序状につき、それぞれは長さ6~15(~20)㎝、節間と小花柄はこん棒形、ほとんどが無毛で、ときに、疎~密に毛がある。無柄の小穂は狭卵形~披針形、青白い(pallid)かまたは緑色、ときに帯紫色。カルス(callus)は中央にペグ(peg)がある。第1苞頴(lower glume)は長さ4.5~8.5㎜、背は平らで、明瞭な脈があり、無毛~密に粗毛があり、縁に沿って棘状の縁毛があり、上部に向かって狭い翼があり、鈍形で、しばしば先端が凹形。下部の小花は雄性。有柄の小穂は無柄の小穂に似るが、通常は小さく、カルスがなく、節間とほぼ同長かまたはそれより短い。花期と果期は6~8(~10)月。
3 Phacelurus trichophyllus S. L. Zhong, ファケルルス・トリコフィルス
中国(四川省、雲南省)原産。中国名は毛叶束尾草 mao ye shu wei cao。標高1100~2000mの溝、湿った牧草地、川岸の茂み、湿った砂地に生える。
多年草、短い根茎がある。稈は直立し、高さ1~2m、直径3~4㎜、節が多数あり、上部で分枝する。葉鞘は短い、基部に疣のある剛毛が散在するか、または無毛。通常は節間よりも長い。葉身は披針形、紙質、長さ10~20㎝×幅1~2.5㎝、まばらに、短い基部が疣状の剛毛が散在し、基部は円形、縁は小鋸歯があり、先は尖鋭形。小舌は長さ0.5~1㎜。花序は1~6個のほぼ掌状の総状花序からなり 総状花序は長さ15㎝以下、またはそれ以上、しっかりとほぼ直立し、小穂は通常対になり、たまに、無柄2本と1小花柄からなる三枝が存在する。花序軸は節間が柱状で、横方向に鋭い竜骨があり、背が丸いかまたは鈍い竜骨があり、最も低い節間は長くなり、無柄の小穂をはるかに超え、引き続く節間は短い。無柄の小穂は長さ6~7㎜、カルスには短い直軟毛がある。第1苞頴(lower glume)は披針形~卵形、革質、背面は平らまたはわずかに凸状、不明瞭な肋があり、縁は内曲し、繊毛があり、竜骨があり、先の下がザラつく。第2苞頴(upper glume)は先に向かって竜骨の上がザラつく。第1小花は雄性、内頴(palea)がある。第2苞頴(upper lemma)と内頴はほぼ等長、2本の花柱は子房の頂点から別々に生じ、長くは無い。有柄の小穂は様々で、無柄の小穂に似ているが、わずかに小さいかまたはかなり小さくなる。小花柄は丈夫な長円形、真っすぐ。花期と果期は8~10月。
4 Phacelurus zea (C. B. Clarke) Clayton ファケルルス・ゼア
中国(広西チワン族自治区、雲南省)、インド、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は 黍束尾草 shu shu wei cao。標高300~1000mの芝生の丘の斜面に生える。
多年草、大きな群生を形成する。稈は太く、高さは2m以上になり、直径10㎜、単純またはほとんど分枝せず、節にひげがある。葉鞘は竜骨があり、無毛。葉身は線状披針形、かなり堅く、丈夫、長さ30~60㎝×幅1~2㎝、上面の小舌近くに毛があり、縁は基部付近に縁毛がある。小舌は長さ1~2mm、縁には縁毛がある。花序は大きな卵状長円形の円錐花序、長さ25~40㎝、多数の総状花序が輪生状につく。下部の総状花序は花序柄があり、長さ10㎝以下。花序軸は節間が広楔形で、角(かど)があり、うねがあり、細かくザラつく。無柄の小穂は長さ3.5~4㎜、第1苞頴(lower glume)は卵形、紙質、背は平らで、縁に2本の竜骨があり、竜骨には狭い翼があり、翼はザラつく小剛毛(scabrid-hispidulous)があり、先は鈍形。第2苞頴(upper glume)は披針形、鋭形。第1小花は不稔、内頴(palea)は存在しない。上部の小花は護頴と同長の内頴を持ち、2本の花柱は子房の頂部から別々に生じ、伸長しない。有柄の小穂は無柄の小穂に似ているが、わずかに小さい、小花柄は節間の長さに似ているが、短い。花期と果期は秋。
Phacelurus
Phacelurus
Phacelurus
Phacelurus speciosus C.E.Hubb.
根茎が地中を這って広がる。全体に強靱、稈は直立し、直径3~10㎜。葉鞘は無毛、平滑、節間より長い。葉は長さ10~40㎝、幅1.5~3㎝、葉の中央脈が白い。葉舌は円く、長さ0.5~3㎜。花序は掌状に並んだ3~10個の長さ20㎝以下の総状花序からなる。小穂は硬く、花軸に密着してつき、有柄小穂と無柄小穂がある。無柄の小穂は長さ8~10㎜、節間とほぼ同長。苞頴は竜骨があり、第1苞頴はざらつき、第2苞頴には小刺状の毛がある。有柄小穂は有柄小穂と似ていて、小梗が節間と似ている。
アイアシ属
family Poaceae - genus Phacelurus多年草、稈はしばしば強靱。葉身は線形まれに円柱形。葉舌は膜質。花序は頂生、総状花序、普通、類掌状、まれに、伸びた軸に沿って広がり、又は単生。総状花序は平らになり、対の小穂をつけ、水平につながり、しばしば、かなり遅く脱落する。花軸(rachis)の節間は膨張~棍棒形になり、無毛、基部は切形、ときに、中央にクギがある。無柄の小穂は平ら、凸面又は背面全体が凹面。第1苞頴(lower glume 外頴)は披針形~卵形、膜質~革質、平滑、縁に竜骨が2本又は丸い。第2苞頴(upper glume 内頴)は舟形、第1(下部の)小花は雄性又は不稔(barren)、内頴(palea)は有又は無、上部の小花は両性、護頴(lemma)には芒がなく、全縁。有柄の小穂は無柄の小穂に似ているが、普通、小さく、わずかに側面が圧縮され、花軸の節間付近につく。
世界に9種があり、旧大陸の熱帯からヨーロッパ南東部の北側に広がり分布する。日本にはアイアシ1種が分布し、中国には3種が分布する。
【アイアシ属の種】
Phacelurus cambogiensis (Balansa) Clayton , Phacelurus digitatus (Sm.) Griseb. , Phacelurus franksae (J.M.Wood) Clayton , Phacelurus gabonensis (Steud.) Clayton , Phacelurus huillensis (Rendle) Clayton , Phacelurus latifolius (Steud.) Ohwi[アイアシ] , Phacelurus schliebenii (Pilg.) Clayton , Phacelurus speciosus (Steud.) C.E.Hubb. , Phacelurus zea (C.B.Clarke) Clayton
アイアシ属の主な種
1 Phacelurus latifolius (Steud.) Ohwi アイアシ 間葦synonym Phacelurus latifolius (Steud.) Ohwi var. angustifolius (Debeaux) Kitag.
synonym Phacelurus latifolius (Steud.) Ohwi f. angustifolius (Debeaux) Kitag.
日本、朝鮮、中国原産。中国名は束尾草(shu wei cao)多年草、根茎は強靱、鱗片があり、地中を広がる。稈は根茎の節から束生し、直立、高さ1~2m、直径3~10㎜、多数の節がある。葉鞘は平滑、無毛、普通、節間より長く、重なる。葉身は線状披針形、強靭、長さ10~40㎝、幅1.5~3㎝、無毛又はまばらに伏毛があり、基部は円形、縁はざらつき、先は漸鋭形。葉舌は円形、長さ0.5~3㎜。総状花序は長さ20㎝以下、堅く、ほぼ直立し、しばしば白粉状。花序軸(rachis)の節間は強く、長楕円状楔形、鋭い3角(かど)があり、長さは花柄と同長又はわずかに短い。無柄の小穂は長さ8~10㎜、節間と同長。カルス(callus)は無毛。第1苞頴(lower glume)は線状披針形、革質、背面は凹面、縁に竜骨があり、竜骨はざらつく。第2苞頴(upper glume)は先に向かって竜骨の上に小刺がある。第1小花は雄性、内頴がある。上部の小花の護頴や内頴はほぼ等長。花柱は合着し、長く、先が2分岐する長い羽毛状の柱頭に続く。有柄の小穂はよく発達し、わずかに側面が圧縮し、弱く曲がる。小梗は節間に似ている。花期と果期は夏~秋。
2 Phacelurus speciosus C.E.Hubb. ファケルルス・スペキオスス
パキスタン、アフガニスタン、インド、ネパール原産。
多年草、根茎がある。稈は高さ30~150㎝、直立する。葉身は平ら~折り畳まれているか、または回旋状、長さは10~45cm×幅(1~)3~9(~15)㎜、緑色または帯白色、無毛または毛があり、毛は基部が疣状または疣状でない。花序は長さ6~25㎝、総状花序は1個または2~5(~9)個のほぼ掌状(subdigitately)または総状花序状につき、それぞれは長さ6~15(~20)㎝、節間と小花柄はこん棒形、ほとんどが無毛で、ときに、疎~密に毛がある。無柄の小穂は狭卵形~披針形、青白い(pallid)かまたは緑色、ときに帯紫色。カルス(callus)は中央にペグ(peg)がある。第1苞頴(lower glume)は長さ4.5~8.5㎜、背は平らで、明瞭な脈があり、無毛~密に粗毛があり、縁に沿って棘状の縁毛があり、上部に向かって狭い翼があり、鈍形で、しばしば先端が凹形。下部の小花は雄性。有柄の小穂は無柄の小穂に似るが、通常は小さく、カルスがなく、節間とほぼ同長かまたはそれより短い。花期と果期は6~8(~10)月。
3 Phacelurus trichophyllus S. L. Zhong, ファケルルス・トリコフィルス
中国(四川省、雲南省)原産。中国名は毛叶束尾草 mao ye shu wei cao。標高1100~2000mの溝、湿った牧草地、川岸の茂み、湿った砂地に生える。
多年草、短い根茎がある。稈は直立し、高さ1~2m、直径3~4㎜、節が多数あり、上部で分枝する。葉鞘は短い、基部に疣のある剛毛が散在するか、または無毛。通常は節間よりも長い。葉身は披針形、紙質、長さ10~20㎝×幅1~2.5㎝、まばらに、短い基部が疣状の剛毛が散在し、基部は円形、縁は小鋸歯があり、先は尖鋭形。小舌は長さ0.5~1㎜。花序は1~6個のほぼ掌状の総状花序からなり 総状花序は長さ15㎝以下、またはそれ以上、しっかりとほぼ直立し、小穂は通常対になり、たまに、無柄2本と1小花柄からなる三枝が存在する。花序軸は節間が柱状で、横方向に鋭い竜骨があり、背が丸いかまたは鈍い竜骨があり、最も低い節間は長くなり、無柄の小穂をはるかに超え、引き続く節間は短い。無柄の小穂は長さ6~7㎜、カルスには短い直軟毛がある。第1苞頴(lower glume)は披針形~卵形、革質、背面は平らまたはわずかに凸状、不明瞭な肋があり、縁は内曲し、繊毛があり、竜骨があり、先の下がザラつく。第2苞頴(upper glume)は先に向かって竜骨の上がザラつく。第1小花は雄性、内頴(palea)がある。第2苞頴(upper lemma)と内頴はほぼ等長、2本の花柱は子房の頂点から別々に生じ、長くは無い。有柄の小穂は様々で、無柄の小穂に似ているが、わずかに小さいかまたはかなり小さくなる。小花柄は丈夫な長円形、真っすぐ。花期と果期は8~10月。
4 Phacelurus zea (C. B. Clarke) Clayton ファケルルス・ゼア
中国(広西チワン族自治区、雲南省)、インド、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は 黍束尾草 shu shu wei cao。標高300~1000mの芝生の丘の斜面に生える。
多年草、大きな群生を形成する。稈は太く、高さは2m以上になり、直径10㎜、単純またはほとんど分枝せず、節にひげがある。葉鞘は竜骨があり、無毛。葉身は線状披針形、かなり堅く、丈夫、長さ30~60㎝×幅1~2㎝、上面の小舌近くに毛があり、縁は基部付近に縁毛がある。小舌は長さ1~2mm、縁には縁毛がある。花序は大きな卵状長円形の円錐花序、長さ25~40㎝、多数の総状花序が輪生状につく。下部の総状花序は花序柄があり、長さ10㎝以下。花序軸は節間が広楔形で、角(かど)があり、うねがあり、細かくザラつく。無柄の小穂は長さ3.5~4㎜、第1苞頴(lower glume)は卵形、紙質、背は平らで、縁に2本の竜骨があり、竜骨には狭い翼があり、翼はザラつく小剛毛(scabrid-hispidulous)があり、先は鈍形。第2苞頴(upper glume)は披針形、鋭形。第1小花は不稔、内頴(palea)は存在しない。上部の小花は護頴と同長の内頴を持ち、2本の花柱は子房の頂部から別々に生じ、伸長しない。有柄の小穂は無柄の小穂に似ているが、わずかに小さい、小花柄は節間の長さに似ているが、短い。花期と果期は秋。
参考
1) Flora of ChinaPhacelurus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124774
2) Plants of the World Online| KewsciencePhacelurus
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:18712-1
3) World Flora OnlinePhacelurus
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000029028;jsessionid=5AF35218F12588CDCF5EEA9D99886B1A
4) Flora of PakistanPhacelurus speciosus C.E.Hubb.
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=250072475