きのこ図鑑
Flora of Mikawa 
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 ヒロヒダタケ  広襞茸
中 国 名 宽褶菇 kuan zhe gu
学  名 Megacollybia clitocyboidea R.H. Petersen, Takehashi et Nagas.
Megacollybia platyphylla auct. nonn.
Oudemansiella platyphylla auct. nonn.
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 ハラタケ目(Agaricales)
科  属 ポロテレウム科 Porotheleaceae  ヒロヒダタケ属
 分類は多説があり、旧分類ではキシメジ科 Tricholomataceae、ツエタケ属 Oudemansiella ヒロヒダタケ亜属 subgen. Megacollybia 又はヒロヒダタケ属 Megacollybiaとして分類されていた。新分類でもポロテレウム科 Porotheleaceae 、タマバリタケ科 Physalacriaceae 、ホウライタケ科 Marasmiaceae 、キシメジ科 Tricholomataceaeなど説が多い。従来のMegacollybia platyphylla は最近(2007)のDNA研究の結果、その中に8~9種を含むことがわかり、Megacollybia platyphylla(platterfull mushroom)は分布がヨーロッパに限定されるものである。日本のヒロヒダタケはMegacollybia clitocyboidea であり、日本、朝鮮、中国、ロシアに分布する。
 傘は直径5~15㎝、半球形~中丘扁平~杯状。傘背面は灰黒色~黒褐色、放射状の繊維紋がつく。柄は長さ7~12㎝、幅1~2㎜、ほぼ円柱形、中実~中空、丈夫で硬く、表面は粉状、傘色に似た淡色、基部に白色の糸状~ひも状の菌糸束をつける。ひだは疎、上生~湾生し、白色、幅が広く、縁が灰褐色になるものもある。肉は薄く、白色、無味、無臭。胞子は長さ7~10µm、幅5.5~7.5µmの広楕円形、平滑、非アミロイド。縁シスチジアは長さ33~60µm、幅13~53µmのフラスコ形~西洋ナシ形。側シスチジアは無い。傘上皮層は錯綜状。
 中国の宽褶菇Oudemansiella platyphylla 
 子実体は単生~群生。傘は直径5~12㎝、扁球形~扁平、ときに古くなると縁が捲れ上がり、灰白色~灰褐色、湿時、水浸状、平滑、深い細い条紋があり、辺縁が成熟後に裂開する。肉は白色、薄い。ひだは白色、顕著に広く、疎、初期に直生し、後に近湾生~離生、不等長。柄は長さ5~12㎝、幅1~1.5㎝、白色~灰褐色、繊毛と繊維状の長条紋があり、表面は軟骨質、内側は繊維質、基部は膨れ、白色の根状菌糸束がある。胞子紋は白色。胞子は無色、平滑、卵円形~広惰円形、長さ7.7~10µm、幅6.2~8µm、非アミロイド。縁シスチジアは袋状~棒状、長さ30~55µm、幅5~10µm。食用、味は美味い。中国では栽培されていないが、外国で栽培されている。口蘑=マツタケの一種。商品名は有香杏、香杏片など。ユキワリ 香杏丽蘑 Calocybe gambosa という優秀な食菌に味が似ている。
 ヨーロッパのMegacollybia platyphylla
 傘は直径4~10㎝、半球形~中央が凹んで広がり、暗灰褐色、黄土色を帯び、やや表面に筋がつき、時々、縁寄りにフケ状の鱗片がつく。柄は長さ3~5㎝、幅1~1.3㎝、強く、白色の繊維状の条線が傘色に輝き、長い根状菌糸束がある。肉は白色、苦味があり、無臭。ひだは大変広く、白クリーム色。縁シスチジアは薄壁、膨れたナシ形、長さ50~60µm、幅15~25µm。胞子紋は白色。胞子は類球形、長さ6~8µm、幅6~7µm、非アミロイド。落葉樹の切株や埋まった木片に強い白色の菌糸束をつけ、発生する。季節は夏~秋。不食。ヨーロッパに分布する。
 ヒロヒダタケモドキHydropus atrialbus (Murrill) Sing.
 日本、北アメリカに分布し、広葉樹の枯木に発生する。中型で子実体はカヤタケ型。傘は直径4~6㎝、饅頭形~漏斗形、灰褐色~暗褐色、黒変性はない。柄は傘と同色、粘性を欠き、褐色の微細な鱗片に覆われる。ひだは疎につき、垂生、白色。坦子器は2胞子性。胞子は広惰円形、アミロイド。
 ヨツミノヒロヒダタケモドキHydropus sp. ヒロヒダタケモドキに酷似するが、坦子器が4胞子性。
 竹林の切株の腐朽したものに発生。傘は直径1.5~6.5㎝、饅頭形~扁平~中央が浅く凹む~縁が反転。傘背面は灰褐色~ネズミ色、暗色の細鱗片を密生し、放射状の長い条線がある。柄は長さ3~9㎝、幅0.2~0.4㎝、汚白色~淡灰褐色、平滑、中空。ひだは疎につき、弱く垂生し、汚白色。胞子は長さ6~8.5µm、幅5~6.5µm、類球形~広惰円形、アミロイド。坦子器は4胞子性。縁シスチジアは長さ22~30µm、幅3.5~6µmの紡錘形~棍棒形、先端が伸びる。側シスチジアは無い。傘上皮層は部分的に子実層状被。
ヒロヒダタケ
ヒロヒダタケ2
ヒロヒダタケ傘
ヒロヒダタケひだ
ヒロヒダタケひだ2
発生時期 初夏~秋
大 き さ 中型~大型 直径5~15㎝
栄養摂取 腐生菌
発生場所 広葉樹の腐木上、その周囲の地上
分  布 北半球の温帯以北に広く分布
食  毒 有毒(消化器系に激しい損傷、中国のOudemansiella platyphyllaは美味とされ、別種の可能性もある)
撮  影 豊田市 05.10.2
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