ヌマダイコン  沼大根
[中国名] 下田菊 xia tian ju
[英名] sticky daisy , club-wort , kamanamana
[学名] Adenostemma lavenia (L.) Kuntze var. lavenia
Adenostemma lavenia (L.) Kuntze (広義)
Adenostemma viscosum J. R. Forst. et G. Forst.
キク科 Asteraceae (Compositae)  ヌマダイコン属
三河の植物観察
ヌマダイコンの頭花
ヌマダイコンの頭花2
ヌマダイコンの蕾
ヌマダイコンの総苞
ヌマダイコンの花後
ヌマダイコンの花後の果実
ヌマダイコンの花後の果実
ヌマダイコンの痩果3
ヌマダイコンの痩果2
オカダイコンとヌマダイコンの痩果
ヌマダイコンの茎の下部
ヌマダイコン
ヌマダイコン小花
ヌマダイコンの痩果
ヌマダイコン葉表
ヌマダイコン葉裏
  Adenostemma laveniaは非常に変化しやすく、疑わしい分類群である。Adenostemma lavenia はA. tinctorium やA. viscosumとは別種であり、スリランカの固有種とする見解と、同種で汎熱帯的であるとする見解がある。Ylistでは3変種を分けずにAdenostemma lavenia とし、USDA(GRIN)では学名をAdenostemma viscosumとして、Adenostemma laveniaはbasionymとしている。
 The Plant Listでは種内taxaをvar. latifolium、var. madurense、var. parviflorum、var. reticulatum 、var. rugosum、f. angustifoliumの6種としている。
 日本のヌマダイコンはAdenostemma lavenia1種とされていたが、痩果が平滑のオカダイコンと疣状のヌマダイコンが別変種として分けられるようになった(Koyama, 2001; 小林, 2004)。当初は分布が関西以西とされていたが、それ以外でも確認されるようになった。現在、オカダイコンはvar. madurense、ヌマダイコンはvar. laveniaに分類されている。しかし、Flora of China はvar. lavenia、 var. latifolium 、var. parviflorum の3変種に分類し、一年草(多年草の誤りか)としている。日本のヌマダイコンvar. laveniとは一致せず、学名に混乱がある。どちらかというとオカダイコンがvar. laveniaに近く、ヌマダイコンはvar. parviflorumに近い。
 写真のものはどろどろの沼状の休耕田(沼地)と、素掘りの水路(水中)に生えていたもの。茎は沼地のものは基部が曲がらず直立し、下部でも分枝し、細い枝がつく。水中のものは基部が曲がり、上部は直立する。茎は円柱形、中実、下部は無毛、上部は有毛、花柄には上向きに曲がった毛が密にある。葉の質は生えているときは厚く感じ、切り取るとすぐに萎れ、薄く感じる。葉身は中間のもので長さ12㎝、幅4.5㎝程度、鋸歯が粗く、9対程度であり、オカダイコンより鋸歯の数が明らかに少なく、鋭鋸歯~鈍鋸歯。葉柄はほとんど無いか又は長さ1~2㎝。頭花は小さく、総苞が長さ4~5㎜、幅5~6㎜。まれに総苞が開く直前のもので幅7~8㎜程度のものがあった。頭花の小花は26~35個(n=10,平均30) 。花冠は先が5裂し、白色三角形の5歯があり、筒部の上部は白色で毛が密生し、中間は赤紫色、下部は緑色で腺毛がある。蕾は白色、オカダイコンの花はピンク色を帯び、蕾がピンク色。痩果は小さく、長さ3~3.5㎜、総苞が開いてすぐまでは黒褐色、全体が粘液に覆われ、日が経つと退色してタン色~バフ色(黄土色)、疣状になる。ヌマダイコンの痩果は長さ約4㎜とされ範囲が不明。コバナヌマダイコンの痩果は長さ2.5~3.5㎜であり、どちらとも言えないが、オカダイコンの痩果が実測の結果、長さ3~4㎜であり、この範囲に入るため、ヌマダイコンも生育状態により小さいものがあると推定される。
 日本のヌマダイコンは茎が直立又は基部で曲がって直立し、高さ30~100㎝、上部で分枝する。葉は対生し、長さ1~6㎝の葉柄がある。葉身は披針形~卵形(以前は卵形~卵状長楕円形とされていた)、長さ4~20㎝、幅3~12㎝、鈍鋸歯があり、両面にまばらに短毛があり、基部は急に狭く翼状になる。 頭花は小さく、散房状にまばらにつく。総苞は半球形、長さ4~5㎜、幅5~6㎜。 総苞片は2列でほぼ同長、鈍頭、果時に反り返る。 すべて両性の筒状花、長さ2.5㎜。花冠は白色、先が5裂し、白色三角形の5歯があり、筒部の上部は白色で毛が密生し、下部は腺毛がある。雄しべは短く、花冠内にあり、見えない。花柱は先が2裂し、白色、花冠から長く突き出る。 痩果は黒褐色、棍棒状、長さ約4(推定3~4)㎜、密に腺点があり、褐黄色の粘液を出して全体に粘り、低い疣があり、成熟して乾くと表面が淡褐色の痂状になる。 冠毛は3~5個、長さ約1㎜、棍棒状。
 ●var. lavenia (Flora of China) は中国名が下田菊(xia tian ju) 。 一年生草本、高さ30~100㎝、茎は単一、直立し、基部の直径0.5~1㎝、硬く、通常は上部で分枝し、白色の短柔毛で覆われ、下部又は中部以下は平滑、無毛。葉柄は長さ0.5~4㎝、狭い翼がある。葉身は楕円状披針形~惰円形~菱状惰円形、長さ4~12㎝、幅2~5㎝、両面わずかに有毛~無毛、円鋸歯縁、先は鋭形~鈍形、茎上部と下部の葉は小さく、柄も短い。頭花は散房花序や円錐花序に 少なく、稀に多く、まばらに又は密につく。花柄は長さ0.8~3㎝。総苞は半球形、長さ4~5㎜、幅6~8㎜、果時には直径10㎜になる。総苞片は2列、緑色、ほぼ同長。花冠は長さ2.5㎜、先は三角状の5歯、上部に柔毛、下部に腺毛がある。痩果は黒褐色、長さ約4㎜、幅約1㎜、疣状にはならず、腺状。花果期は8~10月。2n=20
 ●var. latifolium 中国名は宽叶下田菊( kuan ye xia tian ju )であり、葉幅が広く、広卵形~菱形、縁は欠刻(けっこく)状~鋸歯状~重鋸歯状。痩果は密に疣状(tuberculate)。葉はオカダイコンに似ているが、痩果はヌマダイコンに似ている。
 ●コバナヌマダイコン var. parviflorum (Adenostemma parviflorum=A. viscosum var. parviflorum ) は中国、台湾に分布し、中国名は小花下田菊(xiao hua xia tian ju )。葉は質が厚く、楕円状披針形~菱状惰円形~惰円形。頭花が小さく、総苞が直径5~7㎜。痩果が小さく、長さ2.5~3.5㎜、密に疣状。
 ●オカダイコンは山地の林縁などヌマダイコンよりやや乾いた場所に生育する。 茎が直立又は基部で曲がって直立し、下部では分枝せず、上部で分枝して花をつける。葉は対生し、長さ0.5~6㎝の長い葉柄がある。葉身は長さ4~20㎝、幅3~12㎝の卵形~卵状楕円形、先は尖り、基部は広楔形で急に狭くなり、翼状に葉柄へと続く。茎の上部や下部の葉は小さく、中部の葉が最も大きい。葉縁には不規則な鋭鋸歯~鈍鋸歯がある。鋸歯は細かく、長さ4.5㎝の葉で10対程度、大きい葉は鋸歯が30対ほどある。総苞は長さ4~5㎜、幅(5.5)6~7.5㎜、個体が小さい日陰の群落では花がやや小さく、総苞の幅が狭い。花冠は先が5裂し、5歯があり、ヌマダイコンよりややピンク色が強く、蕾がピンク色。痩果は黒褐色~黒色、長さ3~4.1(平均3.5)㎜、幅1~1.3㎜(平均1.1)、腺点がまばらにあり、日数が経過して乾いてくると褐色になり、ほぼ平滑になり、ヌマダイコンのように疣状にならない。
[花期] 9~11月
[草丈] 30~100㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 湿地、水路の縁、湿った休耕田など
[分布] 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、フィリピン、オーストラリア
[撮影] 新城市  15.9.22(沼地)
       15.9.28(水路)
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