きのこ図鑑
Flora of Mikawa 
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 ツエタケ  杖茸
別  名 イッポンササコ
中 国 名 长根菇 chang gen gu
英  名 deep root mushroom
学  名 Hymenopellis radicata (Relhan) R.H. Petersen
Oudemansiella radicata (Relhan : Fr.) Sing.
Xerula radicata (Relhan) Fr.
Agaricus radicatus Relhan (basionym)
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 ハラタケ目(Agaricales)
科  属 タマバリタケ科  Physalacriaceae  ツエタケ属
 キシメジ科 Tricholomataceae からタマバリタケ科 Physalacriaceae ツエタケ属 Hymenopellis に変更された(2010)。タマバリタケ科 Physalacriaceae オウデンマンシエルラ属(旧ツエタケ属) Oudemansiella (1955)やビロードツエタケ属 Xerula (1975) とする見解もあった。
 小型~中型で柄が細長い。傘は直径3~10㎝、モリノカレバタケ型、饅頭形~丸山形~中高扁平~浅杯形、中央に低くて鈍い円錐突起があり、縁が波打つ。背面は湿時、強粘性があり、乾きやすく、乾時、不透明で淡褐色~ハシバミ色~黄土色、ときに帯白色、中央が濃色、放射状の大しわと網目状の小しわがある。柄は長さ6~15(20)㎝、幅5~15㎜、細長く、下部がやや太く、軟骨質、中空、基部は太くなり、基物(腐木)が地中にある場合は根状に深く、基物まで伸びる。柄の表面は傘と同色~淡色、平滑、上部は粉状、下部は繊維状の条線がある。ひだはやや疎につき、直生~湾生~上生、白色、幅が広い。肉は薄く、白色、繊維状で水っぽく、無味(わずかに果実臭~甘い香り)、無臭(弱い臭い)。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ14.5~19µm、幅9.5~14µm(長さ15~18µm、幅8~10µm)の広楕円形(長楕円形)、平滑、非アミロイド。坦子器は4胞子性、1~2胞子性を混在し、長さ45~55µm、幅10~15µm 、基部にクランプがある。縁シスチジアは長さ60~110(37~78)µm、幅12~35(10~26)µmの棍棒形~片側が膨れ、平滑。側シスチジアは長さ60~120(37~78)µm、幅22~35µm(10~26)の広棍棒形、先が円形~切形。傘上皮層は子実層状被。
ツエタケ
ツエタケ2
発生時期 夏~秋
大 き さ 小型~中型 直径3~10㎝
栄養摂取 腐生菌
発生場所 広葉樹林、針葉樹林、竹林内の地上、腐木上、枯木上
分  布 北半球、アフリカ、ニューギニアに広く分布
食  毒 不食
撮  影 静岡県 15.9.14
ツエタケ傘
ツエタケ傘拡大
ツエタケひだ
ツエタケ類の類似種
【タマバリタケ科 ツエタケ属】
●ミヤマツエタケHymenopellis aureocystidiata (R.H. Petersen & Nagas.) R.H. Petersen 日本に分布する。ひだや肉に変色性がある。傘は直径2.5~4㎝、.凸形~やや中高、明瞭な筋状~放射状の溝~しばしば網目状。表面は中央部が褐色~濃褐色。ひだは直生、やや疎、鈍白色、傷がつくと赤みを帯びた黄褐色~褐色に変色する。担子器は長さ59~74µm、幅10~12µm、4胞子性。胞子は長さ12~15.5µm、幅9.5~11µm、卵形~レモン形、オパール様の内容物。縁シスチジアは長さ48~82µm、幅(7)11~14µm、 先端に指状突起又はくびれがある紡錘形、頭状にならない。側シスチジアは長さ69~114µm、幅13~22µm、紡錘形、先端部が頭状~丸い紡錘形。傘シスチジアは長さ36~60µm、幅18~47µm、有柄、球形。柄シスチジアは透明の狭いクモの巣状菌糸がわずかにある。クランプは目立つ。
●マルミノツエタケHymenopellis japonica =Oudemansiella japonica Dorfelt 日本、中国に分布する。傘は直径1.5~6㎝、中央が中丘にならず、浅い中高、縁は内巻き。.表面は粘性、光沢があり、縦のしわ~浮き彫り状の筋~放射状の網目があり、暗褐色、中心部は濃色にならない。ひだは離生~直生~湾性(垂生)、白色。担子器は長さ50~65µm、幅12~22µm、4胞子性。胞子は長さ15~19µm、幅13~18µm、球形、類球形~広卵形、わずかに扁平、透明、平滑。 オパール様物質を含有。縁シスチジアは長さ45~145µm、幅12~31µm、有柄、紡錘形~広棍棒形~類嚢状、互いに密着する。側シスチジアは長さ120~155µm、幅27~51µm、有柄、広い棍棒形、先端部が頭状の広紡錘形~円柱形。クランプ有。傘シスチジアは長さ30~89µm、幅15~45µm、有柄、広棍棒形、洋梨形。柄シスチジアは(先端部)長さ30~80µm、幅13~22µm、(中間部) 26~82µm、幅10~22µm、紡錘形。
●ブナノモリツエタケHymenopellis orientalis (R. H. Petersen & Nagas.) R. H. Petersen 日本、中国(雲南省)に分布する。夏~秋、広葉樹(主にブナやミズナラ)に発生する。傘は直径(2)4~15㎝、中央がやや低い中高、表面は小じわが有り、初め暗オリーブ褐色、縁は下方に巻き、網目から筋状で灰色。網目の色は黒褐色。柄は地上部が長さ5~12㎝、基部がやや太く、傘とほぼ同色。ひだは直生、疎、類白色。担子器は長さ47~84µm、幅12~20µm、4胞子性。胞子は長さ13~18.5µm、幅10~15µm、広卵形、広楕円形、平滑~微細なシワ。縁シスチジアは長さ長さ60~109µm、幅12~27µm、広紡錘形、広円筒形。側シスチジアは長さ104~146µm、幅35~45µm、嚢状~広い円柱状、先端は広く丸い。傘シスチジアは長さ27~65µm、幅15~39µm、有柄、広い棍棒形。柄シスチジアは長さ37~83µm、幅8~30µm、棍棒形~広棍棒形、有柄、クランプ有、オリーブ淡褐色。
●コブリブナノモリツエタケHymenopellis orientalis (R. H. Petersen & Nagas.) R. H. Petersen var. margaritella (R. H. Petersen & Nagas.) R. H. 日本に分布し、子実体は小型。傘は直径、2.3~5.3㎝、モリノカレバタケ型、帯白色~褐白色、脆い。担子器は50~59µm、幅16~18µm、4胞子性。胞子は長さ(13)14.5~17.5µm、幅(10)11~13µm、楕円形、時折卵形、細かな皺または窪み。縁シスチジアは長さ41~98µm、幅15~30µm、短柄があり、棍棒形~嚢状、クランプが有る。側シスチジアは長さ110~145µm、幅30-40µm 有柄、広円柱形 基部はやや膨らみ先端は広く丸い。傘シスチジアは長さ33~57µm、幅12~27µm、棍棒形~有柄の球形。柄シスチジアは(先端部) 長さ48~79µm、幅12~20µm、棍棒形、(中間部)長さ28~88µm、幅7~21µm、クランプ有。
●ヒマラヤツエタケ(オオツエタケ)Hymenopellis raphanipes (Berk.) R.H. Petersen=Xerula chiangmaiae var. raphanipes 日本、中国、ネパール、タイに分布する。傘は直径3.5~7.5(12)㎝、湿時、粘性がある。傘表面は幼時、黒褐色、後に暗褐色、複雑な皺がある。ひだは直生~上生、白色、しばしば赤みを帯びたクリーム色。胞子は長さ14~18µm、幅13~16µm、類球形。担子器は長さ43~74µm、幅10~20µm、2胞子性。縁シスチジアは長さ42~150(235)µm、幅7~37µm、有柄、棍棒形~広い棍棒形、しばしば槍先状~乳頭状~頭状紡錘形。側シスチジアは長さ83~171µm、幅14~55µm、ボーリングのピン形(tenpin-shaped)。傘シスチジアは長さ27~97µm、幅8~26µm、有柄、広い棍棒形~有柄の球形。Pileal Hairsは長さ45~182(210)µm、幅3~10µm。柄シスチジアは長さ35~86µm、幅9~24µm 、有柄の円筒形~紡錘形、円筒形~棍棒形。
●シロツエタケ Xerula radicata (Relhan) Dörfelt var. alba Dörfelt 現在はツエタケに含められている。
●アカハツエタケHymenopellis rhodophylla (Mizuta) (ined.) = Oudemansiella rhodophylla Mizuta
  日本に分布。ブナ、ミズナラなどの落葉樹林に発生する。ひだが赤色を帯びる。
●その他 オオミノアカハツエタケ、コツブノツエタケ、ヒマラヤツエタケ近縁種、フタツミツエタケ、ベニヒダツエタケ

【タマバリタケ科 ビロードツエタケ属】
 ●ビロードツエタケXerula pudens=Oudemansiella pudens は夏~秋に広葉樹林の地上に散生し、北半球などに広く分布する。傘は直径2~6㎝、丸山形~中高扁平~扁平、茶褐色~淡灰褐色、細毛が密生してビロード状、しばしば放射状の小しわがある。柄は長さ6~20㎝、幅3~5㎜、下部は次第に太くなり、基部で肥大し、地中に太根状に長く伸びる。柄の表面は傘とほぼ同色~淡色、細毛が密生し、ビロード状。ひだは疎、離生、白色。肉は質が薄く、白色、無味、無臭。傘と柄の表皮層のシスチジアは長さ110~300µm、幅5~12.5µmの槍形、厚壁。胞子紋は白色。胞子は長さ10~12.5µm、幅9~10µm、球形、平滑。坦子器は4胞子性、長さ34~52µm、幅9~15µm。縁シスチジアは長さ35~45µm、幅8~12µm、円柱形~棍棒形、先端突出、平滑。側シスチジアは長さ70~100µm、幅20~33µmの紡錘形、先が円形。
 ●コブリビロードツエタケ(ビロードツエタケ)Xerula sinopudens 日本、朝鮮,、北ボルネオなど東アジアに分布し、夏~秋に広葉樹林下に発生し、ツエタケに似て柄が根状に長くなる。従来のXerula pudens(ビロードツエタケ)及びXerula longipes(ビロードツエタケ)などと区別された。傘は直径2~3.5㎝、背面は粘性なく、淡灰褐色地に銹褐色のビロード状の細毛が密生する。柄は長さ6~15㎝、幅3~3.5㎜、中空、軟骨質、下部ほどやや太いほぼ上下同径、基部は膨らみ、根状に地中深く伸び、根状部(偽根)は長さ10~15㎝。柄の表面は帯褐橙黄色~暗褐色地に銹褐色の細毛が密生し、下部が濃色、上部ほど淡色で、頂部は乳白色。ひだは疎につき、離生、白色、幅が広く、厚く、小ひだがある。肉は薄く、白色、無味、無臭、柄の肉は2層に分かれ、内層は類白色、外層は帯褐色。胞子紋は白色。胞子は長さ11~13µm、幅9.5~12µm、球形~類球形。縁シスチジアは厚壁、長さ32~137µm、幅10~22µm、紡錘形~類紡錘形、頭状にならない。側シスチジアは長さ(97)104~120µm、幅(24)28~34µm、bluntly rounded 広紡錘形、便腹形、棍棒形、いわば球形~類頭状など多形。坦子器は4胞子性、長さ35~43µm、幅13~16µm、基部にクランプはない。傘表皮細胞は淡褐色、ほぼ棍棒形、有柄、傘の細毛は黄褐色、長さ106~108µm、幅14~15µm、槍形、厚壁。柄の細毛は褐色、長さ250~390µm、幅14~15µm、槍形、厚壁。
 ●オキナツエタケXerula amygdaliformis (Zhu l. Yang & M.Zang) R. H. Petersen & Nagas. 日本、中国に分布する。傘は直径7~8㎝、やや中高、褐色~濃褐色~淡黄褐色~灰色。傘表面は平滑又は放射状に、不規則な小孔~網目~筋状の模様~強い縦しわ、しわが傘の縁に達せず途中で消失することが多い。ひだは疎~やや疎、直生~やや直生、類白色~白色。胞子は長さ12~22µm、幅9~16.5µm、アーモンド形(amygdariform)~レモン形(limoniform)、平滑~明瞭にしわが寄り(puckered)、オパール様の内容物がある。担子器は長さ35~61µm、幅16~24µm、4胞子性。縁シスチジアは長さ42~170µm、幅14~33µm、紡錘形~棍棒形。側シスチジアは長さ99~110µm、幅22~30µm、頭状紡錘形(fusiform-capitate)。
。傘シスチジアは長さ27~126µm、幅7~17µm、有柄の棍棒形~有柄の球形。傘の毛状菌糸(pileal hairs)は長さ400µm以下、幅10~18µm、クランプ有り。柄シスチジアは長さ40~125µm、幅10~18µm、紡錘形~円筒形、多数束生し、クランプ有り。
 ●フタツミオキナツエタケ(フタミトガリミツエタケ)Xerula amygdaliformis (Zhu l. Yang & M.Zang) R. H. Petersen & Nagas. var. bispora R. H. Petersen & Nagas. 日本に分布する。傘は直径(7)7.9~12㎝、モリノカレバタケ型、暗褐色、放射状の網目又は溝があり、平滑~ベルベット状。.ひだは直生、乾くと萎縮した湾性。白色、その後、ピンク色を帯びたクリーム色、乾くと黄土色。胞子は長さ16~21µm、幅11~14µm、楕円形~類レモン形。担子器は長さ51~62µm、幅14~17µm、2胞子性。縁シスチジアは長さ37~159µm、幅11~31µm、 紡錘形~広紡錘形~広棍棒形。側シスチジアは長さ100~175µm、幅23~52µm、頭状紡錘形。傘シスチジアは長さ27~64µm、幅9~21µm、有柄、卵形~球形。毛状菌糸(Pileal Hairs)は長さ216µm以下、幅11~19µm。柄シスチジアは長さ85µm以下、幅6~13µm、円筒形、紡錘形~棍棒形(小さいもの)、クランプが有る。
 ●フキアゲマルミノツエタケXerula globospora R. H. Petersen & Nagas は日本、ロシア、インドネシアに分布する。傘は直径3~8.5㎝。表面は褐色~オリーブ褐色、心いぼ(中央の突起)は暗褐色、全体にしわが多く、不規則な繊細な網目状になり、傘縁は内側に巻く。柄は長く、白色、褐色の小鱗片がある。ひだはやや疎~疎、直生~やや垂生気味の直生、白色~黄白色、乾くと焼けたオレンジ~オレンジ褐色。担子器は長さ45~62µm、幅14~21µm、2胞子性。胞子は長さ12~20µm、幅10~20µm、類球形、細かな小さな窪み(dimpled)が多数あり、不定形の数個の油球を含む。縁シスチジアは29~163µm、幅11~50µm、有柄、小さいものは棍棒形、紡錘形~広紡錘形、たまに頭状。側シスチジアは多数あり、長さ78~175µm、幅26~57µm、普通、短柄があり、広紡錘形、先端部は丸い。傘シスチジアは長さ30~120µm、幅9~221µm、指状~棍棒形。柄シスチジアは(先端部)長さ80~132µm、幅11~15µm、円筒形~紡錘形。
 ●チェンマイツエタケXerula chiangmaiae R. H. Petersen & Nagas 日本、中国、ネパール、タイに分布。傘は直径4~7(14)㎝、中高、乾くとベルベット状~べたつき、湿時、粘性があり、濃褐色、放射状のしわがあり、ときに網目状になり、縁は淡色。ひだは垂生気味の直生、やや疎、類白色~白色。胞子は長さ11~17µm、幅9.5~13µm、類球形~広楕円形。担子器は長さ49~70µm、幅10~23µm、 4胞子性。縁シスチジアは長さ35~200(276)µm、幅7~36µm、有柄、紡錘形、頭状にならない。側シスチジアは長さ(40)75~165µm、幅17~65µm、有柄、頭状紡錘形(fusiform-capitate)~ボーリングのピン形。傘シスチジアは長さ18~58(85)µm、幅6.5~20µm、有柄、球形。傘の毛状菌糸(pileal hairs)は長さ(45)70~200µm、幅7~13µm。柄シスチジアは長さ35~500µm、幅8~16(24)µm、円筒形、紡錘形、クランプ有。
 ●キタカタチャシミツエタケ Xerula vinocontusa R.H. Petersen & Nagas=Hymenopellis vinocontusa 日本、ロシアに分布する。傘は直径1.5~4.8㎝、モリノカレバタケ形、中高または中丘がある。黄土色、時に縁はそれより薄色。表面は著しく穴のような皺がある。ひだは直生~やや垂生気味の直生、白色~オフホワイト、乾燥するとシナモン色、ひだの縁は濃色、ときに軟骨質。担子器は長さ48~60µm、幅8~12µm、4胞子性、不明瞭なクランプが有る。胞子は長さ10.5~14µm、幅7.5~10.5µm、楕円形、卵形~レモン形、表面は微細な細点状 未熟時オパール様、成熟時に油球を含む。縁シスチジアは長さ53~150µm、幅21~34µm、有柄、紡錘形~小頭形。側シスチジアは長さ78~119µm、幅20~38μm、有柄、紡錘形~小頭形。傘シスチジアは長さ41~100µm、幅8~27µm、長い小柄(茎)のある細い棍棒状~棍棒形。柄シスチジアは無い。
 ●エゾノビロードツエタケXerula hongoi Dörfelt = Paraxerula hongoi (Dorfelt) R.H. Petersenは日本、中国西部に分布する。胞子は長さ8.5~10.5µm、幅7.5~9.5µm、類球形~広楕円形、繊細なしわがある。縁シスチジアは明瞭な頭状。側シスチジアは長さ65~120µm、幅15~25µm、類頭状狭紡錘形(fusiform-subcapitate)。
 ●カクミノツエタケXerula megalospora (Clem.) Redhead, Ginns & Shoemaker=Hymenopellis megalospora
 Xerula megalospora とHymenopellis megalosporaは別種とされてきたこともあり、Mycobankでも分けて掲載している。Michael Kuo博士は同種としている。北アメリカでは普通種。広葉樹の枯木の腐生菌。直接、腐朽木や切株に発生するが、普通、切株付近の埋もれ木や地上に(晩春)夏~秋、発生する。傘は直径2~5(8)㎝、幼時、鐘形~類円錐形、後に広鐘形~広饅頭形~ほぼ扁平、無毛、ときにやや放射状のしわがあり、幼時、湿時、粘性~グリース状、すぐに乾き、色は変わりやすく範囲が広く、暗灰褐色~鈍黄褐色~バフ色~白色近く 、中央が暗色になることもある。ひだは離生、疎~ほぼ疎(たまにやや密)、白色、短ひだは多数。柄は地上の長さ4~16㎝、幅0.5~1.5㎝、先が細く、無毛又は褐色の細かい繊維に覆われ、古くなると条線を形づくり、柄の色は白色、短く急に先が細くなり、直根が地下4㎝以下まで伸びる。根は赤褐色になる。肉は白色、質が薄く、切っても変色しない。無味、無臭(穏やか又は強いゼラニウム~ニンジンの臭い)。KOHにより傘表面は変色性なし。乾くとひだは数年保存後に明橙色になる。胞子紋は白色。胞子は長さ15~21(23)µm、幅8~12(14)µm、レモン形~アーモンド形、細かい窪み又小凹があり、非アミロイド、KOH中で無色。側シスチジアは広円柱形~類小嚢形、薄壁、無色、平滑、長さ70~110µm、幅10~22µm。縁シスチジアは普通、頭状~類頭状、ときに棍棒形~紡錘形、長さ80µm x幅15µm以下。傘上表皮は子実層状被であり、ややゼラチン化し、傘シスチジアは多く、薄壁、無色、長さ90µm x幅30µm以下。

【タマバリタケ科 ヌメリツバタケ属】
 ●フチドリツエタケ(アシグロヌメリタケ)Mucidula brunneomarginata 日本、ロシアに分布する。深山の広葉樹(イタヤカエデ、ダケカンバ、シナノキなど)の枯木に秋、群生~散生し、ひだの縁が紫褐色になる。傘は直径3~15㎝、半球形~饅頭形~ほぼ扁平。傘表面は強粘性、放射状の小じわが多く、暗灰褐色。柄は中空、軟骨質、長さ2.5~10㎝、幅3~10㎜、上下同径、ときに湾曲し、表面は白色地に黒褐色~紫褐色の小鱗片があり、疎~密の斑紋が表出する。ひだは直生~上生、疎、類白色、幅0.5~1㎝、ひだの縁が紫褐色になる。肉は湿潤、表面色を帯び、無味、無臭。担子器は4胞子性に2胞子性が混在する。胞子は長さ14~20(22)µm、幅9.5~12.5(13)µm、楕円形~アーモンド形、平滑。縁シスチジアは40~53µm、幅11~23µm、紡錘形~棍棒形。側シスチジアは50~85µm、幅12~28µm、棍棒形、やや厚壁のものも含む。可食。

【タマバリタケ科 ダクティロスポリナ属】
 ●トゲミノフチドリツエタケ Dactylosporina brunneomarginata Ushijima, Nagas. & Kikawa.
 日本で初めて神奈川県及び鳥取県で採取された。傘と柄の表面が湿時、粘性を持つ。ひだの縁が暗褐色。傘、縁、柄シスチジアがグレオシスチジア状(gloeocystidioid )で、オリーブ色~黄褐色の油質の内容物を含む 。胞子に突起がある。
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