シラビソ 白檜曽

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Flora of Mikawa

マツ科 Pinaceae モミ属

別 名 シラベ
英 名 Veitch's silver fir , Christmastree , Veitch fir
学 名 Abies veitchii Lindl.
シラビソ葉
シラビソ葉裏
シラビソ枝の短毛
シラビソ幹
シラビソ
シラビソ2
花 期 6月
高 さ 25~30m
生活型 常緑針葉樹高木
生育場所 亜高山体の山地
分 布 在来種(日本固有種)  本州(福島県~和歌山県)、四国
撮 影 北八ヶ岳  16.9.30
和名はシラビソより球果(毬果)が大きいことに由来する。
 シラビソはモミ属であり、本州、四国の亜高山帯に分布する。よく似たシラビソと分布地帯は似ており、シラビソとも混生する。シラビソは大量の積雪に弱く、オオシラビソ(アオモリトドマツ)は積雪に強く、日本海側の多雪地帯に多い。縞枯現象(wave-regeneration)はシラビソ、オオシラビソの優占林に限って見られ、北八ヶ岳の縞枯山(2403m)の南側斜面が有名である。ほぼ等高線に沿って白色の帯状に枯れ、縞枯帯は数10年(17年程度)のサイクルで山頂方向にゆっくりと移動していく。オオシラビソとシラビソは上部の枝の葉は特徴があり、見分けやすいが下部の枝の葉では見分けにくい。シラビソは球果(毬果)がオオシラビソより小さく、種鱗や種子がはるかに小さく、若い枝に褐色~灰褐色の短毛がある。
 シラビソ(シラベ) は日本固有種。栽培種もある。高さ25~30m、まれに35mに達するものもみられる。樹形は狭い円錐形、枝は水平に出る。樹皮は灰白色、平滑、横ヤニ袋(resin blisters)がある。1年生枝には褐色~灰褐色の短毛がある。葉は枝に立ち上がって、螺旋状にやや疎につき、枝がよく見える。葉柄はごく短く、直線的、付け根が吸盤状。葉身は扁平線形、長さ2~2.5㎝、幅約2㎜、先は円形、微凹頭、オオシラビソよりやや長い。葉表は光沢があり濃緑色、葉裏は2本の幅広い白色の気孔帯がある。雌雄同株。花粉錐(雄花序)は前年枝の葉腋に多数つき、黄色、有柄、下垂する。球花(雌花序)は前年枝の枝先の葉腋に上向きに直立し、円柱状、紫色、尖った苞鱗の先が見える。球果は成熟すると濃青紫色(古くなると黒褐色)、長さ4~6㎝、幅2~2.5㎝、円柱形、苞鱗の先はほとんど露出しない。種鱗は幅1~1.3㎝の扇形、外面は無毛。苞鱗は種鱗とほぼ同長、狭い扇形、先が尖り、花時に球花から突き出る。種子は暗褐色、翼を含めず長さ約6㎜、翼は種子より短く、横に幅広い。花期は6月。果期9~10月。
 変種のシコクシラベ(var. sikokiana (Nakai) Kusaka)は四国の石槌山、剣山に自生し、球果が小さく丸みがあり、葉も少し短く、葉先が太くなる。
 その他のニッコウシラビソ、アオシラベ、コマガタケシラベなどはPOWOでは、狭義のシラビソ(Abies veitchii var. veitchii)のsynonymとしている。

(1) Abies veitchii var. nikkoensis Mayr ニッコウシラビソ 日光白檜曽

 球果は小さく、苞鱗はほとんど隠れる。

(2) Abies veitchii Lindl. f. olivacea (Shiras.) Kusaka アオシラベ 青白檜

  synonym Abies veitchii var. olivacea Shiras.
 本州(日光、富士山、八ヶ岳)に分布。
 球果は帯緑色、成熟すると灰褐色になる。

(3) Abies veitchii Lindl. var. reflexa Koidz. f. viridis Kusaka アオシコクシラベ 青四国白檜

 シコクシラベの球果の緑色のもの

(4) Abies veitchii Lindl. var. veitchii f. komagatakensis (Hayashi) Yonek. コマガタケシラベ 駒ヶ岳白檜

  synonym Abies veitchii Lindl. var. komagatakensis Hayashi
 山梨県の駒ケ岳に自生する。苞鱗が種鱗より長く超出し、外曲するもの。