メヒシバ 雌日芝

mark

Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae  メヒシバ属

別 名 メシバ
中国名

纤毛马唐 xian mao ma tang

英 名 southern crabgrass , common crab grass, tropical finger grass
学 名 Digitaria ciliaris (Retz.) Koeler
Digitaria adscendens (Kunth) Henrard.
メヒシバの小穂と軸の鋸歯
クシゲメヒシバ
メヒシバの果実
メヒシバの葉舌
メヒシバの葉鞘
メヒシバ
メヒシバ小穂
メヒシバ内頴と護頴
花 期 7~11月
高 さ 30~90㎝
生活型 1年草
生育場所 道端、空地
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、熱帯アジア、アフリカ、南北アメリカ
撮 影 蒲郡市大塚町 09.7.24
世界に広く分布し、オーストラリアなどに帰化している。
 葉は長さ8~20㎝、幅0.5~1.5㎝の広線形、柔らかい。葉鞘の上端には長い毛が生える。葉舌は長さ2~3㎜。花序は掌状に枝を2~4個、斜上し、大きくなると花序枝が2~3段(花序枝の1段を総という。)になってつく。花序枝は長さ5~15㎝、幅約1㎜で、縁が翼状になり微鋸歯があってざらつく。小穂は長さ約3㎜の披針形で、先が尖る。小穂の縁に長毛が櫛形に生えるものをクシゲメヒシバと変種扱いする説もあるが、分類しないのが一般的である。第1苞頴は長さ約0.5㎜。第2苞頴は長さ約1.8㎜、毛がある。第1小花は長い毛がある護頴だけに退化。第2小花の護頴と内頴は厚く、無毛。果実は長さ約2㎜、乳白色。
 見分けるのが難しい類似種のコメヒシバは、全体が小型で、花序枝の総数が2~4と少なく、花序枝が段にならない。見分ける決め手は花序枝に微鋸歯がなく、ざらつかないことである。
 アキメヒシバは花期が遅く、小穂がコメツブのように丸い。

メヒシバ属

  family Poaceae - genus Digitaria

 一年草または多年草。稈は直立または傾伏し、ときに匍匐茎がある。葉身は線形または線状披針形。葉舌は膜質。花序は総状花序が掌状につき、ときに短い花序軸の上につく、または二次の小枝をもち、非常にまれに小円錐花序になる。小穂は普通、2~3(~4)のグループで、覆瓦状または発散してつき、後者ではしばしば著しく長く不均等な小梗の上につく。小穂は微軟毛~絨毛があり、普通、目立つ脈の間に縞模様があり、まれに、無毛になる。第1苞穎はないか、または小穂の長さの1/4まで縮小される。第2苞穎は様々。下側の護穎は普通、±小穂の長さと同じである。上側の小花は淡色~黒色、先はほぼ鋭形~尖鋭形、まれに尖頭形。x=9。
 世界に約260種あり、世界の熱帯および温帯地域に広く分布する。

メヒシバ属の主な種と園芸品種

1 Digitaria californica (Benth.) Henrard
  synonym Trichachne californica (Benth.) Chase ex Hitchc.
 北アメリカ(USA,メキシコ)、南アメリカ原産。英名はArizona cottontop。平野、開けた場所に生える。
 多年草、叢生し、根茎も匍匐茎もない。稈は高さは40~100㎝、直立し、ときに膝状に曲がり、下部の節から発根しない。基部の葉鞘は絨毛があり、上部の葉鞘は無毛または密に絨毛~密に綿毛があり、または疎~密に毛があり、毛の基部がパピラ状になる。葉舌は長さ(1)1.5~6㎜、全縁または切り裂かれ、縁毛は無い。葉身は長さ2~12(18)㎝×幅2~5(7)㎜、無毛、または上面は疎~密に絨毛または綿毛がある。円錐花序は長さ5~10㎝の花序軸の上に4~10本の穂状花序状の一次枝があり、まれに、二次枝がある。一次枝は長さ3~6㎝、圧着~斜上し、花序軸の縁に翼はない。節間は長さ2~5.5㎜(中間枝)、不均等な小梗の対の小穂をもち、まれに2次分枝する。小梗は枝軸に付着しない。短い小梗は長さ0.1~0.3㎜。長い小梗は長さ1~2㎜。枝の頂部の小梗は長さ1.7~6(7)㎜。小穂は同形、長さ(3.7)4~7.5㎜(毛を含む)、長さ3~5.4㎜(毛を除く)。第1苞穎は長さ0.4~0.6㎜。第2苞穎は長さ2.5~5.1㎜(毛を除く)、上側の小花よりも狭く、3脈があり、密に絨毛があり、毛は長さ1.5~5㎜、銀白色~紫色、熟すと広く散開する。下側の護穎は長さ2.7~5㎜(毛を除く)、毛は上側の小花を2.2~4㎜超え、7脈があり脈は間隔が不均等、3または5本の中央脈のみが見え、縁と外側の側脈は密に毛があり、毛は長さ1.5~5㎜、銀白色~紫色、熟すと広く、散開し、肋間の範囲は無毛、先は漸尖する(尖鋭形)。上側の護穎は長さ2.5~3.4㎜、卵状披針形、褐色~暗褐色、先は尖鋭形。穎果は長さ1.3~2mm。2n=36, 54, 70, 72。
品種) 'Loetta'

2 Digitaria ciliaris (Retz.) Koeler メヒシバ 雌日芝
  synonym Digitaria sanguinalis auct. non (L.) Scop.
  synonym Digitaria sanguinalis (L.) Scop. var. ciliaris (Retz.) Parl.
  synonym Digitaria adscendens (Kunth) Henrard
  synonym Digitaria sericea (Honda) Honda  キヌゲメヒシバ 
 北海道、本州、四国、九州、熱帯アジア、アフリカ、南北アメリカ原産。中国名は纤毛马唐 xian mao ma tang。英名はsouthern crabgrass , common crab grass, tropical finger grass。別名はメシバ。道端、空地に生える。
 1年草。高さ30~90㎝。葉は長さ8~20㎝、幅0.5~1.5㎝の広線形、柔らかい。葉鞘の上端には長い毛が生える。葉舌は長さ2~3㎜。花序は掌状に枝を2~4個、斜上し、大きくなると花序枝が2~3段(花序枝の1段を総という。)になってつく。花序枝は長さ5~15㎝、幅約1㎜で、縁が翼状になり微鋸歯があってざらつく。小穂は長さ約3㎜の披針形で、先が尖る。小穂の縁に長毛が櫛形に生えるものをクシゲメヒシバと変種扱いする説もあるが、分類しないのが一般的である。第1苞頴は長さ約0.5㎜。第2苞頴は長さ約1.8㎜、毛がある。第1小花は長い毛がある護頴だけに退化。第2小花の護頴と内頴は厚く、無毛。果実は長さ約2㎜、乳白色。花期は7~11月。

3 Digitaria cognata (Schult.) Pilg. ニセクサキビ 
 北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はfall witchgrass , Carolina crabgrass , mountain hairgrass。砂地に生える。
 多年草。叢生し、根茎はない。稈は高さ30~56cm、直立し、節は無毛。葉は主に茎葉。葉鞘は無毛または疎~密に毛があり、ときに基部がパピラ状の毛がある。葉舌は長さ0.2~1.5㎜、全縁~切り裂かれる。葉身は長さ2.4~12.6㎝×幅2~5.4㎜、無毛または毛がある。円錐花序は単純で、長さ12.8~27.5㎝×幅16.5~44.5㎝、開き、枝は散開し、下部の一次枝は長さ10.5~24 cmで、多くの場合、基部の近くに1本の無菌枝があります。小花柄は発散し、小穂は孤立しています。小穂は長さ2.2~3.1㎜×幅0.7~1.1㎜、倒卵形または広く楕円形。第1苞鋭は長さ0.1~0.8㎜。第2苞穎は長さ1.8~2.8㎜、3(5)脈があり、無毛または毛があり、脈の間に毛があり、毛は狭い縞状に見える。下側の護穎は長さと質と毛が第2苞穎に似ており、7脈があり、脈は間隔が不均等、側脈は3本の中央脈よりも接近する。上側の護穎は長さ1.9~2.9㎜、無毛、暗褐色、先は狭い鋭形。葯は長さ0.5~0.7㎜、黄色または紫色。穎果は長さ1.3~1.6㎜。 2n=36。

4 Digitaria fauriei Ohwi  ヒメアキメヒシバ 
 台湾原産。中国名は佛欧里马唐 fo ou li ma tang。海岸近くの開けた場所に生える。

5 Digitaria gaudichaudii (Kunth) Henrard  ハマメヒシバ 浜雌日芝
 マリアナ諸島原産。海岸近くの溶岩地帯に点在、南斜面の樹木に覆われた渓谷に生える。
 多年草。稈は膝状に曲がり、斜上し、長さ30~60cm。葉舌は縁毛がなく、膜質。葉身は線形または披針形、長さ15~25cm×幅4~8㎜、革質。花序は総状花序からなる複合花序。総状花序は7~16本、掌状、片側生、長さ6~12cm、花序軸は狭い翼があり、角(かど)があり、幅0.5~1㎜。小穂は規則的に並び、2列。小穂は単生。稔性の小穂は無柄。小穂は1個の不稔の小花を基部にもち、1個の稔性の小花をもち、小軸の伸長はない。小穂は披針形または楕円形、背側が扁平、長さ2.5~3 mm、全体で落ちる。苞穎は両方が無いかまたは不明瞭、または第1苞穎が無いか不明瞭、小穂より短く、稔性の護穎より薄い。第2苞穎は卵形、小穂の長さの0.1倍、透明、竜骨はなく、(1~)3脈があり、表面は無毛または微軟毛があり、先は鋭形。基部の不稔の小花は不毛、有意な内穎は無い。下側の不稔の小花の護穎は楕円形、小穂の長さと同長、膜質、5~7脈があり、肋があり、脈は等間隔、ザラつき、脈の上は粗く、無毛または微軟毛があり、鋭形。稔性の護穎は披針形、長さ2.5~3㎜、軟骨質、縁がかなり薄く、竜骨は無く、縁は平ら、内穎をほとんど被い、先は鋭形。内穎は軟骨質。葯は3個。

6 Digitaria henryi Rendle ヘンリーメヒシバ 
  synonym Digitaria sasakii (Honda) Tuyama
 日本(九州の薩摩・大隅半島)、中国、台湾、ベトナム原産。中国名は亨利马唐 heng li ma tang。ハワイに帰化している。別名はナンゴクメヒシバ。砂浜、海の近くの草原に生える。
 多年草。 稈は房状になり、細く、平伏し、しばしば下部の節から発根し、高さは20~50cm。葉鞘は無毛です。 葉身は狭披針形、長さ3~8cm×幅0.2~0.5cm、無毛または基部近くでわずかに剛毛があり、先は鋭形。葉舌は長さ1~2㎜。花序はほぼ掌状、花序軸は短い。総状花序3~9本、直立して束生し、散開せず、長さ4~8cm、小穂が対につき、小軸は平ら、翼は幅約0.5㎜、縁が細かくザラつく。小穂は披針形、長さ2.2~2.8㎜、先は尖鋭形。第1苞穎は長さ約0.2㎜。第2苞穎は披針形、小穂の長さの1/2の長さ、3脈があり、直軟毛がある。下側の護穎は上側の護穎よりわずかに長く、7脈があり、中脈に隣接する脈はより広い脈間があり、側脈との間のスペースと縁に沿って直軟毛がある。上側の護穎は黄緑色~灰色、先は鋭形。花期および果期は夏~秋。2n=36。

7 Digitaria heterantha (Hook.f.) Merr. フタマタメヒシバ 
  synonym Digitaria shimadana Ohwi
  synonym Digitaria bicornis auct. non (Lam.) Roem. et Schult.
 中国、台湾、インドネシア、マレーシア、パラオ諸島、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は二型马唐 er xing ma tang。沿岸の砂地に生える。
 多年草、匍匐茎がある。稈は高さ50~100cm、下部の節で分枝および発根する。葉鞘は無毛~パピラのある直軟毛がある。葉身は広線形、長さ5~15cm×幅0.3~0.6cm、無毛~両面にパピラのある直軟毛がある。葉舌は長さ1~2㎜。花序は掌状。総状花序は2~4本、硬く、斜上~散開し、長さ5~15(~20)cm、長い花序は基部にまばらに 針骨がある。小穂は対になり、覆瓦状ではなく、圧着し、わずかに沈見込むように見える。花序軸は3稜形、太く、ほとんど翼がない。小穂は披針形、長さ3.5~4.5(~6)㎜、対の小穂は異なり、下部の小穂は無毛、上部の小穂は絨毛がある。第1苞穎は非常に小さく、脈がない。第2苞穎は披針形、小穂の長さの1/2~同長、3~5脈がある。下側の護穎は小穂の長さと同長、、密に7~11脈があり、脈は等間隔、太く、明瞭、スリット状の隙間がある。上側の小穂は絹毛の列をもち、普通、剛毛もあり、毛は熟すと光輪のように広がる。上側の護穎は淡色で、先は尖鋭形。花期および果期は6~10月。2n=36, 72。

8 Digitaria insularis (L.) Fedde ススキメヒシバ 薄雌日芝
  synonym Digitaria insularis (L.) Mez ex Ekman [FNA]
 南北アメリカの熱帯、亜熱帯に分布。英名はSour grass。八重山諸島などに帰化。
 多年草、叢生し、根茎は短く、基部に節がある。稈は高さ80~130㎝、直立し、密に絨毛のある低出葉を持ち、下部と中央の節から分枝する。葉鞘は普通、疎~密にパピラのある粗毛があり、たまに無毛です。葉舌は長さ4~6mm、普通、切り裂かれ、縁毛はない。葉身は長さ20~50㎝×幅10~17㎜、緩く、下面は平滑または細かくザラつき、上面は細かくザラつき~ザラつく。円錐花序は長さ20~35㎝×幅2~10㎝、多数の穂状花序状の一次枝がある。一次枝は長さ10~15㎝で、成熟時に圧着~斜上し、花序軸は翼の縁取りがないか、翼の幅が中肋の1/2未満。節間は長さ3~4.5(6)㎜(中央枝)、不均等な小梗の小穂の対をつける。まれに、二次枝がある。小梗は枝に付着しない。短い小梗は長さ0.7~2㎜、長い小梗は長さ2.5~5mm、頂部の小梗は長さ2~5㎜。小穂は長さ5.5~8.2㎜(毛を含む)、長さ4.2~5.9㎜(毛を除く)、狭卵形、尖鋭形。第1苞穎は長さ0.6~0.8㎜。第2苞穎は長さ3.5~4.5㎜、3~5脈があり、縁に毛がある。下側の護穎は長さ4.1~5.7mm(毛によって1.5~5㎜突き出る)、狭卵形、7脈があり、ほとんどの、ときにすべての脈間と縁に毛があり、脈は普通、金褐色の毛に密に覆われ隠され、毛は長さ3~6㎜、成熟時に広がり、中脈の両側の脈間は無毛または短く細かい白色の毛があり、ときに金褐色の毛と混ざり合う。上側の護穎は長さ3.2~4.5㎜、狭卵形、未熟の場合は褐色、成熟時には暗褐色になり、先は尖鋭形。葯は長さ1~1.2㎜。 2n=36。

9 Digitaria ischaemum (Schreb.) Schreb. ex Muhl. キタメヒシバ 北雌日芝
 日本(北海道、本州)、中国、台湾、パキスタン、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は止血马唐 zhi xue ma tang。英名はsmooth finger grass , smooth crabgrass。別名はタイワンイトメヒシバ。アキメヒシバに酷似し、小穂がわずかに大きい。開けた草地に稀に見られる。
 1年草、全体がしばしば紫色を帯びる。稈は緩く房状になり、直立または斜上し、高さは15~40㎝。葉鞘は緩く、普通、竜骨があり、無毛または直軟毛がある。葉身は線状披針形、長さ5~12㎝×幅0.4~0.8㎝、±直軟毛があり、基部はほぼ円形、先は尖鋭形。葉舌は長さ約0.6㎜。花序は掌状または短花序軸上につき、総状花序は2~4本つき、散開し、長さ2~9㎝、小穂は3出する。花序軸はリボン状、翼があり、幅0.8~1.1㎜、中肋は白色、円柱形または3稜形、緑色または紫色の翼よりも狭く、縁には細鋸歯がある。 小梗は角張り、ザラつき、先端は円盤板状。小穂は楕円形、長さ2~2.2㎜、直軟毛は毛に疣があり、先端が 巻くものもある。第1苞穎はないか、または小さく、縁が透明。第2苞穎は小穂と同長かまたはわずかに短く、3~5脈があり、脈間のおよび縁に伏した直軟毛がある。上側の護穎は熟すと紫褐色~帯黒色。花期および果期は6~11月。2n=36。

10 Digitaria leptalea Ohwi イトメヒシバ 糸雌日芝
  synonym Digitaria leptalea Ohwi var. reticulmis Ohwi
  synonym Digitaria pertenuis auct. non Büse
 日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、台湾原産。中国名は丛立马唐 cong li ma tang。乾いた土手、丘の中腹、畑地や日当たりのよい路傍、空き地などに生える。
 多年草、房状になりまたは匍匐茎がある。稈は斜上し、葉がつき、高さ40cm以下。葉鞘は毛がありまたは無毛になる。葉身は線形、長さ2~5(~10)㎝×幅0.2~0.4㎝、無毛または基部の縁にパピラのある直軟毛があり、先は鋭形。葉舌は長さ1~1.5㎜。花序は掌状。総状花序は2~3本つき、斜上し、成熟時にわずかにアーチ状になり、長さ2~7㎝。小穂は3出する。花序軸はリボン状、狭い翼あり、幅0.3~0.5㎜、中肋が低い。小梗はほぼ平滑、先端が円盤状になる。小穂は楕円形、長さ1.2~1.5㎜、先は尖鋭形、毛は疣状。第1苞穎は不明瞭な縁になる。第2苞穎は小穂の長さとほぼ同長、5脈があり、密に伏毛がある。下側の護穎は小穂の長さと同長、7脈があり、第2苞穎に似ている。上側の護穎は完全に成熟すると、紫黒色になる。葯は長さ約0.4㎜。花期および果期は4~10月。2n=18。

11 Digitaria longiflora (Retz.) Pers. チャボメヒシバ 矮鶏雌日芝
 中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、スリランカ、タイ、ベトナム、 旧世界の熱帯、アメリカ原産。中国名は长花马唐 chang hua ma tang。英名はindian crabgrass。別名はハイメヒシバ。畑の縁、草地、雑草の多い場所に生える。
 一年草または短命の多年草。匍匐茎は普通、細く、多節。 稈は斜上、葉がつき、高さ10~40㎝。葉鞘は有毛または無毛。葉身は広線形、長さ2~5㎝×幅0.2~0.4㎝、基部に無毛または乳頭状の毛状突起があり、頂点は鋭い。葉舌は長さ1~1.5㎜。 花序は掌状。総状花序は2~3本つき、成熟時にアーチ状になり、長さ2~5㎝。 小穂は3出する。花序軸はリボン状、翼があり、幅0.5~0.8㎜、中肋は低く、丸い。小梗は円柱形、平滑、先端が円盤状。小穂は楕円形、長さ1.2~1.5㎜、先は尖鋭形、毛は疣状。第1苞鋭はない。第2苞穎は小穂と同長、5脈があり、密に伏毛がある。下側の護穎は小穂と同長、7脈があり、中脈と側脈の間は無毛、それ以外は毛がある。上側の護穎は黄褐色または淡灰色、先は尖鋭形。葯は長さ0.6~0.8㎜。花期および果期は4~10月。2n=18。

12 Digitaria mollicoma (Kunth) Henrard  ビロードメヒシバ 
  synonym Digitaria hayatae (Honda) Honda
  synonym Digitaria magna (Honda) Tuyama  オオビロードメヒシバ 
 中国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、 太平洋諸島原産。中国名は绒马唐 rong ma tang。海岸近くの乾燥した砂質土壌に生える。
 短命の多年草、匍匐茎があり、マット状になる。稈は細く、花がつくシュートは斜上し、高さ20~50㎝。 葉鞘は無毛または直軟毛がある。葉身は線状披針形長さ2~6㎝×幅0.3~0.5㎝、無毛~直軟毛があり、匍匐茎の毛は短く、開出し、花のつくシュートの毛は長くて柔らかい。葉舌は長さ1~2㎜。花序は掌状。総状花序は2~3(~5)本つき、長さ3~9㎝、小穂は3出する。花序軸はリボン状、翼があり、幅約1㎜、縁はザラつく。小梗は普通、円柱形、平滑、先は円板状。 小穂は楕円形、長さ1.7~2.3㎜、毛は平滑またはいぼ状。第1苞穎はないか、またはほとんどない。第2苞穎は小穂と同長またはそれよりわずかに短く、3~5脈があり、直軟毛がある。下側の護穎は小穂と同長、7脈が等間隔につき、脈がかなり目立ち、直軟毛がある。上側の護穎は熟すと黄色~淡褐色の上部補題。葯は長さ0.5~0.9㎜。花期および果期は8~10月。

13 Digitaria platycarpha (Trin.) Stapf シマギョウギシバ 島行儀芝
 小笠原諸島、火山列島に分布する。別名はシマメヒシバ。海岸沿いの道端などに生える。
 多年草、叢生する。稈は長さ15~25㎝。 葉舌は縁毛がなく、膜質。葉身は長さ2~4cm×幅2~3.5mm。花序は総状花序からなる複合花序。総状花序は2~3本、対または掌状、片側につき、長さ4cm。花序軸は狭い翼があり、角(かど)があり、幅1㎜。小穂は単生。稔性の小穂は無柄。小穂は基部の1個の不稔の小花と1小の稔性の小花をもち、小軸の伸長はない。小穂は長円形、背側が扁平、長さ3㎜、全体で落ちる。苞穎は1個、第1苞穎は無いかまたは不明瞭、小穂より短く、稔性の護穎より薄い。第2苞穎は卵形、小穂の長さの0.15倍、膜質、竜骨は無く、1脈があり、側脈は無く、表面は平滑、縁は縁毛があり、先は鈍形。基部の不稔の小花は不毛、有意な内穎は無い。下側の不稔の小花の護穎は楕円形、小穂の長さと同長、膜質、7脈があり、平滑、微軟毛があり、縁に縁毛があり、切形または鈍形。稔性の護穎は楕円形、長さ3㎜、軟骨質、縁はかなり薄く、竜骨はなく、縁は平ら、内穎のほとんどを被い、先は鋭形。内穎は軟骨質。葯は3個。

14 Digitaria radicosa (J.Presl) Miq. コメヒシバ 小雌日芝
  synonym Digitaria timorensis (Kunth) Balansa
  synonym Digitaria chinensis Hornem.
 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、中国、台湾、インド、ネパール、、ラオス、ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は红尾翎 hong wei ling。英名はTimorese crabgrass。別名はナヨメヒシバ。道端、草地に生える。
 1年草。高さ10~30㎝。茎は這って広がる。葉は長さ4~7㎝、幅0.4~1㎝。花序の枝は少なく、総数が2~4個で、斜上する。花序枝は長さ4~7㎝、縁に微鋸歯がなく平滑。ただし、小穂の軸には微歯があるものも見られる。小穂は長さ2.8~3㎜の狭披針形。メヒシバは大きなものは花序が段状になるが、小さいものはコメヒシバと見分けがつかなくなる。メヒシバの花序枝には微歯があり、ざらつくことで判別できる。花期は7~10月。2n=18。
14-2 Digitaria radicosa (J.Presl) Miq. var. hirsuta (Ohwi) C.C.Hsu アラゲコメヒシバ 
  synonym Digitaria timorensis (Kunth) Balansa var. hirsuta (Ohwi) Henrard
  synonym Digitaria chinensis Hornem. var. hirsuta Ohwi
 日本固有変種と考えられている。愛知県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。蛇紋岩地のやや攪乱された半裸地に生える。
 1年草。稈は基部で多少分枝して束生し、高さ20~40㎝。葉は互生し、葉身は披針形、長さ 3.5~8cm×幅3~6㎜、両面に長い軟毛がやや密にあり、先は尖鋭形。葉鞘にも長い軟毛がある。花序は円錐花序、枝は2~3本つき、長さ3~8㎝、小穂が並んでつく。小穂は楕円形、長さ1.5~2㎜、淡緑色、不稔の第1小花と稔性の第2小花からなり、芒はない。花期は8~10月(レッドデータ愛知)。

15 Digitaria sanguinalis (L.) Scop. オニメヒシバ 鬼雌日芝
 世界中の温帯および高地の亜熱帯地域に分布。中国名は马唐 ma tang。英名はcrab grass。畑地、道端、草地の雑草。
 1年草。稈は直立または基部で傾伏し、高さ10~80㎝、無毛または節に毛がある。葉鞘は無毛またはまばらにパピアのある直軟毛がある。葉身は線状披針形、長さ5~20㎝×幅0.4~1.2㎝、無毛または直軟毛があり、縁が厚くなり、ザラつく。葉舌は長さ1~3mm。花序の掌状またはほぼ、花序軸は長さ1~2㎝。総状花序は4~12本、硬く、長さ5~18㎝、小穂は対につき、その長さの約2/3が重なり、花序軸に翼があり、中肋は三稜形、縁はザラつく。小穂は楕円状披針形、長さ3~3.5 mm、鋭形。第1苞穎は小さく、長さ約0.2㎜、三角形。第2苞穎は披針形、小穂長の長さの1/3~1/2、3脈があり、毛があり、先はほぼ鋭形。下側の護穎は小穂と同長、7脈があり、脈は等間隔、または中脈の隣接する脈間は広く、中脈は平滑、側脈は剛毛状にザラつき、特に先に向かってザラつく、側脈間と縁に伏毛があり、まれに剛毛もある。上側の護穎は緑灰色または薄褐色、披針形、小穂と同長、先は尖鋭形。葯は長さ約1mm。花期および果期は6~9月。2n=28, 36。

16 Digitaria setigera Roth ex Roem. et Schult. イヌメヒシバ 犬雌日芝
  synonym Digitaria microbachne (J.Presl) Henrard
  synonym Digitaria pruriens (Fisch. ex Trin.) Büse  ヒトタバメヒシバ(ハハキメヒシバ) 
 日本(奄美群島以南)、中国、台湾、バングラデシュ、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム。 Eアフリカ(タンザニア)、オーストラリア、インド洋諸島(セイシェル)、マダガスカル、太平洋諸島原産。中国名は海南马唐 hai nan ma tang。別名はメヒシバモドキ、ナンゴクメヒシバ。湿った斜面、小川の土手、道端、草地に生える。
 1年草。稈は高さ30~100㎝、房状になり、傾伏し、枝分かれし、下部のから節で発根する。葉鞘は無毛またはパピラのある直軟毛がある。葉身は線状披針形、長さ5~20㎝×幅0.3~1㎝、両面が無毛、基部にパピラのある直軟毛があり、基部がほぼ円形、先が尖鋭形。葉舌は長さ1~2㎜。花序は掌状またはほぼ掌状、花序軸は長さ1~4㎝。総状花序は5~12本、硬く、長さ5~15㎝、小穂は対につき、覆瓦状人あり、その長さの約2/3が重なる。花序軸は3稜形、狭い翼があり、幅約0.6mm、縁はザラつく。小穂は狭披針状長円形、長さ2~2.5(~3)㎜、鋭形。第1苞穎はないか、わずかな縁がある。第2苞穎は小穂の長さの1/3以下、1~3脈があり、縁は縁毛があり、先は絨毛があり、毛は先端を超える。下側の護穎は小穂と同長、5~7脈があり、脈は等間隔または中央脈に隣接してするより広い間隔になり、側脈の間のスペースおよび縁に伏毛~絨毛があり、まれに縁毛または剛毛がある。上側の護穎は帯黄色~灰色、下側の護穎とほぼ同長、先は尖鋭形。花期および果期は6~11月。2n=27, 36, 54, 72。

17 Digitaria violascens Link アキメヒシバ 秋雌日芝
  synonym Digitaria ischaemum (Schreb.) Schreb. ex Muhl. var. asiatica Ohwi
  synonym Digitaria ischaemum (Schreb.) Schreb. ex Muhl. subsp. asiatica (Ohwi) Tzvelev
  synonym Digitaria asiatica (Ohwi) Tzvelev
 日本全土、中国、台湾、アフガニスタン、東南アジア原産。中国名は中国名は紫马唐 zi ma tang。英名はviolet crabgrass。オーストラリア、南アメリカ(チリー)、北アメリカ東南部、ハワイなどに帰化している。道端、草地に生える。
 1年草。高さ20~80㎝。稈はメヒシバのように匍匐して広がらず、根元でよく分岐して株立となり、直立~斜上する。全体にほぼ無毛。葉は長さ4~14㎝、幅5~8㎜の線形で、葉の基部に長毛が散生するだけで、無毛。葉鞘も無毛。花序は掌状に長さ6~12㎝の枝を2~10個、斜上する。小穂は長さ約2㎜の卵状楕円形、緑色又は紫色で、2列に隙間なく密着する。小穂の小花は2個だが、第1小花は退化して護頴だけである。第1苞頴は無いか、あっても微小。第2苞頴は小穂よりやや小さく、細毛があり、第1小花の護頴にも細毛がある。苞頴の細毛は小穂が熟して乾いてくると目立つようになる。小花(第2)は紫褐色の護頴が被っており、内頴も同色。果実は長さ約1㎜、乳白色。2n=36。花期は8~10月。
17-1 Digitaria violascens Link var. intersita (Ohwi) Ohwi ウスゲアキメヒシバ 
 全体小型。花序の枝は2~3本。葉鞘にごく疎らに軟毛がある。

17-2 Digitaria violascens Link var. lasiophylla (Honda) Tuyama アラゲメヒシバ 
 全体小型。花序の枝は2~3本。葉や葉鞘に長い軟毛が密生する。

参考

1) Flora of China
 Digitaria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110153
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Digitaria
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329395-2
3) World Flora Online
 Digitaria
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000011700
4) World Checklist of Vascular Plants
 Digitaria
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North America
 Digitaria
http://floranorthamerica.org/Digitaria