モミ  樅
[別名] モミソ
[中国名]

日本冷杉

[学名] Abies firma Sieb. et Zucc.
マツ科 Pinaceae  モミ属
三河の植物観察
モミ枝先
モミ上部の葉
モミ葉の基部
モミ球果
モミの種子
モミの幹
モミ
モミ葉表
モミ葉裏
モミ果実
モミ種鱗
 樹形は円錐形。樹皮は灰白色、平滑又は浅く割れ目が入る。若枝には短毛がある。葉は互生し、長さ2~3㎝の扁平な線形。上部の光のよく当たる葉は葉先が円く、先端が小さく凹む。光の当たらない葉や若木の葉先は2裂し、針状に尖る。葉柄は境が不明瞭、付け根が吸盤状になる。葉表は緑色、葉裏は淡緑色。雌雄同株。雄花は前年枝の葉腋に多数つき、卵形、黄緑色。雌花は直立し、緑色。球果は長さ6~10㎝の先がやや細い円柱形。種鱗は幅約3㎝の扇形、苞鱗の先が上に突き出る。種子は長さ5~10㎜、翼は種子より長い。
 同属の類似種は多く、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソなどは高地に生え、葉裏の気孔帯が白色。ツガ属も葉が似ているが球果が小さい。
 ツガTsuga sieboldii はツガ属。若枝が無毛。葉が短く、葉先が円く、先端に小さい凹みがある。球果が小さく、長さ2~3㎝の惰円形~卵形。果柄も強く曲がる。
 コメツガTsuga diversifolia は標高の高い山地に分布し、若枝が有毛、果柄があまり曲がらず、球果がやや小さい。
[花期] 5月
[樹高] 15~25m
[生活型] 常緑高木
[生育場所] 丘陵~山地
[分布] 在来種 本州、四国、九州 日本固有種
[撮影] 寸又峡  07.8.5
設楽町  12.3.22(種鱗、種子)
【モミ属】
 常緑針葉樹、枝は普通、輪生。小枝は対生し、稀に、輪生、円形の窪んだ葉痕があり、基部に宿存性の芽鱗がある。短小枝は無い。冬芽は普通、小枝の先に3個つき、卵形~円錐形、しばしば樹脂枝。葉は螺旋状につき、放射状に広がり、又は側部では櫛状につき、線形、直線又は曲線状、扁平。表面は溝がある。裏面は2本の.気孔帯がある。維管束1本、樹脂道2(~10)本、縁生(下皮で)又は中間生(葉肉で)、まれに類中間生、基部は捻じれる。花粉錐は前年の小枝の葉腋につき、若いとき、狭楕円形~長楕円形、やあがて円柱形になる。花粉は2気嚢型。胚珠錐(球花) は有柄又は無柄、直立、卵状円柱形又は短円柱形、1年目に成熟する。種鱗は密に重なり、しばしば腎臓形~不等辺四辺形~扇形、木質、基部は狭く、樹期すと脱落性。苞は長楕円形~倒心臓形~倒卵形、突出又は突き出ず、ときに反曲する尖った先がある。種子は膜質のカップの中につき、傾いた卵形~楔状長楕円形、翼は発達し、宿存性、楔状斧形~長楕円状楔形。子葉 は (3)4~8(12)個。発芽は地上性。. 2n = 24。
 約50種がアジア、ヨーロッパ、北アメリカに自生する。日本にはモミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、トドマツの5種が自生する。

【主な種】
 1 モミ Abies firma 本州、四国、九州に分布する。英名はJapanese fir 、momi fir。樹皮は灰白色、浅く割れる。若枝には溝があり、暗褐色の微毛がある。葉は長さ2~3㎝。若木の葉先が2裂して針状に尖る。葉は長さ2~3㎝、葉裏は淡緑色。球花は緑色、苞鱗が長く突き出る。球果は長さ6~10㎝、幅2.5~3.5㎝(長さ/最大径比 2.3~2.8)、円柱形、淡褐色に熟す。種鱗は長さ約2.5㎝。苞鱗はペン先のような形で種鱗から先が突き出る。種子は長さ5~10㎜(翼を含めず)、翼は種子より長い。
 1-2 ミツミネモミ(アオオオシラビソモドキ) Abies × umbellata モミとウラジロモミとの雑種で両者の中間形。埼玉県、岐阜県、愛知県に分布する。 愛知県では段土山などで見られる。Aウラジロモミの変種 var. umbellata 又は品種f. umbilicataに分類されていた。栽培種とされ、英名はParagliding, Nikko fir) ウラジロモミの球果が緑色のもの。
 1-3 シダレモミ(Abies firma Siebold et Zucc. f. pendula Honda)、
 2 ウラジロモミ Abies homolepis 本州、四国に分布する。英名はNikko fir。モミより高地(ほぼ標高800m以上)に生える。樹皮は灰褐色、赤みを帯びることも多く、老木は粗く割れる。若枝は光沢があり、無毛、溝がある。葉は長さ1.5~3.5㎝、幅2~3㎜、葉裏は白色の広い気孔帯がある。葉先は小さく2裂。球花は赤紫色、苞鱗は突き出ない。球果は長さ5~10㎝、幅約3.5㎝、円柱形、濃紫色に熟す(古くなると褐色)。種鱗は長さ約2㎝、扇形、淡褐色。苞鱗は小さく、種鱗の長さの半分以下。種子は長さ7~8㎜(翼を含めず)、暗褐色、翼は種子より長く、長さ9~10㎜、幅8~9㎜。

 3 シラビソ(シラベ) Abies veitchii は日本固有種。栽培種もあり、英名はVeitch's silver fir 。高さ25~30m、まれに35mに達するものもみられる。樹形は狭い円錐形、枝は水平に出る。。樹皮は灰白色、平滑、横ヤニ袋(resin blisters)がある。。1年生枝には褐色~灰褐色の短毛がある。葉は枝に立ち上がって、螺旋状にやや疎につき、枝がよく見える。葉柄はごく短く、直線的、付け根が吸盤状。葉身は扁平線形、長さ2~2.5㎝、幅約2㎜、先は円形、微凹頭、オオシラビソよりやや長い。葉表は光沢があり濃緑色、葉裏は2本の幅広い白色の気孔帯がある。雌雄同株。花粉錐(雄花序)は前年枝の葉腋に多数つき、黄色、有柄、下垂する。球花(雌花序)は前年枝の枝先の葉腋に上向きに直立し、円柱状、紫色、尖った苞鱗の先が見える。球果は成熟すると濃青紫色(古くなると黒褐色)、長さ4~6㎝、幅2~2.5㎝、円柱形、苞鱗の先はほとんど露出しない。種鱗は幅1~1.3㎝の扇形、外面は無毛。苞鱗は種鱗とほぼ同長、狭い扇形、先が尖り、花時に球花から突き出る。種子は暗褐色、翼を含めず長さ約6㎜、翼は種子より短く、横に幅広い。花期は6月。果期9~10月。
 3-2 アオシラベ Abies veitchii Lindl. f. olivacea (Shiras.) Kusaka=Abies veitchii Lindl. var. olivacea Shiras. 球果が緑色。日光、富士山、八ヶ岳に自生する。 
 3-3 コマガタケシラベAbies veitchii Lindl. var. komagatakensis Hayashi 苞鱗が種鱗より長く超出し、外曲するもの。山梨県の駒ケ岳に自生する。
 3-4 シコクシラベAbies veitchii Lindl. var. reflexa Koidz.=Abies veitchii Lindl. var. shikokiana (Nakai) Kusaka 球果が小さく丸みがあり、葉も少し短く、先が太くなる。四国の石槌山、剣山に自生する。
 3-5 アオシコクシラベAbies veitchii Lindl. var. reflexa Koidz. f. viridis Kusaka シコクシラベの球果の緑色のもの

 4 オオシラビソ(アオモリトドマツ)Abies mariesii は日本固有種。高さ20~25m、大きいものは40mに達する。高山では小型になる。樹形がシラビソに似ている。多雪にもよく耐え,枝が曲がっていることが多い。樹皮は灰白色~灰青紫色、平滑、横長のヤニ袋(resin blisters)がある。1年生枝には赤褐色の短毛が密生する。葉は枝を隠すように短い葉があり、貼りつくように螺旋状に密につき、枝が見えにくい。葉柄がやや長く、曲がる。葉身は扁平な線形、長さ1~2㎝、先は円形、微凹頭、葉質はやや堅い。葉表は光沢があり濃緑色、葉裏は2本の白色の幅広い気孔帯がある。雌雄同株。花粉錐(雄花序)は前年枝の葉腋に多数つき、黄色、有柄、下垂する。球花(雌花序)は前年枝の枝先の葉腋に上向きに直立し、円柱状、紫色。球果は無柄、長さ5~10㎝、幅3~5㎝、楕円形、濃青紫色(古くなると黒紫色)に熟す。種鱗は幅約2.5㎝、種輪の合わせ目に明瞭な密毛がある。苞鱗はへら形、長さが種鱗の半分程度であり、先が種鱗から突き出ない。種子は2個つき、倒卵状三角形、翼を含めず長さ約10㎜、淡褐色、翼は種子よりやや長く、大きい。 花期は6月。果期9~10月。
 5 トドマツAbies sachalinensis (F.Schmidt) Mast.北海道、サハリンに分布する。高さ20~25m、大きいものは35mに達する。樹皮は灰褐色。枝は斜上し、若枝は淡褐色の毛が多い。葉は扁平な線形、長さ1.5~2㎝、先は微凹状、円形。葉表は濃緑色。葉裏には2本の白色の気孔帯がある。雌雄同株。
花粉錐(雄花序)は前年枝の葉腋に多数つく。き、球果は黒褐色で5-8.5 cm程度で枝上に直立球果の構造(トウヒ属の球果は枝から垂れ下がり、松かさのように鱗片を開閉させるだけで種子を散布し、モミのようにバラバラに分解しない)。種鱗が球果から出る程度である。前者が余り飛び出ないのに
 5-2 アカトドマツ(Abies sachalinensis (F.Schmidt) Mast. var. sachalinensis)、球果の苞鱗が赤みを帯び、種鱗から先があまり突き出ない。
 5-3 ネムロトドマツ 根室椴松 (エゾシラビソ)Abies sachalinensis var. nemorensis Mayr 球果が小さく、苞鱗が赤みを帯び、種鱗から先が全く突き出ない。
 5-4 アオトドマツ(Abies sachalinensis (F.Schmidt) Mast. var. mayriana Miyabe et Kudo)、
球果の苞鱗が緑色を帯び、種鱗から先が突き出る。
 5-5 オニハダトドマツ Abies sachalinensis var. corticosa 樹皮がエゾマツの様に裂ける。

その他外来種
ヨーロッパモミ(Abies alba Mill.)、 ウツクシモミ(Abies amabilis Dougl. ex J.Forbes)、 バルサムモミ(Abies balsamea (L.) Mill.)、ギリシアモミ(Abies cephalonica Loudon)、 コロラドモミ(Abies concolor (Gordon et Glendinning) Hildebr.)、ウンナンシラベ(Abies forrestii Coltman-Rogers)、フラセリーモミ(Abies fraseri (Pursh) Poir.)、アメリカオオモミ(Abies grandis (Dougl. ex D.Don) Lindl.)、チョウセンモミ(Abies holophylla Maxim.)、ニイタカトドマツ(Abies kawakamii (Hayata) T.Ito )、チョウセンシラベ(Abies koreana E.H.Wilson)、ミヤマバルサム(Abies lasiocarpa (Hook.) Nutt.)、カクバモミ(Abies magnifica A.Murray bis)、トウシラベ(Abies nephrolepis (Trautv.) Maxim.)、アオトウシラベ(Abies nephrolepis (Trautv.) Maxim. f. chlorocarpa E.H.Wilson)、コーカサスモミ(Abies nordmannniana (Steven) Spach)、アルジェリアモミ(Abies numidica De Lannoy ex Carriere)、スペインモミ(Abies pinsapo Boiss)、ノーブルモミ(Abies procera Rehder)、シベリアモミ (Abies sibirica Ledeb.)、ヒマラヤモミ(Abies spectabilis (D.Don) Spach)、ドイツトウヒ(Picea abies (L.) Karst.)
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