きのこ図鑑
Flora of Mikawa 
TOP きのこ一覧 きのこ用語 日本語-英語 英語-日本語
 キンイロアナタケ  金色孔茸
別   名 ワタグサレモドキ
中 国 名 黄白多年卧孔菌 huang bai duo nian wo kong jun , 微酸多年卧孔菌 wei suan duo nian wo kong jun
学  名 Perenniporia subacida (Peck) Donk
Poria subacida (Peck) Sacc.
Chaetoporus subacidus (Peck) Bondartsev & Singer
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 タマチョレイタケ目(Polyporales)
科  属 タマチョレイタケ科  Polyporaceae ウスキアナタケ属
 北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの温帯全域に分布し、裸子植物、被子植物に発生する。主に針葉樹に発生する。
 1年草又は多年草、背着生、広く広がり、厚さ15(20)㎜以下、分離可能又は着生、やや樹脂のように苦く、縁は白色~淡クリーム色~帯赤色、密綿毛があり、平滑な薄皮又は放射状の長毛縁、狭い~広い。管孔面は普通、やや暗クリーム色又は黄色~バフ色になり、乾くと、わずかに暗色又は退色し、やや赤色や褐色を帯び、ときに斜めになる。管孔は新鮮なとき、コルク質、普通、乾くとコルク質であるが、脆いコルク質~堅い軟骨質になり、各層で長さ5㎜以下。層は普通、不明瞭。孔口は円形~角形、約2~4 (~6)個/㎜、縁は薄くなり、全縁~長毛縁又は裂ける。肉は白色~クリーム色。乾くと質感は様々になり、 普通、堅いが、コルク繊維状~柔かくふわふわに変化し、厚さ0.6㎜以下、実質に変わることなく連続する。組織はKOH中で変色しない。菌糸はおそらく2菌糸型。肉は主に骨格菌糸であり、様々な量の原菌糸をもつ。骨格菌糸はまれに分枝し、普通、厚壁~中実、隔壁は無く、直径3~5µm。原菌糸は薄壁、節のある隔壁をもち、極まれにクランプがあり、直径2~4µm。ときに結合菌糸があることがあり、複雑に分枝し、細く、直径1~3µm。実質の組織は肉の組織に連続し、菌糸はより細いことを除き似ており、直径1.5~3.5µm。子実層は厚さ9~13µm。菌糸状突起(hyphal peg)がある。シスチジアは様々、ときに欠き、普通、小さく、ほとんど埋まり、錐形~棍棒形、ときに、基部が膨らみ、まれに頭状、直径8µm以下。担子器は広棍棒形、長さ10~13µm、幅5~8µm。胞子は無色、平滑、IKI(-)、ほとんど卵形ときに、横に微突形、 しばしば、一端が切形、普通、小さな油滴を1個もち、長さ4~5.5µm、幅3~4µm、非アミロイド、非デキスストリノイド。
 Poria crustulinaはよく似ているが、胞子がソーセージ形である。Perenniporia discolor は変色の度合いが異なる。
キンイロアナタケ
キンイロアナタケ2
キンイロアナタケ管孔2
キンイロアナタケ管孔
発生時期 秋~春
大 き さ 不定形に薄く広がる 
栄養摂取 白色腐朽菌 
発生場所 広葉樹の枯木
分  布 アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
食  毒 不食
撮  影 西尾市 16.11.15

 管孔が黄色になる類似種

 1  ウスキアナタケPerenniporia medulla-panis (Jacq.) Donk
 世界に広く分布し、被子植物(広葉樹) 又はまれに裸子植物(針葉樹)に発生し、白色腐朽を引き起こす。
 3~4年までの多年生、広く広がり、厚さ10㎜以下。分離又は合着、普通、苦く、縁は白色~クリーム色、ときに多少、褐色になり、クモの巣状又は長毛縁~マット状、狭く~広い。管孔面は白色又は汚白色、たまに乾くとやや黄色を帯び、光沢が無い。管孔は新鮮なとき硬く又はコルク質、乾くと、硬くなり、脆く又は革質になり、各層で長さ2.5㎜以下、層は不明瞭又は明瞭。孔口は円形~角形、約5~8個/㎜、縁は厚く又はかなり厚い。肉は白色、乾くと柔らかいコルク質、薄く、実質に変化することなく、連続し、隣接する管孔組織が詰まると不明瞭になる。組織はKOH中で変色しない。菌糸型はやや不確か、おそらく、3菌糸型。肉は複雑に分枝し、厚壁~中実、隔壁は無い(?)。結合菌糸は直径1.5~3µm、たまに7µm以下に膨れ、しばしば、細かい点にまで先が細くなる(?)。骨格菌糸は分枝しない又はまれに分枝することを除いて似ている。原菌糸はしばしば分枝し、薄壁、まれに節のある隔壁をもち(nodose-septate)、おそらく1隔壁?、直径2~3 (~4)µm。実質は肉と連続し、菌糸は似ている。子実層は厚さ9~14µm、菌糸状突起(hyphal peg)があり、埋め込まれ、目立たず、直径3~7µm。担子器は棍棒形、長さ9~12µm、幅6~9µm。胞子は無色、平滑、IKI(-)又は赤褐色(デキスストリノイド)、壁はしばしば厚くなり、長楕円状楕円形~楕円形~類球形、普通、切形、長さ4~7µm、幅2.5~5µm。
 2  キンイロアナタケ(ワタグサレモドキ)Perenniporia subacida (Peck) Donk 北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの温帯全域に分布し、裸子植物、被子植物に発生する。主に針葉樹に発生する。中国名は黄白多年卧孔菌(huang bai duo nian wo kong jun ), 微酸多年卧孔菌(wei suan duo nian wo kong jun)。
 1年草又は多年草、背着生、広く広がり、厚さ15(20)㎜以下、分離可能又は着生、やや樹脂のように苦く、縁は白色~淡クリーム色~帯赤色、密綿毛があり、平滑な薄皮又は放射状の長毛縁、狭い~広い。管孔面は普通、やや暗クリーム色又は黄色~バフ色になり、乾くと、わずかに暗色又は退色し、やや赤色や褐色を帯び、ときに斜めになる。管孔は新鮮なとき、コルク質、普通、乾くとコルク質であるが、脆いコルク質~堅い軟骨質になり、各層で長さ5㎜以下。層は普通、不明瞭。孔口は円形~角形、約2~4 (~6)個/㎜、縁は薄くなり、全縁~長毛縁又は裂ける。肉は白色~クリーム色。乾くと質感は様々になり、 普通、堅いが、コルク繊維状~柔かくふわふわに変化し、厚さ0.6㎜以下、実質に変わることなく連続する。組織はKOH中で変色しない。菌糸はおそらく2菌糸型。肉は主に骨格菌糸であり、様々な量の原菌糸をもつ。骨格菌糸はまれに分枝し、普通、厚壁~中実、隔壁は無く、直径3~5µm。原菌糸は薄壁、節のある隔壁をもち、極まれにクランプがあり、直径2~4µm。ときに結合菌糸があることがあり、複雑に分枝し、細く、直径1~3µm。実質の組織は肉の組織に連続し、菌糸はより細いことを除き似ており、直径1.5~3.5µm。子実層は厚さ9~13µm。菌糸状突起(hyphal peg)がある。シスチジアは様々、ときに欠き、普通、小さく、ほとんど埋まり、錐形~棍棒形、ときに、基部が膨らみ、まれに頭状、直径8µm以下。担子器は広棍棒形、長さ10~13µm、幅5~8µm。胞子は無色、平滑、IKI(-)、ほとんど卵形ときに、横に微突形、 しばしば、一端が切形、普通、小さな油滴を1個もち、長さ4~5.5µm、幅3~4µm、非アミロイド、非デキストリノイド。
  Poria crustulinaはよく似ているが、胞子がソーセージ形である。Perenniporia discolor は変色の度合いが異なる。
 3  Perenniporia maackiae (Bondartsev & Ljub.) Parmasto 朝鮮、中国、ロシアに分布。
 1年生~多年生、背着生~半背着生。柔軟~革質、乾くとコルク質。縁は不稔、幅2㎜以下。上面(背面)は若い時、赤褐色、古くなると暗灰色になり、粗く、環紋がある。管孔面は明るい黄色、古くなるとわら色になる。孔口は5~8/㎜、孔壁は厚く、全縁。子実体形成菌糸層は淡黄色、コルク質、厚さ2㎜以下、管孔層は管孔面と同色、管孔はコルク質、長さ2㎜以下。菌糸は2菌糸型。原菌糸はクランプがあり、KOHで変色しない。子実体形成菌糸層の原菌糸は薄壁、無色、多数、分枝し、直径2~2.5µm、骨格菌糸は支配的、厚壁、目立つ内腔があり、多数分枝し、直径1.5~(3.3)µm、直径10µm以下に膨れる骨格菌糸もある。菌糸は絡み合い、好青染性、デキストリノイド。管孔の実質菌糸は子実体形成菌糸層と似ていて、絡み合い、多少、垂直につく。シスチジアとシスチジオールは無い。担子器は広棍棒形、長さ9~15 µm、幅 (4~)5~7 µm。胞子は楕円形、厚壁、多少、切形、平滑、CB+、デキストリノイド、長さ(4.8~)5~6.5(~7) µm、幅(3~)3.5~4.5(~5)µm。
 4  Perenniporia tenuis (Schwein.) Ryvarden
   synonym: Poria tenuis (Schwein.) Cooke
 ヨーロッパ、北アメリカに分布。広葉樹、針葉樹の枯木に発生。白色腐朽菌。
 1年生。広くひろがり、全背着生。管孔面はvar. tenuisが新鮮なときクリーム色[乾くと黄褐色(warm buff)]、var. pulchellusは新鮮なとき明るい鶯色(citric yellow)[乾くとクローム・イエロー]。孔口は3~5個/㎜、円形~角形。子実体の縁は普通、不稔、クリーム色~淡バフ色、綿毛状、幅4㎜以下。子実体形成菌糸層は非常に薄く、白色~クリーム色、柔らかい、繊維状。管孔層は子実体形成菌糸層と同色、厚さ3㎜以下。菌糸は2菌糸型。子実体形成菌糸層の原菌糸は薄壁、無色、クランプがあり、直径2~4µm。子実体形成菌糸層の骨格菌糸は厚壁、無色、隔壁が無く、若干分枝し、デキストリノイド、直径2~3µm。実質の菌糸も同様。シスチジアは無く、紡錘形のシスチジオールがあり、埋め込まれるか又はわずかに突き出し、長さ18~25µm、幅8~9µm、基部にクランプがある。胞子は楕円形、いくらか切形、薄壁、無色、平滑、メルツァー試薬でデキストリノイドに変色し、長さ4.5~6µm、幅3.5~4.5µm。
 5  Perenniporia variegata Ryvarden & Gilb.
   synonym Poria discolor Overh
 全背着生、管孔面は新鮮なとき白色~帯黄色、乾くとクリーム色~淡黄褐色に退色する。孔口は円形~角形、2~3個/㎜。菌糸は2菌糸型。骨格菌糸はデキストリノイド。原菌糸にクランプがある。胞子は楕円形~類球形、わずかに厚壁、デキストリノイド。
 6  Flaviporus stramineus (Bres.) Ginns 黄孔菌属(中国名 和名なし)
   synonym: Perenniporia straminea (Bres.) Ryvarden
   synonym: Antrodiella straminea (Bres.) Ryvarden & I. Johans)
   synonym: Poria straminea Bres(フィリピン)
 フィリピン、ケニア、タンザニアで確認され、アジアのかなり広い地域に分布すると考えられている。落葉樹の枯木に発生する。
 子実体は全背着生、広がり、新鮮なとき密で丈夫、乾くと硬い木質でわずかに縮む。大きい子実体は割れてばらばらになる 。味は温和。管孔面は新鮮なとき、わら色、乾くと淡黄褐色(isabelline)で橙色を帯び、入射光が当たると光沢がある。子実体の縁は白色、無いか又は非常に狭い。孔口は微細、肉眼では見えなく、7~9個/㎜。管孔は管孔面と同色、厚さ5㎜以下、厚い個体の層は不明瞭。子実体形成菌糸層は無いか又は非常に薄く、黄土色。菌糸は2菌糸型。原菌糸は無色、クランプがあり、普通、見つけるのが困難、幅1.5~3µm。骨格菌糸は支配的、幅2~4µm、厚壁、広く、目立つ幅4~6µmの内腔をもち、先は薄壁、しばしばわずかに膨れるか小さな電球状。シスチジアは頻出~ごくわずか、骨格菌糸から生じ、子実層に一部が斜めに突き刺さり、先が膨れた器官でもあり、他の水平な骨格菌糸からなる子実層の中に曲がる。担子器は長さ7~10µm、4小柄。胞子は小さく、楕円形、切形、長さ2.5~3(3~4)µm、幅2(2.5~3)µm、無色、薄壁、非アミロイド、弱いデキストリノイド。シスチジアはアフリカの2採取品で明瞭であり、同場所の薄い1採取品は不明瞭。
TOP Back