キリ科 Paulowniaceae

分類 被子植物(Angiosperm)-真正双子葉類(Eudicots)-コア真正双子葉類(Core eudicots)-キク上群(Superasterids)-キク類(Asterids) -シソ類(Lamiids)-シソ目(Lamiales)
分布 世界に3属(Brandisia , Paulownia , Wightia)、20種が分布し、日本にはキリ1種が野生化している。
特徴 草本または木本。葉は全縁、花は集散花序。
 APGⅢで、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)から分離された。.
①ブランディシア属 Brandisia  11種、東アジア
低木、直立又は攀縁、たまに寄生、普通、星状毛がある。葉は対生、まれに類対生、短葉柄。葉身は全縁又は歯状縁。花は腋生、単生、双生又は総状花序につく。小苞は2個、花柄につく。萼は鐘形、まれに円筒状卵形、外面に星状毛があり、規則的又はやや2唇形、裂片は2~5個。花冠は筒部がやや内曲し、拡大部は2唇形、下唇は上唇と同長又は短い。下唇は3裂し、目立つ。上唇は2裂し、 凹面。雄しべは4個、2強雄しべ、やや花冠から突き出るか、基部に隠れる。花糸は無毛。葯は2室、胚珠は多数、線状長楕円形。花柱は長い。柱頭は1個。蒴果は卵形~卵状球形、胞背裂開蒴果。種子は線形、網で覆われ、膜質の翼がある。
②キリ属 Paulownia 7種  中国、ラオス、ベトナム
 高木、落葉、熱帯では常緑。樹皮は平滑、若いときは目立つ皮目があり、古くなると縦に裂け目ができる。枝は対生し、頂部に蕾は無い。葉は対生、たまに3輪生し、葉柄は長い。葉身は全縁又は3~5浅裂し、縁が波打ち、しばしば若いときに鋸歯縁になる。花序は大きなピラミッド形~円柱形の密穂花序(thyrs)。集散花序は(1~)3~5(~8)個の花をつけ、花序柄は有又は無。萼は鐘形又は倒円錐形、有毛、裂片5個、ほぼ等長、上側の1個が大きい。花冠は紫色又は白色、漏斗状鐘形~筒状漏斗型、筒部はくびれ、わずかに曲がり、拡大部は2唇形。下唇は大きく、3裂する。上唇は黄色、2裂する。雄しべは4個、2強雄しべ。花糸は突き出ず、基部近くで捻じれ、葯は末広がり。子房は2室。花柱は雄しべとほぼ同長。胞背裂開蒴果、2室又は不完全な4室。果皮は薄く又は厚く、木質。種子は小さく、多数、膜質の翼があり、胚乳はまばら。
③Wightia属  2種 中国、ブータン、インドネシア、ミャンマー、
 ネパール、インド、ベトナム
中高木、半着生の偽つる性木、又は寄生の低木、落葉。若枝は髄がある。葉は対生、革質、裏面はときに脈腋に腺がある。葉縁は全縁。花序は側生の密穂花序又は総状花序。集散花序は3~9花がつく。萼は鐘形、太い、不規則に3~4裂又は先が切形。花冠筒部は短く、内曲し、拡大部は2唇形。下唇は3裂。上唇は広がり、2裂、直立し、下唇より長い。雄しべは2強雄しべ、有毛、筒部の基部近くにつき、突き出す。葯は底着、長楕円状矢じり形、基部が2裂し、室は平行、先で合流する。仮雄しべは無い。花柱は長く、先は内曲する。柱頭は目立たない。蒴果は2室、胞間裂開蒴果、室の縁は内巻き、胎盤列から分かれる。種子は多数、線形、膜質の翼がある。
用途 キリは各地で古くから栽培され、材が軽く、燃え難く、狂いも少ないため、家具、漆器、琴、下駄などに使われる。
キリ属 キリ Paulownia tomentosa (Thunb.) Sieb. et Zucc. ex Steud.