シロイヌナズナ  白犬薺
[中国名] 鼠耳芥 shu er jie
[英名] common wall cress , mouse-ear cress , thale cress , wall cress , codded mouse-ear
[学名] Arabidopsis thaliana (L.) Heynh
アブラナ科 Brassicaceae  シロイヌナズナ属
三河の植物観察
シロイヌナズナの花序
シロイヌナズナの蕾
シロイヌナズナの花
シロイヌナズナの咢
シロイヌナズナの茎
シロイヌナズナの茎葉
シロイヌナズナの根生葉
シロイヌナズナ
シロイヌナズナ果実
シロイヌナズナ種子
シロイヌナズナ茎葉
シロイヌナズナ茎葉裏
 1年草、高さ(2~)5~30(~50)㎝。茎は直立、1又は基部から少数、出て、単純又は上部で分枝し、基部に 主に単純な毛状突起をもち、先は無毛。根生葉は短い葉柄があり、葉身は倒卵形~へら形~卵形~楕円形、長さ0.8~3.5(~4.5)㎝×幅(1~)2~10(~15)㎜、下面には主に単純で柄がある1又の毛状突起があり、縁が全縁~波状~歯状、先は鈍形。茎葉は類無柄、普通、少数、葉身は披針形~線形~長円形~楕円形、長さ (0.4~)0.6~1.8(~2.5)㎝×幅1~6(~10)㎜、全縁又は少数の歯がある。果時の花柄は細く、開出し、真っすぐ、長さ3~10(~15)㎜。咢片は長さ1~2(~2.5)㎜、無毛又は上部にまばらに毛があり、単純な毛状突起があり、側対は袋状ではない。花弁は白色、へら形、長さ2~3.5㎜×幅0.5~1.5㎜、基部は漸尖形~短い爪部がある。花糸は白色、長さ1.5~2㎜。胚珠は子房に40~70個。長角果は線形、円柱形、平滑、長さ(0.8~)1~1.5(~1.8)㎝×幅0.5~0.8㎜、バルブに明瞭な中脈がある。花柱は長さ0.5㎜以下。種子は楕円形、丸みがあり、薄褐色、長さ0.3~0.5㎜、幼根背位。花期と果期は1~6(~10)月。2n = 10。
 イヌナズナ はよく似ていて花が黄色。茎、葉には毛が密生する。葉は互生し、長さ (0.4)1~3.5(5)㎝、幅(0.2)0.5~1.5(2)㎝、楕円状倒卵形~倒披針形、鋸歯縁。 黄色の小さな花の直径は約4㎜、花弁は長さ(1.2)1.7~2.2(2.5)㎜、4個。萼片は長さ0.7~1.6㎜、卵形。果実は長さ5~8㎜の楕円形、扁平。種子は長さ0.5~0.7㎜、赤褐色。2n=16
[花期] 3~5月
[草丈] (2~)5~30(~50)㎝
[生活型] 1年草(2年草)
[生育場所] 海岸や低地の草地、道端
[分布] 帰化種  中国、モンゴル、ロシア、インド、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、アジア南西部、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ原産。
[撮影] 豊川市  19.4.6

 シロイヌナズナ属

  family Brassicaceae - genus Arabidopsis

 1年草、2年草又は多年草、匍匐茎をもち又は木質のてい幹をもつ。毛状突起は単純、柄のある1~3又の毛が混じる。茎は直立又は傾伏、しばしば基部から数本出て、普通、上部は無毛。根生葉はロゼットを作り、全縁~歯状~羽状分裂。茎葉は葉柄があり又は類無柄、全縁又は歯状縁、まれに頭大羽状分裂。総状花序は少数~数個の花をつけ、苞は無い。果時の花柄は斜上又は開出又はわずかに後屈する。咢片は長円形、直立又は斜上、無毛又は有毛、側対の基部は類袋状又は袋状にならない。花弁は白色、ピンク色又は紫色、倒卵形~へら形~倒披針形、先は鈍形又は凹形、爪部は明瞭又は不明瞭。雄しべは6個、直立、わずかに4長雄しべ。花糸は基部で膨れない。葯は長円形、先は鈍形。蜜腺は融合し、花糸の基部につく。胚珠は子房に15~80個。果実は裂開する長角果、線形又は円筒形、円柱形又は扁平、広い隔壁があり、短柄があるか又は類無柄。バルブは紙質、脈は無く又は中脈が明瞭、無毛、平滑又はやや円筒形、隔膜(replum)は円形、隔壁は完全。花柱は痕跡又は長さ1㎜以下。柱頭は頭状、全縁。種子は多数、1列に入り、翼は無いか又は縁があり、長円形又は楕円形、丸いか又は扁平。種皮は小さな網状、湿ると粘ばる又は粘らない。子葉は幼根側位(accumben、まれに幼根背位(incumbent)。x = 5, 8。
 世界に10種があり、アジア東部、北部、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。
【シロイヌナズナ属の種】
Arabidopsis arenicola (Richardson ex Hook.) Al-Shehbaz
Arabidopsis arenosa (L.) Lawalree,
Arabidopsis cebennensis (DC.) O'Kane & Al-Shehbaz
Arabidopsis croatica (Schott) O'Kane & Al-Shehbaz
Arabidopsis halleri (L.) O'Kane & Al-Shehbaz
Arabidopsis lyrata (L.) O'Kane & Al-Shehbaz
Arabidopsis neglecta (Schult.) O'Kane & Al-Shehbaz
Arabidopsis pedemontana (Boiss.) O'Kane & Al-Shehbaz
Arabidopsis suecica (Fr.) Norrl.
Arabidopsis thaliana (L.) Heynh.


 シロイヌナズナ属の主な種と園芸品種

 1  Arabidopsis halleri (L.) O'Kane et Al-Shehbaz
1-1 Arabidopsis halleri (L.) O?Kane & Al-Shehbaz subsp. halleri
   synonym Arabis halleri L.
 ヨーロッパ原産。
1-2 Arabidopsis halleri (L.) O'Kane et Al-Shehbaz subsp. gemmifera (Matsum.) O'Kane et Al-Shehbaz  ハクサンハタザオ白山旗竿 (広義)
   synonym Arabidopsis gemmifera (Matsum.) Kadota
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、ロシア原産。中国名は叶芽鼠耳芥 ye ya shu er jie 。
 多年草、匍匐茎を伸ばし、高さ (10~)20~45(~60)㎝。茎は傾伏し、基部から少数、出て、単純又は上部で分枝し、基部に単純と1又の毛状突起をもち、先は無毛。根生葉は葉柄が長さ (5~)1~2.5(~5)㎝、葉身は円形~広卵形~へら形、長さ(1~)2~4.5(~9)㎝×幅(0.5~)1~1.5(~2.5)㎝、上面は単純毛と柄のある1又は2又の毛状突起が混じり、縁は頭大羽状中裂 、各側に (1 ~)2~4(~6)個の側裂片をもち、頂裂片は類円形、側裂片よりかなり大きく、ときに粗い歯状、まれに全縁又は波状、先は鈍形。茎葉は短柄があり、数個つき、中間の葉身は卵形~倒披針形~長円形~楕円形、長さ (0.5~)1~2.5(~8) ㎝×幅 (0.2~)0.5~1.5(~3)㎝、粗い歯があるか又はまれに分裂し、茎の上部では次第に小さくなる。果期の花柄は細く、開出又はわずかに後屈し、真っすぐ、長さ (0.5~)0.8~1.3(~2)㎝。咢片は長さ1.5~2㎜、無毛又は先に少数の単純毛があり、側対は袋状。花弁は白色~淡紫色、倒卵形、長さ 4~5(~6.5)㎜×幅2~2.5(~3.5)㎜、爪部は長さ1~2㎜。花糸は白色、長さ2~2.5㎜。長角果は線形、扁平な円筒形、長さ(0.9~)1~1.5(~1.8)㎝×幅0.5~0.8㎜、バルブは中脈が目立たない。花柱は長さ0.7㎜以下。種子は長円形、扁平、薄褐色、長さ0.5~0.7㎜、子葉は幼根側位。花期は6~7月。果期は7~8月。
1-2-1 Arabidopsis halleri (L.) O'Kane et Al-Shehbaz subsp. gemmifera (Matsum.) O'Kane et Al-Shehbaz var. coronata (Nakai) Yonek.  マルバハタザオ

1-2-2 Arabidopsis halleri (L.) O'Kane et Al-Shehbaz subsp. gemmifera (Matsum.) O'Kane et Al-Shehbaz var. senanensis (Matsum.) Yonek.  ハクサンハタザオ 白山旗竿 (狭義)
 
1-2-2-1 Arabidopsis halleri (L.) O'Kane et Al-Shehbaz subsp. gemmifera (Matsum.) O'Kane et Al-Shehbaz var. senanensis (Franch. et Sav.) Yonek. f. alpicola (H.Hara) Yonek.  イブキハタザオ 伊吹旗竿
 全体に白色の星状毛が密に生える。
1-2-3 Arabidopsis halleri (L.) O'Kane et Al-Shehbaz subsp. gemmifera (Matsum.) O'Kane et Al-Shehbaz var. umezawana (Kadota) Yonek.  リシリハタザオ
   synonym Arabidopsis umezawana Kadota 

 2  Arabidopsis lyrata (L.) O'Kane & Al-Shehbaz
2-1 Arabidopsis lyrata (L.) O'Kane & Al-Shehbaz subsp. lyrata
   synonym Arabis lyrata L.
 北アメリカ原産。英名はlyre-leaved rock cress , lyrate rockcress。
2-2 Arabidopsis lyrata (Linnaeus) O'Kane & Al-Shehbaz subsp. kamchatica (Fischer ex de Candolle) O'Kane & Al-Shehbaz ミヤマハタザオ 深山旗竿
   synonym Arabidopsis kamchatica (DC.) K.Shimizu et Kudoh
 日本(北海道、本州、四国)、朝鮮、中国、ロシア、北アメリカ原産。中国名は琴叶鼠耳芥 qin ye shu er jie 。
 2年草又は多年草、てい幹をもち、高さ (5~)10~30(~45)㎝。茎は直立又は傾伏し、1~基部から多数本出て、普通、上部で分枝し、基部に単純毛と1又の毛状突起をもち、 先は無毛。根生葉は葉柄が長さ0.5~2(~6)㎝、葉身は倒披針形~卵形、長さ(0.5~)1~3(~8)㎝×幅 (0.3~)0.5~1.5㎝、上面は単純毛と柄のある1又の毛状突起が混合し、まれに無毛、縁は歯状又は頭大羽状分裂し、各側に1~3個の側裂片をもち、先は鈍形。茎葉は短柄があり、数個つき、中間の茎葉の葉身は倒披針形、長さ(0.5~)1~3(~4) ㎝×幅(1~)2~7㎜、全縁~波状~不明瞭な歯状、まれに分裂し、上側では次第に小さくなる。果時の花柄は細く、開出し、真っすぐ、長さ(0.5~)0.8~1.2㎝。咢片は長さ2~3㎜、無毛又は密に毛があり、側対は袋状。花弁は白色、へら形又は倒卵形、長さ4~5(~6)㎜×幅1.5~2(~2.5)㎜、爪部は長さ1㎜以下。花糸は白色、長さ2~3㎜。長角果は線形、扁平、円筒形、長さ(1.5~)2~3.5(~4.5)㎝×幅0.5~0.8㎜、バルブには明瞭な中脈が全体に伸びる。花柱は長さ0.5㎜以下。種子は長円形、扁平、薄褐色、長さ0.9~1.2㎜。子葉は幼根側位。花期は3~7月。果期は6~10月。2n = 16, 32。
2-2-1 Arabidopsis kamchatica (DC.) K.Shimizu et Kudoh subsp. kamchatica  ミヤマハタザオ
   synonym Arabidopsis lyrata (L.) O'Kane et Al-Shehbaz subsp. kamchatica (DC.) O'Kane et Al-Shehbaz
2-2-2 Arabidopsis kamchatica (DC.) K.Shimizu et Kudoh subsp. kawasakiana (Makino) K.Shimizu et Kudoh  タチスズシロソウ 立蘿蔔草
 本州の東海~近畿地方以西、四国に分布する。海岸や湖の砂地に生える。
 ミヤマハタザオに似るが、根生葉以外は無毛。
 2年草、全体は緑白色、茎は高さ15~35㎝。根生葉はへら形、長さ1.5~4.5㎝、縁は羽状分裂、両面に軟毛が生える。茎葉は細長く、鈍頭、全縁。茎頂の総状花序に白色の十字花をつける。長角果は長さ3~4㎝、棒状、果柄は長さ8~10㎜。花期は4~5月。

 3  Arabidopsis thaliana (L.) Heynh.  シロイヌナズナ 白犬薺
   basynonym Arabis thaliana L.
   synonym Sisymbrium thalianum (L.) J. Gay & Monnard
 中国、モンゴル、ロシア、インド、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、アジア南西部、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は鼠耳芥 shu er jie 。英名はcommon wall cress , mouse-ear cress , thale cress , wall cress , codded mouse-ear。シロイヌナズナは植物体が小さいだけでなく、ゲノムの大きさも際立って小さかったため、世界中で広く、遺伝子研究のモデル植物として使われ、2000年に高等植物の中で最初に全ゲノムの解読が終了した。
 1年草、高さ(2~)5~30(~50)㎝。茎は直立、1本又は基部から少数、出て、単純又は上部で分枝し、基部に 主に単純な毛状突起をもち、先は無毛。根生葉は短い葉柄があり、葉身は倒卵形~へら形~卵形~楕円形、長さ0.8~3.5(~4.5)㎝×幅(1~)2~10(~15)㎜、下面には主に単純で柄がある1又の毛状突起があり、縁が全縁~波状~歯状、先は鈍形。茎葉は類無柄、普通、少数、葉身は披針形~線形~長円形~楕円形、長さ (0.4~)0.6~1.8(~2.5)㎝×幅1~6(~10)㎜、全縁又は少数の歯がある。果時の花柄は細く、開出し、真っすぐ、長さ3~10(~15)㎜。咢片は長さ1~2(~2.5)㎜、無毛又は上部にまばらに毛があり、単純な毛状突起があり、側対は袋状ではない。花弁は白色、へら形、長さ2~3.5㎜×幅0.5~1.5㎜、基部は漸尖形~短い爪部がある。花糸は白色、長さ1.5~2㎜。胚珠は子房に40~70個。長角果は線形、円柱形、平滑、長さ(0.8~)1~1.5(~1.8)㎝×幅0.5~0.8㎜、バルブに明瞭な中脈がある。花柱は長さ0.5㎜以下。種子は楕円形、丸みがあり、薄褐色、長さ0.3~0.5㎜、幼根背位。花期と果期は1~6(~10)月。2n = 10。(Flora of China)
 海岸や低地の草地、道端に生える越年草。ロゼットをつくり、根生葉は約2~5㎝。茎葉は長さ約2㎝、長楕円形。花茎は高さ10~30㎝、茎頂に総状花序をつける。花弁は白色、長さ約3㎜。長角果は長さ9~18㎜、長線形、開出または直立してつく。花期は3~5月 (参考4)


 参考

1) Flora of North America
  Arabidopsis
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=102392
2) Flora of China
 Arabidopsis
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=102392
3) GRIN
 Arabidopsis
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=886
4)愛媛県レッドデータブック2014
 タチスズシロソウ
  https://www.pref.ehime.jp/reddatabook2014/detail/09_01_006630_3.html
 シロイヌナズナ
  https://www.pref.ehime.jp/reddatabook2014/detail/09_05_005990_2.html
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