メランポジウム 

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae メランポジウム属

別 名 メランポディウム
中国名 美兰菊 mei lan ju
英 名 boton de oro , medallion flower, gold medallion flower , butter daisy , million gold
学 名 Melampodium divaricatum (Rich.) DC.
 synonym Melampodium paludosum Kunth
メランポデジウムの花
メランポデジウムの筒状花
メランポデジウム花横
メランポデジウム総苞
メランポデジウム蕾
メランポデジウム
メランポデジウム葉表
メランポデジウム葉裏
花 期 4~10月
高 さ 20~40㎝
生活型 1年草
生育場所 園芸品種、民家近く
分 布 帰化種 北アメリカ、メキシコ、南アメリカ(ベリーズ、コスタリカ、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、ブラジル、コロンビア)原産
撮 影 豊橋市 14.6.21
園芸品種であり、' Million Gold' や'Showstar'などがある。よく見られるものは園芸品種の Million Goldである。小形で、花が直径約2㎝、花が多数つき、花期が長く、よく栽培されている。
 Melampodium paludosum は中央アメリカ(コロンビア、パナマ)原産であり、USDAのGRINではMelampodium leucanthumの同義語としている。Melampodium leucanthumは北アメリカ原産で、舌状花が白色。学名が混乱していたと思われる。
 Melampodium divaricatum はかなり大形になり、高さ15~100㎝。葉身は長さ40~150㎜、幅25~95㎜、浅い鋸歯~全縁。小花柄は長さ1~12㎝。総苞は浅い。舌状花は8~13個つき、橙黄色、小舌は長さ3.5~7㎜、幅1.6~3㎜。中心花は40~70個つく。痩果は長さ2.8~4㎜。2n=24。
 ダールベルグデージー Thymophylla tenuiloba も花期が長く、黄色の花を多数つける。葉が細く羽状に深裂し、総苞が長い。

メランポジウム属

 family Asteraceae - genus Melampodium

 1年草、多年草、低木、高さ 5~50(~150+㎝。茎は直立又は平伏。葉は茎葉、対生。葉柄は有(普通、翼がある)又は無。葉身はデルタ形~槍状楕円形~披針形~槍状線形~線形~線状長楕円形~卵形~菱形、ときに羽状に分裂し、最終の縁は全縁又は歯状、表面は普通、有毛、普通、腺点が(少なくとも下面に)ある。頭花は放射状頭花、単生(2又状の枝につき、花序柄はしばしば鉤状)。総苞はほとんど半球形(ときに、±杯形)、直径[4~]5~20(~30+)㎜。総苞片は宿存(外総苞片)又は痩果とともに落ち、8~20個、2列につき(外総苞片は[2~]5個、しばしば合着し、草質、内総苞片は各周辺小花の子房を被覆し、果胞perigyniumを形成し、包んだ痩果とともに落ちる)。花托は平ら~凸面~円錐形(それらの先はパレアpaleaeと、しばしば単位として落ちる使用済み小花である)、パレアがある(パレアは披針形~線形、薄膜質、縦に2つ折り、しばしば、広がった微細不整歯の先をもつ)。周辺小花は[3~]5~13+個、雌しべがあり、稔性。花冠は黄色~橙色~クリーム白色ときに外面が帯紫色(筒はしばしば色が抜ける)。中心小花は[3~]45~70[~100+]、機能的に雄性、花冠は黄白色(ochroleucous)~黄色~橙色、筒部は漏斗形ののど部より短い。花冠裂片は5個、±デルタ形。痩果は中に包まれ、平滑又は小いぼ状、薄膜質で皮のような又は硬くなった果胞とともに落ちる。(最終的に果実は±扁平、±D形)。冠毛は無い。x=12。
 世界に約36種あり、USA、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカに分布する。(Flora of North America)

【類似属のジャノメギク属】
 1年草又は多年草、高さ(3~)10~30㎝。茎は平伏~直立、基部から分枝し、又は±全体に分枝する。葉は茎葉、対生、有柄又は無柄。葉身は倒卵形~へら形~線形、基部は円形~±楔形、縁は全縁[歯状又は分裂] 、表面に毛がある。頭花は放射状頭花、単生。総苞は半球形~輻状(車形)、直径4~12+㎜。総苞片は宿存し、8~21個、2~3列につく(披針形~線形、外総苞片は上部が草質、他は堅い錐形の付属体をもつ)。花托は凸面~円錐形、パレアがある(パレアは2つ折り、薄膜質)。周辺小花は5~20個、雌しべがあり、稔性。花冠は白色又は黄色(小舌は無柄、宿存性、紙質になる)。中心小花は15~60個、両性、稔性、花冠は上部が黄色~橙色[暗紫~暗紫褐色]、(ときに乾いて白色)、筒部は漏斗形ののど部よりかなり短い。裂片は5個、デルタ形。痩果は±円柱形又は不明瞭な3~4角(かど)があり、又は扁平になり(普通、すべて筒形、鉤状の毛があり、翼は無~いくつか~全てある)。冠毛は宿存性の3~4個の芒。x=8, 11。
 世界に5種あり、USA軟西部、メキシコ、中央アメリカ、南アメリカに分布する(Flora of North America)。

※ 最近、よく流通しているサンビタリア・スペシオーサはジャノメギクに比べると暑さや病気に強い。サンビタリアの一種とされているが、誤りであり、メランポジウム属の不明種とされている。最初に販売されたのが'Aztec Gold'という品種であり、今ではこの系統の多数の品種がある。
 ジャノメギク系統のものは筒状花が褐色~橙色のものが多く、スペシオーサ系のものは筒所花も黄色である。ジャノメギク属は総苞片が2形性で、小さな外総苞片が目立ち、メランポジウム属は外総苞片が部分的に合着し、浅い杯状になる。

メランポジウム属の主な種と園芸品種

1 Melampodium divaricatum (Rich.) DC.  メランポジウム・ディバリカトゥム

  synonym Melampodium paludosum Kunth
 メキシコ、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はmelampodium , butter daisy。
 1年草、高さ15~100+㎝。茎は2又分枝し、細く、中空、紫色を帯び、節に葉枕があり、無毛又は若枝に細毛があり、節と節間が明瞭。葉は単葉、対生。葉柄は長さ2~8㎜。葉身は±菱形~披針形、長さ40~150㎜×幅25~95+㎜。長さは幅の1~2(~3+)倍、縁は粗い歯状又は全縁。花序柄は長さ1~12+㎝。総苞は直径約1㎝、球形、緩い集散花序に1又は2~3個頭花がつく。花托は円錐形~長楕円形、長さ約5㎜、パレアがある。パレアは約長さ3~3.5㎜×幅1~1.2㎜。総苞片は1~2列、草質。外総苞片は5個、長さの1/4~1/3が合着し卵形~円形、長さ3.5~6㎜。周辺小花は8~13個、黄橙色、小舌は長楕円状楕円形、長さ3.5~7㎜×幅1.6~3㎜、先は3歯、痩果の先の腹側につく。中心小花は40~70+個、雄性又は不稔。果実は長さ2.8~4+㎜。2n=24。花期は通年。
品種) 'Casino Light Yellow' , 'Derby' , 'Golden Globe' , 'Lemon Delight' , 'Medallion' , 'Melanie' , 'Million Gold' , 'Million Lemon' , Paradise' , 'Showstar', 'Sun of Garth'

2 Melampodium leucanthum Torrey & A. Gray メランポジウム・レウカンスム

 USA、メキシコ原産。英名はplains blackfoot , blackfoot daisy。空き地、草原、道路法面、乾燥したまたは砂漠の低木地に生える。
 多年草又は亜低木、高さ 12~40(~60)㎝。葉身は披針形~線状長楕円形~線形、長さ20~35(~45)㎜×幅1~10(~12)㎜、長さは幅の3~8+倍 、羽状に1~6分裂し、最終の縁は全縁。花序柄は長さ3~7㎝。外総苞片は5個、長さの1/2~3/5が合着し、卵形、長さ5~7㎜。周辺小花は8~13個、花冠はクリーム白色、ときに外面が紫色を帯び、小舌は長楕円状楕円形、長さ7~13㎜×幅2.5~8㎜。中心小花は25~50個。果実は長さ1.5~2.6㎜。2n=20, 40。花期は3~10月。

3 Melampodium perfoliatum (Cav.) Kunth メランポジウム・ペリフォリアツム

 メキシコ、南アメリカ(コスタリカ、グアテマラ)原産。
1年草、高さ20~150+㎝。葉身は ±デルタ形~菱状デルタ形、長さ40~20+0㎜×幅25~150+㎜、長さは幅の 1~2(~3+)倍、±歯状又は全縁。花序柄は長さ1~10+㎝。外総苞片は5個、長さの0~1/6が合着、長楕円形~楕円形、長さ(6~)12~15+㎜。周辺小花は8~13個、花冠は黄橙色、小舌は長楕円状楕円形、長さ2.5~5㎜、幅1.6~3㎜。中心小花は30~45+個。果実は長さ4~7+㎜。2n=22 , 24。花期は通年。

4 Melampodium montanum Benth. メランポジウム・モンタナ
  synonym Melampodium liebmannii Sch.Bip. ex Klatt
  synonym Melampodium montanum var. viridulum Stuessy
  synonym Melampodium paludosum misapplied
  synonym Sanvitalia procumbens misapplied
 メキシコ、グアテマラ原産。カシや松林地帯の岩の多い粘土質土壌に生える。
 多年草。茎は細く、匍匐する根茎から生じ、平伏する。葉は対生し、卵形、先は鋭形~鈍形。頭花は枝先に単生し、放射状頭花。花序柄は長い。舌状小花は黄金色。
 広く栽培されている'Aztec Gold'はサンビタリア・スペシオーサ(Sanvitalia speciosa hort.)の品種とされていたが、現在はメランポジウム・モンタナの品種と推定されている。サンビタリア・スペシオーサはメキシコ原産で、英名はcreeping zinnia , Mexican creeping zinnia。
 多年草又は1年草、高さ15~30㎝、這って広がる。葉は対生し、長卵形、濃緑色。頭花は小型、舌状小花、筒状小花ともに黄色。花期は5~11月。最初に売り出された品種は'Aztec Gold'である。
品種) 'Aztec Gold' , 'Baby Suns' , 'Inca' , 'Million Suns' , 'Powerbini' (P), 'Solaris' , 'Solaris Compact' , 'Solaris® Compact Yellow' , 'Solaris® Table' , 'Solaris® Yellow' , 'Solaris Compact' , 'Solaris® Compact Yellow' , 'Starbini' (P) , 'Sunbini' , 'Show Star' , Talya Sunny = 'Danvital4' (PBR)

※ Sanvitalia speciosaは疑うことなく、無効名であるが、19年前に栽培のために導入された元のわからない繊細な多年草に園芸取引で現在使われている名前である。しかし、1年草として栽培され、sanvitaliaに似ており、次々と多数の小さな黄色の頭花をつける。次のような多数の形態学的な特徴がある。二形性の総苞片が2列につき(内側の列は各周辺小花の痩果を囲む)、周辺小花は子房の先の背側につく。準同型の痩果は冠毛が無い。 subtribe Zinniinae中ではこれらはむしろ稀であり、実際にはgenus Melampodium.に属すことを示唆している。この栽培種は疑うことなく、genus Melampodiumの中のsection Rhizomariaに属す。しかしその正体は不確かなままである。どうもこれは M. montanum BENTH.に近いものと思われるが、この種としては珍しい多くの特徴が記録されている。(参考5)
 RHSのplants検索には'Aztec Gold'などの品種がMelampodium montanumとして掲載されている。

5 その他ハイブリッド
品種) 'Golden Gate' , 'Jackpot Gold'

参考

1) Taxonomy - GRIN-Global Web v 1.9.9.2
 Melampodium L.
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=7401
2) Flora of North America
 Melampodium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=120052
4) Bioscience Discovery, 8(1):50-54, Jan. - 2017
 Genus Coleostephus
https://www.researchgate.net/publication/313440862_Melampodium_divaricatum_Asteraceae-Melampodiinae_A_new_record_for_India

5)ACTA UNIVERSITATIS AGRICULTURAE ET SILVICULTURAE MENDELIANAE BRUNENSIS Volume LX 42 Number 6, 2012

SANVITALIA SPECIOSA IN THE HORTICULTURAL TRADE: UNKNOWN ORIGIN, UNCERTAIN IDENTITY BUT NO SANVITALIA
https://acta.mendelu.cz/pdfs/acu/2012/06/42.pdf