トウゴクマムシグサ 東国蝮草

mark

Flora of Mikawa

サトイモ科 Araceae テンナンショウ属

学 名 Arisaema koidzumianum Kitam.
トウゴクマムシグサ花
トウゴクマムシグサ付属体
トウゴクマムシグサ花2
トウゴクマムシグサ
トウゴクマムシグサ葉
花 期 4~6月
高 さ 30~60㎝
生活型 多年草
生育場所 湿った林内
分 布 在来種 本州(中部内陸地、東北南部、近畿地方西)
撮 影 設楽町 06.5.30
トウゴクマムシグサ(Arisaema koidzumianum Kitam.)はカントウマムシグサ(Arisaema serratum (Thunb.) Schott)に含められた。  テンナンショウ属は中間型も存在し分類が難しく、分類が混乱している。マムシグサ節(sect. Pistillata)は形態的に多型であり、多数の分類群に分けられているが、遺伝的には分化がきわめて小さく、中間型や雑種の花粉稔性も低下しないことも示され、種を統合する見解もある。しかし 明確に別けられる異なる形態群があり、下位分類の研究が続けられている。最近では発芽第一葉の形と平均胚珠数も含めて分類され、カントウマムシグサは発芽第一葉が3小葉であるペダティセクタ亜節(subsect. Pedatisecta)のマムシグサ群に分類される。マムシグサ群は長い偽茎と葉軸の発達する鳥足状小葉により特徴づけられる。マムシグサ群は、①花期が遅く、仏炎苞が葉よりも遅く展開し、 舷部内面に細かい縦皺がある群(カントウマムシグサ亜群)、②花期が早く、仏炎苞が葉よりも早く展開し、舷部内面が平滑な群(マムシグサ亜群)、③花期や仏炎苞展開のタイミングがそれらの中間的で、舷部内面や辺縁にしばしば微細な突起を生ずる群(ホソバテンナンショウ亜群)の3群に別けられる。これにより、マムシグサ(Arisaema japonicum Blume)とカントウマムシグサ(Arisaema serratum (Thumb.) Schott)が区別されるようになった。現在ではカントウマムシグサを広義にとらえ、ムラサキマムシグサ(仏炎苞が紫色のカントウマムシグサ)、アオマムシグサ(仏炎苞が緑色のカントウマムシグサ)、トウゴクマムシグサなどを含めて変異の多いものとし、分布域も広いものとされている。
(1) Arisaema serratum (Thunb.) Schott カントウマムシグサ
  synonym Arisaema koidzumianum Kitam.   トウゴクマムシグサ
  synonym Arisaema serratum f. viridescens (Nakai) T. Koyama 緑色のカントウマムシグサ
  synonym Arisaema serratum var. ionochlamys Nakaj ムラサキマムシグサ   synonym Arisaema hakonecola Nakai[カミヤマテンナンショウ=ムラサキマムシグサ]
 日本(本州、四国、九州[南九州を除く)、千島列島、朝鮮、ロシア原産。普通に見られ、極めて変異に富む。
 高さ30~120㎝。雌雄偽異株で、雄株から雌株に転換する。偽茎部は長く、葉柄部はかなり短い。葉は鳥足状複葉、2(又は1)個つく。葉軸は発達する。小葉は7~17個、長楕円形、先は鋭形、縁は全縁、ときに鋸歯がある。花序柄は葉柄とほぼ同長か又は長い。仏炎苞は葉と同時または遅れて展開する。仏炎苞は普通、葉の上に位置する。仏炎苞は紫褐色~緑色で白色の縦縞(白筋)がある。仏炎苞の筒口辺部はやや開出(~広く外曲)する。舷部は卵形、先は次第に細くなり、長く尖り、内面に隆起する細脈が著しい。花序付属体は有柄、棒状、時に太い棍棒状~頭状。花期は4~6月。(日本産テンナンショウ属図鑑:邑田仁等著、北隆館、2018年)
(2) Arisaema koidzumianum Kitam. トウゴクマムシグサ(カントウマムシグサ) 東国蝮草
 日本本州(北海道、中部内陸地、東北南部、近畿地方西部)、朝鮮、サハリン原産。広義のカントウマムシグサ
 高さ30~60㎝。葉は2個、小葉は長さ15~25㎝の長楕円形、7~9個つく。仏炎苞は緑色~紫色、筒部は長さ5~6㎝、筒口部は少し曲がって耳状となる。舷部はあまり長くならず、長さ6~8㎝。仏炎苞の中にある付属体は先端が太くならずまっすぐな棒状、直径3.5~8㎜、頭状にならない。花期は4~6月