タンザワウマノスズクサ  丹沢馬の鈴草
[学名] Aristolochia tanzawana (Kigawa) Watan. -Toma et Ohi-Toma.
Aristolochia kaempferi Willd. var. tanzawana Kigawa
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae ウマノスズクサ属
三河の植物観察
タンザワウマノスズクサの蕾
タンザワウマノスズクサの花
タンザワウマノスズクサの花2
タンザワウマノスズクサの花5
タンザワウマノスズクサの花3
タンザワウマノスズクサ葉裏の毛
タンザワウマノスズクサ
タンザワウマノスズクサの花3
タンザワウマノスズクサ葉
 オオバウマノスズクサと混同されていたが、詳細な調査が行われた。三河地域はタンザワウマノスズクサの分布域にあり、オオバウマノスズクサの分布域から外れている。
 タンザワウマノスズクサは葉の下面の脈上の毛が開出毛であるが、オオバウマノスズクサは伏毛。タンザワウマノスズクサの成熟葉は黄緑色で光沢の無いことが多い。花被の高さ(絃部最上部~筒部の再下部)は3~4.5 ㎝でオオバウマノスズクサ(2~4㎝)より大きく、花被の外側の毛は直立し、ビロード状になる。花被の色はやや白っぽく、舷部の条線はオオバウマノスズクサより太くて濃く、ときに全面を被う。
 つる性木、絡み付き、長さ1m以下又はそれ以上、ときに攀縁(はんえん)性。若枝は淡緑色、円柱形、有毛。古い枝は円柱形、条線があり又は攀縁(はんえん)するつるでは緑色。葉身は心形、卵形~狭卵形、三角形、基部は心形、ときに基部に円い側裂片をもち、先は鈍形又は尖鋭形、又は中裂片は狭くなり、基部に耳があり、長さ3~「18㎝×幅4~16㎝、草質~革質、上面は緑色又は薄緑色、毛が密生し、下面は灰緑色、有毛、葉脈は明瞭、開出毛(spreading hairs)をもつ。葉柄は長さ1.5~10㎝。花は単生又は側枝の前出葉の葉腋に少数つく。花柄は薄緑色、長さ20~45㎜。苞は普通、花柄の基部につき、卵形、長さ4~7.5㎜。花被の筒はU形、高さ3~4.5㎝、幅は室部(utricle)で8~13㎜、上部1/3は細く、幅4.5~8.5㎜、外側は白黄色~クリーム色、ビロード状の直毛がある。内側は緑黄色で紫色の斑紋があり、平滑、のど部には暗紫色の豹斑がある。筒口(perianth mouth)は円形~扁卵形、舷部の中心付近にあり、高さ4~10㎜×幅7~14.5㎜。舷部(limb)は前から見て、円形~広倒卵形、浅く3裂、高さ18~31㎜×幅19.5~32.5㎜、平滑、帯白色~緑黄色で暗紫色の条線又はときに、全体が黒紫色になる。雄しべは6個、花柱につく。葯は長円形。柱頭は3裂、三角形。子房は下位。蒴果は有毛、円筒形~狭楕円形、6本の未発達のうねがあり、長さ3.5~6㎝、先から裂開する。種子は扁平、狭卵形、長さ約5㎜。花期は4~6月。果期は5~8月。2n = 32。
[花期] 4~6月
[高さ] 長さ1m以下又はそれ以上
[生活型] つる性木
[生育場所] 山地の林内、林縁
[分布] 在来種 本州(茨木県、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、岐阜県)
[撮影] 葦毛湿原  04.4.17

 ウマノスズクサ属

 family Aristolochiaceae - genus Aristolochia

 低木又は草本、まれに亜低木又は藤本 、普通、絡み付き又はよじ登り、まれに、直立する。根はしばしば、塊根になる。茎は木質又は草質。葉は互生、葉脈は羽状又は掌状、基部から3~7本、縁は全縁又は3~7裂する。花は腋生、ときに、古い木質の茎から生じ、単生、束生又は花序につく。花被は単列につき、左右相称(中国では)。花被片(花弁が無く、咢片)は融合し、筒部は基部又は基部付近でしばしば、大きくなり、室部(utricle)を作り、先は円筒形又は漏斗形になり、真っすぐ又は曲がる。舷部(limb 拡大部)は舌形、円盤形又は類盾形、裂片は1~3個(まれに6歯以下)。雄しべは6個、1列につき、花柱に完全につき、ずい柱( gynostemium)を形成する。花糸は欠く。葯は外向き。子房は下位、6室、6角(かど)がある。心皮は完全に合着する。ずい柱は3又は6裂。果実は乾いた蒴果、6バルブ、先から(求頂的に)又は基部から(求基的に)裂開[又は非裂開]。種子は平ら又は平凸形、翼は有又は無、肉質の珠柄をもち、膜質のエライオソームとして種子の上に宿存する。
 世界に約400種があり、旧世界とオーストラリアの熱帯、亜熱帯、温帯に広く分布する。


 ウマノスズクサ属の主な種と園芸品種

 1  Aristolochia contorta Bunge  マルバウマノスズクサ
   synonym Aristolochia nipponica Makino 
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は北马兜铃 bei ma dou ling 。
 草本、絡み付く。茎は円柱形、無毛。葉柄は長さ2~7㎝、無毛。葉身は狭三角形~デルタ状心形、長さ3~13㎝×幅3~10㎝、紙質、両面とも無毛、掌状脈、基部から2~3対、基部は心形、 湾入は深さ約1.5㎝、先は鋭形又は鈍形。総状花序は葉のあるシュートの葉腋につき、花が2~8個、ほぼ束生。花柄は斜上し、長さ1~2㎝、無毛。小苞は卵形、約長さ1.5㎝×幅1㎝。咢は黄緑色、紫色の脈をもつ。咢筒は直線的又はわずかに曲がり、外面は無毛、室部は無毛、直径約6㎜、無柄、筒部は約長さ14㎜×幅3㎜、舷部は片側性、舌形、卵状披針形、約長さ3.5㎝×幅1㎝、先は長い尖鋭形、捻じれた長さ1~3㎝の尾状。葯は楕円形、長さ約0.5㎜。ずい柱は6裂。蒴果は広倒卵形~楕円状倒卵形、長さ 3~6.5㎝×幅2.5~4㎝、求頂的に裂開する。種子はデルタ状心形、長さ3~5㎜×幅3~5㎜、膜質の翼をもつ。花期は5~7月。果期は8~10月。

 2  Aristolochia cymbifera Mart. & Zucc.
 ブラジル原産。
品種) 'Domingos Martins' , 'Gonzaga' , 'Mangaratiba' , 'Minas Gerais' , 'Santa Maria Magdalena' , 'Serro'
 3  Aristolochia cucurbitifolia Hayata  コロバウマノスズクサ
 台湾原産。中国名は瓜叶马兜铃 gua ye ma dou ling

 4  Aristolochia debilis Siebold et Zucc.  ウマノスズクサ 馬の鈴草
 日本、中国原産。中国名は马兜铃 ma dou ling
 蔓性で全体、無毛。葉は互生し、粉緑色、有柄、全縁、長さ4~7㎝の三角状卵形、葉先は円頭、基部は両側が耳状に張りだした心形。花は葉腋につき、長い筒状花。花弁はなく、3個の萼(花被)が合着して花弁状の筒になり、舷部は広がり、筒の基部が球形になって、花柄と続く。花の外側は黄緑色、筒部の内側には逆毛がある。舷部は内側が紫褐色、上端が三角状に長くなる。雄しべ6個、雌しべ1個は筒の球形の基部にある。雌性先熟で、雌性期には筒部の逆毛が長く、ハエが入ると出られなくなる。雄性期には逆毛が萎縮してハエが出られるようになる。冬期には地上部は枯れる。花期は7~9月。

 5  Aristolochia gibertii Hook.
 アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ原産。英名は Pipe Vine
品種)  'Mato Grosso'


 6  Aristolochia grandiflora Sw.  ペリカンバナ
 南アメリカ(ジャマイカ、ベリーズ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、コロンビア、エクアドル)、メキシコ原産。英名はduckflower , pelican-flower

 7  Aristolochia kaempferi Willd.  オオバウマノスズクサ 大葉馬の鈴草
   synonym Isotrema kaempferi (Willd.) H.Huber 
 日本、中国、台湾原産。中国名は异叶马兜铃 yi ye ma dou ling
。花は黄色く正面からみると円形もしくは倒卵形で、筒口内部は濃い紫色のことが多い。和名の由来はウマノスズクサよりも葉が大きいことから。葉の形態は変化が多く、西日本(近畿~九州地方)では開花個体が多くみられない地域があり、分類が難しい。
 中国産のものがあるとされ、Flora of Chinaniに記載されているが、最近の日本内の研究では日本固有種とされている。
【Flora of Chinaの解説】
 低木、よじ登り、やや草質。茎は円柱形、条線があり、絨毛があり、無毛になる。葉柄は長さ1.5~6㎝、密に絨毛がある。葉身は卵形、卵状披針形、倒卵状長円形、又は線形、長さ3~18㎝、幅0.3~8㎝、紙質、下面はまばらに白色の絨毛があり、上面は無毛、脈は掌状、基部から2~4対、基部は浅い心形~耳形、湾入は深さ0.5~1㎝、縁は分裂又は全縁、先は鋭形~尖鋭形。花は腋生、単生又は双性。花序柄は普通垂れ下がり、長さ2~7㎝、有毛。小苞は帯褐色、卵形~披針形~類円形、長さ5~15㎜×幅3~15㎜、花序柄の基部又は中間につき、短い柄があるか又は無柄、抱茎。咢は黄緑色で紫色の脈があり、のど部は黄色、長さ3~4㎝、筒部は馬蹄形、外面は絨毛があり、筒部の基部の部分は20~25㎜×幅30~80㎜、舷部は円盤状類円形、直径2~3㎝、3浅裂、裂片は広卵形。葯は長円形、長さ約1㎜。ずい柱は3裂。蒴果は円筒形又は卵形、長さ3~7㎝×幅1.5~2㎝、求基的に裂開する。種子は倒卵形、長さ3~4㎜×幅2~3㎜。花期は3~5月。果期は6~8月。

【日本国内のオオバウマノスズクサ】
 日本固有種 本州の西部の太平洋岸(千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、三重県、京都、奈良県、和歌山県、兵庫県、岡山県、広島県、山口県)、四国(香川県、徳島県、愛媛県、高知県)、九州(福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)、種子島、屋久島。
 絡み付くつる性木、長さ2~10m又はそれ以上。若枝は淡緑色、円柱形、有毛。古い枝は灰色、円柱形、条線がある。葉身は心形~卵形~狭卵形、基部は心形、ときに、基部に円い側裂片をもち、細は鈍形又は尖鋭形又は中裂片が狭くなり、基部に耳をもち、長さ3~18㎝×幅4~20㎝、草質~革質、上面は緑色又は薄緑色でまばらに毛があり、下面は灰緑色で短毛があり、葉脈が目立ち、伏毛がある。葉柄は長さ1.5~9㎝。花は側枝の前出葉の葉腋に単生する。花柄は薄緑色又はまれにはっきりした赤紫色、長さ18.5~41.5㎜。苞は普通、花柄の基部につき、卵形、長さ3.5~7㎜。花被の筒はU形、長さ2~3㎝、幅は室部(utricle)で5~10.5㎜、上部1/3は細く幅3.5~4.5㎜、外側は白黄色~クリーム色、有毛、内側は緑黄色で紫色の斑紋があり、平滑、のど部には帯赤色~暗紫色の斑点がある。筒口(perianth mouth)は円形~扁卵形、高さ3.5~5.5㎜×幅5.5~8㎜。舷部(limb)は広倒卵形、浅く3裂、先は内側に曲がり又は曲がらず、前から見て、高さ16~23㎜×幅13.5~30.0㎜、平滑、帯黄色で細かい赤紫色~暗紫色の密な条線又は下部が網目になり、まれに条線がなく、全体が黒紫色又は白黄色になる。雄しべは6個、ずい柱につく。葯は長円形。柱頭は3裂、三角形。子房は下位。蒴果は円筒形~狭楕円形、6本のうねが発達し、長さ2.5~5㎝、先から裂開する。種子は扁平、狭楕円形、長さ約5㎜。花期は(3)4~6月。果期は5~8月。2n = 32。(参考4)

 8  Aristolochia liukiuensis Hatus.  リュウキュウウマノスズクサ 琉球馬の鈴草
 日本固有種(奄美諸島、沖縄諸島、久米島は除く)
 つる性木、長さ4~10m。若い茎は軟毛が密生し、古い茎は木化し、無毛になる。 葉は円心形~広卵形~三角状心形、長さ4~18㎝×幅5~20㎝、先は鈍形~鋭形、基部は心形、厚い革質、下面の脈上には伏毛があり、脈は著しく隆起する。花は葉腋に1~数個が集ってつく。花被は高さ(花被片の最上部~筒部に最下までの高さ)3~4.5㎝、外面は淡黄色~黄緑色。舷部(拡大部)は縁がやや反り返り、正面から見ると広倒卵形、3浅裂し、内面は普通、黄緑色で、赤褐色~濃紫色の条紋が密にあり、しばしば網目状または全体が赤褐色となる。筒部の筒部の上部と室部の境はくびれる。筒部内壁は黄緑色で濃紫色の斑紋が入る。蒴果は円筒状~長楕円形、長さ5~7㎝、発達した6個の稜角がある。花期は12~3月。

 9  Aristolochia manshuriensis Kom.  キダチウマノスズクサ
   synonym Isotrema manshuriensis (Kom.) H.Huber
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は关木通 guan mu tong 。英名はManchurian birthwort
 低木、よじ登る。茎は円柱形、真っすぐ、密に白色の絨毛がある。葉柄は長さ6~8㎝、絨毛がある。葉身は心形~円形、長さ15~29㎝×幅13~28㎝、革質、両面とも白色の絨毛があり、上面は無毛になり、掌状脈、基部から2~3対、基部は心形、 湾入は深さ1~4.5㎝、先は鈍形又は鋭形。花は腋生、単生又は双性。花序柄は垂れ下がり、長さ1.5~3㎝、無毛。小苞は卵状心形~心形、、長さ約1㎝、花序柄の中間の下につく。咢の拡大部は紫色長さ4.5~5.5㎝。咢筒は馬蹄形、外面には白色の粗毛がある。咢筒の基部は長さ20~25㎜×幅10~12㎜、舷部は円盤形、直径4~6㎝、3裂し、裂片は広デルタ形。葯は長円形、長さ2~3㎜。ずい柱は3裂。蒴果は狭円筒形、長さ9~11㎝×幅3~4㎝、求基的に裂開する。種子はデルタ状心形~心形、長さ6~7㎜×幅6~7㎜、両面ともわずかに平凸面、しわがある。花期は6~7月。果期は8~9月。

 10  Aristolochia mollissima Hance ワタゲウマノスズクサ(ビロードウマノスズクサ)
 中国原産。中国名は寻骨风 xun gu feng
 低木、よじ登る。茎は円柱形、密に灰色~白色の綿毛がある。葉柄は長さ2~5㎝、密に綿毛がある。葉身は心形~卵状心形、長さ3.5~10㎝×幅2.5~8㎝、紙質、下面は密に灰色~白色の綿毛があり、上面は密に剛毛があり、掌状脈、基部から2~3対、基部は心形又は耳形、 湾入は深さ1~2㎝、先は鈍形又は鋭形。花は単生。花序柄は垂れ下がり、長さ1.5~3㎝、密に綿毛がある。小苞は卵形~長円形、長さ5~15㎜×幅3~10㎜、花序柄の基部の1/3につく。咢は帯黄色、脈が紫色、のど部は紫色、長さ4~5㎝、筒部は鋭角に屈曲し、筒部の外面には密に白色の綿毛があり、筒の基部は長さ5~15㎜×幅3~6㎜。舷部は円盤形、直径2~2.5㎝、浅く3裂する。裂片は広卵形。葯は長円形、長さ約1㎜。ずい柱は3裂。蒴果は円筒形~卵状円筒形、縁が波打ち、長さ約3.5㎝×幅1.5~2㎝、求基的に裂開する。種子は卵状デルタ形、約長さ4㎜×幅3㎜。花期は3~6月。果期は8~10月。

 11  Aristolochia serpentaria L.
   synonym Aristolochia convolvulacea Small
   synonym Aristolochia hastata Nutt.
   synonym Aristolochia nashii Kearney
 北アメリカ(USA)原産。英名はDutchman's Pipe , serpentary , snakeroot , Virginia serpentary , Virginia snakeroot
品種) 'Eagle Rock'

 12  Aristolochia shimadae Hayata  アリマウマノスズクサ 有馬馬の鈴草
   synonym Aristolochia mollis auct. non Dunn
   synonym Aristolochia onoei Franch. et Sav. ex Koidz.
   synonym Aristolochia heterophylla auct. non Hemsl. 
   synonym Aristolochia kaempferi auct. non Willd. 
葉形態の変異が大きく,葉形態のみでの同定ではオオバウマノ スズクサとの区別が難しい.しかし,特に西日本では,一般に葉形態に着目して「心形葉は オオバウマノスズクサ」,「三裂葉はアリマウマノスズクサ」と同定されており,しばしばオ オバウマノスズクサとアリマウマノスズクサが混同されてきた.実
 日本固有種(兵庫県、佐賀県、長崎県、熊本県、沖縄県)。別名はホソバウマノスズクサ(間違うので使わない方がよい)
つる性の木、長さ2~3m。葉は広卵形~披針形、普通、3裂し、側裂片が円く張り出した耳形、質はやや薄く、下面の毛も少ない。花被片は合着し、筒部は強く曲がり、基部は花柱を囲み、やや太くなる。舷部(拡大部)は浅く3裂し、普通、逆三角形に見え、濃紫褐色、筒口内部は普通、黄色。蒴果は長楕円形、6本の縦の稜がある。花期は5~6月。

 13  Aristolochia tanzawana (Kigawa) Watan.-Toma et Ohi-Toma  タンザワウマノスズクサ 丹沢馬の鈴草
   synonym Aristolochia kaempferi Willd. var. tanzawana Kigawa
 日本固有種(関東地方~東海地方:茨木県、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、岐阜県)。山地の林内や林縁などに生える。オオバウマノスズクサと混同されていたが、詳細な調査が行われた。
 詳細な分布域は次のとおり。
  愛知県知多半島から静岡県藤枝市と、そこから内陸に大井川・安倍川の上流、山梨県南部町・富 士五湖周辺・道志周辺、神奈川県丹沢山系・相模湖周辺、隔離して茨城県筑波山周辺。(参考3)
 タンザワウマノスズクサは葉の下面の脈上の毛は開出毛、オオバウマノスズクサは伏毛。タンザワウマノスズクサの成熟葉は黄緑色で光沢の無いことが多い。花被の高さ(絃部最上部~筒部の再下部)は3~4.5 ㎝でオオバウマノスズクサ(2~4㎝)より大きく、花被の外側の毛は直立し、ビロード状になる。花被の色はやや白っぽく、舷部の条線はオオバウマノスズクサより太くて濃く、ときに全面を被う。
 つる性木、絡み付き、長さ1m以下又はそれ以上、ときに攀縁(はんえん)性。若枝は淡緑色、円柱形、有毛。古い枝は円柱形、条線があり又は攀縁(はんえん)するつるでは緑色。葉身は心形、卵形~狭卵形、三角形、基部は心形、ときに基部に円い側裂片をもち、先は鈍形又は尖鋭形、又は中裂片は狭くなり、基部に耳があり、長さ3~「18㎝×幅4~16㎝、草質~革質、上面は緑色又は薄緑色、毛が密生し、下面は灰緑色、有毛、葉脈は明瞭、開出毛(spreading hairs)をもつ。葉柄は長さ1.5~10㎝。花は単生又は側枝の前出葉の葉腋に少数つく。花柄は薄緑色、長さ20~45㎜。苞は普通、花柄の基部につき、卵形、長さ4~7.5㎜。花被の筒はU形、高さ3~4.5㎝、幅は室部(utricle)で8~13㎜、上部1/3は細く、幅4.5~8.5㎜、外側は白黄色~クリーム色、ビロード状の直毛がある。内側は緑黄色で紫色の斑紋があり、平滑、のど部には暗紫色の豹斑がある。筒口(perianth mouth)は円形~扁卵形、舷部の中心付近にあり、高さ4~10㎜×幅7~14.5㎜。舷部(limb)は前から見て、円形~広倒卵形、浅く3裂、高さ18~31㎜×幅19.5~32.5㎜、平滑、帯白色~緑黄色で暗紫色の条線又はときに、全体が黒紫色になる。雄しべは6個、花柱につく。葯は長円形。柱頭は3裂、三角形。子房は下位。蒴果は有毛、円筒形~狭楕円形、6本の未発達のうねがあり、長さ3.5~6㎝、先から裂開する。種子は扁平、狭卵形、長さ約5㎜。花期は4~6月。果期は5~8月。2n = 32。(参考4)

 14  Aristolochia trilobata L.
   synonym Aristolochia macroura Gomes
   synonym Aristolochia triloba Salisb.
 南アメリカ原産。英名はPipe Vine。
 わずかに木質のつる性木、絡み付き、長さ3~5m。茎は細く、光沢があり、円筒形、無毛、若い部分はピンク色。葉は互生。葉身は3裂、長さ8~14㎝×幅10~16㎝、皮革質、裂片は浅く~深く、先は円形又は鈍形、基部は類心形又は切形、縁は全縁又は切れ込み、上面は暗緑色、光沢があり、無毛、掌状脈をもち、やや窪み、帯黄色。下面は淡緑色、微軟毛があり、葉脈は網状、明瞭、微軟毛がある。葉柄は丈夫、円筒形、長さ2~4.5㎝、無毛、基部が広がる。偽托葉は円形又は腎形、長さ1~1.5㎝、茎を被う。花は単生、垂れ下がる。花序柄は長さ7㎝以下。小嚢は楕円形、長さ2.5~4㎝、筒部は真っすぐ、長さ4.5~7.5㎝、斜上し、小嚢に対して 50° ~ 60°の角度になる。舷部は1裂片、緑黄色、暗紫色の斑点があり、上側の裂片は尾状の付属体をもち、長さ10~31㎝、斜上して弓状。蒴果は長円形、長さ6~8㎝、6本の縦の肋をもつ。種子は多数、膜質、三角形、長さ約7㎜、扁平。花期と果期はほぼ通年。
品種)  'Cardoso Moreira' , 'Seropedica'

 15  Aristolochia zollingeriana Miq.  コウシュンウマノスズクサ 恒春馬の鈴草
   synonym Aristolochia tubiflora auct. non Dunn 
   synonym Aristolochia roxburghiana Klotzsch subsp. kankauensis (Sasaki) Kitam. 
   synonym Aristolochia kankauensis Sasaki 
   synonym Aristolochia tagala Cham. var. kankauensis (Sasaki) T.Yamaz. 
   synonym Aristolochia tagala auct. non Cham.
 日本(宮古島)、台湾、インドネシア、マレーシア原産。中国名は港口马兜铃 gang kou ma dou ling 。
  草本、絡み付く。茎は6角(かど)があり、無毛。葉柄は長さ1.5~3.5㎝、無毛。葉身は三角状卵形~菱状心形、長さ5~7㎝×幅5~7.5㎝、下面は密に微軟毛があり、上面は無毛、掌状脈、基部から2~3対、基部は浅い心形、 先は鋭形。総状花序は葉のあるシュートの葉腋につき、花が3~4個、長さ1~4㎝。花柄は斜上し、長さ約1㎝、無毛。小苞は卵形、約長さ1.5㎜×幅1㎜。咢は褐紫色、長さ3~5㎝。咢筒は直線的又はわずかに曲がり、小嚢は無毛、直径約5㎜、柄は長さ2~3㎜。筒部は長さ8~10㎜×幅3~5㎜、舷部は舌形、長円形、長さ1.5~2.55㎝×幅0.3~0.5㎝、先は鈍形。葯は卵形、長さ約1㎜。ずい柱は6裂。蒴果は円筒形長さ 5~6㎝×幅約2㎝、求頂的に裂開する。種子は卵状デルタ形、約長さ7㎜×幅6㎜、翼をもつ。花期は7月。果期は8月。

 16  Aristolochia kaempferi × A. tanzawana
 タンザワウマノスズクサ(筑波山付近から太平洋側内陸部を愛知県蓬莱山付近まで)とオオバウマノスズクサ(関東以西の太平洋側,四国,九州)の分布境界では,両者の推定交雑個体が観察されている(Kigawa 1989,城川2001)
 17  オオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサの推定雑種も観察されている。

 18  その他ハイブリッド
品種)  'Cerrado' , 'Chapada dos Guimaraes' , 'Conceicao do Mato Dentro' , 'Itarana' , 'Jacroa' , 'Macae de Cima' , 'Morro do Pilar' , 'Peixoto de Azevedo' , 'Ponta Pora' , 'Sao Sebastiao' , 'Serra da Vista' , 'Terra Nova do Norte' , 'Tiracambu 2'


 日本産オオバウマノスズクサ群4種の形態的特徴

  表 日本産オオバウマノスズクサ群4種の形態的特徴
オオバウマノスズクサ
A. kaempferi
タンザワウマノスズクサ
A. tanzawana
アリマウマノスズクサ
A. shimadae
リュウキュウウマノスズクサ
A. liukiuensis
葉形  円心形,広卵形,三角状心形で基部は心形.しばしば3裂し両側裂片が円形の耳状になり,中央裂片が細長くなるものもある. 円心形,広卵形,または三角状心形で基部は心形
葉裏の脈上毛 伏毛 開出毛 伏毛 伏毛
花序 葉腋に1個,
まれに2個
葉腋に1個,
まれに2個
葉腋に1個,
まれに2個
葉腋に1~数個が集まる
花被の高さ 2~4 cm 3~4.5 cm 2~4 cm 3~4.5 cm
舷部の形
正面から見た
縁がやや反り返り,広倒卵形 縁がやや反り返り,円形~広倒卵形 縁が著しく反り返り,正面から見ると倒三角形 縁がやや反り返り,正面から見ると広倒卵形
舷部の色や模様 ふつう黄緑色で,赤褐色~濃紫色の条紋があり,しばしば全体または下部が網目状になる.まれに全体が濃紫色またはクリーム色となるものもある. ふつう淡黄緑色で,濃紫色の条紋が密にあり,しばしば網目状または全体が濃紫色となる ふつう全体が濃紫褐色.まれに黄緑色に濃紫褐色の条紋が入るものもある ふつう黄緑色で,赤褐色~濃紫色の条紋が密にあり,しばしば網目状または全体が赤褐色となる
花筒と室部の境 くびれる ややくびれる くびれる くびれる
蒴果 広楕円形~やや長い楕円形で発達した6個の稜角がある 円筒状~長楕円形でやや発達した6個の稜角がある 広楕円形~やや長い楕円形で発達した6個の稜角がある 円筒状~長楕円形で発達した6個の稜角がある
分布域 関東・中部・近畿・中国地方の太平洋側,四国,九州 関東・中部地方の太平洋側 近畿(兵庫),九州北部,南西諸島南部(久米島以南),台湾 奄美諸島,沖縄諸島(久米島は除く)
    ※  参考5より


 参考

1) Flora of China
   Aristolochia
  http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=102606
2) GRIN
  Aristolochia
  https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=970
3) 植物研究雑誌Vol.87 No. 1 (2012).: 67-70.
 オオバウマノスズクサとタンザワウマノスズクサ(ウ マノスズクサ科)の形態的・生態的な違い
 渡邉- 東馬加奈・邑田仁・大井- 東馬哲雄.2012.
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_087_67_70.pdf
4)The Journal of Japanese BotanyVol. 89 No. 3 植物研究雑誌 第89 巻 第3 号 p152–163 (2014)
 Morphological Variations of Aristolochia kaempferi and A. tanzawana (Aristolochiaceae) in Japan
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_089_152_163.pdf
5)分類 第16巻 2号 Bunrui 16(2): 131-151 (2016)
 日本産オオバウマノスズクサ群の分類学史およびオオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサの混同について
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/16/2/16_01602-06/_pdf/-char/ja
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