ヤブニンジン 藪人参
Flora of Mikawa
セリ科 Apiaceae ヤブニンジン属
別 名 | ナガジラミ |
中国名 | 香根芹 xiang gen qin |
学 名 | Osmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. |
花 期 | 4~5月 |
高 さ | 30~70㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 林縁、竹やぶ |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン |
撮 影 | 豊橋市 07.4.18 |
和名の由来は葉が人参に似て、やぶに生え、別名はヤブジラミに似て果実が長いことから。
茎は直立して少数の葉をつける。茎や葉に毛が多い。葉は長さ7~30㎝の2回3出複葉。小葉は卵形で、縁に粗い鋸歯がある。葉柄の基部は大きな托葉があり、茎を抱く。複散形花序に、白色の小さな花をまばらにつける。大花柄の基部に総苞片があり、小花柄の基部に小総苞片がある。小花序の中心部に雄花が集まってつき、周囲に長い子房の両性花が数個つく。雄花は花柱が退化して雄しべ5個。両性花はやや大きく、雄しべ5個と長い子房と発達した花柱2個がある。果実は2分果、基部が細くて先が太い長さ約2㎝のこん棒状で、上向きの毛がある。果実が熟すと褐色になり、下部から裂開し、2個の分果に分かれて落ちる。分果の果皮は硬くて取れ難く、円柱状の種子が1個入る。
多年草。茎は基部で直立または傾伏し、枝分かれし、無毛または有毛。 葉柄の鞘は狭く、薄膜質。葉身は外形が三角状卵形、2~3回3出羽状複葉(中国種)。裂片は鋸歯縁~羽状中裂。散形花序は緩く複合。花序柄は頂生および側生、普通、葉を超える。苞は少数または無。大散形花序の柄は少なく、細く、不等長、果時に長くなり、広がる。小苞は数個、またはたまに無く、後屈する。萼歯は廃れる。花弁は白色、紫色、または緑黄色で、へら形~倒卵形、先が狭く内曲する。柱下体は円錐形。花柱は細く、ときに微細。 果実(中国種)は狭いこん棒形、円柱形からわずかに側部が扁平になり、先は鈍形、基部は尾状。隆条は糸状で、鋭く、先端に尖った剛毛をもつ。油管は不明瞭または無い。種子は断面がほぼ円柱形、表面は凹面。分果柄(carpophore)は先で2分岐し、その長さの1/2まで裂ける。
世界に約10種があり、東アジアと北アメリカに分布する。
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン原産。中国名は香根芹 xiang gen qin。別名はナガジラミ。林縁、竹やぶに生える。
多年草、高さ30~70㎝。茎は直立して少数の葉をつける。茎や葉に毛が多い。葉は長さ7~30㎝の2回3出複葉。小葉は卵形で、縁に粗い鋸歯がある。葉柄の基部は大きな托葉があり、茎を抱く。複散形花序に、白色の小さな花をまばらにつける。大花柄の基部に総苞片があり、小花柄の基部に小総苞片がある。小花序の中心部に雄花が集まってつき、周囲に長い子房の両性花が数個つく。雄花は花柱が退化して雄しべ5個。両性花はやや大きく、雄しべ5個と長い子房と発達した花柱2個がある。果実は2分果、基部が細くて先が太い長さ約2㎝のこん棒状で、上向きの毛がある。果実が熟すと褐色になり、下部から裂開し、2個の分果に分かれて落ちる。分果の果皮は硬くて取れ難く、円柱状の種子が1個入る。花期は4~5月。
【Flora of Chinaの解説】
多年草、高さ25~70cm。 直根は芳香がある。茎は緑色または帯紫色。根生葉は葉柄がある。葉柄は長さ5~26㎝。葉身は長さ29㎝×幅25㎝・以下。羽片は2~4対。最終裂片は卵形~卵状披針形、長さ(0.5~)1~6(~9)㎝×幅(0.2~)0.5~5(~8)㎝、両面に剛毛または直軟毛があり、白色の毛をもち、ときに脈上だけに制限される。 花序柄は長さ4~22㎝。苞は1~4個、錐形~線形、長さ0.5~1.2㎝、早落性。大散形花序の柄は3~5本、長さ2~5㎝、果時には10cmまでに伸びる。小苞は4~5個、披針形~卵状披針形、長さ2~5㎜×幅1~1.5㎜、下面と縁に毛があり、普通、後屈する。各小散形花序に1~6個の稔性の花がつく。 花弁は倒卵形、約・長さ1.2㎜×幅1mm。花柱は柱下体よりわずかに長い。子房は白色の毛がある。果実は長さ1~2.2㎝×幅0.2~0.25㎝、基部は尾状。隆条はまばらに剛毛があり、基部で最も毛が多い。花期および果期は 5~7月。
1-1 Osmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. montana Makino ミヤマヤブニンジン 深山藪人参
synonym Osmorhiza amurensis F.Schmidt
日本(本州の中部地方以北)、朝鮮に分布。山地の林内に生える。Kew ScienceではOsmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. aristataのsynonym。
茎や花柄が無毛になり、葉の最終裂片の先が尖鋭形。これに対しヤブニンジンは茎や花柄に毛があり、葉の最終裂片の先が鋭形。
1-2 Osmorhiza aristata var. laxa (Royle) Constance & R. H. Shan
synonym Osmorhiza laxa Royle
中国、ブータン、インド、カシミール、ネパール、パキスタン原産。中国名疏叶香根芹 shu ye xiang gen qin。Kew ScienceではOsmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. aristataのsynonym。
小葉は広卵形または広長卵形で、尖鋭形、基部の対は2裂または2~3深裂し、普通、不規則で粗い歯がある。
Osmorhiza
Osmorhiza
Osmorhiza
山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅰ
茎は直立して少数の葉をつける。茎や葉に毛が多い。葉は長さ7~30㎝の2回3出複葉。小葉は卵形で、縁に粗い鋸歯がある。葉柄の基部は大きな托葉があり、茎を抱く。複散形花序に、白色の小さな花をまばらにつける。大花柄の基部に総苞片があり、小花柄の基部に小総苞片がある。小花序の中心部に雄花が集まってつき、周囲に長い子房の両性花が数個つく。雄花は花柱が退化して雄しべ5個。両性花はやや大きく、雄しべ5個と長い子房と発達した花柱2個がある。果実は2分果、基部が細くて先が太い長さ約2㎝のこん棒状で、上向きの毛がある。果実が熟すと褐色になり、下部から裂開し、2個の分果に分かれて落ちる。分果の果皮は硬くて取れ難く、円柱状の種子が1個入る。
ヤブニンジン属
family Apiaceae - genus Osmorhiza多年草。茎は基部で直立または傾伏し、枝分かれし、無毛または有毛。 葉柄の鞘は狭く、薄膜質。葉身は外形が三角状卵形、2~3回3出羽状複葉(中国種)。裂片は鋸歯縁~羽状中裂。散形花序は緩く複合。花序柄は頂生および側生、普通、葉を超える。苞は少数または無。大散形花序の柄は少なく、細く、不等長、果時に長くなり、広がる。小苞は数個、またはたまに無く、後屈する。萼歯は廃れる。花弁は白色、紫色、または緑黄色で、へら形~倒卵形、先が狭く内曲する。柱下体は円錐形。花柱は細く、ときに微細。 果実(中国種)は狭いこん棒形、円柱形からわずかに側部が扁平になり、先は鈍形、基部は尾状。隆条は糸状で、鋭く、先端に尖った剛毛をもつ。油管は不明瞭または無い。種子は断面がほぼ円柱形、表面は凹面。分果柄(carpophore)は先で2分岐し、その長さの1/2まで裂ける。
世界に約10種があり、東アジアと北アメリカに分布する。
ヤブニンジン属の主な種と園芸品種
1 Osmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. aristata ヤブニンジン 藪人参北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン原産。中国名は香根芹 xiang gen qin。別名はナガジラミ。林縁、竹やぶに生える。
多年草、高さ30~70㎝。茎は直立して少数の葉をつける。茎や葉に毛が多い。葉は長さ7~30㎝の2回3出複葉。小葉は卵形で、縁に粗い鋸歯がある。葉柄の基部は大きな托葉があり、茎を抱く。複散形花序に、白色の小さな花をまばらにつける。大花柄の基部に総苞片があり、小花柄の基部に小総苞片がある。小花序の中心部に雄花が集まってつき、周囲に長い子房の両性花が数個つく。雄花は花柱が退化して雄しべ5個。両性花はやや大きく、雄しべ5個と長い子房と発達した花柱2個がある。果実は2分果、基部が細くて先が太い長さ約2㎝のこん棒状で、上向きの毛がある。果実が熟すと褐色になり、下部から裂開し、2個の分果に分かれて落ちる。分果の果皮は硬くて取れ難く、円柱状の種子が1個入る。花期は4~5月。
【Flora of Chinaの解説】
多年草、高さ25~70cm。 直根は芳香がある。茎は緑色または帯紫色。根生葉は葉柄がある。葉柄は長さ5~26㎝。葉身は長さ29㎝×幅25㎝・以下。羽片は2~4対。最終裂片は卵形~卵状披針形、長さ(0.5~)1~6(~9)㎝×幅(0.2~)0.5~5(~8)㎝、両面に剛毛または直軟毛があり、白色の毛をもち、ときに脈上だけに制限される。 花序柄は長さ4~22㎝。苞は1~4個、錐形~線形、長さ0.5~1.2㎝、早落性。大散形花序の柄は3~5本、長さ2~5㎝、果時には10cmまでに伸びる。小苞は4~5個、披針形~卵状披針形、長さ2~5㎜×幅1~1.5㎜、下面と縁に毛があり、普通、後屈する。各小散形花序に1~6個の稔性の花がつく。 花弁は倒卵形、約・長さ1.2㎜×幅1mm。花柱は柱下体よりわずかに長い。子房は白色の毛がある。果実は長さ1~2.2㎝×幅0.2~0.25㎝、基部は尾状。隆条はまばらに剛毛があり、基部で最も毛が多い。花期および果期は 5~7月。
1-1 Osmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. montana Makino ミヤマヤブニンジン 深山藪人参
synonym Osmorhiza amurensis F.Schmidt
日本(本州の中部地方以北)、朝鮮に分布。山地の林内に生える。Kew ScienceではOsmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. aristataのsynonym。
茎や花柄が無毛になり、葉の最終裂片の先が尖鋭形。これに対しヤブニンジンは茎や花柄に毛があり、葉の最終裂片の先が鋭形。
1-2 Osmorhiza aristata var. laxa (Royle) Constance & R. H. Shan
synonym Osmorhiza laxa Royle
中国、ブータン、インド、カシミール、ネパール、パキスタン原産。中国名疏叶香根芹 shu ye xiang gen qin。Kew ScienceではOsmorhiza aristata (Thunb.) Rydb. var. aristataのsynonym。
小葉は広卵形または広長卵形で、尖鋭形、基部の対は2裂または2~3深裂し、普通、不規則で粗い歯がある。
参考
1) Flora of ChinaOsmorhiza
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=123340
2) Plants of the World Online | Kew ScienceOsmorhiza
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:40323-1
3) World Flora OnlineOsmorhiza
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000027384
4) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 76: 137-150(2001) 山崎敬 : 日本のセリ科植物Ⅰ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_137_150.pdf