タマザキフタバムグラ
Flora of Mikawa
アカネ科 Rubiaceae オルデンランディア属
中国名 | 伞房花耳草 san fang hua er cao |
英 名 | flat-top mille graines |
学 名 | Oldenlandia corymbosa L synonym Hedyotis corymbosa (L.) Lam. |
花 期 | 8~11月(通年) |
高 さ | 10~40㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 空地、草地 |
分 布 | 帰化種 熱帯アジア、アフリカ、アメリカ原産 |
撮 影 | 幡豆町 11.11.9 |
1年草。高さ10~40㎝。茎は、這い、先が立ち上がり、4稜形~平らになり、2溝があり、よく分枝し面は無毛、角は厚く~翼になり、微軟毛やわずかなザラつきがある(var. corymbosa)。又は円柱形~平らになり、全体に疎~密にわずかにザラつき~微軟毛がある(var. tereticaulis)。葉は対生し、ほぼ無柄。葉身は乾くと膜質、線形~狭披針形~狭楕円形、長さ0.8~2(~3)㎝×幅1~5㎜、上面はまばらにわずかにザラつき~軟毛があり、下面は無毛になり、基部は楔形~鋭形、縁は乾くと普通、少なくとも短く外巻きし、先は鋭形、2次脈は見えない。托葉は膜質、葉柄の基部に合着し、短い長さ1~2㎜の筒状(鞘状)になり、微軟毛があるか又は無毛、先は円形~三角形で1~5(~7)本の長さ0.2~2.5㎜の線形の裂片又は剛毛があり、これらはときに2裂する。花序は腋生、花が1個又は普通、集散花序に2~5個つき、無毛、花序柄がある。花序柄は腋に1(~2)本、糸状、長さ1~16㎜。苞は無く又は托葉状で長さ1~1.2㎜。花柄は細く、長さ2~12㎜。花は1形花柱性(homostylous)、花柄がある。萼は無毛~微軟毛があり、花托筒部分はほぼ球形~狭楕円形、長さ0.5~0.8㎜。拡大部は本質的に基部まで分裂し、萼片は狭三角形、長さ0.5~1.2㎜、全縁~繊毛(細かい縁毛)がある。花冠は白色又はピンク色、漏斗形~車形。花冠筒部は長さ0.8~1㎜、内側に微軟毛があるか又は無毛。花冠裂片はへら状長円形~狭三角形、長さ0.5~0.8㎜。葯は突き出ず、長さ約0.6㎜。柱頭は長さ0.3~0.5㎜、突き出ない。果実は蒴果、類球形~卵形~扁球形、長さ1.2~2㎜×幅1.2~2.2㎜、やや双小果状(dicoccous)、膜質、無毛~微軟毛があり胞背裂開、先は平ら~広円形、嘴は有れば、長さ0.5㎜以下、花序柄と花柄は果実が大きくなるとすぐに長くなる。種子は20個又はそれ以上、暗褐色、長さ約0.4㎜の3稜形で角(かど)があり、平滑。花期と果期はほとんど通年。2n=18。
フタバムグラは葉が細く、花が葉腋に1~2個つく。
海岸の岩場に生えるソナレムグラは葉の幅が広く、5~12㎜の広卵形。
オルデンランディア属
family Rubiaceae - genus Oldenlandia1年草または多年草、陸生で、しばしば細く、両性花。葉は対生、等葉性(isophyllous)、全体に栽培化されず、平行脈ではない。托葉は葉柄間、葉柄に融合し、三角形、全縁又は2裂し、櫛状または2~4裂又は剛毛があり、直立、宿存または脱落し、裂片は明らかに開く。花序は腋生または時に頂生し、花序柄は無又は有、集散花序、または頻繁に花が単生~束生し、苞は減じる。花は花柄があり、2形花柱性又は1形花柱(homostilas)、明らかに雄性先熟。萼は4裂。花冠は車形、筒形、又は漏斗形、白色~ピン色、花冠裂片は4個、敷石状、付属体は無い。雄しべ4本、葯は背着、時に無柄、突き出ないかまたは突き出る。柱頭は1個で頭状、または2個で短い線形、突き出ないか又は突き出る。子房は2室、胚珠は各室に少数~多数、腋生。果実は蒴果、先端から胞背裂開、ときに胞間裂開、普通、ほぼ球形、ときにパピラがある(Mesoamerica)。種子には角(かど)がある。
世界に約200種あり、熱帯、亜熱帯に広く分布。
オルデンランディア属の主な種と園芸品種
1 Oldenlandia corymbosa L. タマザキフタバムグラsynonym Hedyotis corymbosa (L.) Lam
熱帯アジア、アフリカ、アメリカ原産。中国名は伞房花耳草 san fang hua er cao。英名はflat-top mille graines。
1年草。高さ10~40㎝。茎は、這い、先が立ち上がり、4稜形~平らになり、2溝があり、よく分枝し面は無毛、角は厚く~翼になり、微軟毛やわずかなザラつきがある(var. corymbosa)。又は円柱形~平らになり、全体に疎~密にわずかにザラつき~微軟毛がある(var. tereticaulis)。葉は対生し、ほぼ無柄。葉身は乾くと膜質、線形~狭披針形~狭楕円形、長さ0.8~2(~3)㎝×幅1~5㎜、上面はまばらにわずかにザラつき~軟毛があり、下面は無毛になり、基部は楔形~鋭形、縁は乾くと普通、少なくとも短く外巻きし、先は鋭形、2次脈は見えない。托葉は膜質、葉柄の基部に合着し、短い長さ1~2㎜の筒状(鞘状)になり、微軟毛があるか又は無毛、先は円形~三角形で1~5(~7)本の長さ0.2~2.5㎜の線形の裂片又は剛毛があり、これらはときに2裂する。花序は腋生、花が1個又は普通、集散花序に2~5個つき、無毛、花序柄がある。花序柄は腋に1(~2)本、糸状、長さ1~16㎜。苞は無く又は托葉状で長さ1~1.2㎜。花柄は細く、長さ2~12㎜。花は1形花柱性(homostylous)、花柄がある。萼は無毛~微軟毛があり、花托筒部分はほぼ球形~狭楕円形、長さ0.5~0.8㎜。拡大部は本質的に基部まで分裂し、萼片は狭三角形、長さ0.5~1.2㎜、全縁~繊毛(細かい縁毛)がある。花冠は白色又はピンク色、漏斗形~車形。花冠筒部は長さ0.8~1㎜、内側に微軟毛があるか又は無毛。花冠裂片はへら状長円形~狭三角形、長さ0.5~0.8㎜。葯は突き出ず、長さ約0.6㎜。柱頭は長さ0.3~0.5㎜、突き出ない。果実は蒴果、類球形~卵形~扁球形、長さ1.2~2㎜×幅1.2~2.2㎜、やや双小果状(dicoccous)、膜質、無毛~微軟毛があり胞背裂開、先は平ら~広円形、嘴は有れば、長さ0.5㎜以下、花序柄と花柄は果実が大きくなるとすぐに長くなる。種子は20個又はそれ以上、暗褐色、長さ約0.4㎜の3稜形で角(かど)があり、平滑。花期と果期はほぼ通年。2n=18。
1-1 Oldenlandia corymbosa var. caespitosa (Benth.) Verdc.
synonym Oldenlandia caespitosa (Benth.) Hiernインド、ブータン、レバノン・シリア、オマーン、サウジアラビア、アフリカ、マダガスカル原産。標高1560m以下の砂地、森林の端、森林、草原、小川沿いの岩の間、道路沿い、耕作地や荒れた場所に生える雑草。
1年草。茎は長さ30㎝まで、匍匐またはほぼ直立する。葉は対生し、狭楕円形、長さ2.5㎝以下、上面、縁、およびときに下面にまばらにザラつく毛がある。托葉鞘は長さ0.5~3㎜、3~5個の小さな房状へりがある。花は腋に単生またはより花序柄の多い花序につき、しばしば同じ節に集まる。この変種では、花序柄のある花序も花が1個である。花冠は白色、しばしば青ピンク色または紫色を帯びる。蒴果は卵形、約・長さ2.2㎜×幅2.8㎜・以下、嘴はほとんどない。この変種は、花序柄のある花序がほとんど花が1個である点で var. corymbosa と異なる。
1-2 Oldenlandia corymbosa var. corymbosa
synonym Oldenlandia pseudocorymbosa (Bakh.f.) Raizada
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、四川省、浙江省)、熱帯アジア、アフリカ、アメリカ原産。中国名は伞房花耳草 san fang hua er cao。水田、農地のうね、湿った草原に生える。
茎は4稜形、無毛~軟毛があり、及び/または角(かど)が細かくざらつく。花期と果期ははほぼ1年中。
1-3 Oldenlandia corymbosa var. erecta (Manilal & Sivar.) Anandhapr. & Gnanasek.
synonym Hedyotis erecta Manilal & Sivar.synonym Oldenlandia erecta (Manilal & Sivar.) R.R.Mill
インド、ネパール、ブータン、スリランカ、インドネシア原産。乾いた斜面、畑の縁、水田に生える。
1年草、ほぼ直立、ときに傾伏する。茎は長さ7~35㎝、細く、分枝し、4角(かど)があり、角がザラつく。葉は対生し、無柄、線状楕円形、長さ9~26㎜×幅1.5~3.5㎜m、先は鋭形~尖鋭形、基部は漸尖し、短い偽葉柄になり、偽葉柄の基部は広がらずまたは心形にならず、縁は内巻きし、上面は無毛で明瞭な表皮細胞があり、下面は無毛で、束晶がある(rhaphides)。托葉は膜質、合着し、2~3本の糸状の付属体があり、托葉の下部はザラつき、付属体は無毛。花は腋生の花序柄のある集散花序につく。花序柄は長さ7~10㎜、糸状でやや硬く、開出または直立・開でし、4稜があり、ほぼ無毛。小花柄は長さ1.5~4.5㎜、各対の小花柄はわずかに不均等、ほぼ無毛、苞はないか、あっても極めて小さく、線形でほぼ無色。萼筒は花時には倒卵形、長さ約1㎜、果時にはほぼ球形になり、束晶があるがある。萼片は狭三角状披針形、長さ0.6~0.8㎜、先は尖鋭形、小剛毛がある(setulose)。花冠は白色または帯ピンク色、長さ約2.5㎜、花冠筒部は円筒形で萼筒の長さの2倍だが、萼片ではぼぼ等しく、内側に輪状の毛があり、花冠裂片は短い。葯は花冠筒部の上部近くの、輪状の毛の真下につく。蒴果はほぼ球形、長さ1.8~2.2㎜、王冠は低い。花期は4~10月。
1-4 Oldenlandia corymbosa var. linearis (DC.) Verdc.
synonym Oldenlandia linearis DC.
インド、パキスタン、ネパール、ブータン、アフリカ原産。標高500~1350mの草地や平野の周りの砂質土壌、岩場浅い土壌、湿った川岸に生える。ときに芝生や庭の雑草として生える。
花序は主に2~6個の花がつく。葉は主に線形で幅3mm未満。植物はより直立しており、葉はより直立していることが多い。
1-5 Oldenlandia corymbosa var. microcarpa Bremek.
アフリカ(アンゴラ、カメルーン、コンゴ、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、ザイール)原産。
1年草。
1-6 Oldenlandia corymbosa var. nana (Bremek.) Verdc.
synonym Hedyotis corymbosa var. nana (Bremek.) H.B.Naithani
synonym Oldenlandia linearis var. nana Bremek.
アフリカ(ケニア、タンザニア、ウガンダ)原産
var. linearis に似ているが、高さがわずか1.5~7㎝しかなく、小さい点が異なる。
1-7 Oldenlandia corymbosa var. tereticaulis (W.C.Ko) R.J.Wang
synonym Hedyotis corymbosa var. tereticaulis W. C. Ko
中国(海南省)原産。中国名は圆茎耳草 yuan jing er cao。農地のうね、湿気のある開けた田畑に生える。
茎は円柱形~扁平で、全体に粉状の微軟毛がある。花期と果期はほぼ一年中。
2 Oldenlandia brachypoda DC. フタバムグラ⇒Scleromitrion brachypodum (DC.) T.C.Hsu
YListではフタバムグラの学名としているが、POWOではScleromitrion brachypodum (DC.) T.C.Hsuのsynonymとしている。3 Oldenlandia paniculata L. オルデンランディア・パニキュラータ
synonym Hedyotis paniculata (L.) Lam.
synonym Leptopetalum paniculatum (L.) Shih H.Chen & M.J.Wu [参考8]
synonym Neanotis paniculata (L.) M.R.Almeida
synonym Oldenlandia paniculata var. multiflora Miq.
synonym Oldenlandia paniculata var. pygmaea Miq.
中国、台湾、インド、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン原産。分布域の北東限界は台湾である。中国名は小花擬耳草 xiao hua ni er cao。広く分布し、撹乱された生息地では雑草として発生する。シマソナレムグラはLeptopetalum racemosumとされ、この種の分布域から日本は除外されているが、八重山諸島、台湾、フィリピンに分布するシマソナレムグラの形態はむしろこの種に近いという見解もある。ただしこの種の方が全体に小型で、葉も小さく、花の数も少ない。
1年草または2年草、平伏、直立または斜上し、高さ25cmまで伸び、通常は分枝し、茎は4~6角があり、幅0.5~1.5㎜。葉は無柄またはほぼ無柄。托葉は葉柄間、広三角形、長さ1~1.5㎜×幅0.4~0.6㎜、先に3~5本の歯がある。葉身は卵形、楕円形~長円形、長さ5~15㎜×幅5~6㎜、先は鋭形または鈍形、基部は漸尖形~円形、縁には顕微鏡で観察できる歯がある。花序は頂生および腋生、1~3個の花がつく集散花序または緩く5~10個の花がつく総状集散花序。花序柄は長さ2~6cm。小花柄は毛細管状、長さ3~12㎜。花は白色、花托筒は倒卵形、長さ1㎜×幅1.2㎜。萼は4裂し、萼片は三角形、長さおよび幅0.6㎜、縁には微細な歯がある。花冠は筒形、筒部は壷形で長さ0.8~1.2㎜、先の内側に長さ0.5㎜の直毛の輪がある。花冠裂片は4個、筒部と同じ長さの卵形または広楕円形で幅0.5㎜、鈍形。雄しべは4本ある。花糸は長さ0.3㎜で、花冠筒の基部につく。葯は卵形、長さ0.5㎜、暗紫色。花柱は長さ0.3㎜。柱頭は長さ0.5㎜、2分岐。蒴果は倒卵形、ほぼ球形~こま形、弱く扁平、長さと幅は2.5~3㎜で、先端の切れ込みは残存する萼片と同等の高さかそれ以上。種子は倒卵形、ほぼ球形または楕円形、直径0.3㎜、褐色、表面に窪みがある。花期と果期は1年中(Leptopetalum paniculatum (L.) Shih H.Chen & M.J.Wu )。
2019年に報告(Chen&Wu 2019)されたLeptopetalum paniculatum (L.) Shih H.Chen & M.J.WuはICN Shenzhen Code Art. 41.1 および 41.7 (Turland et al. 2018) では無効である(参考8)。POWOではOldenlandia paniculata L.としている。
シマザクラ属
family Rubiaceae - genus Leptopetalum1年草または多年草または低木(草本と木本が含まれる)。直立または斜上し、基部で分岐し、半多肉質。茎は4稜形、4うねがあり、翼またはわずかに翼があり、全体に無毛。托葉は葉柄につき、鞘は切形~三角形、裂片は糸状の付属体で、粘液毛がある(colleter)。葉は対生し、十字対生、楕円形~卵状披針形、膜質。花序は頂生または腋生の集散花序、花序柄がある。花は4数性で、同型花柱である。果実は胞背裂開蒴果。種子は卵形または不明瞭な角(かど)があり、厚い波状の壁で縁取られた浅い窪みがあり穴があいているように見える。
世界に10種あり、熱帯および亜熱帯アジア(インド~日本)、太平洋諸島に分布する。
シマザクラ属の主な種と園芸品種
1 Leptopetalum biflorum (L.) Neupane et N.Wikstr. レプトペタルム・ビフロルム
synonym Gonotheca biflora (L.) Masam. in Sci. Rep. Kanazawa Univ., Biol. 4: 78 (1955)
synonym Hedyotis biflora (L.) Lam.synonym Oldenlandia biflora L.
synonym Hedyotis paniculata Rottler ex Wight & Arn. (nom. illeg.)
synonym Hedyotis ramosissima Blume (nom. illeg.)
日本(南西諸島)、中国、台湾、インド、モルディブ、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、南シナ海、インドネシア、ニューギニア、太平洋諸島(フィジー、ギルバート諸島、マーシャル諸島、ニューカレドニア、ニウエ、ソロモン島、バヌアツ、ウォリス・フツナ諸島)、ミクロネシア(マリアナ諸島、カロリン諸島、サモア、トンガ、)、オーストラリア(クイーンズランド)原産。中国名は双花耳草 shuang hua er cao。英名はtwo flower mille graines。海岸地域、野原、荒れ地、道端、庭園でよく見られる雑草。薬用に使われる。
日本のものは托葉が広三角形で、先端は2~5裂する。花冠筒部は長さ1~1.5㎜。台湾南部および小島と日本の南琉球の海岸沿いの石灰岩に生育する。
1年草、通常長さ30㎝まで、海岸地域では高さ5~20㎝。茎は直立し、角(かど)張り~ほぼ円柱形、無毛。葉はほぼ無柄または葉柄が長さ2~10㎜、葉身は楕円形~長円形、楕円状卵形、倒卵形、または楕円形、長さ1~4㎝×幅0.3㎝、先は鈍形~鋭形、基部は漸尖形~鈍形、紙質、無毛、2次脈は不明瞭。花序は頂生または最上部の葉の葉腋につき、集散花序~複合集散花序、2個~7個の花がつき、無毛、花序柄がある。苞は三角形~披針形、長さ0.5~3㎜。花は同型花柱、ほぼ無柄または小花柄があり、小花柄は長さ0.5~1㎜、細い。花托筒は卵形またはこま形、長さ0.5~1㎜。萼片は卵状披針形または三角形、長さ0.5~1㎜、花冠は白色。種子は多数あり、球形またはほぼ球形、長さ0.3~0.5㎜、外種皮は小窩状。(インドネシア)
【J. Taiwan Mus.(2019)の解説】Leptopetalum biflorum (L.) Neupane et N.Wikstr.
2年草または多年草、傾伏し、拡散して分枝する。茎は4稜形、弱く木質化し、長さ60㎝まで、幅0.8~2㎜、通常、下部の節から不定根を出す。葉は無柄またはほぼ無柄。托葉は葉柄間、狭三角形、長さ1~1.5㎜×幅0.3~0.5㎜、先に3~5本の鋸歯がある。葉身は楕円形~卵形、長さ1~4cm×幅0.5~2cm、先は鋭形または鈍形で、円形で、基部は円形、漸尖形または切形、縁には顕微鏡的な歯がある。花序は頂生および腋生、1個または4~18個の花が付き、花序柄のある集散花序~複集散花序。小花柄は毛細管状、長さ4~12㎜。花は白色、ときに紫ピンク色を帯びる。花托筒はこま形、長さおよび幅0.8~1㎜。萼は4または5裂し、萼片は披針状三角形、長さ0.8mm×幅0.6㎜、縁には微細な歯がある。花冠は広筒形、花冠筒部は球形または壷形、長さ1~1.5㎜×幅2㎜、先の内側に長さ0.7㎜の直毛の輪がある。花冠裂片は4または5個、長円形または狭楕円形で、長さ2~2.5㎜×幅0.6㎜、先は鈍形または鋭形。雄しべは4本または5本、突き出ず、花糸は長さ0.5mm、花冠筒部の基部につく。葯は卵形、長さ0.3㎜、暗紫色。花柱は長さ0.2㎜。柱頭は2岐、長さ0.5㎜。蒴果は広こま形、弱く扁平で、長さ3~3.5㎜×幅2.5~3.5㎜、先の切れ込みは萼片より低いかほぼ同じ高さ。種子は卵形またはほぼ球形、直径0.5㎜、褐色、表面に窪みがある。花期と果期は1年中。
インド、スリランカ、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、ポリネシアから中国南部に分布している。台湾では南部と南東部でのみ採集されており、海岸の砂地や石灰岩の森林の縁に沿って生育している。(参考7)
【Flora of Chinaの広義の解説】Hedyotis biflora (L.) Lam.
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、江蘇省、雲南省)、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、ベトナム、東南アジアから太平洋諸島原産。海抜1200mまでの石灰岩の山地、沿岸地域、雑草の生い茂った野原、荒れ地に生える。
1年草または多年草、直立または平伏し、高さ15(~30)㎝まで。茎は4角(かど)~ほぼ円柱形、および/または溝があり、無毛。葉はほぼ無柄から葉柄あり。葉柄は長さ0.5㎝まで、無毛。葉身は乾くと紙質~ほぼ革質、楕円状長円形、楕円状卵形、倒卵形、倒披針形、または楕円形、長さ1~4㎜×幅0.3~1㎜、無毛、基部は鋭形~鈍形、その後急に沿下し、先は鋭形~円形、2次脈は不明瞭。托葉は葉柄に融合し、長さ1~2㎜の三角形で、無毛、通常は肋があり、鋭形~長い尖鋭形。花序は頂生および最上部の葉の葉腋に生じ、集散花序~複合集散花序、長さ1~6㎝、無毛、花2~12個、花序柄がある。花序柄は長さ0.5~3㎝。苞は三角形~披針形、長さ0.5~3㎜、小花柄は長さ0.5~10㎜。花はほぼ無柄~小花柄があり、明らかに異型花柱。萼片は無毛、花托筒部分はこま形、長さ0.5~1㎜。拡大部は基部までほぼ深裂し、裂片は三角形、長さ0.3~1㎜。花冠は白色、ときにラベンダー色を帯び、筒形~やや壺形、外側は無毛または線状に微軟毛あり。花冠筒部は長さ1.2~2mm、喉部に髭がある。花冠裂片はへら状長円形、長さ1~1.5㎜。葯は突き出ないかまたは突き出ており、長さ0.3~0.5㎜。柱頭は突き出ているかまたは明らかに含まれており、長さ約0.2㎜。果実は蒴果、ほぼ球形、扁球形、または半球形、直径2.5~3㎜、先端から胞背裂開し、嘴は高さ0.5~1㎜、小花柄は果時に通常は長くなる。種子は多数、黒色で、小窩状(foveolate)。花期と果期は1~9月。
この種の限定と名前は議論の余地があり、かなり複雑である。これらは荒地の小さな草本であり、したがっておそらく地域の条件に著しく反応し、特に条件のよい場所では葉、花序、果実が大きくなる。様々な異名があるがここで区別している類似種は、Hedyotis strigulosaとHedyotis pteritaである。一方、Bijuら(Rheedea 2(1): 11-18. 1992)は H. biflora を H. racemosa (同義語 Oldenlandia paniculata) から区別している。彼らの扱いは慎重に行われているが地域的であり、彼らのキーは中国の植物とよく一致しないため、彼らの結論は受け入れられない。Oldenlandia crassifolia という学名はW. C. Ko(FRPS 71(1): 39, 77. 1999)によって Hedyotis biflora および H. coreana(H. strigulosa)の両方と同義とされた。この名前を詳細に研究した唯一の他の著者である Merrill(Enum. Philipp. Fl. Pl. 3(4): 492-512; 3(5): 513-576. 1923)はこれを H. bifloraの同義語として引用しており、ここでもそれに従う(FOC)。
【e-Flora of Thailandの解説】Leptopetalum biflorum (L.) Neupane & N.Wikstr.
synonym Oldenlandia paniculata L., Sp. Pl.: 1667. 1753; Hook.f., Fl. Brit. India 3: 70. 1880; Pit. in Lecomte, Fl. Indo-Chine 3: 153, figs. 15 & 19. 1922; Ridl., Fl. Malay Penins. 2: 53. 1923.
synonym Hedyotis paniculata (L.) Lam., Encycl. 3: 79. 1789.synonym Neanotis paniculata (L.) M.R.Almeida, Fl. Maharashtra 3A: 38. 2001.
synonym Hedyotis paniculata Rottler ex Wight & Arn. in Prodr. Fl. Ind. Orient. 1: 417 (1834), nom. illeg.
synonym Hedyotis racemosa Lam., Encycl. 3: 80. 1789; Biju et al., Rheedea 2: 17, fig. 1B, 2G–L. 1992.
synonym Hedyotis dichotoma Cav., Icon. 6: 53, tab. 573, fig 2. 1801.synonym Oldenlandia dichotoma (Cav.) Willd. ex Cham. & Schltdl., Linnaea 4: 155. 1829.
熱帯および亜熱帯アジア(インドから日本、中国、タイ、マレーシア全土、スリランカからの選抜種)~太平洋諸島までに分布。海抜200mまでの開けた場所に生える。直立または斜上する草本で高さ5~40㎝。茎は基部で分枝し、若い小枝は四稜形で4うねまたはわずかに翼があり、無毛。托葉鞘は三角形、裂片は1~5本の糸状の付属体であり、粘液毛(colleter)があり、毛がある。葉は卵形、卵状披針形または広楕円形、長さ(0.6~)1.2~3㎝×幅(0.4~)0.6~1.4㎝、基部は楔形、先は鋭形、膜質、無毛、下面は淡緑色、側脈は2~3対、不明瞭。葉柄は長さ1~4㎜。花序は散形花序で、花は2~4個つく。花序柄は長さ0.7~1.2㎝。花は白色、同型花柱、雄しべと花柱はすべて花冠筒部につく。萼片の基部はわずかに合着するだけで、萼筒は長さ0.2㎜、無毛、基部近くまで深裂し、萼片は狭三角形、長さ0.5~0.8㎜×幅0.5~0.7㎜、先は鋭形、直立し、縁には小剛毛がある。花冠筒部は長さ0.4~0.6㎜、花冠裂片は長さ0.8~1.2㎜×幅0.6~1㎜、鋭形、絨毛がある。雄しべは長さ0.2㎜、葯は白色で卵形、長さ0.3㎜。花柱は長さ0.5~0.7㎜。柱頭は頭状、長さ約0.1㎜。蒴果は倒卵形、萼の基部が最も広く、長さ2.5~3㎜×幅2.5~3.2㎜、平滑または低い翼があり、蒴果の先端は2裂し、萼片の上に突き出る。種子は室あたり16~50個、長さ0.25~0.3㎜×幅0.2~0.25㎜。花期は通年。
注記: Leptopetalum biflorum は、蒴果に不明瞭な肋があり、萼片は基部まで裂片化しており、萼筒は縮小し、蒴果は萼片の上に突き出ている点で区別される
【シマザクラ属の最新の系統関係(2020)参考9】
シマザクラ属はⅠ~Ⅵクレードに分かれる。L. biflorumには少なくとも2つの多系統が含まれている。クレード V-2 の2つの形態的タイプのうちの1つは内陸に生育し、クレード II の植物と区別できない。もう1つのタイプは、台湾南部および小島と日本の南琉球の海岸沿いの石灰岩に生育する。これらはクレード V-2 の海岸タイプで、日本語では「シマソナレ ムグラ」 [= H. racemosa sensu Hatusima (1961, 1971)] と呼ばれている。
L. biflorum は明らかにいくつかの実体を含んでいる。Biju et al.(1992) は、Hedyotis biflora(≡ L. biflorum)の分類学的地位とタイプ標本を慎重に検討し、H. bifloraとH. racemosa(Oldenlandia paniculata L. を含む)の2種に分類した。しかし、彼らの分類学的扱いはノーであった。彼らはインド周辺の植物のみを調べ、おそらく他の地域の植物を考慮しなかったため、一般的に受け入れらなかった(Chen and Taylor 2011)。Biju et al. (1992)はChen and Taylor(2011)が述べているように、分類群のいずれも、Clades II および V-2 の東アジアの植物に形態学的に対応していないようである。
台湾のChen and Wu (2019)は、主に台湾の植物の形態に基づいて、Leptopetalum biflorumをL. biflorum、L. paniculatum(nom. invalid.)、L. racemosumの3種に分けた。本研究では、台湾の蘭嶼島と鹿島を含む南北の植物を系統解析したが、その分類学的扱いは、L. biflorumのクレードや形態型と十分に対応していない。系統樹では、Clade IIから台湾の植物は検出されなかったが、形態学的にL. biflorumやL. paniculatum sensu Chen and Wu(2019:図2)と形態的に類似した植物はClade V-2に分類された。また、L. racemosumは明らかにマリアナ諸島産のHedyotis albidopunctataを含んでおり、L. strigulosum(クレードV-1)として扱うべきである。
残念ながら、Chen and Wu (2019) で引用されている標本のほとんどを調べていないが、L. racemosumとして引用されている唯一の標本(日本:石垣島、古瀬3741、TAIF 264906、画像!)はClade V-2の沿岸型であり、このタイプの植物は形態学的にむしろL. paniculatum (nom. invalid.)に適合する。したがって、いくつかの分類学的L. biflorumの改訂版には、まだ解決すべき問題が残っている。L. biflorumの分類学的改訂は、特に南アジアの植物を含む形態学的および系統発生学的観点から必要である。
2 Leptopetalum coreanum (H.Lév.) Naiki & Ohi-Toma ソナレムグラ 磯馴葎 広義
synonym Hedyotis coreana H.Lév. in Repert. Spec. Nov. Regni Veg. 11: 64 (1912)
synonym Hedyotis strigulosa var. coreana (H.Lév.) T.Yamaz.日本、朝鮮、中国、台湾原産。海岸沿いに分布し、海岸の岩場や崖地の岩の割れ目に生える。
ソナレムグラは2020年に Hedyotis coreana から現在の学名に組み替えられた。ソナレムグラは基本変種var. coreanumとされ、オオソナレムグラは変種 var. luxurians とされた。
常緑多年草、高さ5~20㎝、無毛。茎は基部から分枝し、匍匐して広がる。葉は対生し、短い葉柄がある。葉身は多肉質で光沢があり、長さ1~2.5㎝×幅(0.4)0.7~1.2㎝、長楕円形~倒披針形、またはときに楕円状倒卵形で、先は鈍形、丸みを帯びるか、または微突形、基部は楔形、縁は少し外側に曲がり、中心のへこみが目立つ。托葉は三角形で、先が尖り、ときにわずかに2~3裂する。花序は頂生または最上部の葉腋に花が単生または2出集散花序を出し、花が2~12個つく。花序柄は長く、小花柄は長さ3~5㎜。萼は鐘形、先が浅く4裂し、萼片は直立し、長さ1~1.5mmの3角状卵形、先は鈍形。花冠は白色、花冠筒部は長さ1.5~2㎜の短い筒状 、先は4裂し、直径3~5㎜、裂片の先は尖り、喉部に細毛がある。雄しべは4個、子房は下位で2室。蒴果は直径4-5mmの倒卵状球形、宿存する萼に包まれ、先は突き出ない。種子は微細な楕円形、種皮に網目模様がある。花期は8~9月。
2-1 Leptopetalum coreanum (H.Lév.) Naiki et Ohi-Toma var. coreanum ソナレムグラ 磯馴葎
synonym Leptopetalum strigulosum auct. non (DC.) Neupane et N.Wikstr.synonym Leptopetalum strigulosum (DC.) Neupane et N.Wikstr. var. parvifolium (Hook. et Arn.) T.C.Hsu
synonym Hedyotis biflora var. parvifolia Hook. & Arn. in Bot. Beechey Voy.: 264 (1838)
synonym Hedyotis strigulosa var. parvifolia (Hook. & Arn.) T.Yamaz. in J. Jap. Bot. 58: 284 (1983)
synonym Leptopetalum strigulosum var. parvifolium (Hook. & Arn.) T.C.Hsu日本(千葉以南)、韓国(南部)、中国(東部)、台湾。海岸の岩場に生える。
茎は直径1~1.5㎜。萼片は広三角形、またはときに卵形。
2-2 Leptopetalum coreanum (H.Lév.) Naiki et Ohi-Toma var. luxurians (Hatus.) Naiki et Ohi-Toma オオソナレムグラ 大磯馴葎
synonym Leptopetalum strigulosum (DC.) Neupane et N.Wikstr. var. luxurians (Hatus.) Naiki et Ohi-Toma
日本(大東諸島)固有。茎は直径2~3㎜、萼片は卵形。
3 Leptopetalum foetidum (G.Forst.) Neupane & N.Wikstr. レプトペタルム・フォエティヅム
synonym Gerontogea foetida (G.Forst.) Cham. & Schltdl.synonym Hedyotis foetida (G.Forst.) Forsyth f.
synonym Oldenlandia foetida G.Forst.
太平洋諸島(クック諸島、フィジー、マリアナ諸島、ニューカレドニア、ニウエ、サモア、トンガ、ツブアイ島、バヌアツ)に分布。
木質または 亜低木性の低木、常緑、高さ1mまで、小枝は円柱形で無毛。葉は対生し、葉柄は長さ2~8㎜、無毛。葉身は狭楕円形~楕円形または披針形、長さ3~8㎝×幅1~3㎝、両面とも無毛、革質、基部は鋭形、縁は全縁、先は鋭形またはときにわずかに尖鋭形、中脈と二次脈は下面にわずかに突出し、中脈は上面でわずかに窪む、二次脈は4~5対、中脈から35~50度の角度で斜上し、縁に向かって湾曲し、上部で結合し、弱くループ状の脈を形成する。托葉は宿存し、無毛で、葉柄の基部につき、長さ1~1.5㎜、広三角形で自由部は凪がさ1~2㎜×幅2~5㎜、先は微突形で、微突は長さ1~2㎜、ときに微突より短い付属肢を伴う。花序は頂生で、ときに小さい花序が終端の対の葉の葉腋に生じ、双生の多花性集散花序(biparous polychasiously cymose)で、花序柄は長さ10㎝まで、分岐の基部に一対の葉状または鱗片状の苞がある。花は小花柄が長さ1~3(~5)㎜、無毛。萼筒は鐘形または杯形、長さ1.5~2.5㎜、直径1.5~2㎜、無毛、萼片は4個、三角形で長さ0.5㎜×幅1~1.5㎜、先は鋭形。花冠は白色またはときにピンク白色、花冠筒部は細い鐘形、長さ3.5~5㎜、花冠裂片は4個、長円形または卵形、長さ3~3.5㎜×幅2~2.5㎜、先は鋭形。雄しべは4本、花糸は長さ2.5~4.5㎜、上部の約0.5㎜を除き花冠筒部に付着する。葯は背着、長さ1~1.5㎜。花柱は糸状、無毛、長さ4~8㎜、上部はときに上向きに曲がる。柱頭はほぼ頭状。果実は蒴果で、こま形~倒卵形、長さ2.5~3㎜×直径2~2.5㎜、萼片は宿存する。種子は球形またはほぼ球形、ときに凹み、黒色または暗褐色、長さ0.3~0.5㎜×幅0.3~0.4㎜、外果皮は網状。
4 Leptopetalum grayi (K.Schum.) Hatus. シマザクラ 島桜
synonym Hedyotis grayi Hook.f. in G.Bentham & J.D.Hooker
synonym Hedyotis leptopetala A.Graysynonym Oldenlandia grayi (Hook.f.) K.Schum.
小笠原諸島固有種。父島、母島列島の林内や林縁や岩場など生える。絶滅危惧Ⅱ類。小笠原諸島固有3種(シマザクラ、マルバシマザクラ、アツバシマザクラ)は花形態の相違(花冠が深裂・反曲vs中裂・筒状)が見られる。
亜低木または低木。高さは50~100cm。葉は革質、対生、葉身は長さ3~9㎝、楕円形~披針形。花序は集散花序、葉腋に腋生、花が10数個~数10個つく。花冠は淡紫色、筒状漏斗形、4深裂し、花冠裂片は広線形、反曲する。雄しべは4本、反曲する花冠から長く突き出る。花糸は真っすぐ、白色。葯は淡紫色。花柱は白色、雄しべより長い。花期は7~9月。2n=34。
5 Leptopetalum mexicanum Hook. et Arn. マルバシマザクラ 丸葉島桜
synonym Hedyotis bonincola Ohwi
小笠原諸島固有種。海岸や尾根等の岩場や海沿いの乾燥した場所、特に露岩地に生える。マルバシマザクラの方が個体数が少なく、絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 亜低木または小低木、高さ20~50㎝。和名の通り、シマザクラより葉が丸みを帯び、卵形-広卵形。花冠は淡紫色~白色、先が4深裂し、反曲する。葯は淡紫色。2n=34。花期は5~7月。
6 Leptopetalum pachyphyllum (Tuyama) Naiki et Ohi-Toma アツバシマザクラ 厚葉島桜
synonym Hedyotis pachyphylla Tuyama [in J. Jap. Bot. 43: 401 (1968)
火山列島(硫黄列島)固有種。北・中・南の各硫黄島にのみ分布する。花冠が筒状、中裂する。小低木低い茂み、不規則な茎、高さ約35㎝以下、基部の太さ2㎝、樹皮はこぶ疣状、ほぼ四角形の枝は太さ3~4㎜、帯灰色、節で横に突出し、節間は短く、下部の節は長く、長さ0.3~1.3㎝、一般に長さ0.5~0.7㎜、乾くと縦のしわ状になり、まばらな1年目は、明るい帯緑色の葉が対生し、集まってつく。葉は直立・開出し、狭長円形または狭卵状長円形、先は鋭形または鈍形~鋭形で尖頭形、基部は楔形または広楔形、無柄または短い葉柄がある。葉身は長さ2.0~6.2㎝、通常は長さ約5㎝、幅0.8~3.7㎝、通常幅2㎝、厚みがあり、乾くと帯黒色になり、下面は粗く、生きているときは上面に光沢があり、下面は完全に平らで縁はより淡色、平らな肋の上はわずかに盛り上がり、先に向かって平らになり、両側に3~4本の脈が直立・斜上し、非常に不明瞭。托葉は凹んだ三角形、先は短い尖鋭形、太く、互いに合着して短い鞘になる。頂部の短い枝の先端に花序がつき、葉をわずかに上回り、密に毛状突起のある散房花序は直径約3~5㎝、短い花序柄は長さ1.0~1.7㎝、下部の苞は葉状、長さ1㎝まで、上部の苞は小さくて淡色。花は直立し、白色、乾くと黒色になり、完全に無毛。萼は楕円形、無毛で厚く、乾くと約・長さ5㎜×幅3㎜、萼片は4まれに5個、直立し、狭長円状三角形、先はほぼ鈍形、約・長さ1.5㎜×幅1.0㎜。小花柄は長さ1~3㎜、無毛。花冠の基部は筒状で先は4裂まれに5裂し、裂片は線状長円形、先端は鈍形~鋭形、約・長さ3㎜×幅1.3㎜。花冠筒部は円筒形、長さ約2.3㎜。雄しべの花糸は花冠筒部の中央に付き、花冠の基部まで沿下し、長さ約1.5㎜、糸状。葯は楕円形、長さ約1㎜。花柱は糸状、長さ約4㎜、筒部をわずかに上回る。柱頭は頭状、短く2裂する。蒴果は四角状楕円形、先がはっきりと凹み、2バルブに胞間裂開し、宿存する萼に強く包まれる。成熟した萼は長さ4~5㎜×幅3.5㎜。種子は広楕円形、深く網目があり、非常に細かい波状の網目になる。2n=34。
7 Leptopetalum racemosum (Lam.) S.H.Chen & M.J.Wu シマソナレムグラ 島磯馴葎
synonym Gerontogea racemosa (Lam.) Cham. & Schltdl. in Linnaea 4: 154 (1829)
synonym Hedyotis racemosa Lam. in Encycl. 3: 80 (1789)synonym Oldenlandia alata J.Koenig ex Roxb.
日本(八重山列島(石垣島、西表島、与那国島、先島諸島)、宮古列島、台湾、南シナ海、インド原産。中国名は大葉擬耳草 da ye ni er cao。別名はナガエソナレムグラ, イソイナモリソウ。タイプ産地は琉球 (Hedyotis racemosa Lam., Hatusima, 1961, 1971; Yamazaki, 1981)。海岸の岩上や崖地に生える。シマソナレムグラとソナレムグラは染色体数は同じであるがゲノムサイズに違いがあることが明らかになり、系統的にも形態的にも明確に区別できること。またシマソナレムグラは沖縄本島、久米島では確認ができず、宮古島以南の宮古島、石垣島、西表島、与那国島、先島諸島に分布するが各島内での生息地は限定的で、広域分布で各島内でも多く見られるソナレムグラとは生息環境が異なる。
POWO(Kew)では J. Taiwan Mus. 72: 42 (2019)が初記載(first published)として、学名をLeptopetalum racemosum (Lam.) S.H.Chen & M.J.Wuとしている。この種は原産地が日本、台湾、南シナ海、インドであり、フィリピンを分布域から除き、1年草で、主に季節的に乾燥する熱帯バイオーム中で生育するとしている。J. Taiwan Mus. の解説では多年草とされているが1年草としている。
多年草[1・2年草]、斜上または傾伏し、高さ15~25[40]㎝、基部から散開して分枝し、茎は4角(かど)があり、無毛、幅2~3㎜、節間の間隔は2~7㎝。葉は無柄またはほぼ無柄。托葉は肉質で三角形、長さ2~3㎜×幅1~2㎜、基部は幅広く、上半分は急に狭まり、先は2~3裂する。葉身は革質[やや多肉質で光沢があり、]で無毛、楕円状卵形~長円状倒披針形、長さ2~4㎝×幅1~2㎝[長さ1~3cm×幅0.7~1.5cm]、先はほぼ鋭形または円形、基部は楔形、縁は不均一から顕微鏡的に浅い歯があり[全縁]、1脈がある。花序は頂生、3~7個[1~数十個]の花がつき、散形花序状の集散花序が密集してつく。花序柄は長さ1~4㎜。小花柄は丈夫で、長さ2~6㎜。花は白色、裏面が紫赤色がかっており、表面に微細な毛がある。花托筒(萼筒)は倒卵状こま形、長さおよび幅は1~1.5㎜。萼は4裂し、萼片は卵形、長さ0.2~0.5㎜×幅0.5~0.8㎜、鈍形、微細な歯があり、通常、上面に微細なイボ状になる。花冠は広筒形、花冠筒部は球形または壷形、幅1.5~2㎜、先の内側に長さ1㎜の直毛の輪がある。花冠裂片は4個、長円状卵形、長さ2~3㎜×幅1~1.5㎜、鈍形。雄しべは4本あり、花糸は長さ0.5~1㎜で、花冠筒部の下半分につく。葯は長円形で長さ1㎜、暗紫色。雌しべは緑色、花柱は長さ1㎜、柱頭は2分岐し、長さ0.5㎜。蒴果は球形~倒卵状球形、弱く扁平、長さ2.5~4.5㎜×幅3.5~4.5㎜[卵形~広卵形、直径2~3mm]、先には浅くノッチがあり、先端は宿存する萼片より明らかに外側に出る。種子は卵形または楕円形、長さ0.3㎜×幅0.2㎜、褐色で表面に窪みがある。花期と果期は通年(Chen & Wu 2019)[]はシマソナレムグラ。
分布と注記: Leptopetalum racemosum は、インド(Hedyotis racemosa Lam., Wight & Arnott, 1834)、タイプ産地、琉球(Hedyotis racemosa Lam., Hatusima, 1961, 1971; Yamazaki, 1981)、グアム (Oldenlandia albidopunctata Merr., Merrill, 1914;現在はLeptopetalum strigulosum (DC.) Neupane & N.Wikstr.のsynonym) で知られているが、この種の分類学的扱いは、その地域のさまざまな植物相でかなり異なるため、熱帯太平洋に広く分布していると考えられる。台湾では、この種は東部から南端までの沿岸地域に分布し、南シナ海の Tungshatau 島にも広がっている (Huang、Huang & Hsieh、1994)。この分類群の分類学と命名法は混乱している。地域植物相の著者のほとんどは、この種を Oldenlandia paniculata L.(Hooker, 1880; Dutta & Deb, 2004)または O. biflora L.(Halford, 1992; Shimabuku, 1997)と同種とみなしているが、他の著者の中には、この種をHedyotis strigulosa var. parvifolia(Yamazaki, 1983, 1993)またはH. albidopunctata(Walker, 1976)のシノニムに縮小した著者もいる。台湾では、Chao(1978)とYing(1998)が、この種のイラストを誤って「H. paniculata」(L.) Lam. (Chao & Ying による図版) または「H. biflora (L.) Lam.」という名前に当てはめた。一方、LiuとYang(1998)はこれをH. bifloraと同義として扱っていた。[J. Taiwan Mus. 72: 42 (2019)参考7]
【日本のシマソナレムグラ】
宮古島・八重山諸島~台湾の南端と属島、フィリピン北部海岸域に分布する。海岸の岩上に生える。学名は多系統を含み、広義にL. biflorumとされ、特徴は托葉が広三角形で、先端は2~5裂し、花冠筒部は長さ1~1.5mである。
1~2年草、高さ20~30㎝。全体に無毛。茎は4稜形で基部から分枝し、直立~斜上する。托葉が広三角形で、先端は2~5裂する。葉は対生し、洋紙質、やや多肉質で光沢があり、長円形、長さ1~3cm×幅0.5~1.5cm、先は尖鋭形~鈍形、全縁。花は枝先や上部の葉腋に集散花序となり、1~数十個の花つける。花冠は白色、筒形、先は4裂する。花冠筒部は長さ1~1.5㎜、喉部に細毛がある。萼片は三角形で 先がやや鋭形、外面はときに紫色を帯びる。蒴果は卵形~広卵形(広倒卵形~卵円形)、直径2~3mm、先に萼片が宿存し、先が著しく突出する。2n=34。花期は周年。
【Leptopetalum racemosum (Lam.) S.H.Chen & M.J.Wuを支持しないとする見解】
YListではシマソナレムグラをLeptopetalum biflorum (L.) Neupane et N.Wikstr.とし、Hedyotis paniculata (L.) Lam.をそのsynonymとしている。ノートに=Leptopetalum paniculatum (L.) Shih H.Chen & M.J.Wu in J. Taiwan Mus. 72(1-4): 39 (2019), comb. inval.(無効)と扱っている。 KAKEN 2020年報告(参考13)でもChen & Wu (2019)の分類は支持されないとしている。
Ohi-Toma(2020)は台湾のChen & Wu (2019)は、南インド・東南アジア・東アジアに産するL. biflorumについて、台湾に産する個体の形態的変異のみに基づいて3種にすることを示しているだけであり、より広い系統分析ではその分類を支持しないことが示されたとしている。しかし、L. biflorumは単系統群ではなく2つ以上の分類群が含まれることは間違いなく、宮古島・八重山諸島~台湾の南端と属島、フィリピン北部海岸域に分布するとされる「シマソナレムグラ」は別の種とすべきであると考えられるが、現時点では、系統分化と形態分化が一致しないこと、既存学名の検討には南アジア地域での調査が必要あることから、結論は保留とし、今後も、検討を継続するとしている。また、L. racemosumとして引用されている唯一の標本(日本:石垣島、古瀬3741、TAIF 264906、画像!)はClade V-2の沿岸型であり、このタイプの植物は形態学的にむしろL. paniculatum (nom. invalid.)に適合するとしている。
8 Leptopetalum strigulosum (DC.) Neupane et N.Wikstr. マリアナソナレムグラ
synonym Hedyotis strigulosa (DC.) Fosberg in Smithsonian Contr. Bot. 45: 28 (1980)
synonym Hedyotis albidopunctata (Merr.) Fosberg in Lloydia 3: 123 (1940)synonym Oldenlandia strigulosa DC. in Prodr. 4: 427 (1830)
synonym Thecagonum strigulosum (DC.) Terrell & H.Rob.
synonym Oldenlandia crassifolia DC. in Prodr. 4: 427 (1830)
synonym Oldenlandia paniculata var. parvifolia A.Gray ex Maxim. in Bull. Acad. Imp. Sci. Saint-Pétersbourg, sér. 3, 29: 164 (1883)
インド、南シナ海、フィリピン、ニューギニア、カロリン諸島、マリアナ諸島、ソロモン諸島原産。Ohi-Toma et al. (2020)は系統解析により「L. strigulosum」を以下のように2種に分けた。L. strigulosumのタイプ産地がマリアナ諸島であることを考慮する(正確な産地は不明;Fosberg and Sachet 1991)と、太平洋諸島の植物(クレードV-1)はL. strigulosumと見なされるべきである。それらは、鋭くわずかに微突形の頂点を持つ長楕円形または楕円形披針形の葉と、鋭い頂点を持つ萼片、および広く卵形の蒴果を共にもつ。
もう1種、東アジアの植物は、葉が長円形~卵形、またはときには楕円状倒卵形で、先が鈍形、円形、または微突形。萼片は先が鈍形~ほぼ円形。蒴果はほぼ球形または卵形。台湾と日本の琉球では、植物は大きな形態学的変異を示す(Chen and Wu 2019, Ohi-Toma and Naiki pers. observ.;Fig. 2)が、異なる変異体の代表的な標本はすべてクレードVIに分類された。したがって、ソナレムグラHedyotis coreanum (タイプ産地は韓国の済州島)という名前を東アジアの植物に採用することができ、その新しい組み合わせであるソナレムグラ(L. coreanum)が提案された。
これにより、Leptopetalum strigulosumは東南アジアではなく太平洋諸島に広く分布し、南シナ海、インド、フィリピン、ニューギニア、カロリン諸島、マリアナ諸島、ソロモン諸島を分布域とするソナレムグラを含めない単系統種である。
【J. Taiwan Mus. Chen & Wu (2019)の解説】Leptopetalum strigulosum (DC.) Neupane et N.Wikstr.
多年草で、直立または斜上し、高さ25cmまでになり、基部から疎~多数分枝し、茎は4角(かど)があり、無毛、幅2~3mm。葉は無柄または準無柄。托葉は広三角形で、長さおよび幅2mm、鋭形で、先端に2または3個の小さな鋸歯があり、通常厚くなり、中央裏面はわずかにイボ状になる。葉身は無毛、準多肉質、長楕円形、倒披針形から倒卵形、長さ1~2cm、幅0.7~1cm、先が鋭形、鈍形または丸く、基部は楔形、縁は全縁でわずかに反り返り、1脈がある。花序は頂生で、3~10個の花が緩いまたは密集した房状につく。花序柄は長さ2~3cm、小花柄は長さ1~8㎜。花は白色で、裏面は普通赤紫色を帯び、表面に微細な毛がある。花托筒はこま形、長さおよび幅は2㎜。萼は4~5 裂し、裂片は広三角形で、長さ1.5㎜×幅2㎜。花冠は漏斗形、筒部は幅2~2.5㎜、先の内側に長さ1㎜の直毛の輪がある。花冠裂片は4または5個で、長円状卵形または楕円形で、長さ5㎜×幅2㎜、鋭形。雄しべは4または5本、花糸は長さ0.5㎜、花冠筒部の基部近くにつく。葯は長円形、長さ0.5㎜、暗紫色。花柱は長さ0.5~1㎜、柱頭は2裂し、長さ0.3~0.5㎜。蒴果はほぼ球形、弱く扁平、長さ2.5~5㎜×幅2.5~3.5㎜、先は凹み、宿存する萼片に完全に囲まれる。種子は卵形で小さく、直径約0.5㎜、暗褐色、表面に凹みがある。花期と果期は1年中。
分布と注記: 西太平洋 (Fosberg、Sachet、Oliver、1993)、ポリネシア、ミクロネシアから北は日本、琉球、韓国(Walker、1976、Yamazaki、1993)、西はフィリピン(Yamazaki、1983)、東沙島(南シナ海)、中国東部と南部(Ko、1999、Lu、2011) まで広く分布する。台湾では、西側を除く島全体の海岸線に広く分布する一般的な種であり、主にサンゴ礁、岩の割れ目、時には砂利の多い地域に生息する。(J. Taiwan Mus.2019)
【Flora of Chinaの解説】 Hedyotis strigulosa (Bartling ex Candolle) Fosberg
日本、韓国、台湾、中国(広東省、浙江省)、ミクロネシア原産。中国名は肉叶耳草 rou ye er cao。海面~海面近くの砂浜または泥浜、荒れ地、海辺の岩の上に生える。
1年草または多年草、平伏または直立し、高さ15(~20)㎝まで。茎は円柱形または弱く~鋭い4角(かど)があり、ときに溝があり、無毛。葉は無柄。葉身は非常に肉質で、乾くと革質になり、長円状倒卵形、楕円状長円形~倒披針形またはへら形、長さ1~2.5㎝×幅0.2~1㎝、無毛、基部は鋭形~沿下し、先は円形~鈍形または鋭形、二次脈は不明瞭。托葉は葉柄の基部と融合し、三角形、長さ1~2㎜、無毛、中央に縦方向に2本の腺毛の線または肉質の装飾があり、鋭形~尖鋭形。花序は頂生、ときに最上部の葉腋に腋生し、花が1個または2~12個つき、短い集散花序、密散花序(束生)または円錐花序を形成し、無毛、花序柄は無~有。花序柄は長さ1.5㎝以下。苞は三角形、長さ0.1~2㎜。花は小花柄があり、小花柄は1~12㎜。萼は無毛。花托筒部分(萼筒)はこま形~楕円形、長さ1~1.5㎜。拡大部は1/2~2/3裂し、萼片は三角形~披針形、長さ0.8~2㎜。花冠は白色、筒形、外側は無毛。花冠筒部は直径1.2~1.5㎜、喉部に髭がある。花冠裂片は三角形~倒披針形、長さ1.2~2㎜。葯は見えない。柱頭は長さ約0.8㎜、突出する。果実は蒴果、ほぼ球形、半球形、または扁平なこま形、長さ3.5~5㎜、無毛、先端を通って胞背裂開し、ときに未発達な嘴を持つ。種子は多数、黒褐色、ほぼ球形~角張り、小窩状。花期および果期は12~4月。
Hedyotis taiwanensis はW.C.Ko(FRPS 71(1): 39, 73. 1999)によってH. coreanaとは別種として扱われ、H. strigulosa という名前はKoによって引用されていなかった。しかし、H. coreanaはFosberg(loc. cit.)によって暫定的ではあるが、H. strigulosaの同義語とされた。Hedyotis taiwanensis は Fl. Taiwan(ed. 2, 4: 268. 1998)によってH. strigulosaの同義語とされました。Fl. Taiwan は、花柄の頑丈さと葉の肉厚さに基づいて Hedyotis strigulosa をH. bifloraから分離したが、ここでは異なる特徴が使用されており、彼らがH. strigulosaに含めた標本のほとんどがここではH. bifloraに含まれている。
Fl. Taiwan と Fl.Japan(3a: 217. 1993) は、中国産の植物をHedyotis strigulosa var. parvifolia (Hooker & Arnott) T. Yamazaki (J. Jap. Bot. 58: 284. 1983) に含めました。この名前はW.C.Ko (loc. cit.) では言及されず、Kew Rubiaceae チェックリスト(Govaerts et al., World Checkl. Rubiaceae; http://www.kew.org/wcsp/rubiaceae/; 2007 年 5 月にアクセス) では H. strigulosa とシノニムとされているが、出典や説明はない(現在はLeptopetalum coreanum var. coreanumのシノニム)。この名前のバシオニムは H. biflora var. parvifolia Hooker & Arnott (Bot. Beechey Voy. 264. 1838) である。 parvifolia は浙江省から報告されている (Qiu & Zhong, Fl. Zhejiang 6: 121-122. 1986) が、ここではその報告を H. strigulosa として解釈する。(Flora of China)
9 Leptopetalum taiwanense (S.F.Huang et J.Murata) Shih H.Chen et M.J.Wu タイワンソナレムグラ 台湾磯馴葎
synonym Hedyotis taiwanensis S.F.Huang & J.Murata台湾固有種。分布は台湾の最南端、五鑾埤半島と、ルタオ島、澎湖島、小柳州島などの沖合の島々に限定される。中国名は與單花擬耳草 yu dan hua ni er cao。海岸沿いの岩場、砂地、草原の間の砂利質土壌に生える。特徴は、花が単生、蒴果が長円形、葉が卵形。
1年草、傾伏し、高さ5~10cm、基部から散開分岐、茎は4角形、多肉質、長さ15~30cm×幅0.5~1㎜、節間の間隔は1~5cm。葉は無柄または半無柄、托葉は三角形、長さ0.5~1㎜×幅0.3~0.6㎜、3~5個の歯がある。葉身は多肉質、無毛、卵形または披針形卵形、長さ6~12㎜×幅3~6㎜、先は鋭形または鈍形、基部は楔形から切形、縁は全縁、わずかに反り返り、1脈がある。花は白色、上部の節に単生、腋生。小花柄は長さ5~10㎜、果時には長さ20㎜までになる。花托筒は長円形、長さ1~1.2㎜×幅0.6~0.8㎜。萼は4裂し、萼片は三角形、長さ0.8~1㎜×幅0.5~0.7㎜。花冠は広筒形、花冠筒部は壺形、長さ0.5~0.8㎜、先の内側に長さ0.5㎜の直毛の輪がある。花冠裂片は4個、楕円状長円形、長さ1~1.5㎜×幅0.5㎜、鈍形。雄しべは4本、花糸は長さ0.3㎜で、花冠筒部の基部につく。葯は卵状長円形、長さ0.5㎜、黄色。花柱は長さ0.3㎜。柱頭は2裂し、長さ0.5㎜。蒴果は長円形、やや扁平、長さ3~5㎜×幅2~3㎜、先には浅く切れ込みがあり、先端は宿存する萼片を超えない。種子は楕円形またはほぼ球形、直径 0.3㎜、暗褐色、表面に窪みがある。花期と果期は1年中。
フタバムグラ属(広義のHedyotis)
family Rubiaceae - genus Hedyotis亜低木、低木、1年草、又は多年草、平伏~直立又はよじ登り、刺は無い。束晶(raphide)はある。葉は対生[まれに輪生]ときに、茎の先に束生し、ダニ室は無い。2次脈はまれに、三行脈(trinerve)又は掌状脈。托葉は宿存し、葉柄間、葉柄の基部に融合し、又は茎の周りに統合し、三角形~切形、全縁~縁毛~不規則に切れ込み、微細不整歯があり、1~数個の裂片や剛毛がある。花序は頂生、偽腋生や腋生、花が少数~多数、束生し、集散花序、円錐花序、頭状花序 又は団散花序になり、又は花が1個つき、花序柄は無又は有、苞があり、又は無くなる。花柄は有又は無、花は両性で1形又は2花柱形[~雌雄異株では単性]。萼の拡大部は浅く~深く(2~)4裂(又はHedyotis hainanensisでは5裂)。花冠は白色、ピンク色、紫色、又は青色、筒形、漏斗形、高杯形、車形、又はつぼ形、内側は様々に無毛又は軟毛がある。花冠裂片は(2~)4個(又は H. hainanensisでは 5個)、蕾では敷石状。雄しべは4(又は H. hainanensisでは 5)本、花冠の筒部又はのど部につき、突き出ないか又は突き出る。花糸は発達するか又は短くなる。葯は背着、しばしば基部近くにつく。子房は2室、中軸胎座につく。柱頭は2裂、裂片は線形~こん棒形、まれに分裂せず、突き出ないか又は突き出る。果実は非裂開、分離果又は蒴果、通常、ほぼ球形~卵形~双小果状(dicoccous)、皮殻質~膜質~革質、分離果のときは割れて、2分果になり、蒴果のときは割れて、部分的に又は完全に胞間裂開や胞背裂開する。その後、ときに他の方法で割れ、先が平ら又は短い~よく発達する嘴をもつ(つまり、咢の拡大部の内側の花盤の区域)、ときに嘴を通して1次裂開し、萼の拡大部は宿存する。種子は少数~多数、小さく、角(かど)があり又は平凸面形。種皮は平滑、網目、又は他の様々な装飾があり、胚乳は肉質、子葉はこん棒形又は円柱形。
世界に約500種があり、世界中の熱帯、亜熱帯に広く分布し、アフリカやアジアに多く、少数が暖温帯地域にも分布する。
広義フタバムグラ属 Hedyotis L. s.l. (including Oldenlandia:Rubiaceae=)は500~600種を含み、Hedyotis-Oldenlandia complexと呼ばれる。Neupaneら (2015)は近年の系統解析や形態形質情報をもとに次の13属に分割した。(種の数はKewscience)。
1 Debia Neupane & N. Wikstr デビア属(4種)
2 Dentella J. R. Forst. & G. Forst.タイワンミゾハコベ属(8種)
Dentella repens (L.) J.R.Forst. et G.Forst. タイワンミゾハコベ
3 Dimetia (Wight & Arn.) Meisn.ディメティア属(6種)
4 Edrastima Raf.エドラスティマ属(5種)
5 Exallage Bremek. ヤエヤマハシカグサ属(21種)
6 Hedyotis s.str ヘディオティス属(176種)
7 Involucrella (Benth. & Hook. f.) Neupane インボルクレラ属 (2種)
8 Kadua Cham. & Schltdl. カドゥア(30種)
9 Kohautia Cham. & Schltdl. コハウティア属(27種)
10 Leptopetalum Hook. & Arn. シマザクラ属(8種)
Leptopetalum biflorum (L.) Neupane & N.Wikstr.
Leptopetalum foetidum (G.Forst.) Neupane & N.Wikstr.
Leptopetalum grayi (Hook.f.) Hatus.シマザクラ
Leptopetalum kanehirae Hatus
Leptopetalum mexicanum Hook. & Arn.マルバシマザクラ
Leptopetalum pachyphyllum (Tuyama ex Fosberg & Sachet) Naiki & Ohi-Tomaアツバシマザクラ
Leptopetalum pteritum (Blume) Neupane & N.Wikstr.Leptopetalum strigulosum (DC.) Neupane & N.Wikstr.
var. parvifolium ソナレムグラ
var. luxurians オオソナレムグラ
11 Neanotis W. H. Lewis, ハシカグサ属 (34種)
Neanotis hirsuta (L.f.) W.H.Lewis ハシカグサ
Neanotis formosana (Hayata) W.H.Lewis タイワンハシカグサ
12 Oldenlandia L. オルデンランディア属(196種)
Oldenlandia corymbosa L.[Hedyotis corymbosa (L.) Lam.] タマザキフタバムグラ
13 Scleromitrion (Wight & Arn.) Meisn スクレロミトリオン属 (12種)Scleromitrion diffusum (Willd.) R.J.Wang [Hedyotis diffusa Willd.]ナガエフタバムグラ
Scleromitrion brachypodum (DC.) T.C. Hsu フタバムグラScleromitrion tenelliflorum (Blume) Korth.ケニオイグサ
Scleromitrion verticillatum (L.) R.J.Wang ヒロハケニオイグサ
参考
1) Flora of ChinaMitchella
Mitchella
Oldenlandia L.
硫黄列島に産するフタバムグラ属の新種(津山尚)
マルバシマザクラとシマザクラの学名(大場秀章)
Taiwania 62(2): 151‒156, (2017)
Leptopetalum biflorum
東馬哲雄:アカネ科シマソナレムグラの実態解明と分類学的問題の解決
Leptopetalum biflorum (L.) Neupane & N.Wikstr.