シロバナマンテマ 

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Flora of Mikawa

ナデシコ科 Caryophyllaceae マンテマ属

英 名 small-flower catchfly ,small-flowered catchfly ,small catchfly, smallflowered catchfly, windmill pink ,common catchfly, five-wound catchfly , French catchfly。common catchfly, English catchfly, French catchfly, French silene, gunpowder weed, Mediterranean catchfly, spotted catchfly(var. quinquevulnera), windmill pink
学 名 Silene gallica L. var. gallica
シロバナマンテマの花
シロバナマンテマのピンクの花
シロバナマンテマの葉
シロバナマンテマの果実
シロバナマンテマの完熟果実
シロバナマンテマの茎
シロバナマンテマ
シロバナマンテマ葉表
シロバナマンテマ葉裏
シロバナマンテマ種子
花 期 5~6月
高 さ (8)15~45(60)㎝
生活型 1年草
生育場所 海岸、河川敷、市街地
分 布 帰化種 地中海沿岸地域原産
撮 影 渥美町  05.5.8
シロバナマンテマは広義のマンテマ(Silene gallica L.)の基本変種 var. gallica に分類されている。狭義のマンテマは変種 var. quinquevulneraとされていたが、基本変種に含める見解もあり、POWO(Kew)やGBIFなどでは基本種に含めている。
 シロバナマンテマは和名がシロバナであるが、ピンク色もよく見られる。広義に扱う場合は花弁に深紅色のしみ(斑紋)のある狭義のマンテマ(spotted catchfly)を含めたものである。
 全体に長毛と腺毛が混生する。葉は上部に行くほど小さくなる。下部の葉は0.5~5㎝×幅3~15㎜の倒披針形~葉柄のあるへら形で微突形、上部の葉は長さ1~7㎝×幅1~15㎜の楕円状披針形~倒披針形~披針形、葉先は鈍形~短い尖鋭形~鋭形で微突形。花は直径5~8㎜。花弁は白色またはピンク色。花弁の基部に副花冠の付属体が2個ずつある。萼は長さ6.5~10(12)㎜、10本の脈があり、裂片は長さ2~2.5㎜、長毛と短い腺毛が混生する。雄しべ10本と柱頭3本は花から突き出ない。蒴果は長さ6.5~9㎜、先に6歯がある。種子は腎形、厚みがあり、幅約1㎜。
1 Silene gallica L. マンテマ 広義
 地中海沿岸地域(ヨーロッパ、西アジア、コーカサス、北アフリカ、マカロネシア)原産。英名はsmall-flower catchfly ,small-flowered catchfly ,small catchfly, smallflowered catchfly, windmill pink ,common catchfly, five-wound catchfly , French catchfly。common catchfly, English catchfly, French catchfly, French silene, gunpowder weed, Mediterranean catchfly, spotted catchfly(var. quinquevulnera), windmill pink。世界中に広く帰化している。
 1年草、直根は細い。茎は直立し、分枝し、まれに分枝せず、長さ(8)15~45(60)㎝、しばしば縮んだ長い毛があり、短毛が混じり、上部に粘る腺がある。葉は対生し(節に2個つき)、葉身は粗く、斜上するざらざらの毛が両面にあり、微突形。根生葉は少数、枯れ、葉身は倒披針形~葉柄のあるへら形、長さ0.5~5㎝×幅3~15㎜。茎葉の葉身は楕円状披針形~倒披針形~披針形、長さ1~7㎝×幅1~15㎜、先は鈍形~短い尖鋭形~鋭形。花序は開き、総状花序の枝をもち、節間と苞は普通、果時の萼とほぼ同長、長さ1~5㎜、上部は長い。小花柄は長さ10(20)㎜以下、直立~開出し、腺毛がある。花は直径5~8㎜。萼は10脈が目立ち、花時に狭い筒状卵形、果時に卵形、口部でくびれ、長さ6.5~10(12)㎜×幅3~5㎜、脈間は膜質、縁には歯があり、脈上には長さ約2㎜の関節のある剛毛があり、脈は平行、脈間に腺毛がある。萼歯は線形~披針形、長さ2~2.5㎜、先は緑紫色、鋭形。花弁は白色又はピンク色(var. gallica)、しばしば、暗色の斑点(blotch)があり(var. quinquevulnera)又は全体が暗ピンク色になり、爪部があり、長さは均等でなく、全縁または歯がある。爪部は萼と同長、拡大部は楕円形~倒卵形、分裂は有又は無、長さ6(7)㎜以下、副花冠の付属体は2個、長楕円形~狭披針形、長さ1~1.5㎜。雄しべは萼と同長又は短い。花糸の基部に毛がある。柱頭は3個、萼に含まれる。蒴果は長さ6.5~9㎜、円錐形、萼と同長、6個の反曲する狭三角形の歯をもつ。分果柄(carpophore)は1㎜より短く、有毛。種子は長さ0.5~0.7㎜×幅(0.5)0.8~1.2㎜、暗赤褐色、腎形、角(かど)があり、表面は凹面、裏面が平らまたはわずかに凸面状、放射状のうねをもち、外側の縁は広く、横方向のうねがあり、疣状突起がある。2n=24(n=12)。花期は5~6月。

1-1 Silene gallica L. var. gallica シロバナマンテマ

 地中海沿岸地域原産。世界中に広く帰化し、海岸、河川敷、市街地に生える。和名はシロバナマンテマだが、ピンク色もよく見られる。
 解説は広義マンテマと同じ。しばしば縮んだ長い毛があり、短毛が混じり、腺毛をもち、粘る。花弁が白色又はピンク色。

1-2 Silene gallica L. var. giraldii (Gussone) S.M.Walters イタリーマンテマ

  synonym Silene giraldii Gussone
 イタリア、サルデーニャ島原産。別名はケナシマンテマ。関東以西に帰化している。道端などの日当たりが良く、定期的に草刈が行われるような草地に生える。
 1年草又は2年草。高さ20~50㎝。マンテマによく似ているが、茎や葉や萼筒が無毛、上部の腺毛もなく、粘着しない。葉は対生し、葉身は広披針形、全縁、先は鋭形、基部は無柄で、茎を抱く。花は枝の上部に数個つき、直径約1㎝。萼は萼筒がやや痩長で筒状鐘形、濃色の脈があり、口部はくびれ、萼歯は小さな披針形。花弁は5個、紅紫色~ピンク色。花期は4~6月。

1-3 Silene gallica L. var. quinquevulnera (L.) W.D.J.Koch マンテマ

  synonym Silene gallica subsp. quinquevulnera (L.) Syme
  synonym Silene gallica f. quinquevulnera (L.) W.D.J.Koch
  synonym Silene quniquevulnera L.
 ヨーロッパ原産。英名は spotted catchfly, Mediterranean Catchfly, mother marm, five-wounded catchfly。世界中で栽培され、帰化している。YList, PlantNET, Electronic Flora of South Australiaなどではこの変種を認め、POWOやGBIFではvar. gallicaのsynonymとされる。
 日本へは江戸時代の末期に渡来した。高さは20~30㎝。全体に長毛と腺毛が混生する。葉は長さ1~3.5㎝×幅1~10㎜、倒卵形~長円状楕円形、短い腺毛と短い単純毛と長い多細胞の毛がある。下部の葉は先が幅が広く、へら形となる。花は直径約1㎝。萼は通常長さ7~10㎜、腺毛があり、果時に膨れ、10脈があり、脈はしばしば紫色を帯び、5歯がある。花弁は5個、白色またはピンク色で、中央部に大きな深紅色(dark crimson)のしみ(blotch)があり、縁は白色、ほぼ全縁、付属体は明瞭、直立する。蒴果は卵形、長さ6~9㎜、熟すと先が6裂(花柱の2倍数の歯)する。

【類似種】
 ホザキマンテマ(フタマタマンテマ Silene dichotoma Ehrh.)は全体に大きく、上側の葉も披針形で、葉先が鋭尖頭。花は白~赤色、花弁の先が深く切れ込む。雄しべは花弁より長く、3本の花柱が花から長く突き出る。