マルミノヤマゴボウ 丸実の山牛蒡

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Flora of Mikawa

ヤマゴボウ科 Phytolaccaceae ヤマゴボウ属

中国名 日本商陆 ri ben shang lu
学 名 Phytolacca japonica Makino
マルミノヤマゴボウの果序
マルミノヤマゴボウの未熟な果実
マルミノヤマゴボウの熟した果実
マルミノヤマゴボウ
マルミノヤマゴボウ葉
花 期 6~9月
高 さ 100~150㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の林縁
分 布 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、中国、台湾
撮 影 接岨峡(静岡県)  07.8.6
和名の由来は実が分果せず丸いヤマゴボウという意から。
 茎は太く、緑色、果期には赤味を帯びてくる。葉は互生し、長楕円形~卵状長楕円形で先が尖り、全縁、無毛。花序は直立し、やや円錐花序につき、次第に真っ赤な棒状になる。花には花弁がなく、萼片が5個あり、初めは淡紅色だが、花柄とともに真っ赤になる。果実は心皮が8(7~10)個、合着して球形になり、熟すと黒紫色になる。2n=72
 帰化種のヨウシュヤマゴボウも同じように果実が球形になるが、花穂が下に垂れ、花がまばらにつく。ヤマゴボウは果実が分果する。

ヤマゴボウ属

  family Phytolaccaceae - genus Phytolacca

 草本または低木、まれに高木、直立し、まれに攀縁性。 根は普通、太く、肉質。 茎と枝は円柱形、溝がありまたは角張り、無毛、または若いシュートと花序には毛がある。葉は葉柄があり、まれに無柄。葉身は卵形、楕円形、または披針形、先は鋭形または鈍形。花は小花柄がありまたは無柄、総状花序、集散花序の円錐花序、または穂状花序につき、頂生または葉に対生する。花被片は5個、宿存し、広がりまたは後屈し、長円形~卵形、草質または膜質、先は鈍形。雄しべは6~33本、花被片の基部につく。花糸は錐形または線形、離生または基部で合着し、突き出ないかまたは突き出る。子房はほぼ球形、心皮は5~16個、分離または合着する。花柱は錐形。果実は肉質の液果、扁球形。種子は黒色、光沢があり、腎形、扁平。種皮(testa)は硬くて壊れやすく、平滑、内種皮(tegument)は膜質。
 世界に約25種あり、ほぼ全世界的で、ほとんどが南アメリカに分布し、アフリカとアジアに数種ある。

ヤマゴボウ属の主な種と園芸品種

1 Phytolacca acinosa Roxb. ヤマゴボウ 山牛蒡
  synonym Phytolacca esculenta Van Houtte
  synonym Phytolacca acinosa Roxb. f. insularis (Nakai) M.Y.Kim
  synonym Phytolacca insularis Nakai  タケシマヤマゴボウ 
 日本、韓国、中国、台湾、ブータン、インド、ミャンマー、シッキム、ベトナム原産。中国名は商陆 shang lu。英名はIndian poke。林内、林縁、道端、耕作地、草地に生える。薬用に使われた。日本のものは外来といわれている。
 多年草、無毛、高さ0.5~1.5m。根は倒円錐形、太く、肉質。茎は直立し、緑色または赤紫色、円柱形、縦の溝があり、肉質で、枝分かれする。葉柄は長さ1.5~3㎝。葉身は楕円形または披針状楕円形、長さ10~30㎝×幅4.5~15㎝、紙質、基部は尖鋭形または鋭く尖る。総状花序は直立し、円柱形、普通、葉より短く、密に花がつく。花序柄は長さ1~4cm。小花柄は長さ6~10(~13)㎜。花は両性、直径約8㎜。花被片は5個、白色または黄緑色、楕円形、卵形、または長円形、長さ3~4mm×幅約2mm、等長、花後に後屈する。雄しべは8~10本、花被片の長さとほぼ同長。花糸は宿存し、白色、錐形、基部は広い。葯はピンク色、楕円形。心皮は普通、8個。花柱は直立し、短く、先が曲がる。花序は直立する。液果は熟すと紫黒色、扁球形、直径約7㎜。種子は腎形、長さ約3㎜、3角(かど)形があり、平滑。花期は5~8月。果期は 6~10月。2n=18, 36, 72。

2 Phytolacca americana L. ヨウシュヤマゴボウ 洋種山牛蒡
 北アメリカ原産。英名はink berry , American pokeweed, pokeberry。中国名は垂序商陆 chui xu shang lu。別名はアメリカヤマゴボウ。  多年草。高さ100~200㎝。全体に無毛。根は市販されているキク科のヤマゴボウ(モリアザミ)によく似ているが、有毒。茎は太く、赤色を帯び、平滑。葉は互生し、長さ10~30㎝、全縁。葉柄は長さ1~4㎝。花序は総状、長さ10~30㎝、柄があり、垂れ下がる。花は直径約5㎜、白色~淡紅紫色。花には花弁がなく、花弁に見える萼がある。雄しべ10個。子房の心皮は10個。果実は直径6~8(11)㎜の扁球形、種子が10個入り、熟して黒紫色になる頃には境目がはっきりしない。果柄は果実より長い。果汁は赤紫色でインクのように染まりやすく、英名はink berryという。種子は直径約3㎜、扁平なほぼ円形、黒色。2n=18,36。花期は6~10月。
品種) 'Silberstein' (v) , 'Sunny Side Up' , 'Variegata' (v)

3 Phytolacca icosandra L. ボタンヤマゴボウ
 USA、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はbutton pokeweed , tropical pokeweed , hydrangea-leaved poke。別名は熱帯ヤマゴボウ。荒地に生える。
 多年草、高さ3m以下。葉柄は長さ0.5~6㎝。葉身は楕円形~等卵形、まれに披針形、長さ30㎝×幅15㎝・以下、基部は鈍形~漸尖し、先は鋭形。花序は穂状花序または穂状果序状、下につく葉を超え、長さ30㎝以下。花序柄は長さ10㎝以下。小花柄は長さ0.5~2mm。萼片は5個、白またはピンク色~帯淡赤色、広楕円形、等長、長さ3mm×幅2mm・以下。 雄しべは(8~)10~22(~30)本、普通2輪につく。心皮は主に6~10個、合着する。子房は6~10室。液果は紫黒色、直径7~8mm。種子は黒色、厚いレンズ形、長さ2.5~3㎜、光沢がある。花期は夏~冬。
品種) 'Laca Boom' , Purpurascens Group

4 Phytolacca japonica Makino  マルミノヤマゴボウ 丸実の山牛蒡
 本州(関東地方以西)、四国、九州、中国、台湾原産。中国名は日本商陆 ri ben shang lu。山地の林縁に生える。
 多年草。高さ100~150㎝。茎は太く、緑色、果期には赤味を帯びてくる。葉は互生し、長楕円形~卵状長楕円形で先が尖り、全縁、無毛。花序は直立し、やや円錐花序につき、次第に真っ赤な棒状になる。花には花弁がなく、萼片が5個あり、初めは淡紅色だが、花柄とともに真っ赤になる。果実は心皮が8(7~10)個、合着して球形になり、熟すと黒紫色になる。2n=72。花期は6~9月。

5 その他ハイブリッド
品種) 'Laka Boom'

参考

1) Flora of China
 Phytolacca
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=125362
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Phytolacca
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:327321-2
3) World Flora Online
 Phytolacca
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000029587
4) Flora of North America
 Phytolacca
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=125362